JP4075611B2 - カーペット用ポリ乳酸捲縮糸 - Google Patents
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Description
本発明は、耐摩耗性に優れ、且つ品位の高いカーペット用ポリ乳酸捲縮糸に関するものである。
【従来の技術】
最近、地球規模での環境に対する意識が高まる中で、石油資源の大量消費によって生じる地球温暖化や、大量消費に伴う石油資源の枯渇が懸念されている。このような背景から、植物由来原料(バイオマス)からなり、使用後は自然環境中で最終的に水と二酸化炭素まで分解する、自然循環型の環境対応素材が切望されている。
しかしながら、これまで、このようなバイオマス利用の生分解性ポリマーは、製造コストが高く、また力学特性や耐熱性が低いという課題があり、汎用プラスチックに利用されることはなかった。これらを解決できるバイオマス利用の生分解性ポリマーとして、現在、最も注目されているのは脂肪族ポリエステルの一種であるポリ乳酸である。ポリ乳酸は、植物から抽出したでんぷんを発酵することにより得られる乳酸を原料としたポリマーであり、バイオマス利用の生分解性ポリマーの中では力学特性、耐熱性およびコストのバランスが最も優れている。そして、これを利用した樹脂製品、繊維、フィルムおよびシート等の開発が急ピッチで行われている。
ポリ乳酸繊維の開発としては、生分解性を活かした農業資材や土木資材等が先行しているが、それに続く大型の用途として衣料用途、カーテンやカーペット等のインテリア用途、車両内装用途および産業資材用途への応用も期待されている。 しかしながら、ポリ乳酸繊維は表面摩擦係数が高いために、耐摩耗性が悪いという欠点があり、衣料、インテリアあるいは車両内装用途等の耐摩耗性が要求される用途への展開が進んでいなかった。中でも、高度な耐摩耗性が要求される用途としては、例えば、カーペット用途が挙げられるが、この用途では、特に、日常生活において、靴やスリッパ等の履き物や、靴下、ズボン等の着衣によって頻繁に摩擦を受けるため、、毛羽立ちや白化、テカリ等の発生により使用過程でカーペットの品位が極端に低下し、また繊維の摩耗削れによって、着衣へ色移りが生じる等大きな問題に繋がる場合があった。さらに、椅子やテーブルのような高荷重で鋭いあるいは硬い角を有するような家具をカーペット上で引きずった際には、毛羽やフィブリルが発生するだけに留まらず、繊維が擦り切れて破れを生じる等の問題が発生する場合もあった。
また、ポリ乳酸繊維の表面摩擦係数が高いことによる影響は、上記のような繊維製品の耐摩耗性不良や、それに伴う耐久性不良の問題だけに留まらず、繊維を製造する際の工程通過性不良や品位の低下にも及んでいる。例えば、溶融紡糸過程では、通常、糸が1,000〜7,000m/分という高速で走行するため、糸とガイド類の摩擦が大きくなることにより毛羽や糸切れが発生し易くなってしまう。また、延伸工程では、糸がローラーに巻き付いたり糸切れが発生し易くなる。さらに、捲縮加工工程では、糸と捲縮付与装置の金属との摩擦力が過大となるため、糸切れが発生し、或いは走行性が悪いために加工斑が生じ、実質的に品位の高い繊維を効率良く製造することが困難となってしまう場合もある。加えて、このようにして得られたポリ乳酸捲縮糸を用いて、製織工程やタフティング工程を経てカーペット原反とする際には、糸と金属との摩擦だけでなく、糸と糸との摩擦により、毛羽の発生が著しく、工程通過性およびカーペット製品の品位が大きく低下するという問題があった。
以上のように、カーペット用ポリ乳酸捲縮糸とその繊維製品を製造するのに際しては、工程通過性が悪く生産性が低下すると同時に、得られる繊維および繊維製品は毛羽や摩耗の発生によって品位の低いものとなってしまうという致命的な問題点があった。
カーペット用ポリ乳酸捲縮糸を常法に従って製造する公知例は存在するが(特許文献1参照。)、発明者らがその公知例に基づいて追試を行った結果、上記問題点を解決することは到底不可能であった。これらの問題の原因であるポリ乳酸繊維の高摩擦係数は、ポリマー基質によるものであり、ポリ乳酸繊維では必然的に起こる問題であると考えられる。
ところで、樹脂製品やフィルム、シート等の分野では、その製造工程において、チップや溶融ポリマーのアンチブロキング性、あるいは金型やローラーからの成形体の剥離性を向上させるためにポリマーに滑剤を添加する場合がある。しかしながら、繊維の分野においては、滑剤のブレンド斑、熱分解あるいはブリードアウト等により繊維の物性斑や染色斑等による製品品質の低下が発生しやすいため、これまでこのような添加剤を用いることは避けられる傾向にあった。
従来、滑剤を添加した繊維については、例えば、ポリ乳酸繊維に一般式RCONH2(ただし、Rはアルキル基)で表される脂肪酸モノアミドを添加し、撥水性を与えることによって加水分解速度を抑制することを目的とするものがあるが(特許文献2参照。)、本発明の目的であるポリ乳酸繊維の耐摩耗性および工程通過性の向上については全く記載が無い。ちなみに、本発明者らは脂肪酸モノアミドを添加したポリ乳酸繊維について追試を行ったが、ポリ乳酸繊維の耐摩耗性および製造する際の工程通過性を向上させることはできなかった(比較例4参照。)。これは、脂肪酸モノアミドが、そのアミド基の反応性が高いために、溶融時にポリ乳酸と反応してしまい、結果的に滑剤として機能し得る脂肪酸モノアミドの繊維中に占める割合が少なくなることが原因であると推定される。また、脂肪酸モノアミドがポリ乳酸と反応すると、結果的にポリ乳酸の分子鎖が切断されるため、分子量が減少してしまい、繊維物性が低下する場合もあった。 さらに、脂肪酸モノアミドは昇華性が大きい、あるいは耐熱性に劣るために、発煙による作業環境の悪化や、ブリードアウトによるガイド類やローラーの汚れ、また、操業性の低下を引き起こすこともあった。さらに、ブリードアウトした脂肪酸モノアミドが繊維表面で凝集することによって、繊維の物性斑や染色斑を招く場合もあった。
【特許文献1】
特開2002−105752(第2−7頁)
【特許文献2】
特開平8−183898号公報(第2−4頁)
