JP3273635B2 - 発泡体 - Google Patents

発泡体

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JP3273635B2
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瑞穂 前田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衝撃吸収性に優れた発
体および発泡体と合板とを積層してなる積層体に関
する。
【0002】
【従来の技術】発泡体のベースポリマーとしては、ポリ
スチレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA)等の樹脂や天然ゴム、スチレン−ブタジエ
ン共重合体(SBR) 、アクリロニトリル−ブタジエ
ン共重合体(NBR)等のエラストマーが用いられてい
る。これらの発泡体は、衝撃吸収させる目的で、靴底、
床材、緩衝材等の用途を始めとして広く使用されてい
る。しかし、これらのポリマーはいずれも発泡体を使用
する室温付近にtanδ(損失正接)の吸収ピークを有
していないことから、衝撃吸収材として用いる場合には
発泡倍率を高くして発泡体の硬度を低くし、発泡体の変
形量を大きくすることで衝撃を吸収している。その結
果、発泡体の強度的性質が低下するために用途によって
は使用できない場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は室温付近にt
anδの吸収ピークを有する重合体を発泡体のベースポ
リマーに用いることで従来の発泡体よりも高い衝撃吸収
性能を有する発泡体を提供すること、および室温付近に
tanδの吸収ピークを有する重合体を用いた発泡体と
合板とを積層した振動吸収性能に優れた積層体を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、−20
℃から40℃の温度範囲に動的粘弾性測定により得られ
るtanδの吸収ピークを有する芳香族ビニルモノマー
とイソプレンからなる共役ジエン系重合体またはその水
添物からなる発泡体を提供することにより、上記課題が
解決される。
【0005】以下に本発明を更に詳しく説明する。
【0006】本発明に用いられる共役ジエン系重合体と
は芳香族ビニルモノマーイソプレからなる共重合体
のことである。
【0007】共役ジエン系重合体の形態としてはランダ
ム、テーパード、ブロックのいずれでも良く、共役ジエ
ン系重合体中に混在していても差支えない。
【0008】共役ジエン系重合体中の芳香族ビニルモノ
マーの割合は0〜50%の範囲であり、50%を越える
とtanδの吸収ピーク値が低くなり、衝撃吸収性が不
十分となり好ましくない。
【0009】本発明において用いられる芳香族ビニルモ
ノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、1−ビニルナフタレン、3−メチルスチレン、4−
プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−
ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレ
ン、4−(フェニルブチル)スチレン等が挙げられる。
特にスチレンが好ましい。
【0010】本発明において用いられる共役ジエン系重
合体の動的粘弾性測定により得られるtanδの吸収ピ
ークは−20℃から40℃の範囲であり、この温度範囲
を越えると通常の使用温度領域で十分な衝撃吸収性能が
得られない。
【0011】本発明において用いられる共役ジエン系重
合体の数平均分子量は、30000〜800000の範
囲であり30000より小さい場合には、発泡体とした
際の強度が低い、あるいは粘着性がある等の問題があ
る。逆に800000を越えると加工性が悪くなるため
好ましくない。
【0012】本発明において用いられる共役ジエン系重
合体は、アルキルリチウム化合物を開始剤とするアニオ
ン重合により得られる。アルキルリチウム化合物の例と
してはアルキル残基の炭素原子数が1〜10のアルキル
化合物が挙げられるが、特にメチルリチウム、エチルリ
チウム、ペンチルリチウム、ブチルリチウムが好まし
い。
【0013】また、ブロックの形態を持つ共役ジエン系
重合体は、(イ)アルキルリチウム化合物を開始剤とし
て芳香族ビニルモノマーに続いてイソプレを逐次重合
する方法、(ロ)芳香族ビニルモノマーに続いてイソプ
を重合し、これをカップリング剤によりカップリン
グする方法、(ハ)ジリチウム化合物を開始剤としてイ
ソプレに続いて芳香族ビニルモノマーを逐次重合する
方法等が挙げられる。
【0014】ジリチウム化合物としては例えばナフタレ
ンジリチウム、ジチオヘキシルベンゼン等が挙げられ
る。また、カップリング剤としてはジクロロメタン、ジ
ブロムメタン、ジブロモベンゼン等が挙げられる。
【0015】共役ジエン系重合体が−20℃〜40℃の
範囲にtanδの吸収ピークを持つようにするために
は、イソプレの3,4または1,2結合を増す方法、
