JP3257578B2 - 電子写真用磁性キャリア - Google Patents

電子写真用磁性キャリア

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JP3257578B2 JP26624994A JP26624994A JP3257578B2 JP 3257578 B2 JP3257578 B2 JP 3257578B2 JP 26624994 A JP26624994 A JP 26624994A JP 26624994 A JP26624994 A JP 26624994A JP 3257578 B2 JP3257578 B2 JP 3257578B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、嵩密度が小さく、流動
性が優れており、しかも適当な飽和磁化値、殊に20〜
90emu/g程度の飽和磁化値を有すると共に、適度
な比重(真比重−以下同じ−)、殊に2.5〜5.2程
度の比重と比較的高い電気抵抗値、殊に1012〜1014
Ωcm程度の電気抵抗値とを有する球状複合体粒子粉末
からなる電子写真用磁性キャリアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知の通り、電子写真法においては、セ
レン、OPC(有機半導体)、a−Si等の光導電性物
質を感光体として用い、種々の手段により静電気的潜像
を形成し、この潜像に磁気ブラシ現像法等を用いて、潜
像の極性と逆に帯電させたトナーを静電気力により付着
させ、顕像化する方式が採用されている。
【0003】この現像工程においては、キャリアと呼ば
れる担体粒子が使用され、摩擦帯電により適量の正又は
負の電気量をトナーに付与すると共に磁気力を利用する
ことによって磁石を内蔵する現像スリーブを介して、潜
像を形成した感光体表面付近の現像領域にトナーを搬送
している。
【0004】近年、この電子写真法は複写機やプリンタ
ーなどに広く用いられており、細線や小文字、写真ある
いはカラー原稿等様々な対象に対応できることが要求さ
れている。さらに高画質化や高品位化、高速化及び連続
化等についても、合わせて要求されており、今後も益々
これらの要求は大きくなるものと思われる。
【0005】従来、キャリアとしては、鉄粉キャリア、
フェライトキャリアあるいはバインダー型キャリア(磁
性体微粒子を樹脂中に分散させた複合体粒子)等が開発
され、実用化されている。
【0006】鉄粉キャリアには、形状がフレーク状、ス
ポンジ状、球状のものがあるが、いずれも比重が7〜8
程度であって、嵩密度も3g/cm3 〜4g/cm3
大きいために、現像機中で攪拌するためには大きな駆動
力を必要とし、機械的な損耗が多く、トナーのスペント
化、キャリア自体の帯電性劣化や感光体の損傷を招きや
すい。
【0007】フェライトキャリアは球状であって比重は
4.5〜5.5程度であって、嵩密度は2g/cm3
3g/cm3 程度であるため、鉄粉キャリアの欠点であ
る重さをある程度解消し得るが、まだ十分ではない。
【0008】バインダー型キャリアは、2.5g/cm
3 程度以下と嵩密度が小さいものであると共に、粒子に
形状的な歪みが少なく、粒子強度が高い傾向にある球状
にすることが比較的容易であるため、流動性に優れてい
るという特徴を有し、その粒子サイズも広範囲に制御で
きることから、現像スリーブ又はスリーブ内の磁石の回
転数が大きい高速複写機や汎用コンピュータの高速レー
ザビームプリンタ等に最も期待されている。
【0009】ところで、バインダ型キャリアに使用され
る樹脂としては、大別して、ビニル系、スチレン系、ア
クリル系樹脂などの熱可塑性樹脂とフェノール系樹脂、
メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂とが
知られているが、一般的には粒状化が容易な熱可塑性樹
脂が用いられており、熱硬化性樹脂は球状化が困難であ
る為実用上問題があるとされている。
【0010】一方、熱硬化性樹脂は、熱可塑性樹脂に比
べ、耐久性、耐衝撃性、耐熱性に優れているので、これ
らの利点を生かした無機物粒子と熱硬化性樹脂とからな
るバインダ型キャリア(複合体粒子粉末)が強く要求さ
れており、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を、無機
物粒子として強磁性粉末を用いた複合体粒子が知られて
いる(特開平2−220068号公報、特開平4−10
0850号公報)が、バインダ型キャリアに対する高性
能化の要求はとどまるところがなく、上記諸特性に加え
て更に、磁化値、比重、電気抵抗値の各特性が適当に制
御されていることが要求されている。
【0011】キャリアとしては第一に、適当な飽和磁化
値、殊に20〜90emu/g程度の飽和磁化値を有す
ることが求められる。すなわち、キャリアの飽和磁化の
値を20〜90emu/gの範囲とすることで良好な画
像が得られる。磁化値を20emu/g以上とすること
でスリーブ上のマグネットブラシの所謂『穂』を形成し
ているキャリアが磁気力の低いことに起因して『穂』か
ら離れて感光体に飛んでいき、感光体上に付着するいわ
ゆるキャリア付着が生じ難くなる。また、90emu/
g以下とすることで磁性トナーにかかる機械的な力を抑
え、磁性トナーの破砕を防ぐことができる。したがっ
て、キャリアの飽和磁化は20〜90emu/gの範囲
であることが求められている。
【0012】キャリアとしては第二に、トナーを速く帯
電させることが要求される。すなわちトナーとの混合性
を良くすることが重要であり、そのためには適度な比
重、殊に2.5〜5.2程度の比重を有すること等が要
求される。キャリアの比重を大きくしたほうがトナーと
の混合性そのものには有利ではあるが、一方、トナーに
ダメージを与えないことも要求され、所謂スペント化を
起こさないようにすることや、現像機を小さくかつ軽く
