JP3265247B2 - スチレン系樹脂粒子の製造法 - Google Patents

スチレン系樹脂粒子の製造法

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JP3265247B2
JP3265247B2 JP29288597A JP29288597A JP3265247B2 JP 3265247 B2 JP3265247 B2 JP 3265247B2 JP 29288597 A JP29288597 A JP 29288597A JP 29288597 A JP29288597 A JP 29288597A JP 3265247 B2 JP3265247 B2 JP 3265247B2
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康宏 迫田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スチレン系樹脂粒
子の製造法に関する。更に詳しくは、本発明は、任意に
調節された平均粒径と狭い粒度分布のスチレン系樹脂粒
子の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂粒子は、種々の分野で使
用されている。例えば、スチレン系樹脂粒子に揮発性発
泡剤等の発泡剤を含浸させることにより発泡性スチレン
系樹脂粒子を製造することができる。この発泡性スチレ
ン系樹脂粒子を発泡加工することにより得られる発泡成
形体は、軽量性、断熱性、緩衝性等の優れた特性を有す
るためインスタント食品等のカップ容器、魚箱・農産箱
等の農水産用輸送箱、OA機器・オーディオ機器・電化
製品等の各種緩衝包装材、家屋の床・天井等の断熱材、
鋳造におけるフルモールド法用、軽量盛土工法等のブロ
ック等の各種の用途に好適に使用される。
【0003】発泡性スチレン系樹脂粒子は、一般に約
0.25〜3.0mmの範囲の粒径を有する粒子が使用
されている。但し、使用する分野に応じて、要求される
粒径は異なっており、現状では適合する粒径の発泡性ス
チレン系樹脂粒子を選択して使用している。例えば、カ
ップ等の温湯容器や鋳造におけるフルモールド法用等の
用途には、粒径が約0.35〜0.7mmの粒子が、各
種梱包用、魚箱用等の型物成形体等の用途には約0.4
〜1.4mmの粒子が、軽量盛土工法・家屋等の断熱材
・一般緩衝包装材等に使用するブロック形状品の用途に
は約0.8〜2.4mmの粒子が使用されている。更
に、ブロック形状品については、強度があまり要求され
ない軽量の用途、例えば、発泡倍率が約70〜90倍の
用途には、約1.4〜2.0mmの粒径の樹脂粒子が使
用されている。一方、強度が要求される中重量の発泡倍
率が約50〜60倍の用途には、約0.85〜1.4m
mの粒径の樹脂粒子が使用されている。
【0004】上記いずれの用途においても、発泡性スチ
レン系樹脂粒子の粒径の幅が広い場合は、予備発泡した
際に発泡倍率が不均一になりやすく、また複雑な形状の
型に予備発泡粒子を充填し成形する時に充填が不均一に
なりやすいので、均質な発泡成形体を得にくい等の支障
をきたすことがある。発泡性スチレン系樹脂粒子の粒度
分布が広い場合には、必要な粒径のものを得るための収
率が悪くなるため、需要に応じた生産計画が煩雑にな
り、ひいては生産効率が悪くなるという問題点がある。
【0005】発泡性スチレン系樹脂粒子の原料のスチレ
ン系樹脂粒子の製造法としては、一般的にはスチレン系
単量体と重合開始剤とを懸濁安定剤を添加した水性媒体
中に、分散させて重合する懸濁重合方法が採用されてい
る。この懸濁重合法において使用される懸濁安定剤は、
熱安定性、機械的強度及び透明性等の観点から、難水溶
性無機塩が使用されている。この難水溶性無機塩はスチ
レン系単量体との親和性に乏しいので、通常、少量のア
ニオン界面活性剤が懸濁安定助剤として併用される。し
かし、この方法では、粒度分布の範囲の狭いスチレン系
樹脂粒子を得ることはできなかった。
【0006】上記難水溶性無機塩とアニオン界面活性剤
を併用した懸濁重合法において、得られるスチレン系樹
脂粒子の粒度分布の範囲を狭くするために、種々の提案
がなされている。例えば、特開平2−189302号公
報では、難水溶性リン酸塩とアニオン界面活性剤の存在
下で、重合添加率が0〜30%の間に、水素イオン濃度
を10-9〜10-13 になるように調整することにより、
また特開平8−231611号公報では、難水溶性リン
