JP2006016518A - 発泡体用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】厚み精度に優れ、適度な硬度と強度を有し、耐摩耗性に優れ、混練生地の平滑性にも優れ、さらに熱をかけても流れすぎることのなく(温度に対して鈍感であり、多色成形時に混色がない)、加工性に優れた発泡体用組成物を得る。
【解決手段】(A)ガラス転移温度(Tg)が−50℃〜−10℃である1,2−ポリブタジエン10〜90重量%、(B)沸騰n−ヘキサン不溶分1〜25重量%,沸騰n−ヘキサン可溶分99〜75重量%であるビニル・シスブタジエンゴム(VCR)90〜10重量%、および(C)上記(A)〜(B)成分以外の熱可塑性重合体0〜50重量部〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%〕の合計量100重量部に対し、(D)発泡剤0.5〜20重量部、および(E)架橋剤0.02〜20重量部を含有する発泡体用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブタジエンを用いた、発泡の靴底などの成形体に用いられる発泡体用組成物、または成形もしくは成形架橋してなる成形体に関する。
成形材料、例えば靴底材料は軽量化の傾向にあり、軽量化の目的から発泡体が多く使用されている。現在、発泡体から靴底材料を製造する方法としては、発泡体を従来から用いられている加硫プレス機を使用して、
(1)板状金型を使用して板状発泡体を生産し、靴底形状に打ち抜く、
(2)靴底形状の金型を使用して発泡し、その後にサイズ調整の目的からさらに靴底形状に打ち抜く、方法などが用いられている。
靴底材料に用いられている架橋発泡体として、エチレン−ビニルアセテート共重合体(EVA)、天然ゴム、合成ゴムなどを使用した架橋発泡体が知られている。
この中で、EVAを使用した架橋発泡体は、使用中の変形(ヘタリ)が大きく、同時に靴底材料として最も重要である耐ウエットスキッド性が十分でない。一方、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムなどの合成ゴムを使用したゴム系の架橋発泡体は、ヘタリおよび耐ウエットスキッド性はEVA発泡体よりは良好であるが、架橋発泡後の製品の収縮が大きく、製品のサイズバラツキによる不良率が高く、発泡体(スポンジ)の剛性が不足し、実用上、問題がある。
ところで、ウエットスキッド性に優れ、架橋発泡後の製品の収縮率が小さい実用剛性を有する靴底材料として好適な材料として、1,2−ポリブタジエンが使用されるようになっている。この1,2−ポリブタジエンは、ウエットスキッド性に優れ、架橋発泡後の収縮率が小さいほか、機械的強度(T,E)、層間引き裂き強度、永久圧縮歪みなどが良好であり、靴底材料として広く利用されるようになっている。
このような適度な結晶化度に制御した1,2−ポリブタジエンは、結晶性に富んだ領域と非晶性部とからなる構造を有するため、熱可塑性エラストマーとしての機能だけでなく、分子中に化学反応性に富んだ炭素−炭素二重結合を有しているため、従来の加硫物や架橋密度を高めた熱硬化性樹脂やゴムとしての機能も有する。また、この1,2−ポリブタジエンは、他の樹脂や熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーの改質材、医療用高分子材料としても応用されている。
ところが、この1,2−ポリブタジエンを多色成形靴底などの新たな種々の用途に使用するに当たり、加工性、成形性が不十分であったり、成形時の混色などが指摘されるようになってきた。例えば、多色成形の場合、型内のポリマーの移動性(流動性)が大きく、混色し易いという現象がある。
本発明は、ポリブタジエンとして、同じ融点(Tm)を有する従来の1,2−ポリブタジエンに較べて、ガラス転移温度(Tg)が低く、耐寒性、耐寒衝撃性、耐摩耗性に優れた1,2−ポリブタジエンと、ビニル・シスブタジエンゴム(VCR)とを併用することにより、厚み精度に優れ、適度な硬度を有し、平滑性に優れ、さらに熱をかけても流れすぎることがなく(温度に対して鈍感であり、混色することが少ない)加工性に優れる発泡成形体組成物、これを用いた靴底などの成形体を提供することにある。
本発明は、(A)ガラス転移温度(Tg)が−50℃〜−10℃である1,2−ポリブタジエン10〜90重量%、(B)沸騰n−ヘキサン不溶分1〜25重量%,沸騰n−ヘキサン可溶分99〜75重量%であるビニル・シスブタジエンゴム(VCR)90〜10重量%、および(C)上記(A)〜(B)成分以外の熱可塑性重合体0〜50重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%〕の合計量100重量部に対し、(D)発泡剤0.5〜20重量部、および(E)架橋剤0.02〜20重量部を含有する発泡体用組成物に関する。
ここで、(A)成分としては、結晶化度が5%以上であるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンが好ましい。
また、(C)成分としては、(A)〜(B)成分以外の、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
さらに、上記(D)発泡剤としては、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、およびp,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン(OBSH)の群から選ばれた少なくとも1種、またはこれと尿素および/または尿素誘導体からなる発泡助剤の組み合わせが挙げられる。
さらに、(E)架橋剤としては、硫黄、加熱により硫黄を生成させる化合物、有機過酸化物、多官能性モノマー、およびシラノール化合物の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
本発明の発泡体用組成物には、上記(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、さらに、(F)軟化剤0〜300重量部、(G)無機充填剤0〜300重量部、(H)難燃剤、酸化防止剤、軟化剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤、加工助剤、耐光(候)剤および抗菌剤の群から選ばれた少なくとも1種の他の添加剤0〜20重量部を配合してなり、かつこれら(F)、(G)および(H)成分の合計量が1〜600重量部を配合してなる発泡体用組成物に関する。
次に、本発明は、上記いずれかに記載の発泡体用成物を圧縮成形、射出成形またはトランスファー成形などの成形してなる靴底などの成形体に関する。
本発明の発泡体用組成物は、厚み精度に優れ、適度な硬度を有し、平滑性に優れ、さらに熱をかけても流れすぎることのなく(温度に対して鈍感であり、多色成形時に混色がない)加工性に優れ、靴底材料や工業材料、装飾用剤、スポーツ保護材料、プロテクタ材料、介護用材料、建材用材料、日常備品・雑貨用品用材料、玩具材料、文具材料、電気用品材料などの用途に有用である。
(A)1,2−ポリブタジエン
本発明の(A)成分に用いられる1,2−ポリブタジエンは、ブタジエン部分の1,2−ビニル結合含量が70%以上のものをいう。ここで、本発明の(A)1,2−ポリブタジエンは、−50℃〜−10℃、好ましくは−40℃〜−15℃のガラス転移温度を有する。
本発明の組成物において、(A)〜(B)成分が100重量%系のものは、ランニングシューズ、ジョッギングシューズ、競技用シューズ、ゴルフシューズ、ベースボールシューズ底、サッカーシューズ底、ヒールリフト、玩具、文具、建材、日用雑貨、発泡成形用途、フィルム・シート成形用途などに有用である。
また、本発明の組成物において、(A)〜(B)成分と(C)成分として熱可塑性エラストマーとのブレンド系のものは、インジェクションシューズ底(発泡、非発泡)、ユニットソール、へップサンダル、スポーツシューズ底、カジュアルシューズ底、玩具、保護具、文具、建材、自動車部品、電気部品、日用雑貨、フィルム・シート成形用途などに有用である。
本発明の特定のガラス転移温度を有する(A)1,2−ポリブタジエンは、結晶化度が5%以上であるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(以下「シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン」ともいう)や、1,3−ブタジエンを水性媒体中でスラリー重合することによって得られるもの(以下「後者の(A)1,2−ポリブタジエン」ともいう)が好ましい。
このうち、前者の本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、例えば、1,2−結合含有量が70%以上のものであり、例えば、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られるものであるが、この製造方法に限定されるものではない。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンのブタジエン結合単位における1,2−結合含有量は、通常、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。1,2−結合含有量が70%以上であることにより、当該1,2−ポリブタジエンが良好な熱可塑性エラストマーとしての性質が発揮される。
本発明に用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、ブタジエン以外の共役ジエンが少量共重合していてもよい。ブタジエン以外の共役ジエンとしては、1,3−ペンタジエン、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
