JP2998216B2 - ビニル系重合体粒子及び発泡性ビニル系重合体粒子の製造法 - Google Patents

ビニル系重合体粒子及び発泡性ビニル系重合体粒子の製造法

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JP2998216B2
JP2998216B2 JP189491A JP189491A JP2998216B2 JP 2998216 B2 JP2998216 B2 JP 2998216B2 JP 189491 A JP189491 A JP 189491A JP 189491 A JP189491 A JP 189491A JP 2998216 B2 JP2998216 B2 JP 2998216B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は狭い粒径分布をもち、か
つ品質に優れるビニル系重合体粒子及び発泡性ビニル系
重合体粒子の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スチレン等の重合性モノマーを水
性媒体中で懸濁重合する際にはポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の水溶性高
分子又は陰イオン、界面活性剤を併用する難溶性無機塩
微粉末が懸濁安定化剤として使用されていた。しかしな
がら前者を懸濁安定化剤として使用した場合、重合排液
のCOD負荷が増大するため排水処理を必要とする欠点
があり、後者を懸濁安定化剤として使用した場合、得ら
れる重合体粒子の粒径分布が広くなるという欠点があっ
た。
【0003】発泡性ポリスチレン用重合体粒子は粒子径
によりその用途が異なり、粒子径300〜700μmの
ものはインスタント食品のカップ用に、粒子径700〜
1800μmのものは各種梱包用および魚箱用に、粒子
径1500〜3000μmのものは建材用ボードに使用
される。
【0004】難溶性無機塩微粉末及び陰イオン界面活性
剤を懸濁安定化剤とする懸濁重合で得られる重合体の粒
子径は100〜3000μmの広範囲にあり、粒径分布
が幅広いために上記用途に使用する発泡性ポリスチレン
用重合体粒子は篩分けすることにより各種用途別に提供
されてきた。しかしながら現在用途の違いにより発泡性
ポリスチレン用重合体粒子に要求される性質も多種多様
になってきており、用途別に重合体粒子を製造する必要
に迫られている。したがって所望の粒径の重合体粒子を
高収率で得られる懸濁重合法が強く望まれている。また
同時に微小粒子の発生が少ない懸濁重合法も強く望まれ
ている。微小粒子が多く生成すると、脱水処理、篩分け
によっても微小粒子を完全に除去するのが困難であり、
目的とする粒径の粒子間に微小粒子が混入した場合、成
形不良の原因となる。加えて排水中に混入した微小粒子
の回収も容易な作業ではない。
【0005】難溶性無機塩と陰イオン界面活性剤とを懸
濁安定化剤とする懸濁重合において、上記問題点を改善
し、狭い粒径分布をもつスチレン系重合体粒子を得るこ
とを目的として各種添加剤を使用する方法が提案されて
いる。例えば特公昭55−50042号公報にはペルオ
キソ二硫酸塩を添加する方法が開示されている。その
他、中性を示す水溶性無機塩、例えば塩化ナトリウムや
硫酸ナトリウムを添加する方法も知られている。また難
溶性無機塩と各種界面活性剤の組み合せからなる懸濁安
定化剤も多数開示されている(特開昭53−12609
4号公報、特開昭59−176309号公報、特開昭6
0−147406号公報、特公昭58−10406号公
報、特公昭59−41448号公報など)。
【0006】特公昭42−17497号公報には分散効
果の増大を目的に懸濁安定化剤として酸化亜鉛を使用
し、懸濁液の水相を少なくともpH9.3に保ち重合を
開始する方法、特公昭45−39549号公報には粒径
の揃った透明な重合体粒子を得るために懸濁系にけい酸
ナトリウムを使用する方法、特公昭62−51961号
公報には粒径の揃った重合体粒子を得るために分散媒で
ある水相の水素イオン濃度を水溶性の緩衝剤を用いてp
H5〜7の範囲に保つ方法が開示されている。
【0007】また特開昭64−70508号公報には粒
径の揃った重合体粒子を得るために有機保護コロイド及
び無機懸濁安定剤の存在下水相に50〜500ppmの
炭酸塩または重炭酸塩を添加する方法が開示されてい
る。
【0008】さらには特開平2−189302号公報に
は水相中の水素イオン濃度をビニル系単量体の重合転化
