JP2004218182A - ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明の課題は、工程通過性や生産性に優れ、高温環境下での使用や摩耗性の要求される分野での使用に耐えうるとともに、捲縮特性や寸法安定性に優れたポリ乳酸仮撚糸とその製造方法を提供することである。
【解決手段】
上記課題は、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有するポリ乳酸繊維からなり、下記特性を有することを特徴とするポリ乳酸仮撚糸により解決される。
90℃強度≧0.3cN/dtex
CR≧10%
未解撚数≦3個/10m
【選択図】 図2
Description
CR≧10%
未解撚数≦3個/10m
また、本発明のポリ乳酸仮撚糸は、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有させたポリ乳酸を溶融紡糸して得られたマルチフィラメントに、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを共重合付加した化合物および/またはそれらから誘導される化合物を40重量%以上含有する平滑剤を0.1〜3.0重量%付与した後、紡糸速度4000m/分以上で巻き取って未延伸糸を得、該未延伸糸を、仮撚ヒーター温度90〜150℃、かつ延伸摩擦仮撚加工時の加撚張力(T1)と解撚張力(T2)の比(T2/T1)が3.0以下で延伸摩擦仮撚加工することにより製造することができる。
試料のクロロホルム溶液にTHFを混合し測定溶液とした。これをGPCで測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
オルソクロロフェノール中25℃で測定した。
加熱雰囲気下(90℃)で、初期試料長200mm、引っ張り速度200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に、破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求め、最大点の強度を90℃強度とした。
沸騰水収縮率は、次の式で求められる。
沸騰水収縮率(%)=[(L0−L1)/L0)]×100(%)
(但し式中、L0は延伸糸をかせ取りし初荷重0.09cN/dtex下で測定したかせの原長であり、L1はL0を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN/dtex下でのかせ長である。)
E.仮撚加工糸のCR値
仮撚加工糸をかせ取りし、実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中15分間処理し、24時間風乾した。このサンプルに0.088cN/dtex(0.1gf/d)相当の荷重をかけ水中に浸漬し、2分後のかせ長L’0を測定した。次に、水中で0.0088cN/dtex相当のかせを除き0.0018cN/dtex(2mgf/d)相当の微荷重に交換し、2分後のかせ長L’1を測定した。そして下式によりCR値を計算した。
CR(%)=[(L’0−L’1)/L’0]×100(%)
F.未解撚数
仮撚加工糸を10m引き出し、それを目視にて未解撚部分の個数をカウントし、未解撚数とした。
延伸摩擦仮撚加工時の施撚体の回転数(S)をストロボにて測定し、施撚体の周長(LL)から施撚体表面速度(S×LL)を求め、延伸ローラーの速度を糸条走行速度(Y)として下式にて算出した。
3軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具:D/Y=(S×LL)/Y
ベルトニップ型摩擦仮撚具:VR=(S×LL)/Y
H.耐摩耗性評価
実施例と比較例にて得られた染色布帛をJIS L−1018テーバー形法に準じて下記の処理条件で行い、表面摩耗状態を目視で観察し、摩耗がほとんど見られないものを◎、やや摩耗しているものを○、摩耗が酷いものを×として3段階評価を行い、○以上を合格とした。
<処理条件>
摩耗輪の材質:No.CS−10
押圧荷重:2.45N
摩擦回数:200回
I.総合評価
実施例と比較例で得られた仮撚加工糸の未解撚数、沸騰水収縮率、CR値、90℃強度、染色布帛の染め斑、耐摩耗特性および毛羽発生状況から、生産に十分適用できると判断されたものを◎、生産に適用できると判断したものを○、生産には適用できないと判断したものを×として、3段階にて評価を行い、○以上を合格とした。
光学純度99.5%のL乳酸から製造したラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)を存在させてチッソ雰囲気下180℃で140分間重合を行い、ポリ乳酸P1を得た。得られたポリ乳酸の重量平均分子量は14.5万であった。
ポリ乳酸P1とエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)[日本油脂社製商品名「アルフローH−50S」]を乾燥した後、P1:EBA=96:4(重量比)となるように、加熱溶融したEBAを計量して連続的にP1に添加しながらシリンダー温度220℃の2軸混練押し出し機に供することで、EBAを4重量%含有したポリ乳酸P2を得た。
製造例2において、ポリ乳酸P1とエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)の重量比を、P1:EBA=93:7(重量比)に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、EBAを7重量%含有したポリ乳酸P3を得た。
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をm−キシリレンビスステアリン酸アミド(KBA)[日本化成社製商品名「スリパックスPXS」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、KBAを4重量%含有したポリ乳酸P4を得た。
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をアルキル置換型モノアミドのN−ステアリルステアリン酸アミド(SS)[日本化成社製商品名「ニッカアマイドS」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、SSを4重量%含有したポリ乳酸P5を得た。
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をモノアミドのベヘニン酸アミド(BA)[日本油脂社製商品名「アルフローB−10」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、BAを4重量%含有したポリ乳酸P6を得た。
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をモノアミドのステアリン酸アミド(SA)[日本油脂社製商品名「アルフローS−10」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、SAを4重量%含有したポリ乳酸P7を得た。
