JP3265973B2 - プレス成形性に優れた亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
プレス成形性に優れた亜鉛系めっき鋼板およびその製造方法Info
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Description
れ、特に自動車用の素材として好適な亜鉛系めっき鋼板
に関する。
しているため、各種の亜鉛系めっき鋼板が自動車用鋼板
として使用されている。しかし、亜鉛系めっき鋼板のプ
レス成形性が冷延鋼板と比較して劣ることが従来から知
られており、そのため、亜鉛系めっき鋼板に対するプレ
ス成形性を向上させるための種々の表面処理法が提唱さ
れている。
は、亜鉛系めっき鋼板の表面に鉄フラッシュめっき等の
硬質皮膜を形成させてプレス時のめっき表面とダイスと
のカジリつきを抑制し、プレス時の潤滑性の向上をはか
る技術が記載されている。
亜鉛系めっき鋼板の表面をP(リン)酸化物1〜500
mg/m2 で被覆したプレス成形性、化成処理性に優れ
た亜鉛系めっき鋼板が開示されている。特公平6−35
678号公報、特公平6−96781号公報では、亜鉛
系めっき鋼板の表面を、Mnに換算して5〜500mg
/m2 のMn酸化物で被覆した鋼板、あるいは、前記の
Mn酸化物に、リン酸と、コロイダルSiO2 、コロイ
ダルTiO2 およびコロイダルAl2 O3 の中の1種以
上を混合させた皮膜で被覆した鋼板が提案されており、
いずれもプレス時の潤滑性が改善されるとしている。
面に、ホウ素、リン、珪素等から選ばれた1種以上の半
金属の酸化物の無水アルカリ金属塩を1〜1000mg
/m2 の範囲で有するプレス成形性に優れた亜鉛系めっ
き鋼板も提案されている(特公平7−13306号公
報)。
要求されるプレス成形性は、実際の組立ラインにおいて
少ない型手入れで成形することが可能なだけでは十分で
はなく、連続して高速プレス成形を行うことができる高
度な成形性が要求される。このためには、プレス時の型
かじりを防止できるだけでなく、パウダリングも生じさ
せないような表面処理が必要となる。
性、化成処理性、電着塗装性等に優れていることも要求
される。また、組立ラインの接合工程で、溶接接合に替
えて接着剤を用いて接合する接着接合が適用されること
もあるが、その場合には、プレス成形性に加え、接着性
に優れていることが必要とされる。
技術では、耐パウダリング性を含めた高度なプレス成形
性をはじめとして、スポット溶接性、化成処理性および
電着塗装性の全てを満足する亜鉛系めっき鋼板の表面処
理法、あるいはプレス成形性に加え、接着性にも優れる
亜鉛系めっき鋼板の表面処理法は未だ実現されていると
はいえない。
号公報に示される亜鉛系めっき鋼板の表面に鉄フラッシ
ュめっき等の硬質皮膜を形成させる技術では、工程数が
増加し、製造コストがかさむ等の問題もある。特公平6
−35678号公報や特公平6−96781号公報に示
される亜鉛系めっき鋼板の表面をMn酸化物で被覆する
技術においては、強力な酸化剤である過マンガン酸イオ
ンを含む溶液を用いるためその処理が必要になるが、そ
の処理コストが製造コストに加算されることになる。ま
た、特開平4−88196号公報に示される表面をP酸
化物で被覆する方法は、接着性、特に鋼板に洗浄油が付
着した状態で接着接合が行われた場合の油面接着性を高
める上では好ましくないとされている。
況に鑑みなされたもので、優れたプレス成形性を有し、
しかも、スポット溶接性、化成処理性、電着塗装性にも
優れる亜鉛系めっき鋼板、あるいは、優れたプレス成形
性に加え接着性も兼ね備えた亜鉛系めっき鋼板、ならび
に、それらの鋼板を安価にかつ簡便に製造する方法を提
供することを目的としている。