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を克服し、耐摩耗性に優れ、かつ品位の高いカーペット用ポリ乳酸捲縮糸を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、ポリ乳酸繊維からなり、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5wt%含有することを特徴とするカーペット用ポリ乳酸捲縮糸により達成される。本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸においては、捲縮伸張率を3〜35%とし、単糸繊度を3〜35dtexとし、かつ横断面異形度を1.1〜8とすることが好ましい態様として含まれている。
【発明の実施の形態】
以下、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸について詳細に説明する。本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、ポリ乳酸からなる繊維で基本的に構成されている。
本発明でいうポリ乳酸とは、乳酸やラクチド等の乳酸のオリゴマーを重合したものを言い、L体あるいはD体の光学純度は90%以上であると、融点が高く好ましい態様である。L体あるいはD体の光学純度は、より好ましくは97%以上である。また、L体の光学純度90%以上のポリ乳酸とD体の光学純度90%以上のポリ乳酸を70/30〜30/70の比率でブレンドしたものは融点がさらに向上するため好ましい態様である。
また、ポリ乳酸の性質を損なわない範囲で、乳酸以外の成分を共重合していても良い。共重合成分としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の分子内に複数の水酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸および5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等の分子内に複数のカルボン酸基を含有する化合物類またはそれらの誘導体が挙げられる。
また、ポリ乳酸以外のポリマーを含有していても良く、例えば、溶融粘度を低減させるため、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、およびポリエチレンサクシネートのような脂肪族ポリエステルポリマーを内部可塑剤として、あるいは外部可塑剤として用いることができる。また、粒子、難燃剤、帯電防止剤、艶消し剤、消臭剤、抗菌剤、抗酸化剤および着色顔料等の添加物を含有していても良いし、染色等の熱水処理でのポリ乳酸の加水分解抑制や製品の経時による物性低下抑制を目的として、カルボジイミド化合物等の末端封鎖剤を含有していても良い。ポリ乳酸の分子量は、重量平均分子量で5万〜50万であると、力学特性と成形性のバランスが良く好ましい。ポリ乳酸の分子量は、より好ましくは重量平均分子量で10万〜35万である。
本発明で用いられるポリ乳酸の製造方法は、特に限定されない。具体的には、特開平6−65360号に開示されている製造方法が挙げられる。すなわち、乳酸を有機溶媒及び触媒の存在下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法である。また、特開平7−173266号に開示されている少なくとも2種類のホモポリマーを重合触媒の存在下、共重合並びにエステル交換反応させる方法がある。さらには、米国特許第2,703,316号明細書に開示されている方法がある。すなわち、乳酸を一旦脱水し、環状二量体とした後に、開環重合する間接重合法である。
本発明では、ポリ乳酸からなる繊維(ポリ乳酸繊維)に、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを滑剤として含有させる。
本発明で用いられる脂肪酸ビスアミドは、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドおよび芳香族系脂肪酸ビスアミド等の1分子中にアミド結合を2つ有する化合物を指し、例えば、メチレンビスカプリル酸アミド、メチレンビスカプリン酸アミド、メチレンビスラウリン酸アミド、メチレンビスミリスチン酸アミド、メチレンビスパルミチン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスイソステアリン酸アミド、メチレンビスベヘニン酸アミド、メチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスカプリル酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスミリスチン酸アミド、エチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスベヘニン酸アミド、ブチレンビスオレイン酸アミド、ブチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、p−キシリレンビスステアリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、p−フェニレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリルテレフタル酸アミド、メチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドおよびヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、本発明で用いられるアルキル置換型の脂肪酸モノアミドは、飽和脂肪酸モノアミドや不飽和脂肪酸モノアミド等のアミド水素をアルキル基で置き換えた構造の化合物を指し、例えば、N−ラウリルラウリン酸アミド、N−パルミチルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ベヘニルベヘニン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドおよびN−オレイルパルミチン酸アミド等が挙げられる。ここでアルキル基は、その構造中にヒドロキシル基等の置換基が導入されていても良く、例えば、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミド、N−ステアリル−12−ヒドロキシステアリン酸アミドおよびN−オレイル12ヒドロキシステアリン酸アミド等も本発明のアルキル置換型の脂肪酸モノアミドに含むものとする。
