JPH07238111A - 水添ブロック共重合体、及び該水添ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

水添ブロック共重合体、及び該水添ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物

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JPH07238111A
JPH07238111A JP5311494A JP5311494A JPH07238111A JP H07238111 A JPH07238111 A JP H07238111A JP 5311494 A JP5311494 A JP 5311494A JP 5311494 A JP5311494 A JP 5311494A JP H07238111 A JPH07238111 A JP H07238111A
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hydrogenated
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秀雄 高松
Akira Nishikawa
亮 西川
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 成形性能が良好であり、かつ制振性能に優れ
た成形体が得られる水添ブロック共重合体、及び該水添
ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物提供す
る。 【構成】 数平均分子量が2500〜100000のポ
リブタジエンからなるブロック(A)と、数平均分子量
が2500〜50000のポリビニル芳香族化合物から
なるブロック(B)と、数平均分子量が10000〜2
00000のポリイソプレン、ポリブタジエンもしくは
ポリイソプレン−ブタジエンからなるブロック(C)と
で構成される数平均分子量が20000〜300000
の(A)−(B)−(C)−(B)型ブロック共重合体
を水素添加してなる水添ブロック共重合体、及び該水添
ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、制振性能に優れた成形
体が得られる水添ブロック共重合体、及び該水添ブロッ
ク共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、交通機関の発達などにより、騒音
や振動が大きな社会問題になっている。また、精密機械
やエレクトロニクスの分野においても、振動による悪影
響が問題になっている。その結果、防振、制振性能に優
れた特性を有する成形体の要求が強くなってきている。
【0003】従来、防振材あるいは制振材としては、金
属バネ、空気バネ、コルク、フェルト、防振ゴム等が用
いられており、特に防振ゴムは、形状選択性が広く、し
かも高周波数領域での振動伝達力が低く、さらに安価で
ある等の特性を有していることから、広範囲の分野で利
用されている。
【0004】防振ゴムとしては、ネオプレン、スチレン
−ブタジエン共重合体(SBR)等のジエン系ゴム、ブ
チルゴム等が利用されているが、ジエン系ゴムは防振、
制振性能が不十分であり、またブチルゴムは防振、制振
性は比較的優れているものの、強度の面で不十分であ
り、いずれも満足し得ない状態にある。
【0005】また、これらのゴムは、強度を発現させる
為に各種の添加剤、加硫剤等を配合しなければならな
く、添加剤、加硫剤等を混合して成形した後に、加熱、
加硫反応を行なう必要があり、このための多大な時間と
労力とを要する欠点がある。
【0006】かかる問題を解決するものとして、ビニル
芳香族モノマーと特定の構造を有するジエンモノマーと
からなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添
ブロック共重合体が知られている。
【0007】しかしながら、従来の水添ブロック共重合
体を含有する熱可塑性樹脂組成物は、成形性の点での問
題を有している。例えば射出成形を行なう場合には金型
からの離型性が悪く、またロールでのシート成形を行な
う場合には、ロールへの付着が生ずる等の問題を有して
いる。
【0008】さらに、この水添ブロック共重合体を含有
する熱可塑性樹脂組成物による成形体は、該成形体同士
を重ねておくと、上,下の成形体が膠着する場合があ
る。なお、この成形体同士の膠着の問題は、滑剤、離型
剤等を用いることにより解決することができるが、滑剤
や離型剤を用いた成形体は、該成形体の表面に滑剤や離
型剤がブリードアウトしてくることの問題を生ずる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成形性能が
良好であり、かつ、防振、制振性能に優れ、しかも滑剤
や離型剤等を必要とすることのない成形体が得られる水
添ブロック共重合体、及び該水添ブロック共重合体を含
有する熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明によれば上記課題
は、1,2結合量が30%以下で、数平均分子量が25
00〜100000のポリブタジエンからなるブロック
(A)と、数平均分子量が2500〜50000のポリ
ビニル芳香族化合物からなるブロック(B)と、ビニル
結合量が30%以上で、数平均分子量が10000〜2
00000のポリイソプレン、ポリブタジエンもしくは
ポリイソプレン−ブタジエンからなるブロック(C)と
で構成される数平均分子量が20000〜300000
