JP2955519B2

JP2955519B2 - 空調方法

Info

Publication number: JP2955519B2
Application number: JP26875596A
Authority: JP
Inventors: 淳大宅; 敦史小野; 育正三坂; 祥明樋口; 久半澤; 紀行高橋; 正雄松倉; 琢也浅井
Original assignee: Japan Tobacco Inc; Takenaka Komuten Co Ltd
Current assignee: Japan Tobacco Inc; Takenaka Komuten Co Ltd
Priority date: 1996-10-09
Filing date: 1996-10-09
Publication date: 1999-10-04
Anticipated expiration: 2016-10-09
Also published as: JPH10115439A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、居室内に温度成層
を形成し、空気を床面から天井へ上昇させる空調方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の天井吹き出し空調方式（混合希釈
換気方式）に替えて、新しい空調方式として、全面床吹
出し空調方式が提案されている（特開平６−２２９５８
４号公報参照）。

【０００３】この全面床吹出し空調方式は、図１０に示
すように、多数の給気孔８６が形成された床部材８８を
敷き詰めて二重床とし、床スラブ９０との間に給気通路
９２を形成して、空調ユニット９４から給気通路９２を
経て供給された空気を給気孔８６から居室９６へ吹き出
し、居室９６で発生或いは流入した熱を伴う汚染質Ｏ
を、天井部材９８に形成された排気孔１００へ押し上
げ、排気通路１０２を通じて排気し、居室を新しい給気
で包み込むものである。

【０００４】しかし、上記の空調方式では、給気孔８６
が形成された床部材８８を床全面に敷き詰めなければな
らず、コスト高となる。また、給気孔８６が上方を向い
ているため、床面に堆積した埃を巻き上げたり、給気孔
８６が塵等で目詰まりする恐れがある。さらに、机１０
４やＯＡ機器を置いた所は、給気孔８６が塞がれてしま
うので、予定した換気効果を得ることができない場合も
考えられる。

【０００５】一方、壁面下部に設けた吹出口から空気を
吹き出す方法も提案されている。この方法では、吹出口
が目詰まりする恐れはないが、家具や什器等の配置に制
約が生じ、また、机等のレイアウト変更や部屋の用途を
変える場合に、これに対応して吹出口の移設、増設がで
きない。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は係る事実を考
慮して、机や什器等のレイアウトの変更によって換気効
果が変化することがなく、また、床面に堆積した埃等を
巻き上げることのない空調方法を提供することを課題と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明で
は、什器等が設置されていない床面の一部に吹出口を形
成し、この吹出口から給気通路を通じて給気された空気
を床面と略平行に吹き出すようになっている。これによ
って、床面から居住域上部に亘って温度成層が形成され
る。

【０００８】この温度成層は、居室の内部発熱源（例え
ば、人体やＯＡ機器等の什器）によって生じる上昇気流
が、床面から吹き出した空気と置き替わることによって
形成されるもので、居室に発生した熱や粉塵等は、この
上昇気流によって天井面へ移動し、天井面に形成された
吸込口に吸い込まれ、排気通路を通じて排気される。こ
れによって、粉塵等を攪拌することなく、居室の空気質
を悪くしないことができる。

【０００９】また、吹出口から空気が床面と略平行に吹
き出されるので、すなわち、吹出口の開口が上方を向い
ていないので、塵等によって目詰まりすることもなく、
床面に堆積した埃を巻き上げることもない。さらに、床
全面を吹出口としたタイプと比較すると、本発明を構成
する吹出口は床面の一部に設ければ足りるので、設置コ
ストが削減でき、また、予定した換気効果を容易に得る
ことができる。

【００１０】請求項２に記載の発明では、吹出口から床
面と略平行に吹き出された空気の気流性状が層流に近づ
くように、吹出風量及び吹出風速が制御されている。

【００１１】また、吹出口から床面と略平行に室温より
低温の空気を吹き出すことによって、吹出風速を速くし
なくても、空気が床面を這うようにして移動するので、
空気の到達距離が長くなる。このため、吹出風速を上
げ、その結果、乱れを生じさせるという心配がない。さ
らに、吹出風量を調整することで（吹出面積の調整）、
吹き出す空気の厚み（床面からの高さ）を厚くして、吹
出風速を下げることもできる。

