JP3277866B2 - X線診断装置 - Google Patents
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Description
照射に伴ってX線透視像検出器から出力されるX線検出
信号に基づき被検体のX線透視画像の表示を行うX線診
断装置に係り、特にX線透視画像の中に散乱X線除去用
のX線グリッドがアーチフアクト(偽像)として現れる
ことを防止するための技術に関する。
3に示すように、天板51の上に載置された被検体(患
者)MにX線を照射するX線管52と、天板51を挟ん
で対向配置されたX線透視像検出用のイメージインテン
シファイア53と、X線透視画像を表示するモニタ54
等を備え、X線管52から被検体MへX線が照射される
のに伴ってイメージインテンシファイア53で検出され
る被検体MのX線透視像が、イメージインテンシファイ
ア53の後段に設置されたTVカメラ(図示省略)で撮
像されてからAD変換・画像処理などを経て、最終的に
X線透視画像としてモニタ54の画面の上に映し出され
るという構成になっている。
X線診断装置の場合、線状の濃度ムラを呈するアーチフ
ァクトがX線透視画像の中に出現し画質を低下させると
いう問題がある。従来のX線診断装置では、イメージイ
ンテンシファイア53の前に設置した散乱X線除去用の
X線グリッド55で散乱X線をカットすることにより、
イメージインテンシファイア53への散乱X線の入射を
防止する構成がとられている。したがって、X線グリッ
ト55のX線透視像も被検体MのX線透視像と一緒にイ
メージインテンシファイア53で検出されて同時に表示
されることになる。ただ、X線グリッド55は多数の薄
板状の金属製格子が極狭い一定の間隔を保って平行に配
置された構造のものであり、従来装置の場合、撮像系の
解像度がX線グリッド55の格子間隔を識別できるレベ
ルに達していなかったことから、X線グリッド55が見
かけ上はX線透視画像の中に現れず問題とならなかっ
た。
は著しく、高精細型(高分解能)のイメージインテンシ
ファイアの出現や1000×1000といったマトリッ
ク構成を有する高分解能CCD式TVカメラの出現によ
り、撮像系の解像度がX線グリッド55の格子間隔を識
別できるレベルに達したことから、X線グリッド55が
線状の濃度ムラを呈するアーチファクトとなってX線透
視画像の中に出現するようになった。
撮像系が識別できないようにもっと縮められれば、見か
け上、X線グリッド55は画像中に現れなくなる。しか
し、現在でもX線グリッド55の格子間隔は1cm当た
り40本というほど非常に狭く、今まで以上に狭い格子
間隔のX線グリッドは製造コストが高くなり過ぎる。ま
た、格子間隔の縮小により透過X線の線質変動が生じ、
X線透視像の検出感度特性が変わってしまうということ
も問題である。そのため、X線グリッド55の格子間隔
を縮めるということでは問題を解決することは無理であ
る。
除去用のX線グリッドの格子間隔を縮めることなく、X
線グリッドに起因するアーチファクトの無いX線透視画
像を得ることができるX線診断装置を提供することを課
題とする。
め、この発明のX線診断装置は、天板の上に載置された
被検体にX線を照射するX線管と、天板を挟んで前記X
線管に対向配置されているとともに被検体のX線透視像
を検出してX線検出信号を出力するX線透視像検出器
と、X線透視像検出器の前に設置されている散乱X線除
去用のX線グリッドと、X線透視像検出器からのX線検
出信号に従って原X線画像を記憶する原画像記憶手段
と、原X線画像を画像処理して得られるX線透視画像を
表示する画像表示手段とを備えたX線診断装置におい
て、天板の上にファントム(均質被検体)が置かれたフ
