JP4546450B2 - ポリ乳酸繊維 - Google Patents

ポリ乳酸繊維 Download PDF

Info

Publication number
JP4546450B2
JP4546450B2 JP2006355069A JP2006355069A JP4546450B2 JP 4546450 B2 JP4546450 B2 JP 4546450B2 JP 2006355069 A JP2006355069 A JP 2006355069A JP 2006355069 A JP2006355069 A JP 2006355069A JP 4546450 B2 JP4546450 B2 JP 4546450B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polylactic acid
fiber
metallic silicon
acid
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006355069A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008163518A (ja
Inventor
建 下ノ村
清二 阿部
幸治 角本
武徳 土門
健史 千塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP2006355069A priority Critical patent/JP4546450B2/ja
Publication of JP2008163518A publication Critical patent/JP2008163518A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4546450B2 publication Critical patent/JP4546450B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)

Description

本発明は、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸を少なくとも一成分として含有してなる繊維であって、耐摩耗性に優れたポリ乳酸繊維に関するものである。
近年、ポリ乳酸繊維は、一般衣料用途をはじめとして、カーテン、カーペット等のインテリア用途、車両内装用途等の様々な用途へ展開されている。中でも生分解性が必要とされる農業資材や土木資材といった産業資材用途への展開が最も期待されている。
しかしながら、ポリ乳酸繊維は表面摩擦係数が高いために、耐摩耗性が悪いという欠点があり、産業資材用途の中でも耐摩耗性や耐屈曲摩耗性、耐擦過性、摺動性が要求される用途への展開は、十分には進んでいなかった。例えば、建設現場で使用される安全ネットや河川、港湾等の埋め立て護岸工事の際に中に石等を詰めて使用されるボトムフィルターのようなネット状袋材といった製網加工を施す用途においては、編組織が複雑であるため、製網加工工程で編地にかかる負荷や摩擦は、一直線方向のものだけでなく多方向からも複雑にかかるものとなる。このため、加工工程において毛羽立ちや断糸、白化等が生じるという欠点があった。この問題を解消するためには、加工速度を低下させることが必要となり、このため操業性が悪くなるという問題があった。
また、これら繊維製品の使用時においては、製品の内部では中に詰めた石が流動することによって生じる摩擦や衝撃を受け、一方製品の外部では流石や流木等による摩擦や衝撃を受けることとなる。このため、製品の内部と外部に繰り返しかかる多方向からの負荷によって毛羽が発生したり、繊維が擦り切れたりするなど、耐久性にも問題があった。
さらに、ポリ乳酸繊維の表面摩擦係数が高いという問題は、上記のような繊維製品にした際の耐久性の問題や加工時の問題だけに留まらず、繊維の製造時にも影響を及ぼしている。例えば、溶融紡糸時には、通常、繊維が1000〜7000m/分という高速で走行するため、糸とガイド類との間の摩擦が大きくなることにより毛羽や糸切れが発生しやすい。また、延伸工程では、糸がガイド類やローラに巻き付いて糸切れが発生しやすくなる。さらに、捲縮加工工程、特に仮撚工程では、糸とツイスターとの間の摩擦力が過大となるため、糸切れが頻発し、実質的に加工困難となることもある。加えて、製織、製編の際には、糸と金属との摩擦だけでなく、糸と糸との摩擦により、毛羽の発生が著しく、工程通過性および布帛の品位が大きく低下するという問題がある。
