JP3262071B2 - 炭素発熱体の製造方法 - Google Patents

炭素発熱体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素発熱体の構造
と製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素材料は、耐熱性、耐熱衝撃性、耐食
性に優れ、かつ熱の放射率があらゆる材料で最も高く、
また融点が3800℃と非常に高いため、発熱体に非常
に適しているものである。従って、特に半導体製造装置
の高温電気炉用の発熱体として実用されているものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の構成の発熱
体は、家庭用の調理機器用の発熱体や暖房器用の発熱体
としては実用が困難であるという課題を有している。
【0004】つまり、固有抵抗が1500〜2000μ
Ω・cmと小さいため、必要な発熱量を得るためには発熱
体を太くかつ長くしなければならないものである。すな
わち、半導体製造用の高温電気炉用発熱体の消費電力は
50kW程度であり、これに使用している発熱体を家庭
用の調理機器用の発熱体や暖房器用の発熱体に適してい
る100V−500Wで30cm程度のものに適用した
場合には、線径が0.6mm程度となるものである。こ
の場合、ワット密度は86W/cm2と非常に大きくな
って、発熱体の温度は約1730℃に達するものであ
る。つまり、焼成温度を超えるものである。このため非
常に断線しやすく、実用には適さないものとなる。また
前記断線に至るほどの温度には達しない場合であって
も、固有抵抗が非常に低下して消費電力が増加するもの
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、黒鉛炭素と、
焼成後の炭素残渣収率がほぼ100%である熱硬化性樹
脂材料と、固有抵抗が10 13 μΩ・cm以上のセラミッ
クスと、窒化ホウ素とを均一に混練して、中空体状に成
形加工し、得られた成形体を不活性ガス雰囲気中で昇温
加熱する前駆体処理を実行し、その後前記前駆体処理の
温度よりさらに高温で真空中で炭化焼成するようにし
て、断面積を小さくして電気抵抗を大きくでき、家庭用
の調理機器用や暖房器用に適した炭素発熱体の製造方法
としているものである。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1に記載した発明は、黒鉛
炭素と、焼成後の炭素残渣収率がほぼ100%である熱
硬化性樹脂材料と、固有抵抗が10 13 μΩ・cm以上の
セラミックスと、窒化ホウ素とを均一に混練して、中空
体状に成形加工し、得られた成形体を不活性ガス雰囲気
中で昇温加熱する前駆体処理を実行し、その後前記前駆
体処理の温度よりさらに高温で真空中で炭化焼成するよ
うにして、断面積を小さくして電気抵抗を大きくでき、
家庭用の調理機器用や暖房器用に適した炭素発熱体の製
造方法としているものである。
【0007】請求項2に記載した発明は、請求項1に記
載した構成に加え、熱硬化性樹脂材料は、重合可能な熱
硬化性樹脂のモノマーまたは低重合体から成る化合物群
から選択した構成として、黒鉛と相溶性が良く材料の分
散状態が均一で、電気抵抗を大きく、家庭用の調理機器
用や暖房器用に適した炭素発熱体の製造方法としている
ものである。
【0008】請求項3に記載した発明は、請求項1に記
載した構成に加え、熱硬化性樹脂材料は、フラン系樹脂
またはフェノール系樹脂または熱硬化性樹脂の化合物群
より選択したモノマーまたは初期重合物とした構成とし
て、中空体に成形するときの成型性が良く、製造の容易
な炭素発熱体の製造方法としている。
【0009】請求項4に記載した発明は、請求項1から
3のいずれか1項に記載した構成に加え、前駆体の処理
の後、少なくとも前記前駆体の処理温度以上の温度で、
かつ発熱体としての発熱温度以上の温度で、かつ真空中
で炭化焼成するようにして、不純物を除去でき、かつ長
期使用によっても特性の劣化の少ない炭素発熱体の製造
方法としているものである。
【0010】請求項5に記載した発明は、請求項1から
4のいずれか1項に記載した構成に加え、前駆体の処理
は不活性ガス雰囲気中で少なくとも800℃以上の温度
で実施するようにして、成型性が良く、しかも固有抵抗
