JP3282069B2 - 温冷湿布具 - Google Patents
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Description
ものであり、より詳しくは、冷湿布として使用できかつ
温湿布としても使用でき、適用部位にその全体を面接触
させることができる利便性と効率性に優れた温冷湿布具
に関するものである。
を目的として使用するものであり、又、冷湿布具は局所
を冷やすことのみを目的として使用するものである。冷
水又は熱水の中にタオルを浸たし絞って広げ折畳んで直
接又は必要ならばポリ袋に入れて用いるという所謂オシ
ボリ(タオル)が経験的に利用されていることを除け
ば、温湿布具として利用できかつ冷湿布具としても利用
できるこの種の温冷湿布具はない。
なることによる手足の冷え、肩こりや腰痛等の神経痛や
筋肉痛、慢性化した関節炎などの血行不良に対して、加
えて最近では、無理な姿勢、連続した作業或いは生活環
境の悪化、ストレスなどが原因で血行が悪くなることに
よる健康上の問題に対して、これらの症状を抑制する治
療行為として局所を温めるという物理療法が行われてい
る。この目的を達成するために、カンフル、ハッカ油
(メントール)などを有効成分として含有させた温湿布
剤が知られており、さらに温感刺激剤を配合したパップ
剤あるいはプラスター剤が市販されている。又、場合に
よっては、ラップ、ゴム手袋等で皮膚表面を覆い、自己
の発汗作用によって蒸発被膜を形成するという方法があ
る。
類、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド等の水溶性ポリ
マー、グリセリン、プロピレングリコール等の保湿成
分、カオリン、チタン白等の賦形剤、および水が多量に
配合されたものを基剤として用い、これにノニル酸ワニ
リルアミドやトウガラシエキス等の温感刺激剤を分散、
混和させて膏体とし、支持体上に伸展させたものが一般
的である。このような基剤に温感刺激剤を配合しても、
基剤に多量の水が連続相として含まれているため、水の
蒸発により貼布部位が冷却され、血行促進作用を阻害す
ることとなり、温めて治療する効果を期待することがで
きないことがある。また、この基剤では、皮膚に対する
粘着力が弱いために固定用の補助テープを使用するが、
操作の煩雑さおよび固定時の違和感などの欠点がある。
ゴム類に、ロジン、エステルガム石油系の油成分、カオ
リン、亜鉛華等の賦形剤からなるものを基剤として用
い、これに約0.05〜0.1重量%のノニル酸ワニリ
ルアミド、約1〜2重量%のトウガラシエキス等の温感
刺激剤を配合させて膏体とし、支持体上に伸展させたも
のが一般的である。しかしながら、ノニル酸ワニリルア
ミドやトウガラシエキス等の温感刺激剤の配合濃度が高
濃度であるため、皮膚に対してかゆみ等の刺激があった
り、赤疹が出たり、発赤膨張などが発生し易いという欠
点がある。又、これらはある程度の刺激感を与えること
はできるが、十分な血行促進作用が得られず、大きな治
療効果を期待することができない。
は肘の各関節部とその周辺の炎症を軽減させるため冷湿
布又は冷湿布具が利用されている。従来の冷湿布具に
は、例えば、水枕、氷嚢、及びゲル状の冷却媒体を詰め
た水枕形状の冷却用用具などが知られており、これを当
該関節の大きさや形状に応じて幹部に複数個あて、必要
に応じて三角巾などを用いてずり落ちたり外れないよう
に固定するようになっている。
ィンやC16パラフィンなどに代表されるn−パラフィン
系化合物、および高密度ポリエチレンや架橋高密度ポリ
エチレンなどに代表されるn−パラフィンの誘導体や、
CaCl2・6H2Oなどに代表される塩水和物、(C4
H9)4NCHO2・32H2Oなどに代表される包接化合
物、が知られている。
温湿布具は局所を温めるという目的に利用できるが局所
を冷やすという目的には利用できないという不便があ
り、同様に、上述した従来の冷湿布又は冷湿布具は局所
を冷やすという目的に利用できるが局所を温めるという
目的には利用できないという不便があった。