このうち、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体としては、1−ペンチル−1,3−ブタジエン、1−ヘキシル−1,3−ブタジエン、1−ヘプチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
ここで、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シクロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンのなかで、ブタジエンと共重合される好ましい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタジエンが挙げられる。重合に供される単量体成分中のブタジエンの含有量は50モル%以上、特には70モル%以上が好ましい。
本発明で用いられる(A)シンジオタクチック1,2−ポリブタジエンは、上述したように、例えば、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られる。上記コバルト化合物としては、好ましくは炭素数4以上のコバルトの有機酸塩を挙げることができる。このコバルトの有機酸塩の具体例として、酪酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプチル酸塩、2−エチルヘキシル酸などのオクチル酸塩、デカン酸塩や、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸塩、安息香酸塩、トリル酸塩、キシリル酸塩、エチル安息香酸などのアルキル、アラルキル、アリル置換安息香酸塩やナフトエ酸塩、アルキル、アラルキルもしくはアリル置換ナフトエ酸塩を挙げることができる。これらのうち、2−エチルヘキシル酸のいわゆるオクチル酸塩や、ステアリン酸塩、安息香酸塩が、炭化水素溶媒への優れた溶解性のために好ましい。
上記アルミノオキサンとしては、例えば下記一般式(I)または一般式(II)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2006016518
この一般式(I)あるいは(II)で表されるアルミノオキサンにおいて、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10〜100の整数である。アルミノオキサンの具体例としては、メチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、プロピルアルミノオキサン、ブチルアルミノオキサンなどを挙げることができ、メチルアルミノオキサンが特に好ましい。
重合触媒は、上記コバルト化合物とアルミノオキサン以外に、ホスフィン化合物を含有することが極めて好ましい。ホスフィン化合物は、重合触媒の活性化、ビニル結合構造および結晶性の制御に有効な成分であり、好ましくは下記一般式(III)で表される有機リン化合物を挙げることができる。
P(Ar)n(R')3-n……(III)
一般式(III)中、Arは下記で示される基を示す。
Figure 2006016518
(上記基において、R1,R2,R3は、同一または異なって、水素原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルコキシ基または炭素数が好ましくは6〜12のアリル基を表す。)
また、一般式(III)中、R'はシクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基を示し、nは0〜3の整数である。
一般式(III)で表されるホスフィン化合物としては、具体的に、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−エチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−メチル−5−エチルフェニル)ホスフィン)、トリ−(3−フェニルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ(4−メチルフェニルホスフィン)、トリ(4−エチルフェニルホスフィン)などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましいものとしては、トリフェニルホスフィン、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。
また、コバルト化合物として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることができる。
Figure 2006016518
上記一般式(IV)で表される化合物は、塩化コバルトに対し上記一般式(III)においてnが3であるホスフィン化合物を配位子に持つ錯体である。このコバルト化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトとホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの1,2−結合の量、結晶化度の制御を行なうことができる。
上記一般式(IV)で表されるコバルト化合物の具体例としては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−イソプロピルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−t−ブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチル−5−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−フェニルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4,5−トリメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ドデシルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどを使用することができる。
これらのうち、特に好ましいものとしては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどが挙げられる。
触媒の使用量は、ブタジエン単独重合の場合は、ブタジエン1モル当たり、共重合する場合は、ブタジエンとブタジエン以外の共役ジエンとの合計量1モル当たり、コバルト化合物を、コバルト原子換算で0.001〜1ミリモル、好ましくは0.01〜0.5ミリモル程度使用する。また、ホスフィン化合物の使用量は、コバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)として、通常、0.1〜50、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜20である。さらに、アルミノオキサンの使用量は、コバルト化合物のコバルト原子に対するアルミニウム原子の比(Al/Co)として、通常、4〜107、好ましくは10〜106である。なお、一般式(IV)で表される錯体を用いる場合は、ホスフィン化合物の使用量がコバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)が2であるとし、アルミノオキサンの使用量は、上記の記載に従う。
重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶媒およびこれらの混合物が挙げられる。
重合温度は、通常、−50〜120℃で、好ましくは−20〜100℃である。
重合反応は、回分式でも、連続式でもよい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50質量%、好ましくは10〜35質量%である。
また、重合体を製造するために、本発明の触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥して本発明に用いられるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
一方、後者の(A)1,2−ポリブタジエンは、例えば、特公平3−76326号公報〔製造方法(1)〕記載の1,3−ブタジエンの水系重合によって得ることができる。
製造方法(1)によれば、あらかじめコバルト化合物(A)と周期律表第III族の金属の水素化金属化合物(B)とを、(A)に対し1〜100倍モルの共役ジエンの存在下で接触させて得られた触媒に、二硫化炭素、フェニルイソチアン酸およびキサントゲン化合物から選ばれた少なくとも1種を共存させた触媒系の存在下で1,3−ブタジエンなどの共役ジエンを水系において重合させる。
以上の製造方法(1)の詳細は、特公平3−76326号公報第3欄第41行〜第7欄第29行に詳述されている。
また、本発明の後者の(A)1,2−ポリブタジエンは、例えば、特公平5−86411号公報〔製造方法(2)〕記載の懸濁重合法によって得ることができる。
この製造方法(2)では、
工程(I):水中に、乳化剤の存在下において、第一の触媒成分溶液を乳化分散させてエマルジョンとし、この第一の触媒成分を溶液よりなる微小な油滴群を形成させ、
工程(II):工程(I)において得られた系内に共役ジエン単量体(1,3−ブタジエン)を加え、さらに第二の触媒成分を加えて重合を行なう。
ここで、第一の触媒成分溶液は、(A)コバルト化合物と(B)周期律表第II族〜第III族の金属によって形成される有機金属化合物もしくは水素化合物とを、上記(A)コバルト化合物に対して1〜1000倍モルの(C)共役ジエン化合物の存在下において接触させることによって得られる。
また、上記第二の触媒成分は、(D)二硫化炭素、フェニルイシチオシアン酸およびキサントゲン化合物より選択される少なくとも一種の化合物よりなる。