の(A)−(B)−(C)−(B)型ブロック共重合体
を水素添加してなる水添ブロック共重合体により、解決
することができる。
【0011】また本発明によれば上記課題は、1,2結
合量が30%以下で、数平均分子量が2500〜100
000のポリブタジエンからなるブロック(A)と、数
平均分子量が2500〜50000のポリビニル芳香族
化合物からなるブロック(B)と、ビニル結合量が30
%以上で、数平均分子量が10000〜200000の
ポリイソプレン、ポリブタジエンもしくはポリイソプレ
ン−ブタジエンからなるブロック(C)とで構成される
数平均分子量が20000〜300000の(A)−
(B)−(C)−(B)型ブロック共重合体を水素添加
してなる水添ブロック共重合体を組成成分中の一成分と
して含有する熱可塑性樹脂組成物により、解決すること
ができる。
【0012】以下に本発明の水添ブロック共重合体、及
び該水添ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成
物について、さらに詳しく説明する。
【0013】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体におけるブロック(A)は、1,2結合量が
30%以下のポリブタジエンである。ブロック(A)を
なすポリブタジエンの1,2結合量が30%を超える
と、成形の際の金型離型性や成形体同士の膠着の改良効
果が得られない。
【0014】ブロック(A)の数平均分子量が2500
未満になると、成形の際の金型離型性、成形体同士の膠
着の改良効果が得られず、また100000を超える
と、(A)−(B)−(C)−(B)型ブロック共重合
体を水素添加反応する際の水素添加反応溶液がワックス
化することにより、その取扱いが困難になる。これらの
ことから、ブロック(A)の数平均分子量は2500〜
100000の範囲にあることが必要である。
【0015】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体におけるブロック(A)の割合が5%未満に
なると、成形の際の金型離型性、成形体同士の膠着の改
良効果が得られず、また80%を超えると、十分な制振
性能を有する成形体が得られなくなる。このため、
(A)−(B)−(C)−(B)型ブロック共重合体に
おけるブロック(A)は5〜80%の範囲にあることが
好ましい。
【0016】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体におけるブロック(B)は、ポリビニル芳香
族化合物からなるブロックであり、例えばスチレン、1
−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、3−メチ
ルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシ
ルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−
ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン等
のアニオン重合可能な芳香族ビニルモノマーの重合体か
らなり、最も好ましくはポリスチレンである。
【0017】ブロック(B)の数平均分子量が2500
未満になると、得られる成形体の強度が不十分になり、
また50000を超えると、水添ブロック共重合体の溶
融粘度が高くなり加工性が悪くなる。これらのことか
ら、ブロック(B)の数平均分子量は2500〜500
00の範囲にあることが必要である。
【0018】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体におけるブロック(B)の割合が5%未満に
なると、成形体の強度が不十分になり、また80%を超
えると、十分な制振性能を有する成形体が得られなくな
る。このため、(A)−(B)−(C)−(B)型ブロ
ック共重合体におけるブロック(B)は5〜80%の範
囲にあることが好ましい。
【0019】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体におけるブロック(C)は、ポリイソプレ
ン、ポリブタジエン、あるいはポリイソプレン−ブタジ
エンであり、ブロック(C)における1,2結合と3,
4結合との合計量(以下ビニル結合量という)が30%
未満になると、室温付近での十分な制振性能を有する成
形体にならない。
【0020】このため、ブロック(C)はビニル結合量
が30%以上のポリイソプレン、ポリブタジエンもしく
はポリイソプレン−ブタジエンからなる。
【0021】なお、ブロック(C)がイソプレンとブタ
ジエンとを併用して得られるポリイソプレン−ブタジエ
ンからなる場合には、ブロック(C)はイソプレンとブ
タジエンとのランダム、テーパードのいずれでもよく、
イソプレンとブタジエンとの両者の比は任意である。
【0022】ブロック(C)の数平均分子量が1000
0未満になると、成形体の制振性能が十分でなくなり、
また200000を超えると、水添ブロック共重合体の
溶融粘度が高くなり、加工性が低下する。これらのこと
から、ブロック(C)の数平均分子量は10000〜2
00000の範囲にあることが必要である。
【0023】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体におけるブロック(C)の割合が10%未満
になると、成形体の制振性能が不十分になり、また90
%を超えると、成形体の強度が不十分になる。このた
め、(A)−(B)−(C)−(B)型ブロック共重合
