JP3281896B2 - 装飾部材 - Google Patents

装飾部材

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JP3281896B2
JP3281896B2 JP05528293A JP5528293A JP3281896B2 JP 3281896 B2 JP3281896 B2 JP 3281896B2 JP 05528293 A JP05528293 A JP 05528293A JP 5528293 A JP5528293 A JP 5528293A JP 3281896 B2 JP3281896 B2 JP 3281896B2
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芳雄 金城
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松本 洋介
株式会社ナウケミカル
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は装飾部材に関し、更に詳
しくは、直接肌に接触しても、遊離Niや遊離Coの影
響と考えられている肌のかぶれなどを起こすことのない
装飾部材に関する。
【0002】
【従来の技術】腕時計のケース枠,裏ぶた,バンドなど
の時計外装部品や眼鏡フレーム、また、ネックレス,ブ
レスレット,ピアス,指輪,イヤリングなどの装身具
は、いずれも、直接、肌と接触して着用される装飾部材
であり、従来から、それらの多くは金色光沢の色調を備
えている。
【0003】これらの金色装飾部材を、工業的に製造す
る場合には、通常、電気めっき法が適用されている。そ
の1例を以下に説明する。すなわち、まず、黄銅,洋
白,ステンレス鋼などの導電性素材を加工して所定形状
の基材が準備される。ついで、この基材の表面にNiめ
っきを施して、厚みが3〜5μm程度のNiの下地層が
形成される。このNiめっき層は、基材表面に露出する
ピンホール,巣,キズなどの組織欠陥を隠蔽し、また、
この上に形成されるべきAuめっき層と基材との耐食性
を高めるために設けられるものである。
【0004】そして、このNiめっき層の上に、電気め
っきによって、厚み1.0〜20μm程度の18〜24カ
ラットAu合金層が基部めっき層として電着形成され
る。電着されるAu合金としては、通常、Au−Ag,
Au−Cu−Cd,Au−Pd,Au−Zn,Au−S
n,Au−Co−In,Au−Ni−Inより成る合金
組成が採用されている。
【0005】この18カラットAu合金層は金色光沢を
備えている。しかし、この合金層は経時的に変色するの
で、最後に、このAu合金層の上に、同じく電気めっき
によって、厚み1.0〜20μm程度の22〜23カラッ
トAu合金層が調色層として電着形成される。この調色
層の形成に用いられるAu合金としては、通常、Au−
Ni−Inより成る合金組成が採用されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、工業的に
製造されている金色装飾部材のほとんどは、金色の光沢
部が上記したようなAu合金で形成されている。しかし
ながら、ここ数年、これら金色装飾部材を着用する人
々、とりわけ女性の間では、金色装飾部材と直接振れる
肌にかぶれや湿疹などが発生している。
【0007】この現象は、金色光沢のAu合金めっき層
に含有されているNiやCoなどの重金属が汗などの体
液によって遊離金属として溶出しこれが肌に接触し、そ
のことに伴う金属アレルギーであると考えられている。
このようなことから、例えば、英国環境庁においては、
1989年に、Niを含有する合金の部材またはNiを
含有する材料で被覆された部材であって、しかも皮膚と
直接接触して使用される部材については、許容値以上の
遊離Niが検出される製品の販売を禁止する行政令が施
行されている。
【0008】そして、この動きは、欧州共同体(EC)
加盟の国々にも波及し、一部の国々では遊離Niの規制
に関する法制化が開始され、しかも、ECとしても、貴
金属規格の欧州統一をはかる実務グループが組織され、
既に活動に入っているという現状にある。このように、
金色装飾部材の分野においては、NiやCoなどの使用
が制限せざるを得ないという状況にある。
【0009】一方、身体に直接着用する金色装飾部材の
場合、これら部材は身体の動きに応じて皮膚と頻繁にこ
すれるので、表面のAu合金めっき層は可成り耐摩耗性
が良好であることが好ましいことになる。このようなA
u合金めっきとしては、Au−Ni合金が好適であると
いうことが知られている。しかしながら、Au−Ni合
金は、前記したように、肌の金属アレルギーを引き起こ
す傾向が強いという問題がある。
【0010】本発明は、従来の金色装飾部材における上
記した問題を解決し、金色光沢を有し、しかもその経時
的劣化はなく、耐摩耗性も良好で、かつ、遊離Niや遊
離Coなどを全く発生することがないので、肌の金属ア
レルギーを引き起こす心配がない新規な装飾部材の提供
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、導電性表面を有する基材の
前記表面に、Ptが0.001〜30重量%,残部が実質
的にAuから成るAu−Pt合金層が電着形成されてい
ることを特徴とする装飾部材が提供される。本発明の装
飾部材は、基材の表面が後述するAu−Pt合金のめっ
き層で被覆されている。
【0012】基材としては、その表面が導電性を備え、
そこに電気めっきが行えるものであれば何であってもよ
く、例えば、従来から金色装飾部材の基材として用いら
れている黄銅,洋白,ステンレス鋼などの金属材料を最
も一般的なものとしてあげることができる。また、例え
ば、各種のプラスチック材やセラミックスなどの表面に
公知の無電解めっきによって導電性の金属薄層を電着形
