JP3265029B2 - 5−アシル−2−フェニルチオフェニル酢酸の製造方法 - Google Patents

5−アシル−2−フェニルチオフェニル酢酸の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば解熱鎮痛抗炎剤
等の医薬中間体として有用な5-アシル-2-フェニルチオ
フェニル酢酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アリール基とアルキル基またはアリール
基とが硫黄原子を介して結合したアリールスルフィド誘
導体を製造するには、通常は非水系溶媒中でハロゲン化
アリールとチオールとのチオエーテル化反応を行う。例
えば、アルコールを溶媒とする方法においては、塩基と
してアルカリ金属アルコキシドを用いてチオールを求核
性のよいチオラートイオンとし、生成してくるアルコー
ルを溶媒のアルコールと共に留去した後、無溶媒状態で
上記チオエーテル化反応を行っている。
【0003】ところで、本発明における目的物である5-
アシル-2-フェニルチオ酢酸を得ようとする場合にも、
このチオエーテル化反応を適用することができる。その
場合、従来行われていた方法の一例としては、メタノー
ル中、ナトリウムメトキシドを用い、5-アシル-2-ハロ
ゲノフェニル酢酸とチオフェノールとを混合する方法が
あった。しかしこの方法においては、ナトリウムメトキ
シドが高価であり、また、無溶媒状態でチオエーテル化
反応を行うために、反応混合物の攪拌に工夫を要した
り、副生成物や未反応物等の不純物が生成物に多く付着
するなどの問題があった。
【0004】また、別法としてナトリウムメトキシドの
代わりに水酸化ナトリウム水溶液を塩基に用いる方法が
特開昭61ー50961号公報に記載されている。しかし、この
方法においてもチオエーテル化反応は溶媒を留去した後
の無溶媒状態で行っており、攪拌が困難であったり、生
成物がタール化したりする等の問題があった。
【0005】一方、上記チオエーテル化反応において
は、反応を完結させて基質であるハロゲン化アリールを
完全に消費するために、試剤のチオフェノールを過剰に
使用する必要がある。しかし、このような条件下で反応
を行った場合、反応終了後の反応液中には未反応のチオ
フェノールが残留することになる。この未反応チオフェ
ノールは、反応系から完全に除去することが困難である
ので、精製後も生成物への混入が避けられなかった。従
って、このチオフェノールが原因で製品に不快な異臭が
付着してしまうことが製造上の問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の5-
アシル-2-フェニルチオフェニル酢酸の製造方法におい
ては、使用する塩基が高価である、無溶媒反応下での攪
拌が困難である、反応液中の不純物が多い等の問題があ
り、これらの方法は工業的に有利な方法とは言えなかっ
た。特に、反応後に残存する未反応のチオフェノールは
製品に着臭等の悪影響を及ぼすため、このチオフェノー
ルを容易にかつ完全に反応系から除去し得る方法を考え
出す必要があった。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためのもの
であり、工業的に有利な方法で目的物を純度良く得るこ
とができる5-アシル-2-フェニルチオフェニル酢酸の製
造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
〔II〕で示される5-アシル-2- ハロゲノフェニル酢酸と
下記式〔III 〕で示されるチオフェノールとを塩基性水
溶液中、加圧下、100℃〜210℃の反応温度で反応
させ、反応終了後の反応液中に存在する未反応のチオフ
ェノールをハロゲン化アルキルと反応させて水に不溶の
アルキルフェニルスルフィド誘導体となし、次いで該ア
ルキルフェニルスルフィド誘導体を疎水性溶媒で抽出す
ることにより、該未反応のチオフェノールを除去する工
程を含む、下記一般式〔I〕で示される5-アシル-2- フ
ェニルチオフェニル酢酸の製造方法に関する。
【0009】
【化4】
【0010】(式中、R1は炭素原子数1〜4のアルキ
ル基を示す)。
【0011】
【化5】
【0012】(式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を示し、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基
を示す)。
【0013】
【化6】
【0014】上記塩基性水溶液は水酸化ナトリウム水溶
