JP3063223B2 - ビニル系重合体粒子及び発泡性ビニル系重合体粒子の製造法 - Google Patents

ビニル系重合体粒子及び発泡性ビニル系重合体粒子の製造法

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JP3063223B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は狭い粒径分布をもち、か
つ品質に優れるビニル系重合体粒子の製造法および発泡
性ビニル系重合体粒子の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来スチレン等の重合性モノマーを水性
媒体中で懸濁重合する際にはポリビニルアルコール、ポ
リビニルピロリドン、メチルセルロース等の水溶性高分
子又は陰イオン界面活性剤を併用する難溶性無機塩微粉
末が懸濁安定化剤として使用されていた。しかしながら
前者を懸濁安定化剤として使用した場合、重合廃液のC
OD負荷が増大するため排水処理を必要とする欠点があ
り、後者を懸濁安定化剤として使用した場合、得られる
重合体粒子の粒径分布が広くなるという欠点があった。
発泡性ポリスチレン用重合体粒子は粒子径によりその用
途が異なり、粒子径300μm〜700μmのものはイ
ンスタント食品のカップ用に、粒子径700μm〜18
00μmのものは各種梱包用および魚箱用に、粒子径1
500μm〜3000μmのものは建材用ボードに使用
される。難溶性無機塩微粉末及び陰イオン界面活性剤を
懸濁安定化剤とする懸濁重合で得られる重合体の粒子径
は100〜3000μmの広範囲にあり、粒径分布が幅
広いために上記用途に使用する発泡性ポリスチレン用重
合体粒子は篩分けすることにより各種用途別に提供され
てきた。しかしながら現在用途の違いにより発泡性ポリ
スチレン用重合体粒子に要求される性質も多種多様にな
ってきており、用途別に重合体粒子を製造する必要に迫
られている。したがって所望の粒径の重合体粒子を高収
率で得られる懸濁重合法が強く望まれている。また同時
に微小粒子の発生が少ない懸濁重合法も強く望まれてい
る。微小粒子が多く生成すると、脱水処理、篩分けによ
っても微小粒子を完全に除去するのが困難であり、目的
とする粒径の粒子間に微小粒子が混入した場合成形不良
の原因となる。加えて排水中に混入した微小粒子の回収
も容易な作業ではない。
【0003】難溶性無機塩と陰イオン界面活性剤とを懸
濁安定化剤とする懸濁重合において、上記問題点を改善
し、狭い粒径分布をもつスチレン系重合体粒子を得るこ
とを目的として各種添加剤を使用する方法が提案されて
いる。例えば特公昭55−50042号公報にはペルオ
キソ二硫酸塩を添加する方法が開示されている。その他
中性を示す水溶性無機塩、例えば塩化ナトリウムや硫酸
ナトリウムを添加する方法も知られている。また難溶性
無機塩と各種界面活性剤の組み合わせからなる懸濁化安
定剤も多数開示されている(特開昭53−126094
号公報、特開昭59−176309号公報、特開昭60
−147406号公報、特公昭58−10406号公
報、特公昭59−41448号公報など)。
【0004】特公昭42−17497号公報には分散効
果の増大を目的に懸濁安定化剤として酸化亜鉛を使用
し、懸濁液の水相を少なくともpH9.3に保ち重合を
開始する方法、特公昭45−39549号公報には粒径
の揃った透明な重合体粒子を得るために懸濁系にけい酸
ナトリウムを使用する方法、特公昭62−51961号
公報には粒径の揃った重合体粒子を得るために分散媒で
ある水相の水素イオン濃度を水溶性の緩衝剤を用いてp
H7〜pH5の範囲に保つ方法が開示されている。また
特開昭64−70508号公報には粒径の揃った重合体
粒子を得るために有機保護コロイドおよび無機懸濁安定
剤の存在下、水相に50ppm〜500ppmの炭酸塩
または重炭酸塩を添加する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭55−5004
2号公報に示される方法は微小粒子の発生が少なく、従
来法より粒径分布の幅の狭い重合体粒子が得られるが、
用途別に見た場合、尚必要粒径範囲外の重合体粒子が多
い問題点を有する。
【0006】特公昭45−39549号公報に示され方
法はけい酸ソーダと有機の高分子化合物を併用する必要