原料を重量比でポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=3:1となるようにチップブレンド(EBAは1.0重量%)し、100℃、8時間撹拌しながら真空乾燥を行った後、チップを図1に示す紡糸機のホッパー1に仕込み、このチップをエクストルーダー型溶融押出機2で220℃にて溶融・押出した後、計量ポンプ3にて58.3g/分に計量し、220℃に加熱されたスピンブロック4に設置された紡糸パック5に溶融ポリマーを導き、孔径0.3mm、孔深度0.5mm、孔数36の口金6から糸条Fを紡出し、冷却装置7にて25m/分の速度で冷却風を糸条Fに当てることで冷却固化させ、給油装置8にて糸条Fを収束させ、同時にポリエーテル系潤滑剤[ブタノール(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ランダム付加物、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50重量%、重量平均分子量1,400]を85重量%含有する紡糸用油剤(油剤成分濃度15重量%)を、繊維重量全体に対して油剤成分が1.0重量%となるように付与した。その後、流体処理装置9にて0.05MPaの圧力の空気流を以て、糸条Fに交絡処理を行った。その後周速5,000m/分の第1引取ローラー10(紡糸速度5,000m/分)、第2引取ローラー11を介して引き取り、綾角5.5°で巻取装置12にてチーズ13を巻き取った。紡糸性は良好であり、糸切れ、毛羽の発生は見られず、口金直下での発煙もほとんど無かった。また、得られたチーズ13からポリ乳酸未延伸糸を解舒し、その物性値を測定したところ、総繊度は117dtex、沸騰水収縮率は15%であり、十分な耐熱性を有していた。
<布帛加工条件>
・精錬:ソーダ灰(1g/l)、界面活性剤(0.5g/l)、98℃×20分
・中間セット:140℃×3分
・染色:Dianix Navy Blue ERFS 200(2重量%owf)、pH調整剤(0.2g/l)、110℃×40分
・ソーピング:界面活性剤(0.2g/l)、60℃×20分
・仕上げセット:140℃×30分
[実施例2]
原料をポリ乳酸P2のみとしたこと以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸未延伸糸、仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸未延伸糸を得る溶融紡糸工程において、若干の発煙が見られたものの、生産性や作業環境は実用に耐えうるものであった。得られたポリ乳酸未延伸糸の繊維物性は、総繊度が17dtex、沸騰水収縮率が15%であり、優れた耐熱性を示した。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.7%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、90℃強度は1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。染色布帛もソフトかつしなやかで十分なふくらみを有しており、染色斑も無い品位の優れた布帛が得られた。また耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表1に示す。
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=20:1(EBAは0.2重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸仮撚糸を得る延伸摩擦仮撚工程において数回の糸切れが発生したが、大きな問題なく延伸摩擦仮撚加工を行うことができた。得られたポリ乳酸未延伸糸の物性は、繊度が117dtex、沸騰水収縮率が15%であった。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.7%、CR値が21%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、90℃強度は1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。染色布帛もソフトかつしなやかで十分なふくらみを有しており、染色斑のない品位の優れた布帛が得られた。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表1に示す。
原料をポリ乳酸P1のみとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸仮撚糸を得る延伸摩擦仮撚工程においてしばしば糸切れが発生したが、大きな問題なく延伸摩擦仮撚加工を行うことができた。得られたポリ乳酸未延伸糸の繊維物性は、総繊度が117dtex、沸騰水収縮率が15%であった。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に、90℃強度は0.9cN/dtexであり、優れた耐熱性を示したが、未解撚が4個/10mであり、均一性に劣るものであった。染色布帛もソフトかつしなやかで十分なふくらみを有していたが、染色斑が見られ品位が悪いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面には削れた跡が残り、更には部分的に破れが生じるなど、実用にならないものであった。結果を表1に示す。
原料をポリ乳酸P3のみ(EBAは7重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸未延伸糸を得るための溶融紡糸工程において、滑剤のブリードアウトが激しく、作業環境が著しく悪化した。得られたポリ乳酸未延伸糸の繊維物性は、総繊度が117dtex、沸騰水収縮率が15%であった。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、90℃強度は0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。また、染色布帛はソフトかつしなやかであり、十分なふくらみを有するものであったが、染色斑が激しく品位が悪かった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、部分的に摩耗に耐えている箇所が見受けられたが、破れが生じている箇所もあり、耐摩耗性は悪かった。結果を表1に示す。
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P4=3:1(KBAは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。このとき、ポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.9%、CR値が21%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。更に、未解撚数も0個/10mであり、糸長手方向に均一な捲縮形態を示した。染色布帛についてもソフトかつしなやかであり、十分なふくらみを有するものであり、染色斑も見られない優れたものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表2に示す。
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P5=3:1(SSは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、ポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、未解撚数も0個/10mであり、糸長手方向に均一な捲縮形態を示した。染色布帛についてもソフトかつしなやかであり、十分なふくらみを有するものであり、染色斑も見られない優れたものであった。また耐摩耗性の評価を行ったところ、表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表2に示す。