題を解決するため、特に亜鉛系めっき鋼板のめっき層の
表面に形成させたリン酸系の化合物がその鋼板のプレス
成形性、溶接性、化成処理性および電着塗装性に与える
影響を各種のモデル実験により検討した結果、以下の知
見を得た。
成されたリン酸系の化合物は、鋼板の表面に塗油して鋼
板をプレス成形した時に、境界潤滑作用を有する。すな
わち、リン酸系化合物が油の成分と反応して、その反応
生成物が工具と亜鉛系めっき層との金属どうしの接触を
妨げる。
鉛の化合物がプレス成形性、化成処理性および電着塗装
性のすべてを良好ならしめる。
またはアルカリ土類金属が混入すると、化成処理性およ
び電着塗装性、特に、耐水密着性が低下する。
ング性および化成処理性が非晶質のリン酸系化合物に比
べて劣る。
めっき層の表面に塗布し、乾燥することにより、非晶質
のリン酸と亜鉛の化合物が生成する。
たプレス成形性ならびに接着性を付与するための安価で
かつ簡便な表面処理方法について検討を行った結果、以
下の事実が判明した。
ナゾルを添加したリン酸水溶液を塗布し、40℃以上で
乾燥することにより、その表面にリン酸系化合物とアル
ミナの混合物からなる皮膜を形成させると、プレス成形
性が相乗的に向上する。
共存すると、優れたプレス成形性を維持するための鋼板
表面のリン酸系化合物の付着量の下限が低下する。
毛状アルミナゾルの添加の有無に関係なく、接着性、特
に油面接着性が向上する。
に、羽毛状アルミナゾルを添加すると、接着性、特に油
面接着性がさらに向上する。
リン酸と亜鉛の化合物(反応生成物)で被覆することに
より、鋼板のプレス成形性、さらには化成処理性、電着
塗装性を向上させ得ること、ならびに、同鋼板の表面を
アルミナとリン酸系化合物の混合物からなる硬質の皮膜
で被覆することにより、プレス成形性を相乗的に向上さ
せ、かつ接着性を改善できることを見いだした。
処理条件などについて検討を重ね、本発明をなすに至っ
た。その要旨は、下記(1)および(2)の亜鉛系めっ
き鋼板、ならびに(3)および(4)のそれらの製造方
法にある。
に、リン酸と亜鉛との非晶質の反応生成物を、リンに換
算して20mg/m2 以上350mg/m2 以下の範囲
で有することを特徴とするプレス成形性に優れた亜鉛系
めっき鋼板。
に、リンに換算して5mg/m2 以上350mg/m2
以下の非晶質のリン酸化合物に15mg/m2 以上10
0mg/m2 以下のアルミナが分散した混合物からなる
皮膜を有することを特徴とするプレス成形性に優れた亜
鉛系めっき鋼板。
に、亜鉛系めっき鋼板のめっき層の表面に、アルカリ金
属塩またはアルカリ土類金属塩を含有しない、2重量%
以上30重量%以下の濃度のリン酸水溶液を1ml(ミ
リリットル)/m2 以上10ml/m2 以下の範囲内
で塗布し、40℃以上で乾燥することを特徴とするプレ
ス成形性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
に、羽毛状のアルミナゾルを0.15重量%以上10重
量%以下の濃度になるように添加した0.5重量%以上
30重量%以下の濃度のリン酸水溶液を1ml/m2 以
上10ml/m2 以下の範囲内で塗布し、40℃以上で
乾燥することを特徴とするプレス成形性に優れた亜鉛系
めっき鋼板の製造方法。
明)において用いられる母材としての亜鉛系めっき鋼板
は、特に限定されるものではない。代表的なものとして
は、溶融亜鉛めっき系では、合金化溶融亜鉛めっき鋼
板、電気めっき系では、亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板
などが挙げられる。
の表面に有するリン酸と亜鉛との非晶質の反応生成物
(リン酸と亜鉛の化合物で、以下、「皮膜」ともいう)