体におけるブロック(C)は10〜90%の範囲にある
ことが好ましい。
【0024】さらに(A)−(B)−(C)−(B)型
ブロック共重合体の数平均分子量が20000未満にな
ると、ブロック共重合体そのものの強度が低下し、組成
物にした場合にも十分な強度が得られなくなる。また3
00000を超えるとブロック共重合体の溶融粘度が高
くなり過ぎ、組成物の加工性が低下するために好ましく
ない。これらのことから、(A)−(B)−(C)−
(B)型ブロック共重合体の数平均分子量は、2000
0〜300000の範囲にあることが必要である。
【0025】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体の
水添率が70%未満の場合には、ブロック(A)による
ポリブタジエンが結晶性を有さないために、成形の際の
金型離型性及び成形体同士の膠着に対する十分な改良効
果が得られなく、また、耐熱性、耐候性も不十分にな
る。これらのことから、(A)−(B)−(C)−
(B)型ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロ
ック共重合体の水添率は70%以上であることが好まし
く、さらには80%以上であることがより好ましい。
【0026】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体は、アルキルリチウム化合物を重合開始剤と
して使用し、ブタジエン、イソプレン、ブタジエン−イ
ソプレン、芳香族ビニルモノマー等を、目的とする共重
合体のブロックの順に逐次重合させることによって得ら
れる。
【0027】アルキルリチウム化合物は、例えばアルキ
ル残基の炭素原子数が1〜10のアルキル化合物であ
り、特にメチルリチウム、エチルリチウム、ペンチルリ
チウム、ブチルリチウムが好ましい。
【0028】アルキルリチウム化合物の使用量は、
(A)−(B)−(C)−(B)型ブロック共重合体の
分子量により決定されるが、重合に用いる全モノマー1
00重量部に対して、概ね0.01〜0.2重量部の範
囲で用いられる。
【0029】なお、ブロック(C)のポリイソプレン、
ポリブタジエンあるいはポリイソプレン−ブタジエンの
ビニル結合量を30%以上にするためには、重合の際に
共触媒としてルイス塩基を用いるのが良い。
【0030】ルイス塩基の例としては、ジメチルエ−テ
ル、ジエチルエ−テル、メチルエチルエ−テル、テトラ
ヒドロフラン等のエ−テル類、エチレングリコ−ルジエ
チルエ−テル、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル等
のグリコ−ルエ−テル類、N,N,N,N−テトラメチ
ルエチレンジアミン、トリエチレンジアミン等の第三級
アミン類、N−メチルモルホリン,N−エチルモルホリ
ン等のエ−テル含有アミン類があげられる。
【0031】ルイス塩基は、重合開始剤であるアルキル
リチウム化合物1モルに対して概ね0.1〜10000
モルの範囲で用いられる。
【0032】重合反応の際には、反応の制御を容易にす
るために溶媒を使用することが好ましく、重合開始剤に
対して不活性な有機溶媒が用いられる。特に炭素原子数
が6〜12の炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、デカン等の脂肪族炭化水素、及びこれらに対応
する脂環式炭化水素、さらにはトルエン、ベンゼン、キ
シレン等の芳香族炭化水素等が利用される。
【0033】重合反応はいずれの重合法による場合に
も、−20〜80℃、0.5〜50時間程度で行われ
る。
【0034】(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
ク共重合体の水素添加反応は公知の方法により行われ
る。すなわち、水添触媒および反応に不活性な溶媒に、
(A)−(B)−(C)−(B)型ブロック共重合体を
溶解し、公知の水添触媒により分子状態の水素を反応さ
せる方法を利用するのが好ましい。
【0035】水添触媒としては、ラネーニッケル、ある
いはPt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボ
ン、アルミナ、硅藻土等の担体に担持させたもの等の不
均一触媒、または遷移金属とアルキルアルミニウム化合
物等の組合わせからなるチーグラー系の触媒等が用いら
れる。
【0036】水添反応は、常圧〜200kg/cm2
水素圧、常温〜250℃の反応温度、0.1〜100時
間の反応時間で行われる。
【0037】水添反応後の水添ブロック共重合体は、反
応液をメタノール中等に注いで凝固させた後、加熱ある
いは減圧乾燥させるか、反応液を沸騰水中に注いで溶媒
を共沸によって除去した後、加熱あるいは減圧乾燥する
ことにより得られる。
【0038】本発明の水添ブロック共重合体は、単独で
もって成形体の成形原料として使用し得るが、本発明の
趣旨を損なわない程度に他のポリマ−とブレンドして用
いることが可能である。
【0039】ブレンドし得る他のポリマ−としては、N
R、IR、BR、SBR、EPR、EPDM、ブチルゴ
ム、1,2−ポリブタジエン等の固形ゴム、ポリブテ
ン、低分子量のイソプレン、ブタジエンゴム、イソプレ
ン−ブタジエン共重合体およびこれらの水添物等の液状
ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレ
ン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソブチ
レンブロック共重合体およびこれらの水添物等のスチレ
