JP3277044B2 - 常温定湿乾燥装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】この発明は、例えば、米や麦
等の穀類、或いは、大豆や枝豆等の豆類を適宜水分含有
率に除湿乾燥するために用いられる常温定湿乾燥装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上述例のような米や麦等の穀類を
除湿乾燥する方法として、例えば、適宜温度に加熱され
た熱風で穀粒を除湿乾燥する火力乾燥方法があるが、熱
風の吹出側に堆積された穀粒が必要以上に乾燥されしま
い、穀粒の全体を均一に除湿乾燥することができない。
且つ、穀粒が急激に乾燥されるため、胴割れしたり、色
艶が無くなったりして、品質及び商品価値が損なわれて
しまう。

【０００３】他の方法として、図１０に示すように、除
湿乾燥機（図示省略）から供給される常温で一定湿度の
除湿エアＡを複数が並列配置される（図示省略）各貯蔵
ビン３７の各底部に多数形成した各吹出孔３７ａから吹
き出して、同各貯蔵ビン３７に投入された米や麦等の穀
粒Ｋを下層側から徐々に除湿乾燥する除湿乾燥装置３８
がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述のように常温定湿
の除湿エアＡにより穀粒Ｋを除湿乾燥する除湿乾燥装置
３８を用いることで、火力乾燥方法による問題を一挙に
解決することができるが、乾燥済みの穀粒Ｋを貯蔵ビン
３７から排出する場合、貯蔵ビン３７の底部一側に開口
した排出口３７ｂから穀粒Ｋを自重流下させて排出する
が、貯蔵ビン３７の底部が略平坦に形成されているため
穀粒Ｋ全体を排出することが困難である。そこで、貯蔵
ビン３７の底部に形成した各吐出孔３７ａ…から吹き出
される除湿エアＡで残りの穀粒Ｋを排出口３７ｂに向け
て移送するが、穀粒Ｋ全体を排出するのに大量の除湿エ
アＡを供給しなければならず、且つ、他の貯蔵ビン３７
に供給される除湿エアＡの送気量が不足するため除湿乾
燥に要する処理時間が長くなり、他の貯蔵ビン３７に投
入された穀粒Ｋを均一に除湿乾燥することが困難である
という問題点を有している。

【０００５】且つ、複数の各貯蔵ビン３７…を並列配置
するため、広い設置スペースが必要であり、各貯蔵ビン
３７…内の穀粒Ｋと外気とが接触するのを防止するため
に、一つの建物内部に複数の各貯蔵ビン３７…を設置し
なければならず、建築コストがアップするという問題点
も有している。

【０００６】この発明は上記問題に鑑み、乾燥ホッパに
投入された投入物を常温で一定湿度の除湿エアにより徐
々に除湿乾燥することにより、全投入物を均一に除湿乾
燥することができ、投入物の品質及び商品価値が損なわ
れるのを確実に防止することができる常温定湿乾燥装置
の提供を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１記載
の常温定湿乾燥装置は、上記乾燥ホッパの底部に投入物
を排出するための排出口を形成し、該乾燥ホッパの天井
部に投入物を投入するための投入口を形成し、上記乾燥
ホッパの底部に除湿エアを送気する送気用ダクトを連通
接続し、該乾燥ホッパの天井部に除湿エアを排気する排
気用ダクトを連通接続し、上記乾燥ホッパの底部を排出
口に向けて狭くなる錐形に形成すると共に、該乾燥ホッ
パの底部に上記送気用ダクトと連通して多数の通気孔を
適宜間隔に隔てて形成し、上記乾燥ホッパの中央堆積領
域に、該乾燥ホッパに投入された投入物の中央部に除湿
エアを供給すべく前記送気用ダクトに連通接続すると共
に十字に連結して連通接続した送気ダクトまたは送気管
を水平に配管したことを特徴とする。

【０００８】この発明の請求項２記載の常温定湿乾燥装
置は、上記の請求項１記載の構成と併せて、上記乾燥ホ
ッパを上下方向に複数段配設して、該上段側に配設した
乾燥ホッパの排出口と、下段側に配設した乾燥ホッパの
投入口とを連通接続したことを特徴とする。

【０００９】この発明の請求項３記載の常温定湿乾燥装
置は、上記の請求項２記載の構成と併せて、上記複数段
連設してなる最下段の乾燥ホッパを設置面よりも上方に
位置させて空間部を形成すると共に、該乾燥ホッパ下方
の空間部に除湿乾燥機を配設したことを特徴とする。