成したものであってもよい。
【0013】この基材の表面には、直接、Pt:0.00
1〜30重量%,残部が実質的にAuから成る組成のA
u−Pt合金層が電着形成される。ここで、Au−Pt
合金層におけるPtの含有量を上記範囲に設定するのは
以下の理由に基づく。Ptの含有量が0.001重量%よ
り少ない場合には、電着形成されためっき層は金色を呈
するとはいえ、いまだ鏡面光沢を備えるものとならず、
そのため、充分な装飾効果を発揮するとはいえないから
である。また、Pt含有量が少なすぎると、光沢効果が
なくなり、まためっき層の硬度は低くなり、そのため耐
摩耗性に難点が生ずるからである。このような理由から
Ptの含有量は0.001重量%以上と設定される。
【0014】しかし、あまり多く含有されていると、め
っき層は全体として白黄色になり金色の鏡面光沢に基づ
く装飾効果の減退が認められるようになり、しかも、用
いるめっき浴の調製が困難になると同時にめっきの厚づ
けが困難になるので、Pt含有量の上限は30重量%に
する。Au−Pt合金めっき層としては、Pt:0.00
1〜30重量%,残部がAuから成る合金組成であるこ
とが好ましい。
【0015】なお、このAu−Pt合金めっき層の厚み
は0.1〜20μm程度であることが好ましい。このAu
−Pt合金めっき層は次のようにして電着形成される。
まず、めっき浴が建浴される。Au源としては、例え
ば、KAu(CN)2,KAu(CN)4をあげることがで
き、Pt源としては、例えば、K2 Pt(OH)6,(N
4)2 Pt(NO2)4 ,(NH4)2 Pt(NO2)6 ,K
2 PtCl4 ,K 2 PtCl6 ,K2 Pt(NO2)4
2 Pt(NO2)6 ,K2 PtSO4 ・(NO2)4 ,K
2 PtSO4 ・(NO2)2 ,H2 PtCl4 ,H2 PT
Cl6 をあげることができる。このとき、Au源,Pt
源の濃度は、電着形成すべきAu−Pt合金めっき層に
おける合金組成に対応するように選定される。
【0016】めっき浴には、更に、クエン酸,クエン酸
ソーダ,スルファミン酸,リンゴ酸,酢酸,酒石酸のよ
うな有機酸,または、硫酸,塩酸のような無機酸が配合
される。このめっき浴に前記した基材を浸漬してこれを
陰極とし、陽極として、例えば、PtめっきTi板,R
hめっきTi板またはPt板のような不溶性電極を配置
して電気めっきを所定の時間行う。
【0017】このとき、めっき浴のpHは4.0〜7.0,
浴温は20〜60℃とし、電流密度は0.3〜3A/dm2
設定することが好ましい。
【0018】
【実施例】
実施例1 Au10g/l,Pt0.3g/l,クエン酸100g/
l,クエン酸ソーダ50g/l,から成り、pH4.0の
めっき浴を建浴した。ここに、酸洗,アルカリ脱脂,水
洗を施した黄銅板(縦50mm,横20mm,厚み0.5mm)
を浸漬して陰極とし、対極にPt極を配置して、浴温4
0℃,電流密度1.0A/dm2 で30分間電気めっきを行っ
た。
【0019】黄銅板の表面には、平均で厚み7.2μmの
めっき層が電着形成された。このめっき層は、22カラ
ットの色調で鏡面光沢を備え、また、その硬度はHvで
132であった。ついで、塩化ナトリウム4.0g/l,
尿素1.0g/l,塩化アンモニウム3.5g/l,乳酸
(90%)3.5ml/l,酢酸(90%)0.5ml/l,焦
性ブドウ酸0.5ml/lから成り、炭酸ナトリウムでpH
4に調整した人工汗を調製した。
【0020】この人工汗をしみ込ませた吸取り紙の上に
上記めっき板を置き、温度35℃で6日間放置した。つ
いで、吸取り紙を、10%のアンモニウムハイドロ酸化
物溶液と、1%ジメチルグリオキシムのエチルアルコー
ル溶液で順次洗浄し、吸取り紙の色変化を調べた。
【0021】吸取り紙は全く変色せず、遊離Niは存在
しないことが確認された。 比較例 実施例1で用いた黄銅板に、常法によって、平均厚み5.
3μmのNiめっき層を形成した。ついで、この黄銅板
を、Au10g/l,Pt3g/l,クエン酸50g/
l,クエン酸ソーダ100g/l,から成り、pH6.2
のめっき浴に浸漬し、浴温30℃,電流密度1.0A/dm2
で電気めっきを行い、Au−Ptから成り、厚み10μ
mの18カラットAu合金層を形成した。
【0022】更に、Au10g/l,Pt0.2g/l,
In0.2g/l,クエン酸100g/l,から成り、p
H5.8のめっき浴に試片を浸漬し、浴温25℃,電流密
度1.0A/dm2 で30分間電気めっきを行い、Au−Pt
−Inから成り、厚み6.7μmの22カラットAu合金
層を形成した。この試片につき、実施例1と同様にして
遊離Niの検出試験を行ったところ、吸取り紙は赤色に
変色した。
【0023】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
装飾部材は、金色の鏡面光沢を有するAu−Pt合金層
で被覆され、遊離Niや遊離Coなどを発生することが
ないので、直接、肌に振れても金属アレルギーを引き起
こすことがない。したがって、時計の外装部品,眼鏡フ
レーム,各種の装身具など、金色光沢が要求され、か
つ、直接肌に接触して使用される部材として有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 3/62 A44C 27/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性表面を有する基材の前記表面に、
    Ptが0.001〜30重量%,残部が実質的にAuから
    成るAu−Pt合金層が電着形成されていることを特徴
    とする装飾部材。
  2. 【請求項2】 前記装飾部材が、時計の外装部品,眼鏡
    フレームまたは装身具である請求項1の装飾部材。
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