JP3270434B2 - やすりの組と関連して使用される補助的な器具の組 - Google Patents

やすりの組と関連して使用される補助的な器具の組

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、やすりによって予めき
れいにされ且つ形成された人間の歯根管を治療するため
の歯内治療器具に関し、更に詳細には、やすりの組と関
連して使用される補助的な器具の組に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】患者の歯の歯根管をクリーニングし、成
形し、充填することは、比較的一般的に行われているけ
れども困難な歯科的治療である。歯根管の治療を行う場
合、先ず最初に歯根管に至るために歯をドリルで穿孔
し、その後、歯根管やすりを使用して歯根管内に存在す
る材料をきれいに出し、歯根管をシールするために充填
材料を歯根管に挿入できるように歯根管にテーパ形状を
賦与する。
【0003】一般的に使用されている種類の歯根管やす
りは、K型やすり(K-type file) 及びヘドストロムやす
り(Hedstrom file) である。K型やすりは、軸線方向で
捩じれており且つテーパしており、長さに沿って三つ又
は四つの螺旋状切り刃を形成する三角形断面又は正方形
断面のテーパしたシャフトを有し、シャフトの端部には
円錐形をなしてテーパした先端が設けられている。K型
やすりは、今日では、旋盤で切り込んだ溝付き部分即ち
フルートを備えて製造されるようになってきている。ヘ
ドストロム型の器具は、一つ、二つ、又は三つの螺旋状
切削フルートが先端に至るまでシャフト全体に亘って機
械加工された丸味を帯びたテーパしたシャフトを持つ旋
盤切断やすりである。これらの二種類のやすりの構造に
起因する主な相違点は、K型やすりは、いずれの回転方
向でも、即ち上方に移動する場合でも下方に移動する場
合でも切削を行うが、ヘドストロム型やすりは、歯根管
内を上下に移動する場合に最もよく切削を行う。
【0004】歯根管をクリーニングし、成形するとき、
直径が増大する一連のやすりを使用して歯根管を徐々に
拡大する。組の各やすりには一端から他端まで同じテー
パが付けてある。このテーパは、代表的には、切削フル
ートの長さが16mmの標準的なK型やすりでは、全ての
やすりについて0.32mmであり、即ち、フルート長さ
1mm当たりのテーパが0.02mmである。このテーパ
は、標準ISO(International Standards Organizati
on)テーパと呼ばれる。このようなやすりの組は同じテ
ーパを持っているけれども、これらの組は大きさの番号
で呼ばれる。やすりを特徴付ける大きさの番号は、百分
の一mm単位で表したやすりの先端での直径であり、かく
して、やすりの大径端での直径は、この先端直径よりも
0.32mm大きい。完全な組に含まれる大きさは、0
6、08、10、15、20、25、30、35、4
0、45、50、55、60、70、80、90、10
0、110、120、130、及び140であるが、代
表的には、08乃至60の大きさが使用される。製造者
によっては、特定の半分の大きさ又は標準からずれた大
きさを製造している。
【0005】ヘドストロム型器具もまた同様に大きさが
増大する組をなして提供され、これらの器具の先端の大
きさは、代表的には0.10mm乃至1.40mmである
が、先端の大きさが0.15mm乃至0.60mmの器具が
最も一般的に使用される。ISO標準に合わせて製造し
たK型やすり及びヘドストロムやすりは、両方とも、捩
じりによって形成されていようと旋盤による切断によっ
て形成されていようと、フルートのピッチ即ち数が幾つ
かの大きさ(大型のやすり)についてはほとんど又は全
く変化しないが、他の大きさ(小型のやすり)ではほん
の僅か変化する。フルートの角度又はピッチのこの変化
は、やすりの長手方向軸線に対し、シャンク端近くで最
も垂直に近くなっており、フルートがやすりの先端に近
づくにつれて角度が小さくなる(長手方向軸線と一直線
上に並ぶようになる)。一つの特別のヘドストロム型や
すりは、やすりの一方の側に沿ってフルートの切り刃を
除去する即ちなまくらにする(dulling) ことによって安
全縁部を形成するように変形してある。
【0006】円形断面のテーパした針金ブランクにフル
ートを切り込んだ研削フルート器具(ground-flute inst
rument) もある。これによって、フルートが金属の結晶
粒を横切って切り込まれ、かくして、捩じれフルートや
すり(twisted-flute file)よりも強度が落ち、そのた
め、小径のものについては不適である。捩じれフルート
やすりは、先ず最初に三角形、正方形、又は長斜方形の
テーパした断面形状を金属の結晶粒と整合して針金の長
さに亘って下方に研削することによって形成される。次
いで、このテーパした針金ブランクを捩じって、テーパ
した針金ブランクの隅部を螺旋状切削フルートにする。
捩じりプロセスにより、金属の結晶粒は螺旋状切削フル
ートと整合する。
【0007】15番以下の小径のやすりでは、捩じれフ
ルート器具だけが十分な剛性を持ち、冠側が閉塞した歯
根管を最初に穿通するのに、代表的には、短い15番や
すりが使用される。フルートのピッチ角を器具の先端に
向かって増大させ、これによってフルート間の深さを減
じ、脆性の高い先端領域での金属の質量を増大すること
によって、小径の研削フルート器具の先端の強度を増そ
うとする試みでは、やすり先端の剛性が高くなり過ぎ
る。これは大型のやすりについては効率的でない。
【0008】残念なことに、均等に捩じったフルートを
持つ15番やすりの強さは、多くの場合、石灰化した歯
根管オリフィスを探ろうとするときに歯科医が支持する
大きな尖端力に耐えるのには不十分である。これらのI
SOテーパを持つ15番やすりは、使用中に座屈し、こ
れらを使い捨てにして別の15番やすりを使用する必要
がある。歯科医は、代表的には、これらの困難な歯根管
の端部の処置を終える前に15番やすりを10本乃至2
0本壊す。
【0009】歯根管は、真っ直ぐであることは稀であ
り、歯根管の厚さ及び歯根管の湾曲の程度及び位置によ
っては、成形中に歯根管に取り返しのつかない損傷を引
き起こす可能性が常にある。現在利用できる器具を使用
して歯根管を形成するとき、歯根管の穿孔、レッジング
(ledging) 、及び他の歯根管形成術における過誤が生じ
る。最悪の場合には、こうした過誤により、抜歯又は外
科的な矯正を行う必要があり、少なくとも、未来におい
て起こるであろう問題点を持つ弱い歯をつくりだしてし
まう。歯根管成形技術は、歯に損傷が加わらないように
するため及び歯根管を理想的に充填できるテーパした歯
根管を形成するのにかなりの熟練を必要とする技術であ
る。
【0010】歯根管をきれいにし、成形する上で理想的
なテーパを持つやすりの従来の組で使用された技術は、
「ステップ−バック(step-back) 」技術と呼ばれる。大
きさが08乃至60(全部で12本の器具)の一連のや
すりを歯根管内に最も小さいやすりから順に最も大きな
やすりに至るまで導入し、順に大きくなる各やすりを使
用して歯根管の端部から突出する。更に、4番乃至6番
のゲート−グリッデンバー(Gates-Glidden bur) 及びピ
ーゾバー(Peezo bur) をこのステップ−バック技術で同
様に使用し、器具の数は全部で16本乃至18本とな
る。
【0011】この技術は、よくみても、困難で時間のか
かる方法であり、歯科医は、漸次大きくなる器具が歯根
管末端から更に後退するときのステップ−バックの距離
間隔によって、テーパ率を形成中に間接的に測定しなけ
ればならない。現在、歯科医に提供される標準的な大き
さのやすり、灌注カニューレ、圧縮充填器、熱キャリヤ
及び注射針、紙点、充填材料、及び拘束ポストは、0.
