JPH08143533A - ハロチオフェノール類の製造方法 - Google Patents

ハロチオフェノール類の製造方法

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JPH08143533A
JPH08143533A JP6289764A JP28976494A JPH08143533A JP H08143533 A JPH08143533 A JP H08143533A JP 6289764 A JP6289764 A JP 6289764A JP 28976494 A JP28976494 A JP 28976494A JP H08143533 A JPH08143533 A JP H08143533A
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thioanisole
halothiophenol
formula
hydrolysis
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JP6289764A
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Hiroshi Itsuda
博 五田
Mikio Yamamoto
幹生 山本
Shigeo Kimura
成夫 木村
Kazuyoshi Yamashita
和良 山下
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 チオアニソール類をハロゲン化して、一般式
(1)で表わされるハロフェニルハロゲン化メチルスル
フィドとなし、引き続き加水分解して一般式(2)で表
わされるハロチオフェノール類を製造する。 【化1】 (式中、X、YはそれぞれClまたはBrを、Rは水素
原子、水酸基、アミノ基、C〜Cのアルキル基また
はアルコキシル基を、m、nはそれぞれ1〜3の整数を
表わす。) 【効果】 工業的に安価にかつ容易にハロチオフェノー
ル類が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ハロチオフェノール類
の新規な製造方法に関する。ハロチオフェノール類は、
医薬、農薬、機能性材料などの原料として有用な化合物
である。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、ハ
ロチオフェノール類の製造方法に関しては、幾つかの方
法が知られている。
【0003】例えば、チオフェノールを塩素化し、その
後、亜鉛等で還元する方法(US3331205)、フ
ェニルチオ酢酸を塩素化後、酸化、還元する方法(US
3296308)、クロロベンゼンスルホニルクロリド
を亜鉛等で還元する方法(US3326981)、クロ
ロベンゼンスルホン酸をリンで還元する方法(DE19
39469)、ジクロロベンゼンを高温下で硫化水素と
反応させる方法(Zh.Org.Khim.11(5)
1132(1975))等が知られている。
【0004】しかしながら、これらの方法は、塩素化後
に還元等が必要なこと、反応条件が厳しいこと、収率、
生産効率が悪いこと等より、いずれも工業的に製造する
には適した方法とは言い難い。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記欠点
を排除して、工業的に安価にかつ容易にハロチオフェノ
ール類を製造する方法を提供すべく鋭意検討した。
【0006】その結果、工業的に安価に供給されている
チオアニソール類を原料として用いる方法を見出すに至
った。すなわち、請求項1の発明は、下記のように、チ
オアニソール類をハロゲン化して、一般式(1)で表わ
されるハロフェニルハロゲン化メチルスルフィドとな
し、引き続き加水分解することを特徴とする一般式
(2)で表わされるハロチオフェノール類の製造方法で
ある。
【化3】 (式中、X、YはそれぞれClまたはBrを、Rは水素
原子、水酸基、アミノ基、C〜Cのアルキル基また
はアルコキシル基を、m、nはそれぞれ1〜3の整数を
表わす。)
【0007】本発明によるハロチオフェノール類の製造
方法の特徴は、工業的に安価なチオアニソール類を原料
として用い、これをハロゲン化して、一般式(1)で表
わされるハロフェニルハロゲン化メチルスルフィドとな
し、引き続き加水分解することにより、一般式(2)で
表わされるハロチオフェノール類を容易にかつ収率よく
製造することができる点にある。
【0008】さらに、上記工程において、加水分解後に
酸化工程を加えることにより、一般式(3)で表わされ
るハロジフェニルジスルフィド類を製造することも可能
である(請求項13の発明)。
【化4】 (式中、YはClまたはBrを、Rは水素原子、水酸
