JP3770191B2 - 熱可塑性重合体組成物およびその成形品 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物およびその成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な油展1,2−ポリブタジエンを用いた熱可塑性重合体組成物に関する。詳しくは、工業部品や履き物などの各種成形品や、各種シート、フィルムなどを成形するための熱可塑性エラストマーとして用いられる新規な油展1,2−ポリブタジエンを用いた熱可塑性重合体組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
適度な結晶化度に制御した1,2−ポリブタジエンは、結晶性に富んだ領域と非晶性部とからなる構造を有するため、熱可塑性エラストマーとしての機能だけでなく、分子中に化学反応性に富んだ炭素−炭素二重結合を有しているため、従来の加硫物や架橋密度を高めた熱硬化性樹脂やゴムとしての機能も有する。また、この1,2−ポリブタジエンは、他の樹脂や熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーの改質材、医療用高分子材料として応用されている。
ところが、この1,2−ポリブタジエンを新たな種々の用途に使用するに当たり、流動性の不足、低着色性が指摘されるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の1,2−ポリブタジエンの特徴である優れた機能を有し、さらに流動性、着色性(高鮮映性)に優れた油展1,2−ポリブタジエンを用いた熱可塑性重合体組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)有機溶剤を含む 1 ,2−ポリブタジエンの重合体溶液中に伸展油を添加して溶液状態で混合し、該伸展油を含む重合体溶液を脱溶剤して得られる油展1,2−ポリブタジエン、および(B)上記(A)成分以外の他の熱可塑性重合体(以下「他の熱可塑性重合体」ともいう)、を含有する熱可塑性重合体組成物(以下「組成物」ともいう)に関する。
ここで、伸展油の配合量は、 1 ,2−ポリブタジエン100重量部に対し、1〜200重量部である。
また、上記(A)〜(B)成分の割合は、(A)成分が1〜99重量部、(B)成分が99〜1重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕である。
(B)成分としては、(A)成分以外の他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
本発明の組成物には、さらに(C)充填材を配合したものでもよい。
本発明の組成物には、難燃剤、酸化防止剤、軟化剤、滑剤、着色剤、発泡剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤,加工助剤、軟化剤、耐光(候)剤および抗菌剤の群から選ばれた少なくとも1種が配合されてもよい。
本発明の組成物には、別途、さらに伸展油を配合してもよい。
次に、本発明は、上記熱可塑性重合体組成物を成形してなる成形品に関する。
また、本発明は、上記熱可塑性重合体組成物と織布および/または不織布とを一体化させた自動車内装用構成物に関する。
さらに、本発明は、上記熱可塑性重合体組成物を発泡してなる成形品に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
(A)油展1,2−ポリブタジエン
1,2−ポリブタジエン;
本発明の(A)成分に用いられる1,2−ポリブタジエンは、例えば、1,2−ビニル結合含有量が70%以上のものであれば、いかなる1,2−ポリブタジエンでもよいが、好ましくは、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られるものである。
【0006】
本発明の1,2−ポリブタジエンのブタジエン結合単位における1,2−ビニル結合含有量は、70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
1,2−ビニル結合含有量が70%以上であることにより、本発明の1,2−ポリブタジエンが良好な熱可塑性エラストマーとしての性質が発揮される。
【0007】
なお、本発明の1,2−ポリブタジエンは、結晶性を有する1,2−ポリブタジエンが好ましく、その融点は、好ましくは50〜130℃、さらに好ましくは60〜120℃の範囲にある。融点がこの範囲にあることにより、引張強度、引裂強度などの力学強度と柔軟性のバランスに優れる結果となる。
【0008】
本発明の1,2−ポリブタジエンは、ブタジエン以外の共役ジエンが少量共重合していてもよい。ブタジエン以外の共役ジエンとしては、1,3−ペンタジエン、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。このうち、高級アルキル基で置換された1,3−ブタジエン誘導体としては、1−ペンチル−1,3−ブタジエン、1−ヘキシル−1,3−ブタジエン、1−ヘプチル−1,3−ブタジエン、1−オクチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
【0009】
ここで、2−アルキル置換−1,3−ブタジエンの代表的なものは、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−プロピル−1,3−ブタジエン、2−イソプロピル−1,3−ブタジエン、2−ブチル−1,3−ブタジエン、2−イソブチル−1,3−ブタジエン、2−アミル−1,3−ブタジエン、2−イソアミル−1,3−ブタジエン、2−ヘキシル−1,3−ブタジエン、2−シクロヘキシル−1,3−ブタジエン、2−イソヘキシル−1,3−ブタジエン、2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、2−イソヘプチル−1,3−ブタジエン、2−オクチル−1,3−ブタジエン、2−イソオクチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。
これらの共役ジエンのなかで、ブタジエンと共重合される好ましい共役ジエンとしては、イソプレン、1,3−ペンタジエンが挙げられる。重合に供される単量体成分中のブタジエンの含有量は50モル%以上、特に70モル%以上が好ましい。
【0010】
本発明の1,2−ポリブタジエンは、上述したように、好ましくは、コバルト化合物およびアルミノオキサンを含有する触媒の存在下に、ブタジエンを重合して得られる。上記コバルト化合物としては、好ましくは炭素数4以上のコバルトの有機酸塩を挙げることができる。このコバルトの有機酸塩の具体例として、酪酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプチル酸塩、2−エチル−ヘキシル酸などのオクチル酸塩、デカン酸塩や、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸などの高級脂肪酸塩、安息香酸塩、トリル酸塩、キシリル酸塩、エチル安息香酸などのアルキル、アラルキル、アリル置換安息香酸塩やナフトエ酸塩、アルキル、アラルキルもしくはアリル置換ナフトエ酸塩を挙げることができる。これらのうち、2−エチルヘキシル酸のいわゆるオクチル酸塩や、ステアリン酸塩、安息香酸塩が、炭化水素溶媒への優れた溶解性のために好ましい。
【0011】
上記アルミノオキサンとしては、例えば下記一般式(I)または一般式(II)で表されるものを挙げることができる。
【0012】
【化1】
Figure 0003770191
【0013】
この一般式(I)あるいは(II)で表されるアルミノオキサンにおいて、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。また、mは、2以上、好ましくは5以上、さらに好ましくは10〜100の整数である。アルミノオキサンの具体例としては、メチルアルミノオキサン、エチルアルミノオキサン、プロピルアルミノオキサン、ブチルアルミノオキサンなどを挙げることができ、メチルアルミノオキサンが特に好ましい。