02mm/mmのISOテーパしか利用できないため、これ
よりも大きなテーパを持つ歯根管を形成しようとするこ
とは、歯根管形成の目的を高めようとする歯科医にとっ
て困難である。これらの比較的テーパのない器具及び材
料を用いて、控えめであるが適切にテーパを付けた形状
を歯根管に形成し、これらを容易に且つ理想的に充填す
る必要がある技術者は、通常は、数百の臨床例の治療を
行った後にしか、これらを行うことができない。
【0012】現存の灌注カニューレは側部が平行であ
り、種々の設計の開口部を先端に有する。これらのカニ
ューレは、歯根管空間の鮮創、消毒、及びクリーニング
をシール前に行うために歯根管システムの内側を溶液で
洗浄するのに使用される。残念なことに、これらの灌注
カニューレは歯根管システムの端部をきれいにする性能
が限られている。これは、これらの灌注カニューレの直
径が非常に小さいためである。研究によれば、灌注カニ
ューレは、これらの灌注カニューレが歯根管を穿通でき
る程度、通常は歯根管中央まで、しか効果がなく、重要
な歯根管の尖端三分の一には作用が及ぼされない。
【0013】歯科医は、歯根管の端部から破片を取り除
くのに使用される開存度の低いやすり(small patency f
ile)を使用することによってこの問題点を解決すること
ができるが、これらのやすりは、その使用中に歯根管の
この尖端領域から灌注液を排出し、新たな灌注液は、や
すりの取り出し後に尖端領域内に再び入る。やすりのテ
ーパが比較的小さい(ISO 0.02mm/mm)ため、
この灌注液の交換は限定されている。
【0014】歯根管をきれいにし、成形した後、種々の
大きさ及びテーパの吸収性紙点で歯根管を乾燥させる。
バー及びやすりを用いてステップ−バック法でテーパを
付けた歯根管では、多くの場合、歯根管の全長を乾燥さ
せるのに種々の大きさの幾つかの紙点を使用することが
必要である。小さな紙点は尖端について使用され、更に
大きな紙点は歯根管の中央部について使用され、これよ
りも大きな紙点は歯根管の頚部領域について使用され
る。更に、紙点のテーパが歯根管のテーパと整合するこ
とが稀であるため、乾燥工程後に歯根管壁の部分に水分
が残ることがある。
【0015】歯根管システムのシールには幾つかの方法
があり、これらの方法の多くはグッタペルカ(gutta per
cha)と呼ばれるゴム状材料を使用する。テーパの付いた
グッタペルカ円錐体として使用する場合には、この材料
は、歯根管に充填器で押し込まれるか或いは、グッタペ
ルカ材料を緊塞キャリヤ(obturating carrier)上にコー
ティングとして置き、キャリヤを温めてグッタペルカを
軟化させ、キャリヤで材料を歯根管空間に押し込んで歯
根管内に配置する。
【0016】現在では、充填材料及び緊塞キャリヤの形
状は、形成した歯根管のテーパ形状といずれも整合しな
い。歯根管形成のステップ−バック技術を使用する場
合、歯根管形成の最終形状は、番手の大きな器具の各々
が歯根管の末端から突出した増分によって間接的にしか
認識できず、困難な技術は多くの経験を重ねた後にしか
習得されない。多くの場合、形成したテーパが臨床医に
とって明確でないため、歯根管のシールに用いる適切な
テーパのグッタペルカ点又は緊塞キャリヤを選択するの
は困難である。選択した緊塞装置即ちグッタペルカ点の
テーパが大き過ぎる場合には、シールに尖端の手前でく
っつき、非常に重要な尖端シールを不適切にしてしま
い、漏れを起こし、歯内治療が失敗する。緊塞キャリヤ
又は緊塞材料が狭過ぎる場合には、圧縮中に歯根管の頚
部の三分の二にある充填材料に及ぼされる圧力が小さく
なり、歯根管の前記領域の横道即ち副道をシールでき
ず、この場合も治療が失敗する。グッタペルカ充填材料
を温めて軟化し、歯根管システムの全ての隅及び割れ目
にこの材料を圧力で完全に押し込む歯根管充填方法は、
押し込む前にグッタペルカを熱で可塑化しない技術より
も優れているということは、歯内治療の分野で一般的に
認識されている。
【0017】標準的な技術は、適当なテーパを持つグッ
タペルカ円錐体を使用し、これを形成隅部の歯根管に装
着して固着する。その後、火炎又は電気で加熱したグッ
タペルカ熱キャリヤを使用してグッタペルカ円錐体を歯
根管のオリフィスの高さで切断する。軟化させたグッタ
ペルカを適当な大きさの垂直方向圧縮充填器で歯根管に
押し込むことによって、第1の疎密波(wave of condens
ation)を発生し、主歯根管の前記領域にある横道を充填
する。次いで、熱キャリヤを歯根管に再度導入し、グッ
タペルカを数mm穿通し、尖端部にあるマスを加熱し、歯
根内更に深くで次の疎密波が生じるようにその一部を除
去する。これらの加熱−圧縮サイクルは、歯根管末端か
ら5mm乃至7mmで終わる最終疎密波まで続く。
【0018】代表的には、この端点に到達するため、3
乃至7の疎密波を要する。この点で、臨床医は、保持ポ
ストを冠側歯根管空間内に配置するか或いはこれをグッ
タペルカで埋め戻すかのいずれかを行わなければならな
い。埋め戻しは、3mm乃至8mmの小さなグッタペルカ片
を加熱し、次いで、これを歯根管に詰め込むことによっ
て行われるか或いは、予め加熱したグッタペルカをグッ
タペルカ銃(gutta percha gun)から注射器でアロケート
(alloquate) し、グッタペルカを充填器で圧縮すること
によって行われる。多数の疎密波で下方に詰め込み、上
述の方法で埋め戻すには、少なくとも7本乃至10本の
異なる器具が必要であり、歯科医及び歯科助手をしっか
りとトレーニングすることが必要であり、15分乃至3
0分の治療時間が必要である。更に、これらの圧縮充填
器及び熱キャリヤには、それらの大きさを歯根管形成の
テーパと整合させる相関機構が設けられていない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、人間
の歯根管を充填するための歯内治療器具とこれに関連し
た材料を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の構成は、上文中
に論じたクリーニング技術、成形技術、及び充填技術に
対して、多くの点で顕著に且つ有利に異なっている。
【0021】1.標準標準ISOテーパやすりを使用す
る場合のように、大きさが異なるが同じテーパの多数の
一連のやすりを使用するのでなく、本発明を使用する
と、可変テーパを持つ成形やすりの組から選択した単一
のやすりのような少数のやすりで完全な歯根管成形を行
うことができる。
【0022】2.ISOテーパやすりで必要な、困難で
時間の掛かる順次ステップ−バック技術でテーパした歯
根管の形成を間接的に行う代わりに、本システムは歯根
管の末端に一本又は数本の成形やすりで作用を及ぼすこ
とによって形成を完了する。
【0023】3.本システムは、一連の器具の先端の直
径が増大するにつれて剛性を最適に変化させることので
きる可変テーパを持つ探りやすりを提供する。更に、テ
ーパが増大するこれらのやすりは、先端の直径が小さく
均等に増大し、先細の歯根管の末端を更に受動的に探る
ことができる。
【0024】4.テーパが増大するこれらのやすりは、
やすりのテーパが大きくなるにつれて切削フルートの長
さを漸次短くすることによって、歯根の穿孔または脆弱
化の危険を増大させることなく使用できる。
【0025】5.テーパを備えたこれらのやすりの一つ
の態様は、破壊の増大なしに回転切削運動で効率的に使
用できる。これは、これらのやすりのフルートピッチ及
び鋭さが器具の長さに沿って変化するためである。
【0026】6.極めて可撓性であり且つ弾性記憶を持
つ合金である、ニチノール(Nitinol) の商標で入手でき
るニッケル−チタニウム合金を使用すると、湾曲した歯
根管でのこれらのやすりの安全機能が得られる。
【0027】7.本発明のやすりは、やすりハンドルが
洋梨形状の従来の器具とは大きく異なっており、歯科医
の指でやすりに加えられる押し力及び回転力を高めるよ
うに設計されている。
【0028】8.本システムは、灌注カニューレ、紙
点、従来材料及び器具、及び拘束ポストを含み、これら
は、可変テーパを持つやすりによって形成した予め構成
された歯根管形状と整合するように形成されている。こ
れによって、成形やすりのうちの対応するやすりと整合
する。
【0029】9.本システムは、歯根管を、それらの全
ての複雑さにおいて、更に簡単に理想的に緊塞できる技
術を含む。緊塞は、上述のテーパした充填器具及び単一
の内向きの疎密波で使用された材料で行われ、次いで、
歯根管内にポストが配置されない場合、単一の埋め戻し
波を加えることによって充填を完了する。
【0030】歯内治療学的成形の目的は、歯根管の端が
最も狭幅であり、歯の冠部近くで最も広幅になった連続
的なテーパを形成することである。可変テーパのやすり
を使用することによって、歯根管は、多くの場合、従来
のISOテーパ器具によって必要とされた16本乃至1
8本のやすりの代わりに単一の成形やすりを使用して形
成される。本発明のシステムによれば、あまり訓練され
ておらず且つ経験が少ない者でも歯根管を理想的に成形
できる。適当なテーパの成形器具を使用して歯根管の全
長を加工するということが、必要とされる全てである。