ァントム載置状態および天板の上に何も載置されていな
いブランク状態のいずれか一方の状態でのX線撮影によ
って得られるX線透視像検出器からのX線検出信号に従
って、X線グリッドによる画像上の線状の濃度ムラに相
応する濃度ムラ補正用画素データを原X線画像上の位置
と対応付けして記憶する濃度ムラデータ記憶手段と、濃
度ムラデータ記憶手段に予め記憶してある濃度ムラ補正
用画素データに基づき、天板の上に被検体が載置された
状態でのX線撮影によって得られる原X線画像の各画素
データに対して、X線グリッドに起因する線状の濃度ム
ラがX線透視画像から除かれるように補正処理を行う濃
度ムラ補正手段とを備え、さらに、X線管とX線透視像
検出器との距離を変更することによってX線透視画像の
表示倍率を変更する際に、X線透視像検出器に投影され
るX線グリッドのX線透視像についての像拡大率をX線
管とX線透視像検出器との距離に応じて求出する像拡大
率求出手段を備え、前記濃度ムラデータ記憶手段は、X
線グリッドのX線透視像についての種々の像拡大率に対
応つけて種々に拡大された濃度ムラ補正用画素データを
記憶しており、かつ、前記像拡大率求出手段により求め
られた像拡大率に応じた濃度ムラ補正用画素データが前
記濃度ムラデータ記憶手段から選択されて前記濃度ムラ
補正手段へ送られるよう構成されている。
よるX線撮影の際のアーチファクト消去作用について説
明する。この発明のX線診断装置によるX線撮影が行わ
れる場合、X線管から天板の上の被検体へX線が照射さ
れると同時に、X線透視像検出用のX線透視像検出器か
ら出力されるX線検出信号に従って原画像記憶手段へ原
X線画像が記憶される。この発明のX線診断装置でも、
やはりX線透視像検出器の前に散乱X線除去用のX線グ
リッドが設置されていて、原X線画像には被検体のX線
透視像と重なる形でX線グリッドのX線透視像が含まれ
ることから、X線グリッドのX線透視像の信号分を除か
ないままX線透視画像を表示すると、X線透視画像の中
にX線グリッドによる線状の濃度ムラのアーチファクト
が出現してしまう。
にファントムが置かれたファントム載置状態、および、
天板の上に何も載置されていないブランク状態のいずれ
かの状態でのX線撮影が、被検体のX線撮影に先立って
行われ、このX線撮影により得られるX線透視像検出器
からのX線検出信号に従って、X線グリッドによる画像
上の線状の濃度ムラに相応する濃度ムラ補正用画素デー
タを、原X線画像上の位置と対応付けして濃度ムラデー
タ記憶手段ヘ予め記憶する。
れた状態でのX線撮影によって得られる原X線画像の各
画素データに対し、濃度ムラ補正手段により、予め記憶
しておいた濃度ムラ補正用画素データに基づき、X線グ
リッドに起因する線状の濃度ムラがX線透視画像から除
かれるように補正処理を行う。この画素データの補正処
理は、被検体の原X線画像の画素データにおけるX線グ
リッドのX線透視像の信号分だけを、予め記憶しておい
た濃度ムラ補正用画素データを使ってキャンセル(差し
引く)する画像処理であり、アーチファクトを引き起こ
すX線グリッドのX線透視像の信号分をX線透視画像か
ら取り除く処理である。すなわち、この発明のX線診断
装置の場合、X線グリッドの像だけに対するX線撮影を
予め実行することにより得る濃度ムラ情報に基づき、実
際の被検体のX線撮影で得られる原X線画像の各画素デ
ータからX線グリッドの信号分を差し引く画像処理を行
い、X線グリッドに起因するアーチファクトの無いX線
透視画像を得るのである。
拡大率求出手段によりX線透視像検出器に投影されるX
線グリッドのX線透視像(以下、適宜「X線グリッド透
視像」と略記)についての像拡大率が求められ、求めら
れた像拡大率に応じた濃度ムラ補正用画素データが濃度