酸塩とアニオン界面活性剤の存在下で、重合転化率が5
%未満でpHを5〜8とし、重合転化率が5〜10%の
間でpHを10〜12に調整することにより狭い粒度分
布のスチレン系樹脂粒子を得る方法が記載されている。
しかし、これらの提案でも、十分狭い範囲の粒度分布の
スチレン系樹脂粒子を得ることはできなかった。
【0007】更に、上記提案では、スチレン系樹脂粒子
の平均粒径は、難水溶性無機塩の量及び液滴の撹拌速度
等による機械的な力で制御していた。上記提案より更に
粒度分布の範囲の狭いスチレン系樹脂粒子を製造する方
法として、アニオン界面活性剤を使用することなく、難
水溶性リン酸塩の水性懸濁系で、スチレン系単量体を重
合させる方法(いわゆるソープフリー重合方法)が知ら
れている(特公昭46−15112号公報、米国特許2
652392及び特開平8−301905号公報)。ソ
ープフリー重合の必須の添加剤として、特公昭46−1
5112号公報では水溶性亜硫酸塩が、米国特許第26
52392号明細書では水溶性過硫酸塩が使用され、特
開平8−301905号公報では水溶性亜硫酸塩及び水
溶性過硫酸塩の両者が併用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記ソープフリー重合
方法は、スチレン系樹脂粒子の粒度を、水溶性亜硫酸塩
及び/又は水溶性過硫酸塩の添加量や難水溶性リン酸塩
の量あるいはスチレン系単量体、水性媒体及び懸濁安定
剤からなる懸濁系を攪拌する翼の速度によって調整して
いる。
【0009】例えば、水溶性亜硫酸塩を使用したソープ
フリー重合方法では、水溶性亜硫酸塩の添加量を調整す
ることにより、平均粒径が約0.6〜1.5mm程度の
比較的粒径の大きいスチレン系樹脂粒子を得ることがで
きる。しかし、0.5mm以下の平均粒径の粒子を得よ
うとすると粒度分布が大きくなる。また、水溶性過硫酸
塩を使用したソープフリー重合方法では、水溶性過硫酸
塩の添加量を調整することにより、平均粒径が約0.3
〜0.5mm程度の比較的粒径が小さいスチレン系樹脂
粒子を得ることができる。しかし、水溶性亜硫酸塩の場
合と同様の理由で、平均粒径が約0.3mm以下の範囲
で粒度分布の範囲の狭いスチレン系樹脂粒子を得ること
が難しい。
【0010】また、水溶性亜硫酸塩及び水溶性過硫酸塩
を併用したソープフリー重合方法では、水溶性亜硫酸塩
を使用した場合と水溶性過硫酸塩を使用した場合の中間
的性質があり、両者の添加量を調整することにより、平
均粒径が約0.5〜0.8mmのスチレン系樹脂粒子を
得ることができる。しかし、前者の場合と同様の理由
で、平均粒径が約0.5mm以下の範囲で粒度分布の範
囲の狭いスチレン系樹脂粒子を得ることが難しい。
【0011】更に、難水溶性リン酸塩の量による調整で
は、一般的に添加量を多くすることにより平均粒径を小
さくすることができるが、添加量を多くすることにより
平均粒径を制御できる幅が狭い。また、添加量が多くな
ることによりコストがかかるだけでなく、スチレン系樹
脂粒子製造後の排水処理のコストも必要である。また、
攪拌翼の回転速度を低速にすれば、大きい平均粒径の粒
子を得ることができるが、粒径が不揃いになる恐れがあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような課題に対し本
発明の発明者らは、鋭意検討の結果、懸濁系にアルカリ
を添加することにより、意外にも得られるスチレン系樹
脂粒子が小粒化する現象を見いだし本発明を完成するに
至った。かくして、本発明によれば、スチレン系単量体
を、水性媒体中で、難水溶性リン酸塩と、水溶性亜硫酸
塩、水溶性過硫酸塩又はそれらの混合物との存在下で、
かつアニオン系界面活性剤の不存在下で、重合転化率が
30%以下の時に、式X+0.5≦Y≦12(式中、X
は水性媒体単独のpHであり、Yはアルカリ添加後の水
性媒体のpHである。)を満足する範囲内でアルカリを
添加して、懸濁重合させることにより調整された平均粒
径を有するスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする
スチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明によれば、スチレン系樹脂
粒子、とりわけ発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方
法において、種々の条件下で、粒度分布の範囲が狭く、
かつ平均粒径を比較的小粒子側に制御することができる