基、アミノ基、C〜Cのアルキル基またはアルコキ
シル基を、nは1〜3の整数を表わす。)
【0009】以下、本願発明を順次、具体的に説明す
る。
【0010】チオアニソール類をハロゲン化して、一般
式(1)で表わされるハロフェニルハロゲン化メチルス
ルフィドとする際のハロゲン化剤としては、目的とする
化合物により異なるが、塩素、塩化スルフリル、臭素、
臭化スルフリル等を使用することができる。また、目的
に応じ、始めに臭素を用い、引き続き塩素を用いるな
ど、幾つかのハロゲン化剤を併用することが可能であ
る。
【0011】ハロゲン化剤の使用量は、目的とする化合
物により異なる。すなわち、一般式(1)で表わされる
ハロフェニルハロゲン化メチルスルフィドにおいて、
X、YがClまたはBrであり、nが1、2または3の
場合がある。また、一般式(1)のmが1、2または3
の場合がある。この際、次工程の加水分解反応を円滑に
進行させるためには、mが2または3が推奨される。し
たがって、全ハロゲン化剤の使用量は、目的とする化合
物に応じ、チオアニソール類に対して3〜7倍モルの範
囲から選択される。
【0012】ハロゲン化に際しては、触媒を用いると反
応が円滑に進行する場合が多い。触媒としては、塩化第
1鉄、塩化第2鉄、臭化第1鉄、臭化第2鉄、塩化第1
銅、塩化第2銅、臭化第1銅、臭化第2銅、塩化亜鉛、
塩化アルミニウム、塩化ニッケル、塩化リチウム、塩化
スズ、塩化アンチモン、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジブチルスズジクロライド、トリフェニルスズクロ
ライド等のルイス酸、鉄、銅、亜鉛等の金属類等を使用
することができるが、中でも鉄、塩化鉄、塩化アルミニ
ウムを用いると、好結果が得られる。触媒の使用量は、
特に限定されるものではないが、通常、チオアニソール
類に対して約0.05〜約5重量%である。
【0013】ハロゲン化の反応温度は、通常、約−20
〜約80℃、好ましくは約−5〜約30℃の範囲であ
る。反応温度が低すぎると反応速度が遅く、逆に高すぎ
ると副反応が起こり収率低下の原因となる。
【0014】溶媒は、特に限定されるものではなく、無
溶媒反応も可能であるが、例えば、ヘキサン、シクロヘ
キサン、ヘプタン等の炭化水素類、ジクロロエタン、ジ
クロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素
類、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、
ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の芳香族炭化
水素類を挙げることができる。溶媒を用いる場合、その
使用量は、特に限定されるものではないが、通常、チオ
アニソール類に対して0.1〜10倍重量である。
【0015】このようにして得られた一般式(1)で表
わされるハロフェニルハロゲン化メチルスルフィドは、
単離することも可能であるが、単離せずに反応液のまま
加水分解工程に用いることが可能である。
【0016】加水分解は、単に水を加え、加熱すること
により、容易に進行し、目的とする一般式(2)で表わ
されるハロチオフェノール類に導くことができる。この
際、アルコール、特に低級アルコールを添加すると、加
水分解反応が円滑に進行する。低級アルコールとして
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−
プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、se
c−ブタノール等を挙げることができる。中でも、メタ
ノールが経済性の点より好ましい。アルコールの使用量
は、特に限定されるものではないが、通常、チオアニソ
ールに対して0.5〜10倍重量である。
【0017】反応温度は、通常、約20〜100℃、好
ましくは約50〜90℃の範囲である。反応温度が低す
ぎると反応速度が遅く、逆に高すぎると副反応が起こり
収率低下の原因となる。反応時間は、通常、約1〜10
時間の範囲である。
【0018】このようにして生成したハロチオフェノー
ル類は、常法の蒸留、晶析により単離することができ
る。
【0019】本発明で得られるハロチオフェノール類と
しては、4−クロロチオフェノール、2−クロロチオフ
ェノール、2,4−ジクロロチオフェノール、2,4,
6−トリクロロチオフェノール、4−ブロモチオフェノ
ール、2,4−ジブロモチオフェノール、4−ブロモ−
2−クロロチオフェノール、2−クロロ−4−メチルチ
オフェノール、2−ブロモ−4−ヒドロキシチオフェノ
ール、2−クロロ−4−メトキシチオフェノール、4−
