JP3277571B2 - 低硬度フッ素ゴム組成物 - Google Patents

低硬度フッ素ゴム組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低硬度フッ素ゴム組成
物に関する。更に詳しくは、アミン加硫またはポリオ−
ル加硫可能な固体状フッ素ゴムおよび液体状フッ素ゴム
を主成分とし、JIS A硬さが50未満の加硫物を与える低
硬度フッ素ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】フッ素ゴム加硫物は、高温における耐熱
性、耐薬品性、耐油性、耐候性などの点ですぐれた特性
を有するため、ガスケット、Oリング、パッキンなどの
シール材として、自動車工業、油圧工業、一般機械工
業、航空機工業などの分野において、需要が急激に増加
している。また、最近では、フッ素ゴム加硫物の上記諸
特性に加えて、ガス透過性や汚染物質の発生の少なさが
歓迎され、電子機器用のガスケット、パッキンなどへの
用途も検討されている。
【0003】これらの機器用パッキンには、JIS A硬さ
で50未満の低硬度フッ素ゴムが要求されているが、通常
の固体状フッ素ゴムだけでは、補強剤として一般に使用
されているカーボンブラックやシリカなどを添加しない
状態でも、50未満の硬さでかつ良好なゴム物性を示すフ
ッ素ゴム加硫成形品は得られない。
【0004】フッ素ゴムの低硬度化に関しては、特公平
1-15529号公報に、臭素またはヨウ素が結合された、パ
ーオキサイド架橋または放射線架橋が可能な固体状フッ
素ゴムに液体状フッ素ゴムを添加したフッ素ゴム組成物
が記載され、これは低硬度薄膜に成形するのに適すると
述べられており、また特公平3-34497号公報に、炭素繊
維を配合したフッ素ゴム組成物に液体状フッ素ゴムを添
加することが記載され、導電性充填材を大量に配合した
場合にみられる硬さの上昇を液体状フッ素ゴムを併用す
ることで調整している。
【0005】しかしながら、これらの従来技術を用いて
も、外部離型剤を塗布できない射出成形における金型離
型性や得られた加硫物の金属への粘着性については、未
だ満足されるレベルにはない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アミ
ン加硫またはポリオ−ル加硫可能な固体状フッ素ゴムお
よび液体状フッ素ゴムを主成分とし、JIS A硬さが50未
満の加硫物を与える低硬度フッ素ゴム組成物において、
加硫成形時においても金型離型性にすぐれ、また金属に
対する粘着性の少ない加硫物を与えるフッ素ゴム組成物
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
アミン加硫またはポリオ−ル加硫可能な固体状フッ素ゴ
ム、液体状フッ素ゴム、炭素数8以上のアルキル基を有
する脂肪族アミンおよびパーフルオロポリエーテルを含
有する、JIS A硬さが50未満の加硫物を与える低硬度フ
ッ素ゴム組成物によって達成される。
【0008】アミン加硫またはポリオ−ル加硫可能な
体状フッ素ゴムとしては、重量平均分子量(40℃、ゲル
パーメーションクロマトグラフィー、溶媒テトラヒドロ
フラン、ポリスチレン換算;以下同じ)が約50000〜3000
00の既知のフッ素ゴム、具体的にはフッ化ビニリデンを
主成分とし、これと他の含フッ素オレフィン、例えばヘ
キサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、トリ
フルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テト
ラフルオロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロ(ア
クリル酸エステル)、アクリル酸パーフルオロアルキ
ル、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)などの少な
くとも一種との共重合体、テトラフルオロエチレン-プ
ロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-プロピレ
ン-フッ化ビニリデン3元共重合体などが用いられる。
【0009】一方、液体状フッ素ゴムとしては、重量平
均分子量が約500〜10000のフッ素ゴム、例えばフッ化ビ
ニリデン-ヘキサフルオロプロペン共重合体、フッ化ビ
ニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチ
レン3元共重合体などが、固体状フッ素ゴムとの合計量
中約10〜50重量%、好ましくは約20〜40重量%の割合で用
いられる。
【0010】炭素数8以上のアルキル基を有する脂肪族
アミンとしては、例えばオクチルアミン、ノニルアミ
ン、N,N-ジメチルオクチルアミン、デシルアミン、ウン
デシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、N,
N-ジメチルトリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペ
ンタデシルアミン、ジオクチルアミン、ヘキサデシルア
ミン、オクタデシルアミン、N-メチルジオクチルアミ
ン、N-メチルオクタデシルアミン、N,N-ジメチルオクタ
デシルアミン、ジデシルアミンなどが挙げられ、好まし
くはオクタデシルアミン、N,N-ジメチルオクタデシルア
ミンなどが用いられる。これらの脂肪族アミンは、内部
離型剤として、外部離型剤を用いることなく、良好な金
型離型性を付与する作用を有しており、フッ素ゴム合計
量100重量部当り約0.1〜2重量部、好ましくは約0.5〜1
重量部の割合で添加される。
【0011】また、パーフルオロポリエーテルとして
は、一般式 F[CF(CF3)CF2O]nCF2CF3 (n:10〜100) で表わされるものが、フッ素ゴム合計量100重量部当り
約0.5〜5重量部、好ましくは約1〜3重量部の割合で用い
られる。これらのパーフルオロポリエーテルは、加硫物
の金属への粘着を防止する作用を有している。
【0012】以上の各成分を必須成分とする組成物中に
は、充填剤、補強剤としてのカーボンブラック、シリ
カ、グラファイト、クレー、タルク、けいそう土、硫酸
バリウム、酸化チタンなどの添加が可能であり、補強効
果の大きいカーボンブラック、シリカなどの場合には、
硬さの上昇がみられるため、フッ素ゴム合計量100重量
部当り約10重量部以下、好ましくは約5重量部以下にと
どめることが望ましい。
【0013】加硫系については、アミン加硫またはポリ
オール加硫をとることができ、これらの加硫系に必要な
配合剤、例えば加硫剤、加硫促進剤、受酸剤などが配合
される。
【0014】アミン加硫の架橋剤としては、4,4´-メチ
レンビス(シクロヘキシルアミン)カーバメート、ヘキサ
メチレンジアミンカーバメート、N,N´-ジシンナミリデ
ン-1,6-ヘキサンジアミンなどが用いられ、またポリオ
ール加硫の架橋剤としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフ
ェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2-ビス(4-ヒド
ロキシフェニル)パーフルオロプロパン[ビスフェノール
AF]、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、4,4´-
ジヒドロキシジフェニル、4,4´-ジヒドロキシジフェニ
ルメタン、4,4´-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,
2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどのポリヒドロ
キシ芳香族化合物あるいはそれらのアルカリ金属塩また
はアルカリ土類金属塩が用いられる。
【0015】加硫促進剤としては、ポリヒドロキシ芳香
族化合物またはその金属塩が架橋剤として用いられたと
き、各種の第4級アンモニウム塩または第4級ホスホニウ
ム塩などが、フッ素ゴム合計量100重量部当り約0.1〜10
重量部、好ましくは約0.1〜2重量部の割合で用いられ
る。また、受酸剤としては、各種の2価金属の酸化物ま
たは水酸化物が、フッ素ゴム合計量100重量部当り約1〜
20重量部、好ましくは約3〜15重量部の割合で用いられ
る。
【0016】組成物の調製は、ミキシングロールなどを
用いて行われ、調製された組成物の加硫は、一般にプレ
ス加硫および加熱オーブン中での二次加硫によって行わ
れるが、射出成形も可能である。
【0017】
【発明の効果】アミン加硫またはポリオール加硫可能な
固体状フッ素ゴムおよび液体状フッ素ゴムを主成分と
し、JIS A硬さが50未満の加硫物を与える低硬度フッ素
ゴム組成物中に、炭素数8以上のアルキル基を有する脂
肪族アミンおよびパーフルオロポリエーテルを添加する
ことにより、加硫成形時においても金型離型性にすぐ
れ、従って射出成形が可能であり、また金属に対する粘
着性が少なく、従って電子機器用のガスケット、パッキ
ンなどの成形材料としての利用を可能とさせる。
【0018】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0019】実施例1固体状フッ素ゴム (アミン加硫、ポリオール加硫用): フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン(モル比78:
22)共重合体(重量平均分子量200,000) 液体状フッ素ゴム: フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン(モル比78:
22)共重合体(重量平均分子量6,000) 固体状フッ素ゴム、液体状フッ素ゴムおよび下記表1に
示される配合処方の各種配合剤よりなる配合物(いずれ
も重量部)を、8インチミキシングロールで混練し、低硬