スチレン系樹脂粒子の製造法を提供することができる。
即ち、本発明によれば、水性媒体中、アニオン界面活性
剤を使用することなく、難水溶性リン酸塩と、水溶性亜
硫酸塩及び/又は水溶性過硫酸塩との存在下で、スチレ
ン系単量体を懸濁重合させる場合において、スチレン系
樹脂粒子の平均粒径を用途に応じて自由に制御すること
ができる。
【0014】本発明に使用できるスチレン系単量体は、
スチレン単量体単独又はスチレン単量体を主成分としス
チレン単量体と共重合しうる他の単量体を添加した混合
物が挙げられる。他の単量体としては、例えば、α−メ
チルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレ
ン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、メチルメタ
クリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタク
リレート等のメタクリレート系単量体、エチルアクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレー
ト系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等
のシアン化ビニル系単量体、ジビニルベンゼン、ポリエ
チレングリコールジメタクリレート等の多官能性単量体
等が挙げられる。
【0015】水性媒体としては、水単独又は、水とアル
コール等の水溶性の溶媒とからなる媒体等が挙げられ
る。本発明において難水溶性リン酸塩は分散剤として使
用される。難水溶性リン酸塩としては、リン酸三カルシ
ウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム等が
挙げられる。更に、反応器内でリン酸と水酸化カルシウ
ムとを反応させたり、リン酸ナトリウム等のリン酸アリ
カリ金属塩と、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムと
を反応させることにより得られる難水溶性リン酸塩も使
用することができる。これら難水溶性リン酸塩は、粉
末、水性スラリーの状態で使用することができる。ま
た、反応させることにより難水溶性リン酸塩を得る場合
は、難水溶性リン酸塩を得ることができさえすれば、ど
のような状態の原料を使用してもよい。使用量はスチレ
ン系単量体100重量部に対して、固形分換算で0.0
3重量部以上であることが好ましい。0.03重量部よ
り少ないと、分散状態が維持できずスチレン系樹脂が塊
化する危険性が大きいので好ましくない。なお、1重量
部以上でも反応は可能であるがさらなる効果がないと共
に経済的ではないため、更に好ましい使用量は、0.0
3〜1重量部である。
【0016】また、本発明には水溶性亜硫酸塩及び/又
は水溶性過硫酸塩が使用される。水溶性亜硫酸塩として
は、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫
酸水素アンモニウム等が挙げられる。また、重合反応器
内で反応して亜硫酸塩となる水溶性の前駆物質も使用で
きる。前駆物質としては、水溶性のピロ亜硫酸塩、ピロ
硫酸塩、亜二チオン酸塩、チオ硫酸塩、スルホキシル酸
塩、硫酸塩等が挙げられる。これらの中で特に亜硫酸水
素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナ
トリウム、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラー
トが好ましい。
【0017】水溶性亜硫酸塩の使用量は、単独で使用し
た場合、スチレン系単量体に対して1.5〜100pp
mの範囲であることが好ましく、更に好ましくは2.0
〜50ppmの範囲である。1.5ppmより少ない
と、懸濁系が不安定になって塊化したり、粒度分布が広
くなる恐れがあるため好ましくない。100ppmより
多い場合、添加により得られる効果が平衡に達するの
で、経済的でなく好ましくない。
【0018】一方、水溶性過硫酸塩としては、過硫酸ナ
トリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が挙
げられる。この内、特に過硫酸カリウムが好ましい。水
溶性過硫酸塩の使用量は、単独で使用した場合、スチレ
ン系単量体に対して1.5〜50ppmの範囲であるこ
とが好ましく、更に好ましくは2〜10ppmの範囲で