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P6=3:1(BAは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。紡糸工程では発煙が発生して作業環境が悪化し、仮撚工程ではしばしば糸切れが発生した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、90℃強度も0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、未解撚数は5個/10mであり、品位に劣るものであった。染色布帛については十分なふくらみを有するものであったが、ソフト感が薄れ、かつしなやかさも足りない、染色斑が見られる品位の悪いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生しており耐摩耗性は劣悪であった。結果を表2に示す。
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P7=3:1(SAは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。紡糸工程では発煙が発生して作業環境が悪化し、仮撚工程ではしばしば糸切れが発生した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、90℃強度も0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、未解撚数は5個/10mであり、品位に劣るものであった。染色布帛については十分なふくらみを有するものであったが、ソフト感が薄れ、かつしなやかさも足りない、染色斑が見られる品位の悪いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生しており、耐摩耗性は劣悪であった。結果を表2に示す。
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて62.5g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を6,000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を480m/分、D/Yを1.7としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。溶融紡糸工程においてごくわずかの糸切れが発生したものの、安定した製糸が可能であった。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は12%であった。また、延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は1.4であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.5%、CR値が23%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は1.1cN/dtexであり、耐熱性にも優れるものであり、未解撚数も0個/10mと均一な捲縮形態であった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つ、染色斑の無いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表3に示す。
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて51.2g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4,300m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を419.6m/分、D/Yを1.4としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は17%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は1.93であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が7.6%、CR値が19%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.9cN/dtexであり、耐熱性にも優れるものであり、未解撚数も1個/10mと実施例1対比劣るものの十分均一な捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、良好なふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つ、染色斑の非常に少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表3に示す。
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を400m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.25であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.5%、CR値が23%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.7cN/dtexであり、非常に良好な耐熱性を有し、未解撚数も3個/10mと実施例1対比劣るものの、実用上問題ないレベルの捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持ち、染色斑の少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表3に示す。
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて52.6g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を3,500m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を333m/分、D/Yを0.67としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程では良好な工程通過性を示したものの、延伸摩擦仮撚加工工程では仮撚ヒーター上で糸切れが頻発した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は50%であった。またT2/T1を3.40とT2の割合を高くし、施撚体後の糸条に高いT2をかけなければ未解撚が多発してしまった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が7%、CR値が9%であり、十分な寸法安定性を示したものの、捲縮特性に劣るものであった。更に90℃強度は0.35cN/dtexであり耐熱性は実用上問題ないレベルであったが、未解撚数は7個/10mと実施例1対比捲縮形態の均一性が劣るものであった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、ふくらみの無いペーパーライクな布帛が得られ、更には染め斑も多発してしまい、品位が悪かった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生し、実施例1と比較すると耐摩耗性に若干劣るものであった。結果を表3に示す。