あるいは芳香族ビニルモノマーをランダムに共重合させ
る方法が用いられる。このような重合体を得るために
は、重合の際に共触媒としてルイス塩基が用いられる。
ルイス塩基の例としてはジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレン
グリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジ
メチルエーテル等のグリコールエーテル類、トリエチル
アミン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジ
アミン(TMEDA)、N−メチルモルホリン等のアミ
ン化合物等が挙げられる。これらのルイス塩基の使用量
は重合開始剤のリチウムのモル数に対して概ね0.1〜
1000倍モルの範囲である。
【0016】重合の際には制御を容易にするために溶媒
を使用するのが好ましい。溶媒としては重合開始剤に対
して不活性な有機溶媒が用いられる。特に炭素原子数が
6〜12の脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素が好ましく
用いられる。その例としてはヘキサン、ヘプタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン等が挙げ
られる。
【0017】重合は0〜80℃の温度範囲で0.5〜5
0時間の範囲で行われる。
【0018】共役ジエン系重合体は公知の方法により水
添することができる。水添反応は水添反応および水添触
媒に不活性な溶媒に共役ジエン系重合体を溶解した状態
で公知の水添触媒により分子状態の水素を反応させる方
法が好ましく用いられる。使用される触媒としては、ラ
ネーニッケルあるいはPt、Pd、Ru、Rh、Ni等
の金属をカーボン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持さ
せたもの等の不均一触媒、または遷移金属とアルキルア
ルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等の組み合
わせからなるチーグラー系の触媒等が用いられる。反応
は水素圧が常圧ないし200kg/cm2 、反応温度が
常温ないし250℃、反応時間が0.1ないし100時
間の範囲で行われる。反応後の重合体は反応液をメタノ
ール等により凝固させた後に加熱あるいは減圧乾燥させ
るか、反応液を沸騰水中に注ぎ溶媒を共沸させ除去した
後に加熱あるいは減圧乾燥することにより得られる。
【0019】水添率は要求される物性のレベルによって
決定されるが、耐熱性および耐候性を重視する場合には
50%以上、好ましくは70%以上に水添するのがよ
い。
【0020】本発明の発泡体を製造するに際しては、共
役ジエン系重合体およびその水添物に加えて、本発明の
趣旨を損なわない範囲であれば他のポリマーをブレンド
して使用することも可能である。その例としては天然ゴ
ム、合成シスポリイソプレン、ポリブタジエン、SB
R、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、スチレ
ン−イソプレンブロック共重合体、水添スチレン−イソ
プレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロッ
ク共重合体、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリ
ル酸エチル共重合体等が挙げられる。
【0021】本発明の発泡体を製造するに際しては、共
役ジエン系重合体またはその水添物を含有するポリマー
成分に対し、必要に応じて発泡剤が添加される。発泡剤
としては、N,N′−ジニトロソ・ペンタメチレン・テ
トラミン(DPT)等のニトロソ化合物、アゾジカルボ
ンアミド(ADCA)、アゾビス・イソブチロニトリル
(AZDN)等のアゾ化合物、ベンゼン・スルホニル・
ヒドラジド(BSH)、p,p′−オキシビス(ベンゼ
ンスルホニル・ヒドラジド)(OBSH)等のスルホニ
ル・ヒドラジド化合物、重炭酸ナトリウム(重曹)、重
炭酸アンモニウム等の無機発泡剤等が挙げられる。
【0022】また、発泡剤とともに発泡助剤添加する
こともできる。発泡助剤としては例えばサリチル酸等の
有機酸、尿素およびその化合物が挙げられる。
【0023】本発明の発泡体を製造するに際しては、ポ
リマー成分に対し加硫剤を配合してもよい
【0024】加硫剤としては、例えばイオウ、ジクミル
ペルオキシド、ジ−第三ブチルペルオキシド等の有機過
酸化物等が挙げられる。
【0025】また、加硫剤とともに加硫促進剤添加
ることもできる。加硫促進剤としては、チアゾール系、
チウラム系等の有機イオウ化合物、グアニジン系化合物
等が挙げられる。
【0026】本発明の発泡体を製造するに際しては、
リマー成分、発泡剤および加硫剤の他に各種添加剤使
してもよい。添加剤としては、充填剤、軟化剤、老化
防止剤、顔料等が挙げられる。
【0027】充填剤としては、例えばカーボンブラッ
ク、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、タ
