JP3277729B2 - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP3277729B2
JP3277729B2 JP29562894A JP29562894A JP3277729B2 JP 3277729 B2 JP3277729 B2 JP 3277729B2 JP 29562894 A JP29562894 A JP 29562894A JP 29562894 A JP29562894 A JP 29562894A JP 3277729 B2 JP3277729 B2 JP 3277729B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は良好な金型離型性と耐光
性を有する難燃性樹脂組成物に関する。
【従来の技術】火災の被害を低減するため、OA機器、家
電などの分野では難燃樹脂材料が使用されてきた。近
年OA機器分野を中心として淡色系の色調をもつ製品が好
まれる傾向にあるが、長時間の使用での色調変化は淡色
系では目立ち易いため、耐光性の良好な樹脂材料が要求
されるようになった。他方、成形時間の短縮化、ホット
ランナー成形による成形工程の自動化など新たな成形技
術が使用されるにつれて、樹脂材料への要求品質が高ま
り成形不良の少ない樹脂材料が求められている。特に成
形時間の短縮においては、冷却時間の短縮に伴い成形品
取り出し時の白化現象が発生しやすい傾向にある。この
ため離型性の良好な樹脂材料が望まれる。環境・衛生の
観点から、燃焼時に有害なダイオキシン生成が低い難燃
剤としてハロゲン化エポキシオリゴマーが使用されるよ
うになった。ハロゲン化エポキシオリゴマーを大別する
と、両末端にエポキシ基を有するもの(未封止型)と、
末端エポキシ基をトリブロモフェノールで開環付加させ
たもの(封止型)の2種類が使用されている。未封止型
を使用した場合耐光性は良好であるが金型離型性が著し
く悪く、他方、封止型を使用した場合は金型離型性は良
好であるが耐光性が著しく悪い。また未封止型と封止型
を併用した場合は、それぞれの良好な性能が発現するよ
り、むしろそれぞれの劣っている性能が現れる傾向にあ
る。このように金型離型性と耐光性は背反した性能であ
り、これら性能がともに良好な難燃性樹脂材料は得られ
ていない。離型性と耐光性がともに良好な難燃樹脂材
料が要求される。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、離型性と耐
光性に優れた難燃樹脂組成物の提供を目的とするもの
である。
【0002】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、下記
の(A)成分60〜98重量%と(B)成分40〜2重量%から成る
難燃性樹脂組成物 (A)成分;ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族ビニ
ル叉は芳香族ビニルとこれと共重合可能な他の単量体と
から成る単量体成分(b)を重合して得られるゴム強化樹
脂(Aー1)、及び/叉は、単量体成分(b)を重合して得られ
る重合体(A-2)からなる熱可塑性樹脂 (B)成分;化3で表される化合物の混合物であって、
両末端にエポキシ基を有する化合物(B−1)10〜4
0モル%、末端の片方にのみエポキシ基を有する化合物
(B−2)30〜70モル%および末端にエポキシ基を
有しない化合物(B−3)を10〜50モル%からなる
ハロゲン系難燃剤、
【化3】 (ここで、Xは臭素、塩素などのハロゲン原子を表し、n
は0以上の整数、iは1〜4の範囲にある整数。また−R−
は、−C(CH32−,−CH2−の群から選ばれる同
種あるいは異種の基であり、−R'及び−R"は、
【化4】 の群から選ばれる同種あるいは異種の基である。ただし
-Z は、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物、ア
ミン系化合物などエポキシ基に開環付加可能な試薬を反
応させた場合に生ずる基である。)
【0003】本発明に使用される(A)成分は、ゴム強
化樹脂(A−1)および/または重合体(A−2)から
なる熱可塑性樹脂である。上記(A−1)成分はゴム状
重合体(a)の存在化に芳香族ビニルまたは芳香族ビニ