本発明では脂肪酸ビスアミドやアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを用いるが、これらの化合物は、通常の脂肪酸モノアミドに比べてアミドの反応性が低く、溶融成形時においてポリ乳酸との反応が起こりにくい。また、これらの化合物は、高分子量のものが多いため、一般に耐熱性が良く、昇華しにくいという特徴がある。特に、脂肪酸ビスアミドは、アミドの反応性がさらに低いためポリ乳酸と反応しにくく、また、高分子量であるため耐熱性が良く、昇華しにくいことから、より好ましい滑剤として用いることができる。このような滑剤として、例えば、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ブチレンビスベヘニン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アミドおよびm−キシリレンビスステアリン酸アミドが好ましく用いられる。
本発明における脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの繊維全体に対する含有量は、0.1〜5wt%であることが必要である。脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの含有量を0.1wt%以上とすることで、繊維の表面摩擦係数が低減し、カーペット製品に要求される耐摩耗性と長期間使用での耐久性を付与することができる。さらに、製織工程やタフティング工程での工程通過性を向上できる。また、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの含有量の含有量を5wt%以下とすることで、脂肪酸アミドを微分散することができ、繊維の物性斑や染色斑が発生するのを防ぐことができる。脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの含有量の含有量は、より好ましくは0.5〜3wt%である。本発明では、該脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドの含有量が単一でも良いし、また複数の成分が混合されていても良い。
本発明においてポリ乳酸繊維は、平滑剤を含有する紡糸油剤が付与されていることが好ましい。平滑剤は、特に限定されるものではないが、例えば、脂肪酸エステル、多価アルコールエステル、エーテルエステル、ポリエーテル、シリコーンおよび鉱物油等が挙げられる。また、これらの平滑剤は、単一成分で用いても良いし、複数の成分を混合して用いても良い。ポリ乳酸繊維に上記のような平滑剤を含有させた油剤を付与することによって、紡糸や延伸工程での糸切れや毛羽の発生、ローラーへの巻き付きをさらに抑制することができる。また、捲縮加工についても、糸−捲縮付与装置の金属間の摩擦力が減少し、糸切れが抑制されることによって、工程通過性をさらに高めることできる。また、それと同時に、走行性が安定するため、加工斑を発生せずにさらに高品位の捲縮糸を得ることができる。
本発明では、油剤を構成する成分は平滑剤に加えて、油剤を水に乳化させ、低粘度化して糸条への付着、浸透性を向上させる乳化剤、また必要に応じて帯電防止剤、イオン性界面活性剤、集束剤、防錆剤、防腐剤あるいは酸化防止剤を適宜配合したものを使用することができる。
本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、カーペット製品に用いられることが前提であるため、その色調が重要視される。このような観点から、着色顔料を含有する場合はその限りではないが、捲縮糸は黄味の色調の指標であるb*値が−1〜5であることが好ましく、−1〜3であることがより好ましい。なお、従来技術である脂肪酸モノアミドを含有したポリ乳酸繊維は、b*値が高く、黄味が強い傾向になる場合がある。これは、耐熱性に劣る脂肪酸モノアミドの熱劣化に加えて、脂肪酸モノアミドが溶融成形時にポリ乳酸ポリマーのカルボニル基と反応し、ジアセトアミド基が形成されるためと考えられる。これに対して、本発明で用いられる脂肪酸ビスアミドやアルキル置換型の脂肪酸モノアミドは、耐熱性に優れており、またアミド基の反応性が低いため、繊維の着色は発生しにくいのである。
また、発明者らは、脂肪酸ビスアミドやアルキル置換型の脂肪酸モノアミドが、滑剤としてだけではなく、可塑剤としても機能することに注目し、これをポリ乳酸に含有させることによって溶融粘度を大幅に減少させることが可能であることを見出した。つまり、これによって、紡糸温度を低く設定することが可能となり、滑剤およびポリ乳酸自体の熱劣化に伴うポリ乳酸繊維の黄色着色をさらに減少させることが可能であることを見出したのである。
本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸を構成するポリ乳酸繊維は、その単繊維繊度が3〜35dtexであることが好ましい。単繊維繊度を3dtex以上とすることで、摩擦に対する繊維の耐摩耗性や、カーペット製品の長期使用での耐久性が十分に得られる。また、単繊維繊度を35dtex以下とすることで、繊維の圧縮弾性が大きくなり過ぎず、風合いがソフトで、肌触りの良好なカーペット製品が可能となる。また、マルチフィラメントとしての平均単繊維繊度が上記の範囲にあれば、細繊度と太繊度のデニールミックスフィラメント混合糸であっても何ら問題ない。また、一般に、ポリ乳酸繊維の耐摩耗性不良は単繊維繊度が小さい程顕著に現れるが、本発明のポリ乳酸繊維では、単繊維繊度が小さくても十分な耐摩耗性を有するものである。より好ましい単繊維繊度は、5〜25dtexである。
