JPWO2017046936A1 - 靴底用部材、及び、靴 - Google Patents
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Abstract
Description
この種の靴底用部材の多くは、樹脂発泡体によって形成されている。
従来、靴に対して意匠性を付与したり、部分的に異なる物性を発揮させるという観点から、色や特性の異なる複数の部材で一つの靴底用部材が形成されたりしている。
例えば、下記特許文献1には、中底と、表底とを成形型内で架橋発泡させて一体化させることによって靴底用部材を作製することが記載されている。
また、特許文献2には、内層発泡体を成形型内に配し、該成形型に液状のポリウレタン材料を射出して、該ポリウレタン材料を発泡させることによって靴底用部材を作製することが記載されている。
上記の特許文献に記載されているような発泡部材どうしを型内で熱融着させる方法は、靴底用部材を簡便に作製することができるだけでなく発泡部材どうしを優れた接着力で一体化させ得る。
また、複数の発泡部材が熱融着されてなる靴底用部材は、熱融着の際にそれぞれの発泡部材に架橋反応を生じさせることで当該発泡部材間に化学結合による優れた接着力を発揮させることができる。
しかし、複数の発泡部材で形成された靴底用部材は、発泡部材どうしを十分に熱融着させ且つ各発泡部材を十分な発泡状態にさせようとすると各発泡部材が変形して予定通りの形状になりにくい。
そのため、複数の発泡部材を熱融着させて靴底用部材を製造する方法は、発泡部材どうしが強固に接着された靴底用部材を比較的容易に作製しうるものの作製する靴底用部材の外観や物性が安定し難いという問題を有する。
図1は、本実施形態の靴底用部材を用いて形成される靴を示したものである。
該靴1は、アッパー材2と靴底用部材3,4とを有している。
該靴1は、前記靴底用部材として、ミッドソール3、及び、アウターソール4を有している。
以下においては、本発明の靴底用部材としてミッドソールを例に説明する。
そのため、本実施形態の靴底用部材は、第2発泡部材の融点以下の温度で第1発泡部材を第2発泡部材に熱融着させて形成させることができる。
従って、第1発泡部材と第2発泡部材とを熱融着させて本実施形態の靴底用部材を作製する際には、熱融着の前と後とで第2発泡部材の形状が大きく変化することを抑制することができる。
なお、靴底用部材を構成する第2発泡部材を所望の形状にすることが容易であるということは、言い換えれば、第2発泡部材以外の部分を形成する第1発泡部材も所望の形状にし易いことを意味する。
そこで、本実施形態の靴底用部材は、例えば、第1発泡部材と第2発泡部材とをそれぞれシャープな形状とすることができるとともにこれらの色を異ならせた場合においては、境界を鮮明なものとすることができる。
本実施形態においては、第1発泡部材と第2発泡部材とが熱融着されているため、接着剤などを用いて第1発泡部材と第2発泡部材と接着する接着工程を省略して靴底用部材を作製し得る。
即ち、本実施形態の靴底用部材は、製造工程を簡略化することができる点においても優れている。
このような好ましい態様に係る靴底用部材は、製造容易でありながら優れた美観を有するという効果をより顕著に発揮する。
このような好ましい態様によれば、色合いの異なる領域を不連続状態で表出することができ、靴底用部材をより美観に優れたものとすることができる。
また、該靴底用部材は、第1発泡部材と第2発泡部材との境界が多い複雑な構造であるため、これらが熱融着されていることで、製造工程の簡略化に係る効果がより顕著なものとなる。
このような好ましい態様によれば、靴底用部材の外表面を、共通する色合いの領域の中に異なる色の島を備えたものとすることができ、靴底用部材をより美観に優れたものとすることができる。
また、該靴底用部材は、第1発泡部材と第2発泡部材との境界が多い複雑な構造であるため、これらが熱融着されていることで、製造工程の簡略化に係る効果がより顕著なものとなる。
このような好ましい態様によれば、複数の前記島が並んだパターンを形成させることができ、靴底用部材をより美観に優れたものとすることができる。