却剤がゲル状に固化するため患部に冷却用用具の全体を
面接触させることができず複数の点接触となるから、冷
湿布作用が十分に得られず、均一な冷湿布効果を期待す
ることができないという欠点がある。また、膝、肩、又
は肘の各関節部とその周辺の炎症を軽減させるために利
用する場合には、例えば、当該関節部を内側、外側、下
側、上側というように数個のゲル状に固化させた冷湿布
具を一定の姿勢を長時間に亙って当てておく必要がある
ため、固定時の違和感や苦痛などがあるという欠点があ
った。
ものであって、その解決すべき課題は従来の温湿布具及
び冷湿布具が具有する上述した欠点や不便を解消するこ
とであり、その目的とするところは、冷湿布として使用
できかつ温湿布としても使用できる利便性に優れた温冷
湿布具を提供することである。
る場合でも、そして温湿布として使用する場合でも液状
であり、当該適用部位に冷却用用具の全体を面接触させ
ることができる効率性に優れた温冷湿布具を提供するこ
とである。
〜20の高級脂肪酸のカリウム塩から選ばれたいずれか
1種又はこれらの2種以上の混合物がその主成分として
全体の15〜40重量%の割合で含有され且つ水も含有
する媒体組成物が、前記高級脂肪酸のカリウム塩の種類
とこれらの含有量によって実質的に決まる所定の温度範
囲で半固状又は固状となり、該所定の温度範囲以下にこ
れらを冷却するとその流動性が増強される(軟化、液状
化する)ことを見い出し、さらに、これらの媒体組成物
は、固相・液相間の相転移が起きる前記所定の温度範囲
の上限と下限のそれぞれの温度付近において蓄熱又は放
熱作用を発現することを見い出し、そして、試作を重ね
た結果、本発明を完成することができたものである。
級脂肪酸のカリウム塩から選ばれたいずれか1種又はこ
れらの2種以上の混合物がその主成分として全体の15
〜40重量%の割合で含有され且つ水も含有する媒体組
成物を封入してなる温冷湿布具であって、前記媒体組成
物は、前記高級脂肪酸のカリウム塩の種類とその含有量
によって実質的に決まる所定の温度範囲で半固状又は固
状でありこの所定の温度範囲以下に冷却されると液状化
することを特徴とする温冷湿布具」をその要旨とするも
のであり、請求項2の発明は、「炭素数8〜20の高級
脂肪酸のカリウム塩から選ばれたいずれか1種又はこれ
らの2種以上の混合物を主成分がその全体の15〜40
重量%の割合で含有され且つ水も含有する媒体組成物を
吸着含浸させてなる保水体を含み構成された温冷湿布具
であって、前記媒体組成物は、前記高級脂肪酸のカリウ
ム塩の種類とその含有量によって実質的に決まる所定の
温度範囲で半固状又は固状でありこの所定の温度範囲以
下に冷却されると液状化することを特徴とする温冷湿布
具」をそのの要旨とするものである。
布具において、前記高級脂肪酸は、飽和直鎖脂肪酸、不
飽和直鎖脂肪酸、飽和ヒドロキシ脂肪酸、又はイソ酸の
うちのいずれか1に属することを特徴とする請求項1又
は2に記載の温冷湿布具」を、。請求項4の発明は、
「前記温冷湿布具において、前記高級脂肪酸は、飽和直
鎖脂肪酸、不飽和直鎖脂肪酸、飽和ヒドロキシ脂肪酸、
又はイソ酸のうちの少なくとも2以上に属する脂肪酸が
組合せされていることを特徴とする請求項1又は2に記
載の温冷湿布具」を、そして、請求項5の発明は、「前
記温冷湿布具において、前記媒体組成物に含まれる高級
脂肪酸のカリウム塩の一部が、当該高級脂肪酸のナトリ
ウム塩、アンモニウム塩、又はトリエタノールアミンの
いずれかで置き換えられていることを特徴とする請求項
1〜4のいずれかに記載の温冷湿布具」を、それぞれそ
の要旨とするものである。
れかに記載の温冷湿布具は、温湿布具として利用できか
つ冷湿布具としても利用できるものである。また、これ
を、温湿布として使用する場合でもそして冷湿布として
使用する場合でも、前記媒体組成物が液状の状態にする
ことができて、当該適用部位にその全体を面接触させる
ことができる。
るために使用した媒体組成物をまず説明する。本発明の
実施例に使用した媒体組成物は、高級脂肪酸の塩類から
選ばれた1種又はこれら2種以上が全体の15〜40重