本発明でいう捲縮糸は、加熱流体処理などにより3次元ランダムなスパイラル形状を与えられ、カーペット等の表糸として優れたバルキー性を付与されたマルチフィラメント延伸糸である。すなわち、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、マルチフィラメントに3次元的なクリンプを付与することにより嵩高性を持たせた糸を指す。これによりカーペット等の表糸として用いたときにバルキー性を発現することが可能となる。
また、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、沸騰水処理後の捲縮伸張率が3〜35%であることが好ましく、この要件はカーペット用途として用いる場合の重要な構成要件となる。すなわち、本発明でいう沸騰水処理後の捲縮伸張率は、沸騰水中で処理したときの捲縮発現率に関係する指標であり、この値を3%以上とすることで、染色等の熱処理を実施してもマルチフィラメント糸の嵩高性が低下することが無く、バルキー性に富むカーペット製品を得ることが可能となる。また、捲縮伸張率を35%以下とすることで、繊維の強度低下を抑制し、工程通過性、使用耐久性に優れたカーペット製品を得ることが可能となる。より好ましい捲縮伸張率は、8〜25%である。
なお、ここでいう沸騰水処理後の捲縮伸張率とは、具体的には以下の方法で測定する。
[沸騰水処理後の捲縮伸張率]
室温25〜35℃、相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置されていたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料とする。この試料糸に2mg/dtexの初荷重をかけ、30秒経過した後に試料長50cm(L1)にマーキングをする。次いで、同試料に100mg/dtexの定荷重をかけて30秒経過後に伸びた試料長(L2)を測定する。下記式により、捲縮伸張率(%)を求める。
捲縮伸張率(%)=[(L2−L1)/L2]×100
なお、沸騰水処理前に糸条を放置する際の雰囲気条件は、実際のカーペット製造工程において使用されるときの捲縮糸状態、すなわち、吸湿により捲縮特性が平衡状態に達した状態とするためのものであり、平衡状態に達するのに時間がかかり過ぎず、かつ結露を生じないという点から選定したものである。
本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸においては、単繊維横断面は、丸断面でも良いが、多葉形、十字形、井桁形、W字形、S字形あるいはX字形などの異形断面とすることが好ましい。これらのうち、特に3〜8葉の多葉形が耐フィブリル性の観点で好適である。また、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸においては、単繊維横断面の内部に少なくとも1ヶ所の中空部を設けた中空繊維とすることもできる。
単繊維横断面を異形断面とした効果は、単糸横断面の外接円の直径(D)を単糸横断面の内接円の直径(d)で除した横断面異形度(D/d)が、好ましくは1.1〜8の範囲にあるときに顕著に発現する。上記の横断面異形度(D/d)を1.1以上とすることで、ポリ乳酸捲縮糸に、丸断面では不十分な光沢性、ソフト性および嵩高性を付与させることができる。また、横断面異形度(D/d)を8以下とすることで、摩耗やフィブリル化によって、捲縮糸の品位が低下するのを抑制でき、また、同時に、カーペットを製造する高次工程、つまり製織工程やタフティング工程での工程通過性が低下するのを抑制できる。より好ましい横断面異形度は、1.5〜6である。
図1は、本発明のカーペット用脂肪族ポリエステル繊維の断面形状を例示する模式図であり、3葉断面の場合の横断面異形度を示す値(Dとd)の見方が示されている。
また、本発明におけるカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、その総繊度を500〜5,000dtexとすれば、撚糸・セット工程やタフティング工程での生産効率を良好に保つことができ、異なる色相に染色した先染め糸等を2本ないし3本撚り合わせて目的とした高発色、高光沢なカーペットを得ることが実用上簡易になる。より好ましい総繊度は、1,000〜3,500dtexである。
また、カーペット用ポリ乳酸捲縮糸の沸騰水収縮率(沸収)を15%以下とすることで、精練や染色など熱水処理を行った場合の収縮を軽減することができ、カーペットの幅出しが安易となり、また風合いが硬化することがなく好ましい。より好ましい沸騰水収縮率は、12%以下である。
また、カーペット用ポリ乳酸捲縮糸の破断強度を1cN/dtex以上とすることで、タフトや製織時の糸切れ停台による工程通過性の低下を抑制することが可能となり、また、カーペット製品における引裂強力の低下を抑制することが可能となる。より好ましい破断強度は、1.5cN/dtex以上である。
次に、本発明におけるカーペットは、少なくともパイルの一部に、上述したポリ乳酸捲縮糸を用いることで、耐摩耗性および品位に優れ、また、高発色、高光沢、高バルキーで適度なソフト感を備えるカーペットを得ることができる。本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸をカーペットの基布に用いることもできる。
また、本発明のカーペットのもう1つの特徴として、表面タッチに弾力感を有すること、また、長期間使用してもヘタリが少ないことが挙げられる。つまり、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、滑剤として脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを含有しているため、滑り性に優れている。よって、これを用いたカーペットは、その表面を荷重によって圧縮した際にも、繊維間でのからまりやひっかかりが極めて少ないため、荷重を取り除いた後には、速やかに元の状態に回復するという優れた特徴を有するものとなる。また、この効果は長期間でも持続するため、カーペットに繰り返しの荷重を掛けても捲縮糸がへたることがなく、カーペット製品としての良好な品位を保てるのである。