以上の製造方法(2)の詳細は、特公平5−86411号公報第3欄第36行〜第10欄第6行に詳述されている。
さらに、本発明の後者の(A)1,2−ポリブタジエンは、特開平6−25311号公報〔製造方法(3)〕記載のシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンの懸濁重合法によっても得ることができる。
この懸濁重合法について、上記特許公開公報を準用して、以下に説明する。
すなわち、製造方法(3)は、遷移金属化合物、I〜III族の有機金属化合物、ならびに、二硫化炭素、イソチオシアン酸フェニルおよびキサントゲン酸化合物からなる群から選ばれた化合物からなる触媒を用い、水性媒質中で1,3−ブタジエンを懸濁重合することにより、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンの粒子を得る方法であって、(a)比重1.1以上の高比重不活性有機溶媒を水性媒質中に共存させ、かつ、(b)高比重不活性有機溶媒の量の割合を、1,3−ブタジエン100容量部に対し10〜100容量部とし、かつ、(c)アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、およびニトリルからなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物(第4成分)を上記水性媒質に共存させて重合を行う、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンの懸濁重合法である(製造方法(3)の特許請求の範囲)。
製造方法(3)では、水性媒質中に塩化メチレンなどの高比重不活性有機溶媒を共存させることにより、1,3−ブタジエンや触媒などからなる有機相の比重を高くする。さらに、第4成分を共存させる。これにより、強力な機械的剪断力なしに、所望の融点をもった小粒径のSPBを得ることができるようにする。
ここで、製造方法(3)において、水性媒質には、水に塩化カルシウムなどの無機塩やポリビニルアルコールなどの分散剤、および必要に応じて界面活性剤を溶解もしくは分散させたものなど、通常、懸濁重合で使用されるものを用いることができる。分散剤の割合は、水100重量部に対して、0.01〜1重量部の範囲が好ましい。また、水の割合は、1,3−ブタジエン1モルに対し1〜30モルの範囲が好ましい。
高比重不活性有機溶媒は、比重が1.1以上の有機溶媒であって、重合温度にあっては1,3−ブタジエンや触媒成分と殆ど反応しないものをいう。このようなものとしては、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロホルム、ブロモホルム、トリクレンなどのハロゲン化脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、クロロトルエン、ジクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、クロロフェノール、ブロモフェノール、ペンタクロロフェノール、ペンタブロモフェノールなどのハロゲン化フェノール、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジメチル硫酸やジエチル硫酸などの硫酸ジエステル類などが好ましく用いられる。
水性媒質中に共存させる高比重不活性有機溶媒は、重合系中の1,3−ブタジエン100容量部に対して10〜100容量部、好ましくは20〜80容量部、特に好ましくは40〜60容量部の範囲である。1,3−ブタジエンに対する高比重不活性有機溶媒の割合が100容量部を超えると、ポリマーの生産性が低下する点で好ましくなく、10容量部よりも少ないと粒径の大きなSPB粒子が生成しやすくなるので好ましくない。
製造方法(3)においては、さらに、第4成分を上記の水性媒質に添加する。第4成分としては、アルコールやケトン、アルデヒド、エステル、およびニトリルからなる群から選ばれた1種または2種以上の化合物を用いることができる。
第4成分の添加量は、第4成分として用いる化合物の種類に応じて適宜調節できる。以下、各々の化合物について説明する。
アルコールとしては、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキサノール、オクタノールなどの脂肪族アルコール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロドデカノールなどの脂環式アルコール、ベンジルアルコール、ジフェニルカルビノール、シンナミルアルコール、o−アニスアルコール、m−アニスアルコール、p−アニスアルコールなどの芳香族アルコールなどが好ましく用いられる。
ケトンとしては、例えばアセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、イソプロピルメチルケトン、ブチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、ピナコロン、ジエチルケトン、ブチロン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどの脂肪族ケトンや、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロドデカノンなどの脂環式ケトン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、バレロフェノン、ベンゾフェノン、ジベンジルケトン、アセトナフトンなどの芳香族ケトンなどが用いられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ピバリンアルデヒド、カプロンアルデヒド、ヘプトアルデヒド、カプリルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒド、カプリンアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ラウリンアルデヒド、トリデシルアルデヒド、ミスチンアルデヒド、ペンタデシルアルデヒド、パルミチンアルデヒド、ステアリルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒドや、グリオキザール、スクシンアルデヒドなどの脂肪族ジアルデヒド、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、α−ナフトエアルデヒド、β−ナフトエアルデヒド、o−アニスアルデヒド、m−アニスアルデヒド、p−アニスアルデヒド、シンナムアルデヒドなどの芳香族アルデヒドなどが用いられる。
エステルとしては、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、吉草酸エステル、カプロン酸エステル、エナント酸エステル、カプリル酸エステル、ペラルゴン酸エステル、ウンデシル酸エステルなどの飽和脂肪酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、ウンデシレン酸エステル、オレイン酸エステルなどの不飽和脂肪酸エステル、安息香酸エステル、フェニル酢酸エステルなどの芳香族カルボン酸エステル、およびアセト酢酸エステルなどのケト酸エステルなどが用いられる。
ニトリルとしては、アセトニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリル、プロピオニトリルなどが用いられる。
製造方法(3)では、触媒としては、遷移金属化合物、I〜III族の有機金属化合物、ならびに、二硫化炭素、フェニルイソチオシアン酸およびキサントゲンからなる群から選ばれる化合物(以下「二硫化炭素等」と略す)からなるものを用いることができる。遷移金属化合物は、1,3−ブタジエン1モルに対し、遷移金属原子が0.01〜0.00001モルの範囲になるようにすることが好ましい。遷移金属化合物とI〜III族の有機金属化合物の割合は、0.1〜500(モル/モル)の範囲が好ましい。二硫化炭素等の添加量は、遷移金属原子に対し等モル以上の範囲が好ましい。
遷移金属化合物としては、コバルト、チタニウム、あるいはニッケルの塩や錯体が好ましく用いられる。特に好ましいものは、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト、マロン酸コバルトなどのコバルト塩や、コバルトのビスアセチルアセトネートやトリスアセチルアセトネート、アセト酢酸エチルエステルコバルト、ハロゲン化コバルトのトリアリールフォスフィン錯体やトリアルキルフォスフィン錯体、もしくはピリジン錯体やピコリン錯体などの有機塩基錯体、もしくはエチルアルコール錯体などが挙げられる。
I〜III族の有機金属化合物としては、有機リチウムや有機マグネシウム、有機アルミニウムなどが用いられる。これらの化合物のうちで特に好ましいのは、トリアルキルアルミニウムやジアルキルアルミニウムクロライド、ジアルキルアルミニウムブロマイド、アルキルアルミニウムセスキクロライド、アルキルアルミニウムセスキブロマイドなどである。
製造方法(3)の懸濁重合法は、例えば以下の手順に従って行うことができる。
まず、1,3−ブタジエンと遷移金属化合物および有機金属化合物を接触させ、熟成させる。熟成温度は−60〜50℃の範囲が好ましい。熟成の際、トルエンやベンゼン、キシレン、n−ヘキサン、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、あるいはケロシンなどの炭化水素系溶媒や、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒などが共存していてもよい。ただし、これらの溶媒は、熟成温度において、1,3−ブタジエンや遷移金属化合物、有機金属化合物と反応するものであってはならない。熟成工程で得られた熟成液を、次に分散媒中に分散させる。
