JP3255717B2 - 経皮吸収製剤 - Google Patents

経皮吸収製剤

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JP3255717B2 JP21011592A JP21011592A JP3255717B2 JP 3255717 B2 JP3255717 B2 JP 3255717B2 JP 21011592 A JP21011592 A JP 21011592A JP 21011592 A JP21011592 A JP 21011592A JP 3255717 B2 JP3255717 B2 JP 3255717B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膚に適用して所要の
薬物を生体膜を経て体内循環系へ投与するのに使用され
る、テープ剤、パッチ剤(薬物を含むリザーバ層と貼付
層が積層された剤型のものをいう)、パップ剤、クリー
ム剤、リニメント剤、軟膏剤などの経皮吸収製剤に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に薬物の経口投与の場合には、胃ま
たは腸内のpH値、内容物の有無などの状態によって薬
物の吸収性が左右されるため、薬物の吸収量を常に一定
に保つことは困難であり、また一定量の薬物を長期間か
けて徐々に投与することも難しい。経口投与において
は、吸収量が一定しないために時として急激な血中濃度
の上昇により副作用が生じることがあり、また半減期の
短い薬物においては有効血中濃度の持続時間が短くな
り、充分な薬効が長く保持できないことがある。更に
は、注射投与では投与時の苦痛や、投与方法の不便さと
いった問題がある。
【0003】例えば、抗狭心症薬の1つである硝酸イソ
ソルビドの経口投与においては、吸収量が一定しないた
めに時として急激な血中濃度の上昇により起立性貧血、
頭痛などの副作用が生じることがある。また、硝酸イソ
ソルビドは有効血中濃度の持続時間が短い薬物であるた
め、経口投与では夜間の発作を抑制ないし阻止できない
こともある。
【0004】そこで、これらの問題を解決するために、
一定した有効血中濃度を長時間にわたって維持でき、し
かも簡便性、機能性などの向上が期待できるなどの理由
により、経皮吸収製剤の開発が積極的に推進されてい
る。
【0005】こうした観点から、例えば下記のごとき経
皮吸収製剤が提案されている。
【0006】特開昭57−116011号公報には、薬
物として硝酸イソソルビドまたは四硝酸ペンタエリスリ
トールを、ガラス転移温度−70℃〜−10℃の常温で
感圧接着性を有する重合物に含有させたテープ製剤が記
載されている。
【0007】特開昭58−134020号公報には、ア
ルキル基の炭素数が4〜10のアクリル酸エステル85
〜99重量%とアクリル酸またはメタクリル酸1〜15
重量%とからなる共重合物と硝酸イソソルビドを含む基
剤層が記載されている。
【0008】ところで、この種の経皮吸収製剤は、本来
異物の体内への侵入を防ぐバリアー機能を有する皮膚の
角質層を経由して薬物を体内循環系へ投与するものであ
るため、所期の薬効を発現させるに充分な量の薬物を投
与するのは必ずしも容易でなく、通常、基剤に吸収促進
剤を加えて薬物の透過性を高めたり、貼付面積を大きく
するなどの方策がとられている。
【0009】経皮吸収製剤が貼付剤である場合、これが
貼付中に皮膚を刺激するという副作用を有しているた
め、その貼付面積は可能な限り小さい方が好ましい。す
なわち、製剤を皮膚に貼付している期間中、皮膚表面に
は貼付層が接しているため、その部分の皮膚は正常な作
用、たとえば分泌、代謝、伸縮などを妨げられる上に、
貼付層自体から常に刺激を受けることになる。その結
果、皮膚の貼付部に紅斑が発生し、甚だしい場合には痂
皮形成や浮腫形成が伴い、貼付剤の除去後も数日間続く
ことさえある。したがって、このような副作用を低減さ
せるためには、吸収促進剤の添加により薬物の皮膚透過
性を向上させることにより、貼付剤の貼付面積を縮小化
することが望まれる。
【0010】上記のように特定の吸収促進剤の添加によ
って薬物の皮膚への放出性を向上させることを企図した
経皮吸収製剤として、下記のものが提案されている。
【0011】特開昭58−79918号公報には、アク
リル系粘着剤にインドメタシンと吸収促進剤としてポリ
オキシエチレンアルキルエーテル類およびポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル類の群から選ばれた少
なくとも一種以上を添加した消炎鎮痛貼付剤が記載され
ている。
【0012】特開昭64−56622号公報には、酸化
エチレン付加モル数が20以下である酸化エチレン付加
型非イオン界面活性剤を含有する経皮吸収促進剤組成物
が記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】吸収促進剤は、粘着剤
層からの薬物の放出性と薬物の経皮吸収性のいずれかあ
るいは両方を向上させる作用を果たす。ただし、粘着性