ここで、本発明におけるカーペットは、その加工形態は限定されるものではなく、例えば、段通、ウイルトンおよびダブルフェイスおよびアキスミンスター等の織りカーペットや、タフティングおよびフックドラグ等の刺繍カーペットや、ボンデッド、電着およびコード等の接着カーペットや、ニットおよびラッセル等の編みカーペットや、ニードルパンチ等の圧縮カーペットに代表されるパイルをもつカーペット、あるいはその組み合わせを用いることができるが、より低コストでボリューム感に富むカーペットを得るためには、少なくともパイル繊維糸である表糸と、この表糸をタフトした基布と、この基布の裏に張り付けたバッキング材から構成されるタフティングカーペットとすることが好ましい。
さらに、環境負荷低減効果を向上させるための好ましいタフティングカーペットの形態は、基布の一部、好ましくは、50%以上をポリ乳酸繊維をはじめとする脂肪族ポリエステル繊維や天然繊維により構成させることで達成できる。
以上のように、本発明におけるカーペットは、耐摩耗性および品位に優れ、また、高発色、高光沢、高バルキーで適度なソフト感を備えたものであるため、その適用範囲は大きく広がり、各種の目的下や場所に設置することができる。例えば、居室、キッチン、玄関、ダストコントロールおよびベランダ等の住居用、オフィス、学校、美術館、劇場、ホテル、レストラン、銀行、デパート、小売り店等の商業用、鉄道、乗用車、バス、船舶、航空機等の輸送用、陸上競技場、野球場、ゴルフ場、テニスコート、フィットネスクラブおよびプールサイド等の屋内外スポーツ用等にも好適に適用される。
以下に、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸およびこの捲縮糸を用いたカーペットの代表的な製造方法について説明する。
本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、基本的には、溶融紡糸、冷却、給油、延伸および捲縮付与の各工程からなる溶融紡糸法によって製造することができる。また、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸は、長繊維でも短繊維でもどちらでも良く、短繊維の場合には、捲縮付与工程の後に、所望の繊維長にカットする工程を追加すれば良い。
ポリ乳酸は公知の方法を用いて合成できるが、ポリ乳酸自体の色調が良好で、しかもラクチド等の残存オリゴマーやモノマーを減じるようにすることが好ましい。具体的手法としては、既述の方法の他、例えば、特表平7−504939号公報に記載のように、金属不活性化剤や酸化防止剤等を使用したり、重合温度の低温化、触媒添加率の抑制を行うことが好ましい。また、ポリマーを減圧処理したり、クロロホルム等で抽出することにより、残存オリゴマーとモノマー量を大幅に低減することもできる。
ポリ乳酸繊維に、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを含有させる方法は、例えば、以下のように、混練と溶融紡糸を別々の工程で行う方法が挙げられる。まず、混練工程では、、ポリ乳酸と該アミド化合物を乾燥した後、窒素シールされた押し出し混練機に供給して混練チップを作成する。次に、この混練チップを紡糸機に供することによって溶融紡糸を行う。混練工程では、該アミド化合物を高比率で含有した混練チップを作成し(マスターチップ化)、これを紡糸機に供する際に該アミド化合物が所望の含有量になるように通常のポリ乳酸チップをブレンドして希釈する方法も好適に用いられる。また、溶融紡糸工程では、紡糸パック内に静止混練器を設置することにより、ポリ乳酸と該アミド化合物をさらに微細に混練させることも可能である。該アミド化合物の凝集や、繊維表面へのブリードアウトはガイド類やローラーの汚れによる操業性の低下を引き起こしたり、繊維製品の物性斑や染色斑を引き起こすため、混練工程や溶融紡糸工程では、該アミド化合物をポリ乳酸に微分散させることが好ましい。
また、混練と溶融紡糸を同一工程で行っても良い。この場合、乾燥したポリ乳酸と該アミド化合物を別々に溶融し、それぞれの融液を紡糸機に供して紡糸パック内で混練しても良いし、混練機によりポリ乳酸と該アミド化合物を混練し、この混練ポリマー融液を紡糸機に供しても良い。
また、該アミド化合物は、ポリ乳酸の重合時に添加し、重合と同時にマスターチップ化を行っても良い。また、マスターチップとせず、該アミド化合物を予め所望の含有量となるように重合時に添加し、得られたチップを希釈せずにそのまま紡糸機に供しても何ら差し支えない。
該アミド化合物は、ブレンドポリマーの全量に対して0.1〜5wt%含有させれば良い。該アミド化合物の含有量を0.1wt%以上とすることで、繊維の表面摩擦係数が低減し、工程通過性を向上できる。また、該アミド化合物の含有量を5wt%以下とすることで、混練や紡糸の際に、過剰の該アミド化合物が溶融ポリマーからブリードアウトし、これが昇華或いは分解して発煙を引き起こすといった作業環境の悪化や、過剰の該アミド化合物の昇華物あるいは分解物によって押し出し混練機や溶融紡糸機が汚れる等の操業性の低下を防ぐことができる。
さらに、ポリ乳酸捲縮糸の単繊維断面を前述した異形断面とし、前述した単繊維繊度と総繊度にするためには、溶融吐出する際の口金の吐出孔形状と吐出量、引き取り速度などの紡糸条件を、目的に合わせて調節すればよい。例えば、3葉断面繊維を得る場合にはT字型あるいはY字型口金孔を有する口金を用いればよい。また、横断面異形度を示す上述の値(D/d)をより大きくするためには、口金面深度を小さくする方法、あるいは冷却を強化する方法などを用いることができる。
溶融紡糸された糸条には、冷却、給油および引き取りの後、必要に応じて延伸と熱固定が施される。この際、引き取り速度を400〜2,000m/分、延伸倍率を1.5〜6倍とすると、カーペット用に適切な強度と高い捲縮を備えた捲縮糸が得られる。延伸に際しては、補助的に延伸点を固定するなどの目的で、スチーム処理装置などを併用してもよい。また、延伸方法は1段であっても多段であってもどちらでも良い。