歯根管を単一の器具で成形する場合の簡単さを大きく改
善したことに加え、本発明は、先ず最初に、予め決定し
た窩洞を歯根管の全長に亘って提供する。
【0031】歯根管に予め決定した窩洞を形成すること
による最も重要な利点のうちの一つの利点は、歯根管シ
ステムのクリーニング及び充填を結果的に最適にするこ
とができるということである。本システムのやすりは可
変テーパを持ち、標準テーパを持つやすりの場合と同様
に、成形やすりの先端は歯根管の行路の切削に使用され
ない。本発明の一組の成形やすりの先端の直径は、所望
であれば、テーパの異なるやすり間で同じである。先端
の直径が異なる、これらの成形やすりの異なる組もあ
る。即ち、一組の成形やすりは、テーパが0.04mm/
mm、0.06mm/mm、0.08mm/mm、0.10mm/m
m、及び0.12mm/mmであり先端直径が同じで0.2m
mである。別の組の成形やすりは、テーパの範囲が同じ
であるが先端の直径が0.35mmである。更に、本シス
テムは、先端直径が均等に又は比例的に増大する、IS
Oテーパ以外の同じテーパを持つ成形やすりの組を含
む。
【0032】更に、本システムは、先端直径が均等に又
は比例的に増大する、可変テーパを持つ探り器具を提供
する。このようなやすりの組のテーパの範囲は、0.1
mm/mm乃至0.5mm/mmであり、これによって、先端直
径が0.15mmの重要な最初の探りやすりの通常の剛性
を二倍にする。歯根管を剛性の0.04/0.15(テ
ーパ/先端直径)で歯根管中央まで穿通した後、歯科医
は大きさを0.03/0.125、0.02/0.10
に下げ、最終的に0.01/0.075にするか或いは
0.01/0.075にいきなり下げて全長を仕上げ、
次いで、やすりの大きさを0.04/0.15のやすり
が長さに至るまで加工する。狭幅のテーパを持つやすり
を少なくとも歯根管の半分まで埋設した後、歯根管壁
は、次いで、狭幅で華奢な大きさのやすりを支持し、こ
れが座屈しないようにする。従って、探りやすりのこの
組は最初の進入時にキンクせず、歯根管の曲がりくねっ
た尖端領域での器具の触感及び制御を高める。更に、先
端の大きさの0.025mmの増加は、ISO標準のやす
りの大きさの10番と15番との間の問題のある50%
のジャンプを回避する。その結果、0.075mmから
0.10mmまで、0.125mmまで、0.15のまでの
この探りやすりの組で。先細の歯根管の全長に至るまで
前進することに努力がいらない。
【0033】別の利点は、本システムの成形やすりは、
テーパ率が大きいにも関わらず、湾曲した歯根管及び/
又は薄い歯根で安全に使用できるということである。組
内のやすりのテーパが漸次大きくなるに従ってフルート
長さが漸次短くなることによってそれらのやすりの最大
フルート直径を制限する場合に非常に効果的に行われ
る。この特徴を備えていないと、これらの器具のテーパ
が増大するにつれて可変テーパを持つ成形フルートのシ
ャンク端フルート直径が広幅になり且つ剛性になり、歯
根管が横方向に穿孔されたり弱くされたりする可能性が
同様に増大する。
【0034】テーパが増大するこれらの成形やすりの最
大フルート直径を制限することによってそれらの安全使
用を可能にする場合には、この特徴は、広い意味で極め
て重要である。通常の15個乃至18個の器具の組の代
わりに単一の成形やすりを使用するということは、前記
歯根管の全長に亘る最終形状が予め決まっているという
ことを意味する。成形やすりの最大フルート直径を制限
するだけで、先ず最初に歯内治療学の分野について、歯
根管の冠側三分の二を歯根管の小さな尖端領域をきれい
にするのに極めて適当であり且つ成形−充填器具を前記
領域で制御された状態に維持するのに極めて適当である
が、それ以上でない程度まで拡大できる。本システムは
この特徴を含み、この特徴は、可変テーパを持つヘドス
トロム−フルート成形やすり及び全ての他の種類の成形
器具に、それらが手で使用されるものであるか或いは音
響ハンドピース、超音波ハンドピース、又は機械式ハン
ドピースで使用されるものであるかに関わらず、適用さ
れる。
【0035】回転切削運動で使用するための本システム
の成形やすりは、切削フルートのピッチ及び相対的な鋭
さが長手方向で変化する。これは、フルートのピッチを
器具のシャンク端でのインラインリーマ状角度(in-line
reamer-like angle) からやすり先端での更に垂直方向
なK型フルート角度まで変化させることによって、破損
が起こったり切削速度が緩慢になったりする可能性があ
るという問題点を解決する。上述の代わりに、又は上述
に加えて、切削フルートの相対的な鋭さをフルートの長
さに沿って変化させる。フルートは、広幅のフルートに
よって積極的に切削を行うことができるように強固なシ
ャンク端で最も鋭く、これらのフルートを回転中に歯根
管壁から容易に離すことができるようにすることによっ
て、先端がくっついたときに起こるやすりの破損を阻止
するように、小径で壊れ易いやすりの先端近くで最もな
まくらにする。
【0036】テーパした成形やすりを湾曲した歯根管で
使用する場合の機能上の安全性は、合金ニッケル−チタ
ニウム(ニチノール)の使用により高められる。この特
殊な合金は、その結晶格子構造の、応力によって誘導さ
れた相転位(phase-transformation)によって、超弾性(s
uperelasticity) の特徴を有し、大径のニチノールやす
りによって、ステンレス鋼では不可能であった歯根管の
湾曲に亘って加工を施す。本システムの一つの特徴で
は、ニチノールの弾性記憶により、製造プロセス中にや
すりの湾曲を予め設定することができる。この金属でで
きたやすりを加熱したり冷却したりすることによって、
所望の形状が「思い出される」ように種々の湾曲を金属
に形成でき、やすりは、歯根管の湾曲していない冠側部
分で真っ直ぐにでき、やすりの先端が更に深く移動し歯
根管の湾曲の尖端に到ったとき、反曲させる。やすりの
安全縁部に向かって差し向けられた予め設定されたやす
りの屈曲部は、変形ヘドストロム−フルート付きテーパ
やすりに加えられたとき、ニチノール製のこの成形器具
は、歯根管の湾曲の内側をその非切削側で自動的に探
し、これによって横方向穿孔を難なく回避する。
【0037】更に、本システムは、本発明のやすり用の
ハンドルの形状を改善する。標準的なやすりハンドル
は、従来は、狭幅の胴部及びハンドルの両端にある拡径
部分を有する。これは、やすりの従来の使用での押し引
き動作に適応するためである。本システムによるハンド
ルは、一端が従来のやすりハンドルの胴部よりも小径で
あり、やすりがハンドルに埋設されたやすりのシャンク
近くの従来の直径よりも大きい部分までテーパしてい
る。やすりが尖端方向に差し向けられた回転力で切削す
るように設計されているため、このハンドルの形状は、
オペレータの快適さを高め、元来の歯根管の廻りの歯根
構造に所望の形状を切り込むのに必要な力を減少する。
この「洋梨形状」ハンドルは、尖端方向に差し向けられ
た切削運動で使用される標準ISO K−型やすりの使
用を高める。
【0038】本システムの重要な特徴は、灌注カニュー
レ、紙点、充填材料及び器具、及び拘束ポストからなる
固有の組を提供する。これは、対応する成形やすりの形
状、及びかくしてこれらのテーパやすりで形成した予め
決定した歯根管窩洞と関連している。本発明のシステム
は、可変テーパを持つ成形やすり及び同じテーパを持つ
器具及び材料からなる組を有する。0.06mm/mmのテ
ーパを持つ成形やすりによって形成した歯根管は、これ
以上の考慮を払わなくても、同じ形状に製造された器具
及び材料を用いて円錐体を装着し、乾燥され、緊塞さ
れ、修復され、これによって、安全性、使用の容易さ、
及び歯内治療学の臨床的実践の結果が高められる。
【0039】本システムは、更に、歯根管を一回の疎密
波で下方に詰め込み且つ埋め戻すのに可変テーパを持つ
電熱充填器を使用する緊塞技術を含み、これは、技術的
な複雑さ及び従来の加熱グッタペルカ垂直圧縮技術(Ver
tical Condensation of warmGutta Percha technique)
で必要とされる器具の数を大幅に減少する。このような
技術の一つが、従来の手段によって成形され且つ円錐体
装着された歯根管で使用されるようになっており、他の
技術は、可変テーパを持つ成形やすりで形成した予め構
成した窩洞で使用されるようになっている。第1の場合
には、器具の番手を順次落とすことによって、所与の歯
根管にテーパ形状を与えその後、標準化されていないグ
ッタペルカ円錐体を歯根管に装着し、歯根管が乾燥した
後にシーラーで固める。加熱グッタペルカ垂直圧縮技術
で必要とされるように、標準的な、テーパのない電熱キ
ャリヤ5充填器、及び4つ又は5つの疎密波を使用する
代わりに、本システムの連続疎密波技術(Continuous Wa
ve of Condensation technique) は、同じ質の結果を得
るのに単一のテーパした電熱充填器、及び予め装着した
グッタペルカ円錐体を通した熱充填器の一回の移動を必
要とする。この技術の鍵は、電熱キャリヤを充填器とし
て使用すること、及びこの組の熱充填器が、テーパした
歯根管窩洞に装着された標準化されていないグッタペル