ムラデータ記憶手段から選択されて濃度ムラ補正手段へ
送られ、濃度ムラ補正手段による画素データの補正処理
が行われる。
視画像の表示倍率が変更されるが、これに伴ってX線透
視像検出器に投影される被検体のX線透視像の像拡大率
が変わり、当然、X線グリッド透視像の像拡大率も変化
し、被検体の原X線画像における濃度ムラの像倍率が変
わる。この濃度ムラの像倍率の変化は画像上での位置変
動を伴うので、濃度ムラ補正用画素データとの位置対応
関係にズレが生じ、画素データの補正処理を行っても、
濃度ムラを引き起こす信号分がきっちりとキャンセルさ
れない。そこで、この発明では、X線グリッドのX線透
視像についての種々の像拡大率に対応つけて種々に拡大
された濃度ムラ補正用画素データを濃度ムラデータ記憶
手段に記憶しておき、像拡大率求出手段により求められ
た像拡大率に応じた濃度ムラ補正用画素データを濃度ム
ラデータ記憶手段から選択して、被検体の原X線画像の
濃度ムラと濃度ムラ補正用画素データとの位置対応関係
をズレないようにしておいて画素データの強度補正を行
うので、濃度ムラを引き起こす信号分がきっちりキャン
セルされる。
面を参照しながら説明する。図1は実施例に係るX線診
断装置の全体構成を示すブロック図、図2は実施例装置
のX線グリッドの構成を示す斜視図、図3はフラットパ
ネル型X線センサ(以下、適宜「X線センサ」と略記す
る)でのX線検出素子の配列を示す平面図、図4はX線
センサの大略構成を示す斜視図、図5はX線センサの層
構造を示す断面図、図6はX線センサの回路構成を示す
ブロック図である。
に、被検体Mを載置する天板1と、天板1の上に載置さ
れた被検体MにX線を照射するX線管2と、天板1を挟
んでX線管2に対向配置された2次元アレイ方式のフラ
ットパネル型X線センサ(X線透視像検出器)3と、天
板1の下側であってX線センサ3の前方となる位置に設
置されたX線グリッド4と、X線センサ3からAD変換
部5を介して送り込まれるX線検出信号に従って原X線
画像を記憶する原画像メモリ6と、原X線画像を画像処
理して得られるX線透視画像を表示するモニタ(画像表
示手段)7などを備え、X線管2からのX線照射に伴っ
て被検体MのX線透視像がX線センサ3で検出されると
同時に、X線センサ3からX線検出信号が読み出された
後、AD変換・画像処理などを経て、最終的にモニタ7
の画面にX線透視画像として映し出される構成となって
いる。
グリッド4は、散乱X線がX線センサ3に入射するのを
防止するために設けられているものであり、図2に示す
ように、多数の薄板状の金属製格子4a,…,4aが極
狭い一定の間隔を保って平行に配置された構造となって
いる。また、上の他、実施例のX線診断装置は、被検体
MのX線透視像をフィルム撮影するカセッテレス式の速
写撮影機構(図示省略)も備えていて、実施例装置はX
線透視撮影装置構成となっている。以下、実施例装置の
各部について、より具体的に説明する。
駆動制御部8のコントロールにより前後・左右の他、上
下に移動させられるよう構成されている。この駆動制御
部8は、キーボード9やマウス10からの操作入力によ
り撮影制御部11から送出される指令信号に従って、天
板1の動きをコントロールすることになる。さらに、X
線管2および矩形の平面形状を有するフラットパネル型
X線センサ3も、駆動制御部8のコントロールにより、
対向配置状態を維持したままの状態で連動して移動させ
られたり、必要に応じてX線管2とX線センサ3との間
隔(距離)を調整するために、X線管2あるいは加えて
X線センサ3も上下に移動させたり出来るよう構成され
ている。これらX線管2やX線センサ3の動きも、やは
り撮影制御部11から送出される指令信号に従ってコン
トロールされる。
制御部12のコントロールにより、設定された照射条件
