JP3278355B2 - トンネル用打設コンクリートの振動方法およびトンネル用打設コンクリートの振動装置 - Google Patents

トンネル用打設コンクリートの振動方法およびトンネル用打設コンクリートの振動装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トンネル内に二次
覆工用のコンクリートを打設する際、型枠とトンネル内
壁面との間に打設されたコンクリートに振動を与えるた
めの振動方法および振動装置に関するものである。な
お、本明細書中、「打設」とは、養生硬化させていない
泥状のコンクリートを型枠とトンネル内壁面との間に充
填させることをいう。
【0002】
【従来の技術】元来、トンネル内への二次覆工用のコン
クリートの打設は、コンクリートを打設するための移動
式型枠を、コンクリート打設終了後、前方に折畳んで搬
送し、展開させて設置し、その個所でコンクリートを打
設する形式の二次覆工用移動式型枠により行われてい
た。
【0003】この移動式型枠をトンネル内の所定位置に
設置した後、移動式型枠に多数設けられた所定位置の開
閉自在の検査窓からコンクリート搬送管を介して移動式
型枠とトンネル内壁面との間にコンクリートを打設する
際、養生硬化後のコンクリートの強度、耐久性を向上さ
せるため、同一あるいは別の検査窓から作業員が振動具
を突出させると共に、打設したコンクリート内に挿入さ
せ、この振動具の振動により、打設したコンクリートの
締固め、およびコンクリート内に混在する気泡の除去を
行っていた。
【0004】また、移動式型枠とトンネル内壁面との間
へのコンクリートの打設は、トンネルの掘削側と反対
(既コンクリート打設)側の下部、トンネルの掘削側の
下部、トンネルの掘削側と反対側の上部、トンネルの掘
削側の上部へと順次打設するのが常である。
【0005】また、振動具は、コードの先端に振動部を
備えたものが主流であり、作業員はコードを把持し、検
査窓から振動部を打設したコンクリート内に挿入させ、
振動部の振動により、打設したコンクリートに振動を与
えていた。
【0006】このため、図10に示すように、まず所定
位置の検査窓を開放させることによりコンクリート搬送
口とし、コンクリート供給管に連結されたコンクリート
搬送管の先端をこの検査窓から突出させ、このコンクリ
ート搬送管からコンクリートを、移動式型枠とトンネル
内壁面との間へ打設する。
【0007】次に、コンクリートの打設位置より上方の
検査窓から、作業員が移動式型枠とトンネル内壁面との
間へのコンクリートの打設量を目視し、所定量のコンク
リートを打設した後、検査窓内にコンクリート搬送管を
収納させる。
【0008】次に、作業員がこの検査窓あるいは別の検
査窓から振動具を突出させ、打設したコンクリート内に
挿入させ、振動具を振動させることにより、打設したコ
ンクリートの締固め、およびコンクリート内に混在する
気泡の除去を行う。
【0009】次に、作業員がこの検査窓内に振動具を収
納させた後、この検査窓を閉鎖する。
【0010】次に、所定のコンクリートの打設が終了し
た後、別の個所へコンクリートを打設するため、別の位
置の検査窓をコンクリート搬出口として使用し、再び前
記同様作業により打設したコンクリートに振動を与えて
いた。
【0011】また、移動式型枠とトンネル内壁面との間
の間隔が狭い場合、作業員により振動具をその狭い空間
内に挿入させることが非常に困難であるため、効果は少
なくなるが移動式型枠に直接振動モーターを取付け、こ
の振動モーターにより移動式型枠を介して打設したコン
クリートに振動を与えていた。
【0012】なお、図10中、60は移動式型枠、62
は検査窓、64は窓用蓋、66はコンクリート搬送管、
68は振動具、70はコンクリート、72はトンネル内
壁面、74は作業員を示す。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従来、作業員により振
動具を操作する場合、コンクリートを打設する毎に、所
定の検査窓からの振動具の突出、打設したコンクリート
内への挿入、振動具の振動、振動具の検査窓内への収
納、を全て人手により行う為、作業能率が良くないこと
が問題となっていた。
【0014】また、振動モーターにより移動式型枠を振
動させる場合、その振動が局部的であるため、打設した
コンクリートに振動を十分に与えることが不可能であ
り、養生硬化後のコンクリートの強度、耐久性が低下し
易くなることが問題となっていた。
【0015】本発明は、このような欠点に鑑み、移動式