次いで、延伸糸について、捲縮付与装置によって捲縮を付与する。捲縮は、特に制限なく公知の方法で付与することができる。捲縮付与方法としては、ギヤなどによる機械捲縮、紡糸時の非対称熱処理による捲縮付与、仮撚り加工方式、加熱流体処理による捲縮付与等が挙げられる。中でも3次元のランダムな捲縮を付与する点、高捲縮を付与できる点から加熱流体により付与することが好ましい。また、加熱流体を使用する方法は、糸条へのダメージを少なくして捲縮を付与することができるため、高い引張り強度の捲縮糸を得ることが可能となる。加熱流体を使用する方法としては、例えば、ジェットノズルタイプ、ジェットスタッファタイプ等が採用され得るが、その中でも特に、高い捲縮付与とその顕在化を達成するためにはジェットノズル方式が好ましく、例えば米国特許第3,781,949号明細書に記載の捲縮ノズルなどが好ましく使用される。なお、この場合には、捲縮を固定する目的から、例えば特開平5−321058号公報に記載のごとく、冷却装置、さらにはロータリーフィルタを組み合わせてもよい。
捲縮付与のための加熱流体としては、加熱蒸気もしくは加熱空気が好ましく用いられる。通常糸条に付与する加熱流体の温度としては、130℃〜210℃が好適に採用される。加熱流体の温度が高い程、捲縮糸により大きな捲縮性を付与でき、捲縮糸の嵩高性は向上する傾向にあるが、上記の温度が高すぎると、単糸を融着させたり捲縮糸の強度低下につながる。また、加熱流体は糸へのダメージを少なくする点から加熱蒸気よりも加熱空気の使用がより好ましい。
溶融紡糸、延伸および捲縮付与は、途中で巻取らずに連続して行ってもよいし、未延伸糸段階あるいは延伸糸段階でいったん巻取ってもよい。
このようにして得られたポリ乳酸捲縮糸を少なくともパイルの一部に用いて、例えば、段通、ウイルトン、ダブルフェイス、アキスミンスター等の織りカーペット工程、タフテッド、フックドラグ等の刺繍カーペット、ボンデッド、電着、コード等の接着カーペット工程、ニットおよびラッセル等の編みカーペット工程、あるいはタフティング工程にてカーペット原反として製造し、この原反を必要に応じて適宜染色することにより、本発明のカーペットを得ることができる。
なお、染色する場合は、本発明のポリ乳酸捲縮糸を上述したカーペット原反の製造工程以前に実施することもでき、この場合は従来から知られているチーズ染色やカセ染色にて糸染めし、この糸染め糸を用いて、カーペット原反の製造を実施することができる。
また、より低コストでボリューム感に富むカーペットを得るためには、上述のポリ乳酸捲縮糸を用い、パイルである表糸とこの表糸をタフトした基布とから構成されるタフティングカーペットとすることが好ましく、この場合、さらに、環境負荷低減効果を向上させるために、基布の一部、好ましくは50%以上をポリ乳酸繊維をはじめとする脂肪族ポリエステル繊維や天然繊維により構成させるこができる。
本発明において、カーペットの基布は、ニードルパンチ方式等で得られたポリ乳酸短繊維不織布や、スパンボンド方式、フラッシュ紡糸方式で得られるポリ乳酸長繊維不織布、あるいは、製織方式で得られるポリ乳酸繊維からなる織基布等を代表的なものとして用いることができるが、タフティング時に必要な基布強度や製品強度を向上させるためには、ポリ乳酸長繊維不織布またはポリ乳酸繊維からなる織基布を用いることが好ましい。
また、タフティングカーペットのスタイルは、レベルカットスタイルやレベルループスタイルなどを用いることができるが、より意匠性を高めるために、カットアンドループなどの規格とすることもできる。パイル高さは、用途により適宜設定すればよいが、好ましくは3mmから30mm、より好ましくは10mmから20mmの範囲内とするのがよい。
このとき、カーペットの制電性を高めたり、さらには意匠性を高めるなどの目的で、本発明の効果が損なわれない程度に制電糸あるいはモノフィラメントや他の糸を混織することは何ら差し支えない。
次いで、従来から知られている方法により、バッキングが施される。この場合に、必要に応じてシャーリングを実施することはより好ましい手法として推奨される。また、防汚性を高めるために、防汚剤を塗布することも何ら差し支えない。
【実施例】
以下、本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸とカーペットについて、実施例を用いて詳細に説明する。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。
A.重量平均分子量
島津社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー「島津LC−10AD」を用いて、ポリスチレンを標準として測定した。
B.横断面異形度
捲縮糸の断面を切り出し、単繊維横断面の外接円の直径Dと、単糸横断面の内接円の直径dから下記式により求めた。
異形度=D/d
C.強度、伸度、沸収
JIS L 1090に準拠した。
D.捲縮伸張率
室温25〜35℃、相対湿度50〜75%の雰囲気中に20時間以上放置されていたパッケージから解舒した捲縮糸を、無荷重状態で30分間沸騰水で浸漬処理した後、平衡水分率まで乾燥し、これを沸騰水処理後捲縮糸の試料とした。この試料糸に2mg/dtexの初荷重をかけ、30秒経過後の試料長50cm(L1)と、同試料に100mg/dtexの定荷重をかけて30秒経過後の試料長(L2)から、下記式により、捲縮伸張率(%)を求めた。
捲縮伸張率(%)=[(L2−L1)/L2]×100。
E.捲縮糸の色調(b*値)
繊維サンプルを透明プレートに、下地の色がほぼ無視できる程度まで密に積層して巻き付け、ミノルタ社製「スペクトロフォトメーターCM−3700d」を用いて測定した。このとき、光源としてはD65(色温度6504K)を用い、10°視野で測定を行った。
F.捲縮斑
繊維サンプルを透明プレートに巻き付け、その捲縮斑を目視によって次のように評価した。
◎:捲縮斑が極めて少ない
○:捲縮斑が少ない
△:捲縮斑が多い
×:捲縮斑が極めて多い。