率が0〜30重量%の間にpH9〜13にして重合を行
う方法、特開平2−147602号公報にはリン酸三カ
ルシウムを酸水溶液に溶解せしめ重合性単量体を懸濁分
散させた後、水酸化アルカリを添加する方法が提案され
ている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】特開昭55−5004
2号公報に示される方法は微小粒子の発生が少なく、従
来法より粒径分布の幅の狭い重合体粒子が得られるが、
用途別に見た場合、尚必要粒径範囲外の重合体粒子が多
い問題点を有する。
【0010】特公昭45−39549号公報に示される
方法はけい酸ソーダと有機の高分子化合物を併用する必
要があるため重合排液のCOD負荷を増大させる問題点
がある。
【0011】特公昭42−17497号公報は沈殿防止
剤としての酸化亜鉛を多量に必要とするため、これが重
合体粒子中に含まれるので品質が低下する問題点があ
る。また得られる重合体粒子の粒径分布も幅広い欠点が
ある。
【0012】特公昭62−51961号公報に示される
方法は、懸濁化剤として水溶性高分子を用いた場合、重
合排液のCOD負荷を増大させるため排水処理を必要と
する問題点があり、難溶性無機塩を用いた場合、多量の
懸濁化剤を必要とするため、これが重合体粒子中に含ま
れる品質が低下する問題点と再現可能な操作範囲が狭い
欠点がある。
【0013】特開昭64−70508号公報に示される
方法は懸濁安定剤として有機保護コロイドと水不溶性無
機粉末を使用するため、やはり重合排液のCOD負荷を
増大させる問題点があり、また重合体粒子中の水分含有
量が多く気泡構造が不均一になる問題点がある。
【0014】特開平2−189302号公報に示される
方法は、狭い粒径分布をもつ重合体粒子が得られるが、
重合途中で乳化物が生成し、これが水や懸濁化剤ととも
に重合体粒子中に取り込まれやすく、品質低下の原因と
なる不純物を多く含む問題点がある。
【0015】特開平2−147602号公報に示される
方法はそもそも10μm前後の大きさの粒子を得る方法
であり、界面活性剤が存在しなければ300〜3000
μmの大きさの重合体粒子を得ることが困難で、界面活
性剤が存在する場合には乳化重合の併発を避けることが
できないため重合体粒子の品質が低下する。
【0016】発泡ポリスチレン用重合体粒子は粒径が均
一で微小粒子が少ないことが要求されるが、この他品質
面では重合体粒子を予備発泡し、成形したとき発泡粒子
間の間隙がなく、発泡粒子が十分に融着し、成形品とし
て十分に強度をもつことが要求される。この要求を満足
させるためには重合体粒子中の水、懸濁剤等の不純物含
有量が少ないことが好ましい。また懸濁重合時に乳化重
合が併発すると乳化物自体が不純物として作用する他、
水、懸濁剤等が重合体粒子中に取り込まれやすくなるた
め乳化重合の併発は抑制するのが好ましい。これらの不
純物は粒子の発泡時に影響を及ぼし、気泡構造を乱すた
めに、上記要求特性を満足させることができない。した
がって従来の懸濁重合法では粒径が均一で、かつ品質に
優れた重合体粒子を提供することができい。本発明はこ
れらの問題を解決するものであり、排水処理、品質の問
題がなく、かつ狭い粒径分布をもつ重合体粒子が得られ
る製造法を提供する。
【0017】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ビニ
ル系単量体及びビニル系単量体に可溶な重合開始剤を含
有する単量体混合物を難溶性リン酸塩及び陰イオン界面
活性剤を含む水性媒体中に添加して懸濁重合を開始し、
重合開始後、重合開始剤を含まないビニル系単量体に重
合禁止剤を加え、これを該水性媒体中に添加して重合を
進めるとともに、全ビニル系単量体の重合転化率が0〜
30重量%の期間内に該水性媒体中の水素イオン濃度を
pH10〜13とすることを特徴とするビニル系重合体
粒子の製造法、並びに該ビニル系重合体粒子の製造法に
おいて、重合途中又は重合後にさらに発泡剤を含浸させ
る発泡性ビニル系重合体粒子の製造法に関する。
【0018】本発明はまず、懸濁安定化剤として難溶性
リン酸塩及び陰イオン界面活性剤を含む水性媒体に、ビ
ニル系単量体及びビニル系単量体に可溶な重合開始剤を
含有する単量体混合物を添加して懸濁重合を開始する。
【0019】難溶性リン酸塩としてはリン酸カルシウ
ム、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、リン
酸バリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸アルミニウ
ム、リン酸鉄、リン酸コバルト、ピロリン酸カルシウム
等を使用することができるが、リン酸三カルシウム、ヒ
ドロキシアパタイトが好ましい。添加量は重合性単量体
全量に対して0.10〜0.80重量%が好ましく、特
に0.15〜0.40重量%が好ましい。
【0020】陰イオン界面活性剤としては、ドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナト
リウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウム等を使用することができる。添
加量は重合性単量体全量に対して0.0001〜0.0
1重量%が好ましい。水性媒体としては、主に水が使用
される。
【0021】ビニル系単量体としては、スチレンとα−
メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン等の
スチレン誘導性、アクリロニトリル、ビニルピロリド
ン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ポリブタジ
エン、炭素数1〜8のアルコールとアクリル酸またはメ
タクリル酸のエステル等を用いることができるが、発泡
性ビニル系重合体粒子とする際は、スチレンまたはスチ
レン誘導体を50重量%以上使用するのが好ましい。
【0022】ビニル系単量体に可溶な重合開始剤として
は、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサ
イド、t−ブチルパーベンゾエート、ジ−t−ブチルパ
ーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニ
トリル等のアゾ化合物などを使用することができるが、
有機過酸化物を使用するのが好ましい。重合開始剤はビ
ニル系単量体全量に対して、0.05〜10重量%が好
ましい。
【0023】最初に添加される単量体混合物は、ビニル
系単量体と重合開始剤の他に、気泡形成剤として公知の
エチレン酢ビ共重合体、エチレンビスステアリルアマイ
ド、メチレンビスステアリルアマイド等を含んでいても
よい。
【0024】重合温度は、70〜140℃が好ましく、
全ビニル系単量体と水性媒体との重量比は0.8/1〜
1.2/1(前者/後者)が好ましい。
【0025】本発明においては、使用するビニル系単量
体の全量(すなわち後から添加するものも含む)の重合
転化率が0〜30重量%の期間内に水性媒体中の水素イ
オン濃度をpH10〜13とする。ここで、pHが10
未満では粒径分布を狭くする効果が不十分であり、一
方、pHが13を超えると重合体粒子の粒径分布を狭く
することができない。また、水素イオン濃度をpH10
〜13にする期間が重合転化率30重量%を超えると油
滴の粒度が著しく上昇するために、狭い粒径分布をもつ
重合体粒子が得られない。なお、該期間は、重合転化率
が5〜15重量%の間が効果が高く好ましい。
【0026】水性媒体中の水素イオン濃度を上記範囲に
する手段としては乳化重合の併発による品質の低下が少
ない水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム等の水溶性の塩基性金属水酸化物の添加が最も好まし
く、次いで炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム等の水溶性の塩基性金属炭酸塩
の添加が好ましい。難溶性の水酸化カルシウムの添加は
系を不安定化させ、粒子の集塊現象をもたらす。炭酸カ
ルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム
及び炭酸銅などの不溶性または難溶性の炭酸塩では粒径
分布を狭くする効果が全く認められない。なお、上記か
ら明らかなように炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸銅等
が効果を有する特開昭64−70508号公報とは使用
する懸濁化剤も異なるが、粒径分布を狭くする添加剤の
作用機構が全く異なる。本発明では水相中の水素イオン
濃度をpH10〜13にする添加剤だけが粒径分布を狭
くする効果を発現する。
【0027】本発明においてはさらに、重合開始後、重
合開始剤を含まない別のビニル系単量体に重合禁止剤を
加え、これを前記水性媒体中へ添加して重合を進める。
このような方法をとることにより、少量の重合禁止剤