量%の割合で含有されかつ水も含有された組成物であ
る。前記高級脂肪酸は炭素数が8〜20の脂肪酸であ
り、この炭素数が8〜20の脂肪酸は、飽和直鎖脂肪
酸、不飽和直鎖脂肪酸、飽和ヒドロキシ脂肪酸、又はイ
ソ酸からなる脂肪酸の群から選択されるものであり、こ
れらの単独であってもよくそして2種以上を組み合せた
ものであっても構わない。又、前記高級脂肪酸の塩類の
うちの「塩」としては、カリウム塩、ナトリウム塩等に
代表されるアルカリ金属塩、アンモニウム塩、あるいは
トリエタノールアミン塩などに代表される有機塩などで
ある。そして、前記高級脂肪酸の塩の含有量は、媒体組
成物の全体当り15〜40重量%である。但し、高級脂
肪酸塩の含有量は、高級脂肪酸塩の種類とその組み合せ
によってそれぞれ異なる特定の濃度範囲であり、一義的
に表すことはできない。
量によって実質的に決まる所定の温度範囲で半固状又は
固状となり、該所定の温度範囲以下にこれらを冷却する
とその流動性が増強され軟化、液状化するとともに水よ
りも温め難くかつ水よりも冷め難いところに特徴を有す
る新規な特性を具有する媒体組成物である。
み合せからなる代表的な好適な媒体組成物の固状温度に
関するデータを示すと表1の通りである。
ル酸カリウム」、「C10」とあるは「カプリン酸カリ
ウム」、「C12」とあるは「ラウリン酸カリウム」、
「C14」とあるは「ミリスチン酸カリウム」、「C1
6」とあるは「パルミチン酸カリウム」、そして「C1
8」とあるは「ステアリン酸カリウム」をそれぞれ指し
示している。
は、当該媒体組成物100グラム中に含有されている高
級脂肪酸のカリウム塩の重量、すなわち重量百分率で表
示されている。
温度のレーンに「16−36 及び0↓」とあるを例に
して説明すれば、「16−36」とあるは「No.1の
媒体組成物は、16℃から36℃の温度範囲内では固状
(半固状を含む)である」ことを意味しており、「0
↓」とあるは「No.1の媒体組成物は、表示されてい
ない0℃以下の所定温度においても液相から固相に相転
移する」ことを意味している。すなわち、別言すれば、
No.1の媒体組成物は、36℃以上では液相であり、
36〜16℃の温度範囲では固相(半固状を含む)であ
り、16℃から表には示さない0℃以下の所定の温度
(臨界温度)までの温度範囲内では液相であり、そし
て、前記0℃以下の温度(臨界温度)以下では固相であ
ることを指し示している。
度は、JIS K8001に記載の凝固点測定法に従っ
て測定した。
酸カリウム(C8)20重量%含有する蓄冷蓄熱媒体組
成物の相転移温度は少なくとも0℃以下であった。そし
て、少なくとも検討した60重量%未満のカプリル酸カ
リウム(C8)の相転移温度はいずれの場合においても
0℃以下であった。
に、カプリル酸カリウム20重量%を含有しかつパルミ
チン酸カリウム(C16)10重量%も含有する蓄冷蓄
熱媒体組成物は、36℃以上の温度雰囲気において液状
であり、36〜16℃の温度雰囲気で流動性が消失した
ゼリー状の半固状の形状を呈しており、また、16℃未
満で少なくとも0℃までの温度範囲内においては、従来
のようにその流動性が減弱されより硬くなるのとは逆
に、その流動性が増強されて液状に相転移することがわ
かる。
酸カリウム20重量%を含有しかつパルミチン酸カリウ
ムを5重量%未満も含有する媒体組成物は、0℃以下の
温度において相転移が認められるのみで常温付近での相
転移は観察できなかった。また、カプリル酸カリウム2
0重量%を含有しかつパルミチン酸カリウムを15重量
%以上も含有する媒体組成物は、少なくとも80℃以下
の温度では固体で、液状のものはなかった。
読み方はこれと同様であるので、この好適な実施例はそ
れぞれ詳細に説明しない。
有するとともに、不飽和高級脂肪酸のカリウム塩、ヒド
ロキシ高級脂肪酸のカリウム塩、若しくはイソ酸のカリ
ウム塩を含有する好適な媒体組成物の固状温度に関する
データを示すと表2の通りである。
リン酸カリウム」、「C12」とあるは「ラウリン酸カ
リウム」、「C16」とあるは「パルミチン酸カリウ
ム」、「C18」とあるは「ステアリン酸カリウム」、