高比重不活性有機溶媒は、分散媒中に予め分散させておいてもよく、熟成液を分散媒中に添加してから加えてもよい。ただし、第4成分は、予め分散媒中に共存させておく必要がある。最後に、二硫化炭素等を加え、懸濁重合を開始する。
二硫化炭素等は予め分散媒中に分散させてもよく、高比重不活性有機溶媒とともに加えてもよく、最後に加えてもよい。
なお、本発明では、1,3−ブタジエン以外の共役ジエンを10重量%以下程度併用することもできる。本発明で用いられる1,3−ブタジエン以外の共役ジエンとしては、4−アルキル置換−1,3−ブタジエン、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。このうち、4−アルキル置換−1,3−ブタジエンとしては、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−ヘプタジエン、1,3−オクタジエン、1,3−ノナジエン、1,3−デカジエンなどが挙げられる。また、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シクロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらの共役ジエンのなかで、1,3−ブタジエンと混合して用いられる好ましい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタジエンが挙げられる。
以上の製造方法によって得られる1,2−ポリブタジエンは、1,2−ビニル結合含量が70%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
また、本発明で得られる1,2−ポリブタジエンの結晶化度は、5%以上、好ましくは15〜40%、さらに好ましくは20〜35%である。5%未満では、軟質かつ耐摩耗性が損なわれ実用性に乏しく、一方、40%を超えると、成形機を用いて加工する際、180℃以上の温度を必要とし、1,2−ポリブタジエンの熱安定性が損なわれるため好ましくない。
結晶化度は、重合温度などにより調整することができる。
さらに、本発明で得られる1,2−ポリブタジエンの分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常、10万〜60万である。10万 未満では、強度的性質に劣り、一方、60万を超えると加工性が劣るようになる。分子量は、重合の温度やモノマー(1,3−ブタジエン)濃度により調整することができる。
このようにして得られる本発明の(A)1,2−ポリブタジエンは、ガラス転移温度(Tg)が、−50〜−10℃、好ましくは−40〜−15℃である。−50℃未満では、力学強度が損なわれ、一方、−10℃を超えると、耐寒性が損なわれ好ましくない。
ここで、ガラス転移温度は、重合触媒、重合温度により調整することができる。
なお、本発明に用いられる(A)1,2−ポリブタジエンは、その融点(Tm)とガラス転移温度(Tg)との関係が下記式(1)を満足することが好ましい。
120≦(Tm−Tg)≦160……(1)
(Tm−Tg)は、さらに好ましくは125〜155の範囲である。
(Tm−Tg)を上記範囲内とすることにより、成形加工性良好かつ、耐寒性、耐寒衝撃性、耐摩耗性に優れるという効果が得られる。
上記式(1)を満足させるには、重合条件(触媒、融点調節剤、溶剤、重合温度)を選ぶ必要がある。
なお、本発明に用いられる(A)1,2−ポリブタジエンは、単独で、架橋を行わない状態でも十分な強度が得られるため、射出成形、押し出し成形など工業部品やフィルム用途などの非架橋成形用途に好適である。その際、加工方法としては特に制限はなく、通常の樹脂、ゴム加工時に用いられるロール、ニーダー、バンバリーミキサー、スクリュー押出機、フィーダールーダー押出機などを用いた溶融混練りなどによる混合が可能である。
(A’)油展1,2−ポリブタジエン
なお、本発明に用いられる(A)1,2−ポリブタジエンは、あらかじめ油展して、(A’)油展1,2−ポリブタジエンとして使用することできる。
ここで、(A’)油展1,2−ポリブタジエンを調製するために用いる伸展油としては、ジエン系重合体に対して通常用いられる伸展油や軟化剤であれば特に制限はないが、例えば、鉱物油系の伸展油を好適例として挙げることができる。
鉱物油系の伸展油としては、好ましくは粘度比重恒数(または粘度比重定数という。以下、V.G.C.と略す。)で0.790〜0.999、さらに好ましくはV.G.C.が0.790〜0.949、特に好ましくはV.G.C.が0.790〜0.912のものである。
伸展油としては、一般にアロマティック系伸展油、ナフテン系伸展油、パラフィン系伸展油が知られている。
このうち、上記粘度比重恒数を満たすアロマティック系伸展油としては、出光興産社製の、ダイアナプロセスオイルAC−12,AC460,AH−16,AH−58、エッソ・モービル社製の、モービルゾールK,同22,同130、日鉱共石社製の、共石プロセスX50,X100,X140、シェル化学社製の、レゾックスNo.3、デュートレックス729UK、新日本石油社製の、コウモレックス200,300,500,700、エッソ・モービル社製の、エッソプロセスオイル110,同120、新日本石油社製の三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油などが挙げられる。
また、上記粘度比重恒数を満たすナフテン系伸展油としては、出光興産社製の、ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−280,NP−24、エッソ・モービル社製のナプレックス38、富士興産社製の、フッコールFLEX#1060N,#1150N,#1400N,#2040N,#2050N、日鉱共石社製の、共石プロセスR25,R50,R200,R1000、シェル化学社製の、シェルフレックス371JY,同371N,同451,同N−40,同22,同22R,同32R,同100R,同100S,同100SA,同220RS,同220S,同260,同320R,同680、新日本石油社製のコウモレックス2号プロセスオイル、エッソ・モービル社製の、エッソプロセスオイルL−2,同765、新日本石油社製の三菱20ライトプロセス油などが挙げられる。
さらに、上記粘度比重恒数を満たすパラフィン系伸展油としては、出光興産社製の、ダイアナプロセスオイルPW−90,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430、富士興産社製の、フッコールプロセスP−100,P−200,P−300,P400,P−500、日鉱共石社製の、共石プロセスP−200,P−300,P−500,共石EPT750,同1000,共石プロセスS90、シェル化学社製の、ルブレックス26,同100,同460、エッソ・モービル社製の、エッソプロセスオイル815,同845,同B−1、エッソ・モービル社製のナプレックス32、新日本石油社製の三菱10ライトプロセス油などが挙げられる。
このように、1,2−ポリブタジエンが伸展油によって油展されていることにより、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を1,2−ポリブタジエンに均一に微分散させることが可能になり、加工性や成形体である靴底の諸特性を著しく向上させることができる。また、これにより、驚くべきことに、得られる(A’)油展1,2−ポリブタジエンや成形体である靴底の機械的強度、特に耐摩耗性を向上させることができる。
本発明に用いられる伸展油の配合量は、(A)1,2−ポリブタジエン100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部、特に好ましくは20〜70重量部である。1重量部未満では、耐摩耗性向上効果や加工性に乏しく、一方、200重量部を超えると、著しく軟質化し加工性に劣る。
油展方法としては特に制限はなく、例えば、(A)1,2−ポリブタジエンの重合溶液に伸展油を添加し、溶液状態で混合する方法を挙げることができる。この方法は、操作上、1,2−ポリブタジエンと伸展油とを混合する過程を省略することができ、両者の混合均一性に優れる点から好ましい。重合体溶液に伸展油を添加する場合は、重合の終了後、例えば、末端変性剤の添加後または重合停止剤の添加後が好ましい。有機溶剤を含む重合体溶液中に、伸展油を必要量添加して、溶液状態でよく混合する(第1工程)。次に、(1)伸展油を含む重合体溶液中にスチームを吹き込むスチームストリッピング法によってクラムを得るか、あるいは(2)伸展油を含む重合体溶液をエクストルーダー、デボラチライザーなどの手段により、直接、脱溶剤を行なって、油展1,2−ポリブタジエンと溶剤とを分離する(第2工程)。得られた油展1,2−ポリブタジエンは、必要に応じて、真空乾燥機、熱風乾燥機やロールなどにより乾燥し(第3工程)、目的とする(A’)油展1,2−ポリブタジエンを単離することができる。
また、油展方法として、1,2−ポリブタジエンと伸展油とを溶融状態でブレンドして、(A’)油展1,2−ポリブタジエンを調製することもできる。この場合、ブレンド方法としては、単軸押し出し機、二軸押し出し機、バンバリー、ロール、ニーダー、プラストミルなどが採用され、溶融混練温度は140〜160℃が好適である。
このような(A’)油展1,2−ポリブタジエンと、後記する(B)〜(C)成分とを組み合わせることにより得られる組成物は、流動性に優れるので、射出成形機またはトランスファー成形機を用いて、金型内に該組成物をスムーズに充填することが可能である。しかも、金型を加熱することにより得られる(架橋)発泡体は、高発泡倍率であって、均一で微細な泡構造を有する。このような成形体(架橋体および/または発泡体を含む)からなる靴底材料は、機械的強度(T,E)、層間引き裂き強度、圧縮永久歪み、耐ウエットスキッド性に優れている。
(B)ビニル・シスブタジエンゴム