【0014】
重合触媒は、上記コバルト化合物とアルミノオキサン以外に、ホスフィン化合物を含有することが極めて好ましい。ホスフィン化合物は、重合触媒の活性化、ビニル結合構造および結晶性の制御に有効な成分であり、好ましくは下記一般式(III)で表される有機リン化合物を挙げることができる。
【0015】
P(Ar)n(R)3-n ……(III)
一般式(III)中、Arは下記で示される基を示す。
【0016】
【化2】
Figure 0003770191
【0017】
(上記基において、R1,R2,R3は、同一または異なって、水素原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルキル基、ハロゲン原子、炭素数が好ましくは1〜6のアルコキシ基または炭素数が好ましくは6〜12のアリール基を表す。)
また、一般式(III)中、Rはシクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基を示し、nは0〜3の整数である。
【0018】
一般式(III)で表されるホスフィン化合物としては、具体的に、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−エチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−t−ブチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(3−メチル−5−エチルフェニル)ホスフィン)、トリ−(3−フェニルフェニル)ホスフィン、トリ−(3,4,5−トリメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニル)ホスフィン、トリ(p−メトキシフェニルホスフィン)、トリシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ(4−メチルフェニルホスフィン)、トリ(4−エチルフェニルホスフィン)などを挙げることができる。これらのうち、特に好ましいものとしては、トリフェニルホスフィン、トリ−(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリ−(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンなどが挙げられる。
【0019】
また、コバルト化合物として、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることができる。
【0020】
【化3】
Figure 0003770191
【0021】
一般式(IV)中、R1,R2,R3は、上記一般式(III)中のAr基を示す基中のR1,R2,R3と同一である。
上記一般式(IV)で表される化合物は、塩化コバルトに対し上記一般式(III)においてnが3であるホスフィン化合物を配位子に持つ錯体である。このコバルト化合物の使用に際しては、あらかじめ合成したものを使用してもよいし、あるいは重合系中に塩化コバルトとホスフィン化合物を接触させる方法で使用してもよい。錯体中のホスフィン化合物を種々選択することにより、得られる1,2−ポリブタジエンの1,2−ビニル結合の量、結晶化度の制御を行なうことができる。
【0022】
上記一般式(IV)で表されるコバルト化合物の具体例としては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−イソプロピルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−t−ブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチル−5−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−フェニルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,4,5−トリメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エトキシ−3,5−ジエチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ブトキシ−3,5−ジブチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メトキシフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−ドデシルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−エチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどを使用することができる。
【0023】
これらのうち、特に好ましいものとしては、コバルトビス(トリフェニルホスフィン)ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3−メチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライド、コバルトビス〔トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニルホスフィン)〕ジクロライドなどが挙げられる。
【0024】
触媒の使用量は、ブタジエンの単独重合の場合は、ブタジエン1モル当たり、共重合する場合は、ブタジエンとブタジエン以外の共役ジエンとの合計量1モル当たり、コバルト化合物を、コバルト原子換算で0.001〜1ミリモル、好ましくは0.01〜0.5ミリモル程度使用する。また、ホスフィン化合物の使用量は、コバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)として、通常、0.1〜50、好ましくは0.5〜20、さらに好ましくは1〜20である。さらに、アルミノオキサンの使用量は、コバルト化合物のコバルト原子に対するアルミニウム原子の比(Al/Co)として、通常、4〜107、好ましくは10〜106である。なお、一般式(IV)で表される錯体を用いる場合は、ホスフィン化合物の使用量がコバルト原子に対するリン原子の比(P/Co)が2であるとし、アルミノオキサンの使用量は、上記の記載に従う。
【0025】
重合溶媒として用いられる不活性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ブタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素溶媒およびこれらの混合物が挙げられる。
【0026】
重合温度は、通常、−50〜120℃で、好ましくは−20〜100℃である。重合反応は、回分式でも、連続式でもよい。なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜35重量%である。また、重合体を製造するために、本発明の触媒および重合体を失活させないために、重合系内に酸素、水あるいは炭酸ガスなどの失活作用のある化合物の混入を極力なくすような配慮が必要である。重合反応が所望の段階まで進行したら反応混合物をアルコール、その他の重合停止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを添加し、次いで通常の方法に従って生成重合体を分離、洗浄、乾燥して本発明に用いられる1,2−ポリブタジエンを得ることができる。
【0027】
本発明に用いられる(A)1,2−ポリブタジエンの重量平均分子量は、好ましくは1万〜500万、さらに好ましくは1万〜150万、特に好ましくは5万〜100万である。重量平均分子量が1万未満では油展後の流動性が極端に高く、以後の加工が非常に困難となり、一方、500万を超えると油展後の流動性が極端に低く、加工が非常に困難となり好ましくない。