「C181=」とあるは「オレイン酸カリウム」、そして
「C18OH」とあるは「ヒドロキシステアリン酸カリウ
ム」、「iC18」とあるは「イソステアリン酸カリウ
ム」をそれぞれ指し示している。
は、当該媒体組成物100グラム中に含有されている高
級脂肪酸のカリウム塩の重量、すなわち重量百分率で表
示されている。
は、前記と同様に、JIS K8001に記載の凝固点
測定法に従って測定した。
に示したように、カプリン酸カリウム15〜25重量%
(好適には20重量%)を含有しかつオレイン酸カリウ
ム5〜15重量%(好適には10重量%)も含有する媒
体組成物は、78℃以上では液状であり、78〜0℃の
温度範囲内においては半固状若しくは固状であり、0℃
以下に冷却すると液状であり、そして表記しない所定温
度(臨界温度)で固相に相転移する媒体組成物であっ
た。
に示したように、カプリン酸カリウム15〜25重量%
(好適には20重量%)と、パルミチン酸カリウム又は
ステアリン酸カリウムのいずれか一方を含有し、かつオ
レイン酸カリウムも含有する媒体組成物は、上記と同
様、表に示した所定の温度範囲内においては半固状若し
くは固状であり、少なくとも0℃では液状であった。
のデータに示したように、ラウリン酸カリウムと、パル
ミチン酸カリウム又はステアリン酸カリウムのいずれか
一方又はその両方を含有し、かつオレイン酸カリウムも
含有する媒体組成物は、上記と同様、表に示した所定の
温度範囲内においては半固状若しくは固状であり、少な
くとも0℃では液状であった。また、No.27の好適
な実施例のデータに示したように、ラウリン酸カリウム
を含有し、かつオレイン酸カリウムも含有する媒体組成
物も、上記と同様、53〜12℃の温度範囲内において
は半固状若しくは固状であり、少なくとも0℃では液状
であった。
リウム、カプリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ミ
リスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリ
ン酸カリウム、そしてアラキジン酸カリウムに代表され
る飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩のうちから選ばれた少な
くとも1種以上の直鎖飽和脂肪酸のカリウム塩と、前記
オレイン酸カリウムに代えてミリストオレイン酸カリウ
ム、パルミトオレイン酸カリウム、エライジン酸カリウ
ム、エイコセン酸カリウム、リノール酸カリウム、リノ
レン酸カリウム、エイコサジエン酸カリウム、エイコサ
トリエン酸カリウム、アラキドン酸カリウムなどに代表
される不飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩とが全体の15−
40重量%(好適には30重量%)の割合で含有されて
いる媒体組成物も、上記と同様に、室温付近で半固状若
しくは固状でありこれを冷却すると流動性が獲得若しく
は増強されて軟化、液状化する媒体組成物であることが
わかった。
たように、ラウリン酸カリウム20重量%とステアリン
酸カリウム5重量%とを含みかつイソステアリン酸カリ
ウムに代表されるイソ酸のカリウム塩5重量%も含む媒
体組成物も、上記と同様に、室温付近で半固状若しくは
固状でありこれを冷却すると流動性が獲得若しくは増強
されて軟化、液状化する媒体組成物であった。
ソステアリン酸カリウム以外にも、イソラウリン酸カリ
ウム、イソミリスチン酸カリウム、イソパルミチン酸カ
リウム、イソオレイン酸カリウム、イソアラキジン酸カ
リウム、9−メチルウンデカン酸カリウム、11−メチ
ルトリデカン酸カリウム、11−メチルペンタデカン酸
カリウム、又は15−メチルヘプタデカン酸カリウムな
どに代表されるイソ酸のカリウム塩を使用してもよく、
これらはいずれも、それぞれに含有された当該高級脂肪
酸の種類と含有割合により実質的に決まる70〜0℃の
所定温度範囲内で半固状若しくは固状であり、そして、
半固状若しくは固状の当該媒体組成物を前記所定温度以
下に冷却すると、速やかに液相に相転移するという特異