紡糸用油剤に含まれるポリエーテル系潤滑剤[ブタノール(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ランダム付加物、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50重量%、重量平均分子量1400]を65重量%の含有量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、ポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.7%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、ポリ乳酸仮撚糸の未解撚数が1個/10mとなり、実施例1対比わずかに捲縮形態の均一性に劣るものであった。染色布帛はふくらみ、ソフト感やしなやかさに優れ、染色斑もほとんど見られない良好なものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表4に示す。
紡糸用油剤に含まれるポリエーテル系潤滑剤[ブタノール(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ランダム付加物、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50重量%、重量平均分子量1400]を45重量%の含有量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、ポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示したものの、ポリ乳酸仮撚糸の未解撚数が3個/10mとなり、実施例1対比捲縮形態の均一性に劣るものであった。染色布帛はふくらみ、ソフト感やしなやかさに優れるものの、実用上問題ないレベルではあるが、染色斑が若干見られるものであったが、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表4に示す。
紡糸用油剤を脂肪酸エステル系潤滑剤(イソトリデシルステアレート、オクチルパルミテートをそれぞれ同量)40重量%、更に鉱物油を15重量%、乳化剤として多価アルコールエステルを20重量%を含有するものとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。溶融紡糸工程では良好な工程通過性を示したものの、延伸摩擦仮撚加工工程では連続運転を行った際に施撚体表面や仮撚ヒーター上、糸道ガイドなどに油剤が付着し、運転の始めと終わりのサンプルでは捲縮形態が大きく異なってしまった。また、得られた仮撚糸の繊維物性は、沸騰水収縮率が7.9%、CR値が19%と優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、更に90℃強度も0.6cN/dtexと良好な耐熱性を有していたが、未解撚数が8個/10mと非常に多く、品位が悪かった。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、十分なふくらみが得られず、更には染色斑も多発しており、品位が悪かった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生し、実施例1と比較すると耐摩耗性に若干劣るものであった。結果を表4に示す。
D/Yを2.33としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき、延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は0.69であった。また、得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が16%と優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、90℃強度は0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、未解撚数は3個/10mであり、実施例1対比若干捲縮形態の均一性に劣るものであった。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、若干染色斑が見られたものの、ふくらみ、ソフト感やしなやかさは良好であり、耐摩耗性評価後も表面の変化が少なく、優れた耐摩耗性を示した。結果を表5に示す。
D/Yを1.08としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では施撚体と延伸ローラー間でしばしば糸切れが発生した。また、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は2.96とT2の割合が高かった。また、得られた仮撚糸は騰水収縮率が7.8%、CR値が18%と優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、また90℃強度も0.8cN/dtexと優れた耐熱性を有し、未解撚数も0個/10mであり優れた捲縮形態の均一性を示したが、若干毛羽が発生していた。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、布帛表面に若干の毛羽が見られた。その他の特性は、ふくらみ、ソフト感やしなやかさ、染色斑も良好であり、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表5に示す。
D/Yを0.67としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では施撚体と延伸ローラー間で頻繁に糸切れが発生した。また、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は3.26とT2の割合が非常に高かった。また、得られた仮撚糸は騰水収縮率が7.7%、CR値が20%と優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、更に90℃強度も0.8cN/dtexと優れた耐熱性を持ち、未解撚数も0個/10mであり優れた捲縮形態の均一性を示したが、毛羽が多発していた。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、ふくらみ、ソフト感やしなやかさは良好であったが、染色斑が見られ、また布帛表面に毛羽が存在し、品位が悪かった。また撚糸工程、製織工程において毛羽が堆積し、撚糸機や製織機をしばしば停機しなければならなかった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、布帛表面で削れが大きく、耐摩耗性は悪かった。結果を表5に示す。
仮撚ヒーターの温度を95℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は0.8であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は騰水収縮率が14%、CR値が16%と実用上問題ない寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、更に90℃強度も0.6cN/dtexと良好な耐熱性を有していた。また、未解撚数は0個/10mであり捲縮形態の均一性にも優れたものであった。更に、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、ふくらみ、染色斑のレベルには優れるものの、ソフト感やしなやかさが若干低いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表6に示す。