(B)成分であるビニル・シスブタジエンゴム(以下「VCR」と略す)は、沸騰n−ヘキサン不溶分;1〜25重量%で、沸騰n−ヘキサン可溶分;99〜75重量%であるビニル・シスブタジエンゴムであり、沸騰n−ヘキサン不溶分はシンジオタクチック1,2−ポリブタジエン(以下「SPBD」と略す)である。沸騰n−ヘキサン可溶分は高シス−1,4−ポリブタジエンであり、ミクロ構造はシス−1,4構造が90重量%以上である。ここでいう沸騰n−ヘキサン不溶分とはVCRを沸騰n−ヘキサン中に還流したときに不溶分として回収される部分をいい、沸騰n−ヘキサン可溶分とはVCRを沸騰n−ヘキサン中で還流したときに溶解する部分である。沸騰n−ヘキサン不溶分はテトラリン溶液で測定した還元粘度(135℃,濃度0.20g/dlテトラリン溶液)が0.5〜4であり,好ましくは0.8〜3の範囲である。沸騰n−ヘキサン不溶分の還元粘度が0.5より小さいときには、配合物のダイスウェルが十分改善されない。一方、沸騰n−ヘキサン不溶分の還元粘度が4より大きい場合、重合時にSPBDが高シス−1,4−ポリブタジエン中で凝集塊を形成するようになり分散不良を起こして加工性や耐久性が低下してこの発明の目的を達成できない。また、沸騰n−ヘキサン可溶分の重量平均分子量は300,000〜800,000の範囲であることが好ましく,300,000未満では加硫物の耐久性や反発弾性が低下するので好ましくない。一方、800,000を超えると、配合物ムーニー粘度が高くなりすぎて加工が困難になるので好ましくない。
上記の(B)VCRの製造方法は、例えば特公昭49−17666号公報、特公昭49−17667号公報、特公昭61−57858号公報、特公昭62−171号公報、特公昭63−36324号公報、特公平2−37927号公報、特公平2−38081号公報、特公平3−63566号公報などに記載された方法を用いることができる。ただし、この発明に用いるVCRの製造方法は、これらの方法に限定されるものではない。
なお、(B)成分も、(A)成分と同様に、(B’)油展VCRとして用いることができる。
(C)熱可塑性重合体
ここで、本発明で用いられる(C)熱可塑性重合体としては、(A)〜(B)成分以外の、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
このうち、上記(A)〜(B)成分以外の熱可塑性樹脂としては、可塑化する温度が50〜250℃の熱可塑性樹脂であれば、特に制限無く使用でき、例えばスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体など)、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、などの1種または2種以上の混合物が挙げられる。
熱可塑性樹脂の中で好ましいものは、ポリスチレン、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルである。
また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントの化学組成による分類によれば、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBCと略記される。以下、括弧内は略記号を表す)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)などが挙げられる。また、そのほか、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、イオンクラスター型熱可塑性エラストマー(アイオノマー)、フッ素樹脂を拘束ブロックとして含むフッ素系熱可塑性エラストマーなどがある(なお、樹脂/ゴムブレンドによる熱可塑性エラストマーのうち、ソフトセグメントとなるゴム分を架橋させながら混練し、ゴム分散粒径を細かくすることにより性能を向上させる動的架橋によるTPOをTPVと言う場合がある)。これら熱可塑性エラストマーは、1種または2種以上の混合物が挙げられる。
SBCとして好ましいものは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、官能基付与型SEBS(f−SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、ランダムタイプの水素添加型スチレン・ブタジエンポリマー(HSBR)である。
TPOとして好ましいものは、PP、PEなどのポリオレフィンにEP、EPDM、EBM、EBDMなどのエラストマーを混合しバンバリーやプラストミルなどの混合機でコンパウンドした単純ブレンド型TPO(s−TPO)、ハードセグメントであるオレフィンモノマーを重合し、次いで同一のプラント又は同一の反応器でソフトセグメントであるオレフィンモノマーを重合する(順序は逆であってもよい)インプラント化TPO(i−TPO)、バンバリーやプラストミルなどの混合機で、混合と同時にゴムを加硫して作った動的加硫型TPO(TPV)である。さらに、TPVとして、好ましくはハードセグメントにPP、ソフトセグメントにEPDMを組み合わせたPP−EPDM(以下、左側記載がハードセグメント、右側記載がソフトセグメント)、PP−ニトリルゴム(NBR)、PP−アクリルゴム(ACM)、PP−天然ゴム(NR)、PP−ブチルゴム(IIR)、PE−EPDM、PE−NR、ナイロン−NBR、ナイロン−ACM、ポリエステル−クロロプレン(CR)、PVC−NBRである。
TPUとして好ましいものは、ハードセグメントに用いられるジイソシアネートがトルエンジイソシアネートであるもの、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるもの、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであるもの、p−フェニレンジイソシアネートであるもの、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートであるもの、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジシソシアネートであるもの、1,5’−ナフタレンジイソシアネートであるもの、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネートであるもの、リジンジイソシアネートであるもの、およびこれらの2種以上の混合物であるものである。
TPVCとして、好ましくはハードセグメントに高分子量のポリ塩化ビニル(以下、PVCと略す)を用いて微結晶部分で架橋点の働きを持たせソフトセグメントに可塑性剤で可塑化されたPVCを用いたもの、ハードセグメントに部分架橋または分岐構造を導入したPVCを用いソフトセグメントに可塑剤で可塑化されたPVCを用いたもの、ハードセグメントにPVCを用いソフトセグメントに部分架橋NBRなどのゴムおよび/またはTPU、TPEEなどのTPEを用いたもの単独で、あるいは2種以上を混合したものがある。
また、天然ゴムとしては、特に制限無く使用できるが、例えば、アラビアゴム、インドゴムなどの1種または2種以上の混合物が挙げられる。
また、合成ゴムとしては、特に制限無く使用できるが、例えば、(A)〜(B)成分以外のポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、エチレン−α−オレフィン−(ジエン)共重合体(例えば、EPM、EBM、EOM、EPDM、EBDMなど)、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物−(α−オレフィン)共重合体(例えば、SBR、SBS、SEBSなど)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ハロゲン化ブチルゴム(例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなど)などの1種または2種以上の混合物が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴムなどは、1種あるいは2種以上の混合物として使用することもできる。
本発明の組成物において、(A)1,2−ポリブタジエン、(B)VCR、(C)他の熱可塑性重合体の配合割合は、(A)成分が10〜90重量%、好ましくは15〜80重量%、(B)VCRが90〜10重量%、好ましくは85〜20重量%、(C)他の熱可塑性重合体が0〜50重量%、好ましくは0〜40重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%〕である。
(A)成分が10重量%未満では、発泡形状が悪く(収縮やサイズバラツキ)、またHs(実用硬度が不足し変形しやすい)、WSR(濡れ面で滑りやすく危険)、T(引張強度が不足し耐久性がない)やTR−B(引裂強度が不足し耐久性がない)が満たされず実用上問題であり、一方、90重量%を超えると、熱可塑性が大となり、高温流動や混色が生じる。また、(B)成分が90重量%を超えると、発泡性が損なわれ、一方、10重量%未満では、熱成形時の流動性が大となり混色しやすくなる。さらに、(C)成分が50重量%を超えると実用硬度が出ず、また発泡し難く、さらに収縮が大きくなり好ましくない。
なお、(C)他の熱可塑性重合体を上記の範囲で用いることにより、ウエットスキッド性に優れ、(架橋)発泡後の収縮が小さいほか、機械強度(T,E)、層間引裂強度、圧縮永久歪みなどが良好であり、良加工性、良成形性および良着色性である本発明の組成物を得ることができる。
(D)発泡剤
発泡剤としては、それ自体公知の無機発泡剤または有機発泡剤を用いることができる。発泡剤の具体例として、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン(OBSH)、ジニトロソテレフタルアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド類などを挙げることができる。