に従ってX線を照射するよう構成されている。この照射
制御部12は、キーボード9やマウス10からの操作入
力により撮影制御部11から送出される指令信号に従っ
て、照射制御部12の動作をコントロールするととも
に、照射条件情報(X線管2の管電圧や管電流)を必要
箇所ヘ出力したりする。
よって生じる被検体MのX線透視像を検出しX線検出信
号としての電気信号に変換して出力するという構成のセ
ンサであって、図3に示すように、多数のX線検出素子
XDが縦横に配列された所謂2次元アレイ方式のセンサ
である。X線センサ3におけるX線検出素子XDの配列
は、例えば横(X)方向1024,縦(Y)方向102
4の正形マトリックス構成が挙げられ、X線センサ3の
平面寸法としては、例えば縦横約30cmが挙げられ
る。
することから、検出面が円形に限られるイメージインテ
ンシファイアと違って、例えば、胸部や腹部など大きな
部位を撮影するのに適した方形の検出面が可能である
他、検出面に投影されたX線透視像上での寸法と被検体
上での寸法との間の比例関係が全面にわたって維持され
るので、周辺像歪みがなく、また薄型・軽量であって、
天板下側での機械的構造の簡素化図れるのに加え、解像
度が高いなど多くの利点を有するので、今すこし具体的
に説明する。
示すように、入射X線を電荷あるいは光に変換するX線
変換層13と、X線変換層13で生じた電荷あるいは光
を検出する素子が縦横にマトリックス状に配置形成され
ている検出アレイ層14との積層構造となっており、図
5(a)に示す直接変換タイプのセンサと、図5(b)
に示す間接変換タイプのセンサとがある。
13が入射X線を直に電荷に変換するセレン層やCdZ
nTe層などからなり、検出アレイ層14の表面に電荷
検出素子15として表面電極16に対向形成された電荷
収集電極群でもって電荷の検出を行いX線検出信号を送
出する構成となっていて、各電荷検出素子15とその上
のX線変換層13の一部分とで1個のX線検出素子XD
が形成される。
13が入射X線を光に変換するシンチレータ層からな
り、検出アレイ層14の表面に光検出素子17として形
成されたフォトダイオード群でもって光の検出を行いX
線検出信号を送出する構成となっていて、各光検出素子
17とその上のX線変換層13の一部分とで1個のX線
検出素子XDが形成される。
うに、各X線検出素子XD,…,XDがそれぞれTFT
(Thin Film Transister:薄膜トランジスタ) 18を介
して縦横に走る読出配線19,20に接続されていると
ともに、読出し配線19,20は、それぞれX(横)読
出し駆動部21あるいはY(縦)読出し駆動部22に接
続されており、通常、走査信号発生部25からX,Y読
出し駆動部21,22へ読み出し用のX,Y走査信号が
送出される。X線センサ3の各X線検出素子XDの特定
はX方向・Y方向の配列に沿って各X線検出素子XDへ
順番に割り付けられている0〜1023のアドレスに基
づいて行われるので、読み出し用のX,Y走査信号は、
それぞれX方向アドレスまたはY方向アドレスを指定す
る信号となる。
1あるいはY読出し駆動部22から読出し配線19,2
0に対して読み出し用の電圧が印加されるのに伴い、各
検出素子XD,…,XDより順番にX線検出信号がTF
T17から読出し配線20を通り、さらに各プリアンプ
23およびマルチプレクサ24を経てX線検出信号とし
て取り出される。すなわち、X線センサ3からのX線検
出信号の読み出し方式は、概ね通常のTVカメラなどの
映像検出器に準ずる構成である。実施例のX線センサ3
の場合、両読出し駆動部21,22やプリアンプ23お
よびマルチプレクサ24は検出アレイ層14の表面周縁
に設置されていて、集積化構成のセンサとなっている。