ルと他の共重合可能な単量体成分(b)を重合して得ら
れるゴム強化樹脂である。 また、上記(A−2)成分
は、上記単量体成分(b)を重合して得られる重合体で
ある。上記ゴム状重合体(a)としては、ポリブタジエ
ン、ブタジエンースチレン共重合体、ポリイソプレン、
ブタジエンーアクリロニトリル共重合体、エチレンープ
ロピレンー非共役ジエン共重合体、イソプレンーイソブ
チレン共重合体、アクリルゴム、スチレンーブタジエン
ースチレンブロック共重合体、スチレンーブタジエンー
スチレンラジアルブロック共重合体、スチレンーイソプ
レンースチレンブロック共重合体,SEBSなどの水素
添加ジエン系(ブロック、ランダム、およびホモ)重合
体、ポリウレタンゴム、シリコーンゴムなどが挙げられ
る。これらのなかで、ポリブタジエン、ブタジエンース
チレン共重合体、エチレンープロピレンー非共役ジエン
共重合体、水素添加ジエン系重合体およびシリコーンゴ
ムが好ましい。ゴム強化樹脂(A−1)および重合体
(A−2)を重合するのに用いる単量体成分(b)は、
芳香族ビニルまたは芳香族ビニルとこれに共重合可能な
他の単量体とからなる成分である。
【0004】上記芳香族ビニル化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、p−ヒドロキシス
チレン、α−エチルスチレン、メチル−α−メチルスチ
レン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモス
チレン、トリブロモスチレン、クロスチレン、ジクロ
スチレン、トリクロスチレン、スチレンスルホン酸
ナトリウムなどが挙げられる。これらのなかでスチレ
ン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好まし
い。芳香族ビニル化合物に共重合可能な他の単量体とし
ては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エス
テル、マレイミド系化合物、無水マレイン酸などが挙げ
られる。
【0005】上記シアン化ビニル化合物としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。こ
れらのなかで、アクリロニトリルが好ましい。また、上
記(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル
などが挙げられる。これらのなかでメタクリル酸メチ
ル、アクリル酸ブチルが好ましい。さらに、上記マレイ
ミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイ
ミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミ
ド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイ
ミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマ
レイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N
−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4
−カルボキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロ
キシフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニ
ル)マレイミド、トリブロモフェニルレイミド、N−
(4−クロフェニル)マレイミドなどが挙げられる。
これらのなかで、N−フェニルマレイミド、N−シクロ
ヘキシルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)
マレイミド、およびトリブロモフェニルマレイミドが好
ましい。
【0006】ゴム強化樹脂(A−1)を形成する、ゴム
状重合体(a)と単量体成分(b)の割合は、ゴム状重
合体(a)が好ましくは、5〜70重量%、さらに好ま
しくは、15〜65重量%であり、単量体成分(b)が
好ましくは、95〜30重量%、さらに好ましくは85
〜35重量%〔ただし、ゴム状重合体(a)+単量体成
