JP2004218182A - ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明の課題は、工程通過性や生産性に優れ、高温環境下での使用や摩耗性の要求される分野での使用に耐えうるとともに、捲縮特性や寸法安定性に優れたポリ乳酸仮撚糸とその製造方法を提供することである。
【解決手段】
上記課題は、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有するポリ乳酸繊維からなり、下記特性を有することを特徴とするポリ乳酸仮撚糸により解決される。
90℃強度≧0.3cN/dtex
CR≧10%
未解撚数≦3個/10m
【選択図】 図2

Description

本発明は、耐熱性と耐摩耗性及び品位に優れ、かつ工程安定性が良好なポリ乳酸仮撚糸およびその製造方法に関するものである。
最近、地球的規模での環境問題に対して、自然環境の中で分解するポリマー素材の開発が切望されており、脂肪族ポリエステル等、様々なポリマーの研究・開発、また実用化の試みが活発化している。そして、微生物により分解されるポリマー、すなわち生分解性ポリマーに注目が集まっている。
一方、従来のポリマーはほとんど石油資源を原料としているが、石油資源が将来的に枯渇するのではないかということ、また石油資源を大量消費することにより、地質時代より地中に蓄えられていた二酸化炭素が大気中に放出され、さらに地球温暖化が深刻化することが懸念されている。しかしながら、二酸化炭素を大気中から取り込み成長する植物資源を原料としてポリマーが合成できれば、二酸化炭素循環により地球温暖化を抑制できることが期待できるのみならず、資源枯渇の問題も同時に解決できる可能性がある。このため、植物資源を原料とするポリマー、すなわちバイオマス利用ポリマーに注目が集まっている。
上記2つの点から、バイオマス利用の生分解性ポリマーが大きな注目を集め、石油資源を原料とする従来のポリマーを代替していくことが期待されている。しかしながら、バイオマス利用の生分解性ポリマーは、一般に力学特性と耐熱性が低く、また高コストであるという課題があった。これらの課題を解決できるバイオマス利用の生分解性ポリマーとして、現在、最も注目されているのはポリ乳酸である。ポリ乳酸は、植物から抽出したでんぷんを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中では力学特性、耐熱性およびコストのバランスが最も優れている。そして、これを利用した繊維の開発が急ピッチで行われている。
ポリ乳酸繊維の開発は、生分解性を活かした農業資材や土木資材等が先行しているが、それに続く大型の用途として自動車内装材や、カーテンあるいはカーペット等のインテリア素材、更には衣料用途への応用も期待されている。これらの用途にポリ乳酸繊維を展開するにあたり、ポリ乳酸のポリマー基質によるいくつかの欠点が指摘されている。その中でも特に、耐熱性不良や耐摩耗性不良が問題となっていた。
ポリ乳酸繊維の耐熱性不良は、例えば、高温雰囲気下で使用される自動車内装材などの分野で、ガラス転移点Tg以上の温度が加えられた場合に容易に伸長変形してしまうことから、最終製品の寸法安定性が悪く、実用に耐えられない問題があった。また、ポリ乳酸の耐摩耗性不良については、例えば、衣料用途において摩擦を受ける部分、肩、肘、膝あるいは臀部などの部分で、毛羽立ちやテカリ等の発生により品位が低下し、またインナーウェアへの色移りが生じるなど、大きな問題があった。
更に、衣料用途などにポリ乳酸繊維を展開するに際して、捲縮糸はほぼ必須のアイテムとなるが、ポリ乳酸繊維はTg以上の温度で容易に軟化してしまうことから、汎用の合成繊維で採用されている延伸摩擦仮撚加工をそのまま用いるだけでは、仮撚ヒーター上で糸が軟化してしまったり、未解撚が多発したりして捲縮特性に優れた仮撚加工糸を得ることが困難であった。
従来、ポリ乳酸仮撚糸の製造方法例としては、前記した問題点を解決するため、ポリ乳酸未延伸糸を溶融紡糸にて得た後、該ポリ乳酸未延伸糸を一旦延伸して繊維構造を形成させた後、仮撚加工を行うことが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。しかしながら、これらの方法は、紡糸、延伸および仮撚と3工程が必要となるため、生産性が悪く、コストが高くなってしまうといる問題があった。また、いわゆる高配向未延伸糸を供給原糸として、2工程法で仮撚加工を行うことも提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、これについて追試を行った結果、仮撚加工糸には未解撚が多数存在し、更には夏場における自動車内の環境温度を想定した90℃での強度が、0.25cN/dtexと実用に耐えられるものではないことがわかった。
また、ポリ乳酸繊維の特性を改善するために、滑剤など表面改質剤を繊維に含有させることが提案されている(特許文献4参照。)。この提案は、ポリ乳酸繊維に、一般式RCONH2(ただしRはアルキル基)で表される脂肪酸モノアミドを添加し、撥水性を与えることによって加水分解速度を抑制することを目的とするものであるが、この文献には本発明の目的であるポリ乳酸繊維の耐摩耗性および工程通過性の向上については全く記載が無い。ちなみに、本発明者らは、脂肪酸モノアミドを添加したポリ乳酸繊維について追試を行ったが、ポリ乳酸繊維の耐摩耗性および製造する際の工程通過性を向上させることはできなかった。これは、脂肪酸モノアミドが、そのアミド基の反応性が高いために、溶融時にポリ乳酸と反応してしまい、結果的に滑剤として機能し得る脂肪酸モノアミドの繊維中に占める割合が少なくなることが原因であると推定された。また、脂肪酸モノアミドがポリ乳酸と反応すると、結果的にポリ乳酸の分子鎖が切断され、分子量が低下するため、繊維物性が低下する傾向にあった。
さらに、脂肪酸モノアミドは昇華性が大きく、耐熱性も劣るために、発煙による作業環境の悪化や、ブリードアウトによるガイド類やローラーの汚れ、また、操業性の低下を引き起こす。さらに、ブリードアウトした脂肪酸モノアミドが繊維表面で凝集することによって、繊維の物性斑や染色斑を招く。このようなことから、耐摩耗特性を改善し、また操業性を低下させずに済む滑剤が望まれていた。
特開2000−290845号(第4−6頁) 特開2002−285438号(第3−5頁) 特開2000−303283号(第4−5頁) 特開平8−183898号(第3−5頁)
本発明の課題は、工程通過性や生産性に優れ、高温環境下での使用や摩耗性の要求される分野での使用に耐えうるとともに、捲縮特性や寸法安定性に優れたポリ乳酸仮撚糸とその製造方法を提供することである。
本発明のポリ乳酸仮撚糸は、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有するポリ乳酸繊維からなり、下記特性を有することを特徴とするポリ乳酸仮撚糸である。
90℃強度≧0.3cN/dtex
CR≧10%
未解撚数≦3個/10m
また、本発明のポリ乳酸仮撚糸は、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有させたポリ乳酸を溶融紡糸して得られたマルチフィラメントに、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを共重合付加した化合物および/またはそれらから誘導される化合物を40重量%以上含有する平滑剤を0.1〜3.0重量%付与した後、紡糸速度4000m/分以上で巻き取って未延伸糸を得、該未延伸糸を、仮撚ヒーター温度90〜150℃、かつ延伸摩擦仮撚加工時の加撚張力(T1)と解撚張力(T2)の比(T2/T1)が3.0以下で延伸摩擦仮撚加工することにより製造することができる。
本発明により、高温環境下での使用や、摩耗性の要求される分野での使用に耐えうるとともに、捲縮特性や寸法安定性に優れたポリ乳酸仮撚糸が得られる。
本発明のポリ乳酸仮撚糸は、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを含有するポリ乳酸繊維からなる。
本発明でいうポリ乳酸とは、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものであり、L体またはD体の光学純度は90%以上であると、融点が高く好ましい態様である。また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していても、ポリ乳酸以外のポリマーや粒子、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤などの添加物を含有していてもよい。ただし、バイオマス利用、生分解性の観点から、ポリマーとしての乳酸モノマーは50重量%以上とすることが重要である。乳酸モノマーは好ましくは75重量%以上、より好ましくは96重量%以上である。
ただし、上記のように2種類の光学異性体が単純に混合している系とは別に、前記2種類の光学異性体をブレンドして繊維に成形した後、140℃以上の高温熱処理を施してラセミ結晶を形成させたステレオコンプレックスにすると、融点を飛躍的に高めることができるためより好ましい。
このとき、乳酸モノマー以外の部分については、ポリ乳酸の性能を損なわない範囲で、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリブチレンサクシネートおよびポリヒドロキシブチレートなどのポリマーがブレンドされていても複合されていてもよい。更に、バイオマス、生分解性を維持する観点から、ポリブチレンサクシネートやポリヒドロキシブチレートなどの他の生分解性ポリマーを用いることがより好ましい。これらポリマーのブレンドはチップブレンドでも溶融ブレンドでもよく、また複合は芯鞘複合でも、サイドバイサイド型複合でもよい。ポリ乳酸の重量平均分子量は5万〜50万であると、力学特性と製糸性のバランスが良い。ポリ乳酸の分子量は、より好ましくは重量平均分子量で10万〜35万である。
本発明で用いられるポリ乳酸の製造方法は、特に限定されない。具体的には、特開平6−65360号に開示されている製造方法が挙げられる。すなわち、乳酸を有機溶媒及び触媒の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法である。また、特開平7−173266号に開示されている少なくとも2種類のホモポリマーを重合触媒の存在下、共重合並びにエステル交換反応させる方法がある。さらには、米国特許第2,703,316号明細書に開示されている方法がある。すなわち、乳酸を一旦脱水し、環状二量体とした後に、開環重合する間接重合法である。