X線検出信号は、AD変換部5でディジタル化された
後、X線センサ3でのX線検出素子のXYマトリック構
成に対応するXYマトリックス構成を持つフレームメモ
リ方式の原X線画像メモリ6へ原X線画像として記憶さ
れる。なお、記憶部26は、ディスク方式の記憶機器で
あって、必要な実行プログラムのロードやX線画像の収
録の際に用いられる。また、実施例装置の場合、上記の
駆動制御部8や撮影制御部11、照射制御部12など
は、それぞれ、コンピュータ(CPU)およびその実行
プログラムを中心に構成されるものである。
X線透視画像の中に散乱X線除去用のX線グリッドに起
因するアーチファクトが出現することを防止できる構成
を備えていることが顕著な特徴となっているので、以
下、この点について具体的に説明する。
1の上にファントムが置かれたファントム載置状態、又
は、天板1の上に何も置かれていないブランク状態のど
ちらかの状態でのX線撮影により得られる原X線画像
を、X線グリッド4による画像上の線状の濃度ムラに相
応する濃度ムラ補正用画素データとして原X線画像上の
位置を維持して記憶する濃度ムラデータメモリ27と、
濃度ムラデータメモリ27に予め記憶してある濃度ムラ
補正用画素データに基づき、天板1の上に被検体Mが載
置された状態でのX線撮影によって得られる原X線画像
の各画素データに対して、X線グリッド4に起因する線
状の濃度ムラがX線透視画像から除かれるよう画素デー
タの補正処理(濃度値補正処理)を行う濃度ムラ補正部
28とを備えている。
メモリ6と同じXYマトリックス構成のフレームメモリ
方式の記憶メモリであり、原X線画像メモリ6に記憶さ
れた画像を同一のアドレス対応で転写記憶させられる構
成となっている。天板1の上がファントム載置状態また
はブランク状態にある撮影の場合、図7に示すように、
実質的にX線グリッド4が金属製格子4a,…,4aの
配列パターンに相応するパターンで濃度ムラWが出現す
る原X線画像が原X線画像メモリ6へ記憶されるので、
これを濃度ムラ補正用画素データとして原X線画像メモ
リ6から濃度ムラデータメモリ27へ転写するかたちで
記憶することになる。図7の濃度ムラWは縦線状濃淡パ
ターンであるから、金属製格子4a,…,4aの長手方
向がX線センサ3のY方向に平行となるようX線グリッ
ド4が配置されている。なお、この濃度ムラ補正用画素
データの記憶の際に使われるファントムとしては、人間
の体厚と同程度の厚みのアクリル樹脂ブロックや人間の
体厚の1/4〜1/5程度の厚みのアルミニウム平板な
どが、一例として挙げられる。
一定と言うわけではなく、X線管2の管電圧や、X線グ
リッド透視像の像拡大率の変更に伴って変化する。X線
管2の管電圧は線状の濃度ムラWの濃さと関係する。図
8は、図7において走査線LXが示すように、縦線状の
濃度ムラWに対し直角となるX方向に沿って位置する画
素のデータ強度(濃度値)変化を示すラインプロファイ
ルであるが、図8(a)の場合の方が図8(b)の場合
よりX線管2の管電圧が高い。図8(a)に示すよう
に、X線管2の管電圧が高い場合のラインプロファイル
LPHにおけるのデータ強度の変化幅H1より、図8
(b)に示すX線管2の管電圧が低い場合のラインプロ
ファイルLPLにおけるデータ強度の変化幅H2の方が
大きい。低管電圧のX線の方が線質が軟らかくて金属製
格子4aに吸収され易く濃淡コントラストが付き易いか
らである。
度ムラWの間隔に関係している。撮影対象の関心部位の
位置や患部の状態に応じて、しばしば被検体のX線透視
画像の倍率が変更されるが、これに伴ってX線グリッド
透視像の像拡大率が変わる。このX線グリッド透視像の
像拡大率の変化は、画像中の濃度ムラWの像倍率変化と
なって現れる結果、画像上での格子間隔が変化する。図