【0028】
本発明に用いられる1,2−ポリブタジエンは、単独で、架橋を行わない状態でも十分な強度が得られるため、射出成形、押し出し成形など工業部品やフィルム用途などの非架橋成形用途に好適である。その際、加工方法としては特に制限はなく、通常の樹脂、ゴム加工時に用いられるロール、ニーダー、バンバリーミキサー、スクリュー押出機、フィーダールーダー押出機などを用いた溶融混練りなどによる混合が可能である。
【0029】
伸展油;
上述した1,2−ポリブタジエンを油展して、本発明の(A)油展1,2−ポリブタジエンを調製するために用いる伸展油としては、ジエン系重合体に対して通常用いられる伸展油や軟化剤であれば特に制限はないが、例えば、鉱物油系の伸展油を好適例として挙げることができる。
【0030】
鉱物油系の伸展油としては、好ましくは粘度比重恒数(または粘度比重定数という。以下、「V.G.C.」と略す。)で0.790〜0.999、さらに好ましくはV.G.C.が0.790〜0.949、特に好ましくはV.G.C.が0.790〜0.912のものである。
伸展油としては、一般にアロマティック系伸展油、ナフテン系伸展油、パラフィン系伸展油が知られている。
【0031】
このうち、上記粘度比重恒数を満たすアロマティック系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルAC−12,AC460,AH−16,AH−58、エクソンモービル(有)製の、モービルゾールK,同22,同130、日鉱共石(株)製の、共石プロセスX50,X100,X140、シェル化学(株)製の、レゾックスNo.3、デュートレックス729UK、日本石油(株)製の、コウモレックス200,300,500,700、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル110,同120、三菱石油(株)製の、三菱34ヘビープロセス油、三菱44ヘビープロセス油、三菱38ヘビープロセス油、三菱39ヘビープロセス油などが挙げられる。
【0032】
また、上記粘度比重恒数を満たすナフテン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルNS−24,NS−100,NM−26,NM−280,NP−24、エクソンモービル(有)製のナプレックス38、富士興産(株)製の、フッコールFLEX#1060N,#1150N,#1400N,#2040N,#2050N、日鉱共石(株)製の、共石プロセスR25,R50,R200,R1000、シェル化学(株)製の、シェルフレックス371JY,同371N,同451,同N−40,同22,同22R,同32R,同100R,同100S,同100SA,同220RS,同220S,同260,同320R,同680、日本石油(株)製のコウモレックス2号プロセスオイル、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイルL−2,同765、三菱石油(株)製の三菱20ライトプロセス油などが挙げられる。
【0033】
さらに、上記粘度比重恒数を満たすパラフィン系伸展油としては、出光興産(株)製の、ダイアナプロセスオイルPW−90,PW−380,PS−32,PS−90,PS−430、富士興産(株)製の、フッコールプロセスP−100,P−200,P−300,P400,P−500、日鉱共石(株)製の、共石プロセスP−200,P−300,P−500,共石EPT750,同1000,共石プロセスS90、シェル化学(株)製の、ルブレックス26,同100,同460、エクソンモービル(有)製の、エッソプロセスオイル815,同845,同B−1、エクソンモービル(有)製のナプレックス32、三菱石油(株)製の三菱10ライトプロセス油などが挙げられる。
【0034】
このように、1,2−ポリブタジエンが伸展油によって油展されていることにより、カーボンブラック、シリカなどの充填材を1,2−ポリブタジエンに均一に微分散させることが可能になり、加工性や成形品の諸特性を著しく向上させることができる。また、これにより、驚くべきことに、得られる(A)油展1,2−ポリブタジエンや成形品の機械的強度、特に耐摩耗性を向上させることができる。
【0035】
本発明に用いられる伸展油の配合量は、1,2−ポリブタジエン100重量部に対して、1〜200重量部、好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは15〜80重量部、特に好ましくは20〜70重量部である。1重量部未満では、耐摩耗性向上効果や加工性に乏しく、一方、200重量部を超えると、著しく軟質化し加工性に劣る。
【0036】
油展方法は、1,2−ポリブタジエンの重合体溶液に伸展油を添加し、溶液状態で混合する。この方法は、操作上、1,2−ポリブタジエンと伸展油とを混合する過程を省略することができ、両者の混合均一性に優れる。重合体溶液に伸展油を添加する場合は、重合の終了後、例えば、末端変性剤の添加後または重合停止剤の添加後が好ましい。
1 ,2−ポリブタジエンの重合体溶液に伸展油を添加し、溶液状態で混合する油展方法として、例えば下記第1〜3工程からなる方法が挙げられる。有機溶剤を含む重合体溶液中に、伸展油を必要量添加して、溶液状態でよく混合する(第1工程)。次に、(i)伸展油を含む重合体溶液中にスチームを吹き込むスチームストリッピング法によってクラムを得るか、あるいは(ii)伸展油を含む重合体溶液をエクストルーダー、デボラチライザーなどの手段により、直接、脱溶剤を行なって、油展1,2−ポリブタジエンと溶剤とを分離する(第2工程)。得られた油展1,2−ポリブタジエンは、必要に応じて、真空乾燥機、熱風乾燥機やロールなどにより乾燥し(第3工程)、目的とする(A)油展1,2−ポリブタジエンを単離することができる。
【0037】
(B)他の熱可塑性重合体
ここで、本発明で用いられる(B)他の熱可塑性重合体としては、(A)成分以外の他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
【0038】
このうち、上記(A)成分以外の他の熱可塑性樹脂としては、可塑化する温度が50〜450℃の熱可塑性樹脂であれば、特に制限無く使用でき、例えば非油展ポリブタジエン、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体など)、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリメチルメタクリレート、飽和ポリエステル樹脂(例えば、ポリ乳酸のようなヒドロキシカルボン酸縮合物、ポリブチレンサクシネートのようなジオールとジカルボン酸の縮合物など)、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどの1種単独または2種以上の混合物が挙げられる。
熱可塑性樹脂の中で好ましいものは、ポリスチレン、ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂である。
【0039】
また、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントの化学組成による分類によれば、スチレン系熱可塑性エラストマー(SBCと略記される。以下、括弧内は略記号を表す)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、エステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、アミド系熱可塑性エラストマー(TPAE)などが挙げられる。また、そのほか、塩ビ系熱可塑性エラストマー(TPVC)、イオンクラスター型熱可塑性エラストマー(アイオノマー)、フッ素樹脂を拘束ブロックとして含むフッ素系熱可塑エラストマーなどがある(なお、樹脂/ゴムブレンドによる熱可塑性エラストマーのうち、ソフトセグメントとなるゴム分を架橋させながら混練し、ゴム分散粒径を細かくすることにより性能を向上させる動的架橋によるTPOをTPVと言う場合がある)。これら熱可塑性エラストマーは、1種単独または2種以上の混合物が挙げられる。
