JP3278626B2 - 画像消去装置および画像消去方法 - Google Patents

画像消去装置および画像消去方法

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JP3278626B2
JP3278626B2 JP01625299A JP1625299A JP3278626B2 JP 3278626 B2 JP3278626 B2 JP 3278626B2 JP 01625299 A JP01625299 A JP 01625299A JP 1625299 A JP1625299 A JP 1625299A JP 3278626 B2 JP3278626 B2 JP 3278626B2
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暁 高山
茂 町田
健二 佐野
純一 多賀
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消去可能な画像形
成材料を用いて記録媒体たとえば紙上に形成された画像
を消去する装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、OA化の普及により、各種情報の
データ量は拡大の一途をたどり、情報の出力もそれに合
わせて増加している。情報の出力は、ディスプレイ出
力、およびプリンターによる紙へのハードコピー出力に
代表される。しかし、ディスプレイ出力では、表示部に
大規模な回路基板が必要であるため、携帯性およびコス
トの観点から問題がある。また、ハードコピー出力で
は、情報が増加すると記録媒体としての紙を大量に使用
することになるので、資源保護の点で問題がある。しか
も、プリンターや複写機によって印刷された紙を再生す
るには、多量の漂白剤と水を必要とするため再生コスト
も高くなる。そこで、消去可能な画像形成材料を用いて
紙に情報を印刷し、この形成された画像を消去して白紙
状態に戻した紙を再使用(リユース)することにより実
質的な紙の使用量を減らすことが考えられている。
【0003】従来、熱を加えることにより消去可能な画
像形成材料は、例えば特開平7−81236号に開示さ
れている。この画像形成材料は、ロイコ染料などの呈色
性化合物と、顕色剤と、消去作用を有する有機リン酸化
合物とを含有するものである。
【0004】しかし、このような成分からなる画像形成
材料を用いた場合、消去が不十分で紙を白紙状態に戻す
ことが困難である。このため、消去可能な画像形成材料
は未だ実用化されていない。
【0005】また、画像形成材料を消色した状態で、残
留している画像形成材料の表面からの反射をなくし、肉
眼で元の画像がわからないようにすることが好ましい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、消去
可能な画像形成材料を用いて形成された画像を消色し、
かつ残留している画像形成材料を肉眼では判別できない
ようにする画像消去装置および画像消去方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の画像消去装置
は、呈色性化合物、顕色剤および消去剤を含有し記録媒
体上で発色した画像形成材料を消去剤の融点より高い温
度に加熱して画像を消去する手段と、記録媒体上に残留
している画像形成材料の表面を荒らす手段とを具備して
いる。
【0008】本発明の画像消去方法は、呈色性化合物、
顕色剤、消去剤およびバインダー樹脂を含有し記録媒体
上で発色した画像形成材料を、消去剤の融点より高い温
度に加熱して画像を消去した後、記録媒体上に残留して
いる画像形成材料の表面を荒らすものである。
【0009】本発明の他の画像消去装置は、呈色性化合
物、顕色剤および消去剤を含有し記録媒体上で発色した
画像形成材料を消去剤を含有する溶媒に接触させる手段
と、記録媒体から溶媒を除去する手段とを具備したこと
を特徴とする。この画像消去装置においては、記録媒体
上で発色した画像形成材料を溶媒に接触させる手段の前
段に、記録媒体上で発色した画像形成材料を加熱する手
段を設けてもよい。
【0010】
【0011】本発明の他の画像消去方法は、呈色性化合
物、顕色剤、消去剤およびバインダーを含有する画像形
成材料で形成された画像を消去するにあたり、画像形成
材料を加熱した後、画像形成材料を溶媒に接触させるこ
とを特徴とする。
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0014】本発明に係る画像形成材料は、呈色性化合
物と顕色剤と消去剤とを用いることにより画像の形成・
消去が可能になっている。まず、この消去可能な画像形
成材料を構成する基本的な成分の作用について概略的に
説明する。呈色性化合物とは文字や図形などの発色画像
を形成する色素の前駆体化合物であり、顕色剤とは呈色
性化合物との相互作用(主に電子またはプロトンの授
受)により呈色性化合物を発色させる化合物である。ま
た、消去剤は、顕色剤および呈色性化合物のうち一方に
対して優先的に相溶性を示す化合物である。
【0015】これらの成分からなる画像形成材料の組成
系は、固化したときに以下に示す2つの状態を取り得
る。すなわち、(1)消去剤が平衡溶解度に相当するだ
けの量の呈色性化合物および顕色剤と混合し、消去剤へ
の平衡溶解度を超える余剰の呈色性化合物および顕色剤
が消去剤と相分離して、呈色性化合物と顕色剤とが相互
作用により発色した状態、および(2)消去剤が顕色剤
または呈色性化合物を平衡溶解度を超えて多量に取り込
み、呈色性化合物と顕色剤との相互作用が減少して消色
した状態、である。
【0016】この発色状態と消色状態との間の状態変化
は以下のような原理でなされる。ここでは、組成系が溶
融して流動状態にあるときに、消去剤が顕色剤を優先的
に溶解すると想定して説明する。室温においては、呈色
性化合物および顕色剤の相と消去剤の相とが相分離した
状態が平衡状態に近い。この場合、呈色性化合物と顕色
剤とが互いに相互作用して発色状態になっている。この
状態から、組成系を融点以上に加熱すると、顕色剤が流
動状態の消去剤に優先的に溶解し、呈色性化合物との相
互作用を失うため消色状態になる。溶融状態にある組成
系を冷却することによって強制的に固化すると、消去剤
は平衡溶解度を越えた量の顕色剤を取り込んで非晶質化
し、室温で無色になる。非晶質の組成系は、相対的には
非平衡な状態にあるが、ガラス転移点Tg以下の温度で
は十分長寿命であり、Tgが室温以上であるならば非晶
