JP3927550B2 - トンネル履工のアーチクラウン部のコンクリート締め固め装置 - Google Patents

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Description

この発明は、トンネル内の二次覆工用のコンクリートを打設する際に、特に締固めが困難とされているアーチクラウン部に打設されるコンクリートの締固めに使用される装置に関するものである。
従来アーチクラウン部のコンクリート締固めは、型枠にコンクリートバイブレーターを所定間隔で固定して行うことが一般的であった。
しかし、この方法においては多数のコンクリートバイブレーターを閉鎖空間であるトンネル内で駆動させるために、騒音が極めて大きい。
そこで、これを解決するために、コンクリートバイブレーターを打設コンクリート内を移動させて締固めを行う技術が提案されている。
特開2003-227297号
上記特許文献には以下の技術が開示されている。
トンネル内に型枠を使用してコンクリートを打設する工程において、牽引部の先端に振動部を備え、牽引に適した素材からなる振動部材を型枠とトンネル内壁面との間に、その基端を巻揚機構に装着して型枠の長さ方向に沿わせて配設させた後、型枠とトンネル内壁面との間へのコンクリート打設後またはコンクリート打設時に振動部材(コンクリートバイブレーター)を移動させると共に、巻揚機構を介して振動部材を巻揚げ、繰出すことにより、型枠の長さ方向に沿わせて移動させ、コンクリートを締固めする。
従来技術は次のような欠点を有している。
1)コンクリート内に配設される牽引部を直接巻揚機構で巻揚げる構成であるから、牽引部にコンクリートが付着した場合、巻揚げ機に付着しないように洗浄機構で洗浄しなければならず、余分な装置と管理が必要である。
2)巻揚げ、繰出し時には前後の巻揚げ機の連動が不可欠であり、巻揚げ機の機構や制御方法に制約が多く、扱いも難しい。
3)巻揚げ機が前後2つ必要であるため、締固め完了後必ずどちらかの牽引部(ワイヤー等)を回収しなければならない。
4)牽引部の回収により牽引ワイヤー部は空洞として残り、構造的な欠陥となる恐れがある。
5)巻揚げ、繰出しができるとされているが、現実的には繰出し力の確保が困難(高トルク巻揚げ機が前部にも必要となる。)で巻揚げ動作のみの操作となることが多い。
6)従って一旦後退させた振動機を前進させにくいがため、天板全体にコンクリートが行き渡ってからの加振締固め作業となり、巻上げ機には数十トンの牽引力が必要となる。(大型/高コスト)
請求項1の発明は以下の構成である。
トンネル履工のアーチクラウウン部に配設されるコンクリートバイブレーターの前後に牽引条を連結し、前記コンクリートバイブレーターの一端にキャブタイヤケーブルを連結する。このキャブタイヤケーブルはコンクリート未施工側に引き回す。前記アーチクラウン部のコンクリート未施工側及び施工側にそれぞれアンカーを設置し、このアンカーに第1の案内部材を取り付ける。そして、前記前後の牽引条はそれぞれ第1の案内部材に沿わせて向きが変更されて端部がアンカーに固定され、前記アンカーと第1の案内部材との間にはそれぞれ第1の案内部材とは逆方向に牽引条の向きを変える第2の案内部材が配設されている。また、前記前方の牽引条の第2の案内部材と後方の牽引条の第2の案内部材とは制御条で連結される。前記制御条には回転体を介在させ、前記回転体の回転により制御条が移動し、もって前記コンクリートバイブレータがアーチクラウン部に沿って移動するようにして、トンネル履工のアーチクラウン部のコンクリート締め固め装置を構成する。
前記牽引条は、ワイヤ、チェーンなどを使用する。
前記牽引用ワイヤの案内部材は、滑車、ローラーなどを使用する。また、第2の案内部材同士を連結する制御条は、ワイヤ、チェーンなどを使用する。そして、制御条を移動させる回転体は、制御条がワイヤの場合はローラ−、チェーンの場合はスプロケットホイールを使用する。
前記回転体は、電動機で駆動されるもの、油圧式のものなど駆動力は問わない。
前記牽引条はキャタイヤケーブルに内装することが好ましいが(請求項)、牽引条とキャブタイヤケーブルは独立させてもよい。
コンクリートバイブレーターへの給電は、一方のアンカーにコンクリートバイブレーター駆動用電力の導電線を取り付け、これにキャブタイヤケーブルの先端に設けた受電部を接続することが好ましいが(請求項)、キャブタイヤケーブルの受電部を発電機に直接接続してもよい。