本発明では、ポリ乳酸からなる繊維(ポリ乳酸繊維)に、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを滑剤として含有させる。
本発明で用いられる脂肪酸ビスアミドは、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドおよび芳香族系ビスアミド等の1分子中にアミド結合を2つ有する化合物を指し、例えば、メチレンビスカプリル酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスミリスチン酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスベヘニン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、ブチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、p−キシリレンビスステアリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドおよびヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、本発明で用いられるアルキル置換型の脂肪酸モノアミドは、飽和脂肪酸モノアミドや不飽和脂肪酸モノアミド等のアミド水素をアルキル基で置き換えた構造の化合物を指し、例えば、N−ラウリルラウリン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルベヘニン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドおよびN−オレイルパルミチン酸アミド等が挙げられる。ここでアルキル基は、その構造中にヒドロキシル基等の置換基が導入されていてもよく、例えば、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アミドおよびN−オレイル12ヒドロキシステアリン酸アミド等も本発明のアルキル置換型の脂肪酸モノアミドに含むものとする。
本発明では、脂肪酸ビスアミドやアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを用いるが、これらの化合物は、脂肪酸モノアミドに比べてアミドの反応性が低く、溶融成形時においてポリ乳酸との反応が起こりにくい。また、これらの化合物は、高分子量のものが多いため、一般に耐熱性が良く、昇華しにくいという特徴がある。これらの化合物の中でも特に脂肪酸ビスアミドは、アミドの反応性がより低く、かつ耐熱性に優れ昇華しにくいことから、より好ましく用いられる。
本発明では、滑剤として脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5重量%含有することが重要である。脂肪酸アミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの含有量を0.1重量%以上とすることで、繊維の表面摩擦係数が低減し、繊維製品に衣料用途等で要求される耐摩耗性と繰り返し使用での耐久性を付与することができる。更には、繊維間での摩擦抵抗が低減されることから、延伸摩擦仮撚加工工程でのマイグレーション性に優れるため、得られた仮撚糸に未解撚が発生しにくく、品位が向上するのである。また、脂肪酸アミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの含有量を5重量%以下とすることで、脂肪酸アミドを微分散させることができ、繊維の物性斑や染色斑を防ぐことができる。該脂肪酸アミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの含有量は、好ましくは0.2〜3重量%である。本発明では、該脂肪酸アミドまたはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドが単一でもよいし、また複数の成分が混合されていてもよく、混合されている場合には、その混合物が繊維全体に対して0.1〜5重量%含有していればよい。
本発明のポリ乳酸仮撚糸を得る前のポリ乳酸未延伸糸は、延伸摩擦仮撚加工に際して仮撚ヒーター上での耐熱性を確保するため、配向結晶化していることが好ましい。配向結晶化したポリ乳酸未延伸糸は、高温で軟化しにくいために、安定した延伸摩擦仮撚加工を行うことが可能となり、更には得られるポリ乳酸仮撚糸の寸法安定性と捲縮特性が共に優れるのである。また、ポリ乳酸未延伸糸の配向結晶化の目安としては沸騰水収縮率を用いることができ、ポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は20%以下であることが好ましい。
本発明のポリ乳酸仮撚糸は、90℃雰囲気下で引っ張り試験を行った場合の最大点強度(以下、90℃強度と略記)が0.3cN/dtex以上であることが重要である。90℃強度が0.3cN/dtex以上であれば、高温雰囲気下での使用に際し最終製品の寸法変化が抑えられ、また糊付け工程や乾燥工程での加熱による布帛の寸法変化が少ない。90℃強度は、好ましくは0.4cN/dtex以上であり、さらに好ましくは0.6cN/dtex以上、最も好ましくは0.8cN/dtex以上である。
本発明のポリ乳酸仮撚糸は、捲縮特性の指標であるCR値が10%以上であることが重要である。CR値が10%以上であると、最終製品において良好な嵩高性やストレッチ性が得られる。CR値は、好ましくは15%以上、より好ましくは20%以上である。
また、本発明のポリ乳酸仮撚糸は、仮撚糸10m当たりの未解撚数が3個以下であることが重要である。未解撚部分が3個以下/10mであれば、最終製品として均一性に優れ、実用に耐えうる品位の染色布帛が得られ、更には染色斑も抑制できる。未解撚数は、好ましくは1個以下/10mであり、より好ましくは0個/10mである。
また、本発明のポリ乳酸仮撚糸では、沸騰水収縮率が15%以下であれば仮撚糸および繊維製品の寸法安定性が良く好ましい態様である。沸騰水収縮率は、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは8%以下である。また、沸騰水収縮率は0%以上であると熱処理を行った場合に繊維製品が伸びたりしないため寸法安定性が向上するため好ましい。
本発明のポリ乳酸仮撚糸の製造方法において、ポリ乳酸仮撚糸を構成するポリ乳酸繊維には表面摩擦係数を低下させる脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドが添加されていることが重要で、かつ好適にはポリエーテル系潤滑剤(油剤)を含有する紡糸油剤が付与されていることが重要である。ポリエーテル系潤滑剤は、耐熱性に優れているために延伸摩擦仮撚加工においてヒーター上でのタール付着やツイスター、ガイド類へのスカムの付着などを抑制することができる。
また、本発明のポリ乳酸仮撚糸は、表面摩擦係数を低下させる滑剤が添加されているため、繊維・金属間摩擦係数が低く、延伸摩擦仮撚加工において、施撚体上で繊維が滑ってしまい、糸かけ性、撚り上り性が悪く、さらには捲縮性能の低い仮撚糸しか得られない。そこで、本発明で提案するポリエーテル系潤滑剤を繊維に付与することにより、繊維・金属間摩擦係数を高めることが可能となるため、上記課題を解決できる。更に、本発明のポリエーテル系潤滑剤を付着させることにより、繊維間摩擦係数を低減できるため、仮撚ヒーター上でのマイグレーション性が向上し、未解撚を抑制でき、最終製品の品位を向上させることができるのである。
ポリエーテル系潤滑剤は、紡糸油剤純分中に40重量%以上含有されていると、ヒーター汚れ、ガイド汚れや施撚体表面の汚れを抑制し、延伸摩擦仮撚加工装置の清掃周期や交換周期を延長できるため好ましい態様である。更には、繊維間摩擦を低減することが可能となるため、工程通過時の毛羽立ちを抑制したり、マイグレーション性が向上するため、仮撚加工糸の品位が向上するのである。ポリエーテル系潤滑剤が紡糸用油剤純分中に占める割合は、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上であればさらに好ましい。
本発明で好適に用いられるポリエーテル系潤滑剤としては、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを共重合した化合物およびそれらから誘導された化合物が挙げられる。
ここで、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールとしては、炭素数1〜30の天然および合成の任意の一価アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソアミルアルコール、2−エチルヘキサノール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびイソステアリルアルコールなど)、二価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコールなど)および三価以上のアルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンおよびソルビトールなど)などが挙げられる。
また、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、1,2−プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−ブチレンオキサイド(以下BOと略記)およびテトラヒドロフラン(以下THFと略記)などが挙げられる。
EOと他のアルキレンオキサイドとを共重合する場合、水溶液や水系エマルションとした場合の粘性や、延伸摩擦仮撚加工工程などのヒーター上での耐熱性のバランスから、EOの比率は5〜80重量%とすることが好ましい。また、付加様式は、ランダム付加またはブロック付加のいずれでもよい。
更に、ポリエーテル系潤滑剤の重量平均分子量は、500〜30,000の範囲にあることが水溶液や水系エマルションとした場合の粘性や、延伸摩擦仮撚加工工程などのヒーター上での耐熱性のバランスが良く、800〜20,000の範囲がより好ましく、1200〜15000の範囲であれば最も好ましい。
前記のアルキレンオキサイドの共重合付加化合物から誘導される化合物としては、末端ヒドロキシル基を炭素数1〜12のアルキル基でアルコキシ化および/またはアシル化した化合物、また炭素数2〜12のジカルボン酸とエステル化した化合物および脂肪族もしくは芳香族ジイソシアネート化合物とウレタン化した化合物などが挙げられる。