【００１０】この発明の請求項４記載の常温定湿乾燥装
置は、上記の請求項２記載の構成と併せて、上記最下段
に配設した乾燥ホッパの排出口と、最上段に配設した乾
燥ホッパの投入口との間に、該最下段の乾燥ホッパから
排出される投入物を最上段の乾燥ホッパに返還可能な循
環供給手段を設けたことを特徴とする。

【００１１】

【作用】請求項１記載の常温定湿乾燥装置は、除湿乾燥
機から供給される常温定湿の除湿エアを乾燥ホッパの錐
形底部に形成した各通気孔から吐出して、同乾燥ホッパ
に投入された投入物を下層側から徐々に除湿乾燥するの
で、乾燥ホッパ底部の表面積が大きく、除湿エアの送気
量が増加するため、乾燥効率が向上する。同時に、除湿
エアを乾燥ホッパの中央堆積領域に設けた送気ダクトま
たは送気管から吐出することで、乾燥ホッパの底部及び
中央部から投入物が除湿乾燥される。

【００１２】請求項２記載の装置は、上記の請求項１記
載の作用と併せて、上段側に配設した乾燥ホッパから下
段側に配設した乾燥ホッパに投入物を自重流下するの
で、下段側の乾燥ホッパに対して投入物を完全排出でき
る。

【００１３】請求項３記載の装置は、上記の請求項２記
載の作用と併せて、最下段の乾燥ホッパ下方の空間部に
除湿乾燥機を配設することで、各乾燥ホッパに除湿エア
が安定供給されると共に、設置場所が限定されず、屋外
にも設置可能となる。

【００１４】請求項５記載の装置は、上記の請求項２記
載の作用と併せて、循環供給手段を駆動して、最下段の
乾燥ホッパから排出される投入物を最上段の乾燥ホッパ
に再投入することで、必要に応じて投入物の除湿乾燥が
何回も行える。

【００１５】

【発明の効果】この発明は、乾燥ホッパの錐形底部に形
成した各通気孔と、中央堆積領域に設けた送気ダクトま
たは送気管とから常温定湿の除湿エアを吐出するので、
従来装置を構成する貯蔵ビン３７に比べて乾燥ホッパ底
部の表面積が大きく、同底部から吐出される除湿エアの
送気量が増加し、さらに、中央堆積領域にも除湿エアを
吐出することにより、乾燥ホッパの底部及び中央部から
投入物が除湿乾燥され、乾燥効率が向上する。且つ、乾
燥ホッパに投入された投入物を排出口に向けて自重流下
するので、乾燥済みの投入物を完全排出することがで
き、次段の工程又は下段の乾燥ホッパに対する供給が容
易に行える。

【００１６】しかも、乾燥ホッパに供給される除湿エア
により投入物を下層部及び中層部から徐々に除湿乾燥さ
せるので、乾燥ホッパに投入された投入物を均一に除湿
乾燥することができ、従来の火力乾燥方法のように胴割
れしたり、色艶が無くなったりせず、投入物の品質及び
商品価値が損なわれるのを確実に防止することができ
る。

【００１７】且つ、複数段連設してなる最下段の乾燥ホ
ッパ下方に除湿乾燥機を配設することで、各乾燥ホッパ
に対して除湿エアを安定供給できると共に、各乾燥ホッ
パを上下方向に連設して外気との接触を防止しているの
で、建物内部に設置する必要が無く、装置全体の設置ス
ペースが小さくて済み、且つ、設置場所が限定されず、
屋外にも設置可能であるため、建築コストの低減を図る
ことができる。

【００１８】且つ、循環供給手段により最下段の乾燥ホ
ッパから排出される投入物を最上段の乾燥ホッパに再投
入することで、適宜水分含有率になるまで投入物の除湿
乾燥を何回も繰り返すことができ、投入物の除湿乾燥が
確実に行えると共に、再投入された投入物を一時貯蔵す
るのにも利用できる。

