JP3270314B2 - デイジタル保護制御装置 - Google Patents

デイジタル保護制御装置

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JP3270314B2
JP3270314B2 JP30255995A JP30255995A JP3270314B2 JP 3270314 B2 JP3270314 B2 JP 3270314B2 JP 30255995 A JP30255995 A JP 30255995A JP 30255995 A JP30255995 A JP 30255995A JP 3270314 B2 JP3270314 B2 JP 3270314B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディジタル保護制
御装置に係り、特に、入力変成器を含めたアナログ入力
部のゲイン、位相、オフセット調整を自動的に行うに好
適なディジタル保護制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のデイジタル保護制御装置として
は、電力系統ディジタル保護リレーに用いたものが知ら
れている。この種の装置は、アナログ入力部,ディジタ
ル演算処理部,整定部及び出力部を備えて構成されてお
り、このアナログ入力部は、高調波除去用のアナログフ
ィルタ,サンプルホールド回路,マルチプレクサ,A/
D変換器から構成されている。この装置によれば、アナ
ログ入力信号のうち基本波に重畳した高調波成分をアナ
ログフィルタにより除去し、アナログフィルタの出力信
号を電気角30度(サンプリング周波数600Hzまた
は720Hz)の周期でサンプリングし、アナログ信号
をディジタル信号に変換するようにしている。そして、
このディジタル信号から電力系統の電圧及び電流の大き
さ、またはインピーダンスを求めて保護リレーを動作さ
せている。
【0003】かかる従来のデイジタル保護制御装置にお
いては、電力系統のフルスケール電流や電圧に応じて、
ゲイン調整や複数チャンネル間の位相調整、及びオフセ
ット調整を行う必要があり、これらを自動調整する方法
としては、例えば、特開昭64−3785号公報に記載
のものが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来の自動調整方法にあっては、オフセット調整を行う
際の基準電源と、ゲイン調整若しくは位相調整を行う際
の基準電源とは別個のものを必要とする問題があった。
即ち、オフセット調整に際しては、0Vの直流を入力と
して、最初にオフセットの調整を行い、引き続き、50
Hz若しくは60Hzの交流基準電源を入力として、ゲ
イン調整及び位相調整を行うがあり、調整に時間を要す
るという問題があった。
【0005】本発明の目的は、調整の容易なデイジタル
保護制御装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、電力系統の電気量を示すアナログ信号を
フィルタリングするアナログフィルタ手段と、このアナ
ログフィルタ手段によってフィルタリングされたアナロ
グ信号をデイジタル信号に変換するアナログ/デイジタ
ル変換手段と有し、このアナログ/デイジタル変換手段
によって変換されたデイジタル信号に基づいて電力系統
の保護制御を行うデイジタル保護制御装置において、直
流分の信号を通過させる第1のデイジタルフィルタと、
所定の基本周波数の交流分の信号を通過させる第2のデ
イジタルフィルタと、アナログ入力系によって発生する
オフセット誤差,ゲイン誤差及び位相誤差の内、上記第
1のデイジタルフィルタから出力する直流信号をオフセ
ット誤差として求め、この求められたオフセット誤差に
基づいて上記オフセット補正係数を演算し、上記第2の
デイジタルフィルタから出力する信号から波高値を求
め、予め設定されている基準波高値との比をゲイン誤差
補正係数として演算し、上記第2のデイジタルフィルタ
から出力する信号の内、上記アナログフィルタを介して
入力した信号と、上記アナログフィルタを介することな
く直接入力した信号の位相差を求め、この位相差から上
記アナログフィルタの理論値を差し引いて補正するべき
位相誤差を求め、この位相誤差に基づいて、第3のデイ
ジタルフィルタのフィルタ係数を選択し、このフィルタ
係数を位相誤差補正係数として求める補正係数演算手段
と、この補正係数演算手段によって求められた上記各補
正係数に基づいて、上記オフセット誤差,ゲイン誤差及
び位相誤差を補正する補正手段とを備え、上記補正係数
演算手段による誤差調整時には、上記アナログフィルタ
を介して所定の基準信号を入力し、また、上記アナログ
フィルタを介することなく直接上記所定の基準信号を入
力し、上記補正係数演算手段は、この基準信号に対して
上記アナログ入力系によって上記各誤差が重畳された信
号に基づいて上記各誤差に対する補正係数を演算し、上
記補正手段による運用時には、電力系統のアナログ信号
を上記アナログフィルタを介して入力し、上記補正手段
は、この入力した信号に対して上記補正係数演算手段に
よって予め求められた各補正係数を用いて誤差の補正を
行うようにしたものであり、かかる構成とすることによ
り、単一の基準信号を用いるだけで、オフセット誤差,
ゲイン誤差及び位相誤差の調整を容易に行い得るものと
なる。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】上記デイジタル保護制御装置において、好
ましくは、上記位相誤差を補正する補正手段は、位相回
路を備え、上記補正係数演算手段は、上記第2のデイジ
タルフィルタから出力する信号の内、上記アナログフィ
ルタを介して入力した信号と、上記アナログフィルタを
介することなく直接入力した信号の位相差を求め、この
位相差から上記アナログフィルタの理論値を差し引いて
補正するべき位相誤差を求め、この位相誤差に基づい
て、上記位相回路による位相補正する係数を選択し、こ
の係数を位相誤差補正係数とするようにしたものであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて、図1乃至図8を用いて説明する。
【0015】図1は、本発明の一実施の形態によるデイ