ポリエーテル系潤滑剤の具体例としては、例えば、[ブタノール(EO/PO)ランダム付加物、EO/PO=50/50重量%、重量平均分子量=1400]、[ヘキシレングリコール(EO/PO)ランダム付加物、EO/PO=40/60重量%、重量平均分子量=4000]、および[トリメチロールプロパン(PO)(EO)ブロック付加物のメチルエーテル、EO/PO=20/80重量%、重量平均分子量=5000]がなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いられるポリエーテル系潤滑剤を含む紡糸用油剤は、ポリエーテル系潤滑剤を主成分とすることが重要であるが、性能を損なわない程度に任意の他の成分を含有していてもよい。任意の他の成分としては、例えば、平滑剤(鉱物油や脂肪酸エステル)、制電剤(アニオン活性剤、カチオン活性剤および両性活性剤など)、乳化剤(高級アルコール付加物や高級脂肪酸EO付加物など)などが挙げられる。
本発明のポリ乳酸仮撚糸には、上記紡糸用油剤が繊維全体に対して純分で0.1〜3.0重量%付与されていることが好ましい。付着量が0.1重量%以上であれば、集束性や潤滑性など油剤としての性能を十分発揮することが可能であり、付着量が3.0重量%以下の場合には工程中での油剤成分の脱落により設備を汚染したりそれによる工程通過性悪化を招くことなく、安定した生産が可能となる。さらに、上記範囲で紡糸用油剤が付与されていれば、延伸摩擦仮撚加工工程において繊維間摩擦を充分低減できるため、マイグレーションが改善される他、逆に繊維−金属間摩擦が高くなるため撚り上り性が改善され、ヒーター上での糸切れが無く好ましいのである。紡糸用油剤の付着量は0.2〜2.0重量%が上記理由からより好ましく、0.2〜1.5重量%であれば最も好ましい。
また、本発明のポリ乳酸仮撚糸の総繊度は、10〜500dtexの範囲であれば取扱い性や織編物の厚みも適正化できるため好ましい態様である。
また、本発明のポリ乳酸仮撚糸の単繊維繊度は、0.1〜20dtexの範囲であれば得られた布帛のふくらみ、ソフト感およびタッチなどのバランスが良く好ましい。
更に、本発明におけるポリ乳酸仮撚糸を構成するポリ乳酸繊維(単繊維)の断面形状は特に限定されるものではないが、例えば、中空断面や芯鞘複合断面などが挙げられる。このとき、中空断面であればポリ乳酸仮撚糸の捲縮形態による保温効果に加えて、単糸内部に空間を持つことから更なる保温効果を付与できる。 また、本発明のポリ乳酸仮撚糸を用いた繊維構造物は特に限定されるものではないが、織編物にすることで捲縮特性や耐熱性、耐摩耗性を有効に利用できる。更に、繊維構造物の例としては、自動車内装、カーテン、インテリア、スポーツウェアおよび裏地などが挙げられる。
次に、本発明のポリ乳酸仮撚糸を製造する方法について、理解を深めるために例をあげて記載する。ただし、本発明のポリ乳酸仮撚糸の製造方法は下記の方法により何ら限定されるものではない。
まず、原料であるポリ乳酸ポリマーは、既述のように、公知の方法を用いて合成できるが、ポリ乳酸自体の色調が良好で、しかもラクチド等の残存オリゴマーやモノマーを減じるようにすることが好ましい。具体的手法は、例えば、特表平7−504939号公報に記載のように、金属不活性化剤や酸化防止剤等を使用したり、重合温度の低温化、触媒添加率の抑制を行うことが好ましい。また、ポリマーを減圧処理したり、クロロホルム等で抽出することにより、残存オリゴマー、モノマー量を大幅に低減することもできる。また、合成時にポリ乳酸の特性を損なわない範囲で他のポリマーや粒子、帯電防止剤あるいは艶消し剤などを添加してもよい。
本発明のポリ乳酸仮撚糸の製造方法において好ましく用いられるポリ乳酸の重量平均分子量は5〜50万である。この範囲の重量平均分子量であれば加工性と得られる繊維の力学特性のバランスが良く好ましいのである。さらに、ポリ乳酸は90〜110℃の温度で真空乾燥されることが好ましい。この条件で乾燥を行うことにより、ポリ乳酸中に残存する水分やラクチド等のオリゴマーを効率的に除去し、かつポリ乳酸ポリマー同士が融着する事も無いのである。
本発明のポリ乳酸仮撚糸を製造する方法について、延伸摩擦仮撚加工に供するポリ乳酸未延伸糸を得る際に、ポリ乳酸を重合後、乾燥工程を経ることなく直接紡糸機に供給してもよいし、一旦乾燥工程を経た後に紡糸機に供給してもよい。また、延伸摩擦仮撚加工に供するポリ乳酸未延伸糸を得るにあたり、溶融紡糸が好ましく用いられるが、このとき押出機としてはエクストルーダー型溶融押出機やプレッシャーメルター型溶融押出機を好ましく用いることができる。 また、滑剤の添加方法は特に限定されるものではないが、合成段階で滑剤を投入して原料ポリマーを得る方法や、先に原料ポリマーと滑剤を溶融混練してマスター品を作成する方法、そのマスター品と原料ポリマーを混合して供給する方法、エクストルーダー型溶融押出機の途中から溶融させた滑剤を計量・添加する方法、原料ポリマーに乾燥工程で滑剤を付着させる方法などが挙げられる。これらのうち、連続運転を行った場合に滑剤の添加量が変動しにくいという点で、乾燥工程で滑剤を付着させる方法以外の方法を採用することが好ましい。更に、エクストルーダー型溶融押出機の途中から溶融させた滑剤を計量・添加する方法であれば、滑剤の熱分解を抑制でき、着色が少なくなり好ましい態様である。更には、ポリ乳酸の性能を損なわない範囲で滑剤と同様に他のポリマーや粒子、帯電防止剤、艶消し剤などを添加してもよい。
ここで、溶融・押出されたポリマーは、計量ポンプを介して所定量に計量された後、加熱されたスピンブロック内に設置された紡糸パックに導かれる。更に、紡糸パック内において異物除去のため濾過を行い、紡糸口金から紡出され、冷却装置にて冷却・固化されたポリ乳酸糸条は、油剤供給装置にて集束され、同時に紡糸用油剤を付与される。ここで、ポリ乳酸の熱分解に伴うラクチド等の低分子量物や添加されている滑剤が昇華したり揮発したりして作業環境を悪化させる場合があるため、必要に応じて紡糸口金の下に吸引装置を設けることもできる。
ここでいう本発明で用いられるポリエーテル系潤滑剤を含む紡糸用油剤は、油剤供給装置にて水溶液または水系エマルションとして紡糸直後の糸条に付与される。
水溶液または水系エマルションの濃度は、繊維への付着効率や水溶液、水系エマルションの粘度および被膜形成性能の点から0.5〜20重量%のうち任意の濃度とすることが好ましい。濃度は、より好ましくは5.0〜18.0重量%である。
水溶液または水系エマルションの付与方法については特に限定はなく、ノズルを介した計量給油、ローラー給油、またはこれらの組み合わせでもよい。また、紡糸時にポリ乳酸未延伸糸に高速で給油する場合には、特にノズルを用いた計量給油が好ましく用いられる。
油剤供給装置にて集束、給油されたポリ乳酸未延伸糸は、非加熱の第1引取ローラーと第2引取ローラーを介して巻取装置にて巻き取られる。ここで、第1引取ローラーの周速を本発明で言う紡糸速度とした。また、油剤供給装置から第1引取ローラーと第2引取ローラーと巻取装置の間の任意の場所で、ポリ乳酸未延伸糸に集束性を持たせたり、チーズの解舒性を向上させる目的で流体処理装置を設けてもよい。なお、流体処理装置に用いる流体としては、空気流や水流などが挙げられるが、空気流であれば高速で走行する糸条に十分な集束性と解舒性を付与することができる。また、ローラー表面での糸揺れを防止し、安定した生産を行う観点から、第1引取ローラーの速度(V1)と第2引取ローラーの速度(V2)は0.99≦V2/V1≦1.05の範囲にあることが好ましい。
紡糸速度を4,000m/分以上にすることで、ポリ乳酸繊維が配向結晶化して繊維構造が発達するため、耐熱性が向上し、ヒーター上での糸条の軟化を抑制でき、工程安定性が向上する。また、高度に配向結晶化したポリ乳酸繊維を高温で延伸摩擦仮撚加工することで、耐熱性、すなわち90℃強度も向上する。汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートなどでは、一旦配向結晶化した繊維を更に延伸することは特殊な条件を除いて困難であり、これはポリ乳酸特有の性質と考えられる。一旦配向結晶化した繊維を延伸摩擦仮撚加工、すなわち延伸を行うことによって90℃強度が向上する理由については定かではないが、おそらくはポリ乳酸の分子間相互作用が弱いために、加熱され繊維軸方向に応力が加えられると結晶中から分子鎖が引き出されて部分的に再結晶化し、結晶間を結ぶ非晶層が高い拘束性を有するタイ分子の役割を果たし、高温での伸長変形を抑制しているものと考えられる。更に、紡糸速度が適正な範囲にあれば、溶融紡糸工程での糸切れが少なく、安定した生産が可能となる。このことから、紡糸速度は好ましくは4,250m/分〜7,000m/分、更に好ましくは4,500m/分〜6,500m/分である。
巻き取られたポリ乳酸未延伸糸は、延伸摩擦仮撚加工装置にて仮撚加工が施される。延伸摩擦仮撚加工装置に供給されたポリ乳酸未延伸糸は、所望の糸道ガイドや流体処理装置を介して供給ローラーへと送られる。その後、加熱された仮撚ヒーター、冷却板および延伸摩擦仮撚を行う施撚体を通して延伸ローラーに導かれ、仮撚糸として巻き取られる。
本発明において延伸摩擦仮撚としては、延伸摩擦仮撚加工装置の供給ローラー以前に熱ピンやホットプレートによる延伸を加えられた後に摩擦仮撚加工を行ってもよいし、供給ローラーと延伸ローラーの間で延伸されながら摩擦仮撚加工を行ってもよい。このとき、供給ローラーと延伸ローラーの間で延伸されながら摩擦仮撚加工を行う方法であれば、熱ピンやホットプレートなどを配することが無く、設備費を低く抑えることができ、更には交換部品なども少なくなり、コストに優れるため好ましい。
また、本発明でいう延伸摩擦仮撚加工において、仮撚ヒーターの温度、すなわち仮撚加工温度を90〜150℃の範囲にすることが好ましい。本発明におけるポリ乳酸未延伸糸は、配向結晶化が進んでいるため、ヒーター上での耐熱性が向上し、上記加工温度においても糸条が軟化せずに高温のヒーター上を安定して走行するため、糸切れなく安定した延伸摩擦仮撚加工が可能となるほか、得られた仮撚加工糸の寸法安定性および捲縮特性が共に向上する。
仮撚加工温度は90℃以上であると得られる仮撚糸に十分な寸法安定性を付与することが可能となり、150℃以下の温度であればヒーター上での糸切れが無く安定した延伸摩擦仮撚加工を行うことができ、また熱による変形・熱固定のバランスが良いために、得られる仮撚加工糸の寸法安定性や捲縮特性など品質にも優れるのである。上記理由から、仮撚加工温度は95〜145℃の範囲がより好ましく、100〜140℃の範囲が最も好ましい。