【００１９】

【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は投入物の一例として米や麦等の穀粒を適
宜水分含有率に除湿乾燥するために用いられる常温定湿
乾燥装置を示し、図１及び図２に於いて、この常温定湿
乾燥装置１は、鉛直方向に立設した円筒形状を有する乾
燥サイロ２の内部上下段に第１乾燥ホッパ３と第２乾燥
ホッパ４とを配設し、荷受け工程（図示省略）から供給
される米や麦等の穀粒Ｋをスクリューコンベア５により
移送してバケットコンベア６に供給し、同バケットコン
ベア６により穀粒Ｋを上昇して上下段の各乾燥ホッパ
３，４に順次投入する。除湿乾燥機７（例えば、ドライ
・エア・ジェネレータ＝ＤＡＧ）から供給される常温で
一定湿度（約６５％）の除湿エアＡを上下段の各乾燥ホ
ッパ３，４に夫々送気し、同各乾燥ホッパ３，４に投入
された所定量の穀粒Ｋが適宜水分含有率（約１５．５％
〜約１５．８％）になるまで除湿乾燥する。下段側の第
２乾燥ホッパ４から排出される穀粒Ｋをスクリューコン
ベア８により移送してバケットコンベア６に供給し、同
バケットコンベア６により穀粒Ｋを上昇して精選工程や
精米工程等の次工程に供給する。又は、上段側の第１乾
燥ホッパ３に穀粒Ｋを再投入する。

【００２０】上述の第１乾燥ホッパ３は、図３、図４、
図５、図６に示すように、密閉されたホッパ本体３ａの
天井部中央面に投入口３ｂを開口し、同投入口３ｂの下
面側に円錐形の均分板９を上向きに対設すると共に、同
投入口３ｂの上面側に後述する供給管２３の分岐管２３
ａを連通接続し、同ホッパ本体３ａの天井部に開口した
排気口３ｃに後述する排気用ダクト２４を連通接続して
いる。且つ、ホッパ本体３ａの天井部他側面に穀粒Ｋの
下限投入レベルを検知するための下限レベルセンサＳ１
と、穀粒Ｋの上限投入レベルを検知するための上限レベ
ルセンサＳ２とを垂設し、これら各センサＳ１，Ｓ２に
よる検知に基づいて穀粒Ｋの投入量を増減調節する。

【００２１】且つ、ホッパ本体３ａの底部を下方に向け
て小径となる錐形（例えば、真円、楕円等の円錐形、或
いは、三角、四角、五角等の多角錐形）に形成し、同底
部中央面に開口した排出口３ｄを後述する第２乾燥ホッ
パ４の投入口４ｂに連通接続すると共に、同ホッパ本体
３ａの底面全体に多数個の各通気孔３ｅ…を所定等間隔
に隔てて形成している。なお、各通気孔３ｅ…は、除湿
エアＡの通気が許容される大きさであって、穀粒Ｋの落
下が阻止される大きさに設定している。

【００２２】且つ、ホッパ本体３ａの排出口３ｄに第１
シャッタ１０を開閉自在に設けると共に、例えば、エア
シリンダや電動モータ等の適宜開閉手段により第１シャ
ッタ１０を水平方向に開閉駆動して、第１乾燥ホッパ３
から排出される穀粒Ｋを第２乾燥ホッパ４に流下供給す
る。

【００２３】さらに、第１乾燥ホッパ３の底部と後述す
る第２乾燥ホッパ４の天井部との間に密閉された第１送
気室１１を形成し、第１送気室１１の一側壁面に開口し
た送気口１１ａに後述する送気用ダクト２５を連通接続
し、同第１送気室１１の送気口１１ａに送気ダンパ１２
を開閉自在に設けると共に、例えば、エアシリンダや電
動モータ等の適宜駆動手段により送気ダンパ１２を左右
方向に開閉駆動して、後述する除湿乾燥機７から供給さ
れる除湿エアＡの送気量を可変調節する。

【００２４】且つ、ホッパ本体３ａの中央堆積領域に、
下面開放形状に形成した縦断三角形の各送気ダクト１
３，１３を十字に連結して水平配管し、同各送気ダクト
１３，１３の吸気側端部を第１送気室１１に連通接続
し、同各送気ダクト１３，１３の吸気側端部に各送気バ
ルブ１４…を開閉自在に設けると共に、例えば、エアシ
リンダや電動モータ等の適宜駆動手段により各送気バル
ブ１４…を開閉駆動して、第１送気室１１から各送気ダ
クト１３，１３に供給される除湿エアＡの送気量を可変
調節する。