【００１２】請求項３に記載の発明では、居室に配置さ
れる机や什器のレイアウト或いは部屋用途の変更に応じ
て吹出口を移設するようになっている。

【００１３】このため、机や什器によって、吹出口が閉
塞されるということがなく、また、机等のレイアウト変
更や部屋の用途に応じて、吹出口を最適な位置に移設で
きる。

【００１４】なお、空気を床面と略平行に吹き出す空調
方法においては、吹出口の総面積で空調効果が決まるの
で、吹出口パネルを一か所にまとめて配置することもで
きる。このため、吹出口パネルの設置位置の自由度が大
きくなる。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１〜図３に示すように、本形態
に係る空調方法により空調される居室１０の床スラブ１
２には、支持サポート１４の皿板１６が載置されてい
る。この皿板１６からは、外周部に雄ねじが形成された
脚体１８が立設されており、この脚体１８へレベル調整
可能に受け台２０がねじ込まれている。

【００１６】受け体２０の上面には突起２２が突設され
ており、この突起２２に床パネル２６（一例として５０
０ｍｍ×５００ｍｍ）の下面に凹設されたズレ止め用の
係合孔２４が係合され、床スラブ１２との間に給気通路
２８が構成される。

【００１７】また、受け台２０には、レベル調整用のブ
ロック３０がセットされ、このブロック３０には、後述
する吹出口パネル３２の外周部から張り出した掛止板３
６の隅部が掛け渡される。

【００１８】これによって、吹出口パネル３２を、床パ
ネル２６の上に敷かれたタイルカーペット３４と段差な
く、支持サポート１４に設置でき、また、必要に応じ
て、設置位置を容易に変更できる。

【００１９】吹出口パネル３２は矩形状の枠体３８を備
えており、この枠体３８の開口部が吹出口４０とされて
いる。枠体３８の外縁からは、矩形枠状の掛止板３６が
張り出しており、先端部にはフック部３６Ａが形成され
ている。この掛止板３６の外寸法は、５００ｍｍ×５０
０ｍｍとされている。すなわち、吹出口パネル３２の移
設或いは増設が可能なように、床パネル２６と同一サイ
ズとされ、床パネル２６と入れ替えることができるよう
になっている。

【００２０】また、枠体３８の中には、板状の羽根４２
が所定の間隔で平行に掛け渡されている。この羽根４２
は、鉛直面に対して一例として約６０°傾斜しており、
吹出口４０から空気が上方に吹き上げるのを防止すると
共に、床パネル２６で構成された床面Ｆに対して略平行
に空気が吹き出すように制御している。さらに、羽根４
２は一例として２ｃｍピッチで配置されており、吹き出
し風速が遅くても、床面に対して平行に吹き出すことが
できるように配慮され、且つ文房具等が羽根４２の間か
ら落下しないようにしている。

【００２１】また、枠体３８の中には、羽根４２と交差
するように、補強用のプレート４４が取付けられてい
る。これによって、吹出口パネル３２の上に人が載って
も壊れないようになっている。

【００２２】一方、図４に示すように、居室１０の天井
部には、吸込口４６が形成された天井パネル４８が配設
され、天井スラブ５０との間に排気通路５２を構成して
いる。この排気通路５２には環気ダクト５４が接続され
ており、図示しない還気ファンによって、一部が排気ダ
クト５６を通じて、外部へ排気されるようになってい
る。

【００２３】また、環気ダクト５４からは、返り空気と
して排気通路５２の空気の一部が空調機５８へ戻され、
外気ダクト６０から取り入れられた新鮮な空気と混合さ
れるようになっている。さらに、空調機５８の吹出口に
は、給気ダクト６２が接続されており、給気通路２８へ
所定の温度及び風速の空気を給気するようになってい
る。