基剤に吸収促進剤を添加した結果、粘着性が低下したり
皮膚刺激性が高くなったりしてはならない。したがっ
て、吸収促進剤としては、対象となる薬物、配合される
粘着性基剤などを勘案して、最適のものを選定する必要
がある。
【0014】上記従来技術の経皮吸収製剤において使用
されている吸収促進剤は、いずれも、薬物の皮膚透過促
進作用が低いものであった。
【0015】また、吸収促進剤は、経皮吸収製剤を皮膚
に貼付している期間中、皮膚に対して作用するものであ
るから、皮膚刺激を有するものであってはならない。
【0016】しかし、上記従来技術の経皮吸収製剤にお
いて使用されている吸収促進剤は、いずれも、経皮吸収
促進効果はある程度認められるが、皮膚刺激が強いとい
う難点を有している。
【0017】この発明の目的は、上記の如き実情に鑑
み、所期の薬効を発現させるに充分な量の硝酸イソソル
ビドからなる薬物(以下、単に「薬物」と略称する。)
を経皮吸収せしめることができると共に、吸収促進剤に
よる皮膚の刺激を可及的に低減した経皮吸収製剤を提供
することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明で使用される経皮
吸収製剤の基剤はテープ剤やパップ剤の場合には粘着性
基剤であって、軟膏剤、クリーム剤、パッチ剤及びリニ
メント剤の場合には非粘着性基剤である。
【0019】上記粘着性基剤としては薬物を溶解するこ
とができ、かつ、常温で皮膚ないし粘膜に対し長時間固
着し得る感圧接着性を有する一般的な粘着剤組成からな
るものであれば、特に限定されない。好ましい粘着性基
剤としては、アクリル系粘着剤からなる基剤、ゴム系粘
着剤からなる基剤、シリコーン系粘着剤からなる基剤な
どが例示される。
【0020】アクリル系粘着基剤に使用されるアクリル
系粘着剤としては、炭素数1〜18、特に好ましくは4
〜18の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とから
得られるアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、
共重合体およびアルキル(メタ)アクリレートとその他
の官能性モノマーとの共重合体が例示される。
【0021】アルキル(メタ)アクリレートとしては、
たとえばブチルアクリレート、イソブチルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2
−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレ
ート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、
ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチ
ルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリ
レート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシ
ルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシ
ルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリ
ルメタクリレート、ステアリルメタクリレートなどが例
示される。
【0022】官能性モノマーの例としては、水酸基を有
するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、アミ
ド基を有するモノマー、アミノ基を有するモノマー、ピ
ロリドン環を有するモノマーなどの官能基を有するモノ
マーが挙げられる。水酸基を有するモノマーとしては、
たとえば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレートが例示される。カル
ボキシル基を有するモノマーとしては、たとえばアクリ
ル酸、メタクリル酸などのα、β不飽和カルボン酸、エ
チルマレート、ブチルマレートなどのモノアルキルマレ
ート、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが例示さ
れる。無水マレイン酸もマレイン酸と同様に使用され
る。アミド基を有するモノマーとしては、たとえばアク
リルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリ
ルアミドなどのアルキル(メタ)アクリルアミド、ブト
キシメチルアクリルアミド、エトキシメチルアクリルア
ミドなどのN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、ジアセトンアクリルアミドなどが例示される。アミ
ノ基を有するモノマーとしては、ジメチルアミノエチル
アクリレートが例示される。ピロリドン環を有するモノ
マーとしてはビニルピロリドンが例示される。
【0023】又、上記共重合体には、更に官能基を有し
ない共重合性モノマーが共重合されてもよく、共重合性
モノマーとしては、たとえば酢酸ビニル、スチレン、α
−メチルスチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、エ
チレン、プロピレン、ブタジエンなども使用できる。粘
着剤中にはアルキル(メタ)アクリレートが(共)重合
成分として50重量%以上含有されることが好ましい。
【0024】アクリル系粘着剤には更に必要に応じて多
官能性モノマーが添加され、他のモノマー成分と共重合
されてもよい。この多官能性モノマーの添加により、生
成する重合体間に架橋が生じ、それにより粘着剤の内部
凝集力が増大する。そのため貼付された皮膚の性状や発
汗量にほとんど無関係に貼付剤剥離時のいわゆる糊残り
現象がほぼ解消される。しかも、この多官能性モノマー
の添加は薬物の放出性や低皮膚刺激性には何ら悪影響を
与えない。このような多官能性モノマーとしては、たと
えば、ジ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリレ
ート、テトラ(メタ)アクリレートなどが例示される
が、これに限定されない。より具体的には、ヘキサメチ
レングリコールやオクタメチレングリコールなどのポリ
メチレングリコール類と(メタ)アクリル酸とを結合さ
せて得られるヘキサメチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、オクタメチレングリコールジ(メタ)アクリ
レートなどのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキ
レングリコール類と(メタ)アクリル酸とを結合させて
得られるジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレートやグリセリントリ(メ
タ)アクリレートなどのトリ(メタ)アクリレート、お
よびペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート
などのテトラ(メタ)アクリレートが例示される。これ
ら多官能性モノマーは2種以上添加されてもよい。多官
能性モノマーの添加量は粘着剤の製造に供される全モノ
マー中に0.5重量%以下である。
【0025】また、アクリル系粘着剤には必要に応じて
ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン
樹脂、石油系樹脂、テルペン−フェノール樹脂などの粘
着性付与剤が添加されてもよい。
【0026】アクリル系粘着剤を調製するには、通常、
重合開始剤の存在下に所要のモノマーの溶液重合を行
う。ただし、重合形態はこれに限定されない。また重合
反応条件は主としてモノマーの種類により適宜選定され
る。
【0027】ゴム系粘着基剤に使用されるゴム系粘着剤
としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン
ブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロック共重合体、スチレン−オレフィン−スチレンブロ
ック共重合体、ポリイソプレン、ポリブテン、ポリイソ
ブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのゴム弾
性体100重量部に、たとえばロジン系樹脂、ポリテル
ペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テル
ペン−フェノール樹脂などの粘着性付与剤を20〜20
0重量部及び必要に応じて、液状ポリブテン、鉱油、ラ
ノリン、液状ポリイソプレン、液状ポリアクリレートな
どの軟化剤、酸化チタンなどの充填剤、ブチルヒドロキ
シトルエンなどの老化防止剤などを適量添加してなるも
のが例示される。
【0028】シリコーン系粘着基剤に使用されるシリコ
ーン系粘着剤としては、ポリジメチルシロキサンなどを
主成分とするものが例示される。
【0029】又、水と親和性の良い粘着基剤として、ア
ルギン酸アルカリ金属、ゼラチン、コーンスターチ、ト
ラガントガムなどの天然ポリマー類、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセ
ルロースなどのセルロース系ポリマー類、デキストリ
ン、カルボキシメチルデンプンなどのデンプン系ポリマ
ー類、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリ
ビニルエーテル、ポリビニルピロリドンなどの合成ポリ
マー類が例示される。
【0030】上記粘着剤中には、可塑剤、充填剤、老化
防止剤などの配合剤が必要に応じて添加されてもよい。
【0031】前記非粘着性基剤としては蜜ろう、油脂、
ラノリン、白色ワセリン、パラフィン、プラスチベー
ス、高級脂肪酸、高級アルコール、乳化剤、マクロゴー
ル、カルボキシビニルポリマーなどが例示される。
【0032】本発明で使用される硝酸イソソルビドから
なる薬物は、血管拡張剤や抗狭心症薬として使用される
もので、経皮的に生体膜を透過しうるものである。
【0033】これらの薬物の添加量は、好ましくは0.