があるため重合排液のCOD負荷を増大させる問題点が
ある。
【0007】特公昭42−17497号公報は沈殿防止
剤としての酸化亜鉛を多量に必要とするため、これが重
合体粒子中に含まれるので品質が低下する問題点があ
る。また得られる重合体粒子の粒径分布も幅広い欠点が
ある。
【0008】特公昭62−51961号公報に示される
方法は、懸濁化剤として水溶性高分子を用いた場合、重
合廃液のCOD負荷を増大させるため、排水処理を必要
とする問題点があり、難溶性無機塩を用いた場合、多量
の懸濁化剤を必要とするため、これが重合体粒子中に含
まれ品質が低下する問題点と再現可能な操作範囲が狭い
欠点がある。
【0009】特開昭64−70508号公報に示される
方法は懸濁安定剤として有機保護コロイドと水不溶性無
機粉末を使用するため、やはり重合排液のCOD負荷を
増大させる問題点があり、また重合体粒子中の水分含有
量が多く気泡構造が不均一になる問題点がある。
【0010】発泡ポリスチレン用重合体粒子は粒径が均
一で微小粒子が少ないことが要求されるが、この他品質
面では重合体粒子を予備発泡し、成形したとき発泡粒子
間の間隙がなく、発泡粒子が十分に融着し、成形品とし
て十分に強度をもつことが要求される。この要求を満足
させるためには重合体粒子中の水、懸濁剤等の不純物含
有量が少ないことが好ましい。また懸濁重合時に乳化重
合が併発すると乳化物自体が不純物として作用する他、
水、懸濁剤等が重合体粒子中に取り込まれやすくなるた
め乳化重合の併発は抑制するのが好ましい。これらの不
純物は粒子の発泡時に影響を及ぼし、気泡構造を乱すた
めに上記要求特性を満足させることができない。したが
って従来の懸濁重合法では粒径が均一で微小粒子が少な
く、かつ品質に優れた重合体粒子を提供することができ
ない。本発明は排水処理、品質の問題がなく、かつ微小
粒子を減少させた狭い粒径分布をもつビニル系重合体粒
子が得られる製造法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは懸濁安定化
剤として難溶性リン酸塩と陰イオン界面活性剤を用いる
懸濁重合において、水性媒体中の水素イオン濃度を制御
し、かつ少量の芳香族カルボン酸塩を添加することによ
り、品質の問題がなく、かつ微小粒子が少なく狭い粒径
分布をもつビニル系重合体粒子を再現性よく製造できる
ことを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発
明はビニル系単量体を難溶性リン酸塩及び陰イオン界面
活性剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合するのに際し、
水性媒体中に芳香族カルボン酸塩を添加し、かつビニル
系単量体の重合転化率が0重量%〜30重量%の期間内
に水性媒体中の水素イオン濃度をpH10〜pH13と
することを特徴とするビニル系重合体粒子の製造法及
び、該製造法において重合途中又は重合後に発泡剤を含
浸させる発泡性ビニル系重合体粒子の製造法に関する。
【0012】本発明において、ビニル系単量体の重合転
化率が0重量%〜30重量%の期間内に水性媒体中の水
素イオン濃度をpH10〜pH13とするが、水素イオ
ン濃度がpH10未満では粒径分布を狭くする効果が不
十分であり、pH13を超えると重合体粒子の粒径分布
が幅広くなる。また水素イオン濃度をpH10〜pH1
3にする期間は重合性単量体の重合転化率が0重量%〜
30重量%の期間内、好ましくは重合転化率が5重量%
〜15重量%の期間内である。重合転化率が30重量%
を超えると、油滴の粘度が著しく上昇するために、本発
明の効果は得難く、狭い粒径分布をもつ重合体粒子が得
られない。水性媒体中の水素イオン濃度を上記範囲にす
る手段としては、乳化重合の併発による品質の低下が少
ない水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム等の塩基性金属(アルカリ金属)水酸化物の添加が最
も好ましく、次いで炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭
酸リチウム、炭酸水素ナトリウム等の可溶性塩基性金属
炭酸塩の添加が好ましい。水酸化カルシウム(アルカリ
土類金属塩)の添加は系を不安定化させ、粒子の集塊現
象をもたらす。炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭
酸亜鉛、炭酸バリウム及び炭酸銅などの不溶性または難
溶性の炭酸塩では粒径分布を狭くする効果が全く認めら
れない。本発明では水相中の水素イオン濃度をpH10
〜pH13にする添加剤だけが粒径分布を狭くする効果
を発現する。
【0013】本発明で、水性媒体中に添加する芳香族カ
ルボン酸塩としては、安息香酸、メチル置換安息香酸、
4−n−プロピル安息香酸などの安息香酸誘導体である
芳香族カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩及びリチ
ウム塩が好ましく、その添加量はビニル系単量体に対し
て0.01重量%〜0.5重量%が好ましい。特に好ま
しくは0.03重量%〜0.2重量%である。添加量が
0.01重量%未満では併発する乳化重合の抑制効果が
十分でなく、重合体粒子の品質が一定せず、また微小粒
子を減少させる効果も少ない。添加量が0.5重量%を
超えると得られる重合体粒子の粒径分布が幅広くなる傾
向にある。
【0014】本発明において、重合するビニル系単量体
としてはスチレンやαメチルスチレン、クロルスチレ
ン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、アクリロニト
リル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカル
バゾール、ポリブタジエン、炭素数1〜8のアルコール
とアクリル酸またはメタクリル酸のエステル等を用いる
ことができるが、スチレンまたはスチレン誘導体を50
重量%以上使用するのが好ましい。
【0015】重合開始剤としてはビニル系単量体に可溶
なベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイ
ド、t−ブチルパーベンゾエート、ジ−t−プチルパー
オキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニト
リル等のアゾ化合物などを使用することができるが、有
機過酸化物を使用するのが好ましい。
【0016】難溶性リン酸塩としては、リン酸三カルシ
ウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸マグネシウム、リ
ン酸バリウム、リン酸ストロンチウム、リン酸アルミニ
ウム、リン酸鉄、リン酸コバルト、ピロリン酸カルシウ
ム等を使用することができるが、リン酸三カルシウム、
ヒドロキシアパタイトが好ましい。添加量は重合性単量
体に対して0.1重量%〜0.8重量%が好ましく、特
に好ましくは0.15重量%〜0.40重量%である。
【0017】陰イオン界面活性剤としてはドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、スチレンスルホン酸ナトリ
ウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスル
ホコハク酸ナトリウム等を使用することができる。添加
量は重合性単量体に対して0.0001重量%〜0.0
1重量%が好ましい。
【0018】懸濁重合の重合温度は70℃〜140℃が
好ましく、重合性単量体と水性媒体の重量比は0.8/
1〜1.2/1程度が好ましい。重合性単量体には気泡
形成剤としてエチレン酢ビ共重合体、エチレンビスステ
アリルアマイド、メチレンビスステアリルアマイド等を
添加してもよい。
【0019】本発明において、発泡性ビニル系重合体粒
子を製造する場合、前記重合途中又は重合後にプロパ
ン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シ
クロヘキサン等の炭化水素、メチレンクロリド、ジクロ
ルジフルオルメタン、トリフルオルフロルメタンのよう
なハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを発泡
剤として公知の方法により含浸させて発泡性ビニル系重
合体粒子とすることができる。
【0020】(作用)本発明では重合性単量体の重合転
化率が0重量%〜30重量%の期間内に水性媒体中の水
素イオン濃度をpH10〜pH13にすることにより、
この期間内における油滴の分散と合一の頻度を抑制でき
るため粒径分布が幅広くなることを防止することができ
る。また芳香族カルボン酸塩は初期分散時の油滴径を揃