【００２５】前述の第２乾燥ホッパ４は、上述の第１乾
燥ホッパ３と同一構造であるので詳細な部分の図示を省
略する。すなわち、密閉されたホッパ本体４ａの天井部
中央面に投入口４ｂを開口し、同投入口４ｂの下面側に
円錐形の均分板１５を上向きに対設すると共に、同投入
口４ｂの上面側に上述した第１乾燥ホッパ３の排出口３
ｃを連通接続し、同ホッパ本体４ａの天井部壁面に開口
した排気口４ｃに後述する排気用ダクト２４を連通接続
している。且つ、ホッパ本体３ａの天井部他側面に穀粒
Ｋの下限投入レベルを検知するための下限レベルセンサ
Ｓ３と、穀粒Ｋの上限投入レベルを検知するための上限
レベルセンサＳ４とを垂設し、これら各センサＳ３，Ｓ
４による検知に基づいて穀粒Ｋの投入量を増減調節す
る。

【００２６】且つ、ホッパ本体４ａの底部を下方に向け
て小径となる錐形（例えば、真円、楕円等の円錐形、或
いは、三角、四角、五角等の多角錐形）に形成し、同底
部中央面に開口した排出口４ｄをロータリーフィーダ１
６を介してスクリューコンベア８の入口側端部に連通接
続すると共に、同ホッパ本体４ａの底部全体に多数個の
各通気孔４ｅ…を所定等間隔に隔てて形成している。な
お、各通気孔４ｅ…は、除湿エアＡの通気が許容される
大きさであって、穀粒Ｋの落下が阻止される大きさに設
定している。

【００２７】且つ、ホッパ本体４ａの排出口４ｄに第２
シャッタ１７を開閉自在に設けると共に、例えば、エア
シリンダや電動モータ等の適宜開閉手段により第２シャ
ッタ１７を水平方向に開閉駆動して、第２乾燥ホッパ４
から排出される穀粒Ｋをスクリューコンベア８に流下供
給する。同時に、電動モータ（図示省略）の駆動力によ
りロータリーフィーダ１６を回転駆動して、第２乾燥ホ
ッパ４から排出される穀粒Ｋをスクリューコンベア８に
定量供給する。

【００２８】さらに、第２乾燥ホッパ４の底部と後述す
る吸気室２６の天井部との間に密閉された第２送気室１
８を形成し、第２送気室１８の一側壁面に開口した送気
口１８ａに後述する送気用ダクト２５を連通接続し、同
第２送気室１８の送気口１８ａに送気ダンパ１９を開閉
自在に設けると共に、例えば、エアシリンダや電動モー
タ等の適宜駆動手段により送気ダンパ１９を左右方向に
開閉駆動して、後述する除湿乾燥機７から供給される除
湿エアＡの送気量を可変調節する。

【００２９】且つ、ホッパ本体４の中央堆積領域に、下
面開放形状に形成した縦断三角形の各送気ダクト２０，
２０を十字に連結して水平配管し、同各送気ダクト２
０，２０の吸気側端部を第２送気室１８に連通接続し、
同各送気ダクト２０，２０の吸気側端部に各送気バルブ
２１…を開閉自在に設けると共に、例えば、エアシリン
ダや電動モータ等の適宜駆動手段により各送気バルブ２
１…を開閉駆動して、第２送気室１８から各送気ダクト
２０，２０に供給される除湿エアＡの送気量を可変調節
する。

【００３０】前述のバケットコンベア６は、乾燥サイロ
２の後側外壁面に沿ってバケットコンベア６を上下方向
に配設し、同バケットコンベア６の下端側入口部に各ス
クリューコンベア５，８の出口側端部を連通接続すると
共に、一方のスクリューコンベア５の入口側端部を荷受
け工程（図示省略）に接続し、他方のスクリューコンベ
ア８の入口側端部を第２乾燥ホッパ４の排出口４ｄに連
通接続している。且つ、バケットコンベア６の上端側出
口部に振分け機２２を介して供給管２３を連通接続する
と共に、同供給管２３を左右２本に分岐して、一方の分
岐管２３ａを第１乾燥ホッパ３の投入口３ｂに連通接続
し、他方の分岐管２３ａを、例えば、精選工程や精米工
程或いは貯蔵工程等の次工程に連通接続している。

【００３１】前述の排気用ダクト２４は、乾燥サイロ２
の一側外壁面に沿って排気用ダクト２４を上下方向に配
管し、同排気用ダクト２４の上端側を上下２本に分岐し
て第１乾燥ホッパ３の排気口３ｃと第２乾燥ホッパ４の
排気口４ｃとに連通接続すると共に、同排気用ダクト２
４の下端側を、例えば、集塵機（図示省略）に連通接続
している。