カ点と同じ形状を持つということである。概括的に述べ
ると、臨床医は、歯根管窩洞よりもテーパが僅かに小さ
いグッタペルカ点を装着する。従って、グッタペルカ点
と同じテーパを持つ熱充填器は、定義として前記歯根管
形状に装着される。
【0040】本システムの他の実施例では、電熱充填器
は、可変テーパを持つ成形やすりと同じか或いはほぼ同
じ形状を有する。これは、更に理想的な緊塞の結果をも
たらす。これは、歯根管形状がこの成形方法によってそ
の長さに亘って更に精密に制御され、これによって歯根
管形状と熱充填器が更に正確に整合するためである。こ
れらの充填器が予め構成した歯根管形状とぴったりと合
うため、熱によって軟化したグッタペルカ及びシーラー
セメントは、主歯根管から分岐した横道即ち副道を充填
するその性能を更に効果的に発揮する。熱充填器は、柔
らかくしたグッタペルカを通して移動するとき、最終的
には歯根管の末端の手前で歯根管にくっつき、下方への
詰め込みが完了する。熱充填器の先端直径が下方への詰
め込みのこの尖端点を決定し、これは、歯根管の末端の
3mm乃至5mmで終端するように選択される。
【0041】この充填技術の第2部では、下方への詰め
込みの完了後に残る空所と整合する予め形成したグッタ
ペルカ埋め戻しプラグ及び別の電熱キャリヤ/充填器装
置が提供される。この電熱キャリヤ/充填器装置は、埋
め戻しプラグを熱で軟化させ、これを歯根管の冠側部分
に詰め込む。形成時には、狭幅の熱キャリヤの先端を充
填器の先端を越えて延ばし、これを埋め戻しプラグの溝
即ち通路に挿入し、その後、熱を短時間加えてプラグを
埋め戻し装置に融着する。次いで、この装置をこれに取
り付けられたグッタペルカプラグとともに空の歯根管領
域内で冷却し、加熱サイクルの開始時に熱キャリヤの先
端をプラグから引抜き、これと同時に充填器を使用し
て、柔らかくなっているプラグを歯根管空間に押し込
む。
【0042】
【実施例】図1に、顎の骨12に配置された切歯10が
示してあり、この切歯は、顎(図示せず)の内部側で歯
10の側部に切り込んだ開口部14を有する。歯10
は、骨12にしっかりと固定されている歯10の先端ま
で延びる神経管16を有する。
【0043】図2は、やすり20を支持するハンドル2
2を有する従来のK型やすり20を示す。やすり20の
フルートの長さはXであり、シャンクの直径はYであ
り、先端の直径はZである。この種の標準的なやすりで
は、X=16mm、Y=0.32mmであり、Zはやすりの
大きさに従って変化し、最も小さなやすりについては
0.06mmであり、最も大きいやすりについての1.4
mmまで増大する。やすり20は、先の尖った先端24を
有する。これは、一連の連続したやすりの各々の直径が
先端のところで大きくなっているために必要とされる。
【0044】図3は、歯根管16に挿入したやすり20
を示し、歯根管は、図1に示した状態から拡大してあ
る。従来技術のやすりについては、上文中に論じたステ
ップ−バック技術が使用され、徐々に大きくなるやすり
が歯根管16内に薄く薄く挿入される。歯根管16に沿
って歯根管16の先端近くに附した番号は、種々の大き
さのやすりの最大挿入限度を示し、10番乃至60番
(先端の直径が0.10mm乃至0.60mm)の大きさの
やすり使用される。最少でも9本乃至11本のやすりが
必要とされ、一般的には、15本乃至17本の器具が使
用される。
【0045】図4は、臼歯32の歯根管30に挿入した
やすり20を示す。歯32の咬合面にやすり20を入れ
るための穴34が設けられている。やすり20は、大き
過ぎるため及び十分に湾曲していないため、参照番号3
6を附した箇所で、湾曲した歯根管30を穿孔してしま
う。適正な反湾曲運動を使用することによって歯根管3
0の外側湾曲に抗してやすり20が引かれない場合にも
穴が穿たれてしまう。
【0046】更に、図4では、やすり20の先端24が
歯根管30を残し、歯根管30の外側y軸に沿ってレッ
ジを切る。連続やすりもまたレッジに捕捉され、歯根管
30を適正にきれいにしたり形成したりしない。本発明
は、歯根管に穴が穿たれること及びレッジング(ledgin
g) の両方をなくし、更に、歯根管手術を迅速に且つ容
易に行えるようにする。
【0047】図5は、歯根管30に進入するための穴3
4が設けられた臼歯32を示す。やすり20の代わり
に、動力ヘッド38によって駆動されるゲート−グリッ
デンバー37が、歯根管30に作用を及ぼしている状態
で示してある。バー37は、参照番号36で示す位置で
湾曲した歯根管30を穿孔した。
【0048】図6は、加工部分56で終端するシャンク
が取り付けられたハンドル52を持つ本発明のテーパし
た賦形やすり50を示す。ハンドル52は、安全引き戻
しループを挿入するための貫通穴58を基端近くに有す
る。シャンク54の直径Aは、第1フルート62の最大
直径Bよりも僅かに小さく、移行ランド66が第1フル
ート62と小径のやすりシャンク54との間を延びてい
る。加工部分56は複数のフルートを有し、各フルート
には、第1フルート62からの距離に従って直径及び鋭
さが減少し、ピッチが増大する切り刃が周囲に亘って設
けられている。先端64は滑らかで切り刃を持たず、そ
の直径Cは最後のフルート60の直径よりも僅かに小さ
く、この最後のフルート60は、ランド65で先端64
に繋がっている(図9参照)。
【0049】本明細書中に説明した成形器具のうちの任
意の成形器具又は全ての成形器具は、図11に示すよう
に、ラッチ−グリップシャンク81に取り付けることが
でき、歯科用ハンドピースで作動されるが、図6には、
二つの向き合った平らな表面76と84との間に示して
ある形状に形成した本発明の好ましい実施例のハンドル
52が示してある。平らな表面の直径は2mmである。ハ
ンドルは、表面76との境界から滑らかな湾曲した領域
78を通って箇所80でのその最大直径6mmまで拡大す
る。最大直径80と基端84との間の区分82では、ハ
ンドルは直線的にテーパし、複数のテーパ溝83が全体
に亘って刻んである。最大直径80での横方向平面は、
平らな表面76から2mmの間隔を隔てられており、最大
直径80の平面と基端84との間の距離は8mmであり、
ハンドル52の全長は10mmである。溝83及び刻みの
付いたテーパ区分82の形状により、使用者の親指と人
指し指で摘むための面積が大きくなり、やすりを歯根管
内に尖端領域に向かって移動させるときにやにトルクを
加え易くする。このハンドル52の形状を、尖端方向に
差し向けられた反時計廻り方向回転切削作用でなく、押
し引き切削運動及び1/4回転引き切削運動を行うよう
に設計された、図2の従来のやすり20のハンドル22
の形状とを比較する。
【0050】図6に示す実施例の直径Bは1mmに等しい
が、シャンク54の直径の寸法Aは0.95mmである。
シャンクの直径Aを第1フルート62の直径Bよりも僅
かに小さくすることによって、やすりのシャンクが歯根
管にくっつかないようにする。しかしながら、シャンク
54の直径が第1フルート62の直径よりも小さ過ぎる
場合には、やすりが移行箇所で弱くなり、最も大きいシ
ャンク端フルートが、図13のAでわかるように、歯根
管の元来の行路を運び去ってしまう。図7のA及び図1
3のBに示す、第1フルート62からシャンク54まで
延びる移行ランド66は、やすりを歯根管内で案内する
のを助け第1フルートが形成行路から外れることを制限
する。
【0051】図7のBは、やすりの切削フルートとは別
体のシャンク案内体68を備えた変形例を示す。このシ
ャンク案内体の実施例は、最も大きいフルートから所定
距離69だけ間隔を隔てられており、やすり削り法の実
施中に歯根管の壁から切除された歯粉を集めるための切
粉空間を構成することができる。シャンク案内体の直径
は所与のやすりの最も大きいフルート62の直径よりも
ほんの僅か小さく、そのため、器具が歯根内を更に深く
前進するとき、図13のCでわかるように、形成した歯
根管壁にくっつくことなく、最も大きい切削フルートを
案内できる。
【0052】図6では、シャンクの長手方向軸線に対す
るフルートの角度は、鎖線70が示す角度αと破線72
が示す角度βとの比較により明らかなように、やすりの
長さに沿って変化する。かくして、大径のシャンク端に
近いフルートの角度はリーマと同様であり、これに対
し、やすりの先端でのフルートの角度は、K型やすりの
フルートの角度に近い。図6に示したようなやすりのフ
ルートは、やすりが実質的にその柄付近で切削するが、
その先端付近では柄部分程には切削しないようにする、
経過的な形状を有する。このようなやすりは、やすりか
らやすりへと変化する互いに異なる断面形状を有し、か
つ、これらのやすりの断面形状はやすりの異なる先端で
も変化する。例えば、図8−8A及び図8−8Cでは、
これらの2つのやすりの最大フルート62は三角形の断
面形状を有する。図8−8Bは第1のやすりの最小フル
ート67の断面形状を示す。これは3つの部分的な円周
セグメントを有し、各円周セグメントはU形状に類似
し、図25−B及び図25−Dに示した断面形状136
に類似する。第2のやすりとして図8−8Bに示した最
小フルート67は6辺形の断面形状を有し、このやすり
は最大フルート62(図8−8A)の三角形の断面形状