で、充分な乳化重合の抑制が可能であり、乳化物と一緒
に油滴内部に取り込まれる水や懸濁化剤が減少するので
気泡構造が均一でかつ表面平滑性の優れる気泡成形品を
得ることができる。また、この方法によれば、重合開始
時から重合禁止剤を加えた場合に比較し、少ない重合禁
止剤で同等以上の表面平滑性を有する発泡成形品が得ら
れ、しかも重合に要する時間を短くすることができる。
【0028】なお、後から添加するビニル系単量体とし
て重合開始剤を含むものを用いたのでは、乳化重合を抑
制する効果が著しく減少する。後から添加するビニル系
単量体の量は、全ビニル系単量体の5〜10重量%が、
粒径分布を狭くする等の効果が高く好ましい。
【0029】本発明で使用する重合禁止剤としてはカテ
コール、t−ブチルカテコール、ハイドロキノン及びp
−ベンゾキノンが効果が高く好ましい。これらの使用量
は、使用するビニル系単量体全量に対して0.0001
〜0.01重量%が好ましい。添加量が0.0001重
量%未満では併発する乳化重合の抑制効果が十分でな
く、重合体粒子の品質が一定しない。一方、0.01重
量%を超えると、抑制効果は向上しない反面、粒子が着
色したり、重合時間が長くなる。これを補うためには重
合開始剤を増量することになり無駄が生じる。
【0030】後から添加するビニル系単量体の添加時期
は、水性媒体の水素イオン濃度をpH10〜13とする
前後が、効果が高く好ましい。
【0031】得られるビニル系重合体粒子を発泡性ビニ
ル系重合体粒子とするには、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の炭
化水素、メチレンクロリド、ジクロルジフルオルメタ
ン、トリフルオルメタン等のハロゲン化炭化水素、また
はこれらの混合物などの発泡剤を重合途中又は重合後に
公知の方法で含浸させることにより得ることができる。
この方法によれば平滑な表面を有する外観の優れた成形
品を与える発泡性ビニル系重合体粒子を得ることができ
る。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。ここ
で重合体粒子の粒径分布と平均粒径は、それぞれ偏差係
数Cvとメディアン径で示す。すなわち累積重量分布曲
線を基にして累積重量が15%、50%、85%となる
粒径をそれぞれd15、d50、d85とし偏差係数CvをC
v=(d85−d15)/d50の式で求め粒径分布の広狭を
判断した。Cv値が大きい程粒径分布は広く、小さい程
粒径分布は狭くなる。平均粒径は前述のd50で代表され
るメディアン径を採用した。
【0033】また、成形品の表面平滑率を示す尺度を次
の方法で求め表面平滑率とした。すなわち成形品表面に
印刷用黒インクをローラーで薄く塗布すると、平滑な部
分にはインクが塗られるが、発泡粒子間の間隙は白く残
る。全表面積に体する黒色部の面積の比率を画像処理装
置で計算して表面平滑率(%)とした。
【0034】実施例1 4lオートクレーブに10%第3リン酸カルシウム水溶
液(日本化学工業(株)製、スーパタイト10)24
g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬
工業(株)製)0.048g、安息香酸ナトリウム(和
光純薬工業(株)製)0.6g、イオン交換水1176
gを入れてよく撹拌し均一な混合溶液とした。次いでベ
ンゾイルパーオキサイド(昭光化学(株)製)3.0
g、t−ブチルパーベンゾエート(日本油脂(株)製)
0.1g及びエチレンビスステアリルアミド(日本化成
(株)製)0.6gを溶解したスチレン(電気化学工業
(株)製)1100gを撹拌しながら添加し、90℃に
昇温して重合を開始した。重合転化率(比重法により測
定)が10重量%に達した時点で水素イオン濃度調整剤
として水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)の1
0%水溶液3.0gを添加した。添加直後の水素イオン
濃度はpH11.9であり、この時点でt−ブチルカテ
コール(和光純薬工業(株)製)0.012gを含むス
チレン100gを加えた。さらに重合転化率が40重量
%に達した時点で10%第3リン酸カルシウム水溶液9
gを加え、そのまま重合を進めた。重合転化率が95重
量%に達した時点でさらに10%第3リン酸カルシウム
水溶液12gを加えた後、シクロヘキサン5.6gとブ
タン40gを1時間要して導入した。その後120℃に
2時間要して昇温し、120℃に5時間保った後、室温
まで冷却して目的とする発泡性ポリスチレン重合体粒子