【００３２】前述の送気用ダクト２５は、乾燥サイロ２
の他側外壁面に沿って送気用ダクト２５を上下方向に配
管し、同送気用ダクト２５の上端側を上下２本に分岐し
て第１送気室１１の送気口１１ａと第２送気室１８の送
気口１８ａとに連通接続すると共に、同送気用ダクト２
５の下端側を後述する吸気室２６に配設した送風機２７
の吐出側に連通接続している。すなわち、減速機付き駆
動モータ２８の駆動力により、各プーリ２９，３０及び
駆動ベルト３１を介して送風機２７を回転駆動し、後述
する除湿乾燥機７から供給される除湿エアＡを第１送気
室１１と第２送気室１８とに送気する。

【００３３】前述の除湿乾燥機７は、乾燥サイロ２を構
成する第２乾燥ホッパ４の底部と床部との間に吸気室２
６を形成し、同吸気室２６の床部に除湿乾燥機７及び送
風機２７を近接して配設すると共に、同吸気室２６の一
側壁面に開口した吸気口２６ａに吸気用ダクト３２の一
端側を連通接続し、同吸気用ダクト３２の他端側を、例
えば、ネット又はフィルタを介して大気側に開放してい
る。すなわち、除湿乾燥機７及び送風機２７を駆動し
て、吸気用ダクト３２から吸気される外気を除湿乾燥機
７に内蔵したエバポレータ（図示省略）により凝縮液化
して除湿冷却し、同雰囲気をコンデンサー（図示省略）
により常温に復元する。常温で一定湿度（約６５％）に
除湿された除湿エアＡを送気用ダクト２５を介して上段
側の第１送気室１１と下段側の第２送気室１８とに送気
する。

【００３４】図示実施例は上記の如く構成するものにし
て、以下、常温定湿乾燥装置１による穀粒Ｋの乾燥方法
を説明する。先ず、振分け機２２を駆動して、バケット
コンベア６に接続された供給管２３の分岐管２３ａ側を
開放し、分岐管２３ｂ側を閉鎖した後、荷受け工程（図
示省略）から供給される未乾燥の穀粒Ｋをスクリューコ
ンベア５により移送してバケットコンベア６に供給する
と共に、同バケットコンベア６により未乾燥の穀粒Ｋを
上昇して乾燥サイロ２の上段側に配設した第１乾燥ホッ
パ３に順次投入する。

【００３５】図１に示すように、第１乾燥ホッパ３に所
定量の穀粒Ｋを投入した後、除湿乾燥機７及び送風機２
７を駆動して、常温で一定湿度（約６５％）に除湿され
た除湿エアＡを送気用ダクト２５に送気すると共に、送
気ダンパ１２を開放し、送気ダンパ１９を閉鎖して、常
温定湿の除湿エアＡを第１送気室１１に送気する。第１
乾燥ホッパ３の底部全体に開口した各通気孔３ｅ…から
除湿エアＡを吐出し、同時に、各送気バルブ１４…を開
放して、第１乾燥ホッパ３の中央部に配管した各送気ダ
クト１３，１３の下面側から除湿エアＡを下向きに吹き
出して、第１乾燥ホッパ３に投入された穀粒Ｋ全体を底
部及び中央部から吐出される除湿エアＡにより徐々に除
湿乾燥（例えば、約２４時間）する。

【００３６】次に、一次乾燥終了後、送気ダンパ１２及
び各送気バルブ１４…を閉鎖し、第１シャッタ１０を開
放して、第１乾燥ホッパ３の排出口３ｄから除湿乾燥さ
れた穀粒Ｋを自重流下させ、下段側に配設した第２乾燥
ホッパ４に順次投入する。投入終了後、第１シャッタ１
０を閉鎖し、送気ダンパ１９を開放して、常温定湿の除
湿エアＡを第２送気室１８に送気する。第２乾燥ホッパ
４の底部全体に開口した各通気孔４ｅ…から除湿エアＡ
を吐出し、同時に、各送気バルブ２１…を開放して、第
２乾燥ホッパ４の中央部に配管した各送気ダクト２０，
２０の下面側から除湿エアＡを下向きに吹き出して、第
２乾燥ホッパ４に投入された穀粒Ｋを底部及び中央部か
ら吐出される除湿エアＡにより徐々に除湿乾燥（例え
ば、２４時間）して、第２乾燥ホッパ４に投入された穀
粒Ｋ全体を適宜水分含有率（約１５．５％〜約１５．８
％）に除湿乾燥する。