9(a),(b)に示すように、像拡大率が小さくなる
と画像上でのX線グリッド4の格子間隔Wd1が狭くな
り、像拡大率が大きくなると画像上での格子間隔Wd2
が広くなる。なお、X線グリッド透視像の像拡大率の求
め方については後述する。
影時の管電圧と像拡大率とが、濃度ムラ補正用画素デー
タの撮影時のそれと異なれば、濃度ムラ補正対象の原X
線画像の濃度ムラの濃さの程度および位置が濃度ムラ補
正用画素データの画像のそれらと一致しなくなり、濃度
ムラを引き起こす信号分のキャンセルが出来ない。そこ
で、実施例装置の場合、濃度ムラ補正用画素データの原
X線画像を濃度ムラデータメモリ27へ記憶する際、付
随データとしてX線管2の管電圧およびX線グリッド透
視像の像拡大率とを一緒に記憶させる。付随データ用の
管電圧は照射制御部12から送られ、X線グリッド透視
像の像拡大率は(下記に詳述する)像拡大率求出部29
から送られる。また、濃度ムラデータメモリ27へ記憶
する濃度ムラ補正用画素データの原X線画像の枚数は1
枚ではなく、X線管2の管電圧とX線グリッド透視像の
像拡大率を実際に用いる可能性の範囲で様々に変化させ
ながらX線撮影を繰り返し実行し、管電圧と像拡大率の
異なる組み合わせの濃度ムラ補正用画素データの原X線
画像を何枚も記憶して保持する。
出する像拡大率求出部(SID検出部)29について説
明する。X線診断装置の撮像系では、図10に示すよう
に、X線グリッド4での実寸法LAがX線センサ3の上
に投影されたX線透視像では拡大された寸法LBとな
る。この時、X線グリッド4のX線透視像の像拡大率m
(=LB/LA)は、X線管2とX線センサ3の距離h
と、X線グリッド4とX線センサ3の距離dとから、像
拡大率m=h/(h−d)として求めることができる。
制御部8から距離hおよび距離dに相当するデータを受
け取って、〔h/(h−d)〕という演算を実行し像拡
大率mを求出し出力する構成になっている。像拡大率求
出部29が駆動制御部8から受け取るデータのうち距離
dは天板1に関する位置データであるが、天板1とX線
グリッド4の間隔dcが常に一定であるので、天板1に
ついての位置データから距離dcを引いてX線グリッド
4とX線センサ3との距離dが求められる。なお、天板
1とX線グリッド4の間隔dcが狭くて無視できる場合
は、天板1についての位置データをX線グリッド4のも
のと見做してそのまま用いればよい。図10に示すよう
に、像拡大率mは、例えば、X線管2を上方に移動させ
た場合、像拡大率ma =ha /(ha −d)であるか
ら、像拡大率は減少する。逆に、X線管2を下方に移動
させると像拡大率mは増加することになる。
原X線画像の撮影時にX線管2の管電圧を照射制御部1
2から入力し、またX線グリッド透視像の像拡大率mを
像拡大率求出部29から入力して、濃度ムラ補正対象で
ある被検体Mの原X線画像と、入力した管電圧および像
拡大率mと一致する付随データを有する濃度ムラ補正用
画素データの原X線画像との間で、同一アドレスの画素
のデータ同士を差し引く画像処理を実行してから、得ら
れたX線透視画像をモニタ7へ送出するという構成とな
っている。被検体Mの原X線画像と濃度ムラ補正用画素
データの原X線画像は、管電圧および像拡大率mが同一
であれば、両画像中の濃度ムラ、すなわちX線グリッド
透視像による信号分が実質的に同じであるので、同一ア
ドレスの画素のデータ同士を差し引けばX線グリッド透
視像による信号分はキャンセルされて、表示されるX線
透視画像からは濃度ムラが完全に消える。
に示す縦線状の濃度ムラWと直角の走査線LXに沿って
位置する画素のデータ強度変化を示すラインプロファイ
ルであって、図11(a)に示すように、補正前の画像
