JP3254878B2 - 高強度陶磁器及びその製造方法 - Google Patents

高強度陶磁器及びその製造方法

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JP3254878B2 JP02796494A JP2796494A JP3254878B2 JP 3254878 B2 JP3254878 B2 JP 3254878B2 JP 02796494 A JP02796494 A JP 02796494A JP 2796494 A JP2796494 A JP 2796494A JP 3254878 B2 JP3254878 B2 JP 3254878B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高強度陶磁器及びその製
造方法に係り、著しく強度が高く、製品の薄型軽量化及
び大型化が可能な高強度陶磁器及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】タイルや衛生陶器に用いら
れている軟質陶磁器は、石英質原料、長石質原料及び粘
土質原料を基本配合として得られるものである。この軟
質陶磁器は原料コストが安く、成形性にも富むことから
古くから用いられているが、機械的強度が抗折強度で7
00kgf/cm2 以下(実際には400kg/cm2
程度)と低いという欠点がある。このため、製品の強度
はその肉厚をある程度厚くすることで保っていることか
ら、大型製品では重量が非常に重くなるという不具合が
ある。
【0003】そこで、軟質陶磁器の強度を高めるため
に、アルミナを配合する方法が、碍子用磁器などで行な
われている。具体的には、軟質陶磁器原料中にアルミナ
を20〜60重量%程度配合している。このようにアル
ミナを配合することにより、機械的強度は抗折強度で1
200kgf/cm2 以上(実際には2000kgf/
cm2 程度)と向上する。この強度は、アルミナ含有量
が多いものほど高くなる。
【0004】上述の如く、アルミナの配合による強度向
上技術において、アルミナ配合量が多い程強度は向上す
る反面、次のような問題が生じる。
【0005】 アルミナ配合量が多い程、焼結温度が
高くなり、軟質陶磁器と同程度の温度領域(1200〜
1350℃)で焼成したのでは、焼結不十分となり、高
強度品が得られない。
【0006】 アルミナ配合量が多い程成形性が悪く
なるため、大型品を得ることが困難となる上に、アルミ
ナの比重が他の原料に比べて大きいため、薄型軽量化の
効果が少ない。
【0007】上記従来の問題点を解決し、少ないアルミ
ナ配合量にて高強度陶磁器を得、製品の薄肉軽量化及び
大型化を可能とするものとして、本出願人は、窯業原料
を焼結してなる陶磁器において、該窯業原料が アルミナ 5〜20重量%、 石 英 0〜25重量%、 長 石 25〜35重量% 及び 粘 土 35〜45重量%、 (ただし、アルミナと石英の合量が30重量%以下)で
あることを特徴とする高強度陶磁器、及び アルミナ 5〜20重量%、 石 英 0〜25重量%、 長 石 25〜35重量% 及び 粘 土 35〜45重量%、 (ただし、アルミナと石英の合量が30重量%以下)を
混合した後成形し、1300℃以下で焼成することを特
徴とする高強度陶磁器の製造方法を特許出願した(特願
平5−94237号。以下「先願」という。)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記先願の高強度陶磁
器及びその製造方法によれば、少ないアルミナ配合量に
て、比重が小さく、高強度な陶磁器を良好な成形性及び
比較的低い焼成温度により容易かつ効率的に製造するこ
とが可能とされるが、陶磁器の技術分野においては、強
度等の特性のより一層の改善が望まれている。
【0009】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので
あって、先願の技術を改良し、より一層の高強度化を図
る高強度陶磁器及びその製造方法を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の高強度陶磁器
は、アルミナ粉末5〜20重量%、石英粉末0〜25重
量%、長石25〜35重量%及び粘土35〜45重量%
を含み、アルミナと石英の合量が30重量%以下である
窯業原料を焼結してなる陶磁器であって、該アルミナ粉
末の平均粒径が0.8〜11μmであることを特徴とす