【００３７】次に、二次乾燥終了後、振分け機２２を駆
動して、バケットコンベア６に接続された供給管２３の
分岐管２３ａ側を閉鎖し、分岐管２３ｂ側を開放した
後、送気ダンパ１９及び各送気バルブ２１を閉鎖し、第
２シャッタ１７を開放して、第２乾燥ホッパ４の排出口
４ｄから除湿乾燥された穀粒Ｋを自重流下させ、ロータ
リーフィーダ１６を駆動して、第２乾燥ホッパ４の排出
口４ｄから排出される穀粒Ｋをスクリューコンベア８に
定量供給する。乾燥済みの穀粒Ｋをスクリユーコンベア
８により移送してバケットコンベア６に供給すると共
に、同バケットコンベア６により未乾燥の穀粒Ｋを上昇
して精選工程や精米工程或いは貯蔵工程等の次工程に供
給する。

【００３８】且つ、第２乾燥ホッパ４から排出される穀
粒Ｋの水分含有率が食糧庁で定められた検査合格基準よ
りも高い場合、第２乾燥ホッパ４から排出される穀粒Ｋ
をスクリューコンベア８及びバケットコンベア６を介し
て上段側の第１乾燥ホッパ３に再投入する。つまり、上
段側に配設した第１乾燥ホッパ３と、下段側に配設した
第２乾燥ホッパ４とに穀粒Ｋを循環供給して、適宜水分
含有率になるまで除湿乾燥を何回も繰り返すので、上下
段の各乾燥ホッパ３，４に投入した状態のままで除湿乾
燥するよりも乾燥効率が良く、一定量の穀粒Ｋを短い時
間で均一に除湿乾燥することができる。

【００３９】以上のように、除湿乾燥機７から供給され
る常温で一定湿度の除湿エアＡを第１乾燥ホッパ３及び
第２乾燥ホッパ４に夫々送気して、同各乾燥ホッパ３，
４の錐形底部に形成した各通気孔３ｅ…及び各通気孔４
ｅ…から吐出する除湿エアＡで穀粒Ｋを徐々に除湿乾燥
させるので、従来装置を構成する貯蔵ビン３７に比べて
各乾燥ホッパ３，４の底部表面積が大きく、同各乾燥ホ
ッパ３，４の底部から吐出される除湿エアの送気量が増
加するため、乾燥効率が向上する。且つ、各乾燥ホッパ
３，４に投入された穀粒Ｋを各排出口３ｄ，４ｄに向け
て自重流下するので、乾燥済みの穀粒Ｋを完全排出する
ことができ、次段の工程又は下段側の乾燥ホッパ４に対
する供給が容易に行える。

【００４０】しかも、第１乾燥ホッパ３及び第２乾燥ホ
ッパ４に供給される除湿エアＡにより穀物Ｋを下層部及
び中層部から徐々に除湿乾燥させるので、各乾燥ホッパ
３，４に投入された穀粒Ｋを均一に除湿乾燥することが
でき、従来の火力乾燥方法のように穀粒Ｋが胴割れした
り、色艶が無くなったりせず、穀粒Ｋの品質及び商品価
値が損なわれるのを確実に防止することができる。

【００４１】且つ、乾燥サイロ２内部に第１乾燥ホッパ
３及び第２乾燥ホッパ４とを上下方向に連設して配設
し、最下段の吸気室２６に除湿乾燥機７を配設すること
で、常温定湿の除湿エアＡを各乾燥ホッパ３，４に対し
て安定供給できると共に、穀物Ｋと外気との接触が防止
されるため、建物内部に設置する必要が無く、装置全体
の設置スペースが小さくて済み、且つ、設置場所が限定
されず、屋外にも設置可能であるため、建築コストの低
減を図ることができる。

【００４２】また、第２乾燥ホッパ４から排出される穀
粒Ｋをバケットコンベア６により上昇して第１乾燥ホッ
パ３に再投入することで、適宜水分含有率になるまで穀
粒Ｋの除湿乾燥を何回も繰り返すことができ、穀粒Ｋの
除湿乾燥が確実に行えると共に、再投入された投入物を
一時貯蔵するのにも利用できる。

