JP3257714B2 - 脂肪族系ポリエステル繊維 - Google Patents

脂肪族系ポリエステル繊維

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油剤の付与された脂肪
族ポリエステル系繊維に関するものであり、さらに詳し
くは、膠着防止性と解舒性に優れ、かつ捲き崩れ防止性
に優れた生分解性脂肪族系ポリエステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック類は、本来、天然素材が持
つ様々な欠点を改良し克服するために主としてその使用
時、製造時の特性が改良されて、現在では、それらは人
々の生活を豊かなものとし、日常生活になくてはならな
いものになってきている。しかしながら、これらプラス
チック製品は天然物のように自然に帰らないものであ
り、これまでにその使用後の処理、とくにそれが環境に
与える悪影響についてはなおざりにされてきたと言わざ
るを得ない。たとえば、テグス、ロ−プ、網、魚網等の
合成製品は、それが使用後そのまま海や山野に放置され
ると鳥や海洋生物に絡み付き、それらを殺傷することに
なるのである。これらの問題を解決するために、焼却や
埋め立て、さらに回収再生も行われているが、これらの
処理には多大な費用を要するため、またその使い捨て製
品の膨大な増加により、処理が追い付かず、また埋め立
て地がなく、地球環境に重大な影響を及ぼすところまで
きている。このような状況下にあって、近年、自然環境
のなかでバクテリアや微生物によって分解されて自然に
帰る高分子材料、すなわち生分解性プラスチックが急速
に注目されるようになってきた。
【0003】本発明は、この生分解性プラスチックをよ
り有効に利用する発明に関するものであり、繊維並びに
繊維製品として使用中は充分な特性を有し、使用廃棄後
は自然界で一定期間が過ぎると自然に崩壊し、分解して
環境汚染を起こさないように指向する、該繊維並びに繊
維製品を得んとするものである。
【0004】生分解性プラスチックとして、近年、脂肪
族ポリエステル系樹脂が注目されており、本発明者等は
その繊維化の検討を進めてきた。しかしながら、脂肪族
ポリエステルはそのガラス転移点が室温より低いため、
繊維化する時に膠着が発現するため紡糸速度を高くする
ことができず、生産性が低いという問題があった。
【0005】通常、芳香族ポリエステルからなる繊維の
製造法において、とくに多成分系の共重合ポリエステル
になる程、ポリマ−の結晶化速度が遅くなり、紡糸時の
繊維間膠着の発生、延伸時の解舒不良による断糸等が頻
発する問題点があることが知られている。膠着性、解舒
性の問題をとくに有しているポリウレタン弾性繊維にお
いて、かかる問題を防止するための紡糸油剤として、ポ
リジメチルシロキサン(シリコ−ン)や鉱物油(流動パ
ラフィン)にタルクやステアリン酸マグネシウム等の微
粒子を懸濁させた油剤が特公昭41−286号公報に、
ポリジメチルシロキサンや鉱物油にポリアルキレンオキ
サイド変性シリコ−ンを配合した油剤が特公昭45−4
0719号公報に、ポリオルガノシロキサンまたは鉱物
油にアミノ変性シリコ−ンを配合した油剤が特公昭63
−8233号公報等に記載されている。
【0006】しかしながら、微粒子を含む油剤は、フィ
ラメントおよびステ−プルの加工工程において該微粒子
がカ−ドやガイド類に固着したり、スカムとなったり、
また繊維表面の磨耗の原因となる等の問題を生じる。ま
たアルキレンオキサイド変性シリコ−ンを用いた場合、
その変性量が大きく、親水度の高いもの程膠着防止性に
優れることが知られているが、実用上充分な膠着防止性
を持つものはシリコ−ンオイルや鉱物油に溶解しなくな
ってしまい、溶解させるためには高級アルコ−ル類等の
相溶化剤を用いなければならない。しかしこの相溶化剤
は脂肪族ポリエステルを膨潤させ、繊維性能を低下させ
るという問題を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た生分解性を有し、繊維化工程性が良い脂肪族ポリエス