するためには、キャリアの比重は小さいほうが望まし
い。したがって適度な比重、殊に2.5〜5.2程度の
比重であることが求められている。
【0013】そして、キャリアに求められる第三のポイ
ントは、比較的高い電気抵抗値、殊に1012〜1014Ω
cm程度の電気抵抗値を有することである。すなわち、
鉄粉キャリアのように体積固有抵抗値が106 Ωcm以
下と低い場合、スリーブからの電荷注入によりキャリア
が感光体の画像部へ付着したり、潜像電荷がキャリアを
介して逃げ、潜像の乱れや画像の欠損等を生じたりする
等の問題がある。
【0014】これらの問題を解決するために、キャリア
粒子表面に樹脂を被覆し、キャリアの電気抵抗を高くす
ることが提案(特開昭47−13954号公報、特開昭
57−660号公報)されている。
【0015】ところが、これらの樹脂は絶縁体であるた
めに、キャリア自体の電気抵抗が1014Ωcmよりも高
くなりすぎて、キャリア電荷がリークしにくくなり、さ
らにトナーの帯電量も高くなり、その結果得られる画像
はエッジの効いた画になるが、反面、大面積の画像面で
は中央部の画像濃度が非常に薄くなるといった問題が生
じる。
【0016】これらのことから、比較的高い電気抵抗値
が要求され、具体的には体積固有抵抗値で1012〜10
14Ωcm程度が求められている。
【0017】従来、バインダ型キャリアの電気抵抗値を
適度なものにしようとする試みがいくつかなされてい
る。例えば、磁性粉分散型キャリアの少なくとも一部
が、予め無機酸化物微粉末を添加してキャリア表面に付
着させたキャリア(特開平4−124677号公報)、
磁性微粒子を分散させたキャリアの表面に体積抵抗が1
12Ωcm以下である導電性微粒子が添加されているキ
ャリア(特開平5−273789号公報)などが提案さ
れている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】嵩密度が小さく、流動
性が優れており、しかも、適当な飽和磁化値、殊に20
〜90emu/g程度の飽和磁化値を有するとともに、
適度な比重、殊に2.5〜5.2程度の比重と比較的高
い電気抵抗値、殊に1012〜1014Ωcm程度の電気抵
抗値とを有する球状複合体粒子粉末は、現在最も要求さ
れているところであるが、このような磁性キャリアは未
だ提供されていない。
【0019】すなわち、前出特開平2−220068号
公報及び特開平4−100850号公報に記載の球形を
呈した強磁性粒子含有フェノール樹脂複合物粒子は、強
磁性粒子と非磁性粒子の粒径比による電気抵抗値の制御
を目的とするものではない。
【0020】また、前出特開平4−124677号公
報、特開平5−273789号公報に記載のキャリアも
同様に前記諸特性を十分満足するものとは言いがたいも
のである。
【0021】前出特開平4−124677号公報及び特
開平5−273789号公報に記載のキャリアは、強磁
性粒子を含む複合体粒子表面に無機酸化物微粉末を付着
させたものであって、該無機酸化物微粉末が樹脂マトリ
ックスに均一に分散した被覆層を有するものではなく、
機械的な衝撃で容易に剥離してしまうといった問題があ
る。
【0022】そこで、本発明は、嵩密度が小さく、流動
性が優れている球状複合体粒子粉末であって、適当な飽
和磁化値、殊に20〜90emu/g程度の飽和磁化値
を有すると共に、適当な比重、殊に2.5〜5.2程度
の比重と比較的高い電気抵抗値、殊に1012〜1014Ω
cm程度の電気抵抗値とを有する球状複合体粒子粉末か
らなる電子写真用磁性キャリアを提供することを技術的
課題とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
とおりの本発明によって達成できる。すなわち、本発明
は、強磁性鉄化合物粒子と電気抵抗値が10 10 Ωcm以
上である非磁性金属酸化物粒子とをフェノール樹脂をバ
インダとして結合してなる球状複合体芯粒子の粒子表面
に熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂から選ばれた1種又は
2種以上の樹脂からなる被覆層、必要により熱硬化性樹
脂及び熱可塑性樹脂から選ばれた1種又は2種以上の樹
脂中に非磁性金属酸化物粒子が含まれてなる被覆層を形
成してなる平均粒子径1〜1000μmの球状複合体粒
子からなる電子写真用磁性キャリアであって、前記球状
複合体芯粒子に含まれる強磁性鉄化合物粒子と非磁性金
属酸化物粒子との総量が80〜99重量%であり、且
つ、該強磁性鉄化合物粒子の平均粒径raと非磁性金属
酸化物粒子の平均粒径rbとの比rb/raが1.0を越
えることを特徴とする飽和磁化値が20〜90emu/
gであって比重が2.5〜5.2であって電気抵抗値が
10 12 〜10 14 Ωcmである電子写真用磁性キャリアで
ある。
【0024】以下、本発明を詳細に説明する。まず、本
発明に係る球状複合体粒子粉末について述べる。
【0025】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、平均
粒子径が1〜1000μmである。平均粒子径が1μm
未満の粒子は二次凝集しやすく、1000μmを越える
ものは機械的強度が弱く、さらに鮮明な画像を得ること
ができなくなる。特に、高画質を求める場合には20〜
200μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは30〜
100μmの範囲である。
【0026】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、強磁
性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子とを含み、強磁
性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子の総量が80〜