な感温特性を有する媒体組成物であった。
炭素数に関係なくいずれも使用できるが、そのうち特に
好ましいものは炭素数が8〜20の高級脂肪酸のカリウ
ム塩であり、かかる高級脂肪酸のカリウム塩としては、
カプリル酸カリウム、カプリン酸カリウム、ラウリン酸
カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウ
ム、ステアリン酸カリウム、アラキジン酸カリウムに代
表される飽和直鎖脂肪酸のカリウム塩、ミリストオレイ
ン酸カリウム、パルミトオレイン酸カリウム、オレイン
酸カリウム、エライジン酸カリウム、エイコセン酸カリ
ウム、リノール酸カリウム、リノレン酸カリウム、エイ
コサジエン酸カリウム、エイコサトリエン酸カリウム、
アラキドン酸カリウム等に代表される不飽和直鎖脂肪酸
のカリウム塩、ヒドロキシドデカン酸カリウム、ヒドロ
キシテトラデカン酸カリウム、ヒドロキシヘキサデカン
酸カリウム、ヒドロキシエイコ酸カリウム等に代表され
る飽和ヒドロキシ脂肪酸のカリウム塩、リシンオレイン
酸カリウム等に代表される不飽和ヒドロキシ脂肪酸のカ
リウム塩、イソラウリン酸カリウム、イソミリスチン酸
カリウム、イソパルミチン酸カリウム、イソステアリン
酸カリウム、イソアラキジン酸カリウム等に代表される
イソ酸のカリウム塩などがある。なお、9−メチルウン
デカン酸カリウム、11−メチルトリデカン酸カリウ
ム、11−メチルペンタデカン酸カリウム、15−メチ
ルヘプタデカン酸カリウム等に代表されるアンテイソ酸
のカリウム塩も使用することができるが、ここではイソ
酸のカリウム塩に分類するものとする。これら高級脂肪
酸のカリウム塩に代えてその一部を当該高級脂肪酸のナ
トリウム塩などのアルカリ金属塩、あるいはアンモニウ
ム塩、もしくはトリエタノ−ルアミン塩などに代表され
る有機塩などを使用してもよい。
てさらに詳細に説明するが、図は本発明の具体的な実施
例の一例を示したもので本発明の要旨を越えない限りこ
れら実施例により本発明が制限されるものではない。本
発明は図示例に限定されず、後述する記載の趣旨に沿っ
て一部を変更したり、あるいは一部の形状を変更しても
同様に実施することができる。
体組成物、およびラウリン酸カリウム20重量%とパル
ミチン酸カリウム11重量%を含有しかつ水も含有する
媒体組成物(CH6)の各500mlを、直径8.5c
mのトールビーカーに入れた後、それぞれトールビーカ
ーごと0℃に予冷却した。ついで、当該媒体組成物の中
心部の温度変化を経時的に測定するための温度計をセッ
トし、前記トールビーカーを5℃の恒温水槽に入れて、
静置した。比較例として水500mlを用いて同様に操
作した。その結果は図1に示した。
の固相・液相間の相転移温度は、48℃、8℃および表
示しない0℃以下の所定温度の3箇所である。
加温とともに経時的に温度の上昇が認められ、約25分
後には外側と同じ5℃となったのに対して、No.8の
媒体組成物は、水の場合と同様に加温にともない経時的
に温度が上昇するカーブを認めたが、外側の温度(5
℃)と平衡になるまでに要した時間は約45分であり、
水の場合より明らかに温め難いことがわかった。
組成物と同様の温度上昇カーブを示したが、外側の温度
(5℃)と平衡になるまでに要した時間は約55分であ
り、No.8の媒体組成物よりもさらに温め難いことが
わかった。
が4℃となるまでに約45分要し、この間、経時的に温
度が上昇するカーブを示したが、しかし、45分から6
0分までの15分間はその温度が4℃でほぼ一定してい
た。そして、外側の温度(5℃)と平衡になるまでには
約65分間必要であることがわかった。
はいずれも水よりも温め難い見かけの比熱が1以上の組
成物であることが明らかとなった。さらに、No.3の
媒体組成物は、固相・液相間の臨海温度(5℃)付近
で、外部からの熱エネルギーを潜熱として蓄積すること
ができるということがわかる。
組成物、およびラウリン酸カリウム20重量%とパルミ
チン酸カリウム11重量%を含有しかつ水も含有する媒
体組成物(CH6)のそれぞれ500mlを、直径8.
