JP3275195B2 - 全面床吹出し方式空調設備 - Google Patents

全面床吹出し方式空調設備

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JP3275195B2
JP3275195B2 JP29309394A JP29309394A JP3275195B2 JP 3275195 B2 JP3275195 B2 JP 3275195B2 JP 29309394 A JP29309394 A JP 29309394A JP 29309394 A JP29309394 A JP 29309394A JP 3275195 B2 JP3275195 B2 JP 3275195B2
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野部達夫
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、全面床吹出し方式、す
なわち空調用の冷温風を二重床から室内へゆるやかに且
つ均一に送り込むとともに、室内ではその冷温風を自然
の空気の流れに乗せて効率良く快適な空調い、さらに熱
負荷が極端に遍在する場合や個人的に気流を欲する場合
に適する空調設備に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のオフィスビルの空調においては、
吹出口近傍の局部的な温度分布或いは遍在するOA機器
等からの発熱による不均一な温度分布の問題や、パーテ
ィション、家具等の存在による気流の乱れの問題や、床
とくにカーペットを敷いた床面から巻上がる塵挨、ダ
ニ、カビ或いはタバコの煙、体臭、呼気等の汚染物質の
問題等を解決し、クリーンで快適な空調環境を実現する
ことが重要な課題となっている。
【0003】ところが、従来の一般の空調方式は、天井
吹出し方式にしても床吹出し方式にしても、室内の空気
をスポット型の吹出口から給気の勢いで積極的に攪拌す
る完全混合型の方式であり、室内で発生或いは流入した
熱を伴う汚染物質を給気によって希釈、拡散を行うた
め、汚染物質を完全に除去することは困難である。汚染
物質をある程度除去するには換気回数を増加させれば可
能ではあるが、所望とする室内温度を維持するために
は、吹出し風量を多くしたり、給気温度を冷房の場合に
はかなり低く、暖房の場合にはかなり高くしなければな
らず、設備の大型化やエネルギー消費の増加を招く。
【0004】この問題を解決するために、特開平4−1
61749号公報においては、床全面および天井全面を
多孔板とし、二重床から低風速で室内に給気し天井面に
向けて一様に押し出すピストンフローを形成することに
より、空気質を改善させる提案をしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平4−161
749号公報の空調方式においては、スポット型の吹出
口を多数配置する床吹出し方式と比較して、気流感を感
じさせないようにすることができる反面、熱負荷が極端
に遍在する場合や、個人的に気流を欲する場合に対する
対応が困難であるという問題を有している。
【0006】本発明は、上記問題を解決するものであっ
て、空調用の冷温風を二重床から室内へゆるやかに且つ
均一に送り込むとともに、室内ではその冷温風を自然の
空気の流れに乗せて効率良く快適な空調を行う空調方式
において、熱負荷が極端に遍在する場合や、個人的に気
流を欲する場合に対する対応を容易に行うことができ、
最適な空調環境を実現することができる全面床吹出し方
式空調設備を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために本発明の全面
床吹出し方式空調設備は、室の下部に形成された二重床
と、該二重床を構成する床部材の全面に設けられた多数
の吹出孔と、前記床部材上に敷設された通気性のカーペ
ットと、前記カーペットおよび床部材を貫通して所定箇
所に配設されたスポット吹出装置と、前記室の上部に形
成された排気通路とを備え、前記スポット吹出装置は、
床部材に係合されるハウジングと、該ハウジングの下部
に形成された通気孔と、前記ハウジングの上部に固定さ
れた支持プレートと、該支持プレートに回動可能に設け
られた回動プレートと、前記支持プレートおよび回動プ
レートに形成された吹出孔とを有し、空調用の冷温風を
前記二重床に給気し、前記床部材の吹出孔およびスポッ
ト吹出装置から室内に吹き出すとともに、前記回動プレ
ートを回動させることにより前記スポット吹出装置の吹
出風量を調節可能にすることを特徴とする。
【0008】
【作用および発明の効果】本発明においては、床部材に
スポット吹出装置を配設しているので、熱負荷が極端に
遍在する場合や、個人的に気流を欲する場合には、二重
床を経てスポット吹出装置の吹出孔から吹き出される風
量を調節することにより、最適な空調環境を実現するこ
とができる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図1および図2は、本発明の全面床吹出し方式
空調設備の1実施例を示し、図1は模式的断面図、図2
はスポット吹出装置を示す図である。
【0010】図1において、室1は、建物の上下のスラ
ブ3、4の間に形成されている。室1の下部には二重床
6が形成され、二重床6を構成する床部材5には全面に
多数の吹出孔5aが設けられている。吹出孔5aの直径
は10mm程度で、吹出孔5aの面積の合計は床部材5
全体の面積の1.5%以上を確保する必要がある。1.