から変化したものである。図8−Eは第3のやすりの断
面形状を示す。この第3のやすりは強化レーキ角度を備
えた最大フルート62を有し、図8−Fの最小フルート
67の三角形断面形状に移行する。この最終形状は、シ
ャンク端が先端よりも鋭いやすりを提供する。
【0053】このフルート設計は、従来は15個乃至1
8個の器具を用いて形成していた歯根管形状を単一の成
形器具を使用して形成する場合に遭遇する二つの重要な
問題点に対して回答を与える。この種の器具を最適に機
能させるためには、切削効率を高め、シャンクの大径端
での可撓性を高め、及び脆性の高いやすり先端での強度
を最大にすることを必要とする。幸運なことに、歯根管
をテーパ状に形成する目的は、尖端で除去される象牙質
が少ないということを必要とし、従って、成形やすりを
最適のテーパを持つようにに設計することは、尖端での
切削効率を追加の強度の犠牲にすることができる。図6
のやすりのK型フルート角度がこれを提供する。
【0054】この実施例では、フルートのピッチは、最
も大径のフルート62の近くでは0.5フルート/mm
(2mmに一つのフルート)であり、先端64の近くでは
2フルート/mm即ち2mmに四つのフルートである。図6
の実施例では、シャンクでのフルートピッチと先端での
フルートピッチとの比は4である。やすりの加工部分に
沿った任意の箇所でのフルートピッチの、先端でのフル
ートピッチに対する比として定義されたフルートピッチ
比は、やすりの加工部分の長さに沿って線形に減少す
る。かくして、図7及び図8の実施例では、フルートピ
ッチ比の値は、シャンクでの4から先端での1まで線形
に減少する。所望であれば、やすりの他の組について他
の比を選択できるが、フルートピッチ比はシャンクから
先端まで直線をなして減少するのが好ましい。
【0055】同様に、切削フルートの鋭さはシャンクか
ら先端まで減少し、先端近くの切削フルートが歯根管の
壁を捉える機会を小さくするのがよい。やすりは、回転
切削運動で使用されている場合、切削フルートが歯根管
の壁を捕捉すると容易に破損してしまう。その結果、更
に多くの象牙質を除去する必要のあるシャンク端フルー
ト近くの切削効果が向上する。やすりの直径及び強度
は、シャンク端フルート近くで最も大きい。切削フルー
トは、ブレードの「U溝の深さ」を増大させること(図
8のA及びB参照)、フルートのエッジの半径を徐々に
漸増させること(図8のC及びD参照)、又はフルート
のすくい角を変化させること(図8のE及びF参照)を
含む多くの手段でなまくらにすることができる。
【0056】図9は、やすり先端の拡大図である。やす
りは、なまくらな即ち丸味を付けた先端64までテーパ
している。僅かに小径のなまくらな先端がやすりの切削
フルートに繋がるとき、切削機能を持たない先端は、ラ
ンド65に移行し、最終的には、鋭いフルート60に繋
がる。先端がなまくらになっているため、尖端のレッジ
ングが阻止され、移行ランドは、成形中の歯根管尖端部
の輸送を阻止する。これらは、歯根管の全体形状を形成
するのに単一のやすりを使用する場合に重要な特徴であ
り、象牙質を冠側で大きく切除すると、臨床医はやすり
先端の機能を触覚で気づくのが少なくなる。以下に説明
するように、やすりの先端の直径は、やすりテーパの大
きさに関わらず一定であるか、或いはやすりのテーパの
大きさに従って変化する。
【0057】図10は、尖端に向かって逆の回転でやす
り掛けを行うため逆方向に螺旋をなした切削フルート5
7を持つ図6及び図9のやすりを示す。多くの歯科医
は、ハンドピースを時計廻り方向で使用し、やすり掛け
を通常は時計廻り方向で行うため、この実施例に示すよ
うにフルートの方向が逆になっていると、臨床医はハン
ドピースのやすり又は手動式やすりを時計廻り方向に回
転させることができ、やすり掛け運動を尖端に向かって
逆の回転で行う利点が得られる。
【0058】図11は、ラッチ−グリップ式低速ハンド
ピースアタッチメント81に取り付けた図6及び図10
のやすり50を示す。しかしながら、これらのやすりに
は、特別に設計した歯内治療用ハンドピースによって受
入れられるようになった図2に示す指ハンドル22及び
図6に示す指ハンドル52の夫々を含む任意の種類のハ
ンドピースアタッチメントをによって機械式ハンドピー
ス、音響ハンドピース又は超音波ハンドピースによって
動力を効果的に与えることができる。
【0059】図12のA及びBは、本発明のハンドル5
2が装着してある一組の二つの標準的なISOテーパや
すり20を示す概略図である。歯根管形成器具が力のバ
ランスのとれた状態で切削運動を開始すると、臨床医は
象牙質を切除するためにやすりを歯根管から引き出すこ
とはない。反時計廻り方向切削運動を使用する場合、や
すりは、象牙質切除中に歯根管内に案内されるだけであ
り、一般的に使用されている標準的な砂時計型ハンドル
を効果的でなくする。標準的なハンドル22は、回転切
削運動において大きな梃の作用を得るには狭過ぎ、ひど
い場合には、1時間余りに亘ってしっかりと保持した
後、最も不快になる。ハンドル52(図6及び図12参
照)は、十分に広幅であるため容易に回転させることが
でき、成形やすりに強い尖端力を加えるときに快適に保
持できる。
【0060】図13のAは、湾曲した歯根管壁を末端シ
ャンク端フルート62で切骨が起こる可能性を示す。図
6に示すように、これらのやすりのフルートを備えてい
ないシャンク54は、切粉空間を構成するため、及び歯
根管の湾曲にくっつかないようにするため、末端シャン
ク端フルートよりも僅かに小さい。図13のB及びCに
示す特徴は、切骨をなくし、滑らかで連続した歯根管の
形状を維持する二つの変形例の設計を示す。図13のC
は、末端フルート62が歯根管湾曲の周囲を切削すると
きにこの末端フルートを支持するため、末端フルート6
2から所定距離69のところでやすりのシャンク54上
に位置決めされた案内リング68を示す。
【0061】図14及び図15は、二つの一連のやすり
50を示す。これらのやすりは、加工部分56でのフル
ートのテーパの長さ及び加工部分の長さが異なるという
ことを除くと、二つの図における対応するやすりのテー
パが同じである。図14及び図15で明らかなように、
図示のやすり50A及び50Eの加工部分56のフルー
トのテーパは、やすり50D及び50Hに示すテーパよ
りも小さい。図15では、やすり50Hの加工部分56
はやすり50Eの加工部分よりも短く、これによって、
最も大きいシャンク端切削フルートの直径を制限し、フ
ルートの長さが一定の図14に示すやすりを改善する。
【0062】図16と図17とを比較することによって
わかるように、歯根管形態が異なると、最終的な窩洞形
状における尖端テーパを変える必要があるが、大多数の
歯根管は、歯根管の冠側部分を或る程度拡大するだけで
よいということが臨床的な診療及び研究から決定され
た。歯根管の全長に亘って単一のテーパ率をつくること
は不必要に困難であるばかりでなく、歯根構造を不必要
に弱くしてしまい、図16でわかるように湾曲した歯根
を拡大し過ぎることによる穿孔の危険がある。
【0063】図18のA、B、及びCは、ISOテーパ
以外のテーパを持つ一連のやすり90を示す。これらの
やすりのテーパは同じであるが、最大直径92、94、
及び96が異なっている。これらの変形例は、種々の幅
を持つ歯根の治療を行う場合に有用であり、狭幅の歯根
及び平均的な幅を持つ歯根については、やすり90A及
び90Bの夫々が適当であり(図19のA参照)、やす
り90Cは、広幅の歯根に適している(図19のB参
照)。更に、このやすりの組は、図20のA、B、及び
Cでわかるように、歯根管を順次拡大するために同じ歯
根で順次使用してもよい。
【0064】図21は、可変テーパを持つ一連のヘドス
トロムやすり100を示す。各やすりには安全縁部10
2が付けてあるが、テーパが増大するに従ってフルート
の長さ104を短くするという追加の安全策も講じられ
ている。これは、図16及び図17と関連して論じた理
由により、重要な変形である。
【0065】図22は、ISOテーパを持つ一連のやす
り110が示してあり、これらのやすりのフルートの長
さは先端の直径が大きくなるに従って徐々に 短くなっ
ている。
【0066】図23は、可変テーパやすり120の組を
示し、これらのやすりは、先端の直径が同じであるか或
いはほぼ同じであり、テーパが各やすりから次のやすり
まで比例して100%増大している。例えば、やすり1
20Aのテーパは0.05(mm/mm)であり、やすり1
20Bのテーパは0.1であり、やすり120Cのテー
パは0.2であり、やすり120Dのテーパは0.4で
ある。これによって、小さな範囲のテーパで歯根管の形
態を大きく変化させることができる。
【0067】図24は、ISOテーパ以外の単一のテー
パを持つ一組のやすり130を示し、これらのやすり
は、先端の直径が比例的に大きくなるに従ってフルート
長さが徐々に短くなっている。この例では、先端の直径
が1つのやすりから次のやすりまでで二倍になってお
り、やすり130Aの先端直径は0.15mmであり、や
すり130Bの先端直径は0.3mmであり、やすり13
0Cの先端直径は0.6mmであり、やすり130Dの先
端直径は1.2mmである。これによって、歯根を削り過