ン系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレ
ン−メチルメタクリレート共重合体等のエチレン系共重
合体、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポ
リエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラスト
マー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィ
ン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂
等のスチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹
脂等が挙げられる。
【0040】また、上記のポリマーの分子鎖中および/
または分子末端に、カルボキシル基、エポキシ基、水酸
基等の官能基を付加したものブレンドすることも可能で
ある。
【0041】これらのポリマーのブレンド率は目的によ
って異なるが、水添ブロック共重合体とブレンドポリマ
ーとの合計を100重量部としたときに、ブレンドポリ
マーは概ね95重量部以下である。
【0042】さらに、(A)−(B)−(C)−(B)
型ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共
重合体、または該水添ブロック共重合体を含有する熱可
塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲に
おいて、各種の添加剤を含有させることができる。
【0043】例えば、(A)−(B)−(C)−(B)
型ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共
重合体または該水添ブロック共重合体を含有する熱可塑
性樹脂組成物100重量部に対して、5〜250重量部
のオイル等の可塑剤・軟化剤、5〜300重量部のカ−
ボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、マイ
カ、ガラス繊維等の補強剤ないし充填剤、および0.0
1〜5重量部の酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤等を
添加することができる。特に、マイカの添加は、得られ
る成形体の制振性能を向上させることから好ましい。
【0044】本発明の(A)−(B)−(C)−(B)
型ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共
重合体、または該水添ブロック共重合体を含有する熱可
塑性樹脂組成物は、ニーダー、ロール、押出機により混
合され、プレス成形、射出成形あるいは押出し成形等の
一般の成形方法により、成形体に成形される。
【0045】本発明の(A)−(B)−(C)−(B)
型ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共
重合体、または該水添ブロック共重合体を含有する熱可
塑性樹脂組成物は、イオウ、パーオキサイド等の架橋剤
で架橋して用いることもできる。
【0046】架橋は通常のゴムの架橋に用いられる一般
的な方法および装置を用いて容易に実施することができ
る。
【0047】本発明の(A)−(B)−(C)−(B)
型ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共
重合体、または該水添ブロック共重合体を含有する熱可
塑性樹脂組成物は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶、
航空機、家電製品、OA機器、床材、壁材等における制
振材として、あるいは自動車の内装材、外装材、シー
ト、フィルム、ホース、チューブ、医療材料、スポーツ
用品、玩具、家庭雑貨、繊維、シューズ等に成形され
る。
【0048】また、本発明の(A)−(B)−(C)−
(B)型ブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロ
ック共重合体、または該水添ブロック共重合体を含有す
る熱可塑性樹脂組成物は、布に塗布したり、あるいは熱
可塑性樹脂板、熱硬化性樹脂板、鋼板、ゴム、エラスト
マ−等との積層体として用いることもできる。
【0049】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的
に説明する。なお、実施例および比較例中の各測定値は
以下の方法により求めた。 分子量:GPCにより求めた。 ビニル結合量:NMRスペクトルにより求めた。 水添率:水添反応前後のそれぞれのブロック共重合体の
ヨウ素価を測定し、その比率により算出した。 制振性能:動的粘弾性測定により求められる0、20、
40℃でのtanδ値により評価した。
【0050】実施例1〜実施例2 乾燥した窒素で浄化した5リットルの攪拌式オ−トクレ
−ブ中にて、溶媒としてシクロヘキサン、重合開始剤と
してn−ブチルリチウム、ビニル化剤としてテトラヒド
ロフランを用い、ブタジエン、スチレンモノマー、イソ
プレン、スチレンモノマーの順に重合し、(A)−
(B)−(C)−(B)型ブロック共重合体を得た。
【0051】次に、得られたブロック共重合体を、シク
ロヘキサン中で水添触媒としてPd−Cを用い、水素圧
20kg/cm2 で水添反応を行い、水添ブロック共重
合体(a)及び(b)を得た。これらの分子特性を表1
に示す。
【0052】水添ブロック共重合体の制振性能の評価と