ジタル保護制御装置による調整時ののブロック図であ
る。
【0016】最初に、デイジタル保護制御装置の構成に
ついて説明する。デイジタル保護制御装置は、アナログ
入力基板100,マスタコントロール基板200及びア
ナログ入力基板100とマスタコントロール基板200
とに接続され、両者の間のデータの転送を行うシステム
バス300から構成されている。
【0017】アナログ入力基板100は、n個の折り返
し誤差防止用のアナログフィルタ110−1,110−
2,…,110−nを有しており、入力変成器(CT,
PT)10からの信号が入力し、高長波分を除去する。
このアナログフィルタ110は、通常、8個若しくは1
2個から構成され、電力系統の電流信号のA相,B相,
C相及び零相用として4個を使用し、電力系統の電圧信
号のA相,B相,C相及び零相用として4個を使用する
場合には、8個使用し、さらに、他の電力系統の電流信
号のA相,B相,C相及び零相用として4個を使用する
場合には、12個使用される。
【0018】アナログフィルタ110の出力は、マルチ
プレクサ120に入力する。マルチプレクサ120は、
9チャンネル若しくは13チャンネルの入力を有し、ア
ナログフィルタ110の個数の他に、基準入力用のチャ
ンネルを備えている。マルチプレクサ120は、アナロ
グフィルタ110の出力及び基準入力を順次切り替えて
出力可能である。マルチプレクサ120の出力は、アナ
ログ・デイジタル変換器A/D130により、デイジタ
ル信号に変換される。アナログ・デイジタル変換器A/
D130は、所定の周期、例えば、電気角30゜毎にサ
ンプリングされて、デイジタル信号に変換する。
【0019】アナログ・デイジタル変換器A/D130
によりデイジタル信号に変換された信号は、デユアルポ
ートメモリDPRAM140に一旦記憶される。デイジ
タルシグナルプロセッサDSP150は、記憶手段であ
るROM160に格納された命令に基づいて、デユアル
ポートメモリDPRAM140に一旦記憶されたデイジ
タル信号をバス180を介して読みだし、所定の演算,
例えば、オフセット誤差検出演算,ゲイン誤差演算及び
位相誤差検出演算を行う。これらの演算の詳細について
は、図3乃至図8を用いて後述する。デユアルポートメ
モリDPRAM140を使用することにより、各チャン
ネルの信号をA/D変換する毎にCPUから割り込みを
掛ける必要がなくなり、例えば、13チャンネル分のA
/D変換が終了した時点でCPUから割り込みを掛け
て、取込を行えばよく、CPUの負担が軽減する。求め
られた各誤差補正係数は、一旦、デユアルポートメモリ
DPRAM170に記憶される。
【0020】デユアルポートメモリDPRAM170に
記憶されたオフセット誤差,ゲイン誤差及び位相誤差の
各補正係数のデータは、システムバス300を介して、
マスタコントロール基板200に転送される。
【0021】システムバス300は、マスタコントロー
ル基板200の中のインターフェースI/F210に接
続されており、オフセット誤差,ゲイン誤差及び位相誤
差の補正係数の各データは、システムバスインターフェ
イス回路I/F210及びバス250を介して、電気的
に消去可能な不揮発性メモリEEPROM220に記憶
される。不揮発性メモリEEPROM220に格納され
た補正係数のデータは、一度格納すれば、電源が断にな
っても消去されることはなく、この補正係数は、使用
境によって経年変化することもない。即ち、一度調整を
行えば、再度書換えるまで、補正係数を記憶しておける
ので、安定したオフセット,ゲイン及び位相の補正が可
能である。
【0022】マイクロコンピュータCPU230は、R
OM240に格納された命令語に基づいて、システムバ
スインターフェイス回路I/F210から不揮発性メモ
リEEPROM220へのデータの転送の制御を行う。
また、バス250には、インターフェイス回路I/F2
60が接続され、このインターフェイス回路I/F26
0を介して、パーソナルコンピュータPC400が接続
されている。インターフェイス回路I/F260として
は、RS232Cインターフェイスが使用される。
【0023】パーソナルコンピュータPC400は、フ
ルスケールに対する定格入力値の信号の波高値を設定す
る入力手段として用いられる。パーソナルコンピュータ
PC400により設定した波高値は、CPU230によ
って制御されて、インターフェイス回路260,バス2
50,システムバスインターフェイス回路I/F21
0,システムバス300を介して、デユアルポートメモ
リDPRAM170に格納される。
【0024】さらに、調整時には、基本周波数(50H
z又は60Hz)の基準信号を出力する高精度発振器5
10及び精密電力アンプ520が用意され、高精度発振
器510の出力信号は、精密電力アンプ520を介して
入力変成器10に入力する。入力変成器10に入力した
信号は、アナログフィルタ110を介してマルチプレク
サ120に入力する。また、位相誤差を補正するため
に、高精度発振器510の出力信号は、直接、マルチプ
レクサ120にも入力する。ここで、高精度発振器51
0と精密電力アンプ520は、一体化された装置が用意
されており、精密電力アンプ520の出力信号として
は、±10V,50Hz(又は60Hz)の交流信号
(電流及び電圧)において、オフセット誤差が1mV以
内、電圧・電流ゲイン誤差が0.1%以内、位相誤差が
零となっている。また、高精度発振器510の出力は、
マルチプレクサ120にも直接入力するが、この入力信
号と、精密電力アンプ520の出力信号の位相誤差も零
となっている。
【0025】次に、図1に示した回路の動作、即ち、誤
差調整の方法について説明する。
【0026】最初に、オフセット誤差の調整について説
明する。上述したように、精密電力アンプ520の出力
信号は、10Vp−pの出力に対してオフセット誤差が
1mV以内となるように調整されている。この精密電力
アンプ520の出力信号が、入力変成器10,アナログ
フィルタ110及びマルチプレクサ120を介して、ア
ナログ/デイジタル変換器130に取り込まれる間に、
これらのアナログ回路によって、オフセット誤差が重畳
される。
【0027】オフセット誤差の重畳した信号は、デジタ
ルシグナルプロセッサDSP150に取り込まれ、オフ
セット誤差量が検出される。この検出方法の詳細につい