液が好ましい。
【0015】R1はメチル基、エチル基およびn-プロピ
ル基よりなる群から選択される1種が好ましい。
【0016】上記チオフェノールは、上記5-アシル-2-
ハロゲノフェニル酢酸に対し1.00〜1.5倍モル使
用するのが好ましい。
【0017】上記加圧は0.1〜10kg/cm2Gの
圧力で行うのが好ましい。
【0018】好適な実施態様としては、上記製造方法は
反応終了後の反応液中に存在する未反応のチオフェノー
ルをハロゲン化アルキルと反応させて水に不溶のアルキ
ルフェニルスルフィド誘導体となし、次いで該アルキル
フェニルスルフィド誘導体を疎水性溶媒で抽出すること
により、該未反応のチオフェノールを除去する工程を含
む。
【0019】上記ハロゲン化アルキルは1,2-ジクロロエ
タン、1,2-ジブロモエタン、塩化tert-ブチル、塩化ベ
ンジル、臭化iso-プロピル、臭化n-ブチルよりなる群か
ら選択される少なくとも1種が好ましい。
【0020】次に、本発明を詳しく説明する。
【0021】本発明の上記一般式〔I〕で示される5-ア
シル-2-フェニルチオフェニル酢酸の製造方法において
は、塩基性水溶液中、上記一般式〔II〕で示される5-ア
シル-2-ハロゲノフェニル酢酸〔II〕と上記式〔III〕で
示されるチオフェノールとを用いて、下記反応式で示さ
れるチオエーテル化反応を行う。
【0022】
【化7】
【0023】(式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子を示し、R1は炭素原子数1〜4のアルキル基
を示す)。
【0024】上記5-アシル-2-ハロゲノフェニル酢酸と
しては、例えば5-アセチル-2-クロロフェニル酢酸、5-
プロピオニル-2-クロロフェニル酢酸、5-n-ブタノイル-
2-クロロフェニル酢酸、5-アセチル-2-ブロモフェニル
酢酸、5-プロピオニル-2-ブロモフェニル酢酸、5-n-ブ
タノイル-2-ブロモフェニル酢酸、5-アセチル-2-ヨード
フェニル酢酸、5-プロピオニル-2-ヨードフェニル酢
酸、5-n-ブタノイル-2-ヨードフェニル酢酸等が挙げら
れる。
【0025】上記5-アシル-2-ハロゲノフェニル酢酸
は、以下の反応式に示すフリーデル−クラフト反応に従
ってLewis酸の存在下、2-ハロゲノフェニル酢酸エステ
ル〔IV〕とハロゲン化アシル〔V〕とから常法により製
造される。
【0026】
【化8】
【0027】(式中、XおよびYは各々独立して塩素原
子、臭素原子またはヨウ素原子を示し、R1、R2は炭素
原子数1〜4のアルキル基を示す)。
【0028】上記反応において、2-ハロゲノフェニル酢
酸エステル〔IV〕としては、例えば2-クロロフェニル酢
酸メチル、2-ブロモフェニル酢酸メチルを挙げることが
でき、またハロゲン化アシル〔V〕としてはプロピオン
酸クロライド、プロピオン酸ブロマイド、アセチルクロ
ライド、n-酪酸クロライドを挙げることができる。ハロ
ゲン化アシル〔V〕は、2-ハロゲノフェニル酢酸〔IV〕
に対し、1〜5倍モルの割合で使用するのが好ましい。
また、Lewis酸としては例えば、無水塩化アルミニウ
ム、無水塩化亜鉛、無水四塩化チタン等が挙げられる。
反応溶媒としては1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、
ニトロベンゼン等が好適に使用され、反応温度は0〜1
00℃が好ましく、反応時間としては1〜24時間が好
ましい。反応終了後、Lewis酸を除去し、アルカリにて
加水分解し、原料として用いる5-アシル-2-ハロゲノフ
ェニル酢酸〔II〕を得る。
【0029】チオエーテル化反応で用いる塩基性水溶液
としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化リチウム等の塩基の水溶液が挙げられる。経済的
な面を考慮すると水酸化ナトリウムが好ましい。また、
上記塩基の使用量は、上記5-アシル-2-ハロゲノフェニ
ル酢酸に対し、2〜5倍モルが好ましく、より好ましく
は2.0〜2.5倍モルである。上記塩基の使用量が2
倍モル未満の場合には、目的物である5-アシル-2-フェ
ニルチオフェニル酢酸が収率良く得られない恐れがあ
り、また上記使用量が5倍モルを超える場合には、原料
の5-アシル-2-ハロゲノフェニル酢酸が加水分解されて5
-アシル-2-ヒドロキシフェニル酢酸が生成し、反応が進
まない恐れがある。
【0030】上記チオフェノールの使用量は、5-アシル
-2-ハロゲノフェニル酢酸に対して1.0〜1.5倍モ
ルとするのが好ましく、より好ましくは1.01〜1.