G.染色斑
染色したカーペットの染色斑を目視によって次のように評価した。
◎:均一に染色されており、染色斑が極めて少ない
○:染色斑が少ない
△:染色斑が多い
×:染色斑が極めて多く、いらつき感がある。
H.光沢性
染色したカーペットの光沢性を目視によって次のように評価した。
◎:光沢感が十分存在
○:光沢感が存在
△:光沢感が不足
×:光沢感がない。
I.バルキー性
染色したカーペットを太陽光下におき、地抜けの程度を見ることによって次のように評価した。
◎:地抜けが全くなく、バルキー性が極めて良好
○:地抜けが殆どなく、バルキー性が良好
△:地抜けがあり、バルキー性がやや不足
×:地抜けが多く、バルキー性がかなり不足。
J.風合い
染色したカーペットを手で触ることによって次のように官能評価した。
◎:ソフト感、弾力感が極めて良好
○:ソフト感、弾力感が良好
△:ソフト感、弾力感がやや不足
×:ソフト感、弾力感がかなり不足。
K.耐摩耗性
染色したカーペットを試験サンプルとして、JIS L 1018で規格されたのテーバ形法によって1000回の回転摩擦試験を行った後、サンプルの摩耗の状態から目視で次のように評価した。
◎:殆ど摩耗していない
○:少し摩耗しているが、問題ないレベル
△:摩耗があり、白化やテカリが発生している
×:摩耗が激しく、白化やテカリが著しい。
L.耐久性
染色したカーペットを、オフィスの玄関マットとして1年間使用した後のカーペットの外観を目視で次のように評価した。
◎:外観変化は殆どなく、耐久性良好
○:外観変化が少しあるが、耐久性は問題ないレベル
△:摩耗によって、表面が荒れ、白化やテカリ、へたりも少し存在する
×:摩耗が激しく、表面が極めて荒れている。また白化やテカリ、へたりが多く存在し、擦り切れて穴が空いている部分も存在する。
[製造例1](ポリ乳酸の製造)
光学純度99.5%のL乳酸から製造したラクチドを、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ触媒(ラクチド対触媒モル比=10000:1)存在下に、チッソ雰囲気下180℃で180分間重合を行いポリ乳酸P1を得た。得られたポリ乳酸の重量平均分子量は21.3万であった。
[製造例2](EBAを4wt%含有したポリ乳酸の製造)
ポリ乳酸P1とエチレンビスステアリン酸アミド(EBA)[日本油脂社製商品名「アルフローH−50S」]を乾燥した後、P1:EBA=96:4(重量比)となるように加熱溶融したEBAを計量して連続的にP1に添加しながらシリンダー温度230℃の2軸混練押し出し機に供することで、EBAを4wt%含有したポリ乳酸P2を得た。
[製造例3](EBAを7wt%含有したポリ乳酸の製造)
ポリ乳酸P1:EBA=93:7(重量比)に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、EBAを7wt%含有したポリ乳酸P3を得た。
[製造例4](SSを4wt%含有したポリ乳酸の製造)
EBAをアルキル置換型モノアミドのN−ステアリルステアリン酸アミド(SS)[日本化成社製商品名「ニッカアマイドS」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、SSを4wt%含有したポリ乳酸P4を得た。
[製造例5](SAを4wt%含有したポリ乳酸の製造)
EBAをモノアミドのステアリン酸アミド(SA)[日本油脂社製商品名「アルフローS−10」]に変えたこと以外は、製造例2と同様にして、SAを4wt%含有したポリ乳酸P5を得た。
(実施例1)
重量比でポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=75:25となるようにチップブレンド(EBAは1wt%)し紡糸機ホッパーに仕込み、エクストルーダー型紡糸機で240℃にて溶融し、紡糸温度240℃とした溶融パックへ導入して、Y字型孔を有する三葉断面用口金の細孔を136ホール有する紡糸口金から紡出した。紡糸部より得た糸条に先ず油剤を付着せしめ、続いて引き取りロールで700m/分にて引き取り、延伸予熱温度70℃で予熱後、3倍に延伸を行った。得られた延伸糸をそのまま連続して捲縮予熱ロール温度130℃にて予熱後、捲縮加工装置にて200℃での加熱圧空処理を行い、捲縮を付与した。次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に0.07cN/dtex程度の巻取張力で巻き取ることにより、2,000dtex、136フィラメントのポリ乳酸捲縮糸を得た。次に、この捲縮糸を、レベルループパイルカーペットとしてポリ乳酸不織布からなる基布にタフトし、このカーペット原反を常法によって染色しカーペットを製作した。
得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収いずれも良好な値を示した。また、捲縮伸張率は13%と良好であり、b*値も良好な値であった。また、捲縮斑も少なく、高品位の捲縮糸であった。カーペットについては、耐摩耗性、耐久性ともに優れており、その他カーペットに必要な特性を十分に満足するものであった。
(実施例2)
ポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=50:50となるようにチップブレンド(EBAは2wt%)し、六葉断面用口金を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であり、b*値も良好な値であった。また、捲縮斑も極めて少なく、高品位の捲縮糸であった。また、カーペットについては、耐摩耗性が優れており、その他カーペットに必要な特性を十分に満足するものであった。
(実施例3)
ポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=92.5:7.5となるようにチップブレンド(EBAは0.3wt%)したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であった。また、捲縮斑は実施例1の捲縮糸に比べると多かったが、b*値は非常に良好な値であり、まずまず高品位の捲縮糸であった。また、カーペットの耐摩耗性は、実施例1のカーペットほどではないものの、まずまずの特性を有しており、その他カーペットに必要な特性についても十分に満足するものであった。
(実施例4)
ポリ乳酸P2のみ(EBAは4wt%)を用い、口金の細孔を180ホールとしたこと以外は、実施例1と同様にして1,500dtex、180フィラメントのポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であり、b*値もまずまず良好な値であった。また捲縮斑も極めて少なく、高品位の捲縮糸であった。カーペットについては、耐摩耗性、耐久性ともに極めて優れており、その他カーペットに必要な特性を十分に満足するものであった。
(実施例5)
丸断面用口金を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸繊維およびカーペットを得た。得られた繊維の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。この繊維は、強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であり、b*値も良好な値であった。また、カーペットについては、耐摩耗性に優れていた。
(実施例6)
捲縮加工装置での加熱圧空処理条件を220℃に変更することにより、捲縮を強化したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。この捲縮糸は、捲縮伸張率は非常に高く、捲縮性は極めて良好であったが、強度が低く、工程通過性がやや劣るものであった。しかしながら、これを用いたカーペットについては、耐摩耗性にまずまず優れており、その他カーペットに必要な特性を十分に満足するものであった。
(実施例7)
ポリ乳酸P1:ポリ乳酸P4=75:25となるようにチップブレンド(SSは1wt%)したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は、強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であり、b*値も良好な値であった。また、捲縮斑も少なく、高品位の捲縮糸であった。また、カーペットについては、耐摩耗性が優れており、その他カーペットに必要な特性を十分に満足するものであった。
(比較例1)
ポリ乳酸P1のみ(ポリ乳酸のみ)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であり、b*値も良好な値であったが、、捲縮斑が極めて多く、品位の劣った捲縮糸であった。カーペットについては、光沢度、バルキー性および風合いともにまずまずであったが、耐摩耗性と耐久性が極めて悪かった。
(比較例2)
ポリ乳酸P1:ポリ乳酸P2=98.7:1.3となるようにチップブレンド(EBAは0.05wt%)したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であり、b*値も良好な値であったが、、捲縮斑が極めて多く、品位の劣った捲縮糸であった。カーペットについては、光沢度、バルキー性および風合いともにまずまずであったが、耐摩耗性が極めて悪かった。
(比較例3)
ポリ乳酸P3のみ(EBAは7wt%)を用い、口金の細孔を180ホールとしたこと以外は実施例1と同様にして1,500dtex、180フィラメントのポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であり、捲縮斑も少なかったが、b*値が大きく、黄色着色により品位の劣った捲縮糸であった。また、カーペットについては、耐摩耗性は非常に良好であったが、染色斑が極めて多く、品位に劣るものであった。
(比較例4)
ポリ乳酸P1:ポリ乳酸P5=75:25となるようにチップブレンド(SAは1wt%)したこと以外は、実施例1と同様にして、ポリ乳酸捲縮糸およびカーペットを得た。得られた捲縮糸の物性およびカーペットの評価結果を表1に示す。捲縮糸は強度、伸度、沸収および捲縮伸張率のいずれの物性も良好であったが、捲縮斑が極めて多く、またb*値が高く、品位の劣った捲縮糸であった。カーペットについては、光沢度、バルキー性および風合いともにまずまずであったが、耐摩耗性が極めて悪かった。これによって、脂肪酸モノアミドであるSAは、ポリ乳酸繊維に対する摩擦係数低減の効果が少ない上に、黄色着色を引き起こすことがわかった。
【表1】
【発明の効果】
本発明によれば、耐摩耗性に優れ、かつ品位の高いカーペット用ポリ乳酸捲縮糸を得ることができ、ポリ乳酸繊維の用途展開幅を大きく拡大することができる。また、本発明のポリ乳酸捲縮糸は滑り性に優れているため、これを用いたカーペットは、その表面を荷重によって圧縮した際にも、繊維間でのからまりやひっかかりが極めて少ないため、荷重を取り除いた後には、速やかに元の状態に回復するという優れた特徴を有するものとなる。また、この効果は長期間でも持続するため、カーペットに繰り返しの荷重を掛けても捲縮糸がへたることがなく、カーペット製品としての良好な品位を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸を構成する単繊維の断面形状を例示する模式図である。
Claims (3)
- ポリ乳酸繊維からなり、脂肪酸ビスアミドおよび/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5wt%含有することを特徴とするカーペット用ポリ乳酸捲縮糸。
- 捲縮伸張率が3〜35%、単繊維繊度が3〜35dtex、かつ横断面異形度が1.1〜8であることを特徴とする請求項1記載のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸。
- 請求項1または2記載のカーペット用ポリ乳酸捲縮糸を少なくとも一部に用いてなるカーペット。
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