テル繊維を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素数2〜6
の脂肪族炭素と炭素数2〜6の脂肪族炭素とがエステル
結合を介して結合している繰り返し単位を主として有す
る脂肪族ポリエステルを溶融紡糸してなる繊維に、
(a)ポリオルガノシロキサンおよび/または鉱物油、
(b)エ−テル変性ポリオルガノシロキサン、並びに
(c)アミノ変性ポリオルガノシロキサンまたはシリコ
ンレジンからなる油剤が付与されてなる、生分解性を有
する脂肪族系ポリエステル繊維である。
【0009】本発明において、脂肪族ポリエステルは炭
素数2〜6の脂肪族炭素(Aと略称する)と炭素数2〜
6の脂肪族炭素(Bと略称する)とがエステル結合を介
して結合している繰り返し単位を主として有しているこ
とが重要である。ここでいう「主として」はかかる繰り
返し単位が80モル%以上、特に90モル%以上である
ことが好ましいことを示す。このような繰り返し単位を
有するポリエステルは、例えばA部分に相当する炭素数
4〜8の脂肪族ジカルボン酸とB部分に相当する炭素数
2〜6の脂肪族ジオールとから重縮合によって得ること
ができる。ただし、エステル結合を形成するための炭素
はA部分の炭素数に含まれていない。またA、B部分の
炭素数が6を越えるような場合は生分解性が悪くなるの
で好ましくない。本発明においては、脂肪族ポリエステ
ルのA、B部分の炭素数を変化させることが好ましい
が、特に繰り返し単位中に合計で10個以下の炭素が存
在していることが好ましい。
【0010】該ポリエステルの数平均分子量は繊維化が
可能であれば特に限定されないが30000以上が望ま
しい。またこのような分子量にするために分子量100
00〜30000のポリエステルポリオールを製造して
からジイソシアナートなどの鎖伸長剤を用いて高分子量
化しても差支えない。脂肪族ジカルボン酸としては、た
とえばコハク酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸や分岐を有する脂肪族ジカ
ルボン酸を単独または2種以上組合わせて使用でき、ま
た、脂肪族ジオールとしてはエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、プロピレン
グリコールなどを単独または2種以上組合わせて使用す
ることができる。また本発明においてはアルカリ減量速
度を調節したりポリマー界面の接着性を改善するために
少量の第3成分を共重合してもよい。第3成分としては
5−金属スルホイソフタル酸、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトー
ル、アルキレンオキサイドブロックを有するグリシジル
エーテルなどを使用することができる。これらの第3成
分はA、Bの炭素数の合計が大きくなるほど併用するこ
とが望ましい。
【0011】本発明の重要な要件は、紡糸する際に繊維
間の膠着を防止するために、特定の油剤を紡糸原糸に付
与することである。油剤は、(a)ポリオルガノシロキ
サンおよび/または鉱物油、(b)エ−テル変性ポリオ
ルガノシロキサン、並びに(c)アミノ変性ポリオルガ
ノシロキサンまたはシリコンレジンからなるものであ
る。
【0012】本発明にいう(a)成分であるポリオルガ
ノシロキサンとは下記式(I)で示される構造単位を有
する化合物である。
【0013】
【化1】 (R↓1、R↓2は水素原子、アルキル基またはアリ−
ル基を示す。)
【0014】このポリオルガノシロキサンとは、一般に
シリコ−ンまたはシリコ−ンオイルと称されるものであ
り、本発明においては実質的に変性されていないポリオ
ルガノシロキサンを意味し、ポリジメチルシロキサンが
汎用されている。用いるポリオルガノシロキサンの粘度
は任意に選択可能であるが、ガイド類との粘性抵抗を考
慮すると5〜15センチスト−クス(以下、csと略
す)のものが好ましい。15csを越えると解舒時に抵
抗により延伸デニ−ル斑が生じる場合があり、5cs未
満では低沸点分が多く含まれ蒸散、気化による損失が多
い。
【0015】ポリオルガノシロキサンは低粘度物(たと
えば2〜5cs)と高粘度物(たとえば10〜30c