【００２４】次に、本形態に係る空調方法の作用を説明
する。空調機５８から給気ダクト６２を通じて給気通路
２８へ空気を給気する。ここで、給気する空気を、一例
として、居室１０の設定温度より約３℃低くし、また、
吹出口パネル３２の吹出口４０から吹き出す空気の風速
が０．３ｍ／ｓとなるようにする。

【００２５】ここで、図３及び図４に示すように、吹出
口パネル３２の羽根４２の間から吹き出した空気は、層
流に近い気流性状となって床面Ｆを這い、床面Ｆと略平
行に移動し、床面Ｆの全面に漂う。

【００２６】そして、内部発熱源としての人体Ｂによっ
て生じる上昇気流が、床面Ｆを漂う空気と置き替わって
温度成層を形成する。すなわち、床面Ｆから天井パネル
４８の下方の循環域Ｍ（温度勾配のない領域）の境界面
Ｌに亘って、温度勾配（床面Ｆと境界面Ｌとの温度差を
床面Ｆから境界面Ｌまでの距離で割った値：Ｔ／ｈ）の
ある空気層、いわゆる温度成層が形成される。

【００２７】そして、居室１０に発生した熱や粉塵等
は、この上昇気流によって循環域Ｍへ移動し、天井パネ
ル４８に形成された吸込口４６に吸い込まれ、排気通路
５２を通じて排気される。これにより、粉塵等が拡散す
ることなく、居室１０の空気質が高まる。

【００２８】また、吹出口パネル３２の吹出口４０は、
羽根４２によって吹出し方向が傾斜されているので、塵
等によって目詰まりすることもなく、床面Ｆに堆積した
埃を上方へ巻き上げることもない。さらに、吹出口パネ
ル３２は、簡単に取り外せる構造となっているので、机
等のレイアウトの変更にも容易に対応できる。また、ブ
ロック３０の高さを調整することによって、床パネル２
６の厚みが違っても、レベリング調整が簡単にできる。

【００２９】なお、本形態では、吹出口４０から吹き出
す空気の風速を０．３ｍ／ｓとしたが、これは、快適性
を考慮し、人体に風を感じさせずに、且つ空気が内部発
熱源まで到達できる距離を考慮したものである。従っ
て、内部発熱源が吹出口パネル３２の近くにあれば、空
気の風速を０．３ｍ／ｓ以下としてもよい。

【００３０】また、吹出口から吹き出す空気の風速を
０．３ｍ／ｓ以上としなかったのは、風速を上げると乱
れを発生させる恐れがあるためである。しかし、乱れが
発生するか否かは定量的に計測できず、居室１０の構造
等の諸条件に起因するものである。従って、実験によっ
て、乱れが生じないのであれば、０．３ｍ／ｓ以上の風
速でも良く、０．３ｍ／ｓに限定されるものではない。

【００３１】なお、空調方式は、本形態で説明したもの
に限定されるものでなく、給気通路２８に冷気を給気で
き、排気通路５２から空気を排気できるものあれば、加
圧チャンバーを用い圧力差によって空気の流れを起こす
ものでもよい。

【００３２】また、吹出風量を調整することで（吹出面
積の調整）、吹き出す空気の厚み（床面からの高さ）を
厚くして、吹出風速を下げることもできる。

【００３３】さらに、吹出口パネルの構造は、上記説明
したものに限定されるものでなく、空気を床面に沿って
吹き出すものであれば、図７に示す吹出口パネル６８の
ように、枠体７０の開口縁にテーパー７０Ａを形成し、
ステイ７３の上に四角形の蓋板７４を載せて隙間を持た
せ、空気を４方向に吹き出す構成でもよい。また、図８
に示す吹出口パネル８０のように、円筒体７６の開口縁
にテーパー７６Ａを形成し、ステイ７７の上に円板７８
を載せて隙間を持たせ、放射方向（３６０°）へ空気を
吹き出す構成でもよい。