質状態から容易に平衡状態に移ることはない。
【0017】次に、本発明の画像形成材料の成分として
用いることができる具体的な化合物について説明する。
【0018】本発明で用いられる呈色性化合物として
は、ロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、ポリ
アリールカルビノール類、アシルオーラミン類、アリー
ルオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン
類、スピロピラン類、フルオラン類などの電子供与性有
機物が挙げられる。
【0019】具体的な呈色性化合物として、クリスタル
バイオレットラクトン(CVL)、マラカイトグリーン
ラクトン、2−アニリノ−6−(N−シクロヘキシル−
N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−アニ
リノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−プロピルア
ミノ)フルオラン、3−[4−(4−フェニルアミノフ
ェニル)アミノフェニル]アミノ−6−メチル−7−ク
ロロフルオラン、2−アニリノ−6−(N−メチル−N
−イソブチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−ア
ニリノ−6−(ジブチルアミノ)−3−メチルフルオラ
ン、3−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)フルオ
ラン、2−クロロ−6−(ジエチルアミノ)フルオラ
ン、7−(N,N−ジベンジルアミノ)−3−(N,N
−ジエチルアミノ)フルオラン、3,6−ビス(ジエチ
ルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロアニリノ)
ラクタム、3−ジエチルアミノベンゾ[a]−フルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アミノフル
オラン、3−ジエチルアミノ−7−キシリジノフルオラ
ン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニ
ル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−
イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ
フェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール
−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロ
ロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−
ベンゾフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2
−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ジ
メチルエトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−
メトキシ−7−アミノフルオラン、DEPM、ATP、
ETAC、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチル
アミノフルオラン、クリスタルバイオレットカルビノー
ル、マラカイトグリーンカルビノール、N−(2,3−
ジクロロフェニル)ロイコオーラミン、N−ベンゾイル
オーラミン、ローダミンBラクタム、N−アセチルオー
ラミン、N−フェニルオーラミン、2−(フェニルイミ
ノエタンジリデン)−3,3−ジメチルインドリン、
N,3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラ
ン、8’−メトキシ−N,3,3−トリメチルインドリ
ノベンゾスピロピラン、3−ジエチルアミノ−6−メチ
ル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−
メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−ベンジ
ルオキシフルオラン、1,2−ベンゾ−6−ジエチルア
ミノフルオラン、3,6−ジ−p−トルイジノ−4,5
−ジメチルフルオラン、フェニルヒドラジド−γ−ラク
タム、3−アミノ−5−メチルフルオランなどが挙げら
れる。これらは単独で、または2種以上を混合して用い
ることができる。呈色性化合物を適宜選択すれば多様な
色の発色状態が得られることから、マルチカラー対応が
可能である。
【0020】本発明で用いられる顕色剤としては、フェ
ノール、フェノール金属塩、カルボン酸金属塩、ベンゾ
フェノン、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸、リン酸
金属塩、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属
塩、亜リン酸、亜リン酸金属塩などの酸性化合物が挙げ
られる。これらは単独で、または2種以上を混合して用
いることができる。
【0021】本発明で用いられる消去剤は、非晶質状態
にあるときに無色性が良好であることが望ましい。消去
剤が非晶質状態で無色透明であるほど、インクの色を消
去した時に紙を元の白紙に近い状態に戻すことができ
る。このような性質が要求されるので、消去剤は、分子
量が大きく、かつ重量当りの結晶融解エンタルピー変化
ΔHが小さく、最大結晶成長速度MCVの小さい化合物
であることが好ましい。消去剤の結晶の融解エンタルピ
ー変化ΔHが小さいと、その結晶の融解に要する熱エネ
ルギー量が少量となるので、省エネルギーの点でも好ま
しい。なお、消去剤の融点は50℃以上であることが好
ましい。また、消去剤は顕色剤との親和性が高いことが
好ましく、例えばアルコール性ヒドロキシル基を有する
化合物が好適である。好ましい消去剤としては以下の
(a)〜(c)のような化合物が挙げられる。
【0022】(a)ステロール化合物。ステロール化合
物の具体例としては、コレステロール、スチグマステロ
ール、プレグネノロン、メチルアンドロステンジオー
ル、エストラジオール ベンゾエート、エピアンドロス
テン、ステノロン、β−シトステロール、プレグネノロ
ン アセテート、β−コレスタロール、5,16−プレ