(b)=100重量%〕である。ゴム強化樹脂(A−
1)中のゴム状重合体(a)の含有割合が5重量%未満
では十分な耐衝撃性が発現せず、他方70重量%を越え
ると、グラフト率の低下、樹脂成形品の表面光沢性の低
下、ならびに成形加工性の低下などの難点が現れる。
【0007】ゴム強化樹脂(A−1)のグラフト率は好
ましくは20〜160%、さらに好ましくは30〜15
5%、特に好ましくは、40〜150%である。ここで
グラフト率とは、ゴム状重合体(a)の100重量部に
対する、ゴム状重合体(a)にグラフト重合した単量体
成分(b)の重量の割合であり、百分率で表したもので
ある。特にここでのグラフト率は、1gのゴム強化樹脂
(A−1)に含まれるゴム状重合体(a)の重量をs
(g)、1gのゴム強化樹脂(A−1)をメチルエチル
ケトン中に溶解させた場合の不溶分重量をt(g)とし
たとき、以下の式で求められるものである。 グラフト率(%)=100×(t−s)/s ゴム状重合体(a)は、単量体成分(b)から重合され
る重合体に比べて金属に対する付着性が著しく高いた
め、グラフト率が20%未満の場合にはゴム状重合体
(a)の表面をグラフト鎖で十分に覆うことができず、
金型離型性が低下する。他方グラフト率が160%を越
える場合は、流動性が低下し成形加工性が低下する。本
発明の熱可塑性樹脂(A)はゴム強化樹脂(A−1)単
独、あるいはこれと重合体(A−2)を併用して成る
が、この熱可塑性樹脂(A)のうち、ゴム状重合体
(a)にグラフトしていない重合体、いわゆるマトリ
クス重合体は、30℃でのメチルエチルケトン中で測定
される極限粘度〔η〕が0.1〜1.5dl/gのもの
が好ましく、さらに0.1〜1.0dl/gが好まし
い。極限粘度〔η〕が0.1dl/g未満であると十分
な耐衝撃性が発現せず、1.5dl/gを越えると成形
加工性が低下する。また、熱可塑性樹脂が重合体(A−
2)単独である場合、重合体(A−2)の極限粘度およ
びその理由については、上記(A−1)と同じである。
【0010】請求項1の(B)成分は、化5で表される化
合物の混合物である。
【化5】 (B)成分は、(式1)で表される化合物の混合物であ
って、両末端にエポキシ基を有する化合物(B−1)1
0〜40モル%、末端の片方にのみエポキシ基を有する
化合物(B−2)30〜70モル%および末端にエポキ
シ基を有しない化合物(B−3)を10〜50モル%か
らなるハロゲン系難燃剤である。(B)成分が有するハロ
ゲン元素Xとしては、臭素、塩素などが挙げられるが、
高い難燃効果を得るには臭素が好ましい。(式1)中のiは
1〜4の範囲にある整数であるが、2が好ましい。また、
nは0以上の整数である。(B)成分中のnの数平均値
は好ましくは0〜30、より好ましくは0〜20、さら
に好ましくは0〜15である。(B-2)成分と(B-3)成分に
含まれる基 -Z は、フェノール系化合物、カルボン酸系
化合物、アミン系化合物などエポキシ基に開環付加可能
な試薬を反応させた場合に生ずる基であるが、以下の構
造のものが好ましい。
【0011】
【化6】 ここで Xは臭素、塩素などハロゲン原子を表す。高い難
燃効果を得るには、Xが臭素であることが好ましい。ま
たjは0〜5の範囲の整数であり、0〜3が好ましく、2〜3
がさらに好ましい。jが3を越えると熱安定性と耐光性が
低下する。(B)成分中の(B-1)成分の含有率は10〜40モル
%、好ましくは10〜35モル%、さらに好ましくは15〜30
モル%であり、(B-2)成分の含有率は30〜70モル%、好
ましくは35〜60モル%、さらに好ましくは40〜50モル%
であり、(B-3)成分の含有率は10〜50モル%、好ましく
は15〜45モル%、さらに好ましくは20〜40モル%である
(ただし(B-1)成分、(B-2)成分及び(B-3)成分の含有率
の総和は100モル%である)。
【0012】(B-1)成分は光照射より劣化を受けるが、
光照射時に遊離するハロゲンを両末端にあるエポキシ基
が捕捉し、光劣化を抑制する効果を有しており、この成
分の光劣化の程度は低い。(B-1)成分は本発明の難燃性
樹脂組成物の良好な耐光性に寄与している。しかし(B-
1)成分含有率が10モル%未満であるとその効果は十分に
発現せず、耐光性は低下する。他方エポキシ基は金属と
の付着性が高いため金型離型性を低下させる。両末端に