ぎによって弱くすることなく、歯根管形態の広範な変化
に対応するための更に小型の器具の組を提供できる。
【0068】図25のAは、ISOテーパ以外の同じテ
ーパを持つ図24に示すやすりと同様の、「U」ブレー
ドやすりの組の単一の「U」ブレードやすりを示す。先
端の直径は、比例増分だけ変化する。
【0069】図26のA乃至Eは、07/01、10/
02、12/03、15/04、及び17/05の表示
番号を付けた探りやすり140からなる組を示す。最初
の番号は、先端の直径に対応し、やすり140Aについ
ての0.075mmからやすり140Eのついての0.1
75mmまで0.025mmの増分で増大する。各やすりの
フルート長さは16mmである。フルートの最大直径は、
やすり140Aについての0.235mmからやすり14
0Eのついての0.975mmまで比例的に増大する。テ
ーパは、0.01mm/mmのテーパを持つやすり140A
から0.05mm/mmのテーパを持つやすり140Eまで
0.01mm/mmの増分で増大する。先端の直径及びテー
パの増大を、増大するやすりの大きさとこのように組み
合わせることによって、大きいやすりを用いて冠側を拡
大した後、多くの場合に曲がりくねっているという特徴
を持つ歯根管末端を探る場合に最大の触覚応答を提供す
る0.075mmのやすりに移る前に、閉塞した石灰化し
た歯根管を見つけてこれに進入しようとする場合に必要
とされる0.15mmのやすりの剛性を最っとも適当にす
ることができる。図26の組の探りやすり140を用い
る所期の方法は、最初に穿孔を行うのに適した大きいや
すりで開始し、次いで、最初に形成した開口部をきれい
にした後、尖端領域に加工を施すのに適した小さいやす
りに移る。
【0070】図27のA乃至Eは、本発明の特徴に従っ
て予成形したやすり150の概略図である。やすり15
0は、ニチノールと呼ばれるニッケル−チタニウム合金
で製造される。この合金は、「記憶」を持つ金属であ
り、ひとたび賦形すると所与の形状を保持する能力を有
する。やすりをニチノールで製造した後、先端を好まし
い程度の湾曲を持つように強化部材152で成形し、焼
鈍工程中、その形状に保持する。これによって、湾曲の
「記憶」をやすりの端部の近く又は全長に亘って付け
る。やすり150は、その長さの最初の2/3について
は超可撓性であるが、特に、歯根が比較的曲がりくねっ
て湾曲しているか或いは捩じれている場合、端部にフッ
クが設けられているため、歯根管の尖端領域内にやすり
を下方に案内するのが容易である。これらのやすり15
0は、図2に示すやすりようなISOテーパを持つやす
りに関して本明細書中に開示した可変テーパに従って組
をなして提供されるようになっており、或いは、図2
2、図24、及び図25のA及びこれらの図の対応する
記載に示してあるのと同様のテーパを備えたISOテー
パ以外のテーパを持つやすりの組をなして提供されるよ
うになっている。更に、やすり150の組は、組の間
で、又は一つの組の一つのやすり毎に湾曲の度合いが異
なっていてもよい。かくして、予め設定された第1の湾
曲を持つやすり150の組、及び別の予め設定された湾
曲を持つやすり150の別の組、及び任意の所望の湾曲
即ち形状と対応する形状が予め付けてある追加の組が提
供される。
【0071】図27のFは、なまくらの切り刃153を
一方の側に沿って有するやすり151を示す。やすり1
51はニチノール製であり、図27のA乃至Eのやすり
と同様に予め湾曲が付けてあるが、製造プロセス中に記
憶に組み込んだ湾曲は、そのフルートのブレードに亘っ
て延びている。安全縁部を持つやすりのこの形態は、フ
ルートの非切削側が湾曲した歯根の内側を自動的に辿
り、これによっれ、穿孔が起こらないように更に保護す
る。
【0072】図29乃至図33は、図28のA及びBの
やすり50のような、対応する形状のやすりとともに使
用されるようになった、本発明のシステムにおいて歯根
管の形成及び充填を行う際に使用される種々の器具を概
略に示す。(図28のBのやすり50のフルートは、図
28のAのやすりとは逆に反時計廻り方向に形成されて
いるということに着目されたい。)これらの器具の各々
は、上文中に説明したような可変テーパやすりの組と対
応する一つの組をなして提供されるように設計されてい
る。
【0073】図29は、シャフト202がヘッド204
に取り付けられた灌注カニューレ200を示す。カニュ
ーレ200は中空ボア206を有する。シャフト202
には、箇所208で始まって小さな先端210で終端す
るテーパが付けてある。このテーパした形状は、流体を
歯根管の長さに亘って流すのを促し、灌注流体を歯根管
の端部で浄化するための、現在利用できる灌注カニュー
レよりも効果的な方法を提供する。横方向開口部212
は、灌注流体を歯根管の尖端領域内に差し向けて、やす
り50のような(図6及び図12参照)一組のやすりを
使用して発生した破片を除去できるようにするため、中
空ボア206と連通している。一組の可変テーパカニュ
ーレが50のような可変テーパやすりに合わせて提供さ
れる。
【0074】図30のAは、歯根管を乾燥させるのに使
用される紙点220を示す。紙点220は、やすりと同
様に、上文中に説明したように形成され、箇所222で
始まって小さな先端224で終わる対応するテーパを有
する。やすり50のような(図6及び図12参照)可変
テーパやすりに合わせて一組の紙点220が提供され
る。
【0075】商業的に入手可能な紙点は、必ず白色であ
る。しかしながら、着色した、好ましくは、濡れると色
が変わる性質を持つ薄い中間色を付けた紙点を使用する
ことによって特定の利点が得られるということを発見し
た。白色の紙点は、濡れたときの色の変化が顕著でな
い。しかしながら、着色した紙点は、歯根管をその末端
まで開存状態に保持する場合に歯根管の長さを表示する
性能を持っている。このような場合には、紙点は、歯根
管の末端を越えて挿入でき、歯に対して尖端側にある顎
の組織によって濡らされる。歯根管が完全に乾燥してい
ない場合の自然の表示でもある。サーモンピンクに着色
した、水色に着色した、ベージュに着色した、及び薄い
緑色に着色した紙点で良好な結果が得られた。このよう
に着色した紙点は、濡れたとき、明確に認識できる色彩
の変化を呈する。かくして、紙点220は、本発明の好
ましい実施例では、薄い緑色、サーモンピンク、水色、
及びベージュからなる群のうちの一つの色彩に着色され
ているものと考えることができる。
【0076】図30のBは、グッタペルカ点230を示
し、これは、箇所232で始まって小さな点234で終
わる上文中に説明したやすりと対応するテーパを有す
る。紙点220を使用して歯根管の内部を乾燥させた
後、グッタペルカ点230を尖端領域に押し込んで押し
固め、歯根管の尖端領域を充填する。シャンク端がテー
パしていないということに着目することが重要である。
これは、図28のAに示す対応するやすりのフルートの
最大直径に対応する。
【0077】図32のAは、グッタペルカ緊塞キャリヤ
240を表し、このキャリヤには、グッタペルカ充填材
246が装着してある。キャリヤ240は上文中に説明
したようにテーパしており、このテーパは、対応する箇
所242で始まって先端244でのその終端部まで連続
している。従来の緊塞キャリヤは、シャンクから先端ま
で滑らかにテーパしていた。上文中に説明したやすり5
0の組の形状に合わせて一組のこのようなキャリヤが提
供される。しかしながら、この実施例の変形例では、図
28のAのやすり50に設けられたフルート60と螺旋
の方向以外は本質的に同じフルートがテーパ部分に沿っ
て設けられた緊塞キャリヤが提供される。図32のB
は、箇所242と先端244との間のこのようなフルー
ト領域を概略に示すものであるということは理解されよ
う。フルートが設けられた領域では、フルートは、キャ
リヤ240' の基端から見て反時計廻り方向に螺旋をな
している。この緊塞キャリヤは、図28のA及びBのや
すりと同じ形状を有する。このキャリヤは、グッタペル
カを熱で可塑化するため、予め装着したグッタペルカ円
錐体とともに使用でき、或いは、予め加熱したα相のグ
ッタペルカ及び/又はβ相のグッタペルカでキャリヤを
コーティングしこれを歯根管に運び込んでもよい。キャ
リヤのハンドピースを操作することによってキャリヤを
この歯根管から取り出し、歯根管を材料で充填された状
態にする。
【0078】最後に、図33は、上文中に説明したよう
にテーパした拘束ポスト250を示し、このポストのテ
ーパは、箇所252で始まってその末端254まで連続
している。端部254は、カニューレ200、紙点22
0、及びグッタペルカ点230について図示したのとは
異なり、先が尖っていない。これは、テーパ長さが他の
器具よりも短いためである。拘束ポスト250は、歯根
管の末端の手前の所定位置で歯根管内に固定されるよう
に設計されている。
【0079】図34は、本発明に従って変形した熱キャ
リヤ/充填器工具260の概略図である。この工具26
0は、ハンドピース262(外形を鎖線で示す)にこの
工具を緊結するためのチャック264(これもまた外形
を鎖線で示す)を持つハンドピース262に取り付けら
れた状態で示してある。
【0080】熱キャリヤ/充填器260は、延長したテ