特許文献1には、耐摩耗性や工程通過性を向上させたポリ乳酸繊維として、脂肪酸ビスアミド及び/またはアルキル置換型の脂肪酸モノアミドを繊維全体に対して0.1〜5.0質量%含有させたポリ乳酸が記載されている。そして、溶融紡糸した繊維に、脂肪酸エステル、多加アルコールエステル、エーテルエステル、シリコーン、鉱物油から選ばれる平滑剤を少なくとも1種類含有する紡糸油剤を付与する製造方法が記載されている。
しかしながら、このポリ乳酸繊維においても、摩擦抵抗を十分に低下させることができず、延伸時に多量の毛羽が発生し、紡糸、加工工程における工程通過性、製品品位の低下を抑制することができなかった。
また、特許文献2には、製糸から製編織工程までの工程安定性に優れた生分解性ポリエステル繊維として、特定の機能付与剤を0.1〜30重量%含有し、潤滑剤及び界面活性剤を合計で70質量%以上含有し、かつ油性指数が0.04〜0.35の範囲内にある油剤を繊維表面に付与したポリエステル繊維が記載されている。特許文献3には、繊維表面に、ポリオルガノシロキサンおよび/または鉱物油を50〜98重量%、ポリエーテル変性ポリオルガノシロキサンおよび/またはアミノ変性ポリオルガノシロキサンを1〜10重量%、炭素数8〜18のアルコールにエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドを0〜10モル付加した化合物の部分リン酸エステル塩を1〜10重量%含有する油剤を付与することにより、摩擦係数を下げた生分解性のポリエステル繊維が記載されている。
しかしながら、これらの繊維はいずれも耐摩耗性の効果を発現させるため、繊維表面に特定の油剤を付与することによるものであるため、油剤の脱落により耐摩耗性の効果が減少するという問題があった。また、特定の油剤を付与したものであるため、延伸時等に高温で熱処理した際にローラ上で発煙が生じることがあり、作業環境を著しく低下させるという問題がある。
また、引用文献4では、ポリエステルモノフィラメントの耐摩耗性を向上させるものとして、金属粒子をポリエステル中に添加させたものが記載されている。しかしながら、このようなモノフィラメントでは、耐摩耗性はある程度改善されるものの、紡糸、延伸時や加工時にローラ表面等の接触部分が摩耗するといった問題点があった。さらには、マルチフィラメントのような単糸繊度の細いものはノズルパックの昇圧や金属粒子の分散性等の問題により製造が困難であった。
特開平2004−091968号公報 特開2003−138485号公報 特開2005−200793号公報 特開平3−76813号公報
本発明は、上記のような問題点を解決し、耐摩耗性に優れたポリ乳酸繊維であって、耐摩耗性向上効果の持続性に優れ、紡糸、延伸工程のみならず、各種の加工工程及び製編織工程においても工程通過性に優れ、操業性よく得ることができるポリ乳酸繊維を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、以下の構成を要旨とする。
(a)下記式[1]で示されるメタリックシリコンを含有したポリ乳酸を含んでなる繊維であって、繊維質量に対してメタリックシリコンを2.5〜6.0質量%含有することを特徴とするポリ乳酸繊維。
(ただし、式[1]中のMは、金属原子を示す。また、R〜Rは炭素数が1〜10のアルキル基またはアルケニル基である。nは6〜100、式[1]の分子量は900〜15000である。)
(b)メタリックシリコンが下記式[2]で示されるジメチルポリシランのホウ素化合物であることを特徴とする(a)記載のポリ乳酸繊維。
(ただし、式[2]中のBは、ホウ素原子を示す。また、Rはメチル基である。nは6〜100、式[2]の分子量は900〜15000である。)
本発明のポリ乳酸繊維は、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸を少なくとも一部に用いるものであるため、耐摩耗性に優れ、かつ耐摩耗性向上効果の持続性に優れている。また、紡糸、延伸工程のみならず、各種の加工工程及び製編織工程においても工程通過性に優れ、操業性よく得ることが可能となる。このため、衣料用途や産業資材、土木用途等の様々な分野において好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリ乳酸繊維は、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸を少なくとも一成分として含有してなる繊維であって、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸のみからなる単一成分型の繊維であっても、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸とメタリックシリコンンを含まない他の樹脂成分とからなる複合型の繊維(複合繊維)であってもよい。