ては、図3を用いて後述するが、デジタルシグナルプロ
セッサDSP150内には、直流分のみを通過するロー
パスノッチフィルタ特性を有するデイジタルフィルタを
構成することにより、オフセット分のみを独立して検出
可能としている。
【0028】次に、ゲイン誤差の調整について説明す
る。上述したように、精密電力アンプ520の出力信号
は、10Vp−pの出力に対してゲイン誤差が0.1%
以内となるように調整されている。この精密電力アンプ
520の出力信号が、入力変成器10,アナログフィル
タ110及びマルチプレクサ120を介して、アナログ
/デイジタル変換器130に取り込まれる間に、これら
のアナログ回路によって、ゲイン誤差が重畳される。
【0029】ゲイン誤差の重畳した信号は、デジタルシ
グナルプロセッサDSP150に取り込まれ、パーソナ
ルコンピュータ400によって設定された波高値(ここ
では、10Vp−p)と比較することによって、ゲイン
誤差量が検出される。この検出方法の詳細については、
図5を用いて後述するが、デジタルシグナルプロセッサ
DSP150内には、基本周波数成分のみを通過するバ
ンドパスフィルタ特性を有するデイジタルフィルタを構
成することにより、オフセット誤差からは独立して、ゲ
イン誤差を検出可能としている。
【0030】次に、位相誤差の調整について説明する。
上述したように、精密電力アンプ520の出力信号と、
高精度発振器510から直接マルチプレクサ120に入
力する信号の位相誤差は、零となるように調整されてい
る。この精密電力アンプ520の出力信号が、入力変成
器10,アナログフィルタ110及びマルチプレクサ1
20を介して、アナログ/デイジタル変換器130に取
り込まれる間に、これらのアナログ回路によって、位相
誤差が重畳される。
【0031】位相誤差の重畳した信号は、デジタルシグ
ナルプロセッサDSP150に取り込まれ、また、基準
となる高精度発振器510から直接マルチプレクサ12
0を介して入力する信号も、デジタルシグナルプロセッ
サDSP150に取り込まれる。そこで、デジタルシグ
ナルプロセッサDSP150は、両者の信号の位相を比
較することによって、位相誤差量が検出される。この検
出方法の詳細については、図7を用いて後述するが、デ
ジタルシグナルプロセッサDSP150内には、基本周
波数成分のみを通過するバンドパスフィルタ特性を有す
るデイジタルフィルタを構成することにより、オフセッ
ト誤差からは独立して、位相誤差を検出可能としてい
る。
【0032】以上のようにして、オフセット誤差、ゲイ
ン誤差及び位相誤差が検出され、それぞれの補正係数が
求められる。この時、マルチプレクサ120により、8
チャネンネル若しくは12チャンネルのそれぞれについ
て、オフセット誤差、ゲイン誤差及び位相誤差の補正係
数が求められる。
【0033】求められた補正係数は、デユアルポートメ
モリDPRAM170,システムバス300,システム
バスインターフェイス210を介して不揮発性メモリE
EPROM220に格納される。
【0034】以上述べた本発明の一実施の形態によれ
ば、単一の基準電源である高精度発振器及び精密電力ア
ンプを用いるのみで、オフセット補正係数,ゲイン補正
係数及び位相補正係数を求めることが可能となる。従っ
て、従来のように、オフセット誤差の調整には、直流電
源を用意に、また、ゲイン誤差及び位相誤差の調整に
は、交流電源を用意して、これらを交換して補正係数を
求めるという手間がいらず、調整は、容易となる。
【0035】また、位相誤差の調整に関しては、絶対的
位相誤差の補正係数を求めることが可能となる。即ち、
従来は、例えば、8チャンネルの入力信号のいづれか1
チャンネルの信号を基準として、この基準チャンネル信
号に対する他のチャンネルの位相誤差を検出するように
していたが、この基準となる信号自体も、入力変成器や
アナログフィルタの位相誤差を有しているため、あくま
で、従来は、この位相誤差を有する基準信号に対する相
対的な位相誤差の検出しか行うことができなかった。し
かしながら、予め、マルチプレクサに直接入力する信号
を基準信号として用いるようにしており、この信号に
は、入力変成器やアナログフィルタの位相誤差は含まれ
ておらず、かかる基準信号に対する位相誤差を検出する
ようにしているので、絶対的位相誤差を検出可能とな
る。
【0036】また、さらに、従来用いていたサンプルホ
ールド回路を使用しないため、このサンプルホールド回
路の誤差がなくなるとともに、低コスト化が可能とな
る。
【0037】次に、図2を用いて、運用時の構成につい
て説明する。図2は、本発明の一実施の形態によるデイ
ジタル保護制御装置のブロック構成図である。
【0038】図2において、入力変成器10,アナログ
入力基板100,マスタコントロール基板200,シス
テムバス300及びパーソナルコンピュータPC400
の構成は、図1と同様である。
【0039】運用時には、電力系統のアナログ信号(電
流・電圧)が、入力変成器10を介して、アナログ入力
基板100に入力する。電力系統のアナログ信号として
は、所定の電力系統の電流信号のA相,B相,C相及び
零相,この電力系統の電圧信号のA相,B相,C相及び
零相,及び他の電力系統の電流信号のA相,B相,C相
及び零相の12チャンネル分の信号が入力する。それぞ
れの信号は、それぞれアナログフィルタ110−1,1
10−2,…110−12によって折り返し誤差を防止
するため、高調波分を除去され、マルチプレクサ120
によって、時分割的にアナログ・デイジタル変換器13
0に入力され、デイジタル信号に変換される。変換され
た12チャンネル分のデイジタル信号は、順次、デユア
ルポートメモリDPRAM140に記憶される。
【0040】デイジタルシグナルプロセッサDSP15
0は、不揮発性メモリROM160に記憶された命令に
従って、読み出される。また、マスタコントロール基板
200の不揮発性メモリEEPROM220に格納され
ている各チャンネル毎のオフセット誤差,ゲイン誤差及
び位相誤差の補正係数は、システムバスインターフェイ
スI/F210,システムバス300及びデユアルポー
トメモリDPRAM170を介して、デイジタルシグナ
ルプロセッサDSP150に読み出される。デイジタル
シグナルプロセッサDSP150は、入力変成器10か