5cmのトールビーカーに入れた後、それぞれトールビ
ーカーごと60℃に予加温した。ついで、前記トールビ
ーカーを40℃の恒温水槽に入れ、上記と同様に操作し
て当該媒体組成物の中心部の温度変化を経時的に測定し
た。その結果は図2に示した。
冷却とともに経時的な温度の降下が認められ約30分後
に外側と同じ40℃となったのに対して、媒体組成物
(CH6)は、水の場合と同様に約15分までは経時的
に温度が降下するカーブを認めたが、15〜35分まで
の20分間は温度変化を認めず42℃で一定であり、最
終的には45分かかって外側と同じ40℃に冷却され、
平衡になることがわかった。すなわち、15〜35分ま
での20分間は、外部からの熱エネルギーを潜熱として
放出することがわかる。
までの20分間は温度変化が認められずに50℃付近で
一定であり、最終的には80分かかって外側と同じ40
℃に冷却され、平衡となることがわかった。
に経時的な温度降下カーブを示したが、外側の温度(4
0℃)と平衡になるまでに要した時間は約90分であ
り、水よりも明らかに冷め難いことがわかった。
はいずれも水よりも冷め難い見かけの比熱が1以上の組
成物であるということが明らかとなり、さらに、48℃
で固相・液相間の相転移する媒体組成物(CH6)、及
び64℃で固相・液相間の相転移するNo.8の媒体組
成物は、いずれも固相・液相間の当該臨海温度付近で、
媒体組成物の内部に蓄熱した熱エネルギー(潜熱)を放
出するので、この間、当該媒体組成物の温度は変化しな
いことがわかった。
示す平面図であり、図4は図3のA−A断面図である。
図に示すように、実施例1の温冷湿布具10は、柔軟な
ポリ塩化ビニールで構成されるシート状布状体が融着さ
れて複数の小袋体11を形成し、各小袋体11内に上述
したNo.14の媒体組成物12をそれぞれ収容してな
る大きさ36cmx29cmの温冷湿布具である。但
し、前記袋体11の周縁の貼り合わせ方法を限定するも
のではないが、使用する材料と組成とに応じて、例え
ば、接着、圧着、溶着、融着などの手段を適宜選択して
よい。また、この実施例は、シートの素材にポリ塩化ビ
ニールを用いているが、温冷湿布具を装着したときに身
体に密着するものでありかつ基本的には水が漏れない弾
力性のあるものであればよく、他の素材として柔軟なポ
リエチレンやポリプロピレン等の公知のシート素材を例
示できる。
り外れないようにするために、前記袋体の左右端部に身
体に固定するためのいわゆる雄・雌の係止部を有する面
ファスナーで構成される複数対のベルト13が設けられ
ている。なお、複数対のベルト13に代えて、ゴム紐、
スライドファスナー、ボタン及びフック等の係止具を使
用してもよい。
たものが示されているが、矩形、円形、楕円形等であっ
てもよく、要は適用する場所に最も適応する形状に形成
することが好ましく、その大きさも任意であり例えば大
人用、子供用とすることができる。
容し、この膨潤剤に前記媒体組成物を吸着含浸する構成
であってもよい。この膨潤剤としては、例えば、ベント
ナイト、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、デン
プン・アクリル酸塩グラフト共重合体架橋物、架橋ポリ
アクリル酸塩等をあげることができ、これらの1種又は
2種以上の混合物であってもよい。
方法を説明する。この温冷湿布具10を温湿布具として
使用する場合には好ましくは60℃以上の熱湯内に温冷
湿布具を浸漬して間接的に加温するだけですぐに使用す
ることができ、冷湿布具として使用する場合には冷蔵庫
内若しくは冷凍庫(フリーザー)内に収容して冷却する
だけですぐに使用できる。
なくとも−15℃〜16℃の温度範囲で液状であり、1
6〜56℃の温度範囲で固状(ゲル状の半固体)であ
り、56℃〜100℃の温度範囲で液状である。したが
って、60℃以上の熱湯内に浸漬した媒体組成物12は
液状になるから、温湿布具10自体は柔軟性を有するフ
レキシブルな形状となり、適用部位にその全体を面接触
させることができるゆえ、温湿布具としての温湿布効果
を効率的に得ることができる。又、冷蔵庫内若しくは冷
凍庫(フリザー)に収容して16℃以下に冷却した媒体
組成物も液状になるから、柔軟性を有するフレキシブル
な形状となり、適用部位にその全体を面接触させること
ができるゆえ、冷湿布具としての冷湿布効果を効率的に
得ることができる。
の半固体)となった時の体積変化は1〜2%増加する程
度であるから、液状から固状(ゲル状の半固体)に相変