また、該靴底用部材は、第1発泡部材と第2発泡部材との境界が多い複雑な構造であるため、これらが熱融着されていることで、製造工程の簡略化に係る効果がより顕著なものとなる。
また、本実施形態の靴底用部材は、前記開口が、矩形状、V字状、又は、X字状となっていることが好ましい。
このような好ましい態様によれば、前記島や前記パターンをさらに美観に優れたものとすることができる。
また、該靴底用部材は、第1発泡部材と第2発泡部材との境界が多い複雑な構造であるため、これらが熱融着されていることで、製造工程の簡略化に係る効果がより顕著なものとなる。
例えば、本実施形態の靴底用部材は、第2発泡部材を圧縮弾性率などの機械特性において第1発泡部材と異なるものを採用し、第2発泡部材によって第1発泡部材とは異なる感触を当該靴底用部材の所定の部位に発現させることができる。
そして、前記のように本実施形態の靴底用部材は、第1発泡部材と第2発泡部材とを所定形状に維持しつつ作製することが容易である。
従って、本実施形態の靴底用部材の量産時などにおいては、第2発泡部材によって発揮させる感触及び当該感触を発揮させる部位を安定させ得る。
図2は、本実施形態の靴底用部材10を示したもので前記靴1のミッドソール3を構成する靴底用部材10を示したものである。
この図にも示されているように本実施形態の靴底用部材10は、扁平状で、平面視における輪郭形状が靴底と同形状を有している。
本実施形態の靴底用部材10は、その側面を表面露出させる形で靴底に配されて前記ミッドソール3を構成するものである。
なお、本実施形態の靴底用部材10は、第1発泡部材20および第2発泡部材30以外の第3部材を備えていてもよい。
本実施形態の靴底用部材10は、外表面の内の少なくとも側面において前記第1発泡部材20と前記第2発泡部材30との両方が表面露出している。
即ち、本実施形態の靴底用部材10は、側面に前記第1発泡部材20で形成された第1領域20aと前記第2発泡部材30で形成された第2領域30aとを備えている。
なお、一般にJIS Z8730:2009の7.1.1項に規定の色差(ΔE*ab)の値が0.5以上であると異なる色として認識されることから、靴底用部材10に鮮やかな意匠を施す意味において第1発泡部材20と前記第2発泡部材30とは、0.5以上の色差を有することが好ましく、1.0以上の色差を有することがより好ましい。
靴底用部材10の後足部は、側面が前記第2発泡部材30によって形成されているが、該第2発泡部材30は表層部だけにしか存在しておらず内部は第1発泡部材20によって形成されている。
即ち、前記第2発泡部材30は、靴底用部材10の側面に近い部位だけを形成しており、平面視における形状が足の踵を包囲するU字状となっている。
そして、前記第2発泡部材30は、複数の前記貫通孔31を有しており、該貫通孔31による開口が靴のサイド部において踵側から爪先側に向けて並んでいる。
即ち、前記第1発泡部材20は、第2発泡部材30の複数の貫通孔31に対応した複数の突起を有し、後足部において内側から外側に向けて突出した複数の突起を有している。
そして、前記第1発泡部材20は、前記突起を前記貫通孔31に挿通させて第2発泡部材30と一体化されている。
このことにより本実施形態の靴底用部材10は、後足部の側面において前記第1領域20aが複数箇所に分断されて不連続となっている。
本実施形態の靴底用部材10は、図2に示されているように前記第1領域20aが複数の矩形状の領域に分断されている。
本実施形態の靴底用部材10には、この周囲と色の異なる複数の矩形図柄によって優れた意匠性が備えられている。
本実施形態の靴底用部材は、第1発泡部材20が第1樹脂を含むとともに第2発泡部材30が第2樹脂を含み、該第2樹脂の融点が前記第1樹脂の融点よりも20℃以上高いことから色流れさせずに作製することが容易である。
しかも、本実施形態の靴底用部材は、色流れを防止しつつ第1発泡部材20と第2発泡部材30との間に優れた接着性を発揮させ得る。
なお、第1発泡部材20と第2発泡部材30との間に優れた接着性を発揮させることが容易になる点において、これらは架橋発泡体であることが好ましい。
即ち、第1発泡部材20は、第1樹脂と架橋剤とを含有するポリマー組成物(以下「第1ポリマー組成物」ともいう)からなり、第2発泡部材30は、第2樹脂と架橋剤とを含有するポリマー組成物(以下「第2ポリマー組成物」ともいう)からなるものであることが好ましい。