は、めっき層の表面に塗布したリン酸水溶性に含まれる
リン酸とめっき層を構成する亜鉛とが反応して生じた非
晶質の皮膜であることが必要である。
りと観察される結晶性のものの場合、潤滑性は良好であ
るが、パウダリングが起こり易くなるので、そのような
皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板は連続高速プレス成形性
が必ずしも良好ではない。また、皮膜が結晶質の場合、
化成処理を施しても、下地の結晶が妨害をして化成処理
皮膜の結晶が均一に形成されないという問題が生じる。
る皮膜は、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を含む
リン酸水溶液を用いて形成されたものであってはならな
い。アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩を含むリン酸
水溶液を使用して本発明で規定する皮膜を形成しようと
すると、皮膜中に水可溶性のアルカリ金属塩やアルカリ
土類金属塩が取り込まれ、皮膜の耐水性を著しく低下さ
せるからである。この傾向は、特に水洗を行わない塗布
型処理により皮膜を形成させた場合に著しい。皮膜の耐
水性が低下すると、電着塗装後の耐水密着性が不十分に
なる。また、水可溶性の成分が皮膜中に存在していると
いうことは、鋼板保管時の防錆性(スタック試験等によ
り評価される防錆性)についても良好な結果は得られな
い。
ち皮膜の付着量をその中に含まれるリンの量で表したと
きに、20mg/m2 以上350mg/m2 以下である
ことが必要である。付着量が20mg/m2 未満である
とプレス成形性が不十分であり、一方、付着量350m
g/m2 を超えると化成処理性が悪化する。
めに、フィールドエミッション型の電子顕微鏡観察や、
X線光電子分光法およびオージェ電子分光法による測定
を行った。その結果、皮膜は亜鉛とリンの元素比(亜鉛
/リン)が1.3〜1.9の、顕微鏡では観察できない
ような、非晶質の均一な皮膜であることが判明した。但
し、付着量が多い場合には、皮膜表面に球状の付着物が
観察された。
物である皮膜の表面の結晶構造を示す図で、フィールド
エミッション型の走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観
察したものである。図1は後述する実施例の本発明例3
(リンの付着量:25mg/m2 )の亜鉛系めっき鋼板
のめっき層の表面に形成された皮膜の結晶構造に、図2
は同じく本発明例6(リンの付着量:100mg/m
2 )のそれに対応する。なお、両図において、(a)は
倍率3000、(b)は倍率20000である。これら
の図に示されるように、皮膜は非晶質であり、付着量が
多い本発明例6においては球状の付着物が認められる
(図2(b)中に矢印で表示)。
することによりプレス成形時における潤滑性が向上する
メカニズムは、成形油等に添加される極圧添加剤と同様
であると推定される。すなわち、皮膜を構成するリン酸
系化合物は、塗油してプレス成形した時に、油の成分と
反応して、その反応生成物が工具とめっき層との金属ど
うしの接触を防止するという境界潤滑効果を示すものと
考えられる。
に、スポット溶接性、化成処理性および電着塗装性につ
いても極めて良好である。
たように、めっき層の表面にリン酸と亜鉛との非晶質の
反応生成物である皮膜を有しており、連続高速プレス成
形に耐える高度なプレス成形性を有するとともに、スポ
ット溶接性、化成処理性および電着塗装性にも優れてい
る。
の表面に有する皮膜は、非晶質のリン酸系化合物にアル
ミナが分散した混合物からなる皮膜である。
(1)のめっき鋼板表面の皮膜の場合と同様に、リン酸
とめっき層を構成する亜鉛との反応により形成される非