を得た。
【0035】得られた重合体粒子を篩分けした結果、平
均粒径d50は、890μmで、偏差係数Cv値は0.2
9と非常に狭い粒径分布であった。得られた重合体粒子
中の水及び懸濁剤(リン酸カルシウム、TCP)含有量
を測定したところ、表1に示すように少なく、重合体粒
子を50ml/gに予備発泡した後、予備発泡粒子の切
断面を観察したところ均一な気泡構造が認められた。予
備発泡粒子を24時間塾成した後に成形を行った。得ら
れた成形品は発泡粒子間の間隙が少なく表面平滑率は9
6%であった。
【0036】実施例2 実施例1において水酸化ナトリウムの10%水溶液3g
を炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)の10%水
溶液3.6gに変更した以外は実施例1と同様にして懸
濁重合を行い、重合体粒子を得た。炭酸ナトリウム添加
直後の水素イオン濃度はpH10.9であった。得られ
た重合体粒子の平均粒径d50は910μmで、偏差係数
Cv値は0.31と非常に狭い粒径分布であった。重合
体粒子中の水及び懸濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子
の気泡構造は比較的均一であった。予備発泡粒子を成形
したところ、成形品の表面平滑率は93%であった。
【0037】比較例1 実施例1において重合禁止剤を除いた他は実施例1と同
様に懸濁重合を行い、重合体粒子を得た。水酸化ナトリ
ウム添加直後の水素イオン濃度はpH11.7であっ
た。得られた重合体粒子の平均粒径d50は910μm
で、偏差係数Cv値は0.30と非常に狭い粒径分布で
あった。しかし乳化重合が併発し重合体粒子中の水及び
懸濁剤含有量が増加し、予備発泡粒子の気泡構造はやや
不均一であった。予備発泡粒子を成形したところ、成形
品の表面平滑率は90%であった。
【0038】比較例2 実施例2において重合禁止剤を除いた他は実施例2と同
様にして重合体粒子を得た。炭酸ナトリウム添加直後の
水素イオン濃度はpH10.8であった。得られた重合
体粒子の平均粒径d50は920μmで、偏差係数Cv値
は0.32と狭い粒径分布であった。乳化重合の併発に
より重合体粒子中の水及び懸濁剤含有量が増加し、予備
発泡粒子の気泡構造は不均一で粒子表面近くの気泡がか
なり小さくなった。予備発泡粒子を成形したところ、成
形品の表面平滑率は85%であった。
【0039】比較例3 実施例1において水酸化ナトリウムの10%水溶液3g
を炭酸カルシウム微粉末(和光純薬工業(株)製)0.
36gに変更した以外は実施例1と同様にして懸濁重合
を行い、重合体粒子を得た。炭酸カルシウム添加直後の
水素イオン濃度はpH7.7であった。得られた重合体
粒子の平均粒径d50は880μmで、偏差係数Cv値は
0.60と幅広い粒径分布であった。重合体粒子中の水
及び懸濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の気泡構造は
均一であった。予備発泡粒子を成形したところ、成形品
の表面平滑率は93%であった。
【0040】比較例4 実施例1において水酸化ナトリウムの10%水溶液3g
を塩化ナトリウム(和光純薬工業(株)製)の10%水
溶液6gに変更した以外は実施例1と同様にして懸濁重
合を行い、重合体粒子を得た。塩化ナトリウム添加直後
の水素イオン濃度はpH7.5であった。得られた重合
体粒子の平均粒径d50は930μmで、偏差係数Cv値
は0.43であった。重合体粒子中の水及び懸濁剤含有
量は少なく、予備発泡粒子の気泡構造は均一であった。
予備発泡粒子を成形したところ、成形品の表面平滑率は
93%であった。
【0041】実施例3 実施例1においてt−ブチルカテコール0.012gを
t−ブチルカテコール0.15gに変更した以外は実施
例1と同様にして懸濁重合を行い重合体粒子を得た。水
酸化ナトリウム添加直後の水素イオン濃度はpH11.
9であった。得られた重合体粒子の平均粒径d50は93
0μmで、偏差係数Cv値は0.30であった。重合体
粒子中の水及び懸濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の
気泡構造は均一であったが粒子は少し着色した。予備発
泡粒子を成形したところ、成形品の表面平滑率は97%
であった。
【0042】実施例4 4lオートクレーブに10%第3リン酸カルシウム水溶
液20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.