本発明におけるメタリックシリコンを含有するポリ乳酸としては、ポリ−D−乳酸、ポリ−L−乳酸、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、あるいはこれらのブレンド体や、L−乳酸とD−乳酸の混合物(ステレオコンプレックス)が挙げられる。本発明におけるポリ乳酸と共重合させるヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。これらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸またはグリコール酸が微生物分解性能および低コストの点から好ましい。
本発明におけるポリ乳酸としては、ポリ乳酸中のL−乳酸の含有割合(共重合割合及び/又は混合割合)が85.0〜99.5モル%であるものが好ましい。L−乳酸の比率は、耐熱性に影響する要因であるため、L−乳酸の含有割合が85.0モル%未満の場合、得られる繊維は、融点が低く耐熱性の劣ったものとなり、製糸性も悪化し、熱延伸がし難くなるため好ましくない。また、L−乳酸の含有割合が99.5モル%を超える場合、得られる繊維の結晶化温度が高くなるため、分解速度が低くなり、生分解性に劣ったものとなるため好ましくない。
本発明におけるポリ乳酸の製造方法としては、L−乳酸及び/又はD−乳酸を原料として、一旦環状二量体であるラクチドを生成させ、その後開環重合を行う二段階のラクチド法と、L−乳酸及び/またはD−乳酸を原料として溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が知られているが、本発明で用いられるポリ乳酸は、いずれの製法によって得られたポリ乳酸であってもよい。
また、本発明におけるポリ乳酸の数平均分子量としては、強度等の諸特性を良好にするために、5万以上であることが好ましく、より好ましくは10万以上であり、さらに好ましくは20万以上である。ここで、数平均分子量が5万未満である場合には、繊維の強伸度特性が低下するため好ましくない。一方、数平均分子量が30万を超えると、ポリ乳酸特有の生分解性能を損なうこととなるため好ましくない。
本発明のポリ乳酸繊維としては、メタリックシリコンを2.5〜6.0質量%含有していることが必要であり、3.0〜5.0質量%含有していることが好ましい。メタリックシリコンの含有量が2.5質量%未満である場合、得られる繊維の耐摩耗性向上効果が不十分となる。一方、6.0質量%を超える場合、ポリ乳酸の溶融流動性が低下し、紡糸、延伸、巻き取り時に糸切れ等が発生し操業性が悪化するとともに、強伸度等の機械的特性も劣るものとなる。
本発明におけるメタリックシリコンとしては、下記式[1]で示されるようなジアルキルポリシラン又はジアルケニルポリシランの金属錯体である。
ここで、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロキル基、n−ブタン基、イソブタン基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノナン基、デカン基などが挙げられる。また、アルケニル基としては、炭素数が2〜10個からなり不飽和基を1〜2個含んだアルケニル基などが挙げられる。ここでポリシランに共有結合しているアルキル基及び/又はアルケニル基は1種類であっても2種類以上であってもよい。また、金属錯体として含まれる金属としては、硼素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウムなどが挙げられる。
このうち、本発明におけるメタリックシリコンとしては、下記式[2]で示されるジメチルポリシランのホウ素化合物であることが、耐摩耗性や耐摩耗性向上効果の持続性並びに操業性を効果的に発現できる点で好ましい。
(ただし、式[2]中のBは、ホウ素原子を示す。また、Rはメチル基である。nは6〜100、式[2]の分子量は900〜15000である。)
本発明において、メタリックシリコンをポリ乳酸繊維に含有させる方法としては、ポリ乳酸の重合から紡糸工程までの任意の段階で添加、混合させる方法が選択できる。また、予めポリ乳酸中にメタリックシリコンを高濃度に含有させたマスターチップを製造しておき、所定の濃度になるように、紡糸時に当該マスターチップとメタリックシリコンを含有しないポリ乳酸とを混合してもよい。