を高くでき、家庭用の調理機器用や暖房器用に適した炭
素発熱体の製造方法としているものである。
【0011】請求項6に記載した発明は、請求項1から
5のいずれか1項に記載した構成に加え、炭化焼成温度
を1200℃以上として、長期使用によっても電気特性
の安定した炭素発熱体の製造方法としている。
【0012】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。一般
に炭素は、構造がガラス状である無定形のものから六方
晶の結晶構造をもつものまで高範囲な中間構造をとるこ
とが知られている。当然のことながら、電気抵抗率はガ
ラス状の化合物ほど大きく、結晶性が高くなるほど小さ
くなる。
【0013】本実施例では、主成分である黒鉛炭素とし
て黒鉛粉末を使用しており、黒鉛炭素を粘結する粘結剤
として、焼成後の炭素残渣収率がほぼ100%で、焼成
時の収縮率の小さい熱硬化性樹脂を使用している。黒鉛
は約3800℃近くまで構造的に安定であり、焼成時の
温度や使用時の温度に対して安定なものである。また前
記粘結剤としては、発明者らが種々検討した結果、フル
フリルアルコール樹脂、フルフリルアルコール/フルフ
ラール共重合樹脂、フルフラール/フェノール共重合樹
脂などのフラン系樹脂、レゾール系、ノボラックなどの
フェノール系樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂などの
熱硬化性樹脂化合物群より選択したモノマーまたは初期
重合物が適していることが判明した。つまり前記樹脂群
は、黒鉛との相溶性が非常によく成型時に黒鉛が十分に
成型体中に均一に分散するのである。このときの配合比
は、黒鉛粉末1〜80重量部に対して、粘結剤を99〜
20重量部とし、好ましくは黒鉛粉末5〜50重量部に
対して粘結剤を95〜50重量部の範囲とするものであ
る。以上の構成とすることによって、炭素粉末と粘結剤
とが強固に結合して、炭化焼成後に高い機械的強度を示
すものとなる。
【0014】以下本実施例の発熱体の製造方法について
説明する。前記黒鉛粉末と粘結剤とをミキサー等を使用
して混練して均一に分散させ、3本ロールミル等を使用
して、剪断力を加えてそれらを十分に相溶・結着させ
て、黒鉛粉末の1次粒子表面に有機物質を物理化学的に
結合させる。これを出発原料として、成形後熱処理をし
て発熱体としているものである。
【0015】しかしこの状態では、得られた抵抗体の電
気抵抗率が低く、またプランジャー等による押出し成型
時に離型性が極めて悪いものである。このため、所定の
形状の炭素棒を得ることができないものである。
【0016】このため発明者らは種々検討した結果、前
記出発原料にセラミックスを加えると、所定の抵抗率を
有し、しかも成型性の良い抵抗体を成型できることを見
いだしているものである。前記セラミックスとしては、
黒鉛および粘結剤と均等に混ざり合って成型性がよく、
押し出し成形時の摩擦抵抗が小さく離型性に優れてい
て、かつ不活性雰囲気中では2200℃付近までは10
14〜1015μΩ・cmの高い固有抵抗を有している窒化ホ
ウ素が最も適しているものである。
【0017】窒化ホウ素の熱伝導率は、ステンレス鋼と
ほぼ同等の20〜30W/(m・K)である。また、窒
化ホウ素は黒鉛と構造が極めてよく類似した物質であ
る。黒鉛は六方晶系に属し、結晶の格子定数は、a=
2.4704Å、c=6.7244Åである。一方、窒化
ホウ素は同じ六方晶系に属し、a=2.5044Å,c
=6.6562Åである。黒鉛に対する格子定数のミス
マッチΔaは0.034Åであり、1.4%に過ぎない
ものである。また同様にミスマッチΔcは−0.068
2Åで、−1.0%に過ぎないものである。つまり、成
型時においては黒鉛と同等と見なせるものである。一般
に離型剤として使用される代表的な物質である二硫化モ
リブデンは、600℃以上では酸化・分解しやすく、本
実施例には使用できないものである。つまり摩擦係数が
急激に大きくなるものである。それに対して窒化ホウ素
は、1000℃付近まで摩擦抵抗が0.2付近で一定で
あり賦形性と離型性に富むものである。
【0018】また抵抗体として極めて重要な固有抵抗
は、黒鉛単体では1500〜2000μΩ・cmであり、
発熱体というよりも導電体に近い性質のものである。一
方、窒化ホウ素は不活性雰囲気中では2200℃付近ま