s)を配合して用いることも油剤の加工工程等でのロス
を一定レベルとするために有効な手段である。
【0016】本発明では(a)成分として一般に鉱物油
と呼称されるものも用いられる。その粘度は5〜15c
sのものが好ましく、具体的には流動パラフィン等が挙
げられる。
【0017】本発明において(b)成分として用いられ
るエ−テル変性ポリオルガノシロキサンとは、下記式
(II)で示される構造単位を有する鎖式エ−テルが、
ポリオルガノシロキサンとブロック共重合体またはグラ
フト共重合体を形成しているものをいう。
【0018】
【化2】 (R↓3は2価の有機基を示す)
【0019】R↓3としては炭素数2〜6のアルキレン
基が好ましく、(b)成分の具体例としては、エチレン
オキサイドおよび/またはプロピレンオキサイド変性ポ
リオルガノシロキサンが挙げられる。エ−テル変性度を
大きくして親水性を高めると、(a)成分であるポリオ
ルガノシロキサンまたは鉱物油との相溶性が悪くなる場
合があるが、可能な限り相分離しない組成の調製が好ま
しい。しかしホモジェナイザ−等の利用により懸濁液と
して利用することも可能である。また相溶化剤を用いる
ことも可能であるが、得られる脂肪族系ポリエステル繊
維の性能を損なわない種類や量の選択が必要となる。エ
−テル変性ポリオルガノシロキサンの粘度は、油剤の粘
度を本発明において好適な粘度である50cs以下にす
るために高粘度物は避けるべきで、3000cs以下、
より好ましくは1500cs以下のものを用いることが
望ましい。
【0020】(c)成分であるアミノ変性ポリオルガノ
シロキサンとは、ポリオルガノシロキサンにアミノ基を
導入したものである。アミノ基の変性部位は主鎖であっ
ても側鎖であってもよい。アミノ変性量が大きいと、繊
維表面の摩擦係数を下げる効果が大きいため、後工程に
おいて不都合を生ずる場合があり、したがって油剤中の
アミノ変性ポリオルガノシロキサンの割合を微妙に管理
しなければならず、油剤調製が困難となる。一方アミノ
変性量が小さすぎると該アミノ変性ポリオルガノシロキ
サンの高分子化を生じ、固化物が生じる場合があるの
で、アミノ変性量の調製が必要となる。アミノ変性ポリ
オルガノシロキサンの粘度は5〜5000cs、とくに
10〜2000csの範囲が好ましい。低粘度のものは
低分子量のアミノ変性ポリオルガノシロキサンが多く含
まれ、シリコ−ンとしての性質よりもアミンとしての性
質が強くなり、極めて希なケ−スではあるが皮膚障害を
生ずる場合がある。また粘度が5000csを越える場
合には、油剤の好適な粘度である50cs以下を達成す
るのに不都合を生じてしまう。
【0021】アミノ変性ポリオルガノシロキサンとポリ
オルガノシロキサンはその種類や組成、粘度により相溶
化しない場合があるが、アミノ変性ポリオルガノシロキ
サンの粘度やアミノ基の変性度、ポリオルガノシロキサ
ンの種類や粘度を調製することにより相溶化を図ること
ができる。
【0022】(c)成分であるシリコンレジンはその骨
格であるポリオルガノシロキサンに部分的に橋かけ結合
を有するものである。すなわち、シリコ−ンオイルが主
に2官能のモノマ−により重合されるものであるのに対
し、シリコンレジンは3官能または4官能のモノマ−を
2官能モノマ−に添加して重合されたものをいう。この
シリコンレジンとして、水酸基、アルコキシル基、アミ
ノ基、アミノアルキル基、その他の有機置換基によって
変性されたシリコンレジンも用いることができ、種々の
シリコンレジンを用いることができる。シリコンレジン
は加熱により硬化した場合、繊維表面に堅い強固な被膜
を形成するため、紡糸後の後工程において不都合を生じ
ることがあるので、本発明において用いるシリコンレジ
ンは、少なくとも50℃以下で架橋反応を生じないもの
が好ましい。また、本発明で用いるシリコンレジンは当
然のことながらポリオルガノシロキサンまたは鉱物油と
相溶化するものが好ましい。
【0023】本発明に用いる油剤は、(a)ポリオルガ
ノシロキサンおよび/または鉱物油に、(b)エ−テル
変性ポリオルガノシロキサン、並びに(c)アミノ変性
ポリオルガノシロキサンまたはシリコンレジンを配合し