では被検体MのX線透視像を示す大きな変化の信号分に
X線グリッド透視像を示す細かい変化の信号分が重畳し
ているが、図11(b)に示すように、X線グリッド透
視像だけを示す濃度ムラ補正用画素データの信号分が補
正により差し引かれて、補正後は、図11(c)に示す
ように、被検体MのX線透視像を示す大きな変化の信号
成分だけとなる。この時、X線センサ3の検出面に輝度
ムラがあれば、両画像を差し引く画像処理により輝度ム
ラも同時にキャンセルされる。
視画像はDA変換部30でアナログ信号に変換された
後、モニタ7へ送られる。なお、上の濃度ムラ補正部2
8や像拡大率求出部29は、コンピュータおよびその実
行プログラムを中心に構成されるものである。
補正用画素データの予備記憶および被検体MのX線撮影
を実行する際の装置動作を説明する。 〔ステップS1〕天板1の上にファントムを置いてから
天板1を所定の撮影位置まで移動させる。
グリッド透視像の像拡大率mを所定の値にセットしてX
線撮影を実行しX線センサ3から出力されるX線検出信
号に従って原X線画像を原X線画像メモリ6へ記憶す
る。
X線画像を濃度ムラ補正用画素データとしてX線管2の
管電圧およびX線グリッド透視像の像拡大率mと共に濃
度ムラデータメモリ27へ記憶する。
度ムラ補正用画素データの原X線画像が尚残っていれ
ば、X線管2の管電圧あるいはX線グリッド透視像の像
拡大率mを変えて、ステップS2,S3を繰り返し、濃
度ムラ補正用画素データの撮影・記憶を行う。濃度ムラ
補正用画素データの記憶が全て終了していて、記憶する
べき濃度ムラ補正用画素データが無ければ、次のステッ
プに移る。
ムを降ろし、被検体(患者)Mを載せてから天板1を所
定の撮影位置まで移動させる。
線撮影を実行しX線センサ3から出力されるX線検出信
号に従って被検体Mの原X線画像を原X線画像メモリ6
へ記憶する。
被検体Mの原X線画像の撮影時のX線管2の管電圧およ
びX線グリッド透視像の像拡大率mが、照射制御部12
と像拡大率求出部29から濃度ムラ補正部28へ送られ
る。
け取ったX線管2の管電圧およびX線グリッド透視像の
像拡大率mと同じ濃度ムラ補正用画素データの原X線画
像を濃度ムラデータメモリ27から入力するとともに、
原X線画像メモリ6から被検体Mの原X線画像を入力す
る。
被検体Mの原X線画像から濃度ムラ補正用画素データの
原X線画像を差し引く画像処理を実行してX線透視画像
をモニタ7へ出力する。
グリッドに起因するアーチファクトの無いX線透視画像
が表示される。
部位が被検体Mにあれば、ステップ6以下を繰り返し、
もうX線撮影の必要な部位が無ければ撮影は完了であ
る。濃度ムラ補正用画素データの予備記憶および被検体
MのX線撮影の一連の流れを纏めて図12のフローチャ
ートに示す。
はなく、下記のように変形実施することができる。
度ムラ補正用画素データとして記憶する構成であった
が、図11(b)に示すようにX方向の1走査線分の画
素データだけを濃度ムラ補正用画素データとして記憶す
る構成が、変形例として挙げられる。金属製格子4aは
Y方向に向けて平行に配置されているので、Y方向に対
しては画素データの強度が同一となり、予め記憶した1
走査線分の画素データを、他の走査線の画素データとし
て適用できるからである。ただ、X線グリッド4の全て
の金属製格子4aを正確にY方向に向けて配置すること
は難しいので、原X線画像全体を濃度ムラ補正用画素デ
ータとして記憶する方が正確な補正が行える。
するX線透視像検出器がフラットパネル型X線センサで
あったが、X線透視像検出器がイメージインテンシファ
イアである構成のものが、変形例として挙げられる。
写すカセッテレス式の速写撮影機構を備えた構成であっ
たが、速写撮影機構を装備していない構成のものも、変