ら読み込まれた電力系統の信号について、不揮発性メモ
リEEPROM220から読み出された各チャンネル毎
のオフセット誤差,ゲイン誤差及び位相誤差の補正係数
を用いて補正を行う。
【0041】補正された電力系統の信号は、デユアルポ
ートメモリDPRAM170,システムバス300,シ
ステムバスインターフェイスI/F210を介して、マ
イクロコンンピュータCPU230に取り込まれる。不
揮発性メモリEEPROM220には、予め、パーソナ
ルコンピュータ400からデジタル保護制御装置の動作
条件である整定値が入力、格納されているため、マイク
ロコンンピュータCPU230は、この整定値に基づく
整定条件を電力系統の状態が満たす場合には、保護動作
を行う制御信号を外部の開閉器に出力する。
【0042】以上のようにして、オフセット誤差,ゲイ
ン誤差及び位相誤差の補正された電力系統の信号を用い
て、精度良く、保護制御動作を行うことが可能となる。
【0043】次に、図3及び図4を用いて、オフセット
誤差の補正係数を算出する方法について詳述する。図3
は、本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制御装
置による調整時のオフセット誤差の補正係数の算出及び
運用時にこの補正係数を用いて補正するためのブロック
構成図であり、図4は、デジタルフィルタの周波数特性
図である。
【0044】図3において、調整時には、高精度発振器
510の出力は、精密電力アンプ520によって増幅さ
れる。精密電力アンプ520の出力信号は、10Vp−
pの出力に対してオフセット誤差が1mV以内となるよ
うに調整されている。即ち、曲線520Aにて示すよう
に、オフセット誤差の殆どない信号が、精密電力アンプ
520から出力される。
【0045】精密電力アンプ520の出力信号が、入力
変成器10,アナログフィルタ110及びマルチプレク
サ120を介して、アナログ/デイジタル変換器130
に取り込まれる間に、これらのアナログ回路によって、
オフセット誤差が重畳される。
【0046】即ち、曲線120Aで示されるように、直
流分のオフセット誤差Voffを含む信号となる。オフ
セット誤差の重畳した信号は、デジタルシグナルプロセ
ッサDSP150に取り込まれ、オフセット誤差量が検
出される。なお、ここでは、入力変成器10,アナログ
フィルタ110及びマルチプレクサ120は、それぞ
れ、1個づつのみ示しているが、実際には、図1におい
て説明したように、8チャンネル若しくは12チャンネ
ルあり、ここでは、代表して1チャンネル分のみを図示
している。
【0047】デジタルシグナルプロセッサDSP150
の中には、デイジタルフィルタ手段152aとオフセッ
ト補正係数演算手段152bによって構成される。デイ
ジタルフィルタ手段152aは、図4に示す周波数特性
を有している。即ち、高精度発振器510の基本周波数
f1の信号成分は通過を阻止し、低周波の直流成分のみ
を通過するローパスノッチフィルタの特性を有するよう
に構成する。従って、デイジタルフィルタ手段152a
によって、デイジタルフィルタ演算を施すことにより、
この出力は、オフセットとなる直流分Voffのみとな
る。オフセット補正係数演算手段152bは、この直流
分Voffをオフセット補正係数として求める。求めら
れた補正係数は、マスタコントロール基板200の不揮
発性メモリ220に格納される。
【0048】運用時には、デイジタル信号に変換された
電力系統からの入力信号が、デイジタルシグナルプロセ
ッサDSP150に読み込まれ、また、不揮発性メモリ
220に格納されたオフセット誤差の補正係数Voff
が読み出される。デイジタルシグナルプロセッサDSP
150内の減算手段152cによって、入力信号からオ
フセット誤差の補正係数が減算されることにより、入力
信号からオフセット誤差分を補正して、補正済みデータ
を得ることができる。
【0049】以上説明したように、デジタルシグナルプ
ロセッサDSP150内には、直流分のみを通過するロ
ーパスノッチフィルタ特性を有するデイジタルフィルタ
を構成することにより、オフセット分のみを独立して検
出可能としている。従って、従来のように、ゲイン誤差
や位相誤差の調整用の交流電源とは別に直流電源を用い
ることなく、オフセット誤差の検出と他の誤差検出を単
一電源で、一度に実施できる。
【0050】次に、図5及び図6を用いて、ゲイン誤差
の補正係数を算出する方法について詳述する。図5は、
本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制御装置に
よる調整時のゲイン誤差の補正係数の算出及び運用時に
この補正係数を用いて補正するためのブロック構成図で
あり、図6は、デジタルフィルタの周波数特性図であ
る。
【0051】図5において、調整時には、高精度発振器
510の出力は、精密電力アンプ520によって増幅さ
れる。精密電力アンプ520の出力信号は、10Vp−
pの出力に対してゲイン誤差が1%以内となるように調
整されている。即ち、曲線520Bにて示すように、歪
みのないきれいな正弦波の信号が、精密電力アンプ52
0から出力される。
【0052】精密電力アンプ520の出力信号が、入力
変成器10,アナログフィルタ110及びマルチプレク
サ120を介して、アナログ/デイジタル変換器130
に取り込まれる間に、これらのアナログ回路によって、
ゲイン誤差が重畳され、波高値が変化する。ゲイン誤差
の重畳した信号は、デジタルシグナルプロセッサDSP
150に取り込まれ、ゲイン誤差量が検出される。な
お、ここでは、入力変成器10,アナログフィルタ11
0及びマルチプレクサ120は、それぞれ、1個づつの
み示しているが、実際には、図1において説明したよう
に、8チャンネル若しくは12チャンネルあり、ここで
は、代表して1チャンネル分のみを図示している。
【0053】デジタルシグナルプロセッサDSP150
の中には、デイジタルフィルタ手段154aと波高値演
算手段154bとゲイン補正係数演算手段154cによ
って構成される。デイジタルフィルタ手段154aは、
図6に示す周波数特性を有している。即ち、高精度発振
器510の基本周波数f1の信号成分に対しては、ゲイ
ンが1.0であり、他の周波数に対してはゲインが1.