化する際の体積変化はほとんど無視できる程度であっ
た。
ステにおいて冷パック用具として、又、温パック用具と
して使用するためのものであり、次のように構成されて
いる。
形状の平枕状の袋体21に形成されており、目と口が位
置する部分の袋体21に孔22が穿設されており鼻孔が
位置する部分の袋体21には呼吸を容易とするための孔
が設けられており、前記平枕状の袋体21の内部には、
10g当り前記No.14の媒体組成物12が約30g
の割合で含浸させた10層のシート状の不織布からなる
保水体が密封状態に収容されている。そして、顔面を覆
った状態を図5に斜視図で示すように、目と口と鼻を除
く顔面の全体に密着状態で覆うように装着することがで
きる形状に一体形成されている。
同様に、温湿布具として使用する場合にはこの温冷湿布
具を好ましくは60℃以上の熱湯内に浸漬して媒体組成
物を加温するだけですぐに使用でき、冷湿布具として使
用する場合にはこの温冷湿布具を冷蔵庫若しくは冷凍庫
(フリーザー)内に収容して媒体組成物を冷却するだけ
ですぐに使用でき、特には、冷蔵庫内若しくは冷凍庫
(フリーザー)で冷却された媒体組成物は、従来のこの
種のものとは異なり液状となるから、顔面全体にこれを
面接触させることができ、効率的な冷パック効果を得る
ことができる。
として不溶性加工された紙(不織布)を用いているが、
媒体組成物の十分量を保持できる素材であれば紙(不織
布)以外のものでもよく、他の素材としてはポリエチレ
ン等の合成樹脂からなる可撓性不織布、スポンジ又は綿
布、ガーゼに代表される織布などを例示できる。また、
この実施例は、シートの素材にポリ塩化ビニールを用い
ているが、シート素材としては、温冷湿布具を装着した
ときに顔面に密着させることができかつ基本的には水が
漏れない弾力性のあるものであればよく、このような他
の素材としては柔軟なポリエチレン等のシート素材を例
示できる。さらに、10層のシート状不織布のうちの一
部を前記他の保水体で構成してもよい。
て、温冷湿布具の身体(顔面)に接する面側を例えば絹
繊維の編織布地で構成し、他側に絹若しくは他の適当な
繊維の編織布或いはシート材で構成した袋体(カバー
体)を形成し、その内部に当該温冷湿布具を収容するよ
うにすると、使用時の肌触りがよいのみならず各自専用
の袋体(カバー体)を準備することができるとともに洗
濯をして常に清潔な状態で使用できるから、衛生管理上
極めて好適である。
して利用すると頭寒効果が得られ、足温具として利用す
ると足熱効果が得られるなどその用途は多様であり、さ
らにペット動物や家畜、競争馬などのヒト以外の動物に
対する温湿布具或いは冷湿布具としても使用でき、その
用途は多方面的である。
が当該媒体組成物のそれぞれによって定まる所定の温度
範囲内で半固状又は固状であり、該所定の温度範囲以下
に冷却すると軟化、液状化して流動性が増強されるとい
う特異な特性を具有するので、従来の温湿布又は冷湿布
の奏する作用効果に加えて特につぎの優れた作用効果を
奏する。
来の高級脂肪酸の塩類を有効成分としているので、自然
界に放置すると加水分解や土壌中の微生物などによる生
分解等によって完全に分解されるから、環境破壊などの
原因となることがなくしかも安全性に優れている。
体組成物は水より温め難く冷め難いので、顕熱を利用し
た温湿布及び冷湿布として作用するとともに、従来の熱
媒体とは異なり、少なくとも2箇所で固相・液相間の相
転移が起きかつ各臨界温度において外部からの熱エネル
ギーを潜熱として蓄積又は放出することができるので、
潜熱を利用した温湿布及び冷湿布として作用する。すな
わち、本発明の温冷湿布具は、顕熱と潜熱の両方を利用
することが可能であるから極めて効率的な温冷湿布具を
提供できる。
具の両方を予め準備しておきこれを使い分けながら温湿
布又は冷湿布するという不便がなく、利便性に優れる。
熱媒体組成物を予冷した後、恒温雰囲気に静置して加温
した時の当該蓄冷蓄熱媒体組成物の経時的温度変化を示
す代表的なグラフである。
熱媒体組成物を予加温した後、恒温雰囲気に静置して冷
却した時の当該蓄冷蓄熱媒体組成物の経時的温度変化を
示す代表的なグラフである。
面図である。
−A断面図である。
面を覆った状態をしめす斜視図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 炭素数8〜20の高級脂肪酸のカリウム
塩から選ばれたいずれか1種又はこれらの2種以上の混