ーパ端266で終端する直線状区分に繋がる箇所Aの近
くにグースネック屈曲部を有する。圧縮部分265はス
テンレス鋼製であり、中空コアを有し、電気回路に接続
するため、導線(図示せず)が中空コアを通って延びて
いる。回路を賦勢すると、この充填器とともに使用され
るグッタペルカ材料を軟化させるため、抵抗が比較的高
い材料であるステンレス鋼製の加熱器265がそのまさ
に先端で熱を発生する。
【0081】歯根管をグッタペルカ材料で単一の疎密波
で充填する上で、本発明を実施する上で使用した場合、
現存の熱キャリヤ/充填器工具は中央部が曲がる傾向が
ある。工具260の背部に箇所AとBとの間で線270
に沿って溶接又はハンダ付けされた薄いステンレス鋼製
の支持部材268を提供する。支持部材268の箇所B
とCとの間の領域の形状は、ハンドピース262のチャ
ック264のノーズの形状とぴったりと一致している
が、これに取り付けられてはいない。これによって、工
具260のシャンクを緊結したり緩めたりするときにチ
ャック264を回転させることができると同時に、工具
が使用中に与えることのできる程度を制限する。これ
は、僅かに曲がると支持部材268Cの隣接した表面が
チャック264のノーズと接触し、これ以上曲がらない
ようにするためである。
【0082】図35は、図34の熱キャリヤ/充填器工
具260の二つの態様を示し、これらの態様は、対応す
るグッタペルカ円錐体と夫々対応する。参照番号Aを附
した対では、グッタペルカ円錐体は、現在使用されてい
るグッタペルカ円錐体の従来のテーパを有する。熱キャ
リヤ/充填器260Aには、従来のテーパと対応するテ
ーパが設けられており、これによって、工具を単一の疎
密波で歯根の尖端領域内に又はその近くに挿入すること
ができる。図35に参照符号Bで示す対では、グッタペ
ルカ点は図30のBのグッタペルカ点230と同様であ
り、テーパは箇所232で始まって小さな点234まで
延びている。熱キャリヤ/充填器260Bのテーパ部分
266は、箇所267で始まり、グッタペルカ点230
のテーパ部分と対応する。本発明の歯根管充填法での熱
キャリヤ/充填器260の使用を図36に概略に示す。
【0083】図36は、充填工程前に予め形成した歯根
管の形状と対応するテーパを持つ熱キャリヤ/充填器2
60を示す。このテーパは、他の成形やすりを使用して
形成された従来のテーパしたグッタペルカ円錐体ととも
に使用するための工具260Aと対応していてもよい
し、グッタペルカ点230(図35参照)の末端部分の
テーパに相当する、工具260Bの末端部分266のテ
ーパを有してもよい。図36のAに示すように、グッタ
ペルカ点は、歯根管に一杯に挿入してある。熱キャリヤ
/充填器260の先端を歯根管頚部領域に挿入し、賦勢
して軟化し、加熱した先端要素265を歯根管内のグッ
タペルカ材料を通して移動させる。工具260は、歯根
管内に更に深く移動するときに圧力を発生し、この力に
よって、軟化したグッタペルカ材料及びシーラーセメン
トが歯根管の横方向枝部274に押し込まれる。最後
に、図36のCに示すように、熱キャリヤ/充填器26
0を引抜き、歯根管の横方向枝部274及び尖端部分を
緊塞材料で充填され且つシールされた状態にする。
【0084】図37のA乃至Dは、テーパした熱キャリ
ヤ/充填器工具300を示す。この工具は、これらの図
では、予め装着したグッタペルカ円錐体246を軟化
し、これを連続した疎密波で下方に詰め込むのに使用さ
れた状態で示してある。図37のAは、グッタペルカを
加熱し歯根管に押し込むための準備で圧縮シース304
内に引っ込められた電熱キャリヤ/充填器工具302を
示す。図37のBは、高温状態の熱キャリヤの歯根管内
への第1の移動を示す。この工程では、工具は、圧縮シ
ースが歯根管にそのオリフィスの高さでくっつくまでグ
ッタペルカ円錐体に熱いままの状態で挿入され、かくし
て、最適に制御された液圧圧縮力を熱で軟化したグッタ
ペルカに及ぼし且つ粘度の低いシーラーを歯根管の壁に
作用させるために内部に設けられた閉鎖システムに必要
な二次シールを形成する。図37のCは、熱キャリヤ/
充填器工具302を圧縮シース304の外に延ばしたと
きの、歯根管内への第2の移動を示す。グッタペルカ及
びシーラーは加熱され且つ歯根管システムの全ての寸法
に合わせて塑性変形される。図37のDは、延ばした熱
キャリヤ/充填器302歯根管の尖端近くの外に出した
後の歯根管からの工具300の引抜きを示す。柔らかく
てくっつき易い余分のグッタペルカ及びシーラーは、工
具に付着して歯根管から取り出される。歯根管は、図2
8乃至図33に特定した種類の拘束ポストを配置する準
備のできた状態、即ち、図38に示す工具及び材料で埋
め戻しを行う準備のできた状態で示してある。
【0085】図38は、下方に詰め込んであるがポスト
が配置してない歯根管の埋め戻しを迅速に理想的に行う
ための形体の別の電熱キャリヤを示す。図38のAは、
予め形成したグッタペルカプラグ230を示し、このプ
ラグは、歯根管の空の冠側部分の形状を持ち且つ図38
のBの狭幅の電熱キャリヤを導入できるようにするため
の溝即ち穴231を有する。図38のBは、狭幅で平行
な熱キャリヤ322が中空の又はノッチを備えた充填器
324の端部を通って延びる工具320を示す。図38
のCは、埋め戻し工具320に取り付けたグッタペルカ
プラグ230を示し、工具と材料とからなるこの組が歯
根管の空の冠側部分にシーラー326とともに配置され
ていることを示す。図38のDは、熱キャリヤ322で
熱を発生し、グッタペルカプラグ230の端部を軟化さ
せた後の同じ工具/材料組を示す。熱キャリヤの先端3
22を冠方向に引き抜くと、充填器324が尖端方向に
押され、これによってグッタペルカ230をその先端か
ら当接端まで圧縮する。図38のEは、熱キャリヤの先
端322を充填器324内に一杯に引っ込められてお
り、軟化したグッタペルカが固く緊塞された埋め戻しの
終わりを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯の歯根管の概略図である。
【図2】従来のK型やすりの概略図である。
【図3】従来のステップ−バック技術を例示する、図1
の歯根管内への11個の従来のやすりの各々の先端の最
終貫入位置を概略に示す概略図である。
【図4】歯根管の穿孔及びレッジングを特定的に例示す
る歯根管のクリーニング及び成形に使用された図2の従
来のやすりの概略図である。
【図5】ゲート−グリッデンバーの誤用による損傷を例
示することを除くと図4と同様の概略図である。
【図6】本発明による一連の可変テーパ器具の一つを示
す概略図である。
【図7】湾曲した歯根管壁が大径のシャンク端切削フル
ートによって切骨されないように設計した、図6の器具
のフルート−シャンク移行部の二つの異なる形体を示す
概略図である。
【図8】先端近くのフルートが歯根管壁を捉えたときに
やすりの先端が破損しないようにするため、鋭さ及び切
削効率が先端(最もなまくら)からシャンク(最も鋭
い)まで変化する図6の器具のフルートの種々の断面設
計を示す概略図である。
【図9】やすりの端部から僅かに後方で鋭い切削フルー
トと合一するテーパしたランドを示す、図6の器具の丸
味を付けたやすり先端の拡大概略図である。
【図10】時計廻り方向回転運動で尖端方向に差し向け
られた切削を行うことができるように螺旋状切削フルー
トが逆方向に即ち反時計廻り方向に螺旋をなした、本発
明の可変テーパを持つ一連のやすりのうちの一つのやす
りを示す概略図である。
【図11】やすりを臨床医の指で把持されるハンドルの
代わりに低速ハンドピースで使用するためのラッチ−グ
リップシャンクを持つ、本発明の一連の成形やすりのう
ちの一つのやすりのシャンク端を示す概略図である。
【図12】A及びBは、本発明によるハンドルを各々備
えた一組の標準ISOテーパやすりを例示する概略図で
ある。
【図13】A、B、及びCは、湾曲した歯根管壁を末端
シャンク端フルートで切骨する可能性(図13のA参
照)、及び切骨の可能性をなくし滑らかで連続した歯根
管窩洞を維持する本発明の設計の二つの変形例を例示す
る概略図である。
【図14】可変テーパやすりのフルート長さが同じで最
大フルート直径が増大する、本発明によるハンドルを備
えた一組の従来技術のやすりからなる四つの器具の概略
図である。
【図15】各やすりのテーパが大きくなるに従って切削
フルートの長さが漸次短くなることよって、長さ及びテ
ーパの程度に関わらず歯根管窩洞の最大直径を制限す
る、本発明に従って形成された組を構成する四つの器具
の概略図である。
【図16】フルート長さが同じ可変テーパやすりで歯根
が横方向に穿孔される可能性を示す、臼歯及び図14の
やすりの概略図である。
【図17】やすりのテーパが大きくなるにつれてフルー
トの長さが短くなることの利点を示す、臼歯及び図15
のやすりの概略図である。
【図18】同じテーパを持つがシャンク直径が増大し、
そのためフルート長さが異なる4本のやすりからなる組
の概略図である。
【図19】種々の直径の歯根での図18のやすりの適切
な使用を示す概略図である。
【図20】単一の歯根管を順次拡大するための図18の
種々のやすりの一連の使用を例示する概略図である。