る。
【0011】請求項2の高強度陶磁器は、請求項1の陶
磁器において、該石英粉末の平均粒径が1〜20μmで
あることを特徴とする。
【0012】請求項3の高強度陶磁器の製造方法は、ア
ルミナ粉末5〜20重量%、石英粉末0〜25重量%、
長石25〜35重量%及び粘土35〜45重量%であっ
て、アルミナと石英の合量が30重量%以下となるよう
に窯業原料を混合した後成形し、1300℃以下で焼成
する高強度陶磁器の製造方法であって、該アルミナ粉末
の平均粒径が0.8〜11μmであることを特徴とす
る。
【0013】請求項4の高強度陶磁器の製造方法は、請
求項3の方法において、該石英粉末の平均粒径が1〜2
0μmであることを特徴とする。
【0014】以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明に係る窯業原料の配合において、ア
ルミナ粉末が20重量%を超えると、焼結温度が高く
なり焼結が困難となる、成形性が悪くなる、製品重
量が重くなるなどの不具合を生じ、5重量%未満では十
分な強度向上効果が得られない。従って、アルミナ粉末
の割合は5〜20重量%、好ましくは10〜15重量%
とする。
【0016】石英粉末は強度向上効果を得るためのもの
であるが、その割合が25重量%を超えると焼結し難く
なるため0〜25重量%、好ましくは0〜20重量%と
する。
【0017】長石は焼成時に溶融して原料を固める作用
を奏するものであるが、その割合が35重量%を超える
と焼結体がガラス質となり強度不足をひき起こす。長石
は25重量%未満では焼結不足となるため、長石の割合
は25〜35重量%とする。なお、用いる長石の種類に
特に制限はない。
【0018】粘土は成形性を確保するために用いるもの
であるが、その割合が45重量%を超えると焼成収縮が
大きくなり、寸法精度が悪くなり、35重量%未満では
成形性が悪いことから、その割合は35〜45重量%と
する。なお、用いる粘土としては粘土質のものであれば
何れでも良い。
【0019】窯業原料中のアルミナ粉末と石英粉末とは
主に骨材として作用して強度向上効果を発揮するが、そ
の合計割合が30重量%を超えると、焼結し難くなり、
気孔の増加により高強度品が得られなくなる。このた
め、アルミナ粉末と石英粉末との合計割合は30重量%
以下、好ましくは15〜30重量%とする。
【0020】本発明において、アルミナ粉末としては平
均粒径0.8〜11μmのものを用い、石英粉末として
は好ましくは平均粒径1〜20μmのものを用いる。
【0021】用いるアルミナ粉末の平均粒径が0.8μ
m未満では分散性が悪くなり、得られる陶磁器の強度が
低下する。アルミナ粉末の平均粒径が11μmを超える
と焼結し難くなり、得られる陶磁器の欠陥が大きくなっ
て強度が低下する。このようなことから、本発明におい
ては、高強度発現性に優れた平均粒径0.8〜11μ
m、好ましくは1〜4μmのアルミナ粉末を用いる。
【0022】一方、石英粉末の平均粒径が1μm未満で
あると石英分の全て又は大部分がガラス化してしまうた
め、得られる陶磁器の強度が低下する。石英粉末の平均
粒径が20μmを超えると、得られる陶磁器の欠陥が大
きくなって強度が低下する。このため、本発明において
は、好ましくは平均粒径1〜20μm、より好ましくは
3〜10μmの石英粉末を用いる。
【0023】本発明の高強度陶磁器の製造方法において
は、上記窯業原料を常法に従って混合した後成形し、得
られた成形体を1300℃以下の温度で焼成する。
【0024】この焼成温度が1300℃を超えると、発
泡による強度低下が起こるなど不具合が生じることか
ら、焼成温度は1300℃以下、特に1250℃以下と
する。
【0025】このようにして得られる陶磁器は、通常の
場合、比重2.1〜2.3程度、また、機械的強度は抗
折強度で900〜1300kgf/cm2 と、低比重か
つ高強度陶磁器である。
【0026】
【作用】本発明に係る窯業原料配合によれば、比較的
(通常のアルミナ質磁器に比べ)少ないアルミナ配合量
で高強度陶磁器を得ることができるため、 アルミナ配合量が少ないため成形性が良好である。
従って、大型製品も容易に製造することができる。 高比重のアルミナ配合量が少ないため、原料比重が
従来の軟質陶磁器と同程度となり、製品の軽量化に効果
がある。 比較的低い焼成温度で焼結することができるため、
焼成コストの低廉化が図れる。 強度が高いため、製品の薄肉化が可能とされる。 といった効果が奏され、薄型軽量製品ないし大型製品を