グナジエン−3β−オール−20−オン、5α−プレグ
ネン−3β−オール−20−オン、5−プレグネン−3
β,17−ジオール−20−オン 21−アセテート、
5−プレグネン−3β,17−ジオール−20−オン
17−アセテート、5−プレグネン−3β,21−ジオ
ール−20−オン 21−アセテート、5−プレグネン
−3β,17−ジオール ジアセテート、ロコゲニン、
チゴゲニン、エスミラゲニン、ヘコゲニン、ジオスゲニ
ンおよびその誘導体が挙げられる。これらの消去剤は単
独で、または2種以上を混合して用いることができる。
これらの消去剤のうち、安定な消去状態を得るのに好適
なものとして、メチルアンドロステンジオール、ヘコゲ
ニン、ロコゲニン、チゴゲニン、ジオスゲニン、エスミ
ラゲニンなどが挙げられる。
【0023】なお、これらの消去剤を用いた場合、非晶
質状態にある組成系をガラス転移点を超える温度まで加
熱すると、顕色剤の拡散速度が急激に高まり、平衡状態
へ戻る方向に顕色剤と消去剤との相分離運動が加速され
る。そして、組成系を結晶化温度以上融点未満の温度に
加熱した後に室温まで徐冷すると、より平衡状態に近く
安定な相分離状態となり発色状態に戻る。したがって、
(a)の消去剤を用いた組成系は、原理的には発色状態
と消色状態とを可逆的に繰り返すことができる。この意
味で、以下においては(a)の消去剤を、「可逆性消去
剤」と呼ぶことがある。実際に、このような可逆的な変
化を利用したリライタブル記録媒体が提案されている。
しかし、本発明の画像形成材料は、画像が形成された後
に消去することを目的としており、特殊な用途を除き、
本質的に可逆性は要求されない。
【0024】(b)コール酸、リトコール酸、テストス
テロンおよびコルチゾン、ならびにこれらの誘導体。具
体例としては、コール酸、コール酸メチルエステル、コ
ール酸ナトリウム、リトコール酸、リトコール酸メチル
エステル、リトコール酸ナトリウム、ヒオデオキシコー
ル酸、ヒオデオキシコール酸メチルエステル、テストス
テロン、メチルテストステロン、11α−ヒドロキシメ
チルテストステロン、ヒドロコルチゾン、コレステロー
ルメチルカーボネート、α−コレスタノールが挙げられ
る。これらのうちでも特に2個以上のヒドロキシル基を
有するものが好ましい。
【0025】(b)の消去剤は、(a)の消去剤と比べ
て、溶融時に顕色剤との親和性が強く相溶性が非常に高
い。しかも、(b)の消去剤は非晶質性が高いため、組
成系が固化した後にも相分離を起こしにくい。この意味
で、以下においては(b)の消去剤を、「相溶性消去
剤」と呼ぶことがある。したがって、(b)の消去剤を
用いた組成系では、より安定な消色状態を得ることがで
きる。
【0026】(c)1個以上のヒドロキシル基を有する
5員環以上の非芳香族系の環状化合物。なお、これらの
化合物の融点は50℃以上であることが好ましい。具体
例としては、脂環式1価アルコール(例えばシクロドデ
カノール)、脂環式2価アルコール(例えば1,4−シ
クロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオー
ル、1,2−シクロドデカンジオール)、環式糖アルコ
ール(例えばグルコース、サッカロース)、環式糖アル
コールの誘導体(例えば1,2:5,6−ジイソプロピ
リデン−D−マンニトール)が挙げられる。
【0027】(c)の消去剤は単独で用いてもよいが、
特に(a)の消去剤とともに用いた場合に効果的であ
る。すなわち、(c)の消去剤は(a)の消去剤との親
和性が強く、固化した後にも相分離を起こしにくい。こ
の意味で、以下においては(c)の消去剤を、「相分離
抑制性消去剤」または「相分離抑制剤」と呼ぶことがあ
る。(c)の消去剤を用いた場合にも、より安定な消色
状態を得ることができる。
【0028】上記の相分離抑制剤はさらに2種に分類で
きる。すなわち、(c1)融点およびガラス転移点が比
較的高く、常温において非晶質になりやすい化合物(以
下、高非晶質性の相分離制御剤という)と、(c2)融
点およびガラス転移点が比較的低いため常温において非
晶質になりにくく微結晶を形成することがありうるが、
流動状態で顕色剤との相溶性が非常に高い化合物(以
下、低非晶質性の相分離抑制剤という)、である。消去
剤として高非晶質性の相分離制御剤と低非晶質性の相分
離制御剤とを併用した場合にも、画像形成材料の消色状
態を非常に安定に維持することができる。
【0029】好適な高非晶質性の相分離抑制剤は環式糖
アルコールである。具体例としては、D−グルコース、
D−マンノース、D−ガラクトース、D−フルクトー
ス、L−ソルボース、L−ラムノース、L−フコース、
D−リボデソース、α−D−グルコース=ペンタアセテ
ート、アセトグルコース、ジアセトン−D−グルコー
ス、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−グル
コサミン、D−フルクトサミン、D−イソ糖酸、ビタミ
ンC、エルトルビン酸、トレハロース、サッカロース、
マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクト
ース、メリビオース、ラフィノース、ゲンチアノース、
メレジトース、スタキオース、メチル=α−グルコピラ
ノシド、サリシン、アミグダリン、オイキサンチン酸が
挙げられる。これらのうち1種または2種以上を用いる
ことができる。
【0030】好適な低非晶質性の相分離抑制剤は、環式
糖アルコール以外のヒドロキシル基を有する5員環以上
の非芳香族環式化合物または環式糖アルコールの誘導体
であり、代表的にはテルペンアルコールである。具体例
としては、脂環式1価アルコール、たとえばシクロドデ
カノール、ヘキサヒドロサリチル酸、メントール、イソ
メントール、ネオメントール、ネオイソメントール、カ
ルボメントール、α−カルボメントール、ピペリトー
ル、α−テルピネオール、β−テルピネオール、γ−テ
ルピネオール、1−p−メンテン−4−オール、イソプ
レゴール、ジヒドロカルベオール、カルベオール;脂環
式多価アルコール、たとえば1,4−シクロヘキサンジ
オール、1,2−シクロヘキサンジオール、フロログル
シトール、クエルシトール、イノシトール、1,2−シ
クロドデカンジオール、キナ酸、1,4−テルピン、
1,8−テルピン、ピノールヒドラート、ベツリン;多
環式アルコール誘導体、たとえばボルネオール、イソボ
ルネオール、アダマンタノール、ノルボルネオール、フ
ェンコール、ショウノウ、イソソルバイド;環式糖アル