で1014〜1015μΩ・cmの高い固有抵抗をもち、絶縁
体の範疇に属するものである。発明者らが種々検討した
結果、発熱体の太さを直径で約1mmとし、発熱体の全長
を290mmとして固有抵抗が10000〜18000μ
Ω・cmの物質をつくるには、黒鉛を100重量部とする
と、窒化ホウ素を50〜100重量部とすればよいこと
がわかった。
【0019】また、発熱体としては立ち上がりが速く均
一に発熱する熱伝導率の高い材料が望まれるが、窒化ホ
ウ素は、前記したようにセラミックスとしては異例なス
テンレス鋼とほぼ同等の20〜30W/(m・K)の熱
伝導率を有しているものであり、理想的な配合材料であ
る。
【0020】要約すると、窒化ホウ素を本発熱体の原料
とすることにより、所望の高電気抵抗率がその配合比を
変えるのみで自由に設計できること、材料の混練時に黒
鉛と同じ振る舞いをするので、離型性が非常に良くなる
ものである。
【0021】以上のように本実施例の炭素発熱体は、出
発原料として、黒鉛粉末を1〜80重量部に対して、粘
結剤を99〜20重量部、好ましくは黒鉛粉末5〜50
重量部に対して、粘結剤を45〜50重量部とするもの
である。さらに、窒化ホウ素は、黒鉛粉末5重量部に対
して2.5重量部から5重量、黒鉛粉末50重量部に対
して25重量部から50重量部を配合するものである。
このとき、窒化ホウ素の配合量は、増量すれば電気抵抗
を大きくできるものである。
【0022】また粘結剤としては、フルフリルアルコー
ル樹脂、フルフリルアルコール/フルフラール共重合樹
脂、フルフラール/フェノール共重合樹脂などのフラン
系樹脂、レゾール系、ノボラックなどのフェノール系樹
脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂などの熱硬化性樹脂化
合物群より選択したモノマーまたは初期重合物を少なく
とも1種類以上を含む化合物を使用するものである。こ
れらをミキサーによって十分混練し、得られた混練物を
ロールミルを用いて剪断力を加えつつ、黒鉛と窒化ホウ
素と有機物質とを物理化学的に結着させる。次いで、シ
ート状に成形した後、プランジャーにより中空体に押し
出し成型するものである。本実施例では、直径が0.8
〜2mmのパイプ状に押し出し成型している。この際、加
えた黒鉛と窒化ホウ素とは離型剤として作用し、所定の
中空形状の炭素棒を精度よく形成できるものである。な
お、中空体の肉厚は適宜調整することができ、所望の電
気抵抗率を有する抵抗体を得ることができるものであ
る。
【0023】こうして得られた中空成型体を適当な長さ
に裁断した後、空気オーブン中で5〜10℃/時間の昇
温速度でゆっくり乾燥させながら、180℃でに1時間
保温して、液体分を完全に乾燥させる。次いで、横型管
状炉により、窒素あるいはアルゴンなどの不活性ガス雰
囲気中で5℃/時間の昇温速度で300℃まで昇温す
る。この後、800℃以上好ましくは1000℃に達す
るまで20℃/時間の昇温速度で昇温して、この状態で
3時間保温する。つまり、前記した前駆体の処理温度以
上で、かつこの後、炉内で放冷して、仮焼成すなわち前
駆体処理を完了する。
【0024】こうして、完成した前駆体を本焼成する。
本焼成の目的は、大きく分けて2つある。第一番目は、
不純物を除去することである。第二番目は、実際の発熱
体としての使用温度よりも高い温度で熱処理をしておく
ことによって、長期の実使用によっても構造変化が生じ
ず、一定の抵抗値すなわち消費電力量を一定に維持でき
るようにすることである。
【0025】発明者らの調査では、黒鉛とりわけ天然黒
鉛を材料として用いた場合には、大なり小なりミネラル
成分が混入しているものである。これらの不純物には、
Si,Fe,Ca,Al,Kなどがある。これらが含ま
れている場合は、十分に精製した黒鉛に比べて炭素の酸
化開始温度が約100℃も低下して活性になり、炭素の
発熱体としては甚だ不適当である。また、このような発
熱体を石英管に封入した場合には、使用時に1000℃
以上に達したときには、Kなどはガラスの失透現象をも
たらし、石英管の機械的強度を甚だ損なうものである。
【0026】以上述べた理由によって、前記不純物は徹
底的に除去する必要がある。このため本実施例では、炭
化焼成の条件を、前駆体の処理温度よりも高温であると
同時に、実際に発熱体として使う時の炭素棒の発熱温度