ある。1.5ppmより少ないと、粒度分布が広くなる
ので好ましくない。50ppmより多いと、発泡性スチ
レン系樹脂粒子の製造法に使用した場合、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子から製造される発泡体の気泡径が微細にな
り発泡成形体の品質が劣化するため好ましくない。
【0019】また、水溶性亜硫酸塩と水溶性過硫酸塩を
併用する場合、両者の添加量の和が1.5ppm以上で
あることが好ましい。1.5ppmより少ないと、重合
反応途中で懸濁系が不安定になって塊化したり、粒度分
布が広くなるので好ましくない。本発明では、重合転化
率が30%以下の時にアルカリを添加して懸濁重合させ
ることを特徴の1つとしている。即ち、水性媒体単独の
pHを所定の範囲内になるような量のアルカリを懸濁重
合系に添加することにより、意外にも得られるスチレン
系樹脂粒子が小粒化する現象が発明者らにより見いださ
れたことに基づいて本発明がなされている。
【0020】アルカリの添加時期は、スチレン単量体の
重合転化率が30%以内であれば限定されるものではな
い。即ち、添加時期は反応器に水性媒体を投入した後、
反応器に水性媒体、スチレン系単量体、難水溶性リン酸
塩、水溶性亜硫酸塩、水溶性過硫酸塩、重合開始剤及び
その他の添加剤を投入した後又はその途中、或いは実質
的に重合が開始し重合転化率が30%以内の時期等が挙
げられる。これら添加時期は、目的とする粒径に応じて
適宜選択すればよい。なお、重合転化率が30%より大
きい場合は、アルカリを添加する効果が生じないので好
ましくない。
【0021】具体的なアルカリの添加量は、 式 X+0.5≦Y≦12 (式中、Xは水性媒体単独のpHであり、Yはアルカリ
添加後の水性媒体のpHである。)を満足する範囲内で
あることが好ましい。YがX+1より小さいと平均粒径
が小さくならず十分な効果が得られないため好ましくな
い。また、pHが12より大きいと平均粒径が著しく小
さくなるため好ましくない。
【0022】ただし、アルカリの添加時期が、水性媒体
にスチレン系単量体、難水溶性リン酸塩、水溶性亜硫酸
塩、水溶性過硫酸塩、重合開始剤及びその他の添加剤を
添加した後、その途中又は重合中である場合、仕込まれ
た化合物の緩衝作用によりpH変化が抑制される。この
場合は、スチレン系単量体、難水溶性リン酸塩、水溶性
亜硫酸塩、水溶性過硫酸塩、重合開始剤及びその他の添
加剤を添加する前の水性媒体にアルカリを添加した場合
に、上記式を満足しうる量と同量のアルカリを懸濁系に
添加すればよい。
【0023】アルカリの添加方法としては、直接反応器
に投入しても良く、水で希釈して反応器に投入しても良
い。本発明に使用できるアルカリとしては、特に限定さ
れるものではないが、水酸化カルシウム、水酸化ナトリ
ウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等が挙げら
れる。
【0024】また、本発明においては、重合開始剤を添
加してもよい。重合開始剤としてはベンゾイルパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチル
パーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパ
ーオキオシベンゾエート、2,2−ビス−t−ブチルパ
ーオキシブタン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロ
ニトリル等のアゾ化合物等の一般的なラジカル重合に使
用される重合開始剤が挙げられる。
【0025】更に、本発明においては、造核剤、難燃剤
等の一般的な添加剤を使用することができる。造核剤と
しては1,2−ヒドロキシステアリン酸アマイド、エチ
レンビスステアリルアマイド、ポリエチレンワックス等
が、難燃剤としてはヘキサブロモシクロドデカン、パー
クロロペンタシクロドデカン、ヘキサブロモベンゼン、
デカブロモビスフェニルエーテル、テトラブロモビスフ
ェノールA・誘導体、塩素化パラフィン、臭素化ポリブ
タジエン等が挙げられる。
【0026】上記方法によれば、任意に調節された平均
粒径と狭い粒度分布のスチレン系樹脂粒子を得ることが
できる。例えば、水溶性亜硫酸塩及び/又は水溶性過硫
酸塩の添加量を一定にしておいて、アルカリの添加量を
変えることにより、75重量%以上のピーク3メッシュ
の狭い粒度分布を維持しながら平均粒系を0.2〜0.