コールの誘導体、たとえば1,2:5,6−ジイソプロ
ピリデン−D−マンニトールが挙げられる。また、上記
のような環式アルコールに他の環状構造を有する化合物
を反応させることにより得られる立体障害の大きい分子
構造を有する材料を用いた場合には、消色状態にある画
像形成材料の温度安定性を向上することができる。たと
えば、イソソルバイドとシクロヘキサンジカルボン酸と
のエステルは、好適な低非晶質性の相分離抑制剤であ
る。これらのうち1種または2種以上を用いることがで
きる。
【0031】本発明の画像形成材料中の呈色性化合物、
顕色剤および消去剤の好ましい配合比は以下の通りであ
る。顕色剤の配合比は、呈色性化合物1重量部に対して
0.1〜10重量部、さらには1〜2重量部に設定する
ことが好ましい。顕色剤が0.1重量部未満の場合に
は、呈色性化合物と顕色剤との相互作用による画像形成
材料の発色が不十分になる。顕色剤が10重量部を超え
る場合には両者の相互作用を十分に減少させることが困
難となる。消去剤の配合比は、呈色性化合物1重量部に
対し1〜200重量部、さらには10〜100重量部に
設定することが好ましい。消去剤が1重量部未満では、
画像形成材料の発色状態と消色状態との間の状態変化を
起こさせることが困難になる。消去剤が200重量部を
超えると、画像形成材料の発色が不十分になる。
【0032】本発明に係る画像形成材料は様々な形態で
使用することができる。たとえば、サーマルプリンター
のインク;インクジェットプリンターのインク;コピー
機(PPC)、レーザービームプリンター、ファックス
などのトナー;スクリーン印刷や活字印刷などの印刷イ
ンク;ボールペンや万年筆などの筆記用具のインクとし
て用いることができる。サーマルプリンターのインク
は、呈色性化合物、顕色剤、消去剤、ワックスなどを混
合してプラスチックシートに塗布して使用される。イン
クジェットプリンターのインクは、呈色性化合物、顕色
剤、消去剤などを溶媒に分散させて使用される。トナー
は、呈色性化合物、顕色剤、消去剤、バインダーなどを
含む組成物を粉砕することにより調製される。この場
合、代表的なバインダーとしては、ポリスチレン、スチ
レン−アクリル系共重合体、ポリエステル、エポキシ樹
脂などが挙げられる。
【0033】上述した画像形成材料を用いて紙の上に形
成された画像を消去するには、画像形成材料を消去剤の
融点を超える温度に加熱する方法、または画像形成材料
を溶媒に接触させる方法が用いられる。
【0034】画像形成材料を加熱する方法では、上述し
たような原理で消去がなされる。また、消去時の加熱温
度は消去剤の融点を超える温度に設定され、たとえば消
去剤としてコール酸を用いる場合にはコール酸の融点
(約198℃)を超える温度、具体的には200℃以上
の温度に設定することが好ましい。もちろん、消去剤の
融点が低ければ、それに応じて消去時の加熱温度を低く
することができる。ただし、加熱消去後の画像形成材料
はそのままでは表面での反射が顕著であり、肉眼で元の
画像がわかるようになっている。そこで、リユースやセ
キュリティー関連の用途のように元の画像が残っている
と好ましくない場合には、画像形成材料を加熱して画像
を消去した後、紙上に残留している画像形成材料の表面
を荒らすことが好ましい。
【0035】本発明において、上記の加熱による消去方
法に用いられる画像消去装置は、呈色性化合物、顕色剤
および消去剤を含有し紙上で発色した画像形成材料を消
去剤の融点より高い温度に加熱して画像を消去する手段
を有する。また、用途によっては紙上に残留している画
像形成材料の表面を荒らす手段とを有することが好まし
い。
【0036】加熱により画像を消去する手段としては、
ヒートローラー、サーマルプリンターヘッド(TP
H)、サーマルバー、ホットスタンプ、赤外線ランプ、
熱風などを用いることができる。紙上に残留している画
像形成材料の表面を荒らす手段としては、表面の粗いロ
ーラーなどが用いられる。画像形成材料が加熱されて軟
化している間に、表面の粗いローラーで消色した画像形
成材料を荒らすと、画像形成材料の表面で光が散乱さ
れ、表面における反射が減少する。このため、紙の上に
画像形成材料が残留していることが肉眼ではわからなく
なる。また、画像形成材料がある部分とない部分とで手
触りも同様な感じになる。なお、表面を荒らしたヒート
ローラーなどを用いて、加熱消去工程と表面荒らし工程
を同時に実施してもよい。
【0037】画像形成材料を溶媒に接触させる方法で
は、加熱による方法とほぼ同様に以下のような原理で消
去がなされる。すなわち、紙上の発色状態にある画像形
成材料を溶媒に接触させると、溶媒によりバインダーが
膨潤または一部溶解する。この結果、顕色剤および消去
剤が比較的自由に動ける状態になり、顕色剤が消去剤と
混合し、顕色剤と呈色性化合物との相互作用が失われて
画像形成材料は消色する。そして、紙から溶媒を除去す
ると、消去剤が平衡溶解度を超えた量の顕色剤を取り込
んだ状態で非晶質化するため、画像形成材料の消去状態
が固定される。この消去状態は、室温において非常に安
定である。なお、消去剤を含有する溶媒を用いてもよ
い。
【0038】本発明において、溶媒との接触による消去
方法に用いられる画像消去装置は、呈色性化合物、顕色
剤および消去剤を含有し紙上で発色した画像形成材料を
溶媒に接触させる手段と、紙から溶媒を除去する手段と
を有するか、または呈色性化合物および顕色剤を含有し
紙上で発色した画像形成材料を消去剤を含有し顕色剤を
溶解する溶媒に接触させる手段と、紙から溶媒を除去す
る手段とを有する。
【0039】なお、画像消去装置には、溶媒の回収手段
を付属させることが好ましい。また、装置の前段にトナ
ーの付着している紙と付着していない紙とを選別する手
段を付属させてもよい。
【0040】紙上で発色した画像形成材料を溶媒に接触
させる手段としては、容器に収容した溶媒に紙を浸漬す
るローラー、紙に溶媒を噴霧するスプレーノズル、紙に
溶媒を滴下するノズル、溶媒を紙に供給するグラビアロ
ーラーなどが用いられる。紙から溶媒を除去する手段と
しては、熱風、赤外線ランプ、ヒートローラー、ホット
プレス、サーマルプリンターヘッド(TPH)、サーマ
ルバーなどが用いられる。なお、気化しやすい溶媒を用
いた場合には、自然乾燥させてもよい。また、本発明の
装置には使用した溶媒を回収する手段を設けることが好
ましい。
【0041】溶媒により画像を消去した場合、消去状態
の紙の品質が向上する。この理由は以下の通りである。
すなわち、溶媒との接触により画像形成材料が消去され