型枠とトンネル内壁面との間に打設したコンクリートに
振動を自動的に与えることができ、作業員の負担を激減
させ、作業能率を向上させることができると共に、養生
硬化後のコンクリートの強度、耐久性を格段に向上させ
ることができるトンネル用打設コンクリートの振動方法
および振動装置を提供することを目的とするものであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、トンネ
ル内に二次覆工用のコンクリートを打設するための移動
式型枠を使用してトンネル内に二次覆工用のコンクリー
トを打設する工程において、移動式型枠とトンネル内壁
面との間にコンクリートを打設した後、移動式型枠に設
けられたコンクリートセンサーの移動式型枠とトンネル
内壁面との間へのコンクリート打設量の感知により、移
動式型枠に設けられた所定の振動具用出入口から振動具
を突出させると共に、打設したコンクリート内に挿入さ
せた後、この振動具によりコンクリートに振動を与え、
コンクリートを締固めると共に、コンクリート内に混在
する気泡を除去した後、振動具を振動具用出入口内に収
納させた後、別の個所の移動式型枠とトンネル内壁面と
の間へのコンクリートの打設、振動具の振動具用出入口
からの突出、振動具の振動、振動具の振動具用出入口へ
の収納を順次行うことにより、移動式型枠が設置された
トンネル内壁面との間に打設したコンクリートに順次振
動を与え、打設したコンクートを締固めると共に、コン
クリート内に混在する気泡を除去することを特徴とする
もの、または必要に応じて振動具の振動具用出入口から
の突出部分を、少なくとも移動式型枠の円周方向と直交
する方向へ移動自在としたものである。
【0017】本発明の装置は、トンネル内に二次覆工用
のコンクリートを打設するための移動式型枠に振動具用
出入口が複数個設けられ、振動具用出入口近部にコンク
リートセンサーが設けられ、各振動具用出入口に、振動
具用出入口からの突出部分を、少なくとも移動式型枠の
円周方向と直交する方向へ移動自在とした振動具が、コ
ンクリートセンサーと連動させて伸縮自在に設けられて
なり、コンクリートセンサーの移動式型枠とトンネル内
壁面との間へのコンクリート打設量の感知により、振動
具を振動具用出入口から突出させ、振動具を打設したコ
ンクリート内に挿入させ、振動具を振動させた後、振動
具を振動具用出入口内に収納させることを特徴とするも
のである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明に係るトンネル用打設コン
クリートの振動方法に使用する装置は、トンネル12内
に二次覆工用のコンクリート14を打設するための移動
式型枠16に装着されるものである。
【0019】本発明で使用する移動式型枠16は、上円
部分18および下円部分20がそれぞれ折畳み搬送可能
なものである。
【0020】本発明に係るトンネル用打設コンクリート
の振動方法に使用する装置は、図1〜図9に示すよう
に、以下の構成からなるものである。
【0021】移動式型枠16に外部と貫通した振動具用
出入口22が複数個設けられている。
【0022】この振動具用出入口22内に振動具24が
伸縮自在に装着されている。
【0023】本例において、振動具24は、コード26
の先端に高周波振動部28を備えたものであり、この高
周波振動部28が振動具用出入口22からの突出部分と
なる。
【0024】また、振動具24の伸縮機構は油圧シリン
ダー30であり、油圧シリンダー30のロッド32の伸
長、縮短により、振動具24を振動具用出入口22内へ
収納、振動具用出入口22から突出させる。
【0025】また、振動具用出入口22の外周に、打設
したコンクリート14の移動式型枠36内への浸入を防
止するためのシール材34が装着されている。
【0026】各振動具用出入口22の近部に、移動式型
枠16とトンネル内壁面36との間へのコンクリート打
設量を感知するコンクリートセンサー38がそれぞれ設
けられている。
【0027】コンクリートセンサー38は図7および図
8に示すように、ケーブル40の先端に絶縁体42を介
して電極44を取付けたものであり、静電気の量により
コンクリート14が打設されたことを感知するものであ
る。
【0028】このコンクリートセンサー38および振動
具24の伸縮機構である油圧シリンダー30が制御機構
46に連結され、この制御機構46により両者を連動制
御させてある。
【0029】なお、図中48は検査窓、50はコンクリ
ート搬出管、52はガントリー、54はレール、56は
ローラー、58は油圧ユニットを示す。