晶質の皮膜であることが必要である。結晶性のものであ
ると、プレス時の潤滑性は良好であるが、パウダリング
が起こりやすくなる。また、同じく、上記の非晶質の皮
膜は、アルカリ金属やアルカリ土類金属のりん酸塩を用
いて形成されたものであってはならない。皮膜中にアル
カリ金属やアルカリ土類金属が大量に取り込まれ、皮膜
の耐水性が低下して、電着塗装後の耐水密着性が低下す
るからである。
含まれるリン酸系化合物は、リンに換算して、5mg/
m2 以上350mg/m2 以下であることが必要であ
る。
き鋼板にあっては、皮膜に含まれるリン酸系化合物は、
リンに換算して、20mg/m2 以上であることが必要
であるが、アルミナゾルをリン酸系化合物と共存させる
ことにより、リン酸系化合物の付着量が20mg/m2
未満でも良好なプレス成形性が確保される。これは、リ
ン酸系化合物による境界潤滑作用に加え、硬質なアルミ
ナ皮膜が形成されることによって鋼板と金型との接触面
積が減少し、潤滑性の向上が図られることによるもので
ある。
/m2 未満であるとプレス成形性が十分ではなく、一
方、350mg/m2 を超えると良好な接着性が確保さ
れない。好ましくは、10mg/m2 以上200mg/
m2 以下である。
は、後に詳述するが、リン酸水溶液中に分散された羽毛
状のアルミナゾルを40℃以上の温度で乾燥することに
より形成されたものであることが必要である。
/m2 以上100mg/m2 以下でなければならない。
15mg/m2 未満であると、リン酸系化合物とアルミ
ナによる相乗的なプレス成形性の向上が見られない上、
接着性の向上もほとんど認められない。一方、アルミナ
の量が100mg/m2 を超えると、プレス成形時に鋼
板の表面に「あれ」が生じ、プレス成形後の外観が著し
く損なわれる上、パウダリングが生じる。したがって、
皮膜中のアルミナの量は、15mg/m2 以上100m
g/m2 以下と限定した。より好ましい範囲は、20m
g/m2 以上80mg/m2 以下である。
うに優れたプレス成形性を有するとともに接着性にも優
れている。
き鋼板の製造方法である。母材である亜鉛系めっき鋼板
のめっき層の表面に、アルカリ金属塩またはアルカリ土
類金属塩を含有しない、2重量%以上30重量%以下の
濃度のリン酸水溶液を所定量塗布し、40℃以上で乾燥
することにより(1)の亜鉛系めっき鋼板を製造するこ
とができる。
と、形成される皮膜に部分的にリン酸亜鉛の結晶の析出
が認められる。また、濃度が30重量%を超えるリン酸
水溶液を塗布すると、水素の発生が激しく起こり、めっ
き表面のエッチングが著しく、乾燥後もめっき表面にピ
ット状のエッチング痕が多くみられるようになる。
酸水溶液を1ml/m2 以上10ml/m2 以下の範囲
内でめっき層の表面に塗布し、40℃以上で乾燥する。
塗布後の水洗は行わない。リン酸水溶液の塗布量が1m
l/m2 未満であると、水分の蒸発が早すぎてリン酸と
亜鉛との反応が十分でなく、また反対に、塗布量が10
ml/m2 を超えると、乾燥に時間がかかり実用的でな
いだけでなく、処理液が乾燥するまでの間に、めっき表
面がエッチングされ過ぎる可能性がある。
℃未満であると乾燥に時間がかかるのみならず、リン酸
と亜鉛との反応が不十分になるので、40℃以上とす
る。乾燥温度の上限は特に規定しないが、150℃以下
が好ましい。乾燥温度が150℃を超えると、皮膜にひ
び割れが生じ、プレス成形性が低下するおそれがある。
ものではない。浸漬塗布後ロール絞り、スプレー塗布後
ロール絞り、ロールコータ法などの常法が使用できる。
乾燥についても、通常用いられている熱風型オーブン、
赤外線オーブン等を使用すればよい。
は、上記(3)の方法を適用することにより、特別の手
段を必要とせず、安価にかつ簡便に製造することができ