仮撚ヒーターの温度を145℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は2.8であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は騰水収縮率が5%、CR値が11.2%と実用上問題ない寸法安定性と良好な捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.9cN/dtexと優れた耐熱性を有していた。また、未解撚数は0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れたものであった。更に、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、実用上問題ないふくらみ、ソフト感やしなやかさを持ち、更には染色斑の無い布帛が得られた。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表6に示す。
仮撚ヒーターの温度を85℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は0.7であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸の未解撚数は0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れ、CR値18%、90℃強度0.6cN/dtexと良好な捲縮特性および良好な耐熱性を示したが、騰水収縮率が17%と高く、寸法安定性に劣るものであった。更に、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、ふくらみ、染色斑のレベルには優れ、また耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化が少なく、良好な耐摩耗性を示した。ただし、ソフト感やしなやかさに劣るものであり、品位が悪かった。結果を表6に示す。
仮撚ヒーターの温度を155℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は3.1であり、T2の割合が高かった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は騰水収縮率が沸収4.8%、90℃強度が0.7cN/dtex、CR値が8%と寸法安定性に優れ、耐熱性も良好であったが、捲縮特性は劣悪であった。また、未解撚数は3個/10mと実用上問題ないレベルであった。このポリ乳酸仮撚糸を用いて実施例1と同様に染色布帛を作成し、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化が少なく、良好な耐摩耗性を示したが、ペーパーライクであり、ふくらみに欠ける品位の悪いものであった。結果を表6に示す。
施撚体をベルトニップ式摩擦仮撚具に変更し、ベルトを硬度70度のニトリルブチレンラバー製とし、ベルトの交差角度を100°、D/YをVRとしてその値を1.5としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。またポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い優れた品位を示した。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
施撚体を3軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具とし、第4〜第10番目までのディスクの材質をJIS A スケールで76度の硬度を持つウレタンとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。ポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い優れた品位を示し、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
施撚体を3軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具とし、第4〜第10番目までのディスクの材質をJIS A スケールで89度の硬度を持つウレタンとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。ポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であり、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無いものであった。結果を表7に示す。
施撚体をベルトニップ式摩擦仮撚具とし、ベルトを硬度62度のニトリルブチレンラバー(NBR)製とし、ベルトの交差角度を100°、D/YをVRとしてその値を1.5としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。ポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い優れた品位を示した。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
施撚体をベルトニップ式摩擦仮撚具とし、ベルトを硬度82度のニトリルブチレンラバー(NBR)製とし、ベルトの交差角度を100°、D/YをVRとしてその値を1.5としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無いものであり、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
原料をP1とし、エクストルーダー型溶融押出機の途中からエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)[日本油脂社製商品名「アルフローH−50S」]を吐出量に対して1重量%添加されるように供給したこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸および染色布帛を得た。このとき溶融紡糸工程、延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示し、更には得られたポリ乳酸仮撚糸の着色が少なく優れていた。また得られた仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い品位に優れたものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表8に示す。
原料をP1とし、エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)[日本油脂社製商品名「アルフローH−50S」]を仕込量に対して1重量%添加されるように粉体計量した後、乾燥工程にてポリ乳酸P1に付着させてエクストルーダー型溶融押出機に供給したこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき溶融紡糸工程、延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示したが、連続運転を行った際に滑剤の添加量が実用上問題ないレベルではあるが変動していた。得られた仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れており、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表8に示す。