度フッ素ゴム組成物を調製した。 表1 実施例1 No. 配合処方 固体状フッ素ゴム 70 70 70 90 70 60 70 70 液体状フッ素ゴム 30 30 30 10 30 40 30 30 MTカーボンブラック 5 5 5 5 5 5 5 5 酸化鉛 15 15 15 水酸化カルシウム 5 5 5 5 5 酸化マグネシウム 3 3 3 3 3 4,4´-メチレンビス(シクロヘキ 2 2 2 シルアミン)カーバメート ビスフェノールAF 2 2 2 2 2 1-ベンジル-3,5-ジメチルピリ 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 ジニウムクロライド N,N-ジメチルオクタデシルアミン 0.5 0.5 0.5 0.5 パーフルオロポリエーテル 2 2
【0020】得られた各種の低硬度フッ素ゴム組成物
を、180℃で8分間プレス加硫し、次いで230℃のオ-ブン
中で22時間の二次加硫を行い、各加硫物の諸特性をJIS
K-6301に従って測定した。圧縮永久歪は、P-24のOリン
グを同じ条件で加硫して製作し、これを70℃、70時間、
25%圧縮の条件下で測定した。更に、P-24 Oリング10個
取りで、バリ部分の厚みが0.06mmのバリとOリングとが
一体成形できる金型を用いて、外部離型剤なしの条件
で、180℃で8分間のプレス加硫を行い、Oリングとバリ
部とが一体に離型できるか否かを測定した。このような
操作を5回くり返し、金型上に残存するOリングの割合
を離型率とし、金型離型性の目安とした。また、P-24 O
リングを厚さ0.5mmの銅板上に押し付けた状態で25%圧縮
し、100℃で24時間後の銅板に対する粘着度合いを、○
(粘着なし)、△(粘着小)、×(粘着大)の3段階で評価し
た。得られた結果は、下記表2に示される。 表2 実施例1 No. 測定項目 硬さ (JIS A) 48 48 47 49 43 41 43 42 100%モジュラス(kgf/cm2) 13 15 13 16 11 10 10 9 引張強さ (kgf/cm2) 108 97 90 79 66 60 85 62 伸び (%) 401 325 352 308 373 405 284 389 圧縮永久歪 (%) 19 18 19 9 8 9 9 9 離型率 (%) 60 6 0 20 50 56 0 0 粘着性 × × ○ △ × × △ ○
【0021】比較例1実施例1のNo.1またはNo.4において、 液体状フッ素ゴ
ムが用いられず、固体状フッ素ゴムAまたはBが100重
量部用いられた。測定結果は、次の表3に示される。
【0022】実施例2、比較例2 実施例1と同様に、表4の配合処方により、低硬度フッ
素ゴム組成物の調製が行われた。 表4 実施例2 No. 比較例2 配合処方 固体状フッ素ゴム 90 70 60 70 70 70 70 70 70 100 100 液体状フッ素ゴム 10 30 40 30 30 30 30 30 30 MTカーボンブラック 5 5 5 5 5 5 5 5 5 グラファイト 5 酸化チタン 5 水酸化カルシウム 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 酸化マグネシウム 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 ビスフェノールAF 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1-ベンジル-3,5-ジメチルピリ 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 0.3 ジニウムクロライド ベンジルトリフェニルホスホ 0.6 0.6 ニウムクロライド N,N-ジメチルヘキサデシルアミン 0.5 N,N-ジメチルオクタデシルアミン 0.5 0.5 0.5 0.5 パーフルオロポリエーテル 2 2 2
【0023】測定結果は、次の表5に示される。 表5 実施例2 No. 比較例2 測定項目 硬さ (JIS A) 49 43 41 44 44 43 42 41 42 54 55 100%モジュラス(kgf/cm2) 16 11 10 12 12 10 9 8 8 15 17 引張強さ (kgf/cm2) 79 66 60 64 84 85 62 68 72 96 93 伸び (%) 308 373 405 351 271 284 389 395 370 334 319 圧縮永久歪 (%) 9 8 9 9 9 9 9 9 8 9 9 離型率 (%) 20 50 56 50 0 0 0 0 0 12 14 粘着性 △ × × × △ △ ○ ○ ○ ○ ○

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミン加硫またはポリオ−ル加硫可能な
    固体状フッ素ゴム、液体状フッ素ゴム、炭素数8以上の
    アルキル基を有する脂肪族アミンおよびパーフルオロポ
    リエーテルを含有してなる、JIS A硬さが50未満の加硫
    物を与える低硬度フッ素ゴム組成物。
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