エポキシ基を有する(B-1)成分は、(B-2)成分や(B-3)成
分に比べ際立って金型離型性を低下させる。(B-1)成分
が40モル%を越えると離型性が低下し成形不良を引き起
こす恐れがある。(B-2)成分も(B-1)成分同様エポキシ基
を有するため光劣化抑制効果を示し、本発明の良好な耐
光性に寄与している。しかし(B-2)成分含有率が30モル
%未満であると樹脂組成物中のエポキシ基含有量が低下
し、耐光性が低下する。他方(B-2)成分の金属付着性は
(B-1)成分に比べれば著しく低いが、(B-2)成分含有量が
70モル%を越えると末端のエポキシ基の影響によって金
型離型性が低下する。(B-3)成分は金属付着性が著しく
低く、これを樹脂組成物中に添加した場合むしろ金型離
型性を向上させる効果があり、本発明の良好な金型離型
性に寄与している。しかし(B-3)成分含有量が10モル%
未満であると上記の(B-1)成分や(B-2)成分による金属付
着性を抑制するのに不十分である。(B-3)成分はエポキ
シ基と反応した末端を有するが、この反応で生じた結合
は主鎖の結合に比べ不安定であり、光劣化や熱劣化の要
因となる。このため(B-3)成分が多いと耐光性と熱安定
性が低下する。(B-3)成分が50モル%を越えると良好な
耐光性と熱安定性が得られない。(B-1)成分、(B-2)成分
及び(B-3)成分の含有率が上記の範囲を満たすとき、金
型離型性と耐光性が共に良好な難燃性樹脂組成物を得る
ことができる。
【0013】本発明の難燃性樹脂組成物中の熱可塑性樹
脂(A)と難燃剤成分である成分(B)の配合割合は、(A)成
分が60〜98重量%、好ましくは70〜98重量%、さらに好
ましく75〜97重量%であり、(B)成分は40〜2重量%、好
ましくは30〜2重量%、さらに好ましくは25〜3重量%
[ただし、(A)成分+(B)成分=100重量%]である。(B)
成分の配合割合が2重量%未満の場合、十分な難燃性を
付与することができない。また(B)成分の配合割合が40
重量%を越えると、難燃性樹脂組成物の耐衝撃性が低下
する。本発明は難燃性樹脂組成物中に含まれるゴム状重
合体(a)の含有量を特に制限することなく使用できる
が、難燃性樹脂組成物の耐衝撃性と成形加工性のバラン
スからは、難燃性樹脂組成物100重量部中のゴム状重合
体(a)の含有量は、4〜30重量部が好ましく、5〜25重量
部がさらに好ましく、6〜20重量部がさらにより好まし
い。
【0014】本発明の難燃性樹脂組成物は難燃剤として
(B)成分を含むが、(B)成分を必須成分とする限りにおい
て、テトラブロモビスフェノール−Aのポリカーボネー
トオリゴマー、エチレンビス(テトラブロモフェニ
ル)、エチレンビステトラブロモフタルイミドなどのハ
ロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェイトやトリフェ
ニルホスファイトなど有機リン系難燃剤、トリアジン系
難燃剤、リン・ハロゲン系難燃剤などを使用することが
できる。
【0015】難燃剤成分の難燃効果を向上させる目的で
難燃助剤を用いることができる。難燃助剤としては、三
酸化アンチモン、四酸化アンチモン、(コロイダル)五
酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、リン酸アン
チモンなどのアンチモン含有化合物、スズ酸亜鉛など金
属酸化物を挙げることができる。これら難燃助剤のうち
アンチモン系難燃助剤が好ましく、このうち三酸化アン
チモンがさらに好ましい。アンチモン系難燃助剤はハロ
ゲン系難燃剤の難燃性能を相乗的に向上させる。難燃助
剤の添加量は難燃性樹脂組成物〔(A)成分+(B)成
分〕100重量部に対して好ましくは0.5〜15重量
部、さらに好ましくは0.7〜10重量部であり、特に
ましくは0.8〜8重量部である。添加量が0.5重
量部未満であると難燃相乗効果を十分に付与することが
できず、また15重量部を越えると耐衝撃性の低下が著
しい。
【0016】樹脂組成物は燃焼時に溶融し炎を伴って滴
下するため、火災の被害が甚大となる。この燃焼時の樹
脂滴下を抑制するため難燃性樹脂組成物には耐ドリップ
剤が使用される。本発明の難燃性樹脂組成物において
も、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル、ポリテトラフル
オロエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィン、ポリジ
メチルシロキサン、シリコーン・ゴムまたはこれに樹脂
成分をグラフト重合して得られるグラフト体などのシリ
コーン化合物、ポリフェニレンオキサイドやフェノール
樹脂など燃焼時に架橋反応が進行する化合物を使用する
ことができる。この中でハロゲン化ポリオフィンが好
ましい。ハロゲン化ポリオレフィンのうち、塩素化ポリ
エチレンがより好ましい。本発明では市場で入手可能な
塩素化ポリエチンをすべて使用できるが、耐ドリップ
効果と熱安定性のバランスから、塩素含有率が10〜4
5重量%の塩素化ポリエチレンが好ましく、塩素含有率
15〜40重量%のものがさらに好ましい。耐ドリップ
剤の添加量は難燃性樹脂組成物〔(A)成分+(B)成
分〕100重量部に対し好ましくは0.5〜10重量部
であり、さらに好ましくは0.5〜8重量部である。添
加量が0.5重量部未満では十分な耐ドリップ効果が発
現せず、10重量部を越えると難燃性樹脂組成物の熱安
定性が低下する。
【0017】さらに本発明の難燃性組成物には、他の熱
可塑性樹脂、例えばポリカーボネート樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、
ポリエチレンテレフタレートなどの各種合成樹脂、また
必要に応じてこれらの分散性や相溶性を向上させるグラ
フト重合体やブロック共重合体等の相溶化剤などを配合
することができる。 また、各種の配合剤を添加するこ
とができる。これらの配合剤としては、例えば、2,6
−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル、2−(1−
メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノ−
ル、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−
ブチルフェノ−ル)、4,4’−チオビス−(6−t−
ブチル−3−メチルフェノ−ル)、ジラウリルチオジプ
ロピオネ−ト、トリス(ジ−ノニルフェニル)ホスファ
イトなどの酸化防止剤;p−t−ブチルフェニルサリシ
レ−ト、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾ
フェノン、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクト
キシフェニル)ベンゾトリアゾ−ルなどの紫外線吸収
剤; ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペ
リジル)セバケ−トなどの耐光剤; ポリオレフィン系
ワックス、エチレンビスステアリルアミド、水添硬化ヒ
マシ油、ステアリン酸ステアリル、モンタン酸ワック
ス、酸化ポリエチレンワックスなどの滑剤; スズマレ
ート、ステアリン酸カルシウムなどの熱安定剤; ハイ
ドロタルサイト、ゼオライトなどのハロゲン捕捉剤;
ステアロアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチ
ルアンモニウムニトレ−トなどの帯電防止剤; 酸化チ
タン、カ−ボンブラックなどの着色剤; 炭酸カルシウ
ム、クレ−、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、カ−ボン
繊維などの充填剤; 顔料などを挙げることができる。
なお、本発明の難燃性樹脂組成物は、通常の混合方法を
用いて得られる。例えば、ミキサーで各成分を混合した
後、押出機で溶融、混練し造粒する。さらに簡単に各成
分を直接、成形機内で溶融混練し、成形品とすることも
できる。
【0018】
【実施例】以下に、本発明を実施例を挙げてさらに具体
的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以
下の実施例に何ら制約されるものではない。実施例及び比較例に使用した難燃性樹脂組成物の配合成
実施例と比較例において以下のゴム強化樹脂を用いた。
ゴム強化樹脂(イ) 及び (ニ) はポリブタジエンをゴム状
重合体として用い、この存在下でスチレンとアクリロニ