第1樹脂と第2樹脂との融点の差は、20℃以上であることが好ましく、より融点差がある組み合わせであることが好ましい。
より具体的には、融点を測定するための試料を約5mg用意し、この試料と略同じ質量のリファレンス(例えば、アルミナ粉末)とともに試料をDSCにセットし、窒素ガスを流しながら10℃/minの昇温速度で前記試料を昇温させた際に得られるDSC曲線から融点を求めることができる。
なお、融点は、同一試料に対して2回の示差走査熱量分析を実施して求めることができ、2回目のDSC曲線のピーク値として求められる。
第1樹脂と第2樹脂とは、温度190℃、荷重2.16kgにて求められるMFRの値が0.1g/10min以上20g/10min以下であり、好ましくは0.1g/10min以上10g/10min以下であり、より好ましくは0.1g/10min以上5g/10min以下である。
また、第1樹脂のMFR(MFR1)に対する第2樹脂のMFR(MFR2)の比率(MFR2/MFR1)が0.3以上5.0以下であることが好ましく、0.5以上3.0以下であることがより好ましく、0.5以上2.0以下であることが特に好ましい。
さらに、第1樹脂と第2樹脂とは、キャピラリーレオメータによって測定される温度140℃、せん断速度50s−1での溶融粘度が1000Pa・s以上1700Pa・s以下であることが好ましく、前記溶融粘度が1200Pa・s以上1500Pa・s以下であることがより好ましい。
なお、前記溶融粘度は、一方にダイ(ダイ径:1mm、ダイ長さ:16mm)を装着し、他方を直径1mmのオリフィスとしたツインボアキャピラリーレオメータ(バレル径:15mm)によって求めることができる。
なかでも、前記第1樹脂及び前記第2樹脂は、架橋が容易である点などにおいてエチレンと1−ブテンや1−ヘキセンなどのα−オレフィンとの共重合体(エチレン−α−オレフィン共重合体)か、又は、エチレン−酢酸ビニル共重合体であることが好ましい。
さらに、前記第1樹脂や前記第2樹脂をエチレン−酢酸ビニル共重合体とする場合、当該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が15質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
また、電子線を用いて架橋構造を形成させることも可能である。
前記発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチル−プロピオンアミジン]等のアゾ化合物;N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド等のヒドラジン誘導体;p−トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド化合物;トリヒドラジノトリアジンなどの有機系熱分解型発泡剤から選択される1種又は2種以上を採用することができる。
なお、前記第1ポリマー組成物や前記第2ポリマー組成物には、通常、第1樹脂や第2樹脂をそれぞれ50質量%以上、好ましくは75質量%以上の割合で含有させることができ、前記第1ポリマー組成物や前記第2ポリマー組成物における各種添加剤の含有量は、通常、25質量%以下とされ、好ましくは10質量%以下とされる。
本実施形態に係る靴底用部材は、例えば、下記工程(a)〜(c)の工程を実施することによって作製することができる。
加熱することによって発泡させることが可能な発泡性部材として、第1発泡部材となる発泡性部材(以下、「第1発泡性部材」ともいう)と、第2発泡部材となる発泡性部材(以下、「第2発泡性部材」ともいう)との2種類の発泡性部材を作製する。
そして、発泡させることによって前記靴底用部材10となる予備成形体をこれらの発泡性部材によって作製する。
なお、前記第1発泡性部材は、第1樹脂、発泡剤、架橋剤などを含む第1ポリマー組成物によって作製する。
前記第2発泡性部材は、第2樹脂、発泡剤、架橋剤などを含む第2ポリマー組成物によって作製する。
本実施形態においては、この第1発泡性部材と第2発泡性部材とによって予備成形体を作製する。
そして、第1発泡性部材が第2発泡性部材に比べて低融点の樹脂を含んでいるために本実施形態においては、第2発泡性部材と同じ成形型内において当該第1発泡性部材だけを熱変形可能な状態にすることができる。
そこで、第2発泡性部材だけを予め所定形状にしておけば、該第2発泡性部材と不定形の第1発泡性部材とを用いて予備成形体を作製することができる。
例えば、図2、3に示したような靴底用部材を作製する場合、はじめに成形型で第2ポリマー組成物を成形してU字状の成形体を作製し、この成形体に必要に応じて貫通孔を穿設して第2発泡性部材を作製しておけば第1発泡性部材が不定形であっても外形精度に優れた予備成形体を作製することができる。
前記予備成形体は、第1発泡性部材及び第2発泡性部材を成形型で成形することによって作製することができる。
予備成形体は、例えば、U字状の第2発泡性部材を所定位置に仕込んだ成形型に不定形の第1発泡性部材を仕込み、該第1発泡性部材が塑性変形をし、且つ、前記第2発泡性部材が変形に対して弾性復元力を発揮する温度条件下で成形を行って作製することができる。
このとき第1発泡性部材の主成分たる第1樹脂と第2発泡性部材の主成分たる第2樹脂との間に融点の差が20℃以上あることで、得られる予備成形体は、第1発泡性部材と第2発泡性部材とのそれぞれが形状精度に優れたものとなる。
作製した予備成形体は、靴底用部材の形状に対応したキャビティを有する成形型内で加熱することによって発泡させて靴底用部材の形状に対応した発泡成形体とすることができる。
本実施形態の靴底用部材は、例えば、前記発泡成形体のバリを除去するなどの仕上工程を実施して作製することができる。
なお、本実施形態においては、このとき軽量性に優れ且つ意匠性に優れた靴底用部材を前記予備成形体によって形成することができる。
また、本実施形態の靴底用部材は、第1発泡部材20及び第2発泡部材30が架橋発泡体であるため当該工程において以下のような効果が発揮される。
まず、予備成形体を発泡させるべく予備成形体を加熱すると、融点の低い樹脂を含む第1発泡性部材が第2発泡性部材よりも先に軟化して架橋反応を開始する。
その後、予備成形体の温度が第2発泡性部材が軟化する温度に到達した際には、第1発泡性部材の架橋が或る程度進行しているために当該第1発泡性部材が過度な流動性を示すことがなく、靴底用部材に色流れが生じることを防止することができる。
そして、第1発泡部材と第2発泡部材との界面では、第1樹脂と第2樹脂とを架橋させることができ当該架橋反応による化学的な接着力を前記界面に発揮させることができる。
また、当該工程では、第1発泡性部材及び第2発泡性部材が発泡剤によって発泡し、第1発泡性部材及び第2発泡性部材の両方の体積膨張がこれらの界面に高い圧力となって作用する結果として、第1発泡部材と第2発泡部材とが強固に熱融着した靴底用部材を得ることができる。
ここで前記加熱発泡工程においては、成形型の成形面に沿って発泡成形体の原材料が流動し易い。
そのため、従来の製法においては、材質の異なる2つの部材で予備成形体を形成させ、これらの部材の内の一部材と他部材とを予備成形体の表面に境界を形成した状態で隣り合う配置にした場合、作製される発泡成形体では一部材が前記境界を超えて他部材の表面の一部を覆ってしまうことがある。
即ち、従来の製法においては、図2に示したような矩形の図柄を前記の他部材によって靴底用部材に表出させようとしても、図柄の輪郭形状が崩れた状態になり易い。
また、従来の製法においては、場合によっては、一部材によって埋設されてしまって前記他部材が表面に現れない靴底用部材が形成される場合がある。
このような問題への対策として、従来の製法では、加熱発泡工程における材料の流れを予測して予備成形体を形成させておくことが考えられる。
具体的には、靴底用部材に他部材で矩形の図柄を形成させる場合、本来であれば靴底用部材に形成させる矩形図柄よりも一回り大きな図柄が形成されるように予備成形体を作製しておき、加熱発泡工程で発泡成形体の表面部において一部材が境界を超えて他部材側に侵入する結果として求める大きさの矩形図柄を形成させることが考えられる。
この場合、発泡成形体の内部における一部材と他部材との境界と発泡成形体の表面における前記境界との位置が一致しないことになるが、表面上は所望の図柄が形成されることになる。
しかしながら、一部材が他部材側に流入してくる程度を予め正確に把握することは難しい。
しかも、従来の製法によって作製される靴底用部材は、内部における一部材と他部材との実際の境界と表面における見掛け上の境界との間が、一部材によって他部材が薄く覆われているだけのものとなる。
従って、一部材が他部材側に流入してくる程度を予測できたとしても、従来の製法によって作製される靴底用部材は、一部材が隠ぺい力の低い色調のものである場合などにおいて図形の輪郭が明確にならないおそれがある。
一方で、本実施形態において靴底用部材の表面に形成される第1発泡部材20と第2発泡部材30との境界は、靴底用部材の内部における第1発泡部材20と第2発泡部材30との境界に一致する。
即ち、本実施形態において靴底用部材の表面に形成される前記境界は、第1発泡部材20と第2発泡部材30との界面を靴底用部材の内部から靴底用部材の表面に向けて延長した延長線上に位置する。
そのため、本実施形態の靴底用部材は、第1発泡部材20及び第2発泡部材30の色調などに関係なくクリアな図柄を表出させることができる。
また、本実施形態においては、前記図柄が踵側に偏在している靴底用部材10を例示しているが、図4に示すように前記図柄は側面全体に施されていてもよい。
さらに、前記図柄は、矩形以外の多角形状であってもよく、正円や長円などの円形状であってもよい。
即ち、本実施形態の靴底用部材10は、2つに分断された第1発泡部材20で第2発泡部材30を靴の長手方向前後から挟み込んだ構成のものであってもよい。
また、本実施形態の靴底用部材10は、図7に示すように、第1領域及び第2領域の内の一方の領域が靴底用部材の側面にライン柄を形成しているものであってもよい。なお、従来法ではラインが歪み易く綺麗なラインを形成させることが難しい。即ち、ライン柄を形成させる態様においては、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
また、本実施形態の靴底用部材10は、前記一方の領域が、靴底用部材の上面又は下面の少なくとも一方においてライン柄を形成してもよい。
なお、ライン柄は、複数のラインを並行させたストライプ柄であってもよい。
また、本実施形態の靴底用部材10は、前記一方の領域が、靴底用部材の側面において靴底用部材の厚み方向に延びるライン柄を形成してもよい。
なお、靴底用部材の側面に形成された前記ライン柄は、上方から下方に向けた方向において踵側に傾斜していてもよい。
また、本実施形態の靴底用部材10は、図7,8に示すように、第1発泡部材20及び第2発泡部材30の内の一方の部材が棒状形状を有し、該部材は靴幅方向に延在するように配されているものであってもよい。なお、靴底用部材の幅方向に延びる部材を他方の部材に比べて低弾性(歪み易いもの)にすることで靴底用部材を屈曲性に優れたものとすることができる。該部材は、靴の側面に露出している必要はなく、他の部材中に埋設されていてもよい。
また、本実施形態の靴底用部材10は、前記部材が、靴の長手方向中央部を横断するように配されていてもよい。
靴は、通常、使用者が歩行する際に土踏まずの爪先寄りの位置で屈曲する。
そのため、本実施形態の靴底用部材10は、図7に示すように、歩行時における屈曲位置において異なる部材を隣接させることで外観上屈曲性に優れたイメージを靴に付与することが出来、しかも、他の部材に比べて低弾性な部材を屈曲位置に配することで実際に優れた屈曲性を靴に付与することができる。
また、本実施形態の靴底用部材10は、図8に示すように、第1領域及び第2領域の内の一方の領域は、一方向に向けて先細りした形状を有し、先端部が鋭角となっているものであってもよい。なお、従来法ではシャープ(鋭角)な形状を形成させ難い。即ち、第1領域及び第2領域の内の一方の先端部を鋭角とする態様においては、本発明の効果をより顕著に発揮させることができる。
また、前記一方の領域は、靴底用部材の側面において靴底用部材の厚み方向に先細りしていてもよい。
また、本実施形態の靴底用部材10は、第1発泡部材と第2発泡部材を歩行又は走行時の重心移動の軌跡に沿った配置としてもよい。上記のような配置にすることで、滑らかな重心移動を付与することができる。
また、本実施形態の靴底用部材は、第1領域や第2領域が分断されておらず、これらが連続的なものとなっていてもよい。
さらに、本実施形態の靴底用部材は、第1発泡部材と第2発泡部材との内の一方が他方の内部に埋設されて全体が単色となっていてもよい。
即ち、図10、図11に示すように、本発明の靴底用部材は、例えば、第1発泡部材と第2発泡部材とをクッション性が異なるものとし、第1発泡部材中に第2発泡部材を埋設させ、一つの素材によって形成されたかのごとき外観を有しながらも第2発泡部材を埋設させた部位において他の部位とは異なるクッション性を発揮するものとしてもよい。
この場合でも第2発泡部材に予定通りの形状を付与することが容易で、且つ、第1発泡部材と第2発泡部材との間に優れた接着性が発揮される点においては、図2〜図9に例示の靴底用部材と同じである。
このように一方の発泡部材を他方の発泡部材中に埋設させる場合、これらの発泡部材は、色を異ならせる必要はない。
また、第1発泡部材と第2発泡部材との境界には、熱融着されている部分と他の方法、例えば、接着で接合されている部分が混在していてもよい。
さらに、本発明に係る靴底用部材及び靴は、上記実施形態に何等限定されるものではない。
即ち、本発明に係る靴底用部材及び靴は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
表1の第1樹脂と発泡剤とを含有する第1発泡性部材と、表1の第2樹脂と発泡剤とを含有する第2発泡性部材とを成形型内に配し、120℃、3分加熱して前記第1発泡性部材と前記第2発泡性部材とによって形成された予備成形体を得た。
次いで、予備成形体を成形型内で160℃、20分加熱し、前記第1発泡性部材と前記第2発泡性部材と発泡させるとともに熱融着させて、試験例の靴底用部材を得た。
なお、第1樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)又はエチレン−α−オレフィン共重合体(オレフィン)を採用し、第2樹脂としてはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)又はエチレン−α−オレフィン共重合体(オレフィン)を採用した。
また、発泡剤としては、ADCAを用いた。
さらに、架橋剤としては、ジクミルペルオキシド(DCP)を用いた。
第1樹脂および第2樹脂の融点およびせん断粘度(温度:140℃、せん断速度:50(1/s))は、上述した方法で測定した。
そして、試験例の靴底用部材に色流れの有無を目視にて確認し、以下の基準により評価した。
A:色流れが確認されなかった。
B:色流れがほとんど生じていなかった。
C:色流れが生じていた。
Claims (8)
- 第1樹脂を含む第1発泡部材と、第2樹脂を含む第2発泡部材とを備え、
前記第1発泡部材と前記第2発泡部材とが熱融着されており、
前記第2樹脂の融点が、前記第1樹脂の融点よりも20℃以上高い靴底用部材。 - 前記第1発泡部材と前記第2発泡部材とが色を異ならせており、外表面に前記第1発泡部材で形成された第1領域と前記第2発泡部材で形成された第2領域とが備えられている請求項1記載の靴底用部材。
- 前記第1領域及び前記第2領域の内の一方又は両方が複数に分断されて不連続となっている請求項2記載の靴底用部材。
- 前記第1発泡部材及び前記第2発泡部材の内、
一方は、外表面に開口した凹部又は貫通孔を有し、
他方は、一部又は全部が前記凹部又は前記貫通孔に収容されている請求項1乃至3の何れか1項に記載の靴底用部材。 - 前記開口を複数有し、該開口が靴のサイド部において踵側から爪先側に向けて並んでいる請求項4記載の靴底用部材。
- 前記開口が、多角形状または円形状となっている、請求項4又は5記載の靴底用部材。
- 前記開口が、矩形状、V字状、又は、X字状となっている請求項6記載の靴底用部材。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の靴底用部材を備えている靴。
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