この発明に使用するコンクリートバイブレーターは、コンクリート内の移動を移動しやすいこと、コンクリートバイブレーター除去後の空洞が可及的に生じないようにすることから、小径の棒状のものが好ましい。特に、中間に防振継ぎ手を備えた棒状とし、低振動部の2箇所以上にコンクリートバイブレーターが型枠に接触することを防止するためのスペーサーを設けたものが好ましい(請求項)。
この発明は、上記従来技術の欠点を補い、より簡易に均質なコンクリート締固めが出来るようなされたものであり、特に次の課題の解決を目的としたものである。
1)巻揚げ機の牽引部(ワイヤー)の洗浄が不要であること。
2)バイブレータの前後両方向の移動が簡単にできること。
3)締固め完了後、ワイヤーの回収が不要であること。
4)巻揚げ機が1台で構成できること。
この発明の装置は、コンクリート打設作業の施工区間の後方端又は両端にアンカーを設置し、アーチクラウン部に配設したコンクリートバイブレータ−の牽引条を、前記アンカーに取り付けられた第1の案内部材に沿わせる。このとき牽引条はたるみのない状態としておく。他方トンネルの下部に回転体を設置し、回転体を制御条に介在させる。前記制御条もたるみのない状態としておく。
この状態で、バイブレータを駆動させると共に回転体を回転させると、牽引条が前後に移動し、その結果コンクリートバイブレータ−はアーチクラウン部を牽引条にそって移動する。
この発明によれば、以下の通り上記課題が解決される。
1)前記回転体の回転方向を変えるのみでコンクリートバイブレーターの進行方向を変えることができる。すなわち、往復移動を容易に行うことができる。
2)締固め完了後は、コンクリートからバイブレーターを取り除き、牽引条はそのままコンクリート中に埋め殺すことにより、コンクリート中に中空部が生じるおそれがない。
3)牽引条と制御条とでループが形成されるので、1台の回転体により、バイブレーターを前後に自在に移動させることができる。
4)この発明の上記特許文献1における巻揚げ機に相当する回転体は、牽引条を直接作動させるものではなく、コンクリート内を通過しない制御条を作動させるものである。したがって、牽引条にコンクリートが付着しても回転体の作動に全く影響しない。よって、牽引条の洗浄は不要である。
図1はこの発明の装置の概略を示すものである。トンネルのアーチクラウン部1にコンクリートバイブレーター2が配設してあり、その後端(図中左側)に牽引条となるワイヤを内装したキャブタイヤケーブル3が連結してあり、前端に牽引条となるワイヤ4が連結してある。
前記キャブタイヤケーブル3は、後方のアンカー5に取り付けられた第一の案内部材である固定滑車6,第2の案内部材である自在滑車7に沿わせてジグザグに向きを変えて配設してある。このキャブタイヤケーブル3の先端には受電部8が設けてある。この受電部8は基端が前記アンカー5に固定された導電線9の先端に結合してあり、キャブタイヤケーブル3及び内装されたワイヤは、前記導電線9を介してアンカー5に固定されている。
他方、前記バイブレーター2の前端に連結されたワイヤ4は、型枠内部に取り付けられたガイド10,第一の案内部材である固定滑車11、第2の案内部材である自在滑車12に沿わせて向きを変え、ワイヤ4の先端が前方のアンカー13に固定されている。
前記固定滑車6とガイド10は、前記キャブタイヤケーブル3及びワイヤ4がアーチクラウン部の型枠とほぼ平行に配設される位置に設置してある。
前記二つの自在滑車7,12は制御条となる制御ワイヤ14で連結されている。コンクリート打設施工区間の中央部に、二つの固定滑車15,16が設置してあり、これらの固定滑車によって前記制御ワイヤ14は下方へ導かれ、回転体17に沿わせてある。
上記において、コンクリートバイブレータ2に取り付けられた前後のワイヤ及び制御条としての制御ワイヤ14は高い張力で配設され、前記回転体17の回転により制御ワイヤ14が移動し得るようにしてある。
図4,図5はこの発明の装置に適したコンクリートバイブレータ2である。
このコンクリートバイブレータ2は棒状であって、先端にワイヤ4を連結するためのリング18が設けてあり、後端にワイヤを内装したキャブタイヤケーブル3が連結してある。
前記コンクリートバイブレータ2は、中間に防振継ぎ手19が設けてあり、低振動部には2箇所にスペーサー20が設けてある。このスペーサー20は、バイブレーターが型枠に接触することを防止するためのもので、図に示すように放射状の突起として構成し、バイブレーターの進行を可及的に阻害しないようにしてある。また、前記防振機構19により、バイブレータの振動のワイヤへの伝達を可及的に減らすことができる。
以下この装置の使用方法を説明する。