なかでも、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン(OBSH)がより好ましいものである。
これらの発泡剤は、尿素、尿素誘導体などの公知の発泡助剤と併用してもよい。尿素誘導体としては、三協化成社製のセルトンNPや永和化成社製のセルペーストK5などが挙げられる。
発泡剤の配合量は、成形材料のポリマーの種類、成形体の用途によって異なるが、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。発泡剤の使用量が少ないと発泡倍率が低い発泡体しか得られず、一方、20重量部より多いと発泡剤の分解によって発生するガスが多くなり、ガス圧が異常に高くなり過ぎて、得られる発泡体に亀裂が生ずることがある。なお、発泡助剤の使用量は、発泡剤の10%量から200%量まで必要に応じ使い分けることができる。
また、組成物を発泡させる方法として、炭酸ガス、水などを所定量含有させ、種々の成形方法により発泡成形体を得る方法がある。例えば、射出成形の場合、炭酸ガスを(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、0.5重量部程度含有させた組成物は、可塑化・溶融された状態で計量部にあるときは高温、高圧により発泡しないが、射出成形により金型内に充填される際、圧力低下により含有されていた炭酸ガスが気化し、成形体内部が発泡した成形体を得ることができる。
(E)架橋剤(または架橋剤および架橋助剤)
本発明の組成物には、上記(D)発泡剤とともに(E)架橋剤を配合する。
(E)成分としては、硫黄、加熱により硫黄を生成させる化合物、有機過酸化物、多官能性モノマー、およびシラノール化合物の群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。なお、架橋に際しては、多官能性モノマーと電子線照射の組み合わせや、光増感剤と紫外線照射の組み合わせを用いることもできる。
硫黄としては、粉末硫黄,沈降性硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄などが使用でき、また加熱により硫黄を生成させる化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドなどが使用できる。
硫黄や加熱により硫黄を生成させる化合物に併用する加硫促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジンクジ−n−ブチルジチオカーバイト(ZnBDC)、ジンクジメチルジチオカーバイト(ZnMDC)などである。
有機過酸化物架橋配合の場合、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α’−ジ−t−ブチルパーオキシ−ジ−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス−t−ブチルパーオキシバレレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどが使用できる。これらのうち、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α’−ジ−t−ブチルパーオキシ−ジ−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましい。また、有機過酸化物の市販品としては、日本油脂社製のパーヘキサ3M、パークミルD、ペロキシモンF、日本化薬社製のトリゴノックス29、カヤクミルD、パーカドックス14などが挙げられる。
また、有機過酸化物架橋の場合は、同時に種々の多官能性モノマーなどを添加してもよい。多官能性モノマーの具体例としては、トリメチロールプロパントリメアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレートなどである。この場合の有機過酸化物/多官能性モノマー(モル比)は、通常1/1〜1/50、好ましくは1/2〜1/40である。
これら多官能性モノマーは、本発明の組成物を得る手段の電子線架橋システムでも有効に活用できる。この場合に用いられる電子線装置としては、例えば走査型(スキャンタイプ)、カーテン型(リニアカソードタイプ,イオンプラズマタイプ)が使用される。また、電子線照射の条件としては、処理能力1〜3,000Mrad・m/min,加速電圧10kV〜3,000kVなどが挙げられる。
紫外線架橋の場合、光増感剤を用いると効率良く架橋ができる。光増感剤としては、高圧水銀灯の波長域である260〜400nmで増感し、かつ(A)〜(B)成分や(C)上記(A)〜(B)成分以外の(C)天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性樹脂などと親和性のよいものが好ましい。
光増感剤の具体例としては、ベンゾフェノン、P,P’−ジメトキシベンゾフェノン、P,P´−ジクロルベンゾフェノンP,P’−ジメチルベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトナフトンなどの芳香族ケトン類が良い結果を与え、そのほかテレフタルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド、メチルアントラキノンなどのキノン系芳香族化合物も挙げられる。添加量は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、0.1〜30重量部好ましくは0.3〜20重量部である。また、スポンジ作製の場合の添加量は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、0.1〜3.0重量部好ましくは0.3〜1.0である。紫外線照射の条件としては、20cmの距離から1kWの高圧水銀灯にて紫外線を20分照射が挙げられる。
発泡の場合は予め発泡剤を所定処理した薄層シートに上記紫外線処理を施し、薄層シートを150〜250℃の温度処理を行う。
シラノール化合物と水系剤との組み合わせによれば、水架橋という作用効果がある。ここで、シラノール化合物としては、ビニルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジエトキシメチルシラン、ビニルメトキシジメチルシラン、ビニルエトキシジメチルシランなどが、また、水系剤としては、水もしくは、水蒸気などが挙げられる。好ましい場合、シラノール化合物/水系剤(モル比)は、通常、1/0.01〜1/100好ましくは1/0.05〜1/90である。
以上の(E)成分の使用量は、例えば、硫黄、有機過酸化物などの化合物重量換算で、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、0.02〜20重量部、好ましくは0.05〜15重量部であり、加硫促進剤、多官能性モノマー、電子照射、もしくは紫外線照射などとの組み合わせによって、この範囲内で適宜増減して使用される。0.02重量部未満では、架橋が不十分で耐熱性,力学強度、圧縮永久歪(コンプレッションセット)が満足されない。一方、20重量部を超えると、過剰架橋となり架橋物は脆く評価不能で本発明の成形体は得られない。
なお、本発明の組成物は、上記(A)〜(E)成分を必須成分として含有するが、さらに必要に応じて、下記(F)〜(H)成分を配合してもよい。
(F)軟化剤
(D)軟化剤は、(A’)油展1,2−ポリブタジエンに用いられる以外の伸展油であり、本発明の組成物に、別途、配合することができる。この伸展油としては、(A’)成分において用いられる伸展油と同様の種類を挙げることができる。この場合、伸展油の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、0〜300重量部、好ましくは1〜100重量部程度である。
(G)無機充填剤
本発明の組成物に配合される(G)無機充填剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラー、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。(E)無機充填剤の配合量は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、通常、0〜300重量部、好ましくは.1〜200重量部である。
(G)無機充填剤としては、中でも、カーボンブラックとシリカとの併用、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーの使用またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーとカーボンブラックおよび/またはシリカとの併用が好ましい。
シリカとしては、例えば、湿式法シリカ、乾式法シリカ、合成ケイ酸塩系シリカなどを挙げることができる。補強効果の高いのは粒子径の小さいシリカであり、小粒子・高凝集タイプ(高表面積、高吸油性)のものが重合体ヘの分散性が良好で、物性および加工性の面で好ましい。シリカの平均粒径は、一次粒子径で、好ましくは、5〜60μm、さらに好ましくは、10〜35μmである。また、その比表面積(BET法)は、好ましくは、45〜280m/gである。
シランカップリング剤としては、分子中にアルコキシシリル基などのシリカ表面と反応可能な官能基とポリスルフィド、メルカプト基、エポキシ基などの、重合体の炭素−炭素二重結合と反応可能な官能基を併せ持ったものが好ましい。例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどを挙げることができる。このようなシランカップリング剤を用いることにより、カーボンブラックとシリカを併用して充填剤に使用した場合に、またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを充填剤に使用した場合に、その補強効果を高めることができる。