合物がその主成分として全体の15〜40重量%の割合
で含有され且つ水も含有する媒体組成物を封入してなる
温冷湿布具であって、 前記媒体組成物は、前記高級脂肪酸のカリウム塩の種類
とその含有量によって実質的に決まる所定の温度範囲で
半固状又は固状でありこの所定の温度範囲以下に冷却さ
れると液状化することを特徴とする温冷湿布具。 - 【請求項2】 炭素数8〜20の高級脂肪酸のカリウム
塩から選ばれたいずれか1種又はこれらの2種以上の混
合物を主成分がその全体の15〜40重量%の割合で含
有され且つ水も含有する媒体組成物を吸着含浸させてな
る保水体を含み構成された温冷湿布具であって、前記媒体組成物は、前記高級脂肪酸のカリウム塩の種類
とその含有量によって実質的に決まる所定の温度範囲で
半固状又は固状でありこの所定の温度範囲以下に冷却さ
れると液状化することを特徴とする温冷湿布具。 - 【請求項3】 前記温冷湿布具において、 前記高級脂肪酸は、飽和直鎖脂肪酸、不飽和直鎖脂肪
酸、飽和ヒドロキシ脂肪酸、又はイソ酸のうちのいずれ
か1に属することを特徴とする請求項1又は2に記載の
温冷湿布具。 - 【請求項4】 前記温冷湿布具において、 前記高級脂肪酸は、飽和直鎖脂肪酸、不飽和直鎖脂肪
酸、飽和ヒドロキシ脂肪酸、又はイソ酸のうちの少なく
とも2以上に属する脂肪酸が組合せされていることを特
徴とする請求項1又は2に記載の温冷湿布具。 - 【請求項5】 前記温冷湿布具において、 前記媒体組成物に含まれる高級脂肪酸のカリウム塩の一
部が、当該高級脂肪酸のナトリウム塩、アンモニウム
塩、又はトリエタノールアミンのいずれかで置き換えら
れていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
載の温冷湿布具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09220696A JP3282069B2 (ja) | 1996-04-15 | 1996-04-15 | 温冷湿布具 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09220696A JP3282069B2 (ja) | 1996-04-15 | 1996-04-15 | 温冷湿布具 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09276316A JPH09276316A (ja) | 1997-10-28 |
JP3282069B2 true JP3282069B2 (ja) | 2002-05-13 |
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ID=14047980
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09220696A Expired - Fee Related JP3282069B2 (ja) | 1996-04-15 | 1996-04-15 | 温冷湿布具 |
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JP (1) | JP3282069B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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---|---|---|---|---|
WO2004065515A1 (ja) * | 2003-01-23 | 2004-08-05 | Mitsubishi Chemical Corporation | 熱利用材料、及びその応用 |
JP5117561B2 (ja) * | 2010-11-09 | 2013-01-16 | 株式会社 資生堂 | 温熱マスク |
JP4981960B2 (ja) * | 2010-11-22 | 2012-07-25 | 株式会社 資生堂 | 温熱マスク装置 |
-
1996
- 1996-04-15 JP JP09220696A patent/JP3282069B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09276316A (ja) | 1997-10-28 |
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