図1,2中右側から、型枠内にコンクリートを打設する。型枠内に打設されたコンクリートが増えるに従い、コンクリート面は側壁部から徐々に上昇し、やがて型枠の天板部に達する。バイブレータ2の全体がコンクリートで埋まる程度になったところでバイブレータ2を駆動させる。
バイブレータ2を振動させたまま十数秒の時間を掛けながら回転体17を反時計回りに回転させる。回転体17を反時計回りに回転させると、制御ワイヤ14は図中右側へ移動するので、前後の自在滑車7,12も右側へ移動する。自在滑車7,12が右側へ移動することにより、バイブレータに連結されたワイヤは図中左側(後方)へ移動する。したがって、バイブレータも振動しつつ同方向へ移動することとなり、バイブレータの移動した区間において打設コンクリートは締固められる。
コンクリートが十分に打設された区間(図2における斜線部分)を移動の後、コンクリートの少ない箇所に至ったときには一旦振動を停止し、再びコンクリートが増えるのを待つ。以降、上記の動作を繰り返す。
尚、コンクリートの打設速度によっては、コンクリートの増加速度に合わせて振動機を連続的に引き続けたり、前進後退を繰り返しながら漸次後退したりする。
上記操作により全区間の締固めが完了したとき、バイブレータ2は図中左端に位置する。すなわち、バイブレータ2は打設コンクリートの外にあり、コンクリート内にはワイヤのみが残る。
ここで、ワイヤの回収は行なわず、振動機および滑車から外し任意に切断しコンクリート中に埋設したままとする。
ワイヤを埋め殺しとすることにより以上、従来技術の致命的問題点である締固め後のワイヤー引き抜きによる空洞化による欠陥懸念が解消されるという大きな効果が得られる。
この発明によれば、
1)回転体の回転方向を変えるのみでバイブレータの前進・後進を切り替えることができるため、きめの細かい締固め作業が可能となる。
2)締固め後にコンクリート内に残るワイヤは埋め殺しにすることができ、ワイヤなどの回収による空洞形成による欠陥懸念が全く無い。
などの効果が得られる。
3)回転体が制御する制御条がコンクリート中に入り込むことが無いため、ワイヤなどの洗浄が一切不要となる。
また、全体装置を小形・軽量とすることができ、設置/移動が容易で工期の短縮にも貢献でき、あわせて、回転体で操作が可能であるため、省スペース・低コスト化が可能となる。
よって、産業上利用可能性を有するものである。
この発明の実施状態を示す概略図 この発明の実施形態における施工当初の状態を示す図 同じく施工完了時の状態を示す図 同じくコンクリートバイブレーターの正面図 同じく右側面図
符号の説明
1 アーチクラウン部
2 コンクリートバイブレーター
3 キャブタイヤケーブル
4 ワイヤ
5 後部アンカー
6 固定滑車
7 自在滑車
8 受電部
9 導電線
10 ガイド
11 固定滑車
12 自在滑車
13 前部アンカー
14 制御ワイヤ
15 固定滑車
16 固定滑車
17 回転体
19 防振継ぎ手
20 スペーサー

Claims (4)

  1. トンネル履工のアーチクラウン部に配設されるコンクリートバイブレーターの前後に牽引条が連結され、前記コンクリートバイブレーターの一端にキャブタイヤケーブルが連結され、このキャブタイヤケーブルはコンクリート未施工側に引き回され、
    前記前後の牽引条はそれぞれ第1の案内部材に沿わせて向きが変更されて端部アンカーに固定され、前記アンカーと第1の案内部材との間にはそれぞれ第1の案内部材とは逆方向に牽引条の向きを変える第2の案内部材が配設され、
    前記前方の牽引条の第2の案内部材と後方の牽引条の第2の案内部材とは制御条で連結され、前記制御条には回転体が介在し、
    前記回転体の回転により制御条が移動し、もって前記コンクリートバイブレーターがアーチクラウン部に沿って移動するようにした、トンネル履工のアーチクラウン部のコンクリート締め固め装置
  2. 牽引条はキャタイヤケーブルに内装した、請求項に記載のトンネル履工のアーチクラウン部のコンクリート締め固め装置
  3. キャブタイヤケーブルは先端に受電部を有し、この受電部の一端がアンカーに固定された導電線に接続された、請求項記載のトンネル履工のアーチクラウン部のコンクリート締め固め装置
  4. コンクリートバイブレータ−は、中間に防振継ぎ手を備えた棒状とし、低振動部の2箇所以上にスペーサーを設けたものとした、請求項に記載のトンネル履工のアーチクラウン部のコンクリート締め固め装置
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