2倍モルである。上記使用量が1.0倍モル未満の場合
には目的物である5-アシル-2-フェニルチオフェニル酢
酸が収率良く得られない恐れがあり、また上記使用量が
1.5倍モルを超える場合には、目的物の収率向上の効
果が期待されず、未反応チオフェノールが多くなるだけ
である。
【0031】上記チオエーテル化反応は、オートクレー
ブ中、0.1〜10kg/cm2Gの範囲の圧力の下で
行うのが好ましい。上記が0.1kg/cm2G未満の
場合には反応の進行が遅くなる恐れがあるので好ましく
なく、また上記圧力が10kg/cm2Gを超える場合
には、高圧装置を必要とするので、設備、安全等の面で
好ましくない。さらに好ましくは、上記圧力は3〜8k
g/cm2Gの範囲である。また、反応温度は100〜
210℃とする。反応温度が100℃未満の場合には、
目的物の5-アシル-2-フェニルチオフェニル酢酸の収率
が低下するので好ましくなく、上記反応温度が210℃
を超える場合には、目的物のタール化が進行したり、分
解物や副生成物等の不純物が増加するので好ましくな
い。
【0032】上記チオフェノールは5-アシル-2-ハロゲ
ノフェニル酢酸に対して過剰量使用するので、反応後の
反応液中には未反応のチオフェノールが残留することに
なる。このチオフェノールは、前述のように反応系から
完全に除去することが困難であり、製品への着臭が製造
上の問題となっていた。チオフェノールを反応系から除
去するには通常、過酸化水素等の酸化剤を用いて酸化処
理してジフェニルジスルフィドに変換し、次いでこれを
分離する方法が用いられている。しかし、本発明のよう
に目的物がジフェニルスルフィド誘導体である場合に
は、目的物も酸化剤により酸化される恐れがあり、この
処理方法を採用することはできない。
【0033】そこで、本発明の5-アシル-2-フェニルチ
オフェニル酢酸の製造方法においては、反応液が塩基性
であることに着目して、この条件下で未反応のチオフェ
ノールを目的物と分離可能な物質に変換することによ
り、反応系からチオフェノールを容易に除去することが
可能となった。すなわち、未反応のチオフェノールは反
応後の反応液中でナトリウムフェニルチオラートとして
存在しているので、以下に示す方法によってこれを除去
する。
【0034】まず、反応液にハロゲン化アルキルを添加
することにより、下記反応式で示されるナトリウムフェ
ニルチオラート〔III'〕とハロゲン化アルキル〔VI〕と
のチオエーテル化反応を行う。反応温度は0〜100℃
とする。すると、ナトリウムフェニルチオラート〔II
I'〕は容易にアルキルフェニルスルフィド誘導体〔VI
I〕に変換される。
【0035】
【化9】
【0036】(式中、Zは、ハロゲン原子であり、R3
は、炭素原子数1〜4のアルキル基またはベンジル基を
示す)。
【0037】次に、上記反応で得られるアルキルフェニ
ルスルフィド誘導体〔VII〕を、これを溶解し得る疎水
性溶媒で抽出する。この操作を行うのは、アルキルフェ
ニルスルフィド誘導体〔VII〕は水に不溶であり、一
方、本発明の目的物である5-アシル-2-フェニルチオフ
ェニル酢酸は、塩基性水溶液中では水溶性のアルカリ金
属塩の形で存在しているからである。水層中の目的物
は、疎水性溶媒中のアルキルフェニルスルフィド誘導体
〔VII〕と分離後、水層を酸性にして析出させることに
より、容易に単離できる。
【0038】上記ハロゲン化アルキル〔VI〕としては、
例えば塩化メチル、塩化エチル、塩化n-プロピル、塩化
iso-プロピル、塩化n-ブチル、塩化iso-ブチル、塩化se
c-ブチル、塩化tert-ブチル、臭化メチル、臭化エチ