た後に、バインダーに含まれていた溶媒が気化すると、
バインダーが多孔質化し、その表面で光が散乱するため
反射が減少する。また、バインダーが広がるとともに画
像形成材料も広がるので、画像形成材料のある部分とな
い部分との境界が不明確になる。したがって、肉眼でも
手触りでも画像形成材料が残留していることがわからな
くなる。
【0042】本発明において用いられる溶媒は、(A)
顕色剤と消去剤との間の水素結合の形成を助ける性質を
有することが好ましく、さらに(B)バインダーとの親
和性が高く画像形成材料の内部にまで浸透しやすい性質
を有することが好ましい。上記の(A)の性質を満たす
溶媒は単独で使用することができる。また、2種以上の
溶媒を混合して上記の2つの性質を満たすようにしても
よい。
【0043】上記の(A)および(B)の両方の性質を
有する溶媒としては、エーテル、ケトン、エステルなど
が挙げられる。具体例は、飽和エーテル、たとえばエチ
ルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロ
ピルエーテル、イソペンチルメチルエーテル、ブチルエ
チルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエ
ーテル、エチルイソペンチルエーテル、ジブチルエーテ
ル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ
ヘキシルエーテル;不飽和エーテル、たとえばエチルビ
ニルエーテル、アリルエチルエーテル、ジアリルエーテ
ル、エチルプロパルギルエーテル;二価アルコールのエ
ーテル、たとえば2−メトキシエタノール、2−エトキ
シエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジメ
トキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジ
ブトキシエタン;環状エーテル、たとえばオキセタン、
テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキソラ
ン、ジオキサン、トリオキサン;飽和ケトン、たとえば
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケト
ン、ジエチルケトン、イソプロピルメチルケトン、ブチ
ルメチルケトン、エチルプロピルケトン、イソブチルメ
チルケトン、ピナコロン、メチルペンチルケトン、ブチ
ルエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケ
トン、ヘキシルメチルケトン、イソヘキシルメチルケト
ン、へプチルメチルケトン、ジブチルケトン;不飽和ケ
トン、たとえばエチリデンアセトン、アリルアセトン、
メシチルオキシド;環状ケトン、たとえばシクロペンタ
ノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオ
クタノン;エステル、たとえばギ酸エチル、ギ酸プロピ
ル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、ギ酸
イソペンチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プ
ロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、
酢酸イソペンチル、酢酸sec−アミル、酢酸ヘキシ
ル、酢酸アリル、2−メトキシエチルアセテート、2−
エトキシエチルアセテート、1,2−ジアセトキシエタ
ン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピ
オン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオ
ン酸ブチル、プロピオン酸ペンチル、プロピオン酸イソ
ペンチル、プロピオン酸sec−アミル、2−メトキシ
プロピルアセテート、2−エトキシプロピルアセテー
ト、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸イソ
プロピル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、酪酸イソペンチ
ル、酪酸sec−アミル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エ
チル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ
酪酸ブチル、イソ酪酸ペンチル、イソ酪酸イソペンチ
ル、イソ酪酸sec−アミル、吉草酸メチル、吉草酸エ
チル、吉草酸プロピル、吉草酸イソプロピル、吉草酸ブ
チル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、
吉草酸イソプロピル、吉草酸ブチル、ヘキサン酸メチ
ル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸プロピル、ヘキサン
酸イソプロピルなどである。上記以外の溶媒として、塩
化メチレン、γ−ブチロラクトン、β−プロピオラクト
ン、n−メチルピロリジノン、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセタミド、ジメチルスルホキシドなどがあ
る。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用い
てもよい。混合溶媒を用いる場合、混合比は任意に設定
できる。
【0044】上記(A)の性質を有するが、バインダー
との親和性が低い溶媒は、たとえば水、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロ
ピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコ
ール、ペンチルアルコール、2−ペンチルアルコール、
3−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、1
−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノー
ル、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、グリセリンなどである。
【0045】上記(A)の性質を持たないが、バインダ
ーとの親和性が高い溶媒は、たとえばトルエン、エチル