7mmの間で任意にかつ簡便に制御されたスチレン系樹
脂粒子を得ることができる。特に、本発明では、平均粒
径0.25〜0.7mmの発泡性スチレン系樹脂粒子が
使用される薄肉のカップ容器用の原料としてのスチレン
系樹脂粒子を効率よく製造することができる。また、平
均粒径0.2mm前後のスチレン系樹脂粒子も効率よく
製造することができるので、この範囲の平均粒径を使用
する新規用途にも対応することができる。
【0027】更に、本発明によれば、発泡剤を懸濁重合
中の水性媒体に添加するか又は懸濁重合後にスチレン系
樹脂粒子に含浸させることにより、発泡性スチレン系樹
脂粒子も製造することができる。本発明において使用で
きる発泡剤としては、種々の公知のものが挙げられるが
プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン等の炭素数3〜6の飽和炭化水素、
メチルクロライド、ジクロルジフルオロメタン等のハロ
ゲン化炭化水素等が挙げられる。これら発泡剤は、単独
もしくは2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】発泡剤の添加・含浸量は、スチレン系樹脂
粒子に対して3〜15重量%が好ましい。添加・含浸時
期は、重合途中又は重合後のいずれでもよいが、重合転
化率85%以上の時点が好ましい。上記のように製造さ
れた発泡性スチレン系樹脂粒子は、所望時に、加熱して
予備発泡粒子とし、更に所定の形状を有する金型を用い
て発泡成形体とすることができる。また、発泡性スチレ
ン系樹脂粒子を発泡加工することにより得られる発泡成
形体は、軽量性、断熱性、緩衝性等の優れた特性を有す
るためインスタント食品等のカップ容器、魚箱・農産箱
等の農水産用輸送箱、OA機器・オーディオ機器・電化
製品等の各種緩衝包装材、家屋の床・天井等の断熱材、
鋳造におけるフルモールド法用、軽量盛土工法等のブロ
ック等の各種用途に好適に使用することができる。
【0029】
【実施例】
実施例1 100リットルのオートクレーブにイオン交換水40k
gを仕込み、純度96%の水酸化カルシウム(白石工業
社製)4g(100ppm/イオン交換水に相当す
る。)を添加してpHを調節した。また、水酸化カルシ
ウムを添加する前および添加後のpHをガラス電極式水
素イオン濃度計(東亜電波工業社製)にて測定した。そ
の後、リン酸三カルシウム(商品名:太平化学社製)1
20gと、亜硫酸水素ナトリウム0.06gを加え、更
にスチレン単量体40kgに重合開始剤としての過酸化
ベンゾイル(ベンゾイルパーオキサイド)(純度75
%)140gとt−ブチルパーオキシベンゾエート30
gを溶解したスチレン単量体混合液を順次仕込み、攪拌
下で分散させ懸濁液を形成した。
【0030】次に、200rpmの攪拌下で、懸濁液を
1時間で90℃に昇温し、90℃で6時間維持して、ス
チレン単量体を重合させた。反応終了後、冷却し、オー
トクレーブから内容物を取り出し、洗浄・脱水工程に付
すことにより乾燥させたスチレン樹脂粒子を得た。得ら
れたスチレン樹脂粒子の平均粒径(D50)及び粒度分布
(ピーク3メッシュ)を、製造条件と共に表1に示し
た。
【0031】なお、本発明において、ピーク3メッシュ
とはJIS標準ふるい目開き2.36mm(7.5メッ
シュ)、目開き2.00mm(8.6メッシュ)、目開
き1.70mm(10メッシュ)、目開き1.40mm
(12メッシュ)、目開き1.18mm(14メッシ
ュ)、目開き1.00mm(16メッシュ)、目開き
0.85mm(18メッシュ)、目開き0.71mm
(22メッシュ)、目開き0.60mm(26メッシ
ュ)、目開き0.50mm(30メッシュ)、目開き
0.425mm(36メッシュ)、目開き0.355m
m(42メッシュ)、目開き0.300mm(50メッ
シュ)、目開き0.250mm(60メッシュ)、目開
き0.212mm(70メッシュ)、目開き0.180
mm(83メッシュ)、で分級し、累積重量分布曲線を
基にして累積重量が50%となる粒径(メディアン径)
を平均粒径(D50)とし、D50の粒径が属する範囲から
分布割合の多い3メッシュの範囲の粒度分布割合を合計
した値を意味する。
【0032】実施例2 水酸化カルシウムの添加量を8gに変更したこと以外
は、実施例1と同様にスチレン樹脂粒子を製造した。そ
の結果を製造条件と共に表1に示した。
【0033】実施例3 亜硫酸水素ナトリウムの使用量を1.6gに変更したこ
と以外は、実施例1と同様にスチレン樹脂粒子を製造し
た。その結果を製造条件と共に表1に示した。
【0034】比較例1〜3 水酸化カルシウムを添加せず、亜硫酸水素ナトリウムの
使用量を変更したこと以外は、実施例1と同様にスチレ
ン樹脂粒子を製造した。その結果を製造条件と共に表1
に示した。
【0035】実施例4及び5、比較例4 水酸化カルシウムの代わりに純度99.5%以上の炭酸
水素ナトリウム(和光純薬社製)を表1に示す量で添加
すること以外は、実施例1と同様にスチレン樹脂粒子を
製造した。その結果を製造条件と共に表1に示した。
【0036】実施例6 亜硫酸水素ナトリウムを0.4g、過硫酸カリウムを
0.16g使用したこと以外は、実施例1と同様にスチ
レン樹脂粒子を製造した。その結果を製造条件と共に表
1に示した。
【0037】比較例5 亜硫酸水素ナトリウムの代わりに過硫酸カリウムを2.