クロロ−2−ヒドロキシチオフェノール、2−アミノ−
4−クロロチオフェノール等を挙げることができる。
【0020】また、一般式(3)で表わされるハロジフ
ェニルジスルフィド類を目的物として得る場合、上述し
た加水分解後に酸化工程を加えることにより、容易に目
的を達する。すなわち、加水分解後に酸化剤を加えれば
よい。
【0021】酸化剤は、特に特殊なものは必要ではな
く、通常知られているものが使用できる。酸化法として
は、例えば、酸素酸化、空気酸化、塩素、臭素等による
ハロゲン酸化、過酸化水素、過酢酸等の過酸化物による
酸化、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム等
の次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩による酸化等を挙げる
ことができる。
【0022】反応温度は、通常、約0〜100℃、好ま
しくは約10〜80℃の範囲である。反応温度が低すぎ
ると反応速度が遅く、逆に高すぎると副反応が起こり収
率低下の原因となる。反応時間は、通常、約0.5〜1
0時間の範囲である。
【0023】このようにして生成したハロジフェニルジ
スルフィド類は、晶析等により単離することができる。
【0024】本発明で得られるハロジフェニルジスルフ
ィド類としては、上述したハロチオフェノール類を酸化
したジスルフィド類等を挙げることができる。
【0025】
【実施例】以下に、実施例により本願発明をさらに詳し
く説明するが、本願発明は、これら実施例に何等限定さ
れるものではない。
【0026】実施例1 撹拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた1リ
ットル四つ口フラスコに、チオアニソール124g
(1.00モル)、モノクロロベンゼン250gおよび
塩化第2鉄1.2gを仕込み、5℃で4時間かけて塩素
233g(3.28モル)を吹き込んだ。その後、水2
0gおよびメタノール64gを加え、70℃で5時間加
熱し、加水分解を終了した。反応終了後、水50gを加
え、モノクロロベンゼン層を分離した。モノクロロベン
ゼン層を水洗し、硫酸マグネシウムで脱水した後、モノ
クロロベンゼンを留去して粗クロロチオフェノールを得
た。得られた粗クロロチオフェノールを蒸留により精製
分離し、4−クロロチオフェノール109gと2−クロ
ロチオフェノール21gを得た。収率は、チオアニソー
ルに対し、それぞれ75.4%、14.5%であった。
【0027】実施例2 撹拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた1リ
ットル四つ口フラスコに、チオアニソール124g
(1.00モル)、モノクロロベンゼン250gおよび
塩化第2鉄1.2gを仕込み、5℃で4時間かけて塩素
233g(3.28モル)を吹き込んだ。その後、水2
0gおよびメタノール64gを加え、70℃で5時間加
熱し、加水分解を終了した。反応終了後、水50gを加
え、モノクロロベンゼン層を分離した。次に、モノクロ
ロベンゼン層に20%水酸化ナトリウム水溶液を加え、
水層に生成物を抽出した後、水層を分離した。さらに、
水層に濃塩酸を加え、析出した結晶を濾過、洗浄、乾燥
し、4−クロロチオフェノール105gを得た。収率
は、チオアニソールに対し、72.7%であった。
【0028】実施例3 出発原料を4−メチルチオアニソール138g(1.0
0モル)に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行
ない、2−クロロ−4−メチルチオフェノール147g
を得た。収率は、チオアニソールに対し、92.7%で
あった。
【0029】実施例4 出発原料を2−ヒドロキシチオアニソール140g
(1.00モル)に変更する以外は、実施例2と同様の
操作を行ない、4−クロロ−2−ヒドロキシチオフェノ
ール151gを得た。収率は、チオアニソールに対し、
94.1%であった。
【0030】実施例5 45℃で6時間かけて塩素342g(4.82モル)を
吹き込む以外は、実施例2と同様の操作を行ない、2,
4−ジクロロチオフェノール158gを得た。収率は、
チオアニソールに対し、88.3%であった。
【0031】実施例6 撹拌機、温度計、冷却管および滴下ロートを備えた1リ
ットル四つ口フラスコに、チオアニソール124g
(1.00モル)、モノクロロベンゼン250gおよび
塩化第2鉄1.2gを仕込み、0℃で2時間かけて臭素
168g(1.05モル)を滴下した。さらに、同温度
で4時間かけて塩素157g(2.21モル)を吹き込
んだ。その後、実施例2と同様の操作を行ない、4−ブ
ロモチオフェノール173gを得た。収率は、チオアニ
ソールに対し、91.5%であった。