ル、臭化n-プロピル、臭化iso-プロピル、臭化n-ブチ
ル、臭化iso-ブチル、臭化sec-ブチル、臭化tert-ブチ
ル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化n-プロピル、
ヨウ化iso-プロピル、ヨウ化n-ブチル、ヨウ化iso-ブチ
ル、ヨウ化sec-ブチル、ヨウ化tert-ブチル等の炭素原
子数が1〜4のアルキル基を有するモノハロゲン化アル
キル:塩化ベンジル、臭化ベンジル、ヨウ化ベンジル等
のハロゲン化アリールアルキル:1,2-ジクロロエタン、
1,3-ジクロロプロパン、 1,2-ジブロモエタン等のハロ
ゲン化アルキル等が挙げられる。特に、1,2-ジクロロエ
タン、1,2-ジブロモエタン、塩化tert-ブチル、塩化ベ
ンジル、臭化iso-プロピル、臭化n-ブチル等が、液状で
取扱が容易であり、またチオフェノールとの反応性が良
好であるので好ましい。上記ハロゲン化アルキル〔VI〕
の使用量は、過剰量のチオフェノールに対して0.5〜
5倍モルとするのが好ましい。上記使用量が0.5倍モ
ル未満の場合には未反応のチオフェノールが残存する恐
れがあり、また上記使用量が5倍モルを超える場合に
は、それに見合う効果が期待されず経済的に有利でな
い。
【0039】上記疎水性溶媒としては、特に限定されな
いが、例えばトルエン、モノクロルベンゼン、キシレ
ン、シクロヘキサン等を使用することができる。また、
水層を酸性にして目的物を析出させるには、例えば塩
酸、硫酸、硝酸等の水溶性の酸性物質を水層に添加すれ
ばよい。
【0040】以上説明した本発明の5-アシル-2-フェニ
ルチオフェニル酢酸の製造方法においては、アルカリ種
として安価なアルカリ金属水酸化物(中でも水酸化ナト
リウム)を用い、加圧下、攪拌が容易な水溶液中でチオ
エーテル化反応を行う。この反応はほぼ定量的に進行
し、反応中に副成する不純物も極めて少なくなり、目的
物を高収率で得ることが可能となる。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
【0042】(実施例1) 5-プロピオニル-2-クロロフェニル酢酸の製造方法 プロピオン酸クロライド、2-クロロフェニル酢酸メチル
およびLewis酸として無水塩化アルミニウムを用いてフ
リーデルクラフト反応を行い、常法により後処理した
後、加水分解して5-プロピオニル-2-クロロフェニル酢
酸を得た。
【0043】5-プロピオニル-2-フェニルチオフェニ
ル酢酸の製造方法 500mlのオートクレーブ中に上記で得た5-プロピオニ
ル-2-クロロフェニル酢酸(113.3g、0.5mol)を仕込
み、続いて20重量%水酸化ナトリウム水溶液(220g、
1.1mol)を加えて溶解した。次に、チオフェノール(6
0.5g、0.55mol)を仕込み、密閉状態で反応温度180℃、
圧力7.5kg/cm2Gの条件で3時間、攪拌を行い反応を完結
させた。反応終了後、反応液を高速液体クロマトグラフ
により定量分析したところ、144.0g(収率96.0%)の5-
プロピオニル-2-フェニルチオフェニル酢酸が得られて
いた。
【0044】(実施例2)500mlのオートクレーブ中に
実施例1ので得た5-プロピオニル-2-クロロフェニル
酢酸(113.3g、0.5mol)を仕込み、続いて20重量%水
酸化ナトリウム水溶液(220g、1.1mol)を加えて溶解し
た。次に、チオフェノール(60.5g、0.55mol)を仕込
み、密閉状態で反応温度180℃、圧力7.5kg/cm2Gの条件
で3時間、攪拌を行い反応を完結させた。反応終了後、
反応液を75℃まで冷却し、1,2-ジクロロエタン(5g、0.