本発明は、上記の方法にて得られるポリ乳酸未延伸糸を供給して延伸摩擦仮撚加工する場合において、その加撚張力(T1)と解撚張力(T2)の比(T2/T1)が3.0以下であることが必要である。比T2/T1が3.0以下、すなわち解撚張力(T2)が小さい場合には、毛羽の発生を抑制でき、また未解撚を少なくすることが可能となること、および施撚体後の糸切れも少なくなるため、安定した延伸摩擦仮撚加工が可能となり、得られた仮撚糸も品位に優れたものとなる。このことから、T2/T1は0.1〜2.8であることが好ましく、0.5〜2.5であればより好ましい。
また、本発明での延伸摩擦仮撚加工においては、施撚体の表面速度と延伸ローラーの速度である糸条走行速度の比(施撚体の表面速度/糸条走行速度)が1.0〜2.5の範囲であることが好ましい。(施撚体の表面速度/糸条走行速度)を1.0以上にすることで、加撚張力(T1)と解撚張力(T2)のバランスが良く、毛羽、糸切れの無い延伸摩擦仮撚加工を行うことができる。また、(施撚体の表面速度/糸条走行速度)を2.5以下にすることで、施撚体の表面摩耗が抑制され、数十時間に及ぶ連続運転においても糸長手方向の品質が安定する他、ポリ乳酸糸条と施撚体との摩耗による糸の削れが抑制され、毛羽や糸切れのない延伸摩擦仮撚加工が実現される。(施撚体の表面速度/糸条走行速度)は、好ましくは1.2〜2.2の範囲であり、より好ましくは1.25〜2.0の範囲である。
本発明での比延伸摩擦仮撚加工に際して、その施撚体は特に限定されるものではないが、3軸摩擦仮撚具や、ベルトニップ型摩擦仮撚具などを用いることができる。ポリ乳酸は、熱に対して非常に敏感に変形したり、摩耗に対して弱く、施撚体上での変形や糸条の削れなどが起こりやすい。これを防止するためには、例えば、3軸摩擦仮撚具のディスクはウレタンディスクを用いることが良い。ディスク表面を柔軟なウレタンにすることで、ポリ乳酸繊維の変形や糸条の削れを抑制できる。ウレタンディスクの硬度はJIS A スケールで75〜90度の範囲であればポリ乳酸の断面変形や糸条の削れ、更にはディスク摩耗による交換周期を延長できるため好ましく、80〜85度の範囲であれば最も好ましい。
また、本発明での延伸摩擦仮撚加工においては、ベルトニップ型摩擦仮撚具を用いることも可能である。ベルトの交差角度は特に規定されるものではないが、90〜120°の範囲であれば糸条に十分に撚りを施すことが可能となり、更にはベルトの摩耗をも抑制することが出来る。ベルト材質としては、ポリ乳酸繊維の変形や糸条の削れなどを抑制するため柔軟な材質を用いることが好ましく、クロロピレンラバーやニトリルブチレンラバーを好ましく使用することができる。このときニトリルブチレンラバー(NBR)であれば、耐久性やコストおよび柔軟性の点からより好ましい。更に、ベルトの交換周期を延長する観点から、ある程度の硬度も必要となる。具体的には、上記目的を達成できるため好ましい硬度は、JIS A スケールで60〜72度の範囲である。さらに好ましい硬度は65〜70度の範囲である。
また、本発明で用いることができる三軸摩擦仮撚具のディスク構成は特に限定されるものではないが、ディスクをウレタンディスクのみで構成し、その枚数は5〜12の範囲であれば問題なく延伸摩擦仮撚加工を行うことができる。また、糸かけ時の衝撃による糸切れを抑制するため、三軸摩擦仮撚具の最初及び最後のディスクにセラミック材質のディスクを用いることもできる。ディスク材質をセラミックとすることで、糸かけ時にディスク表面で糸が滑るため、糸条に無理な張力がかからない。更に、セラミックディスクは2〜4枚の範囲で三軸摩擦仮撚具の糸条供給側に配置されていることが好ましい態様である。
更に、本発明のポリ乳酸仮撚糸の製造方法において、延伸ローラーと巻取装置の間において、ヒーターおよびデリベリローラーを配置して、熱処理を行うこともできる。熱処理を行うことによりポリ乳酸仮撚糸の寸法安定性を更に向上させることができる。また、ヒーターの種類は特に限定されるものでは無く、接触型ヒーターや非接触型ヒーターを用いることができる。また、デリベリローラーにはニップローラーやベルトニップ装置が配置されていれば糸を十分に把持できる。ヒーターの温度は特に限定されるものでは無いが、熱処理の効率やポリ乳酸の融点を考慮して100〜250℃の範囲であることが好ましい。また、ヒーターを非接触型とした場合には熱処理効率が低下するため、150〜350℃の範囲であれば糸切れ無く十分に熱処理を行うことができる。また、延伸ローラー(VE)とデリベリローラー(VD)の速度比(VD/VE)は特に限定されるものでは無いが、0.8≦VD/VE≦1.0の範囲であれば糸切れの無い安定した熱処理を行うことができる。
以下、本発明のポリ乳酸仮撚糸とその製造方法を実施例にて詳細に説明する。なお、実施例中に記載した値の測定方法は以下の方法を用いた。
A.ポリ乳酸の重量平均分子量
試料のクロロホルム溶液にTHFを混合し測定溶液とした。これをGPCで測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
B.ポリエステルの極限粘度[η]
オルソクロロフェノール中25℃で測定した。
C.90℃強度
加熱雰囲気下(90℃)で、初期試料長200mm、引っ張り速度200mm/分とし、JIS L1013に示される条件で荷重−伸長曲線を求めた。次に、破断時の荷重値を初期の繊度で割り、それを強度とし、破断時の伸びを初期試料長で割り伸度として強伸度曲線を求め、最大点の強度を90℃強度とした。
D.沸騰水収縮率
沸騰水収縮率は、次の式で求められる。
沸騰水収縮率(%)=[(L0−L1)/L0)]×100(%)
(但し式中、L0は延伸糸をかせ取りし初荷重0.09cN/dtex下で測定したかせの原長であり、L1はL0を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中で15分間処理し、風乾後初荷重0.09cN/dtex下でのかせ長である。)
E.仮撚加工糸のCR値
仮撚加工糸をかせ取りし、実質的に荷重フリーの状態で沸騰水中15分間処理し、24時間風乾した。このサンプルに0.088cN/dtex(0.1gf/d)相当の荷重をかけ水中に浸漬し、2分後のかせ長L’0を測定した。次に、水中で0.0088cN/dtex相当のかせを除き0.0018cN/dtex(2mgf/d)相当の微荷重に交換し、2分後のかせ長L’1を測定した。そして下式によりCR値を計算した。
CR(%)=[(L’0−L’1)/L’0]×100(%)
F.未解撚数
仮撚加工糸を10m引き出し、それを目視にて未解撚部分の個数をカウントし、未解撚数とした。
G.D/Y,VR
延伸摩擦仮撚加工時の施撚体の回転数(S)をストロボにて測定し、施撚体の周長(LL)から施撚体表面速度(S×LL)を求め、延伸ローラーの速度を糸条走行速度(Y)として下式にて算出した。
3軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具:D/Y=(S×LL)/Y
ベルトニップ型摩擦仮撚具:VR=(S×LL)/Y
H.耐摩耗性評価
実施例と比較例にて得られた染色布帛をJIS L−1018テーバー形法に準じて下記の処理条件で行い、表面摩耗状態を目視で観察し、摩耗がほとんど見られないものを◎、やや摩耗しているものを○、摩耗が酷いものを×として3段階評価を行い、○以上を合格とした。
<処理条件>
摩耗輪の材質:No.CS−10
押圧荷重:2.45N
摩擦回数:200回
I.総合評価
実施例と比較例で得られた仮撚加工糸の未解撚数、沸騰水収縮率、CR値、90℃強度、染色布帛の染め斑、耐摩耗特性および毛羽発生状況から、生産に十分適用できると判断されたものを◎、生産に適用できると判断したものを○、生産には適用できないと判断したものを×として、3段階にて評価を行い、○以上を合格とした。
[製造例1](ポリ乳酸の製造)
光学純度99.5%のL乳酸から製造したラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)を存在させてチッソ雰囲気下180℃で140分間重合を行い、ポリ乳酸P1を得た。得られたポリ乳酸の重量平均分子量は14.5万であった。
[製造例2](EBAを4重量%含有したポリ乳酸の製造)
ポリ乳酸P1とエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)[日本油脂社製商品名「アルフローH−50S」]を乾燥した後、P1:EBA=96:4(重量比)となるように、加熱溶融したEBAを計量して連続的にP1に添加しながらシリンダー温度220℃の2軸混練押し出し機に供することで、EBAを4重量%含有したポリ乳酸P2を得た。
[製造例3](EBAを7重量%含有したポリ乳酸の製造)
製造例2において、ポリ乳酸P1とエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)の重量比を、P1:EBA=93:7(重量比)に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、EBAを7重量%含有したポリ乳酸P3を得た。
[製造例4](KBAを4重量%含有したポリ乳酸の製造)
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をm−キシリレンビスステアリン酸アミド(KBA)[日本化成社製商品名「スリパックスPXS」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、KBAを4重量%含有したポリ乳酸P4を得た。
[製造例5](SSを4重量%含有したポリ乳酸の製造)
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をアルキル置換型モノアミドのN−ステアリルステアリン酸アミド(SS)[日本化成社製商品名「ニッカアマイドS」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、SSを4重量%含有したポリ乳酸P5を得た。
[製造例6](BAを4重量%含有したポリ乳酸の製造)
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をモノアミドのベヘニン酸アミド(BA)[日本油脂社製商品名「アルフローB−10」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、BAを4重量%含有したポリ乳酸P6を得た。
[製造例7](SAを4重量%含有したポリ乳酸の製造)
エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)をモノアミドのステアリン酸アミド(SA)[日本油脂社製商品名「アルフローS−10」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、SAを4重量%含有したポリ乳酸P7を得た。
[実施例1]