また、本発明のポリ乳酸繊維が複合繊維である場合、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸とともに用いる他の樹脂成分としては、熱可塑性樹脂であれば特に限定するものではないが、メタリックシリコンを含有しないポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステル、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルとしては、共重合成分としてイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸のようなジカルボン酸成分、さらに1,6−ヘキサジオール、シクロヘキサンジメタノールのようなジオール成分を含んでいてもよい。
また、ポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン12、ナイロン46等が挙げられる。
本発明のポリ乳酸繊維が単繊維の場合、その断面形状としては、丸断面の他、異形断面、中空断面でもよく、また、複合繊維の場合、その横断面構造は芯鞘型や貼り合わせ型のほか、並列型(サイドバイサイド)、多重並列型(縞状)、分割型、多層型、放射状型、海島型等の複合断面でもよい。また、上記のいずれの横断面構造の場合においても、少なくとも繊維表面の一部にメタリックシリコンを含有するポリ乳酸成分を露出させた形状とすることが好ましい。
本発明のポリ乳酸繊維が上記のような複合繊維の形態の場合、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸が、当該複合繊維中に10質量%以上100質量%未満含まれていることが好ましい。メタリックシリコンを含有するポリ乳酸が10質量%未満の場合、得られる複合繊維において充分な耐摩耗性の効果が得られない傾向となり好ましくない。因みに、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸が100質量%含有されている複合繊維は、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸のみからなる単繊維と同じとなる。また、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸が0質量%含有されている複合繊維は、本発明におけるメタリックシリコンを含有しない樹脂からなる単繊維又は複合繊維と同じこととなる。
本発明のポリ乳酸繊維は、複数本の単糸からなるマルチフィラメントであってもよいし、単糸1本からなるモノフィラメントであってもよい。ここで、ポリ乳酸繊維がマルチフィラメントの場合としては、単糸繊度が1〜200dtexであることが好ましく、総繊度は36〜5000dtexであることが好ましく、中でも36〜1500dtexであることがより好ましい。また、ポリ乳酸繊維がモノフィラメントの場合としては、繊度を150〜5000dtexとすることが好ましい。 さらに、本発明のポリ乳酸繊維は、長繊維としても短繊維として用いてもよい。
なお、本発明のポリ乳酸繊維においては、その効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて、例えば熱安定剤、結晶核剤、艶消し剤、顔料、耐光剤、耐候剤、酸化防止剤、抗菌剤、香料、可塑剤、染料、界面活性剤、表面改質剤、各種無機及び有機電解質、微粉体、難燃剤等の各種添加剤を添加することができる。また、得られる繊維の結節強度を高めるためとして脂肪酸アミド類、例えばメタキシリレンビスステアリルアミド、メタキシリレンビスオレイルアミド、キシレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリン酸アミド等を添加することができる。
次に、本発明のポリ乳酸繊維(マルチフィラメント、長繊維)の製造方法についてその概要を説明する。例えば単繊維の場合、まず通常の方法により、メタリックシリコンを予め高濃度に含有するポリ乳酸チップ(マスターチップ)を製造し、紡糸工程において、メタリックシリコンの濃度が所定の範囲となるように、マスターチップとポリ乳酸チップとを適正に溶融混合し紡糸することで目的とする糸条を得る。あるいは、メタリックシリコンとポリ乳酸チップとを所定のメタリックシリコンの含有量となるように直接溶融混合し紡糸することで目的とする糸条を得る。また、複合繊維とする場合には、メタリックシリコンを含有するポリ乳酸と他の樹脂成分とから、通常の複合紡糸装置を用いて溶融紡糸し目的とする糸条を得る。続いて、得られた糸条を冷却し、油剤を付与しあるいは付与せず、一旦未延伸糸として巻き取った後、又は一旦捲き取ることなく引き続いて延伸を施す。このとき、延伸倍率は4〜8倍とし、ローラ間で加熱ローラを用いて、135〜155℃での熱延伸、巻取り操作を連続して行い、目的とするポリ乳酸繊維を得る。