よりも高温で、かつ減圧真空下で行うようにしているも
のである。具体的には1200℃以上の温度としている
ものである。このため、不純物は除去できるものであ
る。
【0027】またこの焼成温度とすることによって、発
熱体として使用したときの特性が非常に安定するもので
ある。すなわち、前駆体処理で生じたガラス状炭素が結
晶へと次第に構造変化して行くことを防止できるもので
ある。図1は、炭化焼成温度と体積抵抗率との関係を示
す特性図である。この図から判るように、炭化焼成温度
を前駆体の処理温度よりも高温で、かつ実使用温度より
も高温とした場合には、体積抵抗率の変化は非常に小さ
いものとなる。
【0028】炭化焼成温度を1500〜1600℃と
し、減圧真空下(10-3Torr)で炭化焼成を実行し
た場合には、発熱体として適当な固有抵抗である100
00〜18000μΩ・cmの発熱体が得られた。
【0029】表1に、1600℃で不活性ガス雰囲気で
熱処理した場合と1600℃で真空下(10-3Tor
r)で熱処理した場合の炭素発熱体の組成分析の結果を
示している。いずれも同温度で3時間保温しているもの
である。この分析データから判るように、減圧真空下で
は余分な不純物がほぼ除去されることが証明できる。
【0030】
【表1】
【0031】また、固有抵抗を18000μΩ・cm、発
熱体の直径を1mm、発熱体の全長を290mmとした時
に、丸棒と中空成型体との電気抵抗率の比較を表2に示
している。このとき中空成形体の肉厚は、0.1mmと0.
2mmに設定している。
【0032】
【表2】
【0033】またこの場合の電気抵抗率は、数1によっ
て計算することができる。 電気抵抗率(Ω)=固有抵抗×発熱体の全長/断面積 (数1) 例えば、肉厚を0.1mmとすると、丸棒に比べて、電気
抵抗率を2.8倍に大きくすることができる。また、自
明なことであるが、肉厚をさらに薄くすることにより、
電気抵抗率をさらに大きくすることができる。かくし
て、中空体状の成型体としてその肉厚を調整することに
より、任意の電気抵抗率の発熱体を製造することができ
る。
【0034】次に、本実施例によって製造した中空成形
体を炭素発熱体として完成させたものについて、発熱体
としての特性のチェックを実行した結果を説明する。実
験に使用したサンプルは、前記中空成形体を適当な太さ
の石英管に入れ、真空に排気した後、瞬間的に1400
℃で加熱して保管中に付着した不純物を除去し、この後
にアルゴンガスを600Torr封入して作成してい
る。この発熱体の特性は、固有抵抗が18000μΩ・
cm、発熱体の直径は1.2mm、肉厚は0.1mm、発熱長は
280mmのもので、100V−380Wで発熱温度が1
200℃であった。このサンプルについて100Vで2
分通電−2分休止のサイクル試験を行ったところ、通電
時間で8760時間(1年相当)で断線することなく、
また消費電力量の変化も初期に比べて10%以内の耐久
性が高い発熱体を得ることができた。
【0035】また、炭素発熱体は放射率が0.8と大き
いため、電子レンジオーブンのように庫内が大きい調理
器の発熱体に適しているものである。例えば、本発熱体
を電子レンジオーブンに組み込んだ場合、同じ消費電力
量でトーストを焼いた場合、従来6分かかっていたもの
が、半分の3分で調理できるものである。このため、本
実施例の炭素発熱体を使用した場合には、大幅なエネル
ギーの節約になるものである。また、電気暖房器の発熱
体として用いた場合、発熱体から10cm離れた場所を
室温に比べて35℃上昇させるためには、当発熱体の消
費電力が167Wであるのに対して、従来のヒータ例え
ばNi−Crを発熱体とした石英管ヒータでは186W
を必要とした。つまり本実施例の発熱体を使用した場合
には、約10%の消費電力の節約ができるものである。
【0036】
【発明の効果】請求項1に記載した発明は、黒鉛炭素
と、焼成後の炭素残渣収率がほぼ100%である熱硬化
性樹脂材料と、固有抵抗が1013μΩ・cm以上のセラ
ミックスと、窒化ホウ素とを均一に混練して、中空体状
に成形加工し、得られた成形体を不活性ガス雰囲気中で
昇温加熱する前駆体処理を実行し、その後前記前駆体処
理の温度よりさらに高温で真空中で炭化焼成するように
して、断面積を小さくして電気抵抗を大きくでき、家庭
用の調理機器用や暖房器用に適した炭素発熱体の製造方