える作用があり、微小粒子の減少に効果的である。さら
に芳香族カルボン酸塩は乳化重合を抑制する効果があ
り、乳化物と一緒に油滴内部に取り込まれる水や懸濁化
剤が減少するので、発泡性ビニル系重合体粒子を製造す
る場合、特に気泡構造が均一で、かつ表面平滑性の優れ
る発泡成形品が得られる。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。ここ
で重合体粒子の粒径分布と平均粒径についてはそれぞれ
偏差係数Cvとメディアン径で示す。すなわち累積重量
分布曲線を基にして累積重量が15%、50%、85%
となる粒径をそれぞれd15、d50、d85とし偏差係数C
vを次式で求め粒径分布の広狭を判断した。 Cv=(d85−d15)/d50 Cv値が大きい程粒径分布は広く、小さい程粒径分布は
狭くなる。平均径は前述のd50で代表されるメディアン
径を採用した。
【0022】また、成形品の表面平滑率を示す尺度を次
の方法で求め表面平滑率とした。すなわち成形品表面に
印刷用黒インクをローラーで薄く塗布すると、平滑な部
分にはインクが塗られるが、発泡粒子間の間隙は白く残
る。全表面積に対する黒色部の面積の比率を画像処理装
置で計算して表面平滑率とした。
【0023】実施例1 4lオートクレーブに10%第3リン酸カルシウム分散
液(日本化学工業社製、スーパタイト10)24g、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業社
製)0.048g、安息香酸ナトリウム(和光純薬工業
社製)0.6g、イオン交換水1176gを入れてよく
撹拌し均一な混合溶液とした。次いでベンゾイルパーオ
キサイド(昭光化学社製)3.0g、t−ブチルパーベ
ンゾエート(日本油脂社製)0.1g及びエチレンビス
ステアリルアミド(日本化成社製)0.6gを溶解した
スチレン(電気化学工業社製)1200gを撹拌しなが
ら添加し、90℃に昇温して重合を開始した。重合転化
率(比重法により測定)が10重量%に達した時点で水
酸化ナトリウム(和光純薬工業社製)の10%水溶液
3.0gを添加した。添加直後の水素イオン濃度はpH
11.7であった。さらに重合転化率が35重量%に達
した時点で10%第3リン酸カルシウム分散液6gを加
え、そのまま重合を進めた。重合転化率が95重量%に
達した時点でさらに10%第3リン酸カルシウム分散液
12gを加えた後、シクロヘキサン24gとブタン84
gを1時間要して導入した。その後120℃に2時間要
して昇温し、120℃に5時間保った後、室温まで冷却
して目的とする発泡性ポリスチレン重合体粒子を得た。
得られた重合体粒子を篩分けした結果、平均粒径d50
920μmで、偏差係数Cv値は0.29と非常に狭い
粒径分布であった。300μm以下の微小粒子量は0.
5重量%であった。得られた重合体粒子中の水及び懸濁
剤含有量は表1に示すように少なく、重合体粒子を50
ml/gに予備発泡した後、予備発泡粒子の切断面を観
察したところ均一な気泡構造が認がめられた。予備発泡
粒子を24時間熟成した後成形を行った。得られた成形
品は発泡粒子間の間隙が少なく、表面平滑率は97%で
あった。
【0024】実施例2 実施例1において水酸化ナトリウムの10%水溶液3g
を炭酸ナトリウム(和光純薬工業社製)の10%水溶液
3.6gに変更した以外は実施例1と同様にして懸濁重
合を行い、重合体粒子を得た。炭酸ナトリウム添加直後
の水素イオン濃度はpH10.7であった。得られた重
合体粒子の平均粒径d50は940μmで、偏差係数Cv
値は0.31と非常に狭い粒径分布であった。300μ
m以下の微小粒子は0.6重量%であった。重合体粒子
中の水及び懸濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の気泡
構造は比較的均一であった。予備発泡粒子を成形したと
ころ、成形品の表面平滑率は94%であった。
【0025】比較例1 実施例1において安息香酸ナトリウムを除いた他は実施
例1と同様に懸濁重合を行い、重合体粒子を得た。水酸
化ナトリウム添加直後の水素イオン濃度はpH11.6
であった。得られた重合体粒子の平均粒径d50は910
μmで、偏差系数Cv値は0.30と非常に狭い粒径分
布であったが、300μm以下の微小粒子は1.5重量
%と増加した。また重合体粒子中の水及び懸濁剤含有量