【００４３】図７及び図８は、乾燥サイロ２を構成する
第１乾燥ホッパ３及び第２乾燥ホッパ４の中央堆積領域
に中空形状の各送気管３３，３３を十字に連通接続して
水平配管した第２実施例の常温定湿乾燥装置１を示し、
同装置は、例えば、第１乾燥ホッパ３を構成するホッパ
本体３ａの中央堆積領域に、例えば、断面丸形や断面四
角形等の中空形状に形成した各送気管３３，３３を十字
に連通接続して水平配管し、同各送気管３３，３３の交
差部下面に吹出管３３ａを適宜長さ垂設すると共に、同
各送気菅３３，３３の下部周面に多数個の各吐出孔３３
ｂ…を所定等間隔に隔てて形成している。

【００４４】すなわち、第１実施例のように下面全体を
開放した各送気ダクト１３，１３から除湿エアＡを下向
きに吹き出す場合、各送気ダクト１３，１３から吹き出
される除湿エアＡの勢いが低下するため、第１乾燥ホッ
パ３の底部から吐出される除湿エアＡにより、各送気ダ
クト１３，１３から吹き出される除湿エアＡが妨げられ
てしまうが、同実施例では、各送気管３３，３３の交差
部分に垂設した吐出管３３ａ及び各吐出孔３３ｂ…から
除湿エアＡを勢いよく吐出するので、第１乾燥ホッパ３
の底部から吐出される除湿エアＡに影響されず、第１乾
燥ホッパ３に投入された穀粒Ｋ全体を底部及び中央部か
ら吐出される除湿エアＡにより確実に除湿乾燥すること
ができる。なお、第２乾燥ホッパ４の中央堆積領域に各
送気管３３，３３を配管するもよく、上述と同等の作用
効果が得られる。

【００４５】図９は、乾燥サイロ２を構成する第１乾燥
ホッパ３及び第２乾燥ホッパ４の下部壁面に送気用ダク
ト２５を複数本に分岐して連通接続した第３実施例の常
温定湿乾燥装置１を示し、同装置は、送風機２７に接続
された送気用ダクト２５を２本又は複数本に分岐して、
一方の分岐ダクト２５ａを第１送気室１１及び第２送気
室１８の左側壁面に開口した各送気口１１ａ，１８ａに
連通接続し、他方の分岐ダクト２５ｂを第１送気室１１
及び第２送気室１８の右側壁面に開口した各送気口１１
ｂ，１８ｂに連通接続すると共に、同各分岐ダクト２５
ａ，２５ｂを第１乾燥ホッパ３の各送気ダクト１３，１
３と第２乾燥ホッパ４の各送気ダクト２０，２０とに直
結している。且つ、各分岐ダクト２５ａ，２５ｂ内部に
設けた３枚の各送気ダンパ３４，３５，３６を開閉駆動
して、第１送気室１１の各送気口１１ａ，１１ｂ及び第
２送気室１８の各送気口１８ａ，１８ｂから吐出する除
湿エアＡを同等量に可変調節し、上下段の各送気ダクト
１３，１３及び各送気ダクト２０，２０から吐出する除
湿エアＡを同等量に可変調節する。

【００４６】すなわち、第１実施例のように第１送気室
１１及び第２送気室１８に開口した一方の各送気口１１
ａ，１８ａから除湿エアＡを吐出する場合、第１乾燥ホ
ッパ３及び第２乾燥ホッパ４の一側底部のみに除湿エア
Ａが集中的に供給され、一定量の穀粒Ｋを均一に除湿乾
燥するのに長い時間がかるが、同実施例では、第１送気
室１１の左右壁面に開口した各送気口１１ａ，１１ｂ及
び第２送気室１８の各送気口１８ａ，１８ｂから除湿エ
アＡを同等量吐出するので、第１乾燥ホッパ３及び第２
乾燥ホッパ４に投入された穀粒Ｋを均一に除湿乾燥する
ことができる。且つ、送気量が増加するため除湿乾燥に
要する処理時間が短縮され、乾燥効率の向上を図ること
ができる。

【００４７】この発明の構成と、上述の実施例との対応
において、この発明の乾燥ホッパは、実施例の第１乾燥
ホッパ３と、第２乾燥ホッパ４ととに対応し、以下同様
に、投入物は、穀粒Ｋに対応し、空間部は、吸気室２６
に対応し、 循環供給手段は、バケットコンベア６に対応
するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定さ
れるものではない。