たものである。ポリオルガノシロキサンと鉱物油は、両
者を任意の割合で混合して用いてもよいし、いずれかを
単独で用いてもよい。エ−テル変性ポリオルガノシロキ
サンは油剤全量に基づいて0.1〜10重量%の範囲内
で含まれることが好ましい。0.1重量%未満では膠着
防止性の点で好ましくなく、一方10重量%を越えても
効果が飽和になり、かえってコストの上昇につながる。
(c)成分としてアミノ変性ポリオルガノシロキサンを
用いる場合、油剤全量に基づいて0.1〜1.0重量%
の範囲内で用いることが好ましい。0.1重量%未満で
は膠着防止性の点で好ましくなく、一方1.0重量%を
越えても効果が飽和になるだけである。(c)成分とし
てシリコンレジンを用いる場合、油剤全量に基づいて
0.1〜7.0重量%の範囲内で用いることが好まし
い。0.1重量%未満では主として捲き崩れ防止性の点
で好ましくなく、一方7.0重量%を越えるとスカム等
が発生する場合がある。
【0024】本発明に用いる油剤にはタルク、シリカ、
コロイダルアルミナ等の鉱物性固体微粒子を本発明の効
果を損なわない範囲であれば添加してもよい。
【0025】本発明に用いる油剤の粘度として、30℃
における粘度が50cs以下であることが好ましく、よ
り好ましくは30cs以下、さらに好ましくは3〜10
csの範囲である。油剤の粘度が50csを越えた場
合、紡糸原糸を延伸する際に抵抗が大きくなり、延伸斑
が発生したり、ロ−ラ−やガイド類に原糸が取られ、伸
長斑を生じた状態でボビンに捲き取られたり、ロ−ラ−
に捲き付いて断糸したりする場合がある。また織編等の
工程においての油剤の粘度による摩擦で伸長斑を生じた
りするトラブルが発生する。もちろん必要に応じて減粘
剤(希釈剤)、たとえば低粘度のポリジメチルシロキサ
ンを併用することも可能である。
【0026】かかる油剤は繊維に対して0.1〜10.
0重量%の範囲で付与することが好ましい。0.1重量
%未満では膠着防止の点で不充分であり、一方10重量
%を越えると捲き崩れ防止やコストの点で好ましくな
い。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではな
い。30℃における粘度は下記の方法にて測定した。ま
た、実施例で用いる各種油剤の記載を簡略化するため
に、各成分を下記の表1のように符号を付して表示す
る。 (1)粘度(cs) 30℃における動的粘度を、ウベロ−デ粘度計により測
定した極限粘度を密度で除して算出した。 (2)各種成分の符号
【0028】
【表1】
【0029】実施例1 酸成分としてコハク酸、グリコ−ル成分としてブタンジ
オ−ル1,4を用い、常法によりエステル化ならびに重
縮合を行ってポリエステルを合成し、さらにこのポリエ
ステルにヘキサメチレンジイソシアナ−トを反応させて
数平均分子量48700、融点120℃の高分子量化さ
れた脂肪族ポリエステルを得た。得られたポリマ−を押
し出機で溶融押し出し、温度190℃でノズルより吐出
させ、巻き取り速度2500m/分で巻き取った。この
時、オイリングロ−ラ−により表2に示す各種の組成の
油剤1重量%を繊維に付与した。それぞれの油剤を付与
した紡糸原糸についての評価結果を表2に示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2から明らかなように、本発明による繊
維は解舒性や膠着防止性に優れ、スカム等の発生のな
い、優れたものであることは明らかである。一方、
(b)成分であるエ−テル変性ポリオルガノシロキサン
を配合しない油剤を用いた場合は(実験NO.IV、
V)、捲き崩れが激しく実用にならず、(c)成分であ
るアミノ変性ポリオルガノシロキサンやシリコンレジン
を配合しない油剤を用いた場合は(実験NO.VI)、
解舒性に劣り、ポリオルガノシロキサンと鉱物油に固体
微粒子を配合した場合(実験NO.VII)、スカムの
発生が見られた。
【0032】上記で得られた、膠着のない紡糸原糸を用
いて、延伸温度50℃、延伸倍率1.7倍で延伸し、5
0デニ−ル36フィラメントのマルチフィラメントを得
た。ついでこの延伸糸を用いて筒編みを作成し、これを