ベンゼン、プロピルベンゼン、クメン、ブチルベンゼ
ン、イソブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、ペ
ンチルベンゼン、ジエチルベンゼン、メシチレン、キシ
レン、クレゾール、エチルフェノール、ジメトキシベン
ゼン、ジメトキシトルエン、ベンジルアルコール、トリ
ルカルビノール、クミルアルコール、アセトフェノン、
プロピオフェノン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、オ
クタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプ
タン、シクロオクタン、石油留分(石油エーテル、ベン
ジンなど)である。
【0046】上述したように第一群の溶媒は単独で良好
に使用することができる。第二群の溶媒は、単独でも使
用できるが、第一群の溶媒と混合してもよい。この場
合、どちらの群の溶媒も消去能を持っているので任意の
混合比で使用することができる。第二群の溶媒と第三群
の溶媒との混合溶媒を用いる場合、十分な消去能が得ら
れれば両者の混合比は特に限定されないが、第三群の溶
媒を20〜80wt%とすることが好ましい。第三群の
溶媒は第一群の溶媒と混合して用いてもよい。この場
合、第三群の溶媒を90wt%以下とすればよい。ま
た、第一群から第三群の溶媒を混合して用いてもよい。
この場合、第三群の溶媒を80wt%以下とすることが
好ましい。画像形成材料を効率的に消色するためには溶
媒を予め加熱しておいてもよい。この場合、溶媒の温度
は40〜150℃の範囲とすることが好ましい。
【0047】また、これらの消去溶媒に上述した消去剤
を添加してもよい。この場合、消去剤の添加率は特に限
定されないが、好ましくは1〜40wt%である。この
ように消去溶媒中に消去剤を添加すると、溶媒中の消去
剤と画像形成材料中の消去剤とが相乗的に働き、極めて
良好な消去状態が得られる。
【0048】また、本発明においては、呈色性化合物、
顕色剤、消去剤およびバインダーを含有する画像形成材
料で形成された画像を消去する際に、画像形成材料を加
熱した後、画像形成材料を溶媒に接触させる方法を用い
てもよい。このように画像形成材料を溶媒に接触させる
前に画像形成材料を加熱すると、以下のような効果が得
られる。すなわち、画像形成材料中に水が含まれている
と、水はその極性により消去剤の活性を下げる作用を示
す。したがって、溶媒消去を行う前に、80〜120℃
に加熱して画像形成材料中の水分を除去すれば、消去剤
は本来の機能を効果的に示すようになり、良好な消去状
態が得られる。この場合、加熱時間は1〜30分である
ことが好ましい。
【0049】また大量の紙をリユースまたはリサイクル
するために野積みしている場合、紙が多量の水分を吸収
していることが多いと考えられる。水分を多量に含んだ
紙では、画像形成材料中に有機溶剤が浸透しにくくな
り、良好な消去状態が得られなくなる。このような場
合、紙を最初に60〜150℃に加熱して、紙に含まれ
る水分を除去した後、有機溶剤に接触させることが有効
である。このときの加熱時間は、30分〜15時間であ
ることが好ましい。
【0050】上述した方法を用いる本発明の画像消去装
置としては、上述した溶媒による画像消去装置における
画像形成材料を溶媒に接触させる手段の前段に、画像形
成材料を加熱する手段を有するものが用いられる。加熱
手段としては、熱風、赤外線ランプ、ヒートローラー、
ホットプレス、サーマルプリンターヘッド(TPH)、
サーマルバーなどが挙げられるが、最も簡単には画像消
去装置の入口に設けられる紙の搬入ローラーをヒートロ
ーラーにすればよい。また、溶媒消去前に紙を加熱スト
ッカーに入れて放置する方法もある。
【0051】さらに、本発明のプリンタは、呈色性化合
物、顕色剤および消去剤を含有する画像形成材料からな
るトナー(電子写真方式)またはインク(インクジェッ
ト方式)の印刷ユニットと、画像形成材料を消去可能な
溶媒を収容した消去ユニットとを有するものである。こ
のようなプリンタでは、印刷および消去を繰り返して行
うことができるので、紙の消費量を減らすことができ
る。
【0052】
【実施例】実施例1 図1に加熱による画像消去装置の一例を示す。この画像
消去装置は、入口側からヒートローラー11aと対向ロ
ーラー11b、第1の表面荒らしローラー12aと対向
ローラー12b、および第2の表面荒らしローラー13
aと対向ローラー13bを有する。第1および第2の表
面荒らしローラー12a、13aは表面の粗さが異なっ
ている。これらの表面荒らしローラーは、最も簡単に
は、表面がサンドペーパーを交換可能に巻き付けたもの
である。このような装置は、小型化してオフィスで用い
ることができる。
【0053】紙は画像が形成された面を上にして装置内
へ搬入され、ヒートローラー11aで加熱された後、第
1および第2の表面荒らしローラー12a、13aで荒
らされる。紙上に画像はヒートローラー11aでの加熱
により良好に消去できるが、さらに残存する画像形成材
料の表面が荒らされて表面で光が散乱されて反射が減少
するため、紙上に画像形成材料が残留していることを識
別できなくなる。
【0054】実施例2 図2に溶媒を用いる画像消去装置の一例を示す。この画
像消去装置の下部には、溶媒容器101およびこの溶媒
容器101に溶媒(たとえばジエトキシエタン)102
を供給する溶媒タンク103が設けられている。なお、
溶媒容器101には消去剤を添加した溶媒を収容しても
よい。紙は画像が形成された面を下にして一枚ずつ搬入
ローラー104により装置内へ搬入され、キャリヤーロ
ーラーにより搬送される。紙は浸漬ローラー105と対
向ローラー106との間を搬送される間に溶媒容器10
1に収容された溶媒102に浸漬され、画像が消去され
る。その後、紙はキャリヤーローラーにより搬送され、
装置上部で後述する電子冷却器の放熱器から発生する温
風が当てられて乾燥された後、ヒートローラー107に
より加熱されるとともにしわが伸ばされる。こうして溶
媒が除去された紙は、搬出ローラー108により装置外
へ搬出され、ストッカーに収容される。搬入ローラー1
04および搬出ローラー108にスイッチを設け、紙の
搬入および搬出に伴って運転および停止ができるように
してもよい。各ローラーは使用される溶媒に耐性のある
材料で作製し、静電気の発生を防止することが好まし
い。
【0055】この装置では、紙を溶媒容器101内の溶
媒102に浸漬しているので、画像形成材料の量にかか