【0040】
SBCとして好ましいものは、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエンブロックコポリマー(SIB)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロックコポリマー(SEBS)、官能基付与型SEBS(f−SEBS)、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロックコポリマー(SEPS)、ランダムタイプの水素添加型スチレン・ブタジエンポリマー(HSBR)である。
【0041】
TPOとして好ましいものは、PP、PEなどのポリオレフィンにエチレン−プロピレン共重合体(EP)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、エチレン−ブタジエン−メチレン共重合体(EBM)、エチレン−ブタジエン−ジエン−メチレン共重合体(EBDM)などのエラストマーを混合しバンバリーやプラストミルなどの混合機でコンパウンドした単純ブレンド型TPO(s−TPO)、ハードセグメントであるオレフィンモノマーを重合し、次いで同一のプラント又は同一の反応器でソフトセグメントであるオレフィンモノマーを重合する(重合の順序は逆であってもよい)インプラント化TPO(i−TPO)、バンバリーやプラストミルなどの混合機で、混合と同時にゴムを加硫して作った動的加硫型TPO(TPV)である。さらにTPVとして好ましくは、ハードセグメントにPP、ソフトセグメントにEPDMを組み合わせたPP−EPDM(以下、左側記載がハードセグメント、右側記載がソフトセグメント)、PP−ニトリルゴム(NBR)、PP−アクリルゴム(ACM)、PP−天然ゴム(NR)、PP−ブチルゴム(IIR)、PE−EPDM、PE−NR、ナイロン−NBR、ナイロン−ACM、ポリエステル−クロロプレン(CR)、PVC−NBRである。
【0042】
TPUとして好ましいものは、ハードセグメントに用いられるジイソシアネートがトルエンジイソシアネートであるもの、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートであるもの、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートであるもの、2,2,4(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートであるもの、p−フェニレンジイソシアネートであるもの、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートであるもの、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジシソシアネートであるもの、1,5’−ナフタレンジイソシアネートであるもの、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネートであるもの、リジンジイソシアネートであるもの単独で、またはこれらの2種以上の混合物であるものである。
【0043】
TPEEとして好ましいものは、ハードセグメントが芳香族系結晶性ポリエステルでありソフトセグメントとしてポリエーテルを用いるポリエステル・ポリエーテル型TPEE、ハードセグメントが芳香族系結晶性ポリエステルでありソフトセグメントとして脂肪族系ポリエステルを用いるポリエステル・ポリエステル型TPEE、ハードセグメントが液晶分子でありソフトセグメントが脂肪族系ポリエステルである液晶性TPEEである。さらに好ましくは、ポリエステル・ポリエーテル型TPEEとしてはハードセグメントがブタンジオールとテレフタル酸ジメチルの重縮合体、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルの重縮合体、ブタンジオールと2,6−ナフタレンジカルボン酸の重縮合体、エチレングリコールと2,6−ナフタレンジカルボン酸の重縮合体のいずれかまたは混合物であり、ソフトセグメントがポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(エチレンオキシド)グリコールのいずれか・または混合物である。ポリエステル・ポリエステル型TPEEとしてさらに好ましくは、ハードセグメントはポリエステル・ポリエーテル型TPEEと同じであるが、ソフトセグメントがポリラクトンタイプの脂肪族系ポリエステルである。
また、液晶性TPEEとしてさらに好ましくは、ハードセグメントがサーモトロピック液晶ポリマーであり、特にジヒドロキシ−パラクォーターフェニルのような低分子液晶化合物を使用し、ソフトセグメントに脂肪族系ポリエステルを用いたマルチブロックコポリマーである。
【0044】
TPAEとして、好ましくはハードセグメントがポリアミドであり、ソフトセグメントがTgの低いポリエーテルやポリエステルを用いたマルチブロックコポリマーであり、さらに好ましくはハードセグメントがナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−11、ナイロン−12であり、ソフトセグメントがポリエーテルジオール、ポリエステルジオールであり、特に好ましくは、ソフトセグメントがジオールポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシプロピレン)グリコール、ポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン−1,4−アジペート)グリコールの内少なくとも1種からなるものである。
【0045】
TPVCとして好ましくは、ハードセグメントに高分子量のポリ塩化ビニル(以下、「PVC」と略す)を用いて微結晶部分で架橋点の働きを持たせソフトセグメントに可塑性剤で可塑化されたPVCを用いたもの、ハードセグメントに部分架橋または分岐構造を導入したPVCを用いソフトセグメントに可塑剤で可塑化されたPVCを用いたもの、ハードセグメントにPVCを用いソフトセグメントに部分架橋NBRなどのゴムおよび/またはTPU、TPEEなどのTPEを用いたもの単独で、あるいは2種以上を混合したものがある。
イオンクラスター型熱可塑性エラストマー(アイオノマー)として好ましくは、三井デュポンポリケミカル(株)製、商品名ハイミラン、トートン(株)販売の商品名アクリン(AClyn)などが挙げられる。
フッ素樹脂を拘束ブロックとして含むフッ素系熱可塑性エラストマーとして好ましくは、住友スリーエム(株)製のフッ素ゴム(商品名ダイニオン)、フッ素系エラストマー(商品名THV)、フッ素樹脂(商品名ホスタフロン)、ダイキン(株)製の商品名ダイエルサーモプラスチック、セントラル硝子(株)製の商品名セブラルソフトなどが挙げられる。
【0046】
また、天然ゴム(NR)としては、特に制限無く使用できるが、例えば、アラビアゴム、インドゴムなどの1種単独または2種以上の混合物が挙げられる。
また、合成ゴムとしては、特に制限無く使用できるが、例えば、シス1,4−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリブタジエン、(a)成分以外の共役ジオレフィン−ビニル芳香族化合物系共重合体、低〜高ビニルポリブタジエン(ビニル含量10〜90%)、シス1,4−ポリイソプレン、3,4−ポリイソプレン、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、イソブチレン・イソプレンゴム、エチレン−α−オレフィン−(ジエン)共重合体〔例えば、EPM(エチレンプロピレン共重合体)、EBM、EOM、EPDM、EBDMなど〕、芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物−(α−オレフィン)共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)、SBS、SEBSなど)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ハロゲン化ブチルゴム(例えば、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムなど)、液状ブタジエンゴム、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどの1種単独または2種以上の混合物が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴムなどは、1種単独あるいは2種以上の混合物として使用することもできる。
