JP3275977B2 - 部分的に自己伸長性を示すマルチフイラメント糸の製造方法 - Google Patents

部分的に自己伸長性を示すマルチフイラメント糸の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、部分的に自己伸長性を
示すマルチフイラメント糸の製造方法に関するものであ
り、更に詳しくは該マルチフイラメント糸が繊維軸方向
に断面積の分布を有するシックアンドシンのフイラメン
トからなることから、布帛にドライ感とソフト感の双方
を満足させることが可能であり、且つ適度な嵩高感を有
することを特徴とし、婦人向薄地衣料用途に好適である
部分的に自己伸長性を示すマルチフイラメント糸の製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より布帛にドライ感とソフト感を共
に満足させる為の試みとして、主にポリエステル系繊維
に於いては部分融着仮撚糸、または繊維軸方向に断面積
分布を有するシックアンドシン糸等からのアプローチに
よるものが種々提案されてきている。しかしながら、部
分融着仮撚糸はコスト的にはかなり改良されてきている
が融着によりシャリ味を付与している為に融着部分の脆
化の問題、またはドレープ性に乏しい等々の欠点があっ
た。また繊維軸方向に断面積分布を有するシックアンド
シン糸は繊維軸方向に配向度分布をもっており、太い部
分は配向度が低く、細い部分は配向度が高い構成となっ
ている。この配向度が低い太い部分、即ち未延伸状態残
存部がシックアンドシン糸の持つドライ感と、高収縮率
によるふくらみを与えているものと理解されている。こ
の為にシックアンドシン糸を布帛に使用すると適度のド
ライ感とふくらみを付与することが可能となるが、シッ
クアンドシン糸のふくらみ付与は糸条の収縮によるもの
であり、布帛はふくらみ感があっても締まった感じに仕
上がってしまう為、ソフト感を満足し得るものとはなら
ない。また、太い部分は配向結晶化が進んでいない為に
アルカリ減量処理を施すと選択的に脆化されてしまい、
引裂強力低下、抗ピリング性能低下など布帛の基本特性
が悪化する恐れがある。この為、染色加工等の後加工工
程に於ける適性条件範囲が限定されてしまう為に最終製
品の風合いを考慮した場合、バリエーションを容易に拡
大出来ない等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
従来の欠点を解消し、得られる糸条の物性が良好で、且
つ安定した生産が可能であるポリエステル系マルチフイ
ラメント糸よりなる部分的に自己伸長性を示すマルチフ
イラメント糸を提供することを課題とするものであり、
更に詳しくは適度な嵩高性とは、腰を有し、布帛に加工
するとソフトな触感とドライな触感を共に兼備すること
を特徴とし、婦人向薄地衣料用途に好適である部分的に
自己伸長性を有するマルチフイラメント糸の製造方法を
提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために、次の手段をとる。すなわち、本発明の部
分的に自己伸長性を示すマルチフイラメント糸の製造方
法は、適度なふくらみと、はり、腰を兼備し、なお且つ
適度なソフト感、ドライ感を実現し得る部分的に自己伸
長性を示すマルチフイラメント糸を、太細を有するポリ
エステル系フイラメントからなるポリエステル系シック
アンドシン糸を供給原糸として具体化せんとするもので
ある。
【0005】本発明の部分的に自己伸長性を示すマルチ
フイラメント糸の製造方法は、繊維軸方向に断面積の分
布を有し、且つ太い部分と細い部分の断面積比が1.3
〜2.7、太い部分の複屈折率が15×10-3〜80×
10-3で細い部分の複屈折率が100×10-3〜200
×10-3である太細を有するポリエステル系フイラメン
トからなるマルチフイラメント糸を供給原糸とし、流体
撹乱処理を施した後、下記の事項を満足する条件で熱処
理を施すことを特徴とするものである。 (a)熱処理温度 糸温度として 100℃〜170
℃ (b)熱処理時間 滞留時間として 0.4秒〜6.