形例として挙げられる。
れば、散乱X線除去用のX線グリッドの像だけに対して
X線撮影を予め実行することにより得る濃度ムラ補正用
画素データに基づいて、被検体の原X線画像の各画素デ
ータからX線グリッドの信号分を差し引く画像処理をお
こなう構成を備えているので、散乱X線除去用のX線グ
リッドの格子間隔を縮めないでも、X線グリッドに起因
するアーチファクトの無いX線透視画像を得ることがで
きる。
像拡大率求出手段により求出されたX線グリッド透視像
の像拡大率に応じた濃度ムラ補正用画素データに基づ
き、画素データの補正処理が行われる構成を備えている
ので、X線透視画像の表示倍率が変更される場合でも、
被検体の原X線画像の濃度ムラと濃度ムラ補正用画素デ
ータとの位置対応関係がズレることなく、原X線画像か
らアーチファクトを引き起こすX線グリッドの信号分が
きっちり差し引かれる。
ロック図である。
を示す斜視図である。
の配列を示す平面図である。
斜視図である。
面図である。
ブロック図である。
透視画像を示す平面図である。
管の管電圧の関係を示すグラフ
線グリッド透視像の像拡大率の関係を示す部分平面図で
ある。
の様子を示す模式図である。
を示すグラフである。
一連の流れを纏め示すフローチャートである。
ク図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 天板の上に載置された被検体にX線を照
射するX線管と、天板を挟んで前記X線管に対向配置さ
れているとともに被検体のX線透視像を検出してX線検
出信号を出力するX線透視像検出器と、X線透視像検出
器の前に設置されている散乱X線除去用のX線グリッド
と、X線透視像検出器からのX線検出信号に従って原X
線画像を記憶する原画像記憶手段と、原X線画像を画像
処理して得られるX線透視画像を表示する画像表示手段
とを備えたX線診断装置において、天板の上にファント
ム(均質被検体)が置かれたファントム載置状態および
天板の上に何も載置されていないブランク状態のいずれ
か一方の状態でのX線撮影によって得られるX線透視像
検出器からのX線検出信号に従って、X線グリッドによ
る画像上の線状の濃度ムラに相応する濃度ムラ補正用画
素データを原X線画像上の位置と対応付けして記憶する
濃度ムラデータ記憶手段と、濃度ムラデータ記憶手段に
予め記憶してある濃度ムラ補正用画素データに基づき、
天板の上に被検体が載置された状態でのX線撮影によっ
て得られる原X線画像の各画素データに対して、X線グ
リッドに起因する線状の濃度ムラがX線透視画像から除
かれるように補正処理を行う濃度ムラ補正手段とを備
え、 さらに、X線管とX線透視像検出器との距離を変更する
ことによってX線透視画像の表示倍率を変更する際に、
X線透視像検出器に投影されるX線グリッドのX線透視
像についての像拡大率をX線管とX線透視像検出器との
距離に応じて求出する像拡大率求出手段を備え、 前記濃度ムラデータ記憶手段は、X線グリッドのX線透
視像についての種々の像拡大率に対応つけて種々に拡大
された濃度ムラ補正用画素データを記憶しており、 かつ、前記像拡大率求出手段により求められた像拡大率
に応じた濃度ムラ補正用画素データが前記濃度ムラデー
タ記憶手段から選択されて前記濃度ムラ補正手段へ送ら
れるよう構成されているX線診断装置。
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1997
- 1997-11-11 JP JP30858697A patent/JP3277866B2/ja not_active Expired - Fee Related
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