5%未満であると空気抵抗が急増し極端な圧力損失が生
じるからである。
【0011】室1の上部には、複数の排気口7aを有す
る天井部材7が配設され、天井部材7の上部に排気通路
8が形成されている。なお、本例においては、天井部材
7に複数の排気口7aを設けているが、壁の上部に排気
口を設けたり、天井部材7と壁の双方に排気口を設けて
もよく、要するに、給気側および排気側にダクトを設け
ることなく室内への給排気ができるように構成する。
【0012】機械室11内には、フィルタ12、熱交換
器13および送風機14を有する空調機15が設置さ
れ、送風機14の給気側は二重床6内に接続され、吸気
側は排気通路8に接続されている。なお、熱交換器13
における給気温度の制御は、冷温水コイル方式の場合に
は流量調整弁の制御であり、冷媒方式の場合には冷媒流
量の制御である。
【0013】そして、二重床6の床部材5の所定箇所に
は、本発明の特徴であるスポット吹出装置16が設けら
れている。図2は、スポット吹出装置16の1例を示
し、図2(A)は斜視図、図2(B)は断面図である。
【0014】床部材5上には、通気性のカーペット17
が敷設され、床部材5およびカーペット17を貫通して
スポット吹出装置16が装着されている。カーペット1
7は、通気性を有するカーペット部材と、その裏面にメ
ッシュ部材、通気性芯材および通気性下地の少なくとも
一つを積層してなるバッキング層よりなり、給気通過風
速が面速1cm/secの時、通気抵抗が0.1〜3.
0mmAqであることを特徴とする。前記カーペット部
材としては、ニードルパンチタイプのもの、タフトタイ
プのものなどいずれのカーペットも使用できるが通気性
の適度に高いものが好ましい。前記メッシュ部材は縦横
共5〜20本/インチの構成のガラス繊維布を用い、寸
法安定性を確保する。前記バッキング層は化学繊維の不
織布状マットと、これを形成する少量の接着剤よりな
り、給気通過風速が面速1cm/secの時、通気抵抗
が0.1〜3.0mmAq、好ましくは0.5〜1.0
mmAqのものであり、厚みは1〜10mm程度のもの
が好ましい。バッキング層を構成する化学繊維は、ナイ
ロン、ポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニルなど
いずれも使用可能である。化学繊維の不織布状マットに
保形性を付与させるために用いる接着材は前記化学繊維
の材質に適合したものを適宜用いるが、使用量について
は不織布状マットに使用する化学繊維の単繊維同士の交
点を固着できる程度とし、バッキング層の通気性を阻害
しないようにする。
【0015】スポット吹出装置16は、ハウジング18
と、ハウジング18に形成され、床部材5に係合される
段部19と、ハウジング18の下部に形成された複数の
通気孔20と、ハウジング18の上部に固定された支持
プレート21と、支持プレート21上に回動可能に設け
られた回動プレート22と、支持プレート21および回
動プレート22に形成された吹出孔21a、22aとを
備えている。そして、硬貨等を溝22b係合し、回動
プレート22を回動させることにより、吹出孔21a、
22aの開口断面積を調節し、吹出風量を調節すること
ができるように構成されている。
【0016】上記スポット吹出装置16は、予め床部材
5に所定間隔で設けてもよいし、スポット吹出装置16
を床部材5、カーペット17とともにユニット化し、こ
のユニットを着脱可能とし、熱負荷が極端に遍在する箇
所や、個人的に気流を欲する箇所に必要に応じて配設す
るようにしてもよい。
【0017】上記構成からなる本発明の作用について説
明する。空調機15により空調された冷温風は、送風機
14から二重床6内に送られた後、床部材5の吹出孔5
aを通って点状に通過した空気は、通気性のカーペット
17内で平面状に広がって、室内へは床面全面からの均
一な吹き出しとなり、過大な気流感がなくなり、快適で
空間的偏りのない空調が実現できる。従って、送風機動
力を増大させることなく、風速も低下させることがで
き、騒音、振動の発生を防止するとともに、無駄なエネ
ルギーを消費することがなく、また、室内に均一に給気
することができる。
【0018】また、給気側および排気側にダクトを設置
する必要がなく、このため二重床の高さが低くても、即
ち低床でも給気することができるため、建築コストを低
減させることができるとともに、従来の床吹出し空調の
ように吹出し口を床面に埋め込む必要がないので、二重
床の高さは単純に空気の流通具合によってのみ規定され
る。従って、従来のOAフロアの高さを200〜300
mmも確保する必要がなくなり、通常の事務所であれば
100mm程度で充分といえる。
【0019】本発明における空調方式においては、室1
内における給気速度は、毎秒0.1mm〜100mm程
度(好ましくは毎秒5mm〜10mm)という超微風速