0以下であり、特に、直流分に対しては、ゲインが0の
バンドパスフィルタの特性を有するように構成する。従
って、デイジタルフィルタ手段152aによって、デイ
ジタルフィルタ演算を施すことにより、この出力は、オ
フセットとなる直流分がカットされ、基本波の交流成分
のみがデイジタルフィルタ手段154aの出力に得られ
る。
【0054】波高値演算手段154bは、1周期の交流
信号を電気角30゜ごとに12点サンプリングして、V
d(i)(i=1〜12)を求め、波高値Aとして、 波高値A=Vd(1)2+Vd(2)2+……+Vd(1
2)2 の式に従って演算する。
【0055】ゲイン誤差補正係数演算手段154cは、
パーソナルコンピュータ400から入力された波高値の
設定値Bを読みだし、求められた波高値Aに基づいて、
補正係数Kgを、Kg=B/Aとして求める。求められ
た補正係数は、マスタコントロール基板200の不揮発
性メモリ220に格納される。
【0056】運用時には、デイジタル信号に変換された
電力系統からの入力信号が、デイジタルシグナルプロセ
ッサDSP150に読み込まれ、高調波除去用のデイジ
タルフィルタ手段154dによって高調波成分を取り除
かれ、また、不揮発性メモリ220に格納されたゲイン
誤差の補正係数Kgが読み出される。デイジタルシグナ
ルプロセッサDSP150内の係数乗算手段154eに
よって、入力信号に補正係数Kgを乗ずることにより、
入力信号からゲイン誤差分を補正して、補正済みデータ
を得ることができる。
【0057】以上説明したように、デジタルシグナルプ
ロセッサDSP150内には、基本周波数の信号成分を
通過するバンドパスフィルタ特性を有するデイジタルフ
ィルタを構成することにより、オフセット分の影響を受
けずに、ゲイン誤差を独立して検出可能としている。従
って、従来のように、オフセット誤差調整用の直流電源
とは別に、ゲイン誤差や位相誤差の調整用の交流電源を
用いることなく、ゲイン誤差の検出をオフセット誤差の
検出とともに、単一電源で、一度に実施できる。
【0058】次に、図7及び図8を用いて、位相誤差の
補正係数を算出する方法について詳述する。図7は、本
発明の一実施の形態によるデイジタル保護制御装置によ
る調整時の位相誤差の補正係数の算出及び運用時にこの
補正係数を用いて補正するためのブロック構成図であ
り、図8は、位相誤差の検出原理の説明図である。
【0059】図7において、調整時には、高精度発振器
510の出力は、精密電力アンプ520によって増幅さ
れる。高精度発振器510の出力信号と精密電力アンプ
520の出力信号は、位相が合うように調整されてい
る。
【0060】精密電力アンプ520の出力信号が、入力
変成器10,アナログフィルタ110及びマルチプレク
サ120を介して、アナログ/デイジタル変換器130
に取り込まれる間に、これらのアナログ回路によって、
位相誤差が重畳され、位相が変化する。一方、高精度発
振器510から直接マルチプレクサ120に入力した基
準信号は、位相誤差がない信号である。ゲイン誤差の重
畳した信号及び基準信号は、デジタルシグナルプロセッ
サDSP150に取り込まれ、位相誤差量が検出され
る。なお、ここでは、入力変成器10,アナログフィル
タ110及びマルチプレクサ120は、それぞれ、1個
づつのみ示しているが、実際には、図1において説明し
たように、8チャンネル若しくは12チャンネルあり、
ここでは、代表して1チャンネル分のみを図示してい
る。
【0061】デジタルシグナルプロセッサDSP150
の中には、2個の同一の特性を有するデイジタルフィル
タ手段156aと位相誤差演算手段156bとフィルタ
係数選択手段156cによって構成される。デイジタル
フィルタ手段156aは、図5に示したデイジタルフィ
ルタ手段154aと同一のものであり、図6に示す周波
数特性を有している。即ち、高精度発振器510の基本
周波数f1の信号成分に対しては、ゲインが1.0であ
り、他の周波数に対してはゲインが1.0以下であり、
特に、直流分に対しては、ゲインが0のバンドパスフィ
ルタの特性を有するように構成する。従って、デイジタ
ルフィルタ手段156aによって、デイジタルフィルタ
演算を施すことにより、この出力は、オフセットとなる
直流分がカットされ、基本波の交流成分のみがデイジタ
ルフィルタ手段156aの出力に得られる。
【0062】位相誤差演算手段156bは、次のように
して、位相誤差を演算する。ここで、図8を用いて説明
するに、高精度発振器510から直接入力した基準信号
の零クロス点と、アナログフィルタ110を介して取り
込まれた入力信号(図中のフィルタ出力)の零クロス点
との時間差Δtθを求め、この時間差Δtθから位相差
Δθを求める。さらに、ここで、アナログフィルタの理
論値であるθfを、求めた位相差Δθから差し引くこと
により、 位相差α=Δθ − θf として求められる。
【0063】すなわち、このαはアナログフィルタの位
相誤差はもちろんのこと、入力変成器の位相誤差、及び
サンプルホールド回路を削除したことによる逐次サンプ
リングした際のサンプリング位相ずれも含んだものであ
る。従って、このαを0に近づけることにより入力変成
器から一貫した位相補正ができる。即ち、αが0になる
ようにディジタルフィルタの周波数−位相特性を各チャ
ンネルごとに変更させれば上記した位相補正が達成でき
る。
【0064】フィルタ係数選択手段156cは、求めら
れた位相差αに基づいて、運用時に使用するデイジタル
フィルタの係数B1,B2を補正係数として求める。こ
こで、デジタルシグナルプロセッサ150は、予め1゜
単位の各位相差に対するフィルタ係数B1,B2の一覧
表をテーブル形式で、ROM160内に保持しており、
このテーブルから検出された位相差αに対するフィルタ
係数B1,B2を読み出す。求められた補正係数は、マ
スタコントロール基板200の不揮発性メモリ220に
格納される。
【0065】運用時には、デイジタル信号に変換された
電力系統からの入力信号が、デイジタルシグナルプロセ
ッサDSP150に読み込まれ、位相誤差補正用のデイ
ジタルフィルタ手段156dに入力される。このデイジ