延伸摩擦仮撚加工工程において、図2の延伸ローラーとデリベリローラーの間に非接触式ヒーターを配置し、その温度を200℃、デリベリローラーの周速を540m/分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程、製織工程では良好な工程通過性を示した。また得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が5.3%、90℃強度が0.9cN/dtex、CR値が14%であり、優れた寸法安定性、耐熱性を示し、良好な捲縮特性を示した。また、未解撚数は0個/10mであり糸長手方向に欠点の無い糸であった。また、染色布帛は非常にソフトかつ、しなやかであり、良好なふくらみを有し、染色斑の無い品位に優れたものであった。更に、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面変化が少なく、優れた耐摩耗性を示した。結果を表9に示す。
延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を460m/分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。溶融紡糸工程およびその後の仮撚加工工程共に安定した製糸が可能であった。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.1であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.8%、CR値が18%であり、優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.5cN/dtexと耐熱性も良好であり、未解撚数は0個/10mと均一な捲縮形態であった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、良好なふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つ、染色斑の無いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表10に示す。
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を450m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.45であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.3%、CR値が21%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.40cN/dtexであり、良好な耐熱性を有し、未解撚数も3個/10mと実施例1対比劣るものの、実用上問題ないレベルの捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持ち、染色斑の少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表10に示す。
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を480m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.80であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.2%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.35cN/dtexであり、実用上問題ない耐熱性を有し、未解撚数も3個/10mと実施例1対比劣るものの、実用上問題ないレベルの捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持ち、染色斑の少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表10に示す。
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を500m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は3.10であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.0%、CR値が18%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。しかし、90℃強度は0.25cN/dtexであり、耐熱性に劣るものであった。また、未解撚数は5個/10mであり、均一性に欠ける仮撚糸しか得ることができなかった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つが、タイトスポットが散見され、品位に劣るものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく耐摩耗性には優れていた。結果を表10に示す。
2:エクストルーダー型溶融押出機
3:計量ポンプ
4:スピンブロック
5:紡糸パック
6:口金6
7:チムニー
8:給油装置
9:流体処理装置
10:第1引取ローラー
11:第2引取ローラー
12:巻取装置
13:チーズ
14:チーズ
15a〜15c:糸道ガイド
16:供給ローラー
17:仮撚ヒーター
18:糸道ガイド
19:冷却板
20:施撚体
21:延伸ローラー
22:デリベリローラー
23a〜23b:糸道ガイド
24:仮撚糸
Claims (5)
- 脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有するポリ乳酸繊維からなり、下記特性を有することを特徴とするポリ乳酸仮撚糸。
90℃強度≧0.3cN/dtex
CR≧10%
未解撚数≦3個/10m - 沸騰水収縮率が15%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸仮撚糸。
- ポリエーテル系潤滑剤が付与されてなることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸仮撚糸。
- ポリエーテル系潤滑剤が、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを共重合付加した化合物および/またはそれらから誘導される化合物であることを特徴とする請求項3記載のポリ乳酸仮撚糸。
- 脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有させたポリ乳酸を溶融紡糸して得られたマルチフィラメントに、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを共重合付加した化合物および/またはそれらから誘導される化合物を40重量%以上含有する平滑剤を0.1〜3.0重量%付与した後、紡糸速度4000m/分以上で巻き取って未延伸糸を得、該未延伸糸を、仮撚ヒーター温度90〜150℃、かつ延伸摩擦仮撚加工時の加撚張力(T1)と解撚張力(T2)の比(T2/T1)が3.0以下で延伸摩擦仮撚加工することを特徴とするポリ乳酸仮撚糸の製造方法。
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