【0032】実施例7 撹拌機、温度計、冷却管およびガス導入管を備えた1リ
ットル四つ口フラスコに、チオアニソール124g
(1.00モル)、モノクロロベンゼン250gおよび
塩化第2鉄1.2gを仕込み、5℃で4時間かけて塩素
233g(3.28モル)を吹き込んだ。その後、水2
0gおよびメタノール64gを加え、70℃で5時間加
熱し、加水分解を終了した。次に、40℃で20%過酸
化水素水170gを加え、同温度で3時間撹拌した。反
応終了後、モノクロロベンゼン層を分離し、モノクロロ
ベンゼンを留去した。その後、メタノールから再結晶す
ることにより、4,4′−ジクロロジフェニルジスルフ
ィド105gを得た。収率は、チオアニソールに対し、
73.2%であった。
【0033】
【発明の効果】本発明の方法は、医薬、農薬の中間体等
として有用なハロチオフェノール類およびハロジフェニ
ルジスルフィド類の新規な製造方法を提供するものであ
る。本発明の方法を採用すると、工業的に安価なチオア
ニソール類を、ハロゲン化、加水分解、酸化することに
より、簡単なプロセスで、高収率で目的物が得られる。
したがって、経済的、工業的価値が極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 323/34 7419−4H 323/37 7419−4H // C07B 61/00 300 (72)発明者 山下 和良 兵庫県加古郡播磨町宮西346番地の1 住 友精化株式会社第1研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チオアニソール類をハロゲン化して、一
    般式(1)で表わされるハロフェニルハロゲン化メチル
    スルフィドとなし、引き続き加水分解することを特徴と
    する一般式(2)で表わされるハロチオフェノール類の
    製造方法。 【化1】 (式中、X、YはそれぞれClまたはBrを、Rは水素
    原子、水酸基、アミノ基、C〜Cのアルキル基また
    はアルコキシル基を、m、nはそれぞれ1〜3の整数を
    表わす。)
  2. 【請求項2】 触媒の存在下にハロゲン化することを特
    徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 触媒がルイス酸である請求項2に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 ルイス酸が塩化鉄または塩化アルミニウ
    ムである請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 低級アルコールの存在下に加水分解する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 低級アルコールがメタノールである請求
    項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 ハロゲン化に塩素を用いる請求項1〜6
    のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 一般式(1)のmが2または3である請
    求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 一般式(1)のnが1または2である請
    求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 ハロチオフェノール類が4−クロロチ
    オフェノールである請求項1〜9のいずれか1項に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 ハロチオフェノール類が2,4−ジク
    ロロチオフェノールである請求項1〜9のいずれか1項
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】 ハロチオフェノール類が4−ブロモチ
    オフェノールである請求項1〜6のいずれか1項に記載
    の方法。
  13. 【請求項13】 チオアニソール類をハロゲン化して、
    一般式(1)で表わされるハロフェニルハロゲン化メチ
    ルスルフィドとなし、引き続き加水分解し、さらに酸化
    することを特徴とする一般式(3)で表わされるハロジ
    フェニルジスルフィド類の製造方法。 【化2】 (式中、X、YはそれぞれClまたはBrを、Rは水素
    原子、水酸基、アミノ基、C〜Cのアルキル基また
    はアルコキシル基を、m、nはそれぞれ1〜3の整数を
    表わす。)
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