タルフィルタは、高調波除去用のデイジタルフィルタで
もある。そして、フィルタ内の定数を変えることによ
り、位相誤差補正機能をもたせている。
【0066】デイジタルフィルタ手段156dは、図7
に示すように、2次バイクワッド形IIR(Infin
aite Inpulse Responce:再帰
形)フィルタを用いている。デイジタルフィルタ156
dは、図示するように、正規化係数H0を乗算する乗算
ブロックd1、バンドパスフィルタやローパスノッチフ
ィルタ等のフィルタ特性を決める係数A1,A2を乗算
する乗算ブロックd2,d3、周波数ー位相特性を決め
る係数B1,B2を乗算する乗算ブロックd4,d5、
1サンプル時間遅延する遅延ブロックd6,d7、及び
加算ブロックd8,d9,d10,d11から構成され
る。このデイジタルフィルタの伝達関数H(Z)は、 H(Z)=(1+A1・Z-1+A2・Z-2)/(1+B
1・Z-1+B2・Z-2) で表される。
【0067】ここで、デイジタルフィルタ手段156d
には、不揮発性メモリ220に格納された位相誤差の補
正係数B1,B2が読み出される。デイジタルシグナル
プロセッサDSP150内のデイジタルフィルタ手段1
56dによって、入力信号の周波数ー位相特性を補正す
ることにより、入力信号から位相誤差分を補正して、補
正済みデータを得ることができる。
【0068】以上説明したように、デジタルシグナルプ
ロセッサDSP150内には、基本周波数の信号成分を
通過するバンドパスフィルタ特性を有するデイジタルフ
ィルタを構成することにより、オフセット分の影響を受
けずに、ゲイン誤差を独立して検出可能としている。従
って、従来のように、オフセット誤差調整用の直流電源
とは別に、ゲイン誤差や位相誤差の調整用の交流電源を
用いることなく、ゲイン誤差の検出をオフセット誤差の
検出とともに、単一電源で、一度に実施できる。
【0069】また、アナログフィルタ等を介さない基準
信号をデイジタル信号として取込、この基準信号に対す
る各チャンネルの位相誤差を補正するため、絶対的位相
誤差を補正することが可能となる。従来は、例えば、8
チャンネルある入力信号のうちの任意の1チャンネルの
信号を基準とするため、この信号は、アナログフィルタ
等の位相誤差を有するため、相対的な誤差補正しか行え
なかったが、本例では、絶対的な位相補正を行えるもの
となる。
【0070】以上により、位相補正が容易に達成でき、
しかも、このディジタルフィルタ演算をDSPなどの高
速・高精度なプロセッサで行うことで、精度よく補正が
できる。
【0071】また、本例では位相補正用のデイジタルフ
ィルタを新たに備える必要はなく、各チャンネルの高調
波除去用ディジタルフィルタでもって高調波除去と位相
補正を同時に行えるため、位相補正のための演算処理が
必要ない。すなわち、処理時間的に制約を受けない特徴
があるので、保護装置用として好適である。
【0072】また、位相補正用のデイジタルフィルタ
は、各チャンネル毎に、主保護PCM用と後備保護DZ
の2個が必要であるが、近年のように、主後一体形で
は、各チャンネル毎に、1個備えればよい。
【0073】また、以上説明した調整は全て、アナログ
入力基板内のDSPで演算できるので、運用時の処理プ
ログラムと共に調整用の処理プログラムを同一基板内に
実装し、ジャンパピンの設定や、デイップスイッチなど
で切替えて使用できる。すなわち、調整プログラムを常
時常駐させる形にして製品化することにより生産性の向
上に寄与できる。
【0074】入力変成器(CT及びPT)からアナログ
入力基板まで一貫した調整ができるため、高精度化が達
成できる。
【0075】従来、人手で行っていた作業を自動化でき
るために調整時間を大幅に短縮できる。
【0076】また、調整作業者に依らず自動的に行うた
めにないために調整作業の均一化が達成でき、品質が向
上できる。
【0077】可変抵抗器を使用しないために、小形化及
び低コスト化が達成できるとともに、使用環境の変化や
経年変化がなく安定した運用ができる。
【0078】次に、図9を用いて、位相誤差の補正係数
を算出する他の方法について詳述する。図9は、本発明
の他の実施の形態によるデイジタル保護制御装置による
調整時の位相誤差の補正係数の算出及び運用時にこの補
正係数を用いて補正するためのブロック構成図である。
【0079】図9において、調整時には、高精度発振器
510の出力は、精密電力アンプ520によって増幅さ
れる。高精度発振器510の出力信号と精密電力アンプ
520の出力信号は、位相が合うように調整されてい
る。
【0080】精密電力アンプ520の出力信号が、入力
変成器10,アナログフィルタ110及びマルチプレク
サ120を介して、アナログ/デイジタル変換器130
に取り込まれる間に、これらのアナログ回路によって、
位相誤差が重畳され、位相が変化する。一方、高精度発
振器510から直接マルチプレクサ120に入力した基
準信号は、位相誤差がない信号である。ゲイン誤差の重
畳した信号及び基準信号は、デジタルシグナルプロセッ
サDSP150に取り込まれ、位相誤差量が検出され
る。なお、ここでは、入力変成器10,アナログフィル
タ110及びマルチプレクサ120は、それぞれ、1個
づつのみ示しているが、実際には、図1において説明し
たように、8チャンネル若しくは12チャンネルあり、
ここでは、代表して1チャンネル分のみを図示してい
る。
【0081】デジタルシグナルプロセッサDSP150
の中には、2個の同一の特性を有するデイジタルフィル
タ手段158aと位相誤差演算手段158bとフィルタ
係数選択手段158cによって構成される。デイジタル
フィルタ手段158aは、図5に示したデイジタルフィ
ルタ手段154aと同一のものであり、図6に示す周波
数特性を有している。即ち、高精度発振器510の基本
周波数f1の信号成分に対しては、ゲインが1.0であ
り、他の周波数に対してはゲインが1.0以下であり、
特に、直流分に対しては、ゲインが0のバンドパスフィ
ルタの特性を有するように構成する。従って、デイジタ
ルフィルタ手段158aによって、デイジタルフィルタ