して、0、20、40℃でのtanδの測定を行った。
【0053】また、膠着性の評価として、プレス成形し
て得た厚さ3mm、縦10cm、横10cmのシート2
枚を重ね合せ、50g/cm2 の荷重を掛け、25℃、
24時間放置した後のシートの剥がし易さ、及び剥がし
た後のシートの表面を観察した。これらの評価結果を表
2に示す。
【0054】比較例1〜比較例2 ブタジエンを用いない以外は実施例1と同様の方法によ
り重合反応、及び水添反応を行い、比較のための水添ブ
ロック共重合体を(c)及び(d)を得た。これらの分
子特性を表1に示す。
【0055】また、実施例1と同様に、各水添ブロック
共重合体(c)及び(d)のtanδ、及び膠着性の評
価を行った。これらの評価結果を表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】 剥がし易さ:○・・・・容易に剥がせる △・・・・離型剤としてメタノールを使用すると剥がせる ×・・・・剥がせない 表面状態 :○・・・・変化なし、×・・・・変化あり
【0058】実施例3〜実施例4 実施例1及び実施例2で得られた水添ブロック共重合体
(a)及び(b)を利用し、表3に示す組成成分(重量
部)からなる組成物を、ブラベンダープラスチコーダー
により200℃で混練し、プレス成形により厚さ3m
m、縦10cm、横10cmのシートを作製し、実施例
1と同様の方法により膠着性の評価を行った。また、
0、20、40℃でのtanδの測定を行った。膠着性
の評価結果、及びtanδの測定結果を表3に示す。
【0059】比較例3〜比較例4 比較例1及び比較例2で得られた水添ブロック共重合体
(c)及び(d)を利用し、表3に示す組成成分(重量
部)からなる組成物を、実施例3と同様にして混練、成
形し、実施例1と同様の方法により膠着性の評価を行っ
た。また、0、20、40℃でのtanδの測定を行っ
た。膠着性の評価結果、及びtanδの測定結果を表3
に示す。
【0060】
【表3】 (*1)・・・・三菱ポリプロMA3(三菱油化 (株) ) 剥がし易さ:○・・・・容易に剥がせる △・・・・離型剤としてメタノールを使用すると剥がせる ×・・・・剥がせない 表面状態 :○・・・・変化なし、×・・・・変化あり
【0061】実施例5〜実施例6 実施例1及び実施例2で得られた水添ブロック共重合体
(a)及び(b)を利用し、表4に示す組成成分(重量
部)からなる組成物を、ブラベンダープラスチコーダー
により200℃で混練し、プレス成形により厚さ3m
m、縦10cm、横10cmのシートを作製し、実施例
1と同様の方法により膠着性の評価を行った。
【0062】また、0、20、40℃でのtanδの測
定を行った。膠着性の評価結果、及びtanδの測定結
果を表4に示す。
【0063】比較例5〜比較例6 比較例1及び比較例2で得られた水添ブロック共重合体
(c)及び(d)を利用し、表4に示す組成成分(重量
部)からなる組成物を、実施例3と同様にして混練、成
形し、実施例1と同様の方法により膠着性の評価を行っ
た。
【0064】また、0、20、40℃でのtanδの測
定を行った。膠着性の評価結果、及びtanδの測定結
果を表4に示す。
【0065】
【表4】 (*1)・・・・三菱ポリプロMA3(三菱油化 (株) ) (*2)・・・・水添スチレン−イソプレンブロック共重合
体(セプトン4055: (株) クラレ) (*3)・・・・ダイアナプロセスオイルPW−380(出
光興産 (株) ) 剥がし易さ:○・・・・容易に剥がせる △・・・・離型剤としてメタノールを使用すると剥がせる ×・・・・剥がせない 表面状態 :○・・・・変化なし、×・・・・変化あり
【0066】表2〜表4に示した結果から、本発明の水
添ブロック共重合体、及び該水添ブロック共重合体を含
有する熱可塑性樹脂組成物による成形体は、制振性能に
優れるとともに膠着性のない性質であることが分かる。
【0067】
【発明の効果】本発明の水添ブロック共重合体、及び該
水添ブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物
は、これらを成形原料とする成形の際の金型離型性が良
好であり、またその成形体は、制振性能に優れるととも
に膠着性がなく、実用面での優れた効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 博通 茨城県鹿島郡神栖町東和田36番地 株式会 社クラレ内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,2結合量が30%以下で、数平均分
    子量が2500〜100000のポリブタジエンからな
    るブロック(A)と、数平均分子量が2500〜500
    00のポリビニル芳香族化合物からなるブロック(B)
    と、ビニル結合量が30%以上で、数平均分子量が10
    000〜200000のポリイソプレン、ポリブタジエ
    ンもしくはポリイソプレン−ブタジエンからなるブロッ
    ク(C)とで構成される数平均分子量が20000〜3
    00000の(A)−(B)−(C)−(B)型ブロッ
    ク共重合体を水素添加してなることを特徴とする水添ブ
    ロック共重合体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水添ブロック共重合体
    を組成成分中の一成分として含有することを特徴とする
    熱可塑性樹脂組成物。
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