る。
き鋼板の製造方法である。この亜鉛系めっき鋼板は、母
材である亜鉛系めっき鋼板のめっき層の表面に、羽毛状
のアルミナゾルを0.15重量%以上10重量%以下の
濃度になるように添加した0.5重量%以上30重量%
以下の濃度のリン酸水溶液(以下、アルミナゾルを添加
したリン酸水溶液を「処理液」という)を所定量塗布
し、40℃以上で乾燥することにより製造することがで
きる。
毛状のアルミナゾルを用いるのは、乾燥を低温度で行
い、皮膜形成に要する時間を短縮し、しかも硬質の皮膜
とすることができるからである。このとき用いる羽毛状
のアルミナゾルとしては、粒子径が5〜200nmの範
囲内のアルミナコロイドが重合した0.5μm〜10μ
mの大きさのものが好ましい。このようなアルミナゾル
を用いれば、リン酸水溶液中に安定かつ均一に分散させ
ることができ、鋼板表面への安定かつ均一な塗布が容易
になる。
5重量%以上10重量%以下とする。アルミナゾルの濃
度が10重量%を超えると処理液の粘度が大きくなり、
塗布性および塗布後の表面の均一性に支障が生じる。ま
た、0.15重量%未満であると、後述する所定量以下
の処理液では、必要とされる15mg/m2 以上のアル
ミナを鋼板表面に付着させることができない。
上30重量%以下とする。0.5重量%未満であると、
必要とされる5mg/m2 以上のリン酸系化合物を鋼板
表面に付着させることができず、また、濃度が30重量
%を超えると、反応が激しくなりすぎ、実用的でない。
/m2 以上10ml/m2 以下とする。1ml/m2 未
満であると、乾燥が早すぎるため、処理液中のリン酸と
鋼板表面の亜鉛との反応が十分ではなく、10ml/m
2 を超えると乾燥に時間がかかりすぎ、実用的ではない
からである。
℃以上で行うことが必要である。乾燥温度が40℃未満
では羽毛状のアルミナゾル粒子間の重合・架橋が十分に
進行せず、硬質のアルミナ皮膜が形成されないため、鋼
板に十分なプレス成形性を付与することができない。乾
燥温度の上限は特に規定しないが、前記の(3)の方法
の場合と同様150℃以下が好ましい。乾燥温度が15
0℃を超えると、皮膜にひび割れが生じ、プレス成形性
が低下するおそれがある。
(3)の方法におけるリン酸水溶液の塗布の場合と同様
で、特に限定されるものではない。浸漬後ロール絞り、
スプレー後ロール絞り、ロールコータ法等の方法を使用
すればよい。乾燥についても同様で、通常用いられてい
る熱風型オーブン、赤外線オーブン等を使用すればよ
い。
ば、前記(2)の亜鉛めっき鋼板を容易に製造すること
ができる。
っき鋼板(板厚:0.8mm、めっき目付量:両面とも
60g/m2 、以下、GAと略称する)を用いた。な
お、耐パウダリング性の評価の基準材として、GAの上
層に目付量が2g/m2 の鉄めっきを施した鋼板(GA
/Mと略称する)を用いた。
に際し、前処理として、アルカリスプレー脱脂を行っ
た。
ンガーロール絞り、またはロールコータ法を用いて行っ
た。なお、比較のために、本発明で規定する濃度から外
れるリン酸水溶液、および種々のリン酸塩水溶液も用い
た。塗布後の乾燥は、100℃に設定した熱風炉で行っ
た。
して表示)とその濃度、塗布方法、塗布量、乾燥温度
(100℃に設定した熱風炉を通過する間に昇温した鋼
板、すなわち塗膜の温度)およびリンに換算して表した
皮膜の付着量を示す。
試験を行い、性能を評価をした。
で試験を行った。
した。
った試料(プレス成形性の評価が◎のもの)について
は、成形品を溶剤脱脂した後に絞り壁部のテープ剥離を
行い、パウダリング量を調査した。耐パウダリング性の
評価は、前記のGA/Mを基準材として以下の2段階で
行い、○であれば良好とした。
枚を重ね合わせ、先端径が6mmのCu−Cr合金製電