原料を重量比でポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=3:1となるようにチップブレンド(EBAは1.0重量%)し、100℃、8時間撹拌しながら真空乾燥を行った後、チップを図1に示す紡糸機のホッパー1に仕込み、このチップをエクストルーダー型溶融押出機2で220℃にて溶融・押出した後、計量ポンプ3にて58.3g/分に計量し、220℃に加熱されたスピンブロック4に設置された紡糸パック5に溶融ポリマーを導き、孔径0.3mm、孔深度0.5mm、孔数36の口金6から糸条Fを紡出し、冷却装置7にて25m/分の速度で冷却風を糸条Fに当てることで冷却固化させ、給油装置8にて糸条Fを収束させ、同時にポリエーテル系潤滑剤[ブタノール(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ランダム付加物、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50重量%、重量平均分子量1,400]を85重量%含有する紡糸用油剤(油剤成分濃度15重量%)を、繊維重量全体に対して油剤成分が1.0重量%となるように付与した。その後、流体処理装置9にて0.05MPaの圧力の空気流を以て、糸条Fに交絡処理を行った。その後周速5,000m/分の第1引取ローラー10(紡糸速度5,000m/分)、第2引取ローラー11を介して引き取り、綾角5.5°で巻取装置12にてチーズ13を巻き取った。紡糸性は良好であり、糸切れ、毛羽の発生は見られず、口金直下での発煙もほとんど無かった。また、得られたチーズ13からポリ乳酸未延伸糸を解舒し、その物性値を測定したところ、総繊度は117dtex、沸騰水収縮率は15%であり、十分な耐熱性を有していた。
次いで、図2に示す延伸摩擦仮撚装置にて延伸摩擦仮撚加工を行った。チーズ14から解舒された糸条Fは、糸道ガイド15a、15b、15cを介して周速428.6m/分の供給ローラー16から130℃に加熱された接触型仮撚ヒーター17へ供給した。その後、糸道ガイド18を経て冷却水を循環させた冷却板19を介して表面速度(D)900m/分の施撚体20にて撚りを施した。このとき、施撚体20は3軸摩擦仮撚具であり、第1〜第3までのディスク材質をセラミックとし、第4〜第10までのディスクを硬度82度のウレタンディスクで構成した。その後周速600m/分の延伸ローラー21にて糸を引取り、周速600m/分のデリベリローラー22および糸道ガイド23a、23bを介して、84dtex、36フィラメントの仮撚糸24を得た。糸かけ性も良好であり、またヒーター、ツイスターおよび各種ガイドなどへのタール、スカムの付着も起こらず、安定した加工が可能であった。このとき、D/Yは1.5であり、またT1は0.15cN/dtex、T2は0.23cN/dtexであり、T2/T1は1.53であった。
得られた仮撚糸24の未解撚数は0個であり、十分にマイグレーションされ均一性の高いものであった。また、沸騰水収縮率は7.8%、CR値は20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示すものであった。更に90℃強度は1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を有していた。
この仮撚糸を経糸および緯糸に用いてツイル織物(織り密度:経37本/cm、緯32本/cm)を作製した。なお、経糸、緯糸とも300ターン/mのS撚りを施した。このときの撚糸工程および製織工程での糸切れや毛羽の発生はほとんど無く、優れた工程通過性を示した。更に、この布帛に以下に示す布帛加工条件にて染色加工を施した。得られた布帛は、しなやかでソフトでありながら十分なふくらみを持ち、更にポリ乳酸仮撚糸独特の機械的なキシミ感が少なく、染色斑も無い優れたものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表1に示す。
<布帛加工条件>
・精錬:ソーダ灰(1g/l)、界面活性剤(0.5g/l)、98℃×20分
・中間セット:140℃×3分
・染色:Dianix Navy Blue ERFS 200(2重量%owf)、pH調整剤(0.2g/l)、110℃×40分
・ソーピング:界面活性剤(0.2g/l)、60℃×20分
・仕上げセット:140℃×30分
[実施例2]
原料をポリ乳酸P2のみとしたこと以外は実施例1と同様の方法でポリ乳酸未延伸糸、仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸未延伸糸を得る溶融紡糸工程において、若干の発煙が見られたものの、生産性や作業環境は実用に耐えうるものであった。得られたポリ乳酸未延伸糸の繊維物性は、総繊度が17dtex、沸騰水収縮率が15%であり、優れた耐熱性を示した。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.7%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、90℃強度は1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。染色布帛もソフトかつしなやかで十分なふくらみを有しており、染色斑も無い品位の優れた布帛が得られた。また耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表1に示す。
[実施例3]
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=20:1(EBAは0.2重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸仮撚糸を得る延伸摩擦仮撚工程において数回の糸切れが発生したが、大きな問題なく延伸摩擦仮撚加工を行うことができた。得られたポリ乳酸未延伸糸の物性は、繊度が117dtex、沸騰水収縮率が15%であった。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.7%、CR値が21%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、90℃強度は1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。染色布帛もソフトかつしなやかで十分なふくらみを有しており、染色斑のない品位の優れた布帛が得られた。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表1に示す。
[比較例1]
原料をポリ乳酸P1のみとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸仮撚糸を得る延伸摩擦仮撚工程においてしばしば糸切れが発生したが、大きな問題なく延伸摩擦仮撚加工を行うことができた。得られたポリ乳酸未延伸糸の繊維物性は、総繊度が117dtex、沸騰水収縮率が15%であった。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に、90℃強度は0.9cN/dtexであり、優れた耐熱性を示したが、未解撚が4個/10mであり、均一性に劣るものであった。染色布帛もソフトかつしなやかで十分なふくらみを有していたが、染色斑が見られ品位が悪いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面には削れた跡が残り、更には部分的に破れが生じるなど、実用にならないものであった。結果を表1に示す。
[比較例2]
原料をポリ乳酸P3のみ(EBAは7重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、ポリ乳酸未延伸糸を得るための溶融紡糸工程において、滑剤のブリードアウトが激しく、作業環境が著しく悪化した。得られたポリ乳酸未延伸糸の繊維物性は、総繊度が117dtex、沸騰水収縮率が15%であった。また、仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、90℃強度は0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。また、染色布帛はソフトかつしなやかであり、十分なふくらみを有するものであったが、染色斑が激しく品位が悪かった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、部分的に摩耗に耐えている箇所が見受けられたが、破れが生じている箇所もあり、耐摩耗性は悪かった。結果を表1に示す。
Figure 2004218182
[実施例4]
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P4=3:1(KBAは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。このとき、ポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.9%、CR値が21%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。更に、未解撚数も0個/10mであり、糸長手方向に均一な捲縮形態を示した。染色布帛についてもソフトかつしなやかであり、十分なふくらみを有するものであり、染色斑も見られない優れたものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表2に示す。
[実施例5]
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P5=3:1(SSは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、ポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示し、未解撚数も0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れていた。更に、未解撚数も0個/10mであり、糸長手方向に均一な捲縮形態を示した。染色布帛についてもソフトかつしなやかであり、十分なふくらみを有するものであり、染色斑も見られない優れたものであった。また耐摩耗性の評価を行ったところ、表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表2に示す。
[比較例3]