1〜50重量%である。薬物の基剤に対する飽和溶解度
は基剤の組成により変わる。薬物をその飽和溶解度に可
能な限り近い濃度で基剤中に相溶させ、結晶析出が起こ
らないようにすることにより、薬物の高い放出性が得ら
れる。ただし、基剤中に薬物の結晶が析出していても、
特に支障はない。薬物または吸収促進剤をカプセル化し
たり、薬物または吸収促進剤の貯蔵層を設けることも可
能である。
【0034】本発明で使用される経皮吸収製剤は、テー
プ剤、パップ剤、パッチ剤、クリーム剤、リニメント剤
及び軟膏剤などである。
【0035】上記テープ剤は、薬物、吸収促進剤及び必
要に応じて加えられる添加剤を含む前記粘着性基剤が、
支持体の片面に設けられたものであり、好ましい粘着性
基剤としては皮膚に接着性のよいものである。
【0036】上記パップ剤は、薬物、吸収促進剤、水及
び必要に応じて加えられる添加剤を含む前記粘着基剤を
支持体の片面に層状に塗布したものであり、好ましい粘
着性基剤としては水と親和性のよいものである。粘着性
基剤の粘着性が乏しい場合は絆創膏、粘着テープなどで
皮膚表面に固定される。
【0037】上記パッチ剤は、支持体の片面に非粘着性
のリザーバー層及び前記粘着剤からなる粘着剤層が順次
積層されて構成されたものであり、リザーバー層に、薬
物、吸収促進剤および必要に応じて加えられる添加剤を
含む前記非粘着性基剤が保持させられたものである。こ
のリザーバー層が粘着剤層を介して皮膚に貼付され、リ
ザーバー層中の薬物が粘着層を通って経皮吸収される。
ただし、前記リザーバー層中の薬物や吸収促進剤など
は、粘着剤層にも含ませてもよい。
【0038】上記クリーム剤、軟膏剤およびリニメント
剤は、前記非粘着性基剤に、薬物、吸収促進剤及び必要
に応じて加えられる添加剤を均一に混合してなる薬物含
有ペースト、スラリーまたは液状物である。
【0039】クリーム剤および軟膏剤には、脂溶性溶解
剤、精製水、水溶性溶解剤、pH調整剤などが添加され
てもよい。脂溶性溶解剤としては、流動パラフィン、ミ
リスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチルなどが例
示され、水溶性溶解剤としては、エタノール、グリセリ
ン、プロピレングリコールなどが例示される。
【0040】テープ剤、パップ剤及びパッチ剤の支持体
としては、柔軟であるが経皮吸収製剤に自己支持性を付
与し、かつ粘着性基剤層中やリザーバー層中の薬物の揮
散や移行を防止する役目を果たすものが使用される。支
持体の素材としては、酢酸セルロース、エチルセルロー
ス、ポリエチレンテレフタレート、可塑化酢酸ビニル−
塩化ビニル共重合体、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、可塑化ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリ
エチレン、ポリ塩化ビニリデン、アルミニウムなどが例
示される。これら素材はたとえば単層のシートないしフ
ィルムや2枚以上の積層体として用いられる。アルミニ
ウム以外の素材は織布や不織布として使用してもよい。
支持体としては、皮膚面に対して追従性を有する素材よ
りなるものが好適に用いられ、特にポリエチレンテレフ
タレートとエチレン−酢酸ビニル共重合体とのラミネー
トフィルムが好ましい。支持体の厚みは、好ましくは5
〜100μmである。
【0041】上記支持体の片面に粘着性基剤層が形成さ
れてテープ剤が構成せられ、また上記支持体の片面にリ
ザーバー層および粘着剤層が順次積層されてパッチ剤が
構成せられる。パッチ剤ではリザーバー層と粘着剤層と
の間に適当な制御膜が存在してもよい。
【0042】テープ剤の調製において、粘着性基剤層を
形成するには通常の粘着テープの製造方法が適用でき