【0047】
本発明の組成物において、(A)油展1,2−ポリブタジエンと(B)他の熱可塑性重合体の配合割合は、(A)成分が1〜99重量部、(B)成分が99〜1重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕である。このような(B)他の熱可塑性重合体を上記の範囲で用いることにより、本発明の熱可塑性重合体組成物を得ることができる。
【0048】
本発明の熱可塑性重合体組成物
本発明の熱可塑性重合体組成物は、上記(A)油展1,2−ポリブタジエンに、(B)他の熱可塑性重合体、さらに必要に応じて、(C)充填材のほか、各種の配合剤を配合することにより、調製することができる。調製した本発明の熱可塑性重合体組成物は、所望の形状に成形することができる。以下、上記(A)〜(B)成分以外の各構成要素ごとに具体的に説明する。
【0049】
(C)充填材(補強剤);
本発明の熱可塑性重合体組成物に配合される(C)充填材(補強剤)としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、チタン酸カリウム、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック、シリカ、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラー、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。中でも、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムとマイカとの併用、カーボンブラックとシリカとの併用、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーの使用またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーとカーボンブラックおよび/またはシリカとの併用が好ましい。
【0050】
カーボンブラックとしては、ファーネス法により製造されたものであって、窒素吸着比表面積が50〜200m2/g、DBP吸油量が80〜200ml/100gのカーボンブラックが好ましく、例えば、FEF,HAF,ISAF,SAFクラスなどのものを挙げることができる。中でも、高凝集タイプのものが好ましい。
【0051】
カーボンブラックの配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは、2〜100重量部、さらに好ましくは5〜95重量部である。
【0052】
シリカとしては、例えば、湿式法シリカ、乾式法シリカ、合成ケイ酸塩系シリカなどを挙げることができる。補強効果の高いのは粒子径の小さいシリカであり、小粒子・高凝集タイプ(高表面積、高吸油性)のものが重合体ヘの分散性が良好で、物性及び加工性の面で好ましい。シリカの平均粒径は、一次粒子径で、好ましくは、5〜60μm、さらに好ましくは、10〜35μmである。また、その比表面積(BET法)は、好ましくは、45〜280m2/gである。
【0053】
シリカの配合量は、(A)成分〜(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは、30〜100重量部、さらに好ましくは、30〜95重量部である。
【0054】
また、カーボンブラックとシリカとを併用して配合することも可能であり、その際の配合量は、カーボンブラックとシリカの合計量として、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは、30〜100重量部、さらに好ましくは30〜95重量部である。
【0055】
本発明の組成物に、上記カーボンブラックとシリカを上記の範囲で配合することにより、これら補強作用のある充填材が、重合体に均一に微分散し、ロール加工性、押出性などに優れ、成形品の機械的強度を向上させ、さらに耐摩耗性に優れたものとすることができる。
【0056】
また、上記重合体組成物においては、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラー(Dual Phase Fi11er:カーボン−シリカ二重相フィラー)を単独で、またはカーボンブラックおよび/またはシリカと併用して配合することができる。カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを配合することにより、それ単独で用いた場合であっても、カーボンブラックとシリカとを併用したときと同様な優れた利点を得ることができる。カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーは、カーボンブラックの表面に、シリカを化学結合させた、いわゆるシリカ・コーティング・カーボンブラックであり、キャボット社から商品名CRX2000,CRX2002,CRX2006として市販されている。カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーの配合量は、(A)1,2−ポリブタジエンと他のジエン系重合体の合計量100重量部に対して、好ましくは、30〜100重量部、さらに好ましくは30〜95重量部である。
【0057】
また、上記重合体組成物では、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーをそれ以外の充填材と併用することができる。併用できる充填材としては特に制限はなく、例えば、上述のカーボンブラックおよび/またはシリカ、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。中でも、カーボンブラックおよび/またはシリカが好ましい。これらの併用できる充填材は、カーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーと合わせて、(A)成分〜(B)成分の合計量100重量部に対して、好ましくは、3〜100重量部、さらに好ましくは、5〜95重量部である。
炭酸カルシウムとしては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウムなどが挙げられ、粒子径0.04〜5μm、比重2.5〜2.8のものが好ましい。
【0058】
上記充填材として、シリカを配合する場合、またカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを配合する場合は、シランカップリング剤を配合することが好ましく、その配合量は、シリカおよび/またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラ−100重量部に対して、好ましくは、1〜20重量部、さらに好ましくは、5〜15重量部である。
【0059】
シランカップリング剤としては、分子中にアルコキシシリル基などのシリカ表面と反応可能な官能基とポリスルフィド、メルカプト基、エポキシ基などの、重合体の炭素−炭素二重結合と反応可能な官能基を併せ持ったものが好ましい。例えば、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス−(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどを挙げることができる。このようなシランカップリング剤を用いることにより、カーボンブラックとシリカを併用して充填材に使用した場合に、またはカーボン−シリカデュアル・フェイズ・フィラーを充填材に使用した場合に、その補強効果を高めることができる。