わらず消色に十分な量の溶媒を供給することができ、消
去状態を安定化することができるので、有効に再使用で
きる。また、対向ローラー108により紙上の画像形成
材料の表面を荒らすようにすれば、消去状態の紙の品質
を向上することができる。
【0056】この装置には、溶媒の回収機構が設けられ
ている。この回収機構は、吸着剤110および電子冷却
器111を封入した回収器と、循環ポンプ114とを主
要な構成要素としている。使用済みの溶媒は、溶媒容器
101から回収溶媒容器109に貯蔵される。回収溶媒
容器109で気化した溶媒は、電子冷却器(たとえばペ
ルチェ素子)111により冷却された吸着剤110で吸
着される。電子冷却器111の温度は、溶媒の蒸気圧が
100ppm以下になるように設定される。吸着剤11
0で吸着された溶媒は、循環ポンプ114で引かれ、吸
収フィルター113で吸収される。循環ポンプ114と
しては防爆に優れたオリフィスポンプを用いることが好
ましい。循環ポンプ114の前段に吸収フィルター11
3を設けることにより、ポンプ材質が溶媒におかされる
のを防止することができる。大気中の水分の混入を防ぐ
ために、除湿機を設置してもよい。電子冷却器111の
放熱器112から発生する温風は、上述したように溶媒
に浸漬された後の紙を乾燥するために利用される。この
ような装置は小型化してオフィスで用いることもでき
る。
【0057】実施例3 図3に溶媒を用いる画像消去装置の他の例を示す。図3
の装置は、紙上の画像形成材料に溶媒を接触させる手段
としてグラビアローラー121を用いている以外は図2
の装置とほぼ同様の構成を有する。グラビアローラー1
21は回転して溶媒容器101の溶媒102に浸漬され
た後にブレード123により、その表面に付着する溶媒
量が調整される。装置内に搬入された紙がグラビアロー
ラー121と対向ローラー122との間を通過する間
に、グラビアローラー121により紙に溶媒(たとえば
酪酸n−ペンチル)が供給され、画像が消去される。
【0058】この装置では、グラビアローラー121に
よって画像の消去に必要な最少限の量の溶媒を供給でき
るので、紙から溶媒を除去する時間を短縮できる。この
結果、紙の処理速度を向上できる。また、紙上に残留す
る画像形成材料が、グラビアローラーによりこすられて
荒れるので、消去状態の紙の品質が向上する。
【0059】実施例4 図4に溶媒を用いる画像消去装置の他の例を示す。図4
の装置は、紙上の画像形成材料に溶媒を接触させる手段
としてポンプ131およびスプレーノズル132を用
い、溶媒を除去するためにランプヒーター133を用い
ている以外は図2の装置とほぼ同様の構成を有する。装
置内に搬入された紙に、溶媒容器101から溶媒102
をポンプ131でくみ上げてノズル132からスプレー
することにより、画像が消去される。その後、搬送され
た紙は温風で乾燥されるとともに、ランプヒーター13
3で加熱され、溶媒が除去される。
【0060】この装置では、ポンプ131により十分な
量の溶媒を供給することができ、しかもランプヒーター
133により溶媒の除去速度を上げることができるの
で、図2または図3の装置よりも紙の処理速度を向上で
きる。また、溶媒が紙表面を流れ落ち、これに伴って画
像形成材料が広がるため、消去状態の紙の品質を向上す
ることができる。
【0061】なお、たとえば図2〜図4に示した画像消
去装置において、搬入ローラー104としてヒートロー
ラーを用い、紙上の画像形成材料を加熱して水分を除去
した後、紙を溶媒に浸漬するようにしてもよい。このよ
うな方法および装置でも、良好な消去状態を得ることが
できる。
【0062】実施例5 図5(A)〜(C)に溶媒を用いるバッチ式の画像消去
装置の例を示す。(A)は平面図、(B)および(C)
は側面図である。この装置の下部には、溶媒タンク20
1が設けられ、溶媒202が収容されている。この装置
の上部には溶媒浸漬槽203が設けられている。溶媒タ
ンク201と溶媒浸漬槽203との間には、ケミカルポ
ンプ204とこれに接続された液送パイプ205が設け
られている。溶媒浸漬槽203の下部には、電子冷却器
(たとえばペルチェ素子)206が放熱面を上にして設
けられている。電子冷却器206には電源207から電
力が供給される。
【0063】この装置を用い、以下のようにして画像の
消去が行われる。溶媒浸漬槽203の蓋を開いてその中
に100枚程度の紙の束を入れる。ケミカルポンプ20
4により溶媒タンク201から溶媒浸漬槽203へ溶媒
202を供給し、紙を溶媒に浸漬して画像を消去する。
その後、ケミカルポンプ204により溶媒タンク201
から溶媒浸漬槽203へ溶媒を排出する。さらに、電子
冷却器206の放熱を利用して紙から溶媒を除去する。
こうして画像が消去された紙は有効に再使用することが
できる。回収した紙から再生紙を製造してもよい。ま
た、気化した溶媒を電子冷却器206により冷却して回
収することができる。なお、図5の装置の電子冷却器の
代わりに熱交換器を用いてもよい。この装置は、1日あ
たり100kgオーダーの紙の処理能力がある。
【0064】実施例6 図6に溶媒を用いるインライン式の大型プラントの例を
示す。この装置では、以下のようにして画像の消去が行
なわれる。紙の束301をコンベア302により溶媒処
理槽303に入れて溶媒304に浸漬して画像を消去す
る。溶媒処理槽303内の紙の束301はコンベア30
5により取り出され、一次乾燥場に送られる。一次乾燥
場でヒーター306とファン307により熱風が供給さ
れることにより、紙はバラバラになって乾燥され、さら
に二次乾燥場へと送られる。二次乾燥場では紙はコンベ
ア308により搬送されている間に赤外線ヒーター30
9により完全に乾燥される。乾燥した紙は、収納庫31
0に貯蔵される。こうして画像が消去された紙は有効に
再使用することができる。回収した紙から再生紙を製造
してもよい。また、プラント全体から出る溶媒蒸気は分
留塔(図示せず)で回収され、消去用溶媒として溶媒処
理槽で再利用される。このような装置は、1日あたり数
十トン程度の処理能力がある。
【0065】また、溶媒処理槽303の前に、加熱スト
ッカーを設けて100℃、6時間加熱処理した場合、吸
湿された水分が抜けて、より良好な画像消去ができた。
【0066】このようなプラントでは、専用の溶媒を使
用することが好ましい。好ましい溶媒としては、たとえ
ば消去速度の速いケトン系の溶媒とバインダに対する良
溶媒であるトルエンなどの溶媒からなる混合溶媒に消去
剤を添加したものが挙げられる。