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中等に記された測定及び評価は以下のように行った。
(1)引張強伸度(cN/dtex、%)
島津製作所社製オートグラフ AG−1型を用い、対象となる繊維の試料長25cm、引張速度300mm/min、初荷重が繊度の1/20の条件で測定した。
(2)耐屈曲摩耗性(回)
得られたマルチフィラメントに150gの荷重をかけ、SIANOR♯1600のサンドペーパーを巻きつけた直径20mmの丸断面金属棒に対し、90度の角度で接触させ、トラバース速度6.7mm/min、ストローク速度35回/minの速度条件で往復摩擦させ、マルチフィラメントが破断に至るまでの回数を測定した。(300回以上で合格とした)
(実施例1)
実施例1で使用するポリ乳酸としては、融点170℃、融解熱38J/g、L−乳酸/D−乳酸のモル比が98.5/1.5(L−乳酸の含有量が98.5モル%)、数平均分子量8.5万のものを用いた。上記ポリ乳酸に対しメタリックシリコン(CILO CHEM CO.,LTD製:ジメチルポリシランのホウ素化合物)を10質量%含有させたマスターチップ(CILO CHEM CO.,LTD製 Neo−PLA LotNo.6327E1−3100)と、メタリックシリコンを含有しない上記ポリ乳酸とを、繊維質量に対してメタリックシリコンが3.0質量%となるようにエクストルーダー型溶融紡糸機に供給し、溶融混練した。紡糸口金(面径230mmφ、孔径0.35mmφ、孔数140ホール)より、紡糸温度225℃で溶融紡糸した後、糸条を冷却し、油剤を付与した。続いて一旦捲き取ることなく、150℃に加熱した熱ローラ間で延伸倍率が5.4倍になるように熱延伸を施し、2300m/minで捲き取り、総繊度1100dtex、140フィラメントのマルチフィラメントを得た。
(実施例2〜3、比較例1〜3)
実施例1におけるメタリックシリコンの繊維中の含有量を表1に示すように種々変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜3、比較例1〜3にあたる1100dtex、140フィラメントのマルチフィラメントを得た。
(実施例4)
実施例4で使用するポリ乳酸としては、融点170℃、融解熱38J/g、L−乳酸/D−乳酸のモル比が98.5/1.5(L−乳酸の含有量が98.5モル%)、数平均分子量8.5万のものを用いた。芯成分として上記ポリ乳酸のチップを、鞘成分として、メタリックシリコンを10%含有するポリ乳酸からなるマスターチップとポリ乳酸チップとを、鞘成分質量に対してメタリックシリコンが3.0質量%となるように、エクストルーダー型複合溶融紡糸装置に各々供給して、溶融紡糸を行った。紡糸口金(面径230mmφ、孔径0.35mmφ、孔数140ホール)より、紡糸温度225℃で溶融紡糸した後、糸条を冷却し、油剤を付与した。続いて一旦捲き取ることなく、150℃に加熱した熱ローラ間で延伸倍率が5.4倍になるように熱延伸を施し、2300m/minで捲き取り、総繊度1100dtex、140フィラメントの芯鞘型複合マルチフィラメントを得た。
(実施例5〜6、比較例4〜5)
実施例4における繊維の鞘成分中のメタリックシリコンの含有量を表1に示すように種々変更した以外は、実施例4と同様にして、実施例5〜6、比較例4〜5にあたる1100dtex、140フィラメントの芯鞘型複合マルチフィラメントを得た。
実施例1〜6、比較例1〜5で得られたマルチフィラメントの特性値及び評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜6で得られたマルチフィラメント及び撚糸は、耐摩耗性に優れ、強度、伸度も良好なものであり、かつ紡糸時及び延伸時ともに操業性よく得ることができた。
一方、比較例1のマルチフィラメントは、メタリックシリコンを含有していなかったため、耐摩耗性に劣るものであった。また、比較例2、4のマルチフィラメントは、メタリックシリコンの含有量が少なかったため、耐摩耗性に劣るものであった。比較例3、5では、メタリックシリコンの含有量が多すぎたため、ポリ乳酸の流動性が低下したことにより糸切れ等が多発し、紡糸時の操業性が著しく悪化し、繊維を得ることができなかった。