【図21】従来技術の安全縁部を備えているが、やすり
のテーパが大きくなるにつれてフルート長さが短くな
る、可変テーパを持つ一組のヘドストロムやすりを例示
する概略図である。
【図22】先端の直径が大きくなるにつれてフルート長
さが漸次短くなる、ISOテーパを持つ一組のヘドスト
ロムやすりの概略図である。
【図23】やすりのテーパが大きくなるに従ってフルー
ト長さが短くなる、可変テーパを持つ一組のK型やすり
の概略図である。
【図24】先端の直径が大きくなるにつれてフルート長
さが漸次短くなる、ISOテーパ以外の単一のテーパを
持つ一組のやすりの概略図である。
【図25】Aは、ハンドピースで使用するように形成さ
れた一組の「U」やすりのうちの一つのやすりの概略図
であり、B、C、及びDは、このやすりの種々の箇所で
の断面を示す。
【図26】先端直径が異なり、テーパが異なっているが
フルート長さが同じ一組の探りやすりの概略図である。
【図27】ニッケル−チタニウム製歯根管やすりに予め
設定した湾曲を賦与すること及びその機能を示す概略図
である。
【図28】図28乃至図33は、ブキャナン歯内治療シ
ステム(Buchanan Endodontic Treatment System)の要素
の特定の組を示す概略図であり、図28のAは、フルー
ト方向が時計廻り方向のISOテーパ以外のテーパを持
つやすりを示す概略図であり、図28のBは、フルート
方向が反時計廻り方向のISOテーパ以外のテーパを持
つやすりを示す概略図である。
【図29】図28の成形やすりのテーパと整合するテー
パを持つ灌注カニューレを示す概略図である。
【図30】Aは、図28の成形やすりのテーパと整合す
るテーパを持つ歯根管乾燥紙点の概略図であり、Bは、
図28の成形やすりのテーパと整合するテーパを持つグ
ッタペルカ充填点の概略図である。
【図31】図28の成形やすりのテーパと整合するテー
パを持つ電熱キャリヤ/圧縮先端を示す概略図である。
【図32】図28の成形やすりのテーパと整合するテー
パを持つプラスチック−金属グッタペルカ充填キャリヤ
を示す概略図である。
【図33】図28の成形やすりのテーパと整合するテー
パを持つ保持拘束ポストを示す概略図である。
【図34】本発明による改良熱キャリヤ/充填器の側面
図である。
【図35】グッタペルカ点の二つの異なる態様と対応す
る二つの異なる態様での図34の熱キャリヤ/充填器の
概略図である。
【図36】歯根管内へのグッタペルカ材料の充填におけ
る図34の熱キャリヤ/充填器の使用を示す概略図であ
る。
【図37】予め装着したグッタペルカ円錐体を軟化さ
せ、これを連続した疎密波で下方に充填し、歯根管シス
テムをシールする際のテーパした熱キャリヤ/充填工具
を示す概略図である。
【図38】埋め戻し装置、これと関連したグッタペルカ
プラグ、及びその加熱及び歯根管の冠側三分の二内への
圧縮を示す概略図である。
【符号の説明】
50 歯内治療用やすり 52 ハンドル 54 シャンク 56 フルート部
分 58 穴 60 最も小さい
フルート 62 第1フルート 64 先端 65、66 ランド 68 案内体 69 所定距離 76 平らな表面 78 湾曲領域 81 ラッチ−グ
リップシャンク 82 テーパ区分 83 溝 84 平らな表面 150 やすり 200 灌注カニューレ 202 シャフト 206 中空ボア 208 テーパ部
分 210 小さな先端 212 横方向開
口部 220 紙点 230 グッタペ
ルカ充填点 231 中空ボア 240 熱キャリ
ヤ 250 拘束ポスト 260 熱キャリ
ヤ/充填器工具 262 ハンドピース 264 チャック 266 先端部分 268 補剛体 270 縁部 320 埋め戻し
工具
フロントページの続き (73)特許権者 595063374 2335 Foothill Lane,S anta Barbara,Calif ornia 93105,United S tates of America (56)参考文献 特開 昭63−59948(JP,A) 特開 昭60−150743(JP,A) 特開 平1−223952(JP,A) 特開 平5−92013(JP,A) 特表 平4−505118(JP,A) スイス国特許出願公開291668(CH, A3) 米国特許出願公開5842861(US,A) 米国特許出願公開5897316(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61C 5/02

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 やすり(50)の組と関連して使用され
    る一組の補助的な器具(200、220、230、24
    0、250、260)であって、前記やすり(50)の
    組は、先端(64)と、テーパしたフルート部分(5
    6)と、シャンク(54)とをそれぞれ有し、歯の歯根
    管を清掃し、成形するための一組の歯内治療用やすり
    (50)を含み、前記組(50E、50F、50G、5
    0H)の前記やすり(50F、50G、50H)のそれ
    ぞれのテーパが、別のやすり(50E、50F、50
    G)よりも大きく、フルート部分が前記別のやすりより
    も短く形成され、前記補助的な器具は、前記やすりによ
    って予めきれいにされ且つ形成された歯根管の仕上げを
    行う、前記補助的な器具の組において、 前記補助的な器具は、それぞれ、灌注カニューレ(20
    0)と、紙点(220)と、グッタペルカ充填点(23
    0)と、電熱キャリヤ要素(260)と、緊塞キャリヤ
    (240)と、拘束ポスト(250)との組からなり、
    それぞれの組の各々の個々の器具は、前記やすりの組の
    対応するやすり(50)の形状と整合するようにそれぞ
    れ形成されていることを特徴とする、補助的な器具の
    組。
  2. 【請求項2】 前記紙点の組の各紙点(220)は、臨
    床医が歯根管の深さを計測できるように、濡れると大き
    く変化するように選択された色相で着色してあることを
    特徴とする、請求項1に記載の補助的な器具の組。
  3. 【請求項3】 前記各紙点(220)は、薄い緑色、サ
    ーモンピンク、水色、及びベージュからなる群から選択
    された色相で着色されている、請求項1又は2に記載の
    補助的な器具の組。
  4. 【請求項4】 前記灌注カニューレ(200)は、中空
    ボア(206)及び小さな先端(210)で終端するテ
    ーパ部分(208)を有するシャフト(202)を有
    し、更に、前記先端(210)から後方に設定された横
    方向開口部(212)を有し、前記横方向開口部は、灌
    注流体を歯根管の尖端領域内に運び込むため、前記中空
    ボア(206)に連通していることを特徴とする、請求
    項1、2、又は3に記載の補助的な器具の組。
  5. 【請求項5】 前記グッタペルカ充填点(230)は、
    少なくともそれらの一部に亘って中空ボア(231)を
    有し、前記中空ボアは、これとともに使用される熱キャ
    リヤ要素(320)の延ばされた先端(322)を受け
    入れ、且つ、前記要素に一時的に付着するように構成さ
    れていることを特徴とする、請求項1乃至4のうちのい
    ずれか一項に記載の補助的な器具の組。
  6. 【請求項6】 前記熱キャリヤ要素(260)は、ハン
    ドピース(262)に設けられた調節自在のチャック
    (264)に固定されるように構成され、前記熱キャリ
    ヤ要素は、前記ハンドピース(262)に設置するため
    のシャンク部分と、前記シャンク部分から細長い先端部
    分(266)まで延びる湾曲形体とを有し、前記先端部
    分は、前記歯根管の前記尖端部分を形成するために使用
    された前記やすりの前記テーパに対応する、予め選択さ
    れたテーパを有し、使用中、前記ハンドピースによっ
    て、尖端方向への力が加えられた場合の前記熱キャリヤ
    要素の湾曲を制限するため、補剛体(268)が前記シ
    ャンク部分に隣接して前記湾曲形体の一部に取り付けら
    れていることを特徴とする、請求項1乃至5のうちのい
    ずれか一項に記載の補助的な器具の組。
  7. 【請求項7】 前記補剛体(268)は、前記ハンドピ
    ースの前記湾曲形体と、前記熱キャリヤ要素に背部に沿
    って整合するように形成された縁部(270)とを有
    し、前記補剛体は、前記縁部(270)に沿って前記熱
    キャリヤ要素の背部に溶接され、更に、前記補剛体は、
    前記シャンク部分に沿って延在し、かつ、前記シャンク
    部分から間隔が隔てられた、別の縁部(B−C)を有
    し、前記縁部は、使用時に前記ハンドピースで支持され
    るように構成されと共に、前記チャンバの調節を可能に
    する隙間を提供するため、前記ハンドピース(262)
    の前記前端の形状と整合するように構成されている、請
    求項6に記載の補助的な器具の組。
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