【0030】本装置を使用して移動式型枠16とトンネ
ル内壁面36との間に打設した二次覆工用のコンクリー
ト14を振動させる方法を以下に詳述する。
【0031】まず、移動式型枠16をトンネル12の所
定位置まで移動させる。
【0032】次に、コンクリート打設個所の検査窓48
を開放させ、この検査窓48からコンクリート搬出管5
0を突出させ、このコンクリート搬出管50からコンク
リート14を、移動式型枠16とトンネル内壁面36と
の間に打設する。
【0033】次に、移動式型枠16の外方に設けられた
コンクリートセンサー38のコンクリート14の打設量
の感知により、所定個所(1個所または複数個所)の振
動具24の高周波振動部28を振動具出入口22から突
出させると共に、振動具24の高周波振動部28を打設
したコンクリート14内に挿入させる。
【0034】この際、コンクリートセンサー38のコン
クリート14の打設量の感知信号により、制御機構46
を介して振動具24の伸縮機構である油圧シリンダー3
0のロッド32が縮短し、振動具24の高周波振動部2
8が振動具用出入口22から突出する。
【0035】次に、振動具24の高周波振動部28を所
定時間振動させた後、油圧シリンダー30のロッド32
を伸長させることにより、振動具24の高周波振動部2
8を振動具用出入口22内に収納させる。
【0036】次に、所定量のコンクリート14の打設終
了後、検査窓48からコンクリート搬出管50を収納さ
せた後、検査窓48を閉鎖する。
【0037】この際、コンクリート14の打設量に応じ
て再び同一の振動具24を打設したコンクリート14内
に挿入して振動させることにより、打設したコンクリー
ト14をより確実に振動させることができる。
【0038】次に、別の検査窓48からコンクリート搬
出管50を突出させ、別個所へコンクリート14を打設
し、前記同様振動具24の振動具用出入口22からの突
出、コンクリート14内への挿入、振動具24の振動、
振動具24の振動具用出入口22内への収納を順次行う
ことにより、トンネル12の掘削側と反対側の下部、ト
ンネル12の掘削側の下部、トンネル12の掘削側と反
対側の上部、トンネル12の掘削側の上部へと順次コン
クリート14を打設すると共に、打設したコンクリート
14を振動させる。
【0039】また、図4に想像線で示すように、移動機
構(図示略)を介して振動具24の高周波振動部28
を、移動式型枠16の円周方向と直交方向へ移動自在と
することにより、打設したコンクリート14への振動効
率をより向上させることが可能となる。
【0040】この際、振動具24の高周波振動部28の
移動機構を多関節型構造(通常内視鏡に採用されている
構造)とし、全ての方向に移動自在とすることにより、
打設したコンクリート14への振動効率をより一層向上
させることも可能である。
【0041】また、本例において、振動具24の振動具
用出入口22からの伸縮機構は油圧シリンダー30によ
るものであるが、シャフトおよびギヤードモーターによ
るものでもよく、他の伸縮可能な構造であればよい。
【0042】また、本例において、コンクリートセンサ
ー38は各振動具用出入口22の近部にそれぞれ設けら
れているが、コンクリート打設個所(トンネル12の掘
削側と反対側の下部、トンネル12の掘削側の下部、ト
ンネル12の掘削側と反対側の上部、トンネル12の掘
削側の上部)のそれぞれの要部に少なくとも1個以上設
けられていればよい。
【0043】また、本例は略半円径のトンネルにおける
コンクリート打設におけるものであるが、円形のトンネ
ル、例えば海中トンネル、下水道等にも利用できる。
【0044】また、本例の移動式型枠16は折畳み自在
のものであるが、必ずしも折畳み自在のものに限定され
ることはない。
【0045】
【発明の効果】本発明に係るトンネル用打設コンクリー
トの振動方法および振動装置によれば、移動式型枠とト
ンネル内壁面との間へのコンクリートの打設量を、コン
クリートセンサーが感知することにより、打設したコン
クリート内への振動具の挿入、振動具の振動、振動具の
収納を自動的に行うことができるため、従来煩雑であっ
た振動具の操作作業が皆無となり、作業能率を向上させ
ることができる。
【0046】また、振動具の突出部分を少なくとも移動
式型枠の円周方向と直交方向へ移動自在とすることによ
り、打設したコンクリートの締固め、コンクリート内に
混在した気泡の除去を、より確実に行うことができるた
め、養生硬化後のコンクリートの強度、耐久性をより向
上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るトンネル用打設コンクリートの振