0秒間 (c)熱処理時の糸過供給率 0%〜45%
【0006】本発明の部分的に自己伸長性を示すマルチ
フイラメント糸を製造するための供給原糸としては、芳
香族ジカルボン酸を主たる酸成分とし、脂肪族グリコー
ルを主たるグリコール成分とするポリエステルマルチフ
イラメント、特にポリエチレンテレフタレートをその主
たる対象とするものであるが、テレフタル酸の一部を例
えばイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸の如きジカルボン酸やヘキ
サヒドロテレフタル酸の如き脂環族ジカルボン酸、また
はアジピン酸やセバシン酸の如き脂肪族ジカルボン酸
で、また、エチレングリコールの一部をトリメチレング
リコールやテトラメチレングリコールの如き他のグリコ
ール成分で置換したポリエステルであってもよく、特に
限定するものではない。また、必要に応じて酸化チタ
ン、カオリナイト等の無機物質を添加したポリエステル
であっても全く差し支えなく、用途に応じ適宜選択すれ
ばよい。
【0007】供給原糸とするポリエステル系マルチフイ
ラメント糸であるシックアンドシン糸の構成デニールに
関しては特に限定を加えるものではないが、婦人向薄地
衣料用途がその商品ターゲットと考えると大略30デニ
ールから300デニールの範囲でその用途に応じ適宜選
択する必要がある。また構成単糸デニールについても特
に限定はされないが、ソフトな触感を得るには大略0.
1デニールから3.5デニール以下の範囲内でその風合
いや触感を考慮した上で適宜採用すればよい。またこの
構成単糸デニールも同一である必要はなく、異デニール
繊維の組合せであってもよい。特に異デニール混繊糸を
供給原糸とすれば、構成単糸が同一なマルチフイラメン
ト糸を使用した場合よりも布帛の外観または触感等に与
えるイレギュラリティ効果の向上が期待でき使用するに
好適である。
【0008】供給原糸とするポリエステル系マルチフイ
ラメント糸であるシックアンドシン糸の構成フイラメン
トの断面形状に関しても特に限定されるものではなく、
三角断面糸やその他の多角断面糸や偏平断面糸、丸断面
糸などの布帛の外観品位や風合いを考慮し適宜選択すれ
ばよい。またその断面は中実断面糸の他、中空断面糸を
用いて軽さをあらわすこともできる。加えてこの断面形
状に関しても、構成フイラメントが全て同一である必要
はなく、異型混繊とし布帛の外観または触感等に与える
イレギュラリティ効果向上を狙うことも可能であり目的
に応じて組合せを適宜選択すればよい。
【0009】また、本発明の部分的に自己伸長性を示す
マルチフイラメント糸の製造方法に於いては、供給原糸
として上述した如く、繊維軸方向に断面積の分布を有
し、且つ太い部分と細い部分の断面積比が1.3〜2.
7、太い部分の複屈折率が15×10-3〜80×10-3
で細い部分の複屈折率が100×10-3〜200×10
-3である太細を有するポリエステル系フイラメントから
なるマルチフイラメント糸、即ちポリエステル系マルチ
フイラメントシックアンドシン糸を使用することが必要
である。
【0010】このポリエステルマルチフイラメントシッ
クアンドシン糸の製造方法に関しては何ら限定を加える
ものではなく、例えば複屈折率が80×10-3以下のポ
リエステル高配向未延伸糸を原糸として使用し、延伸予
熱温度を該未延伸糸のガラス転移温度以下の温度とし、
延伸比を該未延伸糸の自然延伸比(Natural draw rati
o)以下の条件範囲で延伸した後、適当な温度で熱処理
することによって得ることが出来る。しかしながら、こ
の熱処理に関しては得られたポリエステルマルチフイラ
メントシックアンドシン糸の結晶化度を過度にあげ過ぎ
ないよう制御する必要がある。即ち、供給原糸を得る際
の熱処理により該糸条の結晶化を過度に促進させてしま
うと、該糸条に自己伸長性を付与しにくくなるので、本
発明の部分的に自己伸長性を示すマルチフイラメント糸
を得ることが出来なくなるのである。
【0011】このポリエステル系マルチフイラメントシ
ックアンドシン糸の繊維軸方向に於ける太細部の周期分
布に関しても特に限定を加えるものではなく、布帛の外
観品位や風合いに応じ適宜選択すればよいが、該糸条に
於ける太い部分の発現が周期的なものではなく、略規則
的に発現しているもののほうが布帛のイレギュラリティ
効果向上の為には有効であり使用するに好適である。
【0012】この流体撹乱処理に関しては従来のタスラ
ンノズルを使用し、処理流体として高圧空気流を用い、
該糸条を一定の過供給率で処理し、繊維軸方向に略規則
的にループを発現させるものであるが、これに限定され
るものではなく処理流体として高圧空気流以外に高圧水
流または高圧水流の代わりに高圧下で水性エマルジョン
を付与し、繊維の平滑性を向上させることも出来る。し
かしながら、水性流体の付与はコスト的にも問題があ
り、工程管理の上でもかなりの労力を費やす必要が生じ
る為に、高圧空気流での処理が最も好ましい。
【0013】この流体撹乱処理に於ける処理圧力は使用
する処理流体により異なるが、高圧空気流を用いた場
合、2.0kg/cm2 〜7.0kg/cm2 程度の処理圧力範
囲で得られる布帛の外観品位や風合いまたはピリング、
ファスナリング等の発生を充分考慮した上で選定する必
要がある。この流体撹乱処理に於ける処理圧力について
は特に限定を加えるものではないが、高圧空気流を作用
させた場合には4.0kg/cm2 〜6.0kg/cm2 程度の
範囲が工程通過性や布帛の風合いを考慮した際には好適
である。また、タスランノズルへの糸条の供給率を変更
しループの数やループ長を適宜選択することによって、
得られる布帛の外観品位や風合い等をコントロールする
ことも出る。しかしながら過度に供給率を増加させ過ぎ
るとピリングやファスナリングの問題が生じてくる為に
適性範囲を考慮する必要がある。高圧空気流による流体
撹乱処理の場合には例えば、該糸の過供給率を10%〜
20%程度の範囲で処理を行うと、後工程通過性や布帛
のピリングやファスナリングの問題が生じ難く採用する
に好適てであると思われるが、これも何ら限定するもの
ではない。
【0014】本発明の部分的に自己伸長性を示すマルチ
フイラメント糸の製造方法は上述したようにポリエステ
ル系マルチフイラメントシックアンドシン糸に流体撹乱
処理を施し、糸条長手方向に多数のループを形成させた
後、下記の事項を満足する条件にて熱処理を施すことを
特徴とするものである。 (a)熱処理時間 糸温度として 100℃〜170
℃ (b)熱処理時間 滞留時間として 0.4秒〜6.
0秒間 (c)熱処理時の糸過供給率 0%〜45%
【0015】この熱処理を施すことにより該糸に自己伸
長性を付与するものであるが、本発明でいう自己伸長性
とは以下の式(1)で示すところの非緊張状態下に於け
る乾熱160℃で30分処理したときの糸の収縮率(以
下SHDと略記する)が負の値を持つことを言うもので
ある。 SHD=[(l0 −l1 )/l0 ]×100 (%)………(1) ここで、l0 は乾熱160℃で30分処理する前の糸の
長さを、l1 は乾熱160℃で30分処理した後の糸の
長さをそれぞれ示すものである。
【0016】この熱処理にはホットプレート、ホットロ
ーラー、ホットピン等の乾熱処理の他にホットバス等の
液熱処理の何れの方法によってもよいが、工程安定性や
コスト面、または工程管理面等を考慮すると乾熱処理が
適当である。乾熱処理、取り分けホットローラーによる
熱処理は糸とローラー間の相対速度を実質的に零にする
ことが出来るため、摩擦による糸の損傷を制御出来るば
かりか、ラップ数即ちホットローラーへの糸の捲付回数
により滞留時間を容易に変更することが可能であるた
め、熱処理処方としては好適である。またこの熱処理、
取り分け乾熱処理については上記のような接触式加熱方
式の他に非接触式ヒーターを用いた非接触式加熱方式を
採用してもよい。
【0017】熱処理に於ける熱処理温度としては糸温度
として100℃〜170℃の範囲、より好ましくは10
0℃〜140℃の範囲、更に好ましくは120℃近傍の
温度にて熱処理を施すことが自己伸長性を付与する上で
有効である。本発明の部分的に自己伸長性を示すマルチ
フイラメント糸の製造方法は、流体撹乱処理を施したポ
リエステル系マルチフイラメントシックアンドシン糸を
過供給率下で熱処理して得ることをその特徴とするもの
であるが、この熱処理温度に関しては糸条温度として1
00℃未満の範囲で熱処理を施した場合、糸は加熱によ
る結晶化促進が充分でなく、布帛の風合い向上に有効で
ある範囲の自己伸長性を糸に与えることが出来ない。ま
た逆に糸温度として170℃を超過する温度領域で熱処
理を施すと、糸は結晶化が逆に促進され過ぎてしまい、
自己伸長性を与えられないばかりか、逆に糸は収縮性を
示すようになり本発明の部分的に自己伸長性を示すマル
チフイラメント糸を得ることが出来ないのである。
【0018】発明者らが鋭意検討を重ねた結果、この熱
処理温度に関しては糸温度として100℃〜170℃の
範囲、好ましくは100℃〜140℃の範囲、更に好ま
しくは120℃近傍で該熱処理を施すことにより、糸条
に充分な自己伸長性を付与することが可能となることを
発見するに至った。この自己伸長性発現機構は明確には
なっていないが、非晶部配向度をある程度上昇させた上
で、該非晶部を形成するタイ分子鎖が熱運動促進される
温度条件且つ非晶部の結晶化度が過度に上昇しない温度
領域に於いて、糸が結晶化されるに充分な滞留時間で熱
処理を施すことが自己伸長性を与える上で必要であると
考えられる。すなわち、この自己伸長性を示す部分がポ
リエステルマルチフイラメントシックアンドシン糸の太
繊度部が細繊度部かの分離は出来ないが非晶部を形成す
るタイ分子鎖が熱処理により結晶c軸方向、即ち繊維軸
方向に配列し結晶化する為に糸条は自己伸長するものと
推定される。
【0019】また、熱処理に於ける糸の熱処理時間につ
いては加熱体の滞留時間として0.4秒〜6.0秒間、
より好ましくは0.6秒〜2.0秒間の熱処理を施すこ
とが自己伸長性を付与する上に有効である。この滞留時
間が0.4秒未満であると糸条の熱的な結晶化は充分な
ものでなく、糸条に自己伸長性を付与するには至らな
い。また、逆に滞留時間が6.0秒を超過すると、糸条
は充分に結晶化促進され過ぎてしまい糸条の構造が安定
化され、染色工程等の後々の熱処理に於いては分子運動
が活発とならず自己伸長性発現には至らなくなるばかり
か、熱処理に於ける装置的な制約や生産性等の問題があ
り、コスト面から見ても好ましくないのである。それゆ
え該熱処理時間を滞留時間として0.4秒〜6.0秒
間、より好ましくは0.6秒〜2.0秒間とすることが
自己伸長性の付与や生産性、コスト面等を共に満足する
好適な時間の範囲である。
【0020】また、該糸条熱処理時の加熱体への糸過供
給率は0%〜45%、より好ましくは0%〜30%の範
囲とする。この糸過供給率を0%未満即ち、実質的に熱
延伸の状態となれば糸条は加熱により結晶化の他に延伸
により配向結晶化の作用を受けてしまい、本発明の自己
伸長性を示すマルチフイラメント糸を得ることが出来な
い。また逆に糸過供給率が45%を超過する条件を採用
すると該熱処理時に糸が弛んでしまい、糸切れを誘発す
る恐れがある。この為、糸が熱処理時に弛まず且つ過度
の張力を受けないように糸過供給率を制御する必要があ
る。この糸過供給率は熱処理速度や熱処理処方、供給糸
条の熱収縮率、糸条熱処理時間等を充分考慮し適宜選択
することが重要であり、0%〜45%、より好ましくは
0%〜30%の範囲内で適宜選択するとよい。
【0021】この熱処理に供するポリエステル系マルチ
フイラメントシックアンドシン糸は流体撹乱処理を施し
た後に、該熱処理を施するものであるがこの流体撹乱処
理に関しては1フィードタスタン処理または複数の糸を
異供給率下で流体撹乱処理を施し芯鞘構造糸とする2フ
ィードタスランの何れであってもよく、布帛の外観品位
や風合い等に応じ適宜選択してよい。
【0022】また、この熱処理に供するポリエステル系
マルチフイラメントシックアンドシン糸は流体撹乱処理
を施した後に、該熱処理を施すものであるが、このポリ
エステル系マルチフイラメントシックアンドシン糸の物
性については、破断強度が実質的に実使用に耐え得るこ
とが必要であり、破断強度として糸条1デニール当たり
2.0g以上の値を示すことが必要である。また、式
(1)に示すSHD値は熱処理前のポリエステル系マル
チフイラメントシックアンドシン糸に於いては15%以
上、より好ましくは30%以上の値を示すものを使用す
ることが自己伸長性を糸に付与する上で有効であること
から使用するに好適であるといえる。以下に実施例を用
いて詳細を説明するが、特に限定を加えるものではな
い。
【0023】
【実施例】
実施例1 ポリエチレンテレフタレートブライト丸中実断面のマル
チフイラメントシックアンドシン糸の75デニール36
フイラメント高収縮糸を供給原糸として用いた。因みに
該繊維の太繊度部と細繊度部の断面積比は1.8、太繊
度部の複屈折率が平均45×10-3、細繊度部の複屈折
率が平均150×10-3、該糸の破断強度が2.4g/
Den.、 SHDが70%であった。この糸をヘバライン社
製タスランノズル(┗341 Type)で単独供給で15
%の過供給で高圧空気による流体撹乱処理を施した。使
用した空気圧は5.0kg/cm2 であり、撹乱処理に於け
る加工速度は100m/min.である。この糸を表面温度
120℃のホットローラーを使用し、糸過供給率5%、
滞留時間0.9秒間熱処理を施した後、糸に平滑油剤を
付与しワインダーで捲取り本発明でいう部分的に自己伸
長性を示すマルチフイラメント糸を得た。処理した後の
糸の形態は糸長手方向に略規則的にループを形成してい
るものの熱処理によりループ部分も収縮しておりループ
長はあまり長いものとはなっておらず工程通過性等には
支障を来さない程度のものとなっていた。因みにタスラ
ン処理を施していない糸を上記に示すものと同条件で熱
処理を施すと乾熱160℃で30分間、非緊張状態下で
処理した際の収縮率であるSHDは−2.5%の値を示
した。実質的に糸は自己伸長性を示すことを確認した。
【0024】この糸条をS撚方向に600回/mの加撚
を施し経糸とし、緯糸としてポリエチレンテレフタレー
トセミダル中実断面のマルチフイラメント75デニール
72フイラメント通常延伸糸を撚糸し、撚数として28
00回/mの強撚糸としたものを使用し、仕上げ密度が
経方向180本/in、緯方向90本/inのファイユ
規格の平織に製織した。この布帛を濃度50g/lの水
酸化ナトリウムの水溶液で10%減量加工後、染色加工
を施して染色布を得た。得られた染色布は、シックアン
ドシン糸の特徴である濃淡差により外観のイレギュラリ
ティ効果の有るものであり、且つ太繊度部、即ち未延伸
残存部の効果と考えられているドライ感、タスラン加工
糸の効果によるふくらみ感、更には糸条の自己伸長によ
るソフト感を共に兼備した婦人向薄地衣料用素材として
満足し得るものとなった。また抗ピリング性能に関して
は1992年版JIS L−1076A法記載のICI
式ピリング評価テストを実施したところ、ピリング等級
は4級〜5級を示すものであった。
【0025】
【発明の効果】本発明はポリエステルマルチフイラメン
トシックアンドシン糸を供給原糸として用い、特定の熱
処理を施すことにより、該糸条に、取り分けループ部を
形成する単糸に自己伸長性を付与するものであるが、本
発明の製造方法によるとソフト且つドライな触感、は
り、腰、ふくらみ、更には弾発性を共に兼備する婦人向
薄地衣料用途に好適な部分的に自己伸長性を示すマルチ
フイラメント糸を比較的安価に且つ容易に生産すること
が可能となる。またシックアンドシン糸の濃淡差により
イレギュラリティ効果が向上し、よりナチュラルな外観
を持ちカジュアル向け素材として好適な織編物とするこ
とが出来る。更には糸の自己伸長性により布帛は適度な
嵩高性を持つ為に、高収縮糸使用時のような締まった感
じが織編物に現れず、非常にソフトなものとなる。ま
た、タスラン加工により生じたループは熱処理により収
縮し、更に染色加工など後加工工程に於ける加熱により
自己伸長を示す為に、製織編工程やそれらの準備工程に
於ける工程通過性や取扱性の悪化を制御することが出来
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // D01D 5/20 D01D 5/20 (56)参考文献 特開 昭57−143536(JP,A) 特開 平4−24234(JP,A) 特開 昭58−220846(JP,A) 特開 平4−333634(JP,A) 特開 昭52−88625(JP,A) 特開 平5−247768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02J 1/00 - 1/22 D02G 3/00 - 3/48 D01F 6/62 D01D 5/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維軸方向に断面積の分布を有し、且つ
    太い部分と細い部分の断面積比が1.3〜2.7、太い
    部分の複屈折率が15×10-3〜80×10 -3で細い部
    分の複屈折率が100×10-3〜200×10-3である
    太細を有するポリエステル系フイラメントからなるマル
    チフイラメント糸を供給原糸とし、流体撹乱処理を施し
    た後、下記の事項を満足する条件で熱処理を施すことを
    特徴とする部分的に自己伸長性を示すマルチフイラメン
    ト糸の製造方法。 (a)熱処理温度 糸温度として 100℃〜170
    ℃ (b)熱処理時間 滞留時間として 0.4〜6.0
    秒間 (c)熱処理時の糸過供給率 0%〜45%
JP23479793A 1993-09-21 1993-09-21 部分的に自己伸長性を示すマルチフイラメント糸の製造方法 Expired - Lifetime JP3275977B2 (ja)

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