極を備えた交流シングルスポット溶接機を用いて、以下
の条件で連続スポット溶接を行った。
の打点(連続打点)により以下の3段階で行い、○であ
れば良好とした。
化成処理を行った。処理液としては日本パーカライジン
グ社製のPB−L3080(商品名)を用いた。
顕微鏡(倍率:1000)で観察した結果により以下の
4段階で行い、◎または○であれば良好とした。
は結晶粒大の部分あり △:スケもしくは結晶粒大 ×:結晶粒大もしくは結晶生成なし 〔電着塗装性〕化成処理を施した試料に、日本ペイント
社製カチオン電着塗料U−600(商品名)を用いて、
厚さ20μmの電着塗装を施した。
時間浸漬した後、その表面に一辺の長さが1mmの碁盤
目を100マス切り込み、これに対してテープ剥離を行
って残存塗膜率を求めた。電着塗装性の評価は、この残
存塗膜率により以下の3段階で行い、○であれば良好と
した。
本発明方法により作製しためっき鋼板(本発明例1〜
8)は、プレス成形性、耐パウダリング性、スポット溶
接性、化成処理性および電着塗装性のいずれにも優れて
いることがわかる。
び6の鋼板のめっき層の表面に形成された皮膜の結晶構
造を示す図で、FE−SEMで観察したものである。両
図において、(a)は倍率3000、(b)は倍率20
000である。本発明例3(図1)は皮膜の付着量がリ
ンに換算して25mg/m2 の場合、本発明例6(図
2)は同じく100mg/m2 の場合であるが、これら
の図から明らかなように、いずれにおいても非晶質の均
一な皮膜が形成されている。なお、付着量が多い本発明
例6の鋼板においては、球状の付着物が認められた(図
2(b)中に矢印で表示)。
れる比較例では、上記の性能の少なくとも一つが不良で
あった。
板には、GA(板厚:0.8mm、めっき目付量:両面
とも60g/m2 )を用いた。なお、めっき皮膜のFe
含有量は11.0重量%、Al含有量は0.3重量%で
あった。
のアルミナゾル(比較のため、一部板状のアルミナゾル
も使用)を分散させた処理液に浸漬し、リンガーロール
でGA表面に塗布される処理液量が2ml/m2 となる
ように調整した後、熱風炉で乾燥させた。アルミナゾル
の濃度は0〜15重量%の範囲内で、リン酸の濃度は0
〜35重量%の範囲内で変化させた。
びリン酸の濃度)、アルミナゾルの形態、乾燥温度、お
よび母材鋼板の表面に形成された皮膜に含まれるアルミ
ナの量とリンに換算して表したリン酸系化合物の量(表
中では付着量と表示)を示す。
試験を行い、性能を評価をした。
で試験を行った。
2 ) 成形性の評価は以下の4段階で行い、◎および○であれ
ば良好とした。
接着剤厚みが150μmになるように塗布した後、16
0℃×10分の条件で焼き付け硬化させ、試験片を作製
した。なお、接着剤の塗布は、実際の使用状況を想定し
て、試料表面に洗浄油(塗油量5〜6g/m2 )が存在
している状態で行った。
ともに、接着面を観察して剥離形態を調査することによ
り行った。評価基準は下記の4段階とし、◎および○で
あれば良好とした。
全面が凝集破壊 ○:T剥離強度が100N/25mm以上で、接着面の
70%以上が凝集破壊 △:T剥離強度が50N/25mm以上100N/25
mm未満で、接着面が界面破壊 ×:T剥離強度が50N/25mm未満で、接着面が界
面破壊(T剥離強度が50N/25mm未満の場合は、
すべて界面破壊であった) 評価結果を表2に併せて示す。この結果から明らかなよ
うに、本発明例では、優れたプレス成形性と接着性を有
するのに対し、本発明で規定する条件から外れる比較例
では、プレス成形性および接着性のいずれかが不良であ
り、パウダリングを生じたものもあった。また、皮膜が
アルミナのみからなる場合のプレス成形性はよくなかっ
た(比較例35)。アルミナゾルの形態が羽毛状でない