演算を施すことにより、この出力は、オフセットとなる
直流分がカットされ、基本波の交流成分のみがデイジタ
ルフィルタ手段158aの出力に得られる。
【0082】位相誤差演算手段158bは、高精度発振
器510から直接入力した基準信号の零クロス点と、ア
ナログフィルタ110を介して取り込まれた入力信号
(フィルタ出力)の零クロス点との時間差Δtθを求
め、この時間差Δtθから位相差Δθを求める。さら
に、ここで、アナログフィルタの理論値であるθfを、
求めた位相差Δθから差し引くことにより、 位相差α=Δθ − θf として求められる。
【0083】すなわち、このαはアナログフィルタの位
相誤差はもちろんのこと、入力変成器の位相誤差、及び
サンプルホールド回路を削除したことによる逐次サンプ
リングした際のサンプリング位相ずれも含んだものであ
る。従って、このαを0に近づけることにより入力変成
器から一貫した位相補正ができる。即ち、αが0になる
ようにディジタルフィルタの周波数−位相特性を各チャ
ンネルごとに変更させれば上記した位相補正が達成でき
る。
【0084】フィルタ係数選択手段158cは、求めら
れた位相差αに基づいて、運用時に使用するデイジタル
フィルタの係数B1を補正係数として求める。ここで、
デジタルシグナルプロセッサ150は、次の式に基づい
て、係数B1を求める。
【0085】 B1={tan((α−ωT)/2)}/{sinωT + cosωT・ tan((α−ωT)/2)} ここで、 α:理論値に対し位相補正する値 ω:角周波数 T :サンプリング周期 である。
【0086】求められた補正係数は、マスタコントロー
ル基板200の不揮発性メモリ220に格納される。
【0087】位相補正は一般的にみても電気角で数゜補
正すればよいので移相回路としては1次移相回路で十分
である。また、位相補正値が数十゜となった場合は、な
んらかの不具合が考えられるので補正しないようにする
と共に、補正不良の出力をパーソナルコンピュータに出
力するようにする。
【0088】運用時には、デイジタル信号に変換された
電力系統からの入力信号が、デイジタルシグナルプロセ
ッサDSP150に読み込まれ、位相誤差補正用の一次
位相回路手段158dに入力される。
【0089】一次位相回路手段158dは、図9に示す
ように、周波数ー位相特性を決める係数B1,B2を乗
算する乗算ブロックd20,d21、1サンプル時間遅
延する遅延ブロックd22、加算ブロックd23、及び
減算ブロックd24から構成される。
【0090】ここで、一次位相回路手段158dには、
不揮発性メモリ220に格納された位相誤差の補正係数
B1が読み出される。デイジタルシグナルプロセッサD
SP150内の一次位相回路手段158dによって、入
力信号の周波数ー位相特性を補正することにより、入力
信号から位相誤差分を補正して、補正済みデータを得る
ことができる。
【0091】以上説明したように、デジタルシグナルプ
ロセッサDSP150内には、基本周波数の信号成分を
通過するバンドパスフィルタ特性を有するデイジタルフ
ィルタを構成することにより、オフセット分の影響を受
けずに、ゲイン誤差を独立して検出可能としている。従
って、従来のように、オフセット誤差調整用の直流電源
とは別に、ゲイン誤差や位相誤差の調整用の交流電源を
用いることなく、ゲイン誤差の検出をオフセット誤差の
検出とともに、単一電源で、一度に実施できる。
【0092】また、アナログフィルタ等を介さない基準
信号をデイジタル信号として取込、この基準信号に対す
る各チャンネルの位相誤差を補正するため、絶対的位相
誤差を補正することが可能となる。従来は、例えば、8
チャンネルある入力信号のうちの任意の1チャンネルの
信号を基準とするため、この信号は、アナログフィルタ
等の位相誤差を有するため、相対的な誤差補正しか行え
なかったが、本例では、絶対的な位相補正を行えるもの
となる。
【0093】以上により、位相補正が容易に達成でき、
しかも、このディジタルフィルタ演算をDSPなどの高
速・高精度なプロセッサで行うことで、精度よく補正が
できる。
【0094】また、位相回路は、各チャンネル毎に、主
保護PCM用と後備保護DZの2系統に対して共通し
て、1個備えればよく、構成を簡単にできる。
【0095】また、位相回路は、ゲイン−周波数特性
は、周波数によらず一定であるため、、位相補正しても
アナログ入力部全体としてのゲイン−周波数特性に影響
を及ぼすことがないので、特に、周波数変動に対して厳
しい要求のある電力用の制御装置である静止形無効電力
制御装置SVCや無効電力補償装置VQCに好適であ
る。
【0096】なお、位相回路は、高調波除去用のデイジ
タルフィルタとは、別に設ける必要があるが、主,後用
のデイジタルフィルタに対して共通して1個備えればよ
い。
【0097】また、以上説明した調整は全て、アナログ
入力基板内のDSPで演算できるので、運用時の処理プ
ログラムと共に調整用の処理プログラムを同一基板内に
実装し、ジャンパピンの設定や、デイップスイッチなど
で切替えて使用できる。すなわち、調整プログラムを常
時常駐させる形にして製品化することにより生産性の向
上に寄与できる。
【0098】入力変成器(CT及びPT)からアナログ
入力基板まで一貫した調整ができるため、高精度化が達
成できる。
【0099】従来、人手で行っていた作業を自動化でき
るために調整時間を大幅に短縮できる。
【0100】また、調整作業者に依らず自動的に行うた
めにないために調整作業の均一化が達成でき、品質が向
上できる。
【0101】可変抵抗器を使用しないために、小形化及
び低コスト化が達成できるとともに、使用環境の変化や
経年変化がなく安定した運用ができる。
【0102】
【発明の効果】本発明によれば、デイジタル保護制御装
置における誤差調整が容易になる。
【0103】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による調整時のブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による運用時のブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による調整時のオフセット誤差の補正係数の算出