土中に埋没させて観察したところ、約6か月間はほとん
どその形態を保持していたがその後2か月でほぼ完全に
分解していた。
【0033】実施例2 酸成分としてコハク酸、グリコ−ル成分としてエチレン
グリコ−ルを用い、常法によりエステル化並びに重縮合
を行ってポリエステルを合成し、さらにこのポリエステ
ルにヘキサメチレンジイソシアナ−トを反応させて数平
均分子量35000、融点115℃の高分子量化された
脂肪族ポリエステルを得た。得られたポリマ−を実施例
1と同様にして紡糸し、紡糸原糸に表2に示される各油
剤を付与し、評価を行った。効果は実施例1の場合と全
く同じ傾向であった。
【0034】実施例3 酸成分としてコハク酸とアジピン酸(混合モル比 コハ
ク酸:アジピン酸=90:10)、グリコ−ル成分とし
てブタンジオ−ル1,4を用い、常法によりエステル化
並びに重縮合を行ってポリエステルを合成し、さらにこ
のポリエステルにヘキサメチレンジイソシアナ−トを反
応させて数平均分子量45000、融点100℃の高分
子量化された脂肪族ポリエステルを得た。得られたポリ
マ−を実施例1と同様にして紡糸し、紡糸原糸に表2に
示される各油剤を付与し、評価を行った。効果は実施例
1の場合と全く同じ傾向であった。
【0035】実施例4 実施例1と全く同様にして、コハク酸とブタンジオ−ル
1,4からなる脂肪族ポリエステルを合成し、高分子量
化した。数平均分子量は50000、融点は124℃で
あった。得られたポリマ−を実施例1と同様にして紡糸
し、紡糸原糸に表3に示される各油剤を付与し、評価を
行った。それぞれの油剤を付与した紡糸原糸についての
評価結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3から明らかなように、実験NO.X〜
XIIIは捲き崩れせず、膠着の発生もなく、延伸時の
解舒性も良好でスカムも見られなかった。これに対し、
実験NO.XIV、XVII、XVIIIは、(c)成
分であるアミノ変性ポリオルガノシロキサンの添加量が
多いため、膠着は防止されるが捲き崩れが発生し、実用
に供せられなかった。実験NO.XVはスカムの発生が
あり、また実験NO.XVIは油剤粘度が高すぎ、コデ
ットロ−ラ−上に繊維が粘着し、捲き取り機にて捲き取
り不能であった。
【0038】上記で得られた、膠着のない紡糸原糸を用
いて、延伸温度50℃、延伸倍率1.7倍で延伸し、5
0デニ−ル36フィラメントのマルチフィラメントを得
た。ついでこの延伸糸を用いて筒編みを作成し、これを
土中に埋没させて観察したところ、約6か月間はほとん
どその形態を保持していたがその後2か月でほぼ完全に
分解していた。
【0039】実施例5 実施例2と全く同様にして、コハク酸とエチレングリコ
−ルからなる脂肪族ポリエステルを合成し、高分子量化
した。数平均分子量は34000、融点は122℃であ
った。得られたポリマ−を実施例2と同様にして紡糸
し、紡糸原糸に表3に示される各油剤を付与し、評価を
行った。それぞれの油剤を付与した紡糸原糸について評
価を行った。効果は実施例4の場合と全く同じ傾向であ
った。
【0040】
【発明の効果】本発明は、生分解性を有する脂肪族ポリ
エステルを繊維化する際、特定組成の油剤を付与するこ
とにより、紡糸速度を高速にしても膠着等のトラブルが
発生せず、従来に比較して飛躍的に生産性を向上させる
ことを見出だしたものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素数2〜6の脂肪族炭素と炭素数2〜6
    の脂肪族炭素とがエステル結合を介して結合している繰
    り返し単位を主として有する脂肪族ポリエステルを溶融
    紡糸してなる繊維に、(a)ポリオルガノシロキサンお
    よび/または鉱物油、(b)エ−テル変性ポリオルガノ
    シロキサン、並びに(c)アミノ変性ポリオルガノシロ
    キサンまたはシリコンレジンからなる油剤が付与されて
    なる脂肪族系ポリエステル繊維。
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