トリルを重合したゴム強化樹脂である。ゴム強化樹脂
(イ) は、グラフト率が80であり、スチレンとアクリロニ
トリルの共重合体に占めるアクリロニトリルの重量割合
(以後、アクリロニトリル含有率と記す)が25重量%、
ゴム成分含有率は40重量%である。ゴム強化樹脂 (ロ)
は、グラフト率が110であり、アクリロニトリル含有率
が25重量%、ゴム成分含有率は40重量%である。実施例と
比較例において用いた重合体 (イ) はスチレンとアクリ
ロニトリルの共重合体でアクリロニトリル含有率が25重
量%のものである。
【0019】実施例と比較例において以下の難燃剤 (イ)
〜(ト) を難燃剤として用いた。難燃剤 (イ)〜(ハ) はテト
ラブロモビスフェノール−Aのジグリシジルエーテルと
テトラブロモビスフェノール−Aとの重合体にトリブロ
モフェノールを反応させて得たものである。難燃剤 (イ)
は、数平均分子量Mnが1700、エポキシ基濃度Eが0.00
058モル/g、酸価が0.1 KOH-mg/gであり、両末端にエポ
キシ基を有する成分を24モル%、末端の一方にエポキシ
基を有し他方の末端にトリブロモフェノールが付加した
成分を50モル%、両末端にトリブロモフェノールが付加
した成分を26モル%含有する。ここでエポキシ基濃度E
は難燃剤1g中に含まれる末端エポキシ基のモル数を表
し、酸価は難燃剤1g中の酸性基を中和するのに必要な水
酸化カリウムの重量(mg)を表す。難燃剤 (ロ) は、数平
均分子量Mnが2000、エポキシ基濃度Eが0.00040モル/
g、酸価が0.2 KOH-mg/gであり、両末端にエポキシ基を
有する成分を16モル%、末端の一方にエポキシ基を有し
他方の末端にトリブロモフェノールが付加した成分を48
モル%、両末端にトリブロモフェノールが付加した成分
を36モル%含有する。難燃剤 (ハ) は、数平均分子量Mn
が2000、エポキシ基濃度Eが0.00010モル/g、酸価が0.1
KOH-mg/gであり、両末端にエポキシ基を有する成分を1
モル%、末端の一方にエポキシ基を有し他方の末端にト
リブロモフェノールが付加した成分を18モル%、両末端
にトリブロモフェノールが付加した成分を81モル%含有
する。
【0020】難燃剤 (ニ) は、テトラブロモビスフェノ
ール−Aのジグリシジルエーテルとトリブロモフェノー
ルを反応させて得られた化合物で、エポキシ基濃度Eが
0.00088モル/g、酸価が0.1 KOH-mg/gであり、両末端に
エポキシ基を有する成分を28モル%、末端の一方にエポ
キシ基を有し他方の末端にトリブロモフェノールが付加
した成分を50モル%、両末端にトリブロモフェノールが
付加した成分を22モル%含有する。難燃剤 (ホ) はテトラ
ブロモビスフェノール−Fのジグリシジルエーテルとテ
トラブロモビスフェノール−Fとの重合体にトリブロモ
フェノールを反応させて得たもので、数平均分子量Mn
が1700、エポキシ濃度Eが0.00060モル/g、酸価が0.2 K
OH-mg/gであり、両末端にエポキシ基を有する成分を26
モル%、末端の一方にエポキシ基を有し他方の末端にト
リブロモフェノールが付加した成分を50モル%、両末端
にトリブロモフェノールが付加した成分を24モル%含有
する。難燃剤 (ヘ) はテトラブロモビスフェノール−A
のジグリシジルエーテルとテトラブロモビスフェノール
−Aとの重合体で、数平均分子量Mnが1600、エポキシ
基濃度Eが0.00125モル/gで、酸価が0.1 KOH-mg/gであ
る。難燃剤 (ト) はテトラブロモビスフェノール−Aの
ジグリシジルエーテルとテトラブロモビスフェノール−
Aとの重合体にジブロモフェノールを反応させて得たも
のである。数平均分子量Mnが2000、エポキシ基濃度E
が0.00040モル/g、酸価が0.1 KOH-mg/gであり、両末端
にエポキシ基を有する成分を16モル%、末端の一方にエ
ポキシ基を有し他方の末端にジブロモフェノールが付加
した難燃剤分子を48モル%、両末端にジブロモフェノー
ルが付加した難燃剤分子を36モル%含有する。難燃助剤
としては三酸化アンチモンを用い、耐ドリップ剤として
塩素化ポリエチレンを用いた。
【0021】難燃性樹脂組成物の作成及び評価方法 表1に示す配合成分をバレル内径50mmの押出機を用
いて温度190〜220℃で溶融混練し、ペレットとし