【００４８】上述の実施例では、常温定湿乾燥装置１を
構成する乾燥サイロ２内部に第１乾燥ホッパ３と第２乾
燥ホッパ４とを２段配設しているが、例えば、３段、４
段、５段等の多数段に乾燥ホッパを配設するもよく、実
施例の段数に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第１実施例の常温定湿乾燥装置を示す縦断側
面図。

【図２】 乾燥サイロの外観形状を示す側面図。

【図３】 乾燥ホッパの底部を示す縦断側面図。

【図４】 乾燥ホッパの配管構造を示す縦断側面図。

【図５】 乾燥ホッパの配管構造を示す横断平面図。

【図６】 乾燥ホッパ内部に配管した送気ダクトを示す
縦断面図。

【図７】 第２実施例の乾燥ホッパ内部の配管構造を示
す縦断側面図。

【図８】 乾燥ホッパ内部に配管した送気管を示す縦断
面図。

【図９】 第３実施例の常温定湿乾燥装置を示す縦断側
面図。

【図１０】 従来の乾燥装置を示す縦断側面図。

【符号の説明】

Ａ…除湿エア Ｋ…穀粒 １…常温定湿乾燥装置 ２…乾燥サイロ ３…第１乾燥ホッパ ３ａ…ホッパ本体 ３ｂ…投入口 ３ｃ…排気口 ３ｄ…排出口 ３ｅ…通気孔 ４…第２乾燥ホッパ ４ａ…ホッパ本体 ４ｂ…投入口 ４ｃ…排気口 ４ｄ…排出口 ４ｅ…通気孔 ６…バケットコンベア ７…除湿乾燥機 １３…送気ダクト ２０…送気ダクト ２４…排気用ダクト ２５…送気用ダクト ２６…吸気室 ２７…送風機 ３２…吸気用ダクト ３３…送気管

フロントページの続き (56)参考文献 特開 平５−123049（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−166948（ＪＰ，Ａ) 特開 昭55−107876（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−117381（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−99230（ＪＰ，Ｕ) 実開 平４−90889（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭33−18058（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F26B 17/14 A01F 25/00 F26B 21/00 F26B 25/00

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】除湿乾燥機から供給される常温で一定湿度
   の除湿エアを乾燥ホッパ内に送気して、該乾燥ホッパ内
   に投入された投入物を除湿エアにより適宜水分含有率に
   除湿乾燥する常温定湿乾燥装置であって、 上記乾燥ホッパの底部に投入物を排出するための排出口
   を形成し、該乾燥ホッパの天井部に投入物を投入するた
   めの投入口を形成し、 上記乾燥ホッパの底部に除湿エアを送気する送気用ダク
   トを連通接続し、該乾燥ホッパの天井部に除湿エアを排
   気する排気用ダクトを連通接続し、 上記乾燥ホッパの底部を排出口に向けて狭くなる錐形に
   形成すると共に、該乾燥ホッパの底部に上記送気用ダク
   トと連通して多数の通気孔を適宜間隔に隔てて形成し、 上記乾燥ホッパの中央堆積領域に、該乾燥ホッパに投入
   された投入物の中央部に除湿エアを供給すべく前記送気
   用ダクトに連通接続すると共に十字に連結して連通接続
   した送気ダクトまたは送気管を水平に配管した 常温定湿
   乾燥装置。
2. 【請求項２】上記乾燥ホッパを上下方向に複数段配設し
   て、該上段側に配設した乾燥ホッパの排出口と、下段側
   に配設した乾燥ホッパの投入口とを連通接続した請求項
   １記載の常温定湿乾燥装置。
3. 【請求項３】上記複数段連設してなる最下段の乾燥ホッ
   パを設置面よりも上方に位置させて空間部を形成すると
   共に、該乾燥ホッパ下方の空間部に除湿乾燥機を配設し
   た請求項２記載の常温定湿乾燥装置。
4. 【請求項４】上記最下段に配設した乾燥ホッパの排出口
   と、最上段に配設した乾燥ホッパの投入口との間に、該
   最下段の乾燥ホッパから排出される投入物を最上段の乾
   燥ホ ッパに返還可能な循環供給手段を設けた請求項２記
   載の常温定湿乾燥装置。