4g使用し、水酸化カルシウムを使用しないこと以外
は、実施例1と同様にスチレン樹脂粒子を製造した。そ
の結果を製造条件と共に表1に示した。
【0038】実施例7 亜硫酸水素ナトリウムの代わりに過硫酸カリウムを0.
16g使用したこと以外は、実施例1と同様にスチレン
樹脂粒子を製造した。その結果を製造条件と共に表1に
示した。
【0039】実施例8 イオン交換水の代わりに水道水を使用したこと以外は、
実施例3と同様にスチレン樹脂粒子を製造した。その結
果を製造条件と共に表1に示した。
【0040】比較例6 イオン交換水の代わりに水道水を使用したこと以外は、
比較例2と同様にスチレン樹脂粒子を製造した。その結
果を製造条件と共に表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】表1から明らかなように、実施例1〜8で
は、比較例1〜6と比較して、平均粒径D50が小さくか
つピーク3メッシュが大きいスチレン樹脂粒子を得るこ
とができることが判った。更に、実施例2と比較例2、
又は実施例3及び6と比較例3では、それぞれほぼ同じ
平均粒径D50を示すが、何れもピーク3メッシュの値が
比較例より実施例の方が大きい。つまり、実施例では、
得られるスチレン系樹脂粒子の粒度分布を狭くすること
ができることが判った。
【0043】実施例9〜11及び比較例7 水酸化カルシウムを添加する時期を変更すること以外
は、実施例1と同様にスチレン樹脂粒子を製造した。即
ち、100リットルのオートクレーブに、イオン交換水
とリン酸三カルシウムと亜硫酸水素ナトリウム及び過硫
酸カリウムを加え、更にスチレン単量体に重合開始剤と
して過酸化ベンゾイル(純度75%)とt−ブチルパー
オキシベンゾエートを溶解したスチレン単量体混合液を
順次仕込み、攪拌下で分散させ懸濁液を形成した。次
に、200rpmの攪拌下で懸濁液を1時間で90℃に
昇温し、90℃で6時間維持して、スチレン単量体を重
合反応させた。なお、水酸化ナトリウム4g(100p
pm)は、スチレン単量体及びその他添加剤仕込み後
(実施例9)、昇温中(実施例10)、90℃で1時間
目(重合転化率26.1%)(実施例11)、90℃で
2時間目(重合転化率37.3%)(比較例7)にそれ
ぞれ添加した。
【0044】反応終了後冷却し、オートクレーブから内
容物を取り出し、洗浄・脱水工程に付したのち乾燥させ
たスチレン樹脂粒子を得た。その結果を製造条件と共に
表2に示した。
【0045】
【表2】
【0046】表2より、アルカリ(水溶性酸性無機物)
の添加時期が、重合転化率が30%以下の時であること
が、平均粒径D50が小さくかつピーク3メッシュが大き
いスチレン樹脂粒子を得るために必要であることが判っ
た。
【0047】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、アニオン界面
活性剤を添加することなく難水溶性リン酸塩の存在下
に、水性媒体中でスチレン系単量体を懸濁重合させる際
に、アルカリを添加することにより、樹脂粒子の粒度分
布が狭くかつ所望の平均粒径のスチレン系樹脂粒子を得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系単量体を、水性媒体中で、難
    水溶性リン酸塩と、水溶性亜硫酸塩、水溶性過硫酸塩又
    はそれらの混合物との存在下で、かつアニオン系界面活
    性剤の不存在下で、重合転化率が30%以下の時に、式
    X+0.5≦Y≦12(式中、Xは水性媒体単独のpH
    であり、Yはアルカリ添加後の水性媒体のpHであ
    る。)を満足する範囲内でアルカリを添加して、懸濁重
    合させることにより調整された平均粒径を有するスチレ
    ン系樹脂粒子を得ることを特徴とするスチレン系樹脂粒
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルカリが、水酸化カルシウム、水酸化
    ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸ナトリウムで
    ある請求項1に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂粒子が発泡性スチレン系
    樹脂粒子であり、発泡性スチレン系樹脂粒子が、発泡剤
    を懸濁重合中の水性媒体に添加するか又は懸濁重合後に
    スチレン系樹脂粒子に含浸させることにより得られる請
    求項1又は2に記載の製造方法。
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