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P6=3:1(BAは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。紡糸工程では発煙が発生して作業環境が悪化し、仮撚工程ではしばしば糸切れが発生した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、90℃強度も0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、未解撚数は5個/10mであり、品位に劣るものであった。染色布帛については十分なふくらみを有するものであったが、ソフト感が薄れ、かつしなやかさも足りない、染色斑が見られる品位の悪いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生しており耐摩耗性は劣悪であった。結果を表2に示す。
[比較例4]
原料をポリ乳酸P1:ポリ乳酸P7=3:1(SAは1.0重量%)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。紡糸工程では発煙が発生して作業環境が悪化し、仮撚工程ではしばしば糸切れが発生した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、90℃強度も0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、未解撚数は5個/10mであり、品位に劣るものであった。染色布帛については十分なふくらみを有するものであったが、ソフト感が薄れ、かつしなやかさも足りない、染色斑が見られる品位の悪いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生しており、耐摩耗性は劣悪であった。結果を表2に示す。
Figure 2004218182
[実施例6]
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて62.5g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を6,000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を480m/分、D/Yを1.7としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。溶融紡糸工程においてごくわずかの糸切れが発生したものの、安定した製糸が可能であった。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は12%であった。また、延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は1.4であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.5%、CR値が23%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は1.1cN/dtexであり、耐熱性にも優れるものであり、未解撚数も0個/10mと均一な捲縮形態であった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つ、染色斑の無いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表3に示す。
[実施例7]
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて51.2g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4,300m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を419.6m/分、D/Yを1.4としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は17%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は1.93であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が7.6%、CR値が19%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.9cN/dtexであり、耐熱性にも優れるものであり、未解撚数も1個/10mと実施例1対比劣るものの十分均一な捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、良好なふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つ、染色斑の非常に少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表3に示す。
[実施例8]
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を400m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.25であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.5%、CR値が23%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.7cN/dtexであり、非常に良好な耐熱性を有し、未解撚数も3個/10mと実施例1対比劣るものの、実用上問題ないレベルの捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持ち、染色斑の少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表3に示す。
[比較例5]
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて52.6g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を3,500m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を333m/分、D/Yを0.67としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程では良好な工程通過性を示したものの、延伸摩擦仮撚加工工程では仮撚ヒーター上で糸切れが頻発した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は50%であった。またT2/T1を3.40とT2の割合を高くし、施撚体後の糸条に高いT2をかけなければ未解撚が多発してしまった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が7%、CR値が9%であり、十分な寸法安定性を示したものの、捲縮特性に劣るものであった。更に90℃強度は0.35cN/dtexであり耐熱性は実用上問題ないレベルであったが、未解撚数は7個/10mと実施例1対比捲縮形態の均一性が劣るものであった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、ふくらみの無いペーパーライクな布帛が得られ、更には染め斑も多発してしまい、品位が悪かった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生し、実施例1と比較すると耐摩耗性に若干劣るものであった。結果を表3に示す。
Figure 2004218182
[実施例9]
紡糸用油剤に含まれるポリエーテル系潤滑剤[ブタノール(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ランダム付加物、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50重量%、重量平均分子量1400]を65重量%の含有量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、ポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.7%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、ポリ乳酸仮撚糸の未解撚数が1個/10mとなり、実施例1対比わずかに捲縮形態の均一性に劣るものであった。染色布帛はふくらみ、ソフト感やしなやかさに優れ、染色斑もほとんど見られない良好なものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表4に示す。
[実施例10]
紡糸用油剤に含まれるポリエーテル系潤滑剤[ブタノール(エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド)ランダム付加物、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド=50/50重量%、重量平均分子量1400]を45重量%の含有量としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、ポリ乳酸仮撚糸は総繊度が84dtex、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。また90℃強度1.0cN/dtexであり、優れた耐熱性を示したものの、ポリ乳酸仮撚糸の未解撚数が3個/10mとなり、実施例1対比捲縮形態の均一性に劣るものであった。染色布帛はふくらみ、ソフト感やしなやかさに優れるものの、実用上問題ないレベルではあるが、染色斑が若干見られるものであったが、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表4に示す。
[比較例6]
紡糸用油剤を脂肪酸エステル系潤滑剤(イソトリデシルステアレート、オクチルパルミテートをそれぞれ同量)40重量%、更に鉱物油を15重量%、乳化剤として多価アルコールエステルを20重量%を含有するものとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。溶融紡糸工程では良好な工程通過性を示したものの、延伸摩擦仮撚加工工程では連続運転を行った際に施撚体表面や仮撚ヒーター上、糸道ガイドなどに油剤が付着し、運転の始めと終わりのサンプルでは捲縮形態が大きく異なってしまった。また、得られた仮撚糸の繊維物性は、沸騰水収縮率が7.9%、CR値が19%と優れた寸法安定性と捲縮特性を示し、更に90℃強度も0.6cN/dtexと良好な耐熱性を有していたが、未解撚数が8個/10mと非常に多く、品位が悪かった。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、十分なふくらみが得られず、更には染色斑も多発しており、品位が悪かった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面には削れが発生し、実施例1と比較すると耐摩耗性に若干劣るものであった。結果を表4に示す。