【００３４】このように、吹き出し方向が全方位型の吹
出口パネル６８、８０は、通路の中央に設置することに
よって、特に威力を発揮すると考えられる。

【００３５】また、図９には、吹出口パネルの変形例が
示されている。この吹出口パネル１１０では、枠体１１
２の中に長板状の立板１１４が所定の間隔で平行に直立
して掛け渡されている。この立板１１４の上端部には、
羽根板１１６が設けられている。この羽根板１１６は、
吹出口１１８の中央を境として、左右逆方向へ傾斜角度
を次第に大きくしながら湾曲している。このため、空気
は吹出口１１８の中央から左右に別れるように２方向
へ、床面Ｆに沿って吹き出す。このため、吹出口パネル
１１０の設置位置の自由度が大きくなる。

【００３６】また、羽根板１１６が空気が上方に吹き上
げるのを防止すると共に、床パネル２６で構成された床
面Ｆに対して略平行に気流性状が層流に近い空気が吹き
出すように制御している。

【００３７】また、吹出口パネル３２は移設できるの
で、図６に示すように、机６６のレイアウト変更によっ
て、吹出口が閉塞されるということがなく、レイアウト
に応じて、最適な位置に吹出口パネル３２を移設でき
る。なお、必要な吹出口パネル３２の数は、吹出口の総
面積で決定されるので、吹出口パネル３２の設定位置の
自由度が大きい。

【００３８】

【発明の効果】本発明は上記構成としたので、家具や什
器等のレイアウト変更に柔軟に対応でき、予定した換気
効果を容易に得ることができる。また、吹出口の目詰ま
りがなく保守性に優れている。さらに、全ての床パネル
を取り替える必要がないので、既存の二重床に簡単に適
用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本形態に係る空調方法が適用される二重床構造
を示した断面図である。

【図２】本形態に係る空調方法に使用される吹出口パネ
ルの斜視図である。

【図３】本形態に係る空調方法に使用される吹出口パネ
ルから流れる空気を示した斜視図である。

【図４】本形態に係る空調方法の空気の流れ示した模式
図である。

【図５】本形態に係る空調方法によって空気の流れを示
した平面図である。

【図６】本形態に係る空調方法によって空気の流れを示
した平面図である。

【図７】本形態に係る空調方法に使用される吹出口パネ
ルの変形例を示した斜視図である。

【図８】本形態に係る空調方法に使用される吹出口パネ
ルの変形例を示した斜視図である。

【図９】本形態に係る空調方法に使用される吹出口パネ
ルの変形例を示した斜視図である。

【図１０】従来のアンダーフロアー空調方式を示した模
式図である。

【符号の説明】

２８給気通路３２吹出口パネル３６掛止板４０吹出口４２羽根４６吸込口５２排気通路５８空調機６８吹出口パネル８０吹出口パネル１１０吹出口パネル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者三坂育正千葉県印西市大塚１丁目５番地１株式会社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者樋口祥明千葉県印西市大塚１丁目５番地１株式会社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者半澤久千葉県印西市大塚１丁目５番地１株式会社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者高橋紀行千葉県印西市大塚１丁目５番地１株式会社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者松倉正雄神奈川県横浜市青葉区梅ケ丘６番２日本たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内 (72)発明者浅井琢也神奈川県横浜市青葉区梅ケ丘６番２日本たばこ産業株式会社たばこ中央研究所内 (56)参考文献特開平６−174260（ＪＰ，Ａ) 特開平８−327091（ＪＰ，Ａ) 実開昭62−100445（ＪＰ，Ｕ) 実開平３−107652（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F24F 3/044

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】床面に形成された吹出口から給気通路を
通じて給気された空気を居室内へ吹き出し、天井面に形
成された吸込口から前記居室内の空気を吸い込み排気通
路を通じて排気する空調方法において、前記吹出口を床面の一部に形成し、前記吹出口から空気
を前記床面と略平行に吹き出すことを特徴する空調方
法。
【請求項２】前記吹出口から前記床面と平行に吹き出
された空気の気流性状が層流に近づくように、吹出風量
及び吹出風速を制御することを特徴とする請求項１に記
載の空調方法。
【請求項３】前記吹出口の位置を、居室内に配置され
る机や什器のレイアウト或いは部屋用途の変更に応じて
移設することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載
の空調方法。