方法に使用する装置が装着された移動式型枠の正面
図。
【図2】同、側面図。
【図3】振動具の正面図。
【図4】同、移動式型枠に装着した状態を示す拡大平面
図。
【図5】同、拡大正面図。
【図6】同、拡大側面図。
【図7】コンクリートセンサーの正面図。
【図8】同、一部破断側面図。
【図9】本発明に係る振動方法に使用する装置の使用状
態を示す正面図。
【図10】従来のコンクリート打設および振動作業を示
す正面図。
【符号の説明】
12 トンネル 14 コンクリート 16 移動式型枠 22 振動具用出入口 24 振動具 28 高周波振動部(振動具の突出部分) 30 油圧シリンダー 36 トンネル内壁面 38 コンクリートセンサー
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−30096(JP,A) 特開 平7−26898(JP,A) 特開 平8−177395(JP,A) 特開 平8−28190(JP,A) 実開 昭63−141294(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21D 11/10 E04G 9/10 101 E04G 11/04 E04G 21/02 103

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル(12)内に二次覆工用のコンクリ
    ート(14)を打設するための移動式型枠(16)を使用してト
    ンネル(12)内に二次覆工用のコンクリート(14)を打設す
    る工程において、 移動式型枠(16)とトンネル内壁面(36)との間にコンクリ
    ート(14)を打設した後、移動式型枠(16)に設けられたコ
    ンクリートセンサー(38)の移動式型枠(16)とトンネル内
    壁面(36)との間へのコンクリート打設量の感知により、
    移動式型枠(16)に設けられた所定の振動具用出入口(22)
    から振動具(24)を突出させると共に、打設したコンクリ
    ート(14)内に挿入させた後、この振動具(24)によりコン
    クリート(14)に振動を与え、コンクリート(14)を締固め
    ると共に、コンクリート(14)内に混在する気泡を除去し
    た後、振動具(24)を振動具用出入口(22)内に収納させた
    後、別の個所の移動式型枠(16)とトンネル内壁面(36)と
    の間へのコンクリート(14)の打設、振動具(24)の振動具
    用出入口(22)からの突出、振動具(24)の振動、振動具(2
    4)の振動具用出入口(22)への収納を順次行うことによ
    り、移動式型枠(16)が設置されたトンネル内壁面(36)と
    の間に打設したコンクリート(14)に順次振動を与え、打
    設したコンクート(14)を締固めると共に、コンクリート
    (14)内に混在する気泡を除去することを特徴とするトン
    ネル用打設コンクリートの振動方法。
  2. 【請求項2】 振動具(24)の振動具用出入口(22)からの
    突出部分(28)を、少なくとも移動式型枠(16)の円周方向
    と直交する方向へ移動自在としたことを特徴とする請求
    項1記載のトンネル用打設コンクリートの振動方法。
  3. 【請求項3】 トンネル(12)内に二次覆工用のコンクリ
    ート(14)を打設するための移動式型枠(16)に振動具用出
    入口(22)が複数個設けられ、振動具用出入口(22)近部に
    コンクリートセンサー(38)が設けられ、各振動具用出入
    口(22)に、振動具用出入口(22)からの突出部分(28)を、
    少なくとも移動式型枠(16)の円周方向と直交する方向へ
    移動自在とした振動具(24)が、コンクリートセンサー(3
    8)と連動させて伸縮自在に設けられてなり、 コンクリートセンサー(38)の移動式型枠(16)とトンネル
    内壁面(36)との間へのコンクリート打設量の感知によ
    り、振動具(24)を振動具用出入口(22)から突出させると
    共に、振動具(24)を打設したコンクリート(14)内に挿入
    させ、振動具(24)を振動させた後、振動具(24)を振動具
    用出入口(22)内に収納させることを特徴とするトンネル
    用打設コンクリートの振動装置。
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