Figure 2004218182
[実施例11]
D/Yを2.33としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき、延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は0.69であった。また、得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が16%と優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、90℃強度は0.8cN/dtexであり、優れた耐熱性を示した。しかしながら、未解撚数は3個/10mであり、実施例1対比若干捲縮形態の均一性に劣るものであった。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、若干染色斑が見られたものの、ふくらみ、ソフト感やしなやかさは良好であり、耐摩耗性評価後も表面の変化が少なく、優れた耐摩耗性を示した。結果を表5に示す。
[実施例12]
D/Yを1.08としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では施撚体と延伸ローラー間でしばしば糸切れが発生した。また、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は2.96とT2の割合が高かった。また、得られた仮撚糸は騰水収縮率が7.8%、CR値が18%と優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、また90℃強度も0.8cN/dtexと優れた耐熱性を有し、未解撚数も0個/10mであり優れた捲縮形態の均一性を示したが、若干毛羽が発生していた。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、布帛表面に若干の毛羽が見られた。その他の特性は、ふくらみ、ソフト感やしなやかさ、染色斑も良好であり、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表5に示す。
[比較例7]
D/Yを0.67としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では施撚体と延伸ローラー間で頻繁に糸切れが発生した。また、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は3.26とT2の割合が非常に高かった。また、得られた仮撚糸は騰水収縮率が7.7%、CR値が20%と優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、更に90℃強度も0.8cN/dtexと優れた耐熱性を持ち、未解撚数も0個/10mであり優れた捲縮形態の均一性を示したが、毛羽が多発していた。また、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、ふくらみ、ソフト感やしなやかさは良好であったが、染色斑が見られ、また布帛表面に毛羽が存在し、品位が悪かった。また撚糸工程、製織工程において毛羽が堆積し、撚糸機や製織機をしばしば停機しなければならなかった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ、布帛表面で削れが大きく、耐摩耗性は悪かった。結果を表5に示す。
Figure 2004218182
[実施例13]
仮撚ヒーターの温度を95℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は0.8であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は騰水収縮率が14%、CR値が16%と実用上問題ない寸法安定性と良好な捲縮特性を示し、更に90℃強度も0.6cN/dtexと良好な耐熱性を有していた。また、未解撚数は0個/10mであり捲縮形態の均一性にも優れたものであった。更に、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、ふくらみ、染色斑のレベルには優れるものの、ソフト感やしなやかさが若干低いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表6に示す。
[実施例14]
仮撚ヒーターの温度を145℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は2.8であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は騰水収縮率が5%、CR値が11.2%と実用上問題ない寸法安定性と良好な捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.9cN/dtexと優れた耐熱性を有していた。また、未解撚数は0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れたものであった。更に、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、実用上問題ないふくらみ、ソフト感やしなやかさを持ち、更には染色斑の無い布帛が得られた。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表6に示す。
[比較例8]
仮撚ヒーターの温度を85℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は0.7であった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸の未解撚数は0個/10mであり捲縮形態の均一性に優れ、CR値18%、90℃強度0.6cN/dtexと良好な捲縮特性および良好な耐熱性を示したが、騰水収縮率が17%と高く、寸法安定性に劣るものであった。更に、実施例1と同様に染色布帛を作成したところ、ふくらみ、染色斑のレベルには優れ、また耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化が少なく、良好な耐摩耗性を示した。ただし、ソフト感やしなやかさに劣るものであり、品位が悪かった。結果を表6に示す。
[比較例9]
仮撚ヒーターの温度を155℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程では良好な工程通過性を示し、延伸摩擦仮撚加工工程でのT2/T1は3.1であり、T2の割合が高かった。また、得られたポリ乳酸仮撚糸は騰水収縮率が沸収4.8%、90℃強度が0.7cN/dtex、CR値が8%と寸法安定性に優れ、耐熱性も良好であったが、捲縮特性は劣悪であった。また、未解撚数は3個/10mと実用上問題ないレベルであった。このポリ乳酸仮撚糸を用いて実施例1と同様に染色布帛を作成し、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化が少なく、良好な耐摩耗性を示したが、ペーパーライクであり、ふくらみに欠ける品位の悪いものであった。結果を表6に示す。
Figure 2004218182
[実施例15]
施撚体をベルトニップ式摩擦仮撚具に変更し、ベルトを硬度70度のニトリルブチレンラバー製とし、ベルトの交差角度を100°、D/YをVRとしてその値を1.5としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。またポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い優れた品位を示した。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
[実施例16]
施撚体を3軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具とし、第4〜第10番目までのディスクの材質をJIS A スケールで76度の硬度を持つウレタンとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。ポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い優れた品位を示し、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
[実施例17]
施撚体を3軸摩擦仮撚型ディスク仮撚具とし、第4〜第10番目までのディスクの材質をJIS A スケールで89度の硬度を持つウレタンとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。ポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であり、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無いものであった。結果を表7に示す。
[実施例18]
施撚体をベルトニップ式摩擦仮撚具とし、ベルトを硬度62度のニトリルブチレンラバー(NBR)製とし、ベルトの交差角度を100°、D/YをVRとしてその値を1.5としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。ポリ乳酸仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い優れた品位を示した。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
[実施例19]
施撚体をベルトニップ式摩擦仮撚具とし、ベルトを硬度82度のニトリルブチレンラバー(NBR)製とし、ベルトの交差角度を100°、D/YをVRとしてその値を1.5としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示した。仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無いものであり、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく良好な耐摩耗性を示した。結果を表7に示す。