99重量%である。80重量%未満では樹脂の占める割
合が多くなってしまうため適度な比重が得られず、99
重量%を越えるとバインダが不足して十分な強度を有す
る複合体粒子が得られない。
【0027】さらに、非磁性金属酸化物粒子の含有量は
強磁性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子との総量に
対し、5〜70重量%の範囲である。好ましくは10〜
70重量%の範囲である。5重量%未満の場合には、適
度に高い電気抵抗値が得られない。また、70重量%を
越える場合には、十分な磁化値が得られないため好まし
くない。
【0028】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、下記
式で表される球形度が1.0〜1.4の範囲にあること
が望ましい。
【0029】球形度=l/w l:球状複合体粒子の平均長軸径 w:球状複合体粒子の平均短軸径
【0030】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、嵩密
度が2.5g/cm3 程度以下の範囲にあることが好ま
しい。より好ましくは2.0g/cm3 程度以下であ
る。
【0031】本発明に係る球状複合体粒子における被覆
層の量は、樹脂による被覆層の場合には、球状複合体芯
粒子100に対して0.1〜50wt%である。好まし
くは0.5〜20wt%である。また、樹脂中に非磁性
金属酸化物粒子が含まれてなる被覆層の場合には、球状
複合体芯粒子100に対して樹脂が0.1〜50wt%
であって、非磁性金属酸化物粒子が0.1〜10wt%
であり、その総量は0.2〜50wt%である。好まし
くは樹脂が0.5〜20wt%であって、非磁性金属酸
化物粒子が0.2〜5wt%であり、その総量は0.7
〜20wt%である。被覆層の総量がそれぞれの下限値
未満の場合には、十分な被覆層の厚みが得られない。ま
た、50wt%を越える場合には、電気抵抗値が高くな
りすぎる。
【0032】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、球状
複合体芯粒子中における強磁性鉄化合物粒子の平均粒径
a と非磁性金属酸化物粒子の平均粒径rb との比rb
/ra は、1.0を越えている。好ましくは1.2〜
5.0の範囲である。1.0以下の場合には、強磁性鉄
化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子との大きさに差がな
くなるか又は強磁性鉄化合物粒子のほうがむしろ相対的
に大きくなるため、表面に占める強磁性鉄化合物粒子の
比率が増加することになり、樹脂による被覆層の形成を
行なう前の球状複合体芯粒子の電気抵抗値が1010Ωc
m未満と低くなってしまい、比較的高い電気抵抗値にす
るためには樹脂による被覆層の厚みを厚くすることが必
要となる。なお、均一な混合のためには比rb /ra
5.0以下であるのが好ましい。
【0033】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、飽和
磁化値が20〜90emu/gである。好ましくは30
〜75emu/gである。飽和磁化値が90emu/g
を越える場合には、キャリアの磁力による搬送性が増大
し、磁性トナーにかかる機械的な力が大きくなって磁性
トナーが破砕されるおそれがある。また、飽和磁化値が
20emu/g未満の場合、現像剤の搬送中に現像スリ
ーブの表面よりキャリアが離脱し、感光体表面に付着し
て画像に欠陥を生ずる。
【0034】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、比重
が2.5〜5.2である。好ましくは2.5〜4.5で
ある。
【0035】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、電気
抵抗値が1012〜1014Ωcmである。1012Ωcm未
満の場合、静電潜像上の電荷がキャリアを介して流れて
しまい易くなり、画像が乱れる、または欠けたりし易く
なる。1014Ωcmを越える場合、キャリア電荷のリー
クが生じにくくなり、トナーの帯電量も高くなって、黒
ベタ部の中央で画像濃度が非常に薄くなるなどの問題が
生じる。
【0036】次に、前記の通りの本発明に係る球状複合
体粒子粉末の製造法について述べる。
【0037】本発明に用いる強磁性鉄化合物粒子粉末と
しては、マグネタイト、マグヘマイト等の強磁性酸化鉄
粒子粉末、鉄以外の金属(Mn,Ni,Zn,Mg,C
u等)を一種又は二種以上含有するスピネルフェライト
粒子粉末、バリウムフェライト等のマグネトプランバイ
ト型フェライト粒子粉末、表面に酸化被膜を有する鉄や
鉄合金の微粒子粉末を用いることができる。好ましくは
マグネタイト等の強磁性酸化鉄粒子粉末である。前記強
磁性鉄化合物粒子の粒径は、0.02〜5μmであるこ
とが望ましく、水性媒体中における分散と生成する球状
複合体粒子の強度を考慮すれば、0.05〜3μmであ
ることが好ましい。その形状は、粒状、球状、針状のい
ずれであってもよい。
【0038】本発明に用いる非磁性金属酸化物粒子粉末
としては、電気抵抗値が1010Ωcm以上、好ましくは
1012Ωcm以上のものであり、例えば、酸化チタン、
シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ヘマ
タイト、ゲーサイト及びイルメナイト等の微粒子粉末を
用いることができる。強磁性鉄化合物粒子との比重差が
あまりないもの、ヘマタイト、酸化亜鉛、酸化チタン等
がより好ましい。球状複合体芯粒子の製造に用いる該非
磁性金属酸化物粒子の粒径は、0.05〜10μmであ
ることが好ましく、水性媒体中における分散と生成する
複合体粒子の強度を考慮すれば、0.1〜5μmである
ことがより好ましい。一方、本発明における被覆層に用
いる該非磁性金属酸化物粒子粉末の粒径は、被覆層の厚
みを考慮すれば、1μm以下、好ましくは0.5μm以
下である。その形状は、粒状、球状、針状のいずれであ
ってもよい。
【0039】本発明に用いるフェノール類としては、フ
ェノール自体の他、m−クレゾール、p−tert−ブチル
フェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノー
ル、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類、及び
ベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子臭
素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等のフェノ
ール性水酸基を有する化合物が挙げられるが、この中で
フェノールが最も好ましい。フェノール類以外のものを
用いた場合には、粒子が生成し難かったり、粒子が生成
したとしても不定形状であったりすることがある。
【0040】本発明に用いるアルデヒド類としては、ホ
ルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルム
アルデヒド及びフルフラール等が挙げられるが、ホルム
アルデヒドが特に好ましい。
【0041】アルデヒド類のフェノール類に対するモル
比は、1〜4が好ましく、特に好ましくは1.2〜3で
ある。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1
より小さいと、粒子が生成し難かったり、生成したとし
ても樹脂の硬化が進行し難いために、生成する粒子の強
度が弱かったりする傾向があり、一方、アルデヒド類の
フェノール類に対するモル比が4よりも大きいと、反応
後に水性媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加
する傾向がある。
【0042】本発明に用いる塩基性触媒としては、通常
のレゾール樹脂製造に使用されているもの、例えば、ア
ンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルア
ミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミン等のア
ルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノ
ール類に対するモル比は、0.02〜0.3が好まし
い。
【0043】前記フェノール類とアルデヒド類を塩基性
触媒の存在下で反応させるに際し、共存させる強磁性鉄
化合物粒子粉末及び非磁性金属酸化物粒子粉末の量は、
フェノール類に対して重量で0.5〜200倍が好まし
い。さらに、生成する球状複合体粒子の強度を考慮する
と、4〜100倍であることがより好ましい。
【0044】本発明における強磁性鉄化合物粒子及び非
磁性金属酸化物粒子は、表面処理することなくそのまま
用いることができるが、あらかじめ親油化処理をしてお
いてもよい。なお、親油化処理がされていない強磁性鉄
化合物粒子及び非磁性金属酸化物粒子を用いる場合に
は、懸濁安定剤として、カルボキシメチルセルロース、
ポリビニルアルコール等の親水性有機化合物やフッ化カ
ルシウム等のフッ素化合物などを添加しておくことによ
り球形粒子が生成しやすくなる。
【0045】親油化処理は、強磁性鉄化合物粒子粉末等
にシラン系カップリング剤やチタネート系カップリング
剤等のカップリング剤を添加混合して被覆処理する方法
又は界面活性剤を含む水性溶媒中に強磁性鉄化合物粒子
等を分散させ、該粒子表面に界面活性剤を吸着させる方
法等がある。なお、強磁性鉄化合物粒子及び非磁性金属
酸化物粒子は同時に親油化処理してもよく、別々に処理
してもよい。また、どちらか一方にだけ親油化処理して
もよい。
【0046】シラン系カップリング剤としては、疎水性
基、アミノ基、エポキシ基を有するものがあり、疎水性
基を有するシラン系カップリング剤としては、ビニルト
リクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル・
トリス( β−メトキシ) シラン等がある。
【0047】アミノ基を有するシラン系カップリング剤
としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−β−(アミノエチル)─γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン等がある。
【0048】エポキシ基を有するシラン系カップリング
剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメト
キシシラン等がある。
【0049】チタネート系カップリング剤としては、イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロ
ピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソ
プロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネ
ート、等がある。
【0050】界面活性剤としては、市販の界面活性剤を
使用することができ、強磁性鉄化合物粒子、非磁性金属
酸化物粒子や該粒子表面に有する水酸基と結合が可能な
官能基を有するものが望ましく、イオン性で言えばカチ
オン性、あるいはアニオン性のものが好ましい。
【0051】上記いずれの処理方法によっても本発明の
目的を達成することができるが、フェノール樹脂との接
着性を考慮するとアミノ基、あるいはエポキシ基を有す
るシラン系カップリング剤による処理が好ましい。
【0052】本発明における反応は、水性媒体中で行わ
れるが、この場合の水仕込み量は、強磁性鉄化合物粒子
粉末及び非磁性金属酸化物粒子粉末の総量が原料全体に
占める割合である全固形分濃度が30〜95重量%にな
るようにすることが好ましく、特に、60〜90重量%
となるようにすることが好ましい。
【0053】反応は、まず、フェノール類、ホルマリン
類、水、強磁性鉄化合物粒子粉末及び非磁性金属酸化物
粒子粉末を反応釜中に仕込み、十分に攪拌した後、塩基
性触媒を加えて攪拌しながら昇温し、反応温度を70〜
90℃に調整し、フェノール樹脂を硬化させる。この
時、球形度の高い球状複合体粒子を得るためにゆるやか
に昇温させることが望ましい。昇温速度は、好ましくは
0.5〜1.5℃/分、より好ましくは0.8〜1.2
℃/分である。
【0054】硬化後の反応物を40℃以下に冷却し、得
られた水分散液を濾過、遠心分離等の常法に従って固液
を分離した後、洗浄して乾燥することにより、強磁性鉄
化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子とをフェノール樹脂
をバインダとして結合してなる球状複合体芯粒子が得ら
れる。
【0055】本発明において被覆層の形成に用いる樹脂
としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂から選ばれた
1種又は2種以上の樹脂であり、より具体的には、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド
樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、ケイ素樹脂
及びフッ素樹脂等から選ばれた樹脂の1種又は2種以上
の樹脂である。殊に、球状複合体芯粒子がフェノール樹
脂を結合材樹脂として用いていることから密着性などの
点において、被覆層の形成においてもフェノール樹脂を
用いることが好ましい。
【0056】樹脂による被覆層の形成は、例えばスプレ
ードライヤーを用いて球状複合体粒子に樹脂を吹きつけ
る方法、ヘンシェルミキサー、ハイスピードミキサー等
を用いて球状複合体粒子と樹脂とを乾式混合する方法、
樹脂を含む溶剤中に球状複合体芯粒子を含浸する方法等
のいずれの方法であってもよい。
【0057】上記フェノール樹脂を含む溶剤中に球状複
合体芯粒子を含浸する方法により、球状複合体芯粒子の
粒子表面にフェノール樹脂による被覆層を形成する場合
について具体的に説明する。フェノール樹脂からなる被
覆層の形成は、フェノール類、ホルマリン類、水及び球
状複合体芯粒子粉末とを反応釜中に仕込み、充分に攪拌
した後、塩基性触媒を加えて攪拌しながら昇温し、反応
温度を70〜90℃に調整し、フェノール樹脂を硬化さ
せる。硬化後の反応物を40℃以下に冷却し、得られた
水分散液を濾過、遠心分離等の常法に従って固液を分離
した後、洗浄して乾燥することにより、粒子表面にフェ
ノール樹脂からなる被覆層が形成された球状複合体粒子
が得られる。
【0058】また、フェノール樹脂と非磁性金属酸化物
粒子とからなる被覆層の形成は、フェノール類と共に非
磁性金属酸化物粒子を添加する外は前記フェノール樹脂
からなる被覆層の形成と同様にして、フェノール樹脂と
非磁性金属酸化物粒子とからなる被覆層が形成された球
状複合体粒子が得られる。なお、該非磁性金属酸化物粒
子は親油化処理していてもよい。
【0059】特に、熱硬化性樹脂を被覆した場合には、
加熱処理、例えば100℃から350℃くらいの温度で
樹脂を十分に硬化させてやることが必要であり、さら
に、該球状複合体粒子に含まれる強磁性鉄化合物粒子の
酸化を防止するために、不活性雰囲気下、例えばヘリウ
ム、アルゴン、窒素等の不活性ガスを流しながら処理す
ることが望ましい。熱処理炉としては、固定式のもの
や、回転式のもの等のいずれの形式のものでもよいが、
粒子同士の凝集を防ぐためには、回転式のものが望まし
い。
【0060】
【作用】前述の通り、電子写真用磁性キャリアとして必
要な特性は、飽和磁化値、比重及び電気抵抗値の各特性
が適当に制御されていることである。従来、摩擦帯電性
の安定化のためにキャリア粒子表面を樹脂で被覆するこ
とが行われている。しかし、一般にバインダ型キャリア
は高い電気抵抗値を有するため、その表面にさらに絶縁
性の樹脂を被覆すると、キャリアとして電気抵抗値が1
14Ωcmを越えてしまい、キャリア電荷がリークしに
くくなり、さらにトナーの帯電量も高くなり、その結果
得られる画像濃度が非常に薄くなるなどの問題がおき
る。
【0061】また、強磁性粒子を含む複合体核粒子の表
面に無機微粒子を付着させるなどして電気抵抗値の制御
を行う試みなどが提案されているが、これらは付着させ
ているので構造上不安定なものであり、しかも複合体粒
子同士の接触面積がきわめて小さく、電気抵抗値の制御
には好ましいものとはいえない。
【0062】そこで、本発明者は、球状複合体芯粒子に
おいて、強磁性鉄化合物粒子の平均粒径ra と非磁性金
属酸化物粒子の平均粒径rb との比rb /ra が1.0
を越えるように強磁性鉄化合物粒子及び非磁性金属酸化
物粒子を選択することにより、フェノール樹脂をバイン
ダとして得られる複合体芯粒子表面に相対的に粒径の大
きな非磁性金属酸化物粒子が最表面に現れる比率を高
め、球状複合体芯粒子の電気抵抗値を101010 13 Ω
cm程度と高めておき、さらに樹脂による被覆層を形成
することにより電気抵抗値を1012〜1014Ωcmの範
囲に制御することを検討した。
【0063】前述のように球状複合体粒子の電気抵抗値
を1012〜1014の範囲に制御するためには球状複合体
芯粒子中における強磁性鉄化合物粒子の平均粒径ra
非磁性金属酸化物粒子の平均粒径rb との比rb /ra
が1.0を越えるような平均粒径を有する強磁性鉄化合
物粒子と非磁性金属酸化物粒子とを選択することによ
り、球状複合体芯粒子の電気抵抗値を101010 13 Ω
cm程度と高めておくことが重要である。
【0064】即ち、前記比rb /ra が1.0以下の場
合には、強磁性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子と
の大きさにほとんど差がなくなるかあるいはむしろ強磁
性鉄化合物粒子が相対的に大きくなることから球状複合
体芯粒子表面に占める強磁性鉄化合物粒子の比率が増加
して球状複合体芯粒子の電気抵抗値が1010Ωcm未満
と低くなってしまうため、樹脂による被覆層を形成して
も適度な電気抵抗値が得られない。
【0065】球状複合体芯粒子の電気抵抗値が1010
10 13 Ωcm程度と高められていることにより、該球状
複合体芯粒子表面に樹脂からなる被覆層又は樹脂と非磁
性金属酸化物粒子とからなる被覆層を形成することによ
り、比較的高い電気抵抗値、即ち、1012〜1014Ωc
mに制御できる。
【0066】さらに、樹脂と非磁性金属酸化物粒子とか
らなる被覆層を形成した場合には、電気抵抗値の制御に
加えて、被覆層中に含有されている非磁性金属酸化物粒
子の存在により、環境変化に対する吸湿性の変化が少な
く、帯電性の環境安定性に優れたキャリアを提供するこ
とができる。しかも強磁性鉄化合物粒子に対して比重差
の少ないヘマタイト、酸化亜鉛、酸化チタン等の非磁性
金属酸化物粒子を用いることによって、磁化値、電気抵
抗値の制御を行っても一定の比重を維持できる。
【0067】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により本発明を説
明する。なお、以下の実施例並びに比較例における球状
複合体粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布計
(堀場製作所製)により計測した値で示し、また、粒子
の形態は走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−800)
で観察したものである。
【0068】球形度の測定は、走査型電子顕微鏡(日立
製作所製S−800)により球状複合体粒子をランダム
に250個以上抽出し、平均長軸径l及び平均短軸径w
を求め、下記式によって算出した。
【0069】球形度=l/w l:球状複合体粒子の平均長軸径 w:球状複合体粒子の平均短軸径
【0070】嵩密度は、JIS K5101に記載の方
法に従って測定した。
【0071】球状複合体芯粒子中の強磁性鉄化合物粒子
の平均粒径ra と非磁性金属酸化物粒子の平均粒径rb
の比rb /ra は、用いた強磁性鉄化合物粒子の平均粒
径ra と非磁性金属酸化物粒子の平均粒径rb とから計
算により算出した。
【0072】飽和磁化は、振動試料型磁力計VSM−3
S−15(東英工業製)を用いて外部磁場10kOeの
もとで測定した値で示した。
【0073】真比重はマルチボリウム密度計(マイクロ
メリティクス製)で測定した値で示した。
【0074】電気抵抗は、ハイレジスタンスメーター4
329A(横河ヒューレットパッカード製)で測定した
値で示した。
【0075】トナー帯電量は、球状複合体粒子95重量
部と2種類の市販のトナー(A):CLC−200ブラ
ック(キャノン(株)製)又はトナー(B):4800
((株)リコー製)のどちらか一方のトナー5重量部と
の混合物200mgをブローオフ帯電量測定機MODE
L TB−200(東芝ケミカル(株)製)を用いて測
定した値A(μC)から式〔A×1/(0.2×0.0
5)(μC/g)〕に従って求めたg当たりの換算値を
算出して示した。
【0076】球状複合体芯粒子及び球状複合体粒子のそ
れぞれにおける強磁性鉄化合物粒子の含有量、非磁性金
属酸化物粒子の含有量及び樹脂の含有量は、球状複合体
芯粒子及び球状複合体粒子のそれぞれの比重の測定値及
び飽和磁化の測定値から算出した。
【0077】即ち、強磁性鉄化合物粒子の比重をp、非
磁性金属酸化物粒子の比重をq、樹脂の比重をrとし、
球状複合体芯粒子中の含有量をそれぞれx、y、z重量
%、球状複合体粒子中の含有量をそれぞれX、Y、Z重
量%とすると、球状複合体芯粒子の比重d及び球状複合
体粒子の比重Dはそれぞれ下記式で表される。 d=(x+y+z)/〔(x/p)+(y/q)+(z/r)〕… D=(X+Y+Z)/〔(X/p)+(Y/q)+(Z/r)〕… また、x+y+z=X+Y+Z=100であるから、z
=100−x−y 及び Z=100−X−Y で表さ
れるとともに、強磁性鉄化合物粒子の飽和磁化値をσと
し、一方、球状複合体芯粒子の飽和磁化の測定値を
σp 、球状複合体粒子の飽和磁化の測定値をΣP とする
と、球状複合体芯粒子中の強磁性鉄化合物粒子の含有量
xは、σp /σ×100、球状複合体粒子中の強磁性鉄
化合物粒子の含有量Xは、ΣP /σ×100で表される
から、 d=100/〔(x/p)+(y/q)+(100−x−y)/r〕… D=100/〔(X/p)+(Y/q)+(100−X−Y)/r〕… となる。上記及び式に球状複合体芯粒子の比重d及
び球状複合体粒子の比重D、強磁性鉄化合物粒子の比重
p、非磁性金属酸化物粒子の比重q、樹脂の比重r、強
磁性鉄化合物粒子の含有量x及びXのそれぞれを代入す
ると、非磁性金属酸化物粒子の含有量y及びYのそれぞ
れと、樹脂の含有量z及びZのそれぞれを求めることが
できる。なお、強磁性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物
粒子とを合わせて無機粒子としてその含有量を算出し
た。
【0078】<球状複合体芯粒子の作成>芯粒子A 1lの四つ口フラスコに、フェノール50g、37%ホ
ルマリン75g、球状マグネタイト(平均粒子径0.2
4μm)320g、粒状ヘマタイト粒子(平均粒子径
0.40μm)80g、フッ化カルシウム1.0g、2
8%アンモニア水15g、水50gを入れ、攪拌、混合
しながら40分間で85℃まで昇温・保持し、180分
間反応・硬化させた。その後、30℃まで冷却し、0.
5lの水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水
洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以
下)に50〜60℃で乾燥して、球状マグネタイト粒子
と球状ヘマタイト粒子とをフェノール樹脂をバインダと
して結合した球状複合体芯粒子粉末Aを得た。
【0079】得られた球状複合体芯粒子Aは平均粒子径
が40.1μmであり、図1の走査型電子顕微鏡写真
(×1500)に示す通り真球に近い球形を呈してい
た。球状複合体芯粒子Aの諸特性は表2に示した。
【0080】芯粒子B 500mlフラスコ内に球状マグネタイト粒子(平均粒
子径0.24μm)160gを仕込み、良く攪拌した
後、シラン系カップリング剤(KBM−602:信越化
学製)1.2gを添加し、約100℃まで昇温し30分
間よく攪拌混合することによりカップリング剤で被覆さ
れている球状マグネタイト粒子を得た。
【0081】またこれとは別に、500mlフラスコ内
に粒状ヘマタイト粒子(平均粒子径0.40μm)24
0gを仕込み、十分に攪拌した後、シラン系カップリン
グ剤(KBM−403:信越化学製)1.8gを添加
し、約100℃まで昇温し30分間良く混合攪拌するこ
とにより親油化処理を行い、シラン系カップリング剤で
被覆されている粒状ヘマタイト粒子を得た。
【0082】次に、1 lの四つ口フラスコに、フェノー
ル45g、37%ホルマリン67g、親油化処理された
球状マグネタイト粒子160g、親油化処理された粒状
ヘマタイト粒子240g、28%アンモニア水14g、
水50gを入れ、攪拌しながら40分間で85℃に昇温
させ、同温度で180分間反応、硬化させた。次に、フ
ラスコ内の内容物を30℃に冷却し、0.5lの水を添
加した後、上澄み液を除去し、さらに下層の沈殿物を水
洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以
下)50〜60℃で乾燥して、球状マグネタイト粒子と
粒状ヘマタイト粒子とをフェノール樹脂をバインダとし
て結合した球状複合体芯粒子Bを得た。得られた球状複
合体芯粒子Bは、平均粒子径が38.5μmであり、真
球に近い球形を呈していた。球状複合体芯粒子Bの諸特
性は表2に示した。
【0083】芯粒子C〜G 強磁性鉄化合物粒子及び非磁性金属酸化物粒子の種類、
量、親油化処理を球状マグネタイト粒子と非磁性金属酸
化物粒子とで別々に行うかまたは同時に行うこと、フェ
ノールの量、ホルマリンの量、塩基性触媒としてのアン
モニア水の量及び水の量を表1に示すように変化させた
以外は、芯粒子Aと同様にして、反応、硬化及び後処理
を行い、球状複合体芯粒子C〜Gを得た。得られた球状
複合体芯粒子C〜Gの諸特性は表2に示した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】<樹脂による被覆層の形成> 実施例 500ml四ツ口フラスコにフェノール2g、37%ホ
ルマリン2.7g、球状複合体芯粒子Aを100g、水
40g、28%アンモニア水1gを攪拌しながら投入し
て、30分間で85℃に昇温して、同温度で120分間
反応、硬化させた。
【0087】次に、フラスコ内の内容物を30℃に冷却
し、0.5lの水を添加した後、上澄み液を除去し、沈
降物を水洗、風乾した。次いで、これを減圧下(5mm
Hg以下)50〜60℃で乾燥して、フェノール樹脂で
被覆した球状複合体粒子Hを得た。得られた球状複合体
粒子Hは平均粒子径が41.9μmであり、図2の走査
型電子顕微鏡写真(×1500)に示す通り真球に近い
球形を呈していた。球状複合体粒子Hの非磁性金属酸化
物粒子の含有量は磁化値の測定及び比重の測定から算出
した結果、強磁性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子
との総量に対し、19.9重量%であった。また、フェ
ノール樹脂の含有量は全体に対し、13.1重量%であ
った。球状複合体粒子Hの諸特性は表4に示した。
【0088】実施例 500ml四ツ口フラスコにフェノール3g、37%ホ
ルマリン4.1g、球状複合体芯粒子Bを100g、粒
状ヘマタイト粒子(平均粒子径0.16μm)1g、水
50g、28%アンモニア水1.5gを攪拌しながら投
入して、30分間で85℃に昇温して、同温度で120
分間反応、硬化させた。
【0089】次に、フラスコ内の内容物を30℃に冷却
し、0.5lの水を添加した後、上澄み液を除去し、沈
降物を水洗、風乾した。次いで、これを減圧下(5mm
Hg以下)50〜60℃で乾燥して、フェノール樹脂で
被覆した球状複合体粒子Iを得た。得られた球状複合体
粒子Iは平均粒子径が41.1μmであり、図3の走査
型電子顕微鏡写真(×2000)に示す通り真球に近い
球形を呈していた。球状複合体粒子Iの非磁性金属酸化
物粒子の含有量は磁化値の測定及び比重の測定から算出
した結果、強磁性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子
との総量に対し、60.4重量%であった。また、フェ
ノール樹脂の含有量は全体に対し、15.6重量%であ
った。球状複合体粒子Iの諸特性は表4に示した。
【0090】実施例、比較例 球状複合体芯粒子の種類、 非磁性金属酸化物粒子の有
無、種類、量、フェノールの量、ホルマリンの量、塩基
性触媒としてのアンモニア水の量及び水の量を表3に示
すように変化させた以外は、実施例又は実施例と同
様にして、反応、硬化させて球状複合体粒子J〜Mを得
た。得られた樹脂による被覆層が形成されている球状複
合体粒子J〜Mの諸特性は表4に示した。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】実施例 ヘンシェルミキサー内に、球状複合体芯粒子A1kg及
びスチレン系樹脂(ハイマーSB−75:三洋化成
(株)製)20gを入れ、窒素雰囲気下で攪拌しながら
120℃まで昇温し、同温度で1時間攪拌し,スチレン
系樹脂で被覆した球状複合体粒子Nを得た。得られた球
状複合体粒子Nは平均粒子径が40.8μmであり、図
4の走査型電子顕微鏡写真(×1000)に示す通り真
球に近い球形を呈していた。球状複合体粒子Nの諸特性
は表6に示した。
【0094】実施例11 球状複合体芯粒子の種類、樹脂の種類及び量を種々変化
させた以外は実施例と同様にして樹脂からなる被覆層
の形成を行い、球状複合体粒子O〜Sを得た。この時の
条件を表5に示し、特性値を表6に示した。
【0095】
【表5】
【0096】
【表6】
【0097】
【発明の効果】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、球
状複合体芯粒子中における非磁性金属酸化物粒子の平均
粒径が強磁性鉄化合物粒子の平均粒径より大きいことに
より、樹脂被覆前の球状複合体芯粒子の電気抵抗を適度
に高く制御することができ、樹脂被覆することにより、
適当な飽和磁化値、殊に20〜90emu/g程度の飽
和磁化値を有すると共に、適当な比重、殊に2.5〜
5.2程度の比重と適度に高い電気抵抗値、殊に1012
〜1014Ωcm程度の電気抵抗値とを有するものであ
り、高画質化や高品位化、高速化及び連続化が実現でき
る電子写真用磁性キャリアとして最適である。
【0098】本発明に係る球状複合体粒子粉末は、上記
諸特性を有することから、キャリアとして使用した場合
には、トナーとの混合性が良く、その結果、トナーの帯
電速度を速めることができ、また、トナーにダメージを
与えることなく、スペント化も抑制することができ、さ
らに、過度のトナー帯電量が抑制でき、長期間キャリア
を使用していても安定したトナー帯電量が保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】球状複合体芯粒子Aの粒子構造を示す走査型電
子顕微鏡写真(×1500)である。
【図2】実施例で得られた球状複合体粒子Hの粒子構
造を示す走査型電子顕微鏡写真(×1500)である。
【図3】実施例で得られた球状複合体粒子Iの粒子構
造を示す走査型電子顕微鏡写真(×2000)である。
【図4】実施例で得られた球状複合体粒子Nの粒子構
造を示す走査型電子顕微鏡写真(×1000)である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−124868(JP,A) 特開 平3−146965(JP,A) 特開 平3−200156(JP,A) 特開 平3−111859(JP,A) 特開 平6−118725(JP,A) 特開 平4−100850(JP,A) 特開 平3−152553(JP,A)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強磁性鉄化合物粒子と電気抵抗値が10 10
    Ωcm以上である非磁性金属酸化物粒子とをフェノール
    樹脂をバインダとして結合してなる球状複合体芯粒子の
    粒子表面に熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂から選ばれた
    1種又は2種以上の樹脂からなる被覆層を形成してなる
    平均粒子径1〜1000μmの球状複合体粒子からなる
    電子写真用磁性キャリアであって、前記球状複合体芯粒
    子に含まれる強磁性鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒
    子との総量が80〜99重量%であり、且つ、該強磁性
    鉄化合物粒子の平均粒径raと非磁性金属酸化物粒子の
    平均粒径rbとの比rb/raが1.0を越えることを特
    徴とする飽和磁化値が20〜90emu/gであって比
    重が2.5〜5.2であって電気抵抗値が10 12 〜10
    14 Ωcmである電子写真用磁性キャリア。
  2. 【請求項2】 強磁性鉄化合物粒子と電気抵抗値が10
    10 Ωcm以上である非磁性金属酸化物粒子とをフェノー
    ル樹脂をバインダとして結合してなる球状複合体芯粒子
    の粒子表面に熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂から選ばれ
    た1種又は2種以上の樹脂中に非磁性金属酸化物粒子が
    含まれてなる被覆層を形成してなる平均粒子径1〜10
    00μmの球状複合体粒子からなる電子写真用磁性キャ
    リアであって、前記球状複合体芯粒子に含まれる強磁性
    鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子との総量が80〜
    99重量%であり、且つ、該強磁性鉄化合物粒子の平均
    粒径ra と非磁性金属酸化物粒子の平均粒径rb との比
    rb /ra が1.0を越えることを特徴とする飽和磁化
    値が20〜90emu/gであって比重が2.5〜5.
    2であって電気抵抗値が10 12 〜10 14 Ωcmである
    子写真用磁性キャリア。
  3. 【請求項3】 球状複合体芯粒子中における強磁性鉄化
    合物粒子の平均粒径ra が0.02〜5μmの範囲であ
    り、且つ、非磁性金属酸化物粒子の平均粒径rb が0.
    05〜10μmの範囲である請求項1又は請求項2記載
    の電子写真用磁性キャリア。
  4. 【請求項4】 非磁性金属酸化物粒子の含有量が強磁性
    鉄化合物粒子と非磁性金属酸化物粒子との総量に対し5
    〜70重量%の範囲にある請求項1乃至請求項3のいず
    れかに記載の電子写真用磁性キャリア。
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