が増加し、予備発泡粒子の気泡構造はやや不均一であっ
た。予備発泡粒子を成形したところ、成形品の表面平滑
率は90%であった。
【0026】比較例2 実施例2において安息香酸ナトリウムを除いた他は実施
例2と同様にして重合体粒子を得た。炭酸ナトリウム添
加直後水素イオン濃度はpH10.7であった。得られ
た重合体粒子の平均粒径d50は930μmで、偏差係数
Cv値は0.32と狭い粒径分布であった。300μm
以下の微小粒子は1.7重量%と増加した。また重合体
粒子中の水及び懸濁剤含有量が増加し、予備発泡粒子の
気泡構造は不均一で粒子表面近くの気泡がかなり小さく
なった。予備発泡粒子を成形したところ、成形品の表面
平滑率は85%であった。
【0027】比較例3 実施例1において水酸化ナトリウムの10%水溶液3g
を炭酸カルシウム微粉末(和光純薬工業社製)0.36
gに変更した以外は実施例1と同様にして懸濁重合を行
い、重合体粒子を得た。炭酸カルシウム添加直後の水素
イオン濃度はpH7.7であった。得られた重合体粒子
の平均粒径d50は870μmで、偏差係数Cv値は0.
58と幅広い粒径分布であった。300μm以下の微小
粒子は3.4重量%であった。重合体粒子中の水及び懸
濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の気泡構造は均一で
あった。予備発泡粒子を成形したところ、成形品の表面
平滑率は93%であった。
【0028】比較例4 実施例1において水酸化ナトリウムの10%水溶液3g
を塩化ナトリウム(和光純薬工業社製)の10%水溶液
6gに変更した以外は実施例1と同様にして懸濁重合を
行い、重合体粒子を得た。塩化ナトリウム添加直後の水
素イオン濃度はpH7.4であった。得られた重合体粒
子の平均粒径d50は950μmで、偏差係数Cv値は
0.45であった。300μm以下の微粒子は2.9重
量%であった。重合体粒子中の水及び懸濁剤含有量は少
なく、予備発泡粒子の気泡構造は均一であった。予備発
泡粒子を成形したところ、成形品の表面平滑率は93%
であった。
【0029】実施例3 実施例1において安息香酸ナトリウム0.6gを安息香
酸ナトリウム7.0gに変更した以外は実施例1と同様
にして懸濁重合を行い重合体粒子を得た。水酸化ナトリ
ウム添加直後の水素イオン濃度はpH11.7であっ
た。得られた重合体粒子の平均粒径d50は1050μm
で、偏差係数Cv値は0.35であった。300μm以
下の微粒子は0.4重量%であった。重合体粒子中の水
及び懸濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の気泡構造は
均一であった。予備発泡粒子を成形したところ、成形品
の表面平滑率は97%であった。
【0030】比較例5 実施例1において水酸化ナトリウムの10%水溶液3.
0gを水酸化カルシウム0.3gに変更した以外は実施
例1と同様にして懸濁重合を行ったが、水酸化カルシウ
ム添加直後に連続相と分散相が逆転し、重合体粒子を得
ることができなかった。
【0031】実施例4 4lオートクレーブに10%第3リン酸カルシウム分散
液20g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.
048g、安息香酸ナトリウム1.2g、イオン交換水
1180gを入れてよく撹拌し均一な混合溶液とした。
次いでベンゾイルパーオキサイド3.2g、t−ブチル
パーベンゾエート0.1g及びエチレンビスステアリル
アミド0.6gを溶解したスチレン1200gをよく撹
拌しながら添加し、90℃に昇温して重合を開始した。
重合転化率が7重量%に達した時点で水酸化カリウム
(和光純薬工業社製)の10%水溶液3.6gを添加し
た。添加直後水素イオン濃度はpH12.0であった。
さらに重合転化率が40重量%に達した時点で10%第
3リン酸カルシウム分散液9gを加え、そのまま重合を
進めた。重合転化率が95重量%に達した時点で10%
第3リン酸カルシウム分散液12gを加えた後、シクロ
ヘキサン24gとブタン84gを1時間要して導入し
た。その後120℃に2時間要して昇温し、120℃に
5時間保った後、室温まで冷却して発泡ポリスチレン重
合体粒子を得た。得られた重合体粒子の平均粒径d50
910μmで、偏差係数Cv値は0.28と非常に狭い
粒径分布であった。300μm以下の微小粒子量は0.
5重量%であった。重合体粒子中の水及び懸濁剤含有量
は少なく、予備発泡粒子の気泡構造は均一であった。予
備発泡粒子を成形したところ、成形品の表面平滑率は9
8%であった。
【0032】実施例5 実施例4において水酸化カリウムの10%水溶液3.6
gを炭酸カリウム(和光純薬工業社製)の10%水溶液
4.0gに変更した以外は実施例1と同様に懸濁重合を
行い、重合体粒子を得た。炭酸カリウム添加直後の水素
イオン濃度はpH11.0であった。得られた重合体粒
子の平均粒径d50は920μmで、偏差係数Cv値は
0.31と非常に狭い粒径分布であった。300μm以
下の微小粒子は0.5重量%であった。重合体粒子中の
水及び懸濁剤含有量は少なく、予備発泡粒子の気泡構造
は比較的均一であった。予備発泡粒子を成形したとこ
ろ、成形品の表面平滑率は94%であった。
【0033】以上の各実施例及び比較例の配合と特性を
まとめて表1に示す。なお、重合体粒子中の含水率は重
合体粒子をメタノールで洗浄後、風乾し、カールフィッ
シャー法により求めた。また重合体粒子中の懸濁剤リン
酸カルシウム(TCP)の含有量は重合体粒子をクロロ
ホルムで溶解し、10%塩酸水溶液で抽出し、水溶液中
のカルシウムイオン濃度を原子吸光光度計で求めて算出
した。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】以上から明らかなように本発明によれば
粒径分布が狭く、品質の優れたビニル系重合体粒子を提
供することができる。また本発明の発泡性ビニル系重合
体粒子の製造法は特に微小粒子生成量も少なく、不良成
形品を減少できるので、生産性及び品質の面から工業上
極めて有益である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 国武 和彦 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化 成工業株式会社 五井工場内 (72)発明者 日比野 信吾 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化 成工業株式会社 五井工場内 (56)参考文献 特開 平2−147602(JP,A) 特開 昭51−70287(JP,A) 特開 昭56−50902(JP,A) 特開 昭48−48588(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/18

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビニル系単量体を難溶性リン酸塩及び陰
    イオン界面活性剤の存在下、水性媒体中で懸濁重合する
    のに際し、水性媒体中に芳香族カルボン酸塩を添加し、
    かつビニル系単量体の重合転化率が0重量%〜30重量
    %の期間内に水性媒体中の水素イオン濃度をpH10〜
    pH13とすることを特徴とするビニル系重合体粒子の
    製造法。
  2. 【請求項2】 水性媒体中の水素イオン濃度をpH10
    〜pH13にする手段として塩基性金属水酸化物を用い
    る請求項1記載のビニル系重合体粒子の製造法。
  3. 【請求項3】 水性媒体の水素イオン濃度をpH10〜
    pH13にする手段として可溶性の塩基性炭酸塩を用い
    る請求項1記載のビニル系重合体粒子の製造法。
  4. 【請求項4】 芳香族カルボン酸塩として芳香族カルボ
    ン酸のナトリウム塩、カリウム塩、又はリチウム塩を用
    いる請求項1、2又は3記載のビニル系重合体粒子の製
    造法。
  5. 【請求項5】 芳香族カルボン酸塩の添加量が、ビニル
    系単量体に対して0.01重量%〜0.5重量%である
    請求項1、2、3又は4記載のビニル系重合体粒子の製
    造法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のビニル
    系重合体粒子の製造法において、重合途中又は重合後に
    さらに発泡剤を含浸させる発泡性ビニル系重合体粒子の
    製造法。
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