05mol)を加え1時間攪拌した。これにより未反応のチ
オフェノールはビス(フェニルチオ)エタンとなる。そ
の後、反応液にトルエン(100g)を加えて上記ビス(フ
ェニルチオ)エタンをトルエン層に抽出し、水層と分離
した。次いで、水層に塩酸を加えて酸性化し、析出して
きた結晶を80℃のトルエン(300g)に溶解し、その後
熱時分液して水層とトルエン層を分離した。トルエン層
を0℃まで冷却して晶析物を濾別し、その後乾燥するこ
とにより、5-プロピオニル-2-フェニルチオフェニル酢
酸(129g、収率86%)を得た。得られた5-プロピオニル-
2-フェニルチオフェニル酢酸にチオフェノール臭はなか
った。
【0045】(実施例3〜7) 5-アシル-2-ハロゲノフェニル酢酸〔II〕の製造方法 下記に示す反応式に従い、ハロゲン化アシル〔V〕、2-
ハロゲノフェニル酢酸エステル〔IV〕およびLewis酸と
して表1に記載の化合物を用いて実施例1のと同様に
5-アシル-2-ハロゲノフェニル酢酸〔II〕を製造した。
【0046】
【化10】
【0047】なお、X、Y、R1およびR2は、下記に示
す表1中のX、Y、R1およびR2に対応する。
【0048】
【表1】
【0049】5-アシル-2-フェニルチオフェニル酢酸
〔I〕の製造方法 下記に示す表2の反応条件で、上記で得た5-アシル-2
-ハロゲノフェニル酢酸〔II〕(0.5mol)を用いた他
は、実施例2と同様にして反応を行った後、下記に示す
表3に示す条件で、実施例2と同様にして未反応のチオ
フェノールを除去し、5-アシル-2-フェニルチオフェニ
ル酢酸〔I〕を得た。なお、各実施例3〜7で得られた
生成物および収量(収率)を表4に示す。
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の5-アシル-2-フェニルチオフェニル酢酸の製造方法
は、安価な原料を用いて高収率で純度良く目的物を得る
ことができるものであり、工業的に大変有利である。ま
た、本方法においては、反応終了後に残存する未反応の
チオフェノールを目的物と容易に分離し得る化合物に変
換することができるため、従来、製品への着臭の原因と
なっていた未反応のチオフェノールを完全に除去するこ
とが可能となる。得られる5-アシル-2-フェニルチオフ
ェニル酢酸は、異臭のない良質の医薬中間体として、き
わめて優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 健太 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住友精化株式会社第1研究所内 (72)発明者 林坂 徳之 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住友精化株式会社第1研究所内 (72)発明者 真子 恵一郎 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住友精化株式会社第1研究所内 (56)参考文献 特開 昭61−50961(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 323/62 C07C 319/14 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式〔II〕で示される5-アシル-2
    - ハロゲノフェニル酢酸と下記式〔III 〕で示されるチ
    オフェノールとを塩基性水溶液中、加圧下、100℃〜
    210℃の反応温度で反応させ、反応終了後の反応液中
    に存在する未反応のチオフェノールをハロゲン化アルキ
    ルと反応させて水に不溶のアルキルフェニルスルフィド
    誘導体となし、次いで該アルキルフェニルスルフィド誘
    導体を疎水性溶媒で抽出することにより、該未反応のチ
    オフェノールを除去する工程を含む、下記一般式〔I〕
    で示される5-アシル-2- フェニルチオフェニル酢酸の製
    造方法。 【化1】 (式中、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示
    す)。 【化2】 (式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を示
    し、R1 は炭素原子数1〜4のアルキル基を示す)。 【化3】
  2. 【請求項2】 前記ハロゲン化アルキルが1,2-ジクロロ
    エタン、1,2-ジブロモエタン、塩化tert- ブチル、塩化
    ベンジル、臭化iso-プロピルおよび臭化n-ブチルよりな
    る群から選択される少なくとも1種である、請求項
    記載の5-アシル-2- フェニルチオフェニル酢酸の製造方
    法。
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