【0060】
他の添加剤;
本発明の組成物には、目的を損なわない範囲で必要に応じて、難燃剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤,加工助剤、軟化剤、耐光(候)剤、抗菌剤などを添加することができる。
【0061】
本発明に使用可能な難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤を挙げることができるが、ダイオキシン問題を考慮するとハロゲンを含まないリン系難燃剤、無機系難燃剤が好ましい。
リン系難燃剤として、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェートなど、およびその縮合体、リン酸アンモニウムおよびその縮合体、ジエチルN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネートなどを例示することができる。
無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、カオリン・クレー、炭酸カルシウム、明ばん石、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウムなどを例示することができる。
上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。
【0062】
本発明の組成物は、酸化防止剤を使用することにより製品寿命を長くすることが可能である。この場合に使用される酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などが挙げられるが、フェノール系酸化防止剤が特に好ましい。
上記のフェノール系酸化防止剤としては、具体的には、スチレン化フェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、1−ヒドロキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、モノ−t−ブチル−p−クレゾール、モノ−t−ブチル−m−クレゾール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、ブチル化ビスフェノールA、2,2′−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ノニルフェノール)、2,2′−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチルフェノール)、4,4′−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−チオ−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(2−メチル−6−ブチルフェノール)、4,4′−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンゼン)スルフィド、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、ビス[3,3−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェノール)ブチリックアシッド]グリコールエステル、ビス[2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−t−ブチルベンゼン)−4−メチル−6−t−ブチルフェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、N,N′−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシアミド)、N−オクタデシル−3−(4′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェノール)プロピオネート、テトラキス[メチレン−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、モノ(α−メチルベンゼン)フェノール、ジ(α−メチルベンジル)フェノール、トリ(α−メチルベンジル)フェノール、ビス(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルベンジル)4−メチル−フェノール、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、2,6−ジ−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルリン酸のジエチルエステルなどが挙げられる。
これらの酸化防止剤は、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。酸化防止剤の配合量は、(A)成分と(B)成分との合計100重量部当たり、0.1〜10重量部が好ましく、特に好ましくは0.2〜5重量部である。
【0063】
本発明に使用可能な滑剤としては、押出し安定性を付与するために一般的に使用されるパラフィン系および炭化水素樹脂、金属石けん、ステアリン酸に代表される脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪族金属塩などが挙げられる。
着色剤としては、無機顔料および有機顔料の中から、適宜選択して使用できる。例えば、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、コバルトブルー、カドミウムイエローなどが挙げられる。
【0064】
発泡剤としては、熱可塑性重合体組成物の組成によって異なるが、例えば、発泡剤としては、それ自体公知の無機発泡剤または有機発泡剤を用いることができる。発泡剤の具体例として、重炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ジニトロソテレフタルアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、トルエンスルホニルヒドラジドなどのスルホニルヒドラジド類などを挙げることができる。また、商品名エクスパンセルとして知られる熱膨張性マイクロカプセルなども使用できる。
なかでも、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、スルホニルヒドラジド類がより好ましいものである。
これらの発泡剤は、尿素、尿素誘導体などの公知の発泡助剤と併用してもよい。
発泡剤の配合量は、成形材料のポリマーの種類、成形品の用途によって異なるが、例えば、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対して、0.5〜300重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。発泡剤の使用量が少ないと発泡倍率が低い発泡体しか得られず、一方、300重量部より多いと発泡剤の分解によって発生するガスが多くなり、ガス圧が異常に高くなり過ぎて、得られる発泡体に亀裂が生ずることがある。また、熱可塑性組成物を発泡させる方法として、炭酸ガス、水などを所定量含有させ、種々の成形方法により発泡成形体を得る方法がある。例えば、射出成形の場合、炭酸ガスを(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、0.5重量部程度含有させた熱可塑性組成物は、可塑化・溶融された状態で計量部にあるときは高温、高圧により発泡しないが、射出成形により金型内に充填される際、圧力低下により含有されていた炭酸ガスが気化し、成形品内部が発泡した成形品を得ることができる。
紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレートなどのサリチル酸誘導体、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系などが挙げられる。
帯電防止剤としては、カチオン系活性剤、アニオン系活性剤、ノニオン系活性剤などが挙げられる。
老化防止剤としては、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、キノリン系、ヒドロキノン誘導体、モノフェノール系、ビス−、トリス−、ポリフェノール系、チオビスフェノール系、ヒンダードフェノール系および亜リン酸エステル系化合物などが挙げられる。
【0065】
また、これらの添加剤の配合割合は、特に限定されるものではないが、それぞれ、上記(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、好ましくは0.0001〜100重量部、さらに好ましくは0.001〜50重量部、特に好ましくは0.001〜10重量部である。
【0066】
他の伸展油;
さらに、本発明の組成物には、(A)油展1,2−ポリブタジエンに用いられる以外の伸展油を、別途、配合することができる。この伸展油としては、(A)成分において用いられる伸展油と同様の種類を挙げることができる。この場合、伸展油の配合量は、(A)〜(B)成分の合計量100重量部に対し、1〜1,000重量部、好ましくは1〜100重量部程度である。
【0067】
本発明の重合体組成物は、射出成形、プレス成形、シート、異型などの押し出し成形、ブロー成形、回転成形、スラッシュ成形、パウダースラッシュ成形、ディッピング成形、などの成形手段で、トレッド、サイドウォール、カーカスなどのタイヤ用途などの成形品として好適に用いることができる。
本発明の組成物からなる成形品は、ベルト、ホース、防振ゴム、履き物、おもちゃ、まな板や(包丁)グリップなどの家庭用品、カーマット、バンパー、マッドガード、インパネ表皮やサイドモールなどの自動車内・外装用品や、さらには本発明の組成物を織布および/または不織布と一体化させた自動車内装構成物、タイルやカーマット、絨毯などに使われるバッキング材、輸液チューブやシリンジなどの医療用品などのその他の工業用品にも好適に用いることができる。
上記自動車内装構成物用の織布の材料としては、木綿、絹、麻、ポリアミド繊維、ウール、カシミア、ポリエステル繊維などが挙げられる。また不織布の材料としては、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン、パルプなどが挙げられる。本発明の組成物を織布および/または不織布と一体化させる方法としては、押出法バッキング、カレンダー法バッキング、プレス法バッキング、射出法バッキングなどが挙げられる。
【0068】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中の各種の測定は下記の方法に拠った。
【0069】
(1)1,2−ビニル結合含有量
赤外吸収スペクトル法(モレロ法)によって求めた。
(2)重量平均分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ウォーターズ社製、244型)を用いて、ポリスチレン換算で求めた重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0070】
(3)メルトフローレート(加工性):ASTM D1238に従い、実施例1,比較例1は測定温度150℃、荷重2.16kgで、実施例2,3、比較例2,3は150℃、5kgの条件で実施した。単位はg/10minである。
【0071】
(4)薄肉成形外観;
混練造粒物を、下記の条件で成形し、成形外観を評価した。
射出成形機:IS170FA3〔東芝機械(株)製〕
金型:150×80×1.5mmキャビティーの金型(1点ゲート)
成型温度:140℃
金型温度:20℃
射出一次圧力:140kgf/cm2(ゲージ圧力)
射出速度:中速
冷却時間:20秒
判定:
◎;ウェルドやフローマークとも無く優れた成型外観性が認められた。
○;ウェルドは目立たないが、若干のフローマークが認められた。
△;若干のウェルドやフローマークが認められた。
×;顕著なウェルドやフローマークが認められた。
【0072】
(5)衝撃脆化温度;
上記の射出成形した成形品を試験片として、JIS K 6261の方法により測定した。単位は、「℃」である。
【0073】
(6)金型離型性;
▲1▼19×99×2.3〜2.4mm(幅×長さ×厚み 以下同じ)のサイズに調整した混練組成物シートを、金型キャビティー1片に21×20×0.1mmのフッ素系離型フィルムを敷いたキャビティー1個が20×100×2mmの硬質クロムメッキした下面金型に載せ、シート上側全表面にフッ素系離型フィルムを載せ、更に金型上板を載せた後、当該金型を圧縮成形機(50トン)上段の160℃に安定した熱盤内に金型を入れ無加圧状態で10分間加熱した。
▲2▼当該金型を圧縮成形機下段の20℃に安定した冷却盤内に入れ150kgf/cm2(ゲージ圧力)で10分間で冷却固化させた。
▲3▼下面金型を固定した後で金型を開け、上面離型フィルムを取り除いた。
▲4▼下面に離型フィルムを敷いた部分のシート端部を持ち上げ、直径2mmの孔を開けた。
▲5▼最大荷重1kgのバネばかりのフックを穴部分に引っかけ、真っ直ぐ上方向(90度剥離方向)に引っ張り、初期剥離荷重を計測した。
▲6▼得られた剥離荷重値により下記の判定を行った。
○;50g/20mm未満
△;50〜199g/20mm
×;200g/20mm以上
【0074】
(7)硬度;
キャビティー面積130×140×2mmの金型に混練組成物シートを載せ、上型を閉じ、上記(6)の方法と同様にして成形品を得た。23±2℃で16時間放置した後、成形シートを4枚重ね、表2はShore D 硬度計で、表3はJIS A硬度計で表面の硬さを計測した。
【0075】
(8)引張強度;
上記(7)と同様に圧縮成形した成形品を用い、JIS K6251に準拠して測定した。
(9)破断伸び;
上記(7)と同様に圧縮成形した成形品を用い、JIS K6251に準拠して測定した。
【0076】
(10)ブリード性:
上記(7)と同様に圧縮成形した成形品を50℃の恒温槽に10時間放置し、成形品の表面外観より判定した。
○;肉眼でシート表面にブリードは認められず、触ってもぬめり感はない
△;肉眼でシート表面にブリードは認められないが、触るとぬめり感がある
×;肉眼でシート表面にブリードが認められ、ベタツキが顕著である
【0077】
(11)着色性
ポリエチレン(YF−30、日本ポリオレフィン(株)製)100部にベンガラ0.5部混合した物を標準色とし、上記(7)と同様に圧縮成形した成形品を用いて色差を測定し、着色性を下記判断基準に従って評価した。
判定:
○;標準色との色差が1.5未満
△;標準色との色差が1.5〜3.0
×;標準色との色差が3.0を超える。
【0078】
(12)パターン転写性
各成分を表3に示す割合で加圧ニーダーにより混合した組成物を、パターン転写性を評価する所定の荒さの”しぼ”(荒い、並、細かいの3種類)を持つロール面を有するロール機を使い、厚さ2.5mmのパターンが転写されたシートを用いて、目視にて判定した。
判定:
○;3種類のパターンが全て転写されている。
△;3種類のパターンの内、細かいパターンの転写が不十分である。
×;3種類のパターンの内、細かい・並のパターンの転写が不十分である。
【0079】
(13)寸法安定性
上記(12)で得たシートを一片40cmの正方形状に裁断し、60℃×2時間加熱し、常温水2時間浸漬後、再び60℃×2時間加熱し、常温冷却後、寸法測定する。上記処理前と処理後の寸法変化率(%)を求めて表示した。値が小さいほど、寸法安定性が良好なことを示す。
(14)折り曲げ性
上記(12)で得たシートを一片40cmの正方形状に裁断し、5℃の雰囲気温度下に2時間放置したシートを180度折り曲げ、3分後に折り曲げ部の亀裂の有無を、○:亀裂無し、×:亀裂有り、で評価した。