る。その代表例は溶剤塗工法であり、これ以外にもホッ
トメルト塗工法、電子線硬化エマルジョン塗工法などが
用いられる。粘着性基剤層を溶剤塗工法で形成するに
は、たとえば、薬物、吸収促進剤および必要に応じて加
えられる添加剤を適当な溶媒に溶解ないし分散させ、得
られた溶液ないし分散液を支持体の片面に直接塗布・乾
燥し、所要厚みの粘着性基剤層を形成する。また、この
溶液ないし分散液を保護用の剥離紙上に塗布し、乾燥後
に得られた粘着性基剤層を支持体に密着させてもよい。
粘着性基剤層の厚みは使用目的により異なるが、好まし
くは10〜200μmである。
【0043】テープ剤は、使用時までその粘着性基剤層
表面を保護するために通常はその貼付面に剥離紙を備え
ている。パッチ剤は粘着剤層の貼付面に剥離紙を備えて
いる。剥離紙としてはポリエチレンテレフタレートのフ
ィルムをシリコン処理してなるものがよく用いられる
が、剥離紙はこれに限定されない。剥離紙の厚みは10
00μm以下、好ましくは30〜200μmである。
【0044】パップ剤を製造するには、粘着性基剤、薬
物、吸収促進剤、水及び必要に応じて加えられる添加剤
を均一に混合し、得られた薬物含有ペーストを支持体の
片面に層状に塗布する。薬物含有ペーストにはさらに、
精製水、保湿剤、無機充填剤、粘度調整剤、架橋剤、老
化防止剤などのその他の添加剤が添加されもよい。保湿
剤としては、グリセリン、プロピレングリコールなどが
例示され、無機充填剤としては、カオリン、ベントナイ
ト、亜鉛華、二酸化チタンなどが例示される。
【0045】得られた種々の剤形の経皮吸収製剤は、通
常は薬物を経皮的ないし経粘膜的に体内循環器系へ投与
する目的で、皮膚ないし粘膜の表面に直接貼付または塗
布される。さらにこれら経皮吸収製剤は薬物を皮膚ない
し粘膜の疾患部の治療を目的として皮膚ないし粘膜に貼
付または塗布されることもある。
【0046】本発明で使用される吸収促進剤は、乳酸並
びにポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩から
選ばれた1種以上の化合物との組合せである。
【0047】上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル
リン酸塩は、一般式(1)及び(2)で表される化合物
である。式中R、R1 及びR2 はアルキル基であり、炭
素数が4未満だと吸収促進効果はなく、炭素数が22を
越えると皮膚に高刺激を与えるので、R、R1 及びR2
のアルキル基は4〜22に限定される。また、R、R1
及びR2 は同一でも異なっていてもよく、直鎖または分
岐のアルキル基でもよい。
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】式中M及びM1 のアルカリ金属としては、
たとえばナトリウム、カリウムなどが例示される。
【0051】一般式(1)で表されるポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルリン酸塩としては、好ましくはポリ
オキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポ
リオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウムな
どである。
【0052】一般式(2)で表されるポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルリン酸塩としては、好ましくはジポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテルリン酸カリウ
ム、ジポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナト
リウムなどである。
【0053】上記ポリオキシエチレンアルキルエーテル
リン酸塩は、単独で使用されてもよいし、2種以上添加
されてもよく、好ましくは基剤中に0.05〜5重量%
であり、更に好ましくは0.2〜2重量%である。
【0054】上記乳酸の添加量は好ましくは基剤中に
0.1〜10重量%であり、更に好ましくは0.5〜5
重量%である。
【0055】薬物の経皮吸収性をさらに向上させるため
に、乳酸と上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルリ
ン酸塩以外の別の吸収促進剤を添加してもよい。
【0056】上記基剤中に含まれる薬物、吸収促進剤の
添加量は、軟膏剤、クリーム剤、リニメント剤では製剤
自体に対する添加量に相当し、テープ剤やパップ剤では
製剤から支持体や剥離紙を除いた部分、すなわち、粘着
性基剤の部分に対する添加量に相当し、パッチ剤ではリ
ザーバ層及び/または粘着剤層に含ませる基剤に対する
添加量に相当する。
【0057】
【作用】本発明による経皮吸収製剤は、吸収促進剤とし
て乳酸並びにポリオキシエチレンアルキルエーテルリン
塩(1)及び(2)よりなる群から選ばれた一種以上
の化合物との組合せを用いることにより、単位面積およ
び単位時間当たりの薬物の放出量及び皮膚内部への薬物
の移行性が極めて向上せられる。こうして、吸収促進剤
として乳酸とポリオキシエチレンアルキルエーテルリン
塩とを併用することにより、これら化合物をそれぞれ
単独で用いる場合には得られない優れた薬物吸収促進効
果が得られる。これは、上記吸収促進剤が基剤の物性を
変えると共に、皮膚内に浸透して角質層のバリヤー機能
を減退させるためであると考えられる。その結果、基剤
と皮膚の間の薬物の分配係数が変化し、あるいは、皮膚
中における薬物の拡散速度が高められ、薬物の放出量が
向上すると共に、所要量の薬物が容易に皮膚を透過して
体内循環系に吸収される。
【0058】そのため、テープ剤の場合、従来の薬物含
有経皮吸収製剤と比較して、同一面積の従来品よりも有
効投与量の大きな経皮吸収製剤が得られる。換言すれ
ば、従来品より小さい面積の経皮吸収製剤で従来品と同
一の効果が得られる。
【0059】したがって、皮膚刺激に敏感な人において
も紅斑を生じることが回避されるか、または紅斑の面積
が縮小される。そして製剤の面積が小さくてすむため、
貼付操作が容易である上に、貼付による違和感もない。
【0060】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。尚、以下
「部」とあるのは「重量部」を意味する。また、結果に
示した皮膚移行試験、皮膚刺激性試験及び皮膚透過性試
験についての評価法及び測定法は次のとおりである。
【0061】1)皮膚移行性試験日本白色種のウサギの
脱毛した背部に貼付剤の試験片( 面積10cm2 )を貼
付し、24時間後にこれを剥離して回収した。回収した
試験片をメタノールで抽出処理し、貼付剤中の薬物の残
存量を高速液体クロマトグラフィーにより測定し、貼付
剤の貼付前の薬物量と貼付後の残存量の差を求めた。皮
膚移行量はこの操作を4回繰り返し、測定値の総和を繰
り返し回数4で割った平均値で表した。
【0062】2)皮膚刺激性試験皮膚移行性試験の貼付
剤剥離1時間後の皮膚の紅斑状態を目視で観察し、次の
5段階判定で評価した。 0:紅斑なし 1:かろうじて識別できる軽度の紅斑 2:明らかな紅斑 3:中程度の紅斑 4:深紅色の強い紅斑 皮吸収製剤の皮膚刺激性は、各回における評点の総和を
繰り返し回数4で割った平均値で表した。
【0063】粘着剤A及びBの合成表1に示した所定量
のモノマー及び酢酸エチル400部を攪拌装置及び冷却
装置付きセバラブルフラスコに供給し、攪拌及び窒素置
換しながら60℃に昇温した。過酸化ラウロイル2部を