場合は、40℃で乾燥しても硬質のアルミナ皮膜が形成
されず、プレス成形性は不良であり(比較例36)、高
温(150℃)で乾燥したところ、アルミナおよびリン
酸系化合物の付着量が規定範囲内であるにもかかわらず
パウダリングが生じた(比較例37)。
ると、前者よりも後者の方がリン酸系化合物の付着量
(表中ではPに換算して表示)が多いにもかかわらず、
後者ではプレス成形性が不良であった。これは、前者
(本発明例20)では皮膜中にアルミナとリン酸系化合
物が共存しており、アルミナとリン酸化合物とがプレス
成形性の向上に相乗的な効果をもたらしていることによ
るものと考えられる。
同じGAを用い、これをアルカリで脱脂した後、その表
面に表3に示す組成の処理液をロールコータで塗布し、
赤外線オーブンで乾燥させた。このときの乾燥温度は4
5℃とした。
びリン酸の濃度)、処理液の塗布量、および母材鋼板表
面に形成された皮膜に含まれるアルミナの量とリンに換
算して表したリン酸化合物の量(表中では付着量と表
示)を示す。なお、アルミナゾルとしては羽毛状のもの
を用いた。
2と同様の方法でプレス成形性と接着性の評価を行っ
た。
ら明らかなように、処理液の塗布量が本発明で規定する
範囲から外れる場合は、プレス成形性と接着性をともに
良好に維持することができず、アルミナまたはリン酸化
合物の付着量が多い場合はパウダリングが生じた。
レス成形性を有し、しかも、スポット溶接性、化成処理
性、電着塗装性にも優れ、あるいは、優れたプレス成形
性に加えて良好な接着性も兼ね備えており、特に自動車
用の素材として好適である。この亜鉛系めっき鋼板は、
本発明の方法を適用すれば、特別な手段を必要とせず、
安価にかつ簡便に製造することができる。
皮膜(リンの付着量:25mg/m2 )の結晶構造を示
す図で、(a)は倍率3000、(b)は倍率2000
0である。
皮膜(リンの付着量:100mg/m2 )の結晶構造を
示す図で、(a)は倍率3000、(b)は倍率200
00である。
Claims (4)
- 【請求項1】亜鉛系めっき鋼板のめっき層の表面に、リ
ン酸と亜鉛との非晶質の反応生成物を、リンに換算して
20mg/m2 以上350mg/m2 以下の範囲で
有することを特徴とするプレス成形性に優れた亜鉛系め
っき鋼板。 - 【請求項2】亜鉛系めっき鋼板のめっき層の表面に、リ
ンに換算して5mg/m2 以上350mg/m2 以下
の非晶質のリン酸化合物に15mg/m2 以上100
mg/m2 以下のアルミナが分散した混合物からなる
皮膜を有することを特徴とするプレス成形性に優れた亜
鉛系めっき鋼板。 - 【請求項3】亜鉛系めっき鋼板のめっき層の表面に、ア
ルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含有しない、
2重量%以上30重量%以下の濃度のリン酸水溶液を1
ml/m2 以上10ml/m2 以下の範囲内で塗布
し、40℃以上で乾燥することを特徴とするプレス成形
性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項4】亜鉛系めっき鋼板のめっき層の表面に、羽
毛状のアルミナゾルを0.15重量%以上10重量%以
下の濃度になるように添加した0.5重量%以上30重
量%以下の濃度のリン酸水溶液を1ml/m2 以上1
0ml/m2 以下の範囲内で塗布し、40℃以上で乾
燥することを特徴とするプレス成形性に優れた亜鉛系め
っき鋼板の製造方法。
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JP7-269858 | 1995-10-18 | ||
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