【0080】
また、以下の実施例および比較例で用いられた伸展油および他のジエン系重合体は、以下のとおりである。
伸展油
ダイアナプロセスオイルPS−32(出光興産(株)製)、パラフィン系プロセス油、V.G.C.=0.8133
他の熱可塑性重合体
TR1600:ジェイエスアール(株)製、油展スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、結合スチレン(ST)量=32%、油展量=45PHR、オイル種=パラフィン系、MFR(ASTM D1238に準拠、200℃、5kg)=18.5g/10min
TR1086:ジェイエスアール(株)製、油展スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、結合ST量=45%、油展量=50PHR、オイル種=パラフィン系、MFR(ASTM D1238に準拠、200℃、5kg)=10.5g/10min
TR1000:ジェイエスアール(株)製、油展スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体
RB820:ジェイエスアール(株)製、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、1,2−ビニル結合量=92%、Mw=17万、MFR=3
RB830:ジェイエスアール(株)製、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、1,2−ビニル結合含有量=93%、Mw=17万、MFR=3
【0081】
充填剤、プロセスオイル
炭酸カルシウム:日東粉化工業(株)製、重質炭酸カルシウム(平均粒径5μm)
マイカ:(株)レプコ製、鱗片状充填剤(平均長150μm、平均厚み5μm)プロセスオイル:富士興産(株)製、フッコールフレックス#2050N、ナフテン系プロセス油、V.G.C.=0.8376
【0082】
参考例1(重合体Aの調製)
内容積20Lの攪拌機を装備した縦型反応器に、シクロヘキサン/n−ヘプタン(重量比80:20)混合溶媒を8,000g、および1,3−ブタジエン1,600gを加え、メチルアルミノオキサンのトルエン溶液6.58g(1,3−ブタジエン/Alモル比で1,350)、コバルトビス[トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン]ジクロライドの塩化メチレン溶液1.50g(1,3−ブタジエン/Coモル比で180,000)をシリンジで加え、重合温度を45℃にて重合スタートとした。120分反応後、反応停止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを含む少量のエタノールを注入することによって、重合反応の停止を行った。重合体Aの収量は90%(ポリマー重量として1.44kg)であった。上記重合体AのMwは約40万であり、1,2−ビニル結合含有量は93%であった。
【0083】
参考例2(油展1,2−ポリブタジエンの調製)
撹拌機を備えた5リットルのSUS製容器に、参考例1で得られたポリマー溶液2,000g(重合体Aとして300g)を入れ、さらに伸展油としてダイアナプロセスオイルPS−32〔出光興産(株)製〕を128.6g加えて、均一に撹拌した。次に、溶媒回収装置を使用し、約1時間スチームストリップを行なった。ポリマー塊を冷却した後、乾燥し、30重量%の油展量である油展1,2−ポリブタジエンを得た。
【0084】
実施例1〜5,比較例1〜5
油展1,2−ポリブタジエンに、表1に示すように、他の熱可塑性樹脂としてTR1600を表1に示す割合で配合し(実施例1)、マッドガード用途に最適な組成物を得た。比較例1は、油展されていない1,2−ポリブタジエンとして、RB830を使用した系であり、マッドガード用途に好適な衝撃脆化温度が−50℃以下であることは保持しているが、薄肉の成形外観が劣っている。
また、油展1,2−ポリブタジエンに、表2に示すように、他の熱可塑性樹脂としてTR1086を表2に示す割合で配合し(実施例2,3)、おもちゃ用途に最適な組成物を得た。比較例2,3は、油展されていない1,2−ポリブタジエンとして、RB830を使用した系であり、おもちゃ用途に好適な金型離型性、流動性、機械特性、ブリード性を有しているが、着色性が劣っている。
さらに、油展1,2−ポリブタジエンに、表3に示すように、他の熱可塑性樹脂としてTR1000を、充填剤として炭酸カルシウム、マイカを、可塑剤としてプロセスオイルを表3に示す割合で配合し(実施例4,5)、バッキング材用途に最適な組成物を得た。比較例4,5は、油展されていない1,2−ポリブタジエンとして、RB820を使用した系であり、バッキング材用途として好適な硬度、寸法安定性、折り曲げ性を有しているが、パターン転写性に劣っている。
【0085】
【表1】
Figure 0003770191
【0086】
【表2】
Figure 0003770191
【0087】
【表3】
Figure 0003770191
【0088】
【発明の効果】
本発明の油展1,2−ポリブタジエンを含有する重合体組成物によれば、従来の1,2−ポリブタジエンの特徴である優れた機能を有し、さらに流動性、着色性(高鮮映性)に優れており、射出成形、プレス成形、シート、異型などの押し出し成形、ブロー成形、回転成形、スラッシュ成形、パウダースラッシュ成形、ディッピング成形などの成形手段で、トレッド、サイドウォール、カーカスなどのタイヤ用途などの成形品として好適に用いることができ、また、本発明の組成物からなる成形品は、ベルト、ホース、防振ゴム、履き物、おもちゃ、まな板や(包丁)グリップなどの家庭用品、カーマット、バンパー、マッドガード、インパネ表皮やサイドモールなどの自動車内・外装用品、織布および/または不織布と一体化した自動車内装用構成物、タイルやカーマット、絨毯などに使われるバッキング材、輸液チューブやシリンジなどの医療用品などのその他の工業用品にも好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. (A)有機溶剤を含む 1 ,2−ポリブタジエンの重合体溶液中に伸展油を添加して溶液状態で混合し、該伸展油を含む重合体溶液を脱溶剤して得られる油展1,2−ポリブタジエン、および(B)上記(A)成分以外の他の熱可塑性重合体、を含有する熱可塑性重合体組成物。
  2. 伸展油の配合量が、 1 ,2−ポリブタジエン100重量部に対し、1〜200重量部である請求項1記載の熱可塑性重合体組成物。
  3. (A)成分が1〜99重量部、(B)成分が99〜1重量部〔ただし、(A)+(B)=100重量部〕である請求項1または2記載の熱可塑性重合体組成物。
  4. (B)成分が(A)成分以外の他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、天然ゴムおよび合成ゴムの群から選ばれた少なくとも1種である請求項1〜3いずれか1項に記載の熱可塑性重合体組成物。
  5. さらに(C)充填材を配合してなる請求項1〜いずれか1項記載の熱可塑性重合体組成物。
  6. さらに、難燃剤、酸化防止剤、軟化剤、滑剤、着色剤、発泡剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、熱安定剤、老化防止剤,加工助剤、軟化剤、耐光(候)剤および抗菌剤の群から選ばれた少なくとも1種を配合してなる請求項1〜いずれか1項記載の熱可塑性重合体組成物。
  7. さらに、伸展油を配合してなる請求項1〜いずれか1項記載の熱可塑性重合体組成物。
  8. 請求項1〜いずれか1項記載の熱可塑性重合体組成物を成形してなる成形品。
  9. 請求項1〜いずれか記載の熱可塑性重合体組成物と織布および/または不織布とを一体化させた自動車内装用構成物。
  10. 請求項1〜いずれか記載の熱可塑性重合体組成物を発泡してなる成形品。
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