シクロヘキサン100部に溶解した溶液を10分割し、
その1をセパラブルフラスコに添加し、重合を開始し
た。残部の9を反応開始後5時間目から1時間間隔で添
加し、添加終了後更に19時間反応した。尚、粘度調節
のため反応開始後5時間毎に酢酸エチルを50部づつ5
回添加した。反応終了後、冷却し、固形分濃度か35重
量%になるように酢酸エチルを添加した。
【0064】
【表1】
【0065】粘着剤Cの調整 ゴム弾性体としてスチレン−イソプレン−スチレン・ブ
ロック共重合体(シェル化学社製、カリフレックスTR
1107)100部、脂肪族水素添加石油樹脂(荒川化
学社製、アルコーン−P90)140部、ポリブデン
(日石化学社製、HV−300)25部及びシクロヘキ
サン483.38部を攪拌装置及び冷却装置付きセバラ
ブルフラスコに供給し、25℃で96時間攪拌して溶解
して、固形分濃度35.41重量%の粘着剤を得た。
【0066】実施例1〜7、比較例1〜5 表2に 示した所定量の粘着剤、硝酸イソソルビド、乳
、ポリオキシエチレンエーテルリン酸塩をデゾルバー
に供給し、均一に混合した。得られた混合液を、シリコ
ン処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚
み38μm)上に塗布、60℃で30分間乾燥して厚さ
80μmの粘着剤層を形成し、次いで、厚さ50μmの
ポリエチレンテレフタレート−エチレン・酢酸ビニル共
重合体層上に転写して本発明の経皮吸収製剤を得た。
【0067】実施例1〜7及び比較例1〜5で得られた
経皮吸収製剤については、皮膚移行試験及び皮膚刺激性
試験を行い、その結果を表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】
【発明の効果】本発明の経皮吸収製剤は、吸収促進剤と
して乳酸並びにポリオキシエチレンアルキルエーテルリ
ン酸塩(1)及び(2)よりなる群から選ばれた1種以
上の化合物との組合せを用いたことで、所期の薬効を発
現させるに充分な量の硝酸イソソルビドからなる薬物を
皮膚を経て吸収せしめることができ、薬物投与に必要な
貼付面積が小さくてすみ、長期使用に際して皮膚のダメ
ージが少なく、吸収促進剤による皮膚刺激が殆どないし
全くない。
【0070】さらに、本発明の経皮吸収製剤は、上記の
如く所期の薬効を発現させるのに充分な量の硝酸イソソ
ルビドからなる薬物が容易に経皮的に吸収されるため、
従来のように薬物を大量に配合する必要がなく、有効血
中濃度を長時間にわたって維持することができ、薬物を
変性させることがなく、基剤との相溶性にも優れかつ薬
物と基剤との相溶性に変化を与えないため、経皮吸収製
剤表面から薬物が析出することもなので、薬物のバイオ
アベイラビリティを高めることができる。
【0071】また、上記のように小さい面積の経皮吸収
製剤で充分な薬効が得られるため、皮膚刺激に敏感な人
においても紅斑を生じることが回避されるか、または紅
斑の面積が可及的に縮小せられる。そしてこのように経
皮吸収製剤が小面積ですむため、貼付操作を容易に成し
得る上に、貼付による違和感も少なくすることができ
る。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基剤中に硝酸イソソルビドからなる薬物
    および吸収促進剤を含んでなる経皮吸収製剤において、
    該吸収促進剤が乳酸並びに次式(1)及び(2)で表さ
    れるポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩より
    なる群から選ばれた一種以上の化合物よりなることを特
    徴とする経皮吸収製剤。 【化1】 【化2】
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