Claims (2)

  1. 下記式[1]で示されるメタリックシリコンを含有したポリ乳酸を含んでなる繊維であって、繊維質量に対してメタリックシリコンを2.5〜6.0質量%含有することを特徴とするポリ乳酸繊維。


    (ただし、式[1]中のMは、金属原子を示す。また、R〜Rは炭素数が1〜10のアルキル基またはアルケニル基である。nは6〜100、式[1]の分子量は900〜15000である。)
  2. メタリックシリコンが下記式[2]で示されるジメチルポリシランのホウ素化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸繊維。


    (ただし、式[2]中のBは、ホウ素原子を示す。また、Rはメチル基である。nは6〜100、式[2]の分子量は900〜15000である。)

























JP2006355069A 2006-12-28 2006-12-28 ポリ乳酸繊維 Expired - Fee Related JP4546450B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006355069A JP4546450B2 (ja) 2006-12-28 2006-12-28 ポリ乳酸繊維

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006355069A JP4546450B2 (ja) 2006-12-28 2006-12-28 ポリ乳酸繊維

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008163518A JP2008163518A (ja) 2008-07-17
JP4546450B2 true JP4546450B2 (ja) 2010-09-15

Family

ID=39693347

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006355069A Expired - Fee Related JP4546450B2 (ja) 2006-12-28 2006-12-28 ポリ乳酸繊維

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4546450B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011058121A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Teijin Fibers Ltd ポリ乳酸繊維
RS57590B1 (sr) * 2014-04-07 2018-11-30 Trevira Gmbh Polimerno vlakno poboljšane disperzibilnosti

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003166124A (ja) * 2001-11-22 2003-06-13 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 難燃性ポリエステル系繊維及びそれを用いた人工毛髪
JP2004238754A (ja) * 2003-02-05 2004-08-26 Toray Ind Inc ポリエステル短繊維
JP2006233406A (ja) * 2005-01-28 2006-09-07 Toray Ind Inc ポリエステル系繊維構造物

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003166124A (ja) * 2001-11-22 2003-06-13 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 難燃性ポリエステル系繊維及びそれを用いた人工毛髪
JP2004238754A (ja) * 2003-02-05 2004-08-26 Toray Ind Inc ポリエステル短繊維
JP2006233406A (ja) * 2005-01-28 2006-09-07 Toray Ind Inc ポリエステル系繊維構造物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008163518A (ja) 2008-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4591206B2 (ja) 長繊維不織布
JP4498001B2 (ja) ポリエステル複合繊維
JP6708813B2 (ja) ポリ乳酸樹脂繊維、ポリ乳酸長繊維、ポリ乳酸短繊維およびポリ乳酸繊維
JP4872339B2 (ja) 芯鞘型複合繊維、捲縮糸、およびそれらを用いてなる繊維構造体
WO2015164447A2 (en) Fibers comprising an aliphatic polyester blend, and yarns, tows, and fabrics formed therefrom
JP2011179143A (ja) ポリ乳酸極細繊維
JP4773290B2 (ja) ポリ乳酸複合繊維
JP2006336125A (ja) 嵩高性を有する芯鞘複合繊維とその製造方法
JP4546450B2 (ja) ポリ乳酸繊維
JP2008025059A (ja) ポリ乳酸繊維
JP2007303012A (ja) タフテッドカーペット用基布およびこの基布を用いたタフテッドカーペット
JP2007107122A (ja) ポリ乳酸繊維
JP4335987B2 (ja) ポリ乳酸系マルチフィラメントの製造方法
JP2004277931A (ja) ポリ乳酸繊維および、それを用いた繊維構造物
JP4114443B2 (ja) 耐摩耗性に優れたポリ乳酸繊維およびその製造方法
JP4604797B2 (ja) ポリ乳酸繊維パッケージ、および製造方法
JP4745091B2 (ja) 分繊用生分解性ポリエステル繊維
JP2008297680A (ja) 捲縮糸及びインテリア製品
JP4075611B2 (ja) カーペット用ポリ乳酸捲縮糸
JP4626163B2 (ja) ポリ乳酸繊維及びそれを用いた繊維製品並びにその製造方法
JP2008057057A (ja) ポリ乳酸系繊維およびポリ乳酸系不織布
JP2005113343A (ja) ネット
WO2024048250A1 (ja) パイル布帛、及びその製造方法
JP2004204365A (ja) 寝装資材用織編物
JP4708851B2 (ja) ポリ乳酸繊維編織物とその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080609

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20091102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100615

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100701

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4546450

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees