JP2003227297A6 - コンクリート締固め方法およびその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易かつ安全に、しかも効率良く打設コンクリートを締固め、振動部材に付着した打設コンクリートを除去する。
【解決手段】トンネル12内に型枠16を使用してコンクリート14を打設する工程において、牽引部18の先端に振動部20を備え、牽引に適した素材からなる振動部材22を、型枠16とトンネル内壁面26との間に、その基端を巻揚機構28に装着して型枠16の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠16とトンネル内壁面26との間へのコンクリート打設後、またはコンクリート打設時に、振動部材22を振動させると共に、巻揚機構28を介して振動部材22を巻揚、繰出すことにより、型枠16の長さ方向に沿わせて移動させ、コンクリート14を締固めることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】トンネル12内に型枠16を使用してコンクリート14を打設する工程において、牽引部18の先端に振動部20を備え、牽引に適した素材からなる振動部材22を、型枠16とトンネル内壁面26との間に、その基端を巻揚機構28に装着して型枠16の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠16とトンネル内壁面26との間へのコンクリート打設後、またはコンクリート打設時に、振動部材22を振動させると共に、巻揚機構28を介して振動部材22を巻揚、繰出すことにより、型枠16の長さ方向に沿わせて移動させ、コンクリート14を締固めることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル内への覆工用、主に二次覆工用のコンクリート打設時に、打設コンクリートを振動させて締固める方法および装置に関するものである。なお、本明細書中、「打設」とは、養生硬化させていない泥状のコンクリートを型枠とトンネル内壁面との間へ充填させることをいう。
【0002】
【従来の技術】
元来、トンネル内への覆工用、主に二次覆工用のコンクリートの打設は、コンクリートを打設するための型枠を、コンクリート打設終了後、折畳んで前方に搬送し、展開させて設置し、その個所でコンクリートを打設する移動式の型枠により行われていた。
【0003】
この型枠によるコンクリート打設は、トンネル内の所定位置への設置後、型枠に多数設けられた所定個所の開閉自在の検査窓からコンクリート搬送管を突出させ、あるいは専用のコンクリート打設口にコンクリート搬送管を接続して行われていた。
【0004】
また、打設コンクリートを補強するため、鉄筋等の補強材が、型枠とトンネル内壁面との間に、予め配設させていた。
【0005】
また、養生硬化後のコンクリートの強度、耐久性を向上させるため、打設した直後のコンクリート内にその都度同一あるいは別の検査窓から振動具を挿入突出させ、この振動具の振動により、打設したコンクリートを締固め、コンクリート内に混在する気泡を除去していた。
【0006】
この振動具は、電源ケーブルの先端に振動部を備えたものが主流であり、このため、作業者は電源ケーブルを直接把持し、検査窓を開放して突出させ、また必要に応じて検査窓から身を乗り出して振動部を打設したコンクリート内に挿入させ、振動部を前後左右および上下方向に移動させ(振り回し)、振動部の振動により、打設したコンクリートを締固め、締固め作業完了後、検査窓から収納させていた(図5参照)。
【0007】
なお、図5中、60は型枠、62は検査窓、64はコンクリート打設口、66は振動具、68は電源コード、70はコンクリート、72はトンネル内壁面、74はコンクリート搬送管、76は作業者を示す。
【0008】
このため、作業者の人手による打設コンクリート締固め作業において、以下の問題があった。
【0009】
第1に、作業者が振動具の電源ケーブルを把持し、人手により振動具の振動部を型枠の各検査窓から突出させ、打設コンクリート内に挿入させ、上下、左右方向に移動させ、振動部の振動により打設コンクリートを締固め、締固め作業完了後、検査窓から収納させていたため、打設コンクリートへの振動具による振動が局部的で不均一であり、締固め効率が良くなかった。
【0010】
第2に、振動させた振動具の検査窓からの突出、収納時に、振動具の振動部が検査窓の突出部位外周縁に接触することにより、振動により振動部が回動し、振動具を把持する作業者にこの回動力が必要以上に作用し、この回動力が電源ケーブルにまで伝達され、時には電源ケーブルがソケットから外れることもあり、作業に支障をきたしていた。
【0011】
第3に、必要に応じて検査窓から作業者が身を乗り出して締固め作業を行う必要があり、危険性を伴うため、作業を慎重に行うことを強いられ、安全、かつ短時間に作業を行うことができないばかりか、工程遅延の要因となっていた。
【0012】
第4に、締固め作業中の検査窓近部までコンクリートが打設された際には、この作業中の検査窓から振動具を収納させ、この検査窓を閉塞させ、別の検査窓へ移動し、この検査窓を開放させて振動具を突出させ、先のコンクリート打設された検査窓近部の振動を行う必要があり、締固め作業中の検査窓近部の振動を同一個所から行うことができなかった。
【0013】
第5に、振動中に振動具が型枠の外周面と接触し、その接触面において泥状のコンクリートが水分とコンクリートに分離し、硬化後コンクリートの強度、耐久性が低下する要因となっていた。
【0014】
上記欠点に鑑み、振動具を型枠の内側から外側に突出させる装置(例えば、特許文献1参照)、振動具を型枠の外側を移動させる装置(例えば、特許文献2参照)があった。
【0015】
【特許文献1】特許第3278355号公報(第3−4頁、図1−6、9)
【特許文献2】特開2001−82087号公報(第3−5頁、図1−7)
【0016】
また、使用後、直ちに振動具および電源コードに付着した打設コンクリートを人手により除去していた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1においては、振動具の打設コンクリートの締固め個所が限定され、特許文献2においては、作業者の目視により振動具を移動させる必要があり、また両者とも振動具を移動させる制御機構が必要不可欠であり、構成部品数も多く、コストが高騰する要因となっていた。
【0018】
また、両文献および従来技術において、コンクリートの強度、耐久性を向上させるための振動具による打設コンクリートの締固め作業は、コンクリートを打設した直後にその都度行っていたため、振動具により締固めたコンクリートは型枠の妻側に流動し、打設コンクリート全体を締固めることができなかった。
【0019】
また、型枠とトンネル内壁面との間には補強材が配設されており、また打設コンクリートに挿入させた振動具の位置が一定しないため、補強材に振動具が接触し易く、取扱性が良くなかった。
【0020】
また、型枠とトンネル内壁面との間に配設された補強材および型枠外周面に振動具が衝突あるいは接触し、不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み、が生じるばかりか、振動具が損傷することがあり、耐久性に問題があった。
【0021】
また、使用後、直ちに振動具および電源コードに付着した打設コンクリートを人手により除去する必要があり、その作業が面倒であった。
【0022】
本発明は、以上のような欠点に鑑み、簡易かつ安全に、しかも効率良く打設コンクリートを締固め、付着した打設コンクリートをも除去することができるコンクリート締固め方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トンネル内に型枠を使用してコンクリートを打設する工程、装置において、長尺な牽引部の先端に振動部を備え、牽引に適した素材からなる振動部材を、型枠とトンネル内壁面との間に、その基端を巻揚機構に装着して型枠の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠とトンネル内壁面との間へのコンクリート打設後、またはコンクリート打設時に、振動部材を振動させると共に、巻揚機構を介して振動部材を巻揚、繰出すことにより、型枠の長さ方向に沿わせて移動させ、コンクリートを締固めることを特徴とするもの、または、振動部材の先端を、牽引材を介して別の巻揚機構に装着し、振動部材に張力を付与することを特徴とするもの、または、振動部材の先端を、既コンクリート打設部に埋設されてトンネル前方に延出させた案内軌道部材に装着し、この案内軌道部材に沿わせて振動部材を移動させることを特徴とするもの、または、巻揚機構に近接させて洗浄機構を配備させることにより、巻揚機構による巻揚時に、振動部材に付着した打設コンクリートを洗浄除去することを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコンクリートの締固め装置は、トンネル12内に覆工用、主に二次覆工用のコンクリート14を打設するための移動式の型枠16に装着されるものであり、図1および図2に示すように、以下の構成からなるものである。
【0025】
長尺な牽引部18の先端に振動部20を備えてなる振動部材22の外周の長さ方向全域に、芯材24を配してある。
【0026】
本例において、振動部材22は電磁式振動体を収容した振動部20が、接続ケーブル(図示略)を内装させた長尺な牽引部18を介して電源(図示略)と接続されている。
【0027】
また、牽引部18は、軽量化、取扱性、耐摩耗性に優れた素材とすることが望ましい。
【0028】
また、芯材24はワイヤーであり、振動部材22の外周両側縁に二本配してある。
【0029】
この芯材24を振動部材22の外周に配することにより、振動部材22の強度、耐摩耗性を向上させ、後述の巻揚機構28への巻揚、繰出し時および型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材(図示略)への接触時にも牽引部18が損傷することがなく、取扱性も向上し、牽引に適した構造となる。
【0030】
この振動部材22を、型枠16とトンネル内壁面26との間に、その基端を巻揚機構28に装着して型枠16の長さ方向に沿わせて、複数配設させてある。
【0031】
各振動部材22の振動部20の先端を、牽引材30を介して型枠16内の別の巻揚機構32に装着してある。
【0032】
本例において、巻揚機構28は電動ウインチであり、巻揚機構32はバネ式または電動式のリールである。
【0033】
また、牽引材30はワイヤーであり、型枠16のラップ側の既コンクリート打設部34に固定させた案内ローラ36に係止させてある。
【0034】
各巻揚機構28,32により、振動部材22に張力が付与され、振動部材22を打設コンクリート層の中間部位に保持させ、打設コンクリートを均一に振動できると共に、振動部材22の型枠16、型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材、への衝突(不快音の発生)あるいは接触(不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み)を防止することができ、しかも振動部材22の損傷をも防止することができるため、打設コンクリートの強度、品質が極めて向上する。
【0035】
型枠16の妻側外方の巻揚機構28に近接させた妻板38との間に、洗浄機構40が配備されている。
【0036】
本例において、洗浄機構40はリング管に、その中心部に向けて小孔を穿孔させたリング型シャワーであり、巻揚機構28による巻揚時に、振動部材22、特に牽引部18に付着した打設コンクリート16を、水圧(水)により洗浄除去する。
【0037】
また、妻板38の振動部材22の貫挿部位および型枠16の牽引材30の貫挿部位には、それぞれ打設コンクリートが妻板38外方あるいは型枠16内に浸出しないよう浸出防止材(図示略)が、配備されている。
【0038】
なお、図中42は芯材24を振動部材22の外周に止着する止具、44はコンクリート打設口、46はコンクリート搬送管、48は型枠16の天板部、50は作業者、52はホッパー、54は排水管を示す。
【0039】
本装置を使用して型枠16、例えば天板部48とトンネル内壁面26との間へ打設した二次覆工用のコンクリート14を締固める方法を以下に詳述する。
【0040】
まず、型枠16をトンネル12の所定位置まで移動させる。
【0041】
次に、型枠16の妻側38外方の巻揚機構28に、振動部材22の牽引部18の基端を装着させ、型枠16内の別の巻揚機構32に、牽引材30を介して振動部材22の振動部20の先端を装着させることにより、振動部材22を型枠16の長さ方向に沿わせて、複数配設させる。
【0042】
次に、型枠16とトンネル内壁面26との間へ、コンクリート14を打設する。
【0043】
この際、型枠16の各コンクリート打設口44からコンクリート14を、型枠16とトンネル内壁面26との間へ、順次打設する。
【0044】
次に、型枠16とトンネル内壁面26との間全体へのコンクリート14の打設完了後、各振動部材22を振動させると共に、巻揚機構28を介して巻揚げることにより、各振動部材22を型枠16の妻側(図1において右側)へ順次移動させる。
【0045】
この際、振動部材22には巻揚機構28,32により張力が付与されているため、振動部材22が打設完了後のコンクリート層の中間部位に保持された状態となり、この状態のまま妻側に順次移動するので、締固めたコンクリートが流動することなく、打設コンクリート全体を均一に振動させて締固めると共に、振動部材22の型枠16、型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材、への衝突(不快音の発生)あるいは接触(不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み)を防止することができ、しかも振動部材22の損傷をも防止することができるため、打設コンクリートの強度、品質が極めて向上する。
【0046】
また、振動部材22は型枠16の妻側から巻揚機構28を介して巻揚、繰出すことにより、型枠16の長さ方向に移動させることができ、従来のようにコンクリート打設に応じてその都度各検査窓を開閉させて振動部材を移動させる作業が皆無となる。
【0047】
また、振動部材22の外周に芯材24を配してあるため、振動部材22の強度、耐摩耗性が向上すると共に、巻揚機構28への巻揚、繰出し時、および型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材(図示略)への接触時にも牽引部18が損傷することがなく、取扱性も向上する。
【0048】
また、振動部材22の振動部20を間欠振動させることにより、打設コンクリート14を長時間、連続振動させることがなく、コンクリートが水分とコンクリートとに分離することがなくなり、打設コンクリートの強度、耐久性をさらに向上させることができる。
【0049】
また、必要に応じて振動部材22を巻揚機構28を介して巻揚、繰出すことにより、振動部材22を型枠16の天板部48上方を往復移動させ、打設コンクリート全体を数回振動させ、締固め効率をより一層向上させることができる。
【0050】
また、打設コンクリートの振動完了後、振動部材22を巻揚機構28により妻側外方に巻揚後、振動部材22の振動部20の先端の牽引材30を取外し、この牽引材30を型枠16内の別の巻揚機構32に巻揚、収納する。
【0051】
さらに、巻揚機構28による振動部材22の巻揚毎に、巻揚げられた振動部材22、特に牽引部18に付着した打設コンクリート14が、洗浄機構40により洗浄除去される。
【0052】
このため、従来行っていた使用後直ちに付着した打設コンクリートを除去する洗浄作業を省略することができる。
【0053】
本使用方法において、型枠16の天板部48とトンネル内壁面26との間への打設コンクリートの締固め工程を説明してあるが、型枠16の下部または側部とトンネル内壁面26との間への打設コンクリートの締固めも、本使用方法と同様に行う。
【0054】
このように、本発明の方法および装置によれば、強度、耐摩耗性、取扱性を向上させた振動部材22により型枠16とトンネル内壁面26との間全体への打設完了後の打設コンクリートを簡易、安全、かつ均一で高品質に締固めることができ、しかも付着した打設コンクリートをも洗浄除去することができる。
【0055】
また、図3および図4に本装置の別の例が示してある。
【0056】
本例は、前記例の振動部材22の先端を、牽引材30を介して別の巻揚機構32に装着するのに代えて、振動部材22の先端を、既コンクリート打設部34に埋設されてトンネル前方に延出させた案内軌道部材56、例えばワイヤーに装着し、この案内軌道部材56に沿わせて振動部材22を移動させるものである。
【0057】
この案内軌道部材56のトンネル前方の延出端は、レバーブロック(図示略)により張力を付与しておくことが望ましい。
【0058】
本例の使用方法は、振動部材22を、コンクリート打設時に(コンクリート打設量に応じて)移動させて、打設コンクリートを振動させ、締固める。
【0059】
このため、前記例に対し、振動部材22の型枠16、型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材への衝突あるいは接触を防止する効果がやや小さくなるものの、打設コンクリートの振動完了後、振動部材22を巻揚機構28により妻側外方に巻揚、振動部材22の振動部20の先端を案内軌道部材56から取外すだけで、案内軌道部材56をそのまま打設コンクリート中に埋設させるため、収納する必要がなく、この作業を省略することができる。
【0060】
また、打設コンクリート中に埋設された案内軌道部材56は、補強材としての役割を果たす。
【0061】
なお、両例において、型枠16を折畳み自在とすることは自由である。
【0062】
また、振動部材22を牽引に適した構造とするための芯材24の配置位置は、振動部材22の外周であるが、振動部材22の内部としてもよく、また外周および内部の両方に配してもよく、また芯材によらない牽引に適した他の構造を採用することは自明である。
【0063】
また、型枠16とトンネル内壁面26との間へのコンクリート打設量を感知するコンクリートセンサーを設置し、コンクリートセンサーのコンクリート打設完了の感知により、コンクリート打設口44からのコンクリート打設、停止、振動部材22の振動、各巻揚機構28の作動(振動部材22の型枠16の長さ方向への移動)、等を連動させることにより、作業の自動化を図り、作業性をより一層向上させることができる。
【0064】
また、振動部材22、巻揚機構28,32は複数であるが、1個としてもよく、その設置数は特に限定されるものではない。
【0065】
また、巻揚機構32は型枠16内に設置してあるが、型枠16外方の足場に設置させてもよく、その他の個所に設置させることは自明である。
【0066】
また、牽引材30はラップ側の既コンクリート打設部34に固定させた案内ローラ36に係止させてあるが、パイプ、フック等の係止手段とすることは自明である。
【0067】
また、型枠16内の巻揚機構32に装着させた牽引材30を、打設コンクリートの養生硬化後、巻揚機構32から切離し、打設コンクリート内に埋設させることは自由である。
【0068】
また、型枠16とトンネル内壁面26との間へのコンクリート打設はコンクリート打設口44からによるものであるが、コンクリート搬送管46を型枠16の各検査窓(図示略)から突出させてコンクリート打設することは自明である。
【0069】
また、各巻揚機構28,32により張力を付与させて配設された振動部材22を型枠16の周方向に移動させることにより、締固め効率をさらに向上させることは自明である。
【0070】
また、振動部材22の牽引部18は接続ケーブルであるが、接続ケーブルを内装させたロープ、無端チェーン、細幅ベルト、等とすることは自由である。
【0071】
また、牽引材30、案内軌道部材56はワイヤーであるが、ロープ、無端チェーン、細幅ベルト、等とすることは自由である。
【0072】
また、振動部材22の先端を牽引材30を介して別の巻揚機構32に装着してあるが、巻揚機構32に装着することなく、振動部材22の先端を自由端として使用しても、本発明特有の作業を簡易、安全に行え、振動部材22の強度、耐摩耗性、取扱性が向上する効果は十分に得られる。
【0073】
また、洗浄機構40はリング型シャワーであり、水圧(水)により振動部材22に付着した打設コンクリートを洗浄除去するものであるが、洗剤、コンクリート剥離剤等を混入して洗浄すること、あるいは他の洗浄機構を採用すること、は自明である。
【0074】
また、洗浄機構40を省略しても、本発明特有の作業を簡易、安全に行え、振動部材22の強度、耐摩耗性、取扱性が向上する効果は十分に得られる。
【0075】
また、本発明の方法および装置は、略半円形のトンネル、円形のトンネル、例えば海中トンネル、下水道等、特に用途は限定されない。
【0076】
【発明の効果】
本発明に係るコンクリート締固め方法および装置によれば、長尺な牽引部の先端に振動部を備え、牽引に適した素材からなる振動部材を、型枠とトンネル内壁面との間に、その基端を巻揚機構に装着して型枠の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠とトンネル内壁面との間全体への打設完了後、またはコンクリート打設時に、打設コンクリートを、振動部材により振動させると共に、巻揚機構を介して振動部材を巻揚、繰出すことにより、振動部材を振動、移動させ、締固めるため、強度、耐摩耗性、取扱性を向上させた振動部材により、打設コンクリートを、簡易かつ安全に、しかも締固めた打設コンクリートが流動することなく、効率良く締固めることができる。
【0077】
また、振動部材の先端を、牽引材を介して別の巻揚機構に装着し、振動部材に張力を付与することにより、振動部材が打設完了後の打設コンクリート層の中間部位に保持された状態となり、この状態のまま妻側に順次移動するので、締固めたコンクリートが流動することなく、打設コンクリート全体を均一に振動させて締固めると共に、型枠、型枠とトンネル内壁面との間に配設させた補強材、への衝突(不快音の発生)あるいは接触(不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み)を防止することができ、しかも振動部材の損傷をも防止することができるため、打設コンクリートの強度、品質が極めて向上する。
【0078】
また、振動部材の先端を、既コンクリート打設部に埋設されてトンネル前方に延出させた案内軌道部材に装着し、この案内軌道部材に沿わせて振動部材を移動させることにより、打設コンクリートの振動完了後、振動部材を巻揚機構により妻側外方に巻揚、振動部材の振動部の先端を案内軌道部材から取外すだけで、案内軌道部材をそのまま打設コンクリート中に埋設させるため、収納する必要がなく、この作業を省略することができるばかりか、打設コンクリート中に埋設された案内軌道部材が補強材としての役割を果たす。
【0079】
また、巻揚機構に近接させて洗浄機構を配備させることにより、巻揚機構による巻揚時に、振動部材に付着した打設コンクリートを洗浄除去することができ、従来行っていた使用後直ちに付着コンクリートを除去する洗浄作業を省略し、作業効率が極めて向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート締固め装置の要部拡大側面図。
【図2】同、要部拡大正面図。
【図3】別の例を示す要部側面図。
【図4】同、要部拡大側面図。
【図5】従来のコンクリートの締固め作業を示す拡大側面図。
【符号の説明】
12 トンネル
14 コンクリート
16 型枠
18 牽引部
20 振動部
22 振動部材
24 芯材
26 トンネル内壁面
28,32 巻揚機構
30 牽引材
40 洗浄機構
56 案内軌道部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネル内への覆工用、主に二次覆工用のコンクリート打設時に、打設コンクリートを振動させて締固める方法および装置に関するものである。なお、本明細書中、「打設」とは、養生硬化させていない泥状のコンクリートを型枠とトンネル内壁面との間へ充填させることをいう。
【0002】
【従来の技術】
元来、トンネル内への覆工用、主に二次覆工用のコンクリートの打設は、コンクリートを打設するための型枠を、コンクリート打設終了後、折畳んで前方に搬送し、展開させて設置し、その個所でコンクリートを打設する移動式の型枠により行われていた。
【0003】
この型枠によるコンクリート打設は、トンネル内の所定位置への設置後、型枠に多数設けられた所定個所の開閉自在の検査窓からコンクリート搬送管を突出させ、あるいは専用のコンクリート打設口にコンクリート搬送管を接続して行われていた。
【0004】
また、打設コンクリートを補強するため、鉄筋等の補強材が、型枠とトンネル内壁面との間に、予め配設させていた。
【0005】
また、養生硬化後のコンクリートの強度、耐久性を向上させるため、打設した直後のコンクリート内にその都度同一あるいは別の検査窓から振動具を挿入突出させ、この振動具の振動により、打設したコンクリートを締固め、コンクリート内に混在する気泡を除去していた。
【0006】
この振動具は、電源ケーブルの先端に振動部を備えたものが主流であり、このため、作業者は電源ケーブルを直接把持し、検査窓を開放して突出させ、また必要に応じて検査窓から身を乗り出して振動部を打設したコンクリート内に挿入させ、振動部を前後左右および上下方向に移動させ(振り回し)、振動部の振動により、打設したコンクリートを締固め、締固め作業完了後、検査窓から収納させていた(図5参照)。
【0007】
なお、図5中、60は型枠、62は検査窓、64はコンクリート打設口、66は振動具、68は電源コード、70はコンクリート、72はトンネル内壁面、74はコンクリート搬送管、76は作業者を示す。
【0008】
このため、作業者の人手による打設コンクリート締固め作業において、以下の問題があった。
【0009】
第1に、作業者が振動具の電源ケーブルを把持し、人手により振動具の振動部を型枠の各検査窓から突出させ、打設コンクリート内に挿入させ、上下、左右方向に移動させ、振動部の振動により打設コンクリートを締固め、締固め作業完了後、検査窓から収納させていたため、打設コンクリートへの振動具による振動が局部的で不均一であり、締固め効率が良くなかった。
【0010】
第2に、振動させた振動具の検査窓からの突出、収納時に、振動具の振動部が検査窓の突出部位外周縁に接触することにより、振動により振動部が回動し、振動具を把持する作業者にこの回動力が必要以上に作用し、この回動力が電源ケーブルにまで伝達され、時には電源ケーブルがソケットから外れることもあり、作業に支障をきたしていた。
【0011】
第3に、必要に応じて検査窓から作業者が身を乗り出して締固め作業を行う必要があり、危険性を伴うため、作業を慎重に行うことを強いられ、安全、かつ短時間に作業を行うことができないばかりか、工程遅延の要因となっていた。
【0012】
第4に、締固め作業中の検査窓近部までコンクリートが打設された際には、この作業中の検査窓から振動具を収納させ、この検査窓を閉塞させ、別の検査窓へ移動し、この検査窓を開放させて振動具を突出させ、先のコンクリート打設された検査窓近部の振動を行う必要があり、締固め作業中の検査窓近部の振動を同一個所から行うことができなかった。
【0013】
第5に、振動中に振動具が型枠の外周面と接触し、その接触面において泥状のコンクリートが水分とコンクリートに分離し、硬化後コンクリートの強度、耐久性が低下する要因となっていた。
【0014】
上記欠点に鑑み、振動具を型枠の内側から外側に突出させる装置(例えば、特許文献1参照)、振動具を型枠の外側を移動させる装置(例えば、特許文献2参照)があった。
【0015】
【特許文献1】特許第3278355号公報(第3−4頁、図1−6、9)
【特許文献2】特開2001−82087号公報(第3−5頁、図1−7)
【0016】
また、使用後、直ちに振動具および電源コードに付着した打設コンクリートを人手により除去していた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1においては、振動具の打設コンクリートの締固め個所が限定され、特許文献2においては、作業者の目視により振動具を移動させる必要があり、また両者とも振動具を移動させる制御機構が必要不可欠であり、構成部品数も多く、コストが高騰する要因となっていた。
【0018】
また、両文献および従来技術において、コンクリートの強度、耐久性を向上させるための振動具による打設コンクリートの締固め作業は、コンクリートを打設した直後にその都度行っていたため、振動具により締固めたコンクリートは型枠の妻側に流動し、打設コンクリート全体を締固めることができなかった。
【0019】
また、型枠とトンネル内壁面との間には補強材が配設されており、また打設コンクリートに挿入させた振動具の位置が一定しないため、補強材に振動具が接触し易く、取扱性が良くなかった。
【0020】
また、型枠とトンネル内壁面との間に配設された補強材および型枠外周面に振動具が衝突あるいは接触し、不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み、が生じるばかりか、振動具が損傷することがあり、耐久性に問題があった。
【0021】
また、使用後、直ちに振動具および電源コードに付着した打設コンクリートを人手により除去する必要があり、その作業が面倒であった。
【0022】
本発明は、以上のような欠点に鑑み、簡易かつ安全に、しかも効率良く打設コンクリートを締固め、付着した打設コンクリートをも除去することができるコンクリート締固め方法および装置を提供することを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トンネル内に型枠を使用してコンクリートを打設する工程、装置において、長尺な牽引部の先端に振動部を備え、牽引に適した素材からなる振動部材を、型枠とトンネル内壁面との間に、その基端を巻揚機構に装着して型枠の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠とトンネル内壁面との間へのコンクリート打設後、またはコンクリート打設時に、振動部材を振動させると共に、巻揚機構を介して振動部材を巻揚、繰出すことにより、型枠の長さ方向に沿わせて移動させ、コンクリートを締固めることを特徴とするもの、または、振動部材の先端を、牽引材を介して別の巻揚機構に装着し、振動部材に張力を付与することを特徴とするもの、または、振動部材の先端を、既コンクリート打設部に埋設されてトンネル前方に延出させた案内軌道部材に装着し、この案内軌道部材に沿わせて振動部材を移動させることを特徴とするもの、または、巻揚機構に近接させて洗浄機構を配備させることにより、巻揚機構による巻揚時に、振動部材に付着した打設コンクリートを洗浄除去することを特徴とするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコンクリートの締固め装置は、トンネル12内に覆工用、主に二次覆工用のコンクリート14を打設するための移動式の型枠16に装着されるものであり、図1および図2に示すように、以下の構成からなるものである。
【0025】
長尺な牽引部18の先端に振動部20を備えてなる振動部材22の外周の長さ方向全域に、芯材24を配してある。
【0026】
本例において、振動部材22は電磁式振動体を収容した振動部20が、接続ケーブル(図示略)を内装させた長尺な牽引部18を介して電源(図示略)と接続されている。
【0027】
また、牽引部18は、軽量化、取扱性、耐摩耗性に優れた素材とすることが望ましい。
【0028】
また、芯材24はワイヤーであり、振動部材22の外周両側縁に二本配してある。
【0029】
この芯材24を振動部材22の外周に配することにより、振動部材22の強度、耐摩耗性を向上させ、後述の巻揚機構28への巻揚、繰出し時および型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材(図示略)への接触時にも牽引部18が損傷することがなく、取扱性も向上し、牽引に適した構造となる。
【0030】
この振動部材22を、型枠16とトンネル内壁面26との間に、その基端を巻揚機構28に装着して型枠16の長さ方向に沿わせて、複数配設させてある。
【0031】
各振動部材22の振動部20の先端を、牽引材30を介して型枠16内の別の巻揚機構32に装着してある。
【0032】
本例において、巻揚機構28は電動ウインチであり、巻揚機構32はバネ式または電動式のリールである。
【0033】
また、牽引材30はワイヤーであり、型枠16のラップ側の既コンクリート打設部34に固定させた案内ローラ36に係止させてある。
【0034】
各巻揚機構28,32により、振動部材22に張力が付与され、振動部材22を打設コンクリート層の中間部位に保持させ、打設コンクリートを均一に振動できると共に、振動部材22の型枠16、型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材、への衝突(不快音の発生)あるいは接触(不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み)を防止することができ、しかも振動部材22の損傷をも防止することができるため、打設コンクリートの強度、品質が極めて向上する。
【0035】
型枠16の妻側外方の巻揚機構28に近接させた妻板38との間に、洗浄機構40が配備されている。
【0036】
本例において、洗浄機構40はリング管に、その中心部に向けて小孔を穿孔させたリング型シャワーであり、巻揚機構28による巻揚時に、振動部材22、特に牽引部18に付着した打設コンクリート16を、水圧(水)により洗浄除去する。
【0037】
また、妻板38の振動部材22の貫挿部位および型枠16の牽引材30の貫挿部位には、それぞれ打設コンクリートが妻板38外方あるいは型枠16内に浸出しないよう浸出防止材(図示略)が、配備されている。
【0038】
なお、図中42は芯材24を振動部材22の外周に止着する止具、44はコンクリート打設口、46はコンクリート搬送管、48は型枠16の天板部、50は作業者、52はホッパー、54は排水管を示す。
【0039】
本装置を使用して型枠16、例えば天板部48とトンネル内壁面26との間へ打設した二次覆工用のコンクリート14を締固める方法を以下に詳述する。
【0040】
まず、型枠16をトンネル12の所定位置まで移動させる。
【0041】
次に、型枠16の妻側38外方の巻揚機構28に、振動部材22の牽引部18の基端を装着させ、型枠16内の別の巻揚機構32に、牽引材30を介して振動部材22の振動部20の先端を装着させることにより、振動部材22を型枠16の長さ方向に沿わせて、複数配設させる。
【0042】
次に、型枠16とトンネル内壁面26との間へ、コンクリート14を打設する。
【0043】
この際、型枠16の各コンクリート打設口44からコンクリート14を、型枠16とトンネル内壁面26との間へ、順次打設する。
【0044】
次に、型枠16とトンネル内壁面26との間全体へのコンクリート14の打設完了後、各振動部材22を振動させると共に、巻揚機構28を介して巻揚げることにより、各振動部材22を型枠16の妻側(図1において右側)へ順次移動させる。
【0045】
この際、振動部材22には巻揚機構28,32により張力が付与されているため、振動部材22が打設完了後のコンクリート層の中間部位に保持された状態となり、この状態のまま妻側に順次移動するので、締固めたコンクリートが流動することなく、打設コンクリート全体を均一に振動させて締固めると共に、振動部材22の型枠16、型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材、への衝突(不快音の発生)あるいは接触(不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み)を防止することができ、しかも振動部材22の損傷をも防止することができるため、打設コンクリートの強度、品質が極めて向上する。
【0046】
また、振動部材22は型枠16の妻側から巻揚機構28を介して巻揚、繰出すことにより、型枠16の長さ方向に移動させることができ、従来のようにコンクリート打設に応じてその都度各検査窓を開閉させて振動部材を移動させる作業が皆無となる。
【0047】
また、振動部材22の外周に芯材24を配してあるため、振動部材22の強度、耐摩耗性が向上すると共に、巻揚機構28への巻揚、繰出し時、および型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材(図示略)への接触時にも牽引部18が損傷することがなく、取扱性も向上する。
【0048】
また、振動部材22の振動部20を間欠振動させることにより、打設コンクリート14を長時間、連続振動させることがなく、コンクリートが水分とコンクリートとに分離することがなくなり、打設コンクリートの強度、耐久性をさらに向上させることができる。
【0049】
また、必要に応じて振動部材22を巻揚機構28を介して巻揚、繰出すことにより、振動部材22を型枠16の天板部48上方を往復移動させ、打設コンクリート全体を数回振動させ、締固め効率をより一層向上させることができる。
【0050】
また、打設コンクリートの振動完了後、振動部材22を巻揚機構28により妻側外方に巻揚後、振動部材22の振動部20の先端の牽引材30を取外し、この牽引材30を型枠16内の別の巻揚機構32に巻揚、収納する。
【0051】
さらに、巻揚機構28による振動部材22の巻揚毎に、巻揚げられた振動部材22、特に牽引部18に付着した打設コンクリート14が、洗浄機構40により洗浄除去される。
【0052】
このため、従来行っていた使用後直ちに付着した打設コンクリートを除去する洗浄作業を省略することができる。
【0053】
本使用方法において、型枠16の天板部48とトンネル内壁面26との間への打設コンクリートの締固め工程を説明してあるが、型枠16の下部または側部とトンネル内壁面26との間への打設コンクリートの締固めも、本使用方法と同様に行う。
【0054】
このように、本発明の方法および装置によれば、強度、耐摩耗性、取扱性を向上させた振動部材22により型枠16とトンネル内壁面26との間全体への打設完了後の打設コンクリートを簡易、安全、かつ均一で高品質に締固めることができ、しかも付着した打設コンクリートをも洗浄除去することができる。
【0055】
また、図3および図4に本装置の別の例が示してある。
【0056】
本例は、前記例の振動部材22の先端を、牽引材30を介して別の巻揚機構32に装着するのに代えて、振動部材22の先端を、既コンクリート打設部34に埋設されてトンネル前方に延出させた案内軌道部材56、例えばワイヤーに装着し、この案内軌道部材56に沿わせて振動部材22を移動させるものである。
【0057】
この案内軌道部材56のトンネル前方の延出端は、レバーブロック(図示略)により張力を付与しておくことが望ましい。
【0058】
本例の使用方法は、振動部材22を、コンクリート打設時に(コンクリート打設量に応じて)移動させて、打設コンクリートを振動させ、締固める。
【0059】
このため、前記例に対し、振動部材22の型枠16、型枠16とトンネル内壁面26との間に配設させた補強材への衝突あるいは接触を防止する効果がやや小さくなるものの、打設コンクリートの振動完了後、振動部材22を巻揚機構28により妻側外方に巻揚、振動部材22の振動部20の先端を案内軌道部材56から取外すだけで、案内軌道部材56をそのまま打設コンクリート中に埋設させるため、収納する必要がなく、この作業を省略することができる。
【0060】
また、打設コンクリート中に埋設された案内軌道部材56は、補強材としての役割を果たす。
【0061】
なお、両例において、型枠16を折畳み自在とすることは自由である。
【0062】
また、振動部材22を牽引に適した構造とするための芯材24の配置位置は、振動部材22の外周であるが、振動部材22の内部としてもよく、また外周および内部の両方に配してもよく、また芯材によらない牽引に適した他の構造を採用することは自明である。
【0063】
また、型枠16とトンネル内壁面26との間へのコンクリート打設量を感知するコンクリートセンサーを設置し、コンクリートセンサーのコンクリート打設完了の感知により、コンクリート打設口44からのコンクリート打設、停止、振動部材22の振動、各巻揚機構28の作動(振動部材22の型枠16の長さ方向への移動)、等を連動させることにより、作業の自動化を図り、作業性をより一層向上させることができる。
【0064】
また、振動部材22、巻揚機構28,32は複数であるが、1個としてもよく、その設置数は特に限定されるものではない。
【0065】
また、巻揚機構32は型枠16内に設置してあるが、型枠16外方の足場に設置させてもよく、その他の個所に設置させることは自明である。
【0066】
また、牽引材30はラップ側の既コンクリート打設部34に固定させた案内ローラ36に係止させてあるが、パイプ、フック等の係止手段とすることは自明である。
【0067】
また、型枠16内の巻揚機構32に装着させた牽引材30を、打設コンクリートの養生硬化後、巻揚機構32から切離し、打設コンクリート内に埋設させることは自由である。
【0068】
また、型枠16とトンネル内壁面26との間へのコンクリート打設はコンクリート打設口44からによるものであるが、コンクリート搬送管46を型枠16の各検査窓(図示略)から突出させてコンクリート打設することは自明である。
【0069】
また、各巻揚機構28,32により張力を付与させて配設された振動部材22を型枠16の周方向に移動させることにより、締固め効率をさらに向上させることは自明である。
【0070】
また、振動部材22の牽引部18は接続ケーブルであるが、接続ケーブルを内装させたロープ、無端チェーン、細幅ベルト、等とすることは自由である。
【0071】