Figure 2004218182
[実施例20]
原料をP1とし、エクストルーダー型溶融押出機の途中からエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)[日本油脂社製商品名「アルフローH−50S」]を吐出量に対して1重量%添加されるように供給したこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸および染色布帛を得た。このとき溶融紡糸工程、延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示し、更には得られたポリ乳酸仮撚糸の着色が少なく優れていた。また得られた仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れ、更には染色斑の無い品位に優れたものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表8に示す。
[実施例21]
原料をP1とし、エチレンビスステアリン酸アミド(EBA)[日本油脂社製商品名「アルフローH−50S」]を仕込量に対して1重量%添加されるように粉体計量した後、乾燥工程にてポリ乳酸P1に付着させてエクストルーダー型溶融押出機に供給したこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき溶融紡糸工程、延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程および製織工程で良好な工程通過性を示したが、連続運転を行った際に滑剤の添加量が実用上問題ないレベルではあるが変動していた。得られた仮撚糸の物性値は、沸騰水収縮率が7.8%、CR値が20%、90℃強度が1.0cN/dtexであり、優れた寸法安定性と捲縮特性および耐熱性を示した。さらに、未解撚数0個/10mであり、糸長手方向に欠点のない糸であった。また、染色布帛はふくらみ、ソフト感、しなやかさに優れており、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表8に示す。
Figure 2004218182
[実施例22]
延伸摩擦仮撚加工工程において、図2の延伸ローラーとデリベリローラーの間に非接触式ヒーターを配置し、その温度を200℃、デリベリローラーの周速を540m/分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき延伸摩擦仮撚加工工程、撚糸工程、製織工程では良好な工程通過性を示した。また得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が5.3%、90℃強度が0.9cN/dtex、CR値が14%であり、優れた寸法安定性、耐熱性を示し、良好な捲縮特性を示した。また、未解撚数は0個/10mであり糸長手方向に欠点の無い糸であった。また、染色布帛は非常にソフトかつ、しなやかであり、良好なふくらみを有し、染色斑の無い品位に優れたものであった。更に、耐摩耗性の評価を行ったところ、表面変化が少なく、優れた耐摩耗性を示した。結果を表9に示す。
Figure 2004218182
[実施例23]
延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を460m/分としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。溶融紡糸工程およびその後の仮撚加工工程共に安定した製糸が可能であった。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は15%であった。また、延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.1であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.8%、CR値が18%であり、優れた寸法安定性と良好な捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.5cN/dtexと耐熱性も良好であり、未解撚数は0個/10mと均一な捲縮形態であった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、良好なふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つ、染色斑の無いものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表10に示す。
[実施例24]
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を450m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.45であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.3%、CR値が21%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.40cN/dtexであり、良好な耐熱性を有し、未解撚数も3個/10mと実施例1対比劣るものの、実用上問題ないレベルの捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持ち、染色斑の少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表10に示す。
[実施例25]
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を480m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は2.80であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.2%、CR値が20%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。更に90℃強度は0.35cN/dtexであり、実用上問題ない耐熱性を有し、未解撚数も3個/10mと実施例1対比劣るものの、実用上問題ないレベルの捲縮形態を示した。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持ち、染色斑の少ないものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく優れた耐摩耗性を示した。結果を表10に示す。
[比較例10]
溶融紡糸工程で溶融ポリマーを計量ポンプにて50.0g/分に計量し、第1引取ローラーの速度を4000m/分、延伸摩擦仮撚加工工程での供給ローラーの速度を500m/分、D/Yを1.3としたこと以外は、実施例1と同様の方法で仮撚糸およびそれからなる染色布帛を得た。このとき、紡糸工程、仮撚工程共に良好な工程通過性を示した。得られたポリ乳酸未延伸糸の沸騰水収縮率は19%であった。また延伸摩擦仮撚加工工程におけるT2/T1は3.10であった。得られた仮撚糸は、沸騰水収縮率が6.0%、CR値が18%であり、優れた寸法安定性と捲縮特性を示した。しかし、90℃強度は0.25cN/dtexであり、耐熱性に劣るものであった。また、未解撚数は5個/10mであり、均一性に欠ける仮撚糸しか得ることができなかった。この仮撚糸を用いて実施例1と同様の方法で染色布帛を作成したところ、優れたふくらみとソフト感、しなやかさを併せ持つが、タイトスポットが散見され、品位に劣るものであった。また、耐摩耗性の評価を行ったところ表面の変化も少なく耐摩耗性には優れていた。結果を表10に示す。
Figure 2004218182
好ましくポリ乳酸未延伸糸を得るための紡糸装置の概略を示したものである。 好ましくポリ乳酸仮撚糸を得るための、延伸摩擦仮撚装置の概略を示したものである。
符号の説明
1:ホッパー
2:エクストルーダー型溶融押出機
3:計量ポンプ
4:スピンブロック
5:紡糸パック
6:口金6
7:チムニー
8:給油装置
9:流体処理装置
10:第1引取ローラー
11:第2引取ローラー
12:巻取装置
13:チーズ
14:チーズ
15a〜15c:糸道ガイド
16:供給ローラー
17:仮撚ヒーター
18:糸道ガイド
19:冷却板
20:施撚体
21:延伸ローラー
22:デリベリローラー
23a〜23b:糸道ガイド
24:仮撚糸

Claims (5)

  1. 脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有するポリ乳酸繊維からなり、下記特性を有することを特徴とするポリ乳酸仮撚糸。
    90℃強度≧0.3cN/dtex
    CR≧10%
    未解撚数≦3個/10m
  2. 沸騰水収縮率が15%以下であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸仮撚糸。
  3. ポリエーテル系潤滑剤が付与されてなることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸仮撚糸。
  4. ポリエーテル系潤滑剤が、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを共重合付加した化合物および/またはそれらから誘導される化合物であることを特徴とする請求項3記載のポリ乳酸仮撚糸。
  5. 脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0重量%含有させたポリ乳酸を溶融紡糸して得られたマルチフィラメントに、分子内に1個以上のヒドロキシル基を有するアルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキシドを共重合付加した化合物および/またはそれらから誘導される化合物を40重量%以上含有する平滑剤を0.1〜3.0重量%付与した後、紡糸速度4000m/分以上で巻き取って未延伸糸を得、該未延伸糸を、仮撚ヒーター温度90〜150℃、かつ延伸摩擦仮撚加工時の加撚張力(T1)と解撚張力(T2)の比(T2/T1)が3.0以下で延伸摩擦仮撚加工することを特徴とするポリ乳酸仮撚糸の製造方法。
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