(人間の肌で感じない速度)で居室1内へ滲み出すよう
に給気して居室1内に温度成層を形成するようにしてい
る。また、実験によって床部材5の吹出孔5aを通過す
る際に室内負荷の影響を受けて昇温することが判明し
た。これは天井面や照明器具、人体等の輻射熱により二
重床6内の温度が上がるためであり、よって室内におけ
る居住者の足元の高さの空気温度を設定値に保つように
制御し、その結果、給気温度はその設定値よりも0.1
〜5.0℃低い温度(冷房の場合)となる。
【0020】また、人体やOA機器等の発熱体の上部で
はその発熱に起因する熱上昇流が生じており、給気され
た空気はこの流れに誘引されて発熱体に集まり、熱負荷
およびタバコの煙等の汚染物質を含む汚染空気Cは速や
かに上部空間に移動し、居住者Mの周辺は床全面から滲
み出した新鮮空気で常に包み込まれた状態となる。さら
に、室内に温度成層を形成するため、必要換気回数を低
減させることができ、その結果、空調機と排気用ファン
の動力の低減と小型化を図ることができ、また、空調機
の装置熱負荷を低減させることができる。また、火災発
生源の直上でこれを感知でき火災の早期感知ができる。
また、給気は超微風速で室内へ滲み出すため、床面に付
着した塵挨が舞い上がることがなく、また、カーペット
の通気性によりクリーニングが容易になるとともに、定
期的な通気によってダニやカビの繁殖を抑制することが
できる。また、給気が床全面から滲み出すため、OA機
器や家具のレイアウトを自由に設計することができ、O
A機器が遍在する場合であっても給気された空気が自律
的に発熱体に向けて流れ、平面的にムラのない空調環境
を実現することができる。
【0021】さらに、本発明においては、床部材5にス
ポット吹出装置16を配設しているので、熱負荷が極端
に遍在する場合や、個人的に気流を欲する場合には、そ
の回動プレート22を回動させて、二重床6、通気孔2
0を経て吹出孔21a、22aから吹き出される風量を
調節することにより、最適な空調環境を実現することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全面床吹出し方式空調設備の1実施例
を示す模式的断面図である。
【図2】本発明におけるスポット吹出装置の1例を示
し、図2(A)は斜視図、図2(B)は断面図である。
【符号の説明】
1…室、3、4…スラブ、5、…床部材、5a…吹出
孔、6…二重床 8…排気通路、11…機械室、15…空調機、16…ス
ポット吹出装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野部達夫 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 芳賀陽一 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−17341(JP,A) 特開 平6−249462(JP,A) 特開 昭63−306330(JP,A) 特開 平6−174260(JP,A) 特開 平4−28934(JP,A) 特開 平8−100946(JP,A) 特開 平4−129507(JP,A) 特開 平4−161749(JP,A) 実開 平6−73643(JP,U) 実開 平4−110334(JP,U) 実開 平5−36236(JP,U) 実開 平3−61239(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F24F 3/00 F24F 13/068 F24F 13/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】室の下部に形成された二重床と、該二重床
    を構成する床部材の全面に設けられた多数の吹出孔と、
    前記床部材上に敷設された通気性のカーペットと、前記
    カーペットおよび床部材を貫通して所定箇所に配設され
    スポット吹出装置と、前記室の上部に形成された排気
    通路とを備え、前記スポット吹出装置は、床部材に係合
    されるハウジングと、該ハウジングの下部に形成された
    通気孔と、前記ハウジングの上部に固定された支持プレ
    ートと、該支持プレートに回動可能に設けられた回動プ
    レートと、前記支持プレートおよび回動プレートに形成
    された吹出孔とを有し、空調用の冷温風を前記二重床に
    給気し、前記床部材の吹出孔およびスポット吹出装置か
    ら室内に吹き出すとともに、前記回動プレートを回動さ
    せることにより前記スポット吹出装置の吹出風量を調節
    可能にすることを特徴とする全面床吹出し方式空調設
    備。
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