また、牽引材30、案内軌道部材56はワイヤーであるが、ロープ、無端チェーン、細幅ベルト、等とすることは自由である。
【0072】
また、振動部材22の先端を牽引材30を介して別の巻揚機構32に装着してあるが、巻揚機構32に装着することなく、振動部材22の先端を自由端として使用しても、本発明特有の作業を簡易、安全に行え、振動部材22の強度、耐摩耗性、取扱性が向上する効果は十分に得られる。
【0073】
また、洗浄機構40はリング型シャワーであり、水圧(水)により振動部材22に付着した打設コンクリートを洗浄除去するものであるが、洗剤、コンクリート剥離剤等を混入して洗浄すること、あるいは他の洗浄機構を採用すること、は自明である。
【0074】
また、洗浄機構40を省略しても、本発明特有の作業を簡易、安全に行え、振動部材22の強度、耐摩耗性、取扱性が向上する効果は十分に得られる。
【0075】
また、本発明の方法および装置は、略半円形のトンネル、円形のトンネル、例えば海中トンネル、下水道等、特に用途は限定されない。
【0076】
【発明の効果】
本発明に係るコンクリート締固め方法および装置によれば、長尺な牽引部の先端に振動部を備え、牽引に適した素材からなる振動部材を、型枠とトンネル内壁面との間に、その基端を巻揚機構に装着して型枠の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠とトンネル内壁面との間全体への打設完了後、またはコンクリート打設時に、打設コンクリートを、振動部材により振動させると共に、巻揚機構を介して振動部材を巻揚、繰出すことにより、振動部材を振動、移動させ、締固めるため、強度、耐摩耗性、取扱性を向上させた振動部材により、打設コンクリートを、簡易かつ安全に、しかも締固めた打設コンクリートが流動することなく、効率良く締固めることができる。
【0077】
また、振動部材の先端を、牽引材を介して別の巻揚機構に装着し、振動部材に張力を付与することにより、振動部材が打設完了後の打設コンクリート層の中間部位に保持された状態となり、この状態のまま妻側に順次移動するので、締固めたコンクリートが流動することなく、打設コンクリート全体を均一に振動させて締固めると共に、型枠、型枠とトンネル内壁面との間に配設させた補強材、への衝突(不快音の発生)あるいは接触(不快音の発生、補強材と打設コンクリートとの密着低下、補強材の結束緩み)を防止することができ、しかも振動部材の損傷をも防止することができるため、打設コンクリートの強度、品質が極めて向上する。
【0078】
また、振動部材の先端を、既コンクリート打設部に埋設されてトンネル前方に延出させた案内軌道部材に装着し、この案内軌道部材に沿わせて振動部材を移動させることにより、打設コンクリートの振動完了後、振動部材を巻揚機構により妻側外方に巻揚、振動部材の振動部の先端を案内軌道部材から取外すだけで、案内軌道部材をそのまま打設コンクリート中に埋設させるため、収納する必要がなく、この作業を省略することができるばかりか、打設コンクリート中に埋設された案内軌道部材が補強材としての役割を果たす。
【0079】
また、巻揚機構に近接させて洗浄機構を配備させることにより、巻揚機構による巻揚時に、振動部材に付着した打設コンクリートを洗浄除去することができ、従来行っていた使用後直ちに付着コンクリートを除去する洗浄作業を省略し、作業効率が極めて向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るコンクリート締固め装置の要部拡大側面図。
【図2】同、要部拡大正面図。
【図3】別の例を示す要部側面図。
【図4】同、要部拡大側面図。
【図5】従来のコンクリートの締固め作業を示す拡大側面図。
【符号の説明】
12 トンネル
14 コンクリート
16 型枠
18 牽引部
20 振動部
22 振動部材
24 芯材
26 トンネル内壁面
28,32 巻揚機構
30 牽引材
40 洗浄機構
56 案内軌道部材
Claims (5)
- トンネル(12)内に型枠(16)を使用して覆工用のコンクリート(14)を打設する工程において、長尺な牽引部(18)の先端に振動部(20)を備え、牽引に適した素材からなる振動部材(22)を、型枠(16)とトンネル内壁面(26)との間に、その基端を巻揚機構(28)に装着して型枠(16)の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠(16)とトンネル内壁面(26)との間へのコンクリート(14)打設後、またはコンクリート打設時に、振動部材(22)を振動させると共に、巻揚機構(28)を介して振動部材(22)を巻揚、繰出すことにより、型枠(16)の長さ方向に沿わせて移動させ、コンクリート(14)を締固めることを特徴とするコンクリート締固め方法。
- トンネル(12)内に型枠(16)を使用して覆工用のコンクリート(14)を打設する装置において、長尺な牽引部(18)の先端に振動部(20)を備えてなる振動部材(22)の外周または/および内部の長さ方向全域に芯材(24)を配し、この振動部材(22)を、その基端を巻揚機構(28)に装着し、型枠(16)の長さ方向に沿わせて配設させたことを特徴とするコンクリート締固め装置。
- 振動部材(22)の先端を、牽引材(30)を介して別の巻揚機構(32)に装着し、振動部材(22)に張力を付与することを特徴とする請求項2記載のコンクリート締固め装置。
- 振動部材(22)の先端を、既コンクリート打設部(34)に埋設されてトンネル前方に延出させた案内軌道部材(56)に装着し、この案内軌道部材(56)に沿わせて振動部材(22)を移動させることを特徴とする請求項2記載のコンクリート締固め装置。
- 巻揚機構(28)に近接させて洗浄機構(40)を配備させることにより、巻揚機構(28)による巻揚時に、振動部材(22)に付着した打設コンクリートを洗浄除去することを特徴とする請求項2、請求項3または請求項4記載のコンクリート締固め装置。
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