法を実現するものである。請求項2に記載した発明は、
熱硬化性樹脂材料は、重合可能な熱硬化性樹脂のモノマ
ーまたは低重合体から成る化合物群から選択した構成と
して、黒鉛と相溶性が良く材料の分散状態が均一で、電
気抵抗を大きく、家庭用の調理機器用や暖房器用に適し
た炭素発熱体の製造方法を実現するものである。請求項
3に記載した発明は、熱硬化性樹脂材料は、フラン系樹
脂またはフェノール系樹脂または熱硬化性樹脂の化合物
群より選択したモノマーまたは初期重合物とした構成と
して、中空体に成形するときの成型性が良く、製造の容
易な炭素発熱体の製造方法を実現するものである。請求
項4に記載した発明は、前駆体の処理の後、少なくとも
前記前駆体の処理温度以上の温度で、かつ発熱体として
の発熱温度以上の温度で、かつ真空中で炭化焼成する構
成として、不純物を除去でき、かつ長期使用によっても
特性の劣化の少ない炭素発熱体の製造方法を実現するも
のである。請求項5に記載した発明は、前駆体の処理は
不活性ガス雰囲気中で少なくとも800℃以上の温度で
実施する構成として、成型性が良く、しかも固有抵抗を
高くでき、家庭用の調理機器用や暖房器用に適した炭素
発熱体の製造方法を実現するものである。請求項6に記
載した発明は、炭化焼成温度を1200℃以上とした構
成として、長期使用によっても電気特性の安定した炭素
発熱体の製造方法を実現するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である炭素発熱体の温度と抵抗
値との関係を示す特性図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 康典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 森 泰久 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−133715(JP,A) 特開 昭61−39389(JP,A) 特開 昭61−198590(JP,A) 特開 平5−217711(JP,A) 実開 昭60−178993(JP,U) 特公 昭3−67316(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05B 3/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒鉛炭素と、焼成後の炭素残渣収率がほ
    ぼ100%である熱硬化性樹脂材料と、固有抵抗が10
    13μΩ・cm以上のセラミックスと、窒化ホウ素とを均
    一に混練して、中空体状に成形加工し、得られた成形体
    を不活性ガス雰囲気中で昇温加熱する前駆体処理を実行
    し、その後前記前駆体処理の温度よりさらに高温で真空
    中で炭化焼成する炭素発熱体の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱硬化性樹脂材料は、重合可能な熱硬化
    性樹脂のモノマーまたは低重合体から成る化合物群から
    選択した請求項1に記載した炭素発熱体の製造方法。
  3. 【請求項3】 熱硬化性樹脂材料は、フラン系樹脂また
    はフェノール系樹脂または熱硬化性樹脂の化合物群より
    選択したモノマーまたは初期重合物とした請求項1に記
    載した炭素発熱体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前駆体の処理の後、少なくとも前記前駆
    体の処理温度以上の温度で、かつ発熱体としての発熱温
    度以上の温度で、かつ真空中で炭化焼成する請求項1か
    ら3のいずれか1項に記載した炭素発熱体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前駆体の処理は不活性ガス雰囲気中で少
    なくとも800℃以上の温度で実施する請求項1から4
    のいずれか1項に記載した炭素発熱体の製造方法。
  6. 【請求項6】 炭化焼成温度を1200℃以上とした請
    求項1から5のいずれか1項に記載した炭素発熱体の製
    造方法。
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