ルク等が挙げられる。
【0028】軟化剤としては、例えばパラフィン系、ナ
フテン系、芳香族系のプロセスオイル、ジオクチルフタ
レート(DOP)、ジブチルフタレート等のフタル酸誘
導体等が挙げられる。
【0029】老化防止剤としては、例えばアミン系、フ
ェノール系の老化防止剤等が用いられる。
【0030】本発明の発泡体は、ロール、ニーダー等の
混練機においてベースとなるポリマーに各種の添加剤を
混練した後に、求める形状に成型するか、あるいは金型
中で加熱し加硫と同時に発泡させることにより得られ
る。この時に用いられる加硫装置は、プレス加硫機、ギ
アオーブン等が挙げられる。
【0031】本発明の発泡体は、靴底、包装材、床材等
衝撃吸収性が求められる分野で使用される。
【0032】本発明の発泡体と合板とを積層してなる積
層体は、振動吸収性能に優れていることから、特に床材
用途に好んで用いられる。
【0033】本発明の積層体に使用される合板について
は、一般的に建材用途で使用されている合板であれば特
に制限はなく、2種類以上の合板を用いることができ
る。
【0034】本発明の積層体に使用される合板の厚みに
ついてもその用途で十分な強度を有する物であれば特に
制限はない。
【0035】本発明の積層体に使用される発泡体の厚み
についても特に制限はないが、発泡体の片面だけに合板
を積層する場合には十分な振動吸収性能を持たせるため
には合板の厚みに対して概ね0.1倍以上の厚みが必要
である。また、発泡体の両面に合板を積層する場合に
は、合板の厚みに対して0.1倍以上の厚みが必要であ
る。この場合、積層する合板は両面で異なった厚みの物
を使用することも可能である。
【0036】本発明の積層体の構造は、2または3層構
造以上の多層構造でも差支えなく、合板と本発明の発泡
体以外に他の発泡体、シート、フェルトあるいは不織布
等を積層しても差支えない。
【0037】本発明の積層体は、合板と発泡体を接着剤
あるいは粘着テープ等で張合わせることで製造される。
【0038】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0039】なお、参考例および実施例中の各測定値は
以下の方法により求めた。
【0040】tanδの吸収ピークは、レオバイブロン
(オリエンテック社製)DDV−III により粘弾性スペ
クトルを測定することにより求めた。
【0041】発泡体の衝撃吸収性能はリュプケの反発弾
性率測定装置により25℃で測定した。
【0042】また、積層体の振動吸収性能(対数減衰
率)は幅2cm、長さ20cmの大きさの試料の一端を
固定した状態で衝撃を加えた場合の試料の振動減衰曲線
から求めた。対数減衰率が大きいほど振動吸収性能が高
いことを示す。
【0043】水添率は水添反応前後でのブロック共重合
体のヨウ素価を測定し、その比より算出した 参考例 乾燥し窒素で置換された耐圧反応器で、溶媒としてシク
ロヘキサン、重合触媒としてn−ブチルリチウム、共触
媒としてTMEDAを用い、 スチレンモノマー、イソプ
レンモノマー、スチレンモノマーの順に添加して重合し
た。重合終了後、メタノール中にて凝固させた後に減圧
乾燥しブロック共重合体(II)を得た。また、得られた
ブロック共重合体(II)をシクロヘキサン中で、水添触
媒としてPd−Cを用い、水素圧20kg/cmで水
添反応を行い、水添ブロック共重合体(III )を得た。
分子特性を表1に示した。 参考例 スチレンモノマーとイソプレンモノマーの混合モノマー
を用いた以外は参考例1と同様の方法により共重合体
(IV)を得た。表1に分子特性を示した。 実施例1〜 表2に示した配合に基づきニーダーにより100℃で混
練した後に140℃で10分間プレス加硫した後、更に
160℃で20分間プレス加硫した。得られた発泡体の
物性を表2に示した。 比較例1および2 エチレン−酢酸ビニル共重合体と天然ゴムを表2に示し
た配合に基づき実施例と同様の方法により混練、加硫し
発泡体を得た。得られた発泡体の物性を表2に示した
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【0047】
【発明の効果】tanδの吸収ピークが特定の範囲にあ
芳香族ビニルモノマーとイソプレンからなる共役ジエ
ン系重合体を発泡してなることを特徴とする発泡体は高
硬度においても高い衝撃吸収性を有する材料として使用
できる。また、積層体は優れた振動吸収性能を有するこ
とから床材用途に適した材料である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 −20℃から40℃の温度範囲に動的粘
    弾性測定により得られるtanδの吸収ピークを有する
    芳香族ビニルモノマーとイソプレンからなる共役ジエン
    系重合体またはその水添物からなる発泡体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発泡体と合板とを積層し
    てなる積層体。
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