(H)他の添加剤
本発明の組成物には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤、滑剤(スリップ剤)、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤、加工助剤、耐光(候)剤、抗菌剤などを添加することができる。
本発明に使用可能な難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤を挙げることができるが、ダイオキシン問題を考慮するとハロゲンを含まない無機系難燃剤が好ましい。
無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、カオリン・クレー、炭酸カルシウム、明ばん石、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウムなどを例示することができる。
上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。
本発明の組成物は、酸化防止剤を使用することにより製品寿命を長くすることが可能である。この場合に使用される酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが挙げられるが、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
上記のフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、スチレン化フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、ブチル化ビスフェノールA、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ノニルフェノール)、2,2′−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオ−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(2−メチル−6−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンゼン)スルフィド、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、ビス[3,3−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェノール)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ビス[2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−t−ブチルベンゼン)−4−メチル−6−t−ブチルフェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシアミド)、N−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、モノ(α−メチルベンゼン)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、ビス(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルベンジル)4−メチル−フェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,6−ジ−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のジエチルエステルなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、(A)〜(C)成分の合計100重量部当たり、0.1〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.2〜5重量部である。
本発明に使用可能な滑剤としては、押出し安定性を付与するために一般的に使用されるパラフィン系および炭化水素樹脂、金属石けん、脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪族金属塩、シリコンオイルなどが挙げられる。
着色剤としては、無機顔料および有機顔料の中から、適宜選択して使用する。
以上の(H)他の添加剤の配合割合は、特に限定されるものではないが、それぞれ、上記(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、0〜20重量部、好ましくは1〜15重量部である。
以上(F)、(G)および(H)成分の合計量は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し1〜600重量部好ましくは3〜500重量部である。
本発明の上記(A)〜(C)成分、(D)〜(E)成分およびその他の成分を混合して、熱可塑性重合体組成物を調製する方法は、特に制限はなく、バンバリー型ミキサー、加圧ニーダー、オープンロールなどの一般のゴム配合に使用される混練装置を用いた混合法でよく、70〜130℃の範囲の温度で混合するのが好ましい。
成形には、通常、圧縮成形、射出成形、押出成形、およびトランスファー成形が採用される。圧縮成形機、射出成形機、押出成形機またはトランスファー成形機に供給する組成物の形状には、特に制限なく、例えばシート状、リボン状、角ペレット状、丸ペレット状など使用する成形機に適した形状でよい。
成形機には特に制限はなく、例えば熱可塑性樹脂用あるいはゴム用に使用されている、温度調節器を有している圧縮成形機、シリンダー,ノズル,金型各部に温度調節器を有している射出成形機またはトランスファー成形機が用いられる。これら成形機の温度条件は、組成物により異なるが、通常、圧縮成形機の場合140〜200℃に設定、射出成形機またはトランスファー成形機の場合シリンダー部を70〜100℃に、ノズル部を80〜120℃に、金型部を140〜200℃に設定するのが好ましい。
また、本発明の発泡体用組成物は、インサート成形やカット成形などの圧縮成形に有用である。
ここで、インサート成形とは、異なる色の配合物シートを所定金型形状のパターン(意匠)に打ち抜いたものを、所定の金型の部位に収め、一気に加熱成形する方法である。
また、カット成形とは、色または材質が異なる二種以上のシート状ゴム素材を打ち抜き型によって所定形状にそれぞれ打ち抜いたのち、金型に納め、予備成形し(5秒〜120秒)、金型から溢れたものを除去し、異なる色の配合物を同様に打ち抜いた(意匠に合わせて)ものを予備成形以外の意匠にセットし、熱圧縮成形する方法である。なお、打ち抜かれた各ゴム素材は、完成時の靴底裏面の凹凸とほぼ反転した凹凸を有する成形金型により圧縮成形して靴底形状に一体化される。
本発明の組成物は、厚み精度に優れ、適度な硬度を有し、意匠転写性に優れ、混練り生地の平滑性に優れ、さらに熱をかけても流れすぎることのなく(温度に対して鈍感であり混色し難く)加工性に優れるので、多色圧縮成形に特に有用である。
架橋あるいは発泡させる場合には、金型部を上記温度範囲に、3〜30分間加熱、加圧することにより、所定形状の金型内で発泡剤が分解してガスが発生し、かつ組成物が架橋することにより進行する。圧縮成形機の金型圧着力は、発泡剤の分解によって発生するガスの膨張圧に勝る圧力が必要であり、通常は金型のキャビティーにかかる比圧は7Mpa以上とするのが好ましい。比圧が低いと成形体の気泡径が大きくなると共に、発泡体にバリが発生し、外観が悪くなる。所定時間加熱、加圧した後、金型を開くことにより製品である架橋発泡体が得られる。
なお、発泡成形体(発泡靴底)の場合、その密度は、通常、0.1〜1.1Mg/m、好ましくは0.1〜0.9Mg/mである。
このようにして製造された成形体(架橋・発泡物)は、靴底材料、具体的には、紳士靴、婦人靴、カジュアルシューズ、ランニングシューズ、ジョギングシューズ、トラッキングシューズ、各種競技用シューズ、登山シューズ、ドレスシューズ、ゴルフシューズ、屋内履きシューズ、スリッパ類、ビーチサンダル類などの履物全般の靴底材料として有用である。また、本発明の組成物および成形体は、必要に応じて、自動車部品、建材部品、工業部品、玩具・雑貨部品、スポーツ・健康部品などの各種成形品や、各種シート、フィルム、そのほかの工業用品、緩衝材料、包装材料などに使用することができる。また、本発明の発泡成形体(架橋物を含む)は、寸法精度に優れ,耐久性、クッシヨン性にも優れており、熱成形スポンジにも応用できる。ここで、熱成形スポンジとは、発泡体を所要の形状に予備裁断し、発泡体に使用される(A)〜(B)成分の融点以上、好ましくは100〜150℃に加熱された金型内で加熱、加圧し、発泡体の表層部に強固な融解皮膜を形成させた後、金型を冷却して発泡体を取り出すことにより作製されるものである。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。
なお、部数および%は、特に断らない限り、質量基準である。
また、実施例中の各種の測定は下記の方法に拠った。
ガラス転移温度(Tg):
ASTM D3418(DSC法)に準拠し求めた。
融点(Tm):
ASTM D3418(DSC法)に準拠し求めた。
1,2−ビニル結合含有量:
赤外吸収スペクトル法(モレロ法)によって求めた。
1,2−ポリブタジエンの結晶化度:
結晶化度0%の1,2−ポリブタジエンの密度を0.889g/cm、結晶化度100%の1,2−ポリブタジエンの密度を0.963g/cmとして、水中置換法により測定した密度から換算した。
重量平均分子量:
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ウォーターズ社製、244型)を用いて、ポリスチレン換算で求めた重量平均分子量(Mw)を求めた。
メルトフローインデックス(MI):
ASTM D1238に準拠した(条件:150℃、21.2N)
低温特性(脆化試験)
JIS K6264に準拠して評価した。
判定
◎:−50℃未満
○:−10℃〜−50℃
×:−10℃を超える温度
発泡形態
架橋発泡成形した際の形態保持性を目視観察した。
判定
○:正常(好ましい発泡成形状態)
×:異常発泡(発泡ガスがスキンから吹き出し型通りの成形を留めない状態)、オーバーキュアー(架橋が強すぎて十分な発泡が出来なかったり、スキンの伸びが不足し発泡ガス圧により裂ける状態)、未発泡(目的とする発泡体が得られない状態)。
比重
浮力法で測定した。
判定
○:0.4〜0.8
×:0.4未満、または0.8を超える。
硬度:
SR1S0101に準拠した ASKER C型(スポンジ硬度計)で測定。
判定
○:55〜75度
×:55度未満(柔らかすぎて少量の加重で変形する)、75度超える(硬すぎてクッション性に欠ける)
引張強度:
JIS K6251(2号ダンベル使用)に準拠して測定した。
判定
○:35MPa以上
×:35MPa未満
引張伸び
JIS K6251(2号ダンベル使用)に準拠し測定した。
判定
○:300%以上
×:300%未満
引裂強度
○:15kN/m以上
×:15kN/m未満
圧縮永久歪(C/S)
ISO815(50℃・25%圧縮・22時間、室温24時間後)に準拠し測定した。
判定
○:60%未満
×:60%以上
AKRON摩耗
JIS K6264に準拠して評価した。
測定条件;6 lbs、3000回、アングル15度
判定
○:0.4 cc未満
×:0.4 cc以上
成形外観:
成形体表面外観の混色、エアースコーチ(成形品に気泡が入る状態)、エアーポケット(十分な架橋発泡が部分的に出来ない状態)、発泡性、状態を目視評価した。
判定
◎:混色なく金型転写良好、外観美麗
○:殆ど混色なく実用性を備えた外観
×:混色あり外観不良
成形収縮
◎:1%未満
○:1〜1.9%
×:2%以上
実施例1〜5、比較例1〜6
混練り:
表1に示す配合処方で、配合物を3L加圧ニーダーを用い、90℃、10分間混練りし、120℃で排出した。
シート化:
10インチロールを用いて混練りされた混練り物を、3.1〜3.9mm厚シートに分だしを行った。
テストピース作成:
200トン加硫プレス機を使用し、物性評価ピースは3mm厚×100mm×150mm金型を使用し150℃×10分架橋し各々の評価用ピースに供した。
外観評価は、複数の色を配置した多色専用4mm厚靴金型を用い成形外観を評価した。
以上の結果を表1に示す。
表1から明らかなように実施例1〜5は、本発明の組成物であり、多色スポンジ成形外観、スポンジ成形収縮、硬度、引張強度、引裂強度、密度、C/SおよびAKRON Ab(アクロン摩耗)特性が優れ、かつこれら評価項目の何れもが欠けることなく優れている。
これに対し、比較例1は、本発明範囲外で(B)成分がない組成物であり、硬度、摩耗および成形外観特性が満足できない。
比較例2は、本発明範囲外で(A)成分がない組成物であり、硬度(変形)、成形収縮特性が満足できない。
比較例3,4は、本発明の架橋剤成分が範囲外の組成物で、何れも良好な架橋発泡体が得られず各評価ができなかった
比較例5,6は、本発明の発泡剤成分が範囲外の組成物で、比較例5は目的とする軽量スポンジが得られず、比較例6は発泡ガス過剰でスポンジが破壊し、何れもスポンジ評価に供することができなかった。
Figure 2006016518

※1)JSR社製、RB830(1,2−ポリブタジエン)、融点=110℃、ηsp/c=0.8、結晶化度=28%
※2)宇部興産社製、UBE SPB105(1,2-ポリブタジエン)、融点=105℃、ηsp/c=1.1結晶化度=26%
3)宇部興産社製、 UBE VCR412、1,2−結合12%、シス1,4−結合86%、トランス1,4−結合2%
※4)宇部興産社製、UBE VCR617、1,2−結合17%、シス1,4−結合81%、トランス1,4−結合2%
※5)天然ゴム、RSS#1素練り品 ML1+4(100℃)=60
※6)ジェイエスアールクレイトンエラストマー社製、TR2250、リニアタイプSBS、スチレン含量52%、非油展タイプ
※7)亜鉛華:堺化学工業社製、二種使用
※8)ジンクステアレート:堺化学社製、比重1.07
※9)ステアリン酸:旭電化社製、融点71℃
※10)シリコンゴム(高分子シリコン):ダウコーニング社製、高分子シリコンゴムコンパウンド、CF201U
※11)炭酸マグネシウム:徳山ソーダ社製、トクシールTT
※12)軽質炭酸カルシウム:白石工業社製、シルバーW
※13)イルガノックス1076:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、老化防止剤
※14)酸化チタン:堺化学社製、アナターゼ型
※15)顔料:山陽色素社製、群青を10%RB830マスターバッチ
※16)TAIC−60:日本化成社製
※17)PEG#4000:山陽化成工業社製、ポリエチレングリコール
※18)発泡剤FE788:永和化成社製、分解温度139℃、アゾ系
※19)DCP(98%):日本油脂社製、パークミルD(ジクミルパーオキサイド)
※20)MBTS:大内新興化学工業社製、ノクセラーDM(ジベンゾチアジルジスルファイド)
本発明の発泡体用組成物によれば、特定の(A)1,2−ポリブタジエンと(B)VCRとを組み合わせ、必要に応じてさらに(C)他の熱可塑性重合体を配合しているので、厚み精度に優れ、適度な硬度を有し、平滑性に優れ、さらに熱をかけても流れすぎることのなく(温度に対して鈍感であり混色がない)加工性に優れている。
このため、本発明の組成物において、(A)〜(B)成分が100重量%系および(A)〜(B)成分と(C)成分として熱可塑性エラストマーとのブレンド系のものは、ランニングシューズ底、ジョギングシューズ底、ゴルフシューズ底、ベースボールシューズ底、サッカーシューズ底などのスポーツシューズ底、ヒールリフト、玩具、文具、建材、日用雑貨、発泡成形用途、シート成形用途、インジェクションシューズ底(発泡、非発泡)、ユニットソール、へップサンダル、カジュアルシューズ底、紳士・婦人シューズ底、保護具、自動車部品、電気部品用途などに有用である。
また、本発明の組成物から製造された成形体(架橋・発泡物)は、具体的には、紳士靴、婦人靴、カジュアルシューズ、ランニングシューズ、ジョギングシューズ、トラッキングシューズ、各種競技用シューズ、登山シューズ、ドレスシューズ、ゴルフシューズ、屋内履きシューズ、スリッパ類、ビーチサンダル類などの履物全般の靴底材料として有用である。
また、本発明の組成物および成形体(架橋・発泡物)は、必要に応じて、自動車部品、建材部品、工業部品、玩具・雑貨部品、スポーツ・健康部品などの各種成形品や、各種シート、フィルム、そのほかの工業用品、緩衝材料、包装材料などに使用することができる。また、本発明の発泡成形体(架橋物を含む)は、寸法精度に優れ,耐久性、クッシヨン性にも優れており、熱成形スポンジにも応用できる。

Claims (9)

  1. (A)ガラス転移温度(Tg)が−50℃〜−10℃である1,2−ポリブタジエン10〜90重量%、(B)沸騰n−ヘキサン不溶分1〜25重量%,沸騰n−ヘキサン可溶分99〜75重量%であるビニル・シスブタジエンゴム(VCR)90〜10重量%、および(C)上記(A)〜(B)成分以外の熱可塑性重合体0〜50重量%〔ただし、(A)+(B)+(C)=100重量%〕の合計量100重量部に対し、(D)発泡剤0.5〜20重量部、および(E)架橋剤0.02〜20重量部を含有する発泡体用組成物。
  2. (A)成分が、結晶化度が5%以上であるシンジオタクチック1,2−ポリブタジエンである請求項1記載の発泡体用組成物。
  3. (C)成分が、(A)〜(B)成分以外の、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2記載の発泡体用組成物。
  4. (D)発泡剤が、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DNPT)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、およびp,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジン(OBSH)の群から選ばれた少なくとも1種、またはこれと尿素および/または尿素誘導体からなる発泡助剤の組み合わせである請求項1〜3いずれかに記載の発泡体用組成物。
  5. (E)架橋剤が硫黄、加熱により硫黄を生成させる化合物、有機過酸化物、多官能性モノマー、およびシラノール化合物の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3いずれかに記載の発泡体用組成物。
  6. (A)〜(C)成分の合計量100重量部に対し、さらに、(F)軟化剤0〜300重量部、(G)無機充填剤0〜300重量部、(H)難燃剤、酸化防止剤、軟化剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤、加工助剤、耐光(候)剤および抗菌剤の群から選ばれた少なくとも1種の他の添加剤0〜20重量部を配合してなり、かつこれら(F)、(G)および(H)成分の合計量が1〜600重量部を配合してなる請求項1〜5いずれかに記載の発泡体用組成物。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の発泡体用成物を成形してなる成形体。
  8. 成形が圧縮成形、射出成形またはトランスファー成形である請求項7記載の成形体。
  9. 靴底である請求項7または8記載の成形体。
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