及び運用時にこの補正係数を用いて補正するためのブロ
ック構成図である。
【図4】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による調整時に用いるデイジタルフィルタの周波
数特性図である。
【図5】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による調整時のゲイン誤差の補正係数の算出及び
運用時にこの補正係数を用いて補正するためのブロック
構成図である。
【図6】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による調整時に用いるデイジタルフィルタの周波
数特性図である。
【図7】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による調整時の位相誤差の補正係数の算出及び運
用時にこの補正係数を用いて補正するためのブロック構
成図である。
【図8】本発明の一実施の形態によるデイジタル保護制
御装置による調整時の位相誤差の検出原理図である。
【図9】本発明の他の実施の形態によるデイジタル保護
制御装置による調整時の位相誤差の補正係数の算出及び
運用時にこの補正係数を用いて補正するためのブロック
構成図である。
【符号の説明】
10…入力変成器 100…アナログ入力基板 110…アナログフィルタ 120…マルチプレクサ 130…アナログ・デイジタル変換器 140,170…デユアルポートメモリ 150…デイジタルシグナルプロセッサ 152a,154a,154d,156a,156d,
158a…デイジタルフィルタ手段 152b…オフセット補正係数演算手段 154b…波高値演算手段 154c…ゲイン補正係数演算手段 154e…乗算手段 156b,158b…位相差検出手段 156c,158c…フィルタ係数選択手段 158d…一次位相回路手段 160,220,240…不揮発性メモリ 180,250…バス 200…マスタコントロール基板 210…システムバスシンターフェイス 230…マイクロコンピュータ 260…インターフェイス 300…システムバス 400…パーソナルコンピュータ 510…高精度発振器 520…精密電力アンプ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02H 3/00 H02H 3/02 H02H 3/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電力系統の電気量を示すアナログ信号をフ
    ィルタリングするアナログフィルタ手段と、 このアナログフィルタ手段によってフィルタリングされ
    たアナログ信号をデイジタル信号に変換するアナログ/
    デイジタル変換手段と有し、 このアナログ/デイジタル変換手段によって変換された
    デイジタル信号に基づいて電力系統の保護制御を行うデ
    イジタル保護制御装置において、 直流分の信号を通過させる第1のデイジタルフィルタ
    と、 所定の基本周波数の交流分の信号を通過させる第2のデ
    イジタルフィルタと、 アナログ入力系によって発生するオフセット誤差,ゲイ
    ン誤差及び位相誤差の内、上記第1のデイジタルフィルタから出力する直流信号を
    オフセット誤差として求め、この求められたオフセット
    誤差に基づいて上記オフセット補正係数を演算し、 上記第2のデイジタルフィルタから出力する信号から波
    高値を求め、予め設定されている基準波高値との比をゲ
    イン誤差補正係数として演算し、 上記第2のデイジタルフィルタから出力する信号の内、
    上記アナログフィルタを介して入力した信号と、上記ア
    ナログフィルタを介することなく直接入力した信号の位
    相差を求め、この位相差から上記アナログフィルタの理
    論値を差し引いて補正するべき位相誤差を求め、この位
    相誤差に基づいて、第3のデイジタルフィルタのフィル
    タ係数を選択し、このフィルタ係数を位相誤差補正係数
    として求める 補正係数演算手段と、 この補正係数演算手段によって求められた上記各補正係
    数に基づいて、上記オフセット誤差,ゲイン誤差及び位
    相誤差を補正する補正手段とを備え、 上記補正係数演算手段による誤差調整時には、上記アナ
    ログフィルタを介して所定の基準信号を入力し、また、
    上記アナログフィルタを介することなく直接上記所定の
    基準信号を入力し、上記補正係数演算手段は、この基準
    信号に対して上記アナログ入力系によって上記各誤差が
    重畳された信号に基づいて上記各誤差に対する補正係数
    を演算し、 上記補正手段による運用時には、電力系統のアナログ信
    号を上記アナログフィルタを介して入力し、上記補正手
    段は、この入力した信号に対して上記補正係数演算手段
    によって予め求められた各補正係数を用いて誤差の補正
    を行うことを特徴とするデイジタル保護制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載のデイジタル保護制御装置に
    おいて、 上記位相誤差を補正する補正手段は、位相回路を備え、 上記補正係数演算手段は、上記第2のデイジタルフィル
    タから出力する信号の内、上記アナログフィルタを介し
    て入力した信号と、上記アナログフィルタを介すること
    なく直接入力した信号の位相差を求め、この位相差から
    上記アナログフィルタの理論値を差し引いて補正するべ
    き位相誤差を求め、この位相誤差に基づいて、上記位相
    回路による位相補正する係数を選択し、この係数を位相
    誤差補正係数とすることを特徴とするデイジタル保護制
    御装置。
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