【0067】実施例7 図7に溶媒消去機構を有するプリンターの一例の概略図
を示す。このプリンターは、上部の印刷ユニット(この
実施例では電子写真方式の印刷ユニット)と下部の溶媒
消去ユニットとが一体的に組み立てられたものである。
印刷ユニットでは、呈色性化合物、顕色剤、消去剤およ
びバインダーを含有する画像形成材料からなるトナーが
用いられる。
【0068】上部の印刷ユニットでは、通常のプリンタ
ーと同様に紙に印刷がなされる。すなわち、紙(バージ
ン紙または再使用紙)は給紙カセット401から搬送ロ
ーラーなどを経て感光体ドラム402の方向へ供給され
る。その間に、感光体ドラム402は露光され、現像機
403から供給されるトナーで現像されている。そし
て、紙が回転する感光体ドラム402と接触することに
より、紙へトナー像が転写される。トナー像が転写され
た紙は定着機404で加熱されて画像が定着された後、
排紙トレー405に排出される。
【0069】一方、下部の溶媒消去ユニットでは、印刷
がなされた紙が印刷済用紙カセット411から自動的に
1枚ずつ搬送ローラーなどを経て溶媒容器412へ供給
され、この溶媒容器412に収容されている消去溶媒4
13に浸漬されて画像が消去される。画像が消去された
紙は用紙回収カセット414に集積される。
【0070】ユーザーは、用紙回収カセット414に回
収された画像消去後の再使用紙を給紙カセット401に
入れてさらに印刷および消去を繰り返すことができるの
で、紙の消費量を大幅に減少させることができる。
【0071】なお、上部の印刷ユニットで呈色性化合
物、顕色剤およびバインダーを含有する画像形成材料か
らなるトナーを用い、下部の溶媒消去ユニットで消去剤
を添加した溶媒を用いるようにしてもよい。また、図7
では上部の印刷ユニットとして電子写真方式のものを用
いたが、インクジェット方式のものを用いてもよいこと
はもちろんである。さらに、下部の溶媒消去ユニットに
は、図2〜図4に示した画像消去装置と同様な、または
より簡易な溶媒回収機構を併設することが好ましい。
【0072】
【発明の効果】以上記述したように本発明の画像消去装
置および画像消去方法を用いれば、消去状態の紙の品質
を向上させ、紙を有効に再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における加熱方式の画像消去
装置を示す図。
【図2】本発明の実施例2における溶媒方式の画像消去
装置を示す図。
【図3】本発明の実施例3における溶媒方式の画像消去
装置を示す図。
【図4】本発明の実施例4における溶媒方式の画像消去
装置を示す図。
【図5】本発明の実施例5における溶媒方式の画像消去
装置を示す図。
【図6】本発明の実施例6における溶媒方式の画像消去
装置を示す図。
【図7】本発明の実施例7における溶媒消去ユニットを
有するプリンタを示す図。
【符号の説明】
11a…ヒートローラー 12a…第1の表面荒らしローラー 13a…第2の表面荒らしローラー 101…溶媒容器 102…溶媒 103…溶媒タンク 104…搬入ローラー 105…浸漬ローラー 106…対向ローラー 107…ヒートローラー 108…搬出ローラー 109…回収溶媒容器 110…吸着剤 111…電子冷却器 112…放熱器 113…吸収フィルター 114…循環ポンプ 121…グラビアローラー 122…対向ローラー 123…ブレード 131…ポンプ 132…スプレーノズル 133…ランプヒーター 201…溶媒タンク 202…溶媒 203…溶媒浸漬槽 204…ケミカルポンプ 205…液送パイプ 206…電子冷却器 207…電源 301…紙の束 302、305、308…コンベア 303…溶媒処理槽 304…溶媒 306…ヒーター 307…ファン 309…赤外線ヒーター 310…収納庫 401…給紙カセット 402…感光体ドラム 403…現像機 404…定着機 405…排紙トレー 410…印刷済用紙カセット 412…溶媒容器 413…消去溶媒 414…用紙回収カセット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多賀 純一 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株式会社東芝横浜事業所内 (56)参考文献 特開 昭62−14163(JP,A) 特開 平6−27737(JP,A) 特開 平9−152818(JP,A) 特開 平4−356087(JP,A) 特開 平5−2356(JP,A) 化学大辞典編集委員会編,化学大辞典 5,日本,共立出版株式会社,1995年 7月25日,130頁 化学大辞典編集委員会編,化学大辞典 1,日本,共立出版株式会社,1995年 7月25日,743頁から744頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 21/00 570 - 578

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 呈色性化合物、顕色剤および消去剤を含
    有し記録媒体上で発色した画像形成材料を消去剤の融点
    より高い温度に加熱して画像を消去する手段と、記録媒
    体上に残留している画像形成材料の表面を荒らす手段と
    具備したことを特徴とする画像消去装置。
  2. 【請求項2】 呈色性化合物、顕色剤、消去剤およびバ
    インダー樹脂を含有し記録媒体上で発色した画像形成材
    料を、消去剤の融点より高い温度に加熱して画像を消去
    した後、記録媒体上に残留している画像形成材料の表面
    を荒らすことを特徴とする画像消去方法。
  3. 【請求項3】 呈色性化合物、顕色剤および消去剤を含
    有し記録媒体上で発色した画像形成材料を消去剤を含有
    する溶媒に接触させる手段と、記録媒体から溶媒を除去
    する手段とを具備したことを特徴とする画像消去装置。
  4. 【請求項4】 記録媒体上で発色した画像形成材料を溶
    媒に接触させる手段の前段に、記録媒体上で発色した画
    像形成材料を加熱する手段を設けたことを特徴とする
    求項3記載の画像消去装置。
  5. 【請求項5】 呈色性化合物、顕色剤、消去剤およびバ
    インダーを含有する画像形成材料で形成された画像を消
    去するにあたり、画像形成材料を加熱した後、画像形成
    材料を溶媒に接触させることを特徴とする画像消去方
    法。
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