て実施例および比較例に使用する難燃性樹脂組成物を作
成した。以下に本発明を具体的に説明するために用いた
評価について述べる。金型離型性評価 射出成形機を用い、成形温度240℃、金型温度60℃
で、クッション量が一定(6mm)となるように、15
個の円柱状ボス内径2mm、外形(頂上部)5mm、
外径(付け根部)6mm、高さ15mm〕を有する平板
(長さ300mm、幅100mm、厚さ3mm)を成形
した。荷重センサーを用いて測定した、成形品取り出し
時に突き出しピンに作用する力を、金型離型性の尺度に
使用した。突き出しピンへの作用力が小さいほど金型離
型性が良好であるとして評価した。耐光性評価 射出成形機を用い平板(長さ80mm、幅55mm、厚
さ2.4mm)を成形し、この成形品にキセノンランプ
(最大波長340nm)により300時間、光照射した
場合の色調変化をハンター色差ΔEで評価した。色調変
化の小さいものが耐光性が良好であると判断した。評価
に使用したすべての難燃性樹脂組成物には、難燃性樹脂
組成物100重量部に対して1重量部の酸化チタンを添
加したが、本発明の難燃性樹脂組成物は酸化チタンを含
有するものに限定されない。難燃性評価 難燃性はUL−94に準拠して評価した。試験片寸法
は、長さ125mm、幅13mm、厚さ2mmであっ
た。
【0022】実施例と比較例による本発明の説明 表1から明らかなように、実施例1〜6は本発明の請求項
の範囲内にあり、金型離型性が良好なレベルにあると同
時に良好な耐光性を有している。これに対し、比較例1
〜3は本発明の請求項の範囲外であり、離型性と耐光性
がともに良好な実施例1〜6の品質に至っていない。
【0023】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は金型離型性
が良好であると同時に良好な耐光性を有している。この
ため本発明の難燃性樹脂組成物は、OA機器、家庭用電気
製品などのような長期間使用下でも色調変化が小さいこ
とが要求される製品に適した樹脂材料であり、さらに金
型離型性が極めて良好なため、成形工程での不良発生率
を低くすることが可能である点で、工業的価値が極めて
高く産業上極めて有用である。
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 久男 東京都中央区築地2丁目11番24号日本合 成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−145533(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/00 - 51/04

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記の(A)成分60〜98重量%と(B)成分40〜
    2重量%から成る難燃性樹脂組成物 (A)成分;ゴム状重合体(a)の存在下に、芳香族ビニ
    ル叉は芳香族ビニルとこれに共重合可能な他の単量体と
    から成る単量体成分(b)を重合して得られるゴム強化樹
    脂(Aー1)、及び/叉は、単量体成分(b)を重合して得られ
    る重合体(A-2)からなる熱可塑性樹脂 (B)成分;化1で表される化合物の混合物であって、
    両末端にエポキシ基を有する化合物(B−1)10〜4
    0モル%、末端の片方にのみエポキシ基を有する化合物
    (B−2)30〜70モル%および末端にエポキシ基を
    有しない化合物(B−3)を10〜50モル%からなる
    ハロゲン系難燃剤、 【化1】 (ここで、Xは臭素、塩素などのハロゲン原子を表し、n
    は0以上の整数、 iは1〜4の範囲にある整数。また−R− は、−C(CH
    32−,−CH2−の群から選ばれる同種あるいは異種
    の基であり、−R'及び−R"は、 【化2】 の群から選ばれる同種あるいは異種の基である。ただし
    -Z は、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物、ア
    ミン系化合物などエポキシ基に開環付加可能な試薬を反
    応させた場合に生ずる基である。)
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