048g、イオン交換水1180gを入れてよく撹拌し
均一な混合溶液とした。次いでベンゾイルパーオキサイ
ド3.2g、t−ブチルパーベンゾエート0.1g及び
エチレンビスステアリルアミド0.6gを溶解したスチ
レン1150gをよく撹拌しながら添加し、90℃に昇
温して重合を開始した。重合転化率が7重量%に達した
時点で水酸化カリウム(和光純薬工業(株)製)の10
%水溶液3.6gを添加した。添加直後の水素イオン濃
度はpH11.8であり、この時点でカテコール0.1
44gを含むスチレン50gを加えた。さらに重合転化
率が40重量%に達した時点で10%第3リン酸カルシ
ウム水溶液9gを加え、そのまま重合を進めた。重合転
化率が95重量%に達した時点で10%第3リン酸カル
シウム水溶液15gを加えた後、シクロヘキサン6.0
gとブタン30gを1時間要して導入した。その後12
0℃に2時間要して昇温し、120℃に5時間保った
後、室温まで冷却して発泡ポリスチレン重合体粒子を得
た。得られた重合体粒子の平均粒径d50は910μm
で、偏差係数Cv値は0.29と非常に狭い粒径分布で
あったが粒子は少し着色した。重合体粒子中の水及び懸
濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の気泡構造は均一で
あったが粒子は少し着色した。予備発泡粒子を成形した
ところ、成形品の表面平滑率は97%であった。
【0043】実施例5 実施例4において水酸化カリウムの10%水溶液3.6
gを炭酸カリウム(和光純薬工業(株)製)の10%水
溶液4.0gに変更した以外は実施例1と同様に懸濁重
合を行い、重合体粒子を得た。炭酸カリウム添加直後の
水素イオン濃度はpH10.8であった。得られた重合
体粒子の平均粒径d50は910μmで、偏差係数Cv値
は0.31と非常に狭い粒径分布であった。重合体粒子
中の水及び懸濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の気泡
構造は比較的均一であったが粒子は少し着色した。予備
発泡粒子を成形したところ、成形品の表面平滑率は93
%であった。
【0044】比較例5 実施例1において重合禁止剤を含むモノマーの後添加を
行わず、重合禁止剤t−ブチルカテコール0.06gを
初めから開始剤を含むモノマーに溶解した他は実施例1
と同様にして懸濁重合を行い、重合体粒子を得た。水酸
化ナトリウム添加直後の水素イオン濃度はpH11.8
であった。但し合成時間は2時間長くなり、9時間を要
した。得られた重合体粒子の平均径d50は910μm
で、偏差係数Cv値は0.32と非常に狭い粒径分布で
あった。重合体粒子中の水及び懸濁剤含有量は少なく、
予備発泡粒子の気泡構造は比較的均一であった。予備発
泡粒子を成形したところ、成形品の表面平滑は95%で
あった。
【0045】なお、重合体粒子中の含水量は、重合体粒
子をメタノールで洗浄後、風乾し、カールフィッシャー
法により求めた。また、重合体粒子中の懸濁剤であるリ
ン酸カルシウム(TCP)の含有量は重合体粒子をクロ
ロホルムで溶解し、10%塩酸水溶液で抽出し、水溶液
中のカルシウムイオン濃度を原子吸光光度計で求めて算
出した。
【0046】
【表1】
【0047】
【発明の効果】本発明の製造法により得られるビニル系
重合体粒子は、粒径分布が狭く、品質の優れたものであ
る。また、微小粒子の生成量も少ないので、発泡性ビニ
ル系重合体粒子とした時に、成形品の不良を減少でき、
生産性及び品質の面から工業上極めて有益である。さら
に得られる発泡成形品は、表面の平滑性に優れた外観の
良好なものとなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡本 忠 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立 化成工業株式会社 茨城研究所内 (72)発明者 国武 和彦 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化 成工業株式会社 五井工場内 (56)参考文献 特開 平3−258807(JP,A) 特開 平2−189302(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体及びビニル系単量体に可
    溶な重合開始剤を含有する単量体混合物を難溶性リン酸
    塩及び陰イオン界面活性剤を含む水性媒体中に添加して
    懸濁重合を開始し、重合開始後、重合開始剤を含まない
    ビニル系単量体に重合禁止剤を加え、これを該水性媒体
    中にさらに添加して重合を進めるとともに、全ビニル系
    単量体の重合転化率が0〜30重量%の期間内に該水性
    媒体中の水素イオン濃度をpH10〜13とすることを
    特徴とするビニル系重合体粒子の製造法。
  2. 【請求項2】 水性媒体の水素イオン濃度をpH10〜
    13にする手段として塩基性金属水酸化物を添加する請
    求項1記載のビニル系重合体粒子の製造法。
  3. 【請求項3】 水性媒体の水素イオン濃度をpH10〜
    13にする手段として塩基性金属炭酸塩を添加する請求
    項1記載のビニル系重合体粒子の製造法。
  4. 【請求項4】 重合禁止剤としてカテコ−ル、t−ブチ
    ルカテコ−ル、ハイドロキノン及び/又はp−ベンゾキ
    ノンを用いる請求項1記載のビニル系重合体粒子の製造
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4記載のビニル
    系重合体粒子の製造法において、重合途中又は重合後に
    さらに発泡剤を含浸させる発泡性ビニル系重合体粒子の
    製造法。
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