安価に、容易かつ効率的に提供することが可能とされ
る。
【0027】特に、アルミナ粉末として平均粒径0.8
〜11μmのものを用いることにより、アルミナ粉末の
高分散性を得ると共に、焼結性を改善して欠陥の少ない
高強度陶磁器を得ることができる。
【0028】更に、石英粉末として平均粒径1〜20μ
mのものを用いることにより、石英分のガラス化の進行
を抑えて、欠陥の少ない、より一層高強度の陶磁器を得
ることができる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明する。
【0030】実施例1 表1に示す平均粒径のアルミナ粉末と石英粉末とを組み
合せて使用し、下記配合割合とした原料をボールミルに
て湿式混合し(バインダーなし)、乾燥、造粒して得た
粉体を、乾式で加圧成形し、1200℃で1時間焼成し
た。
【0031】原料配合(重量%) アルミナ粉末(α−アルミナ):20 石英粉末 :10 長 石(正長石) (平均粒径10μm):30 粘 土(蛙目粘土) (平均粒径1μm) :40 得られた陶磁器の曲げ強度を測定し、アルミナ粉末及び
石英粉末の平均粒径との関係を表1に示した。なお、表
1中、破線で囲んだ部分が本発明の好適実施例に相当す
る。
【0032】
【表1】
【0033】表1より、平均粒径0.8〜11μmのア
ルミナ粉末を用いることにより、特に、平均粒径0.8
〜11μmのアルミナ粉末を用いると共に、平均粒径1
〜20μmの石英粉末を用いることにより、より一層高
強度な陶磁器を得ることができることがわかる。
【0034】なお、実施例1で得られた陶磁器の見掛比
重は、いずれも2.3である。
【0035】実施例2 表2に示す平均粒径のアルミナ粉末と石英粉末とを組み
合せて使用し、下記配合割合とした原料をボールミルに
て湿式混合し(バインダーなし)、乾燥、造粒して得た
粉体を、乾式で加圧成形し、1200℃で1時間焼成し
た。
【0036】原料配合(重量%) アルミナ粉末(α−アルミナ):15 石英粉末 :15 長 石(正長石) (平均粒径10μm):30 粘 土(蛙目粘土) (平均粒径1μm) :40 得られた陶磁器の曲げ強度を測定し、アルミナ粉末及び
石英粉末の平均粒径との関係を表2に示した。なお、表
2中、破線で囲んだ部分が本発明の好適実施例に相当す
る。
【0037】
【表2】
【0038】表2より、平均粒径0.8〜11μmのア
ルミナ粉末を用いることにより、特に、平均粒径0.8
〜11μmのアルミナ粉末を用いると共に、平均粒径1
〜20μmの石英粉末を用いることにより、より一層高
強度な陶磁器を得ることができることがわかる。
【0039】なお、実施例2で得られた陶磁器の見掛比
重は、いずれも2.2である。
【0040】実施例3 表3に示す平均粒径のアルミナ粉末を使用し、下記配合
割合とした原料をボールミルにて湿式混合し(バインダ
ーなし)、乾燥、造粒して得た粉体を、乾式で加圧成形
し、1200℃で1時間焼成した。
【0041】原料配合(重量%) アルミナ粉末(α−アルミナ):20 石英粉末 : 0 長 石(正長石) (平均粒径10μm):35 粘 土(蛙目粘土) (平均粒径1μm) :45 得られた陶磁器の曲げ強度を測定し、アルミナ粉末の平
均粒径との関係を表3に示した。なお、表3中、破線で
囲んだ部分が本発明の好適実施例に相当する。
【0042】
【表3】
【0043】表3より、平均粒径0.8〜11μmのア
ルミナ粉末を用いることにより、高強度な陶磁器を得る
ことができることがわかる。
【0044】なお、実施例3で得られた陶磁器の見掛比
重は、いずれも2.2である。
【0045】実施例4 表4に示す平均粒径のアルミナ粉末と石英粉末とを組み
合せて使用し、下記配合割合とした原料をボールミルに
て湿式混合し(バインダーなし)、乾燥、造粒して得た
粉体を、乾式で加圧成形し、1200℃で1時間焼成し
た。
【0046】原料配合(重量%) アルミナ粉末(α−アルミナ):10 石英粉末 :20 長 石(正長石) (平均粒径10μm):30 粘 土(蛙目粘土) (平均粒径1μm) :40 得られた陶磁器の曲げ強度を測定し、アルミナ粉末及び
石英粉末の平均粒径との関係を表4に示した。なお、表
4中、破線で囲んだ部分が本発明の好適実施例に相当す
る。
【0047】
【表4】
【0048】表4より、平均粒径0.8〜11μmのア
ルミナ粉末を用いることにより、特に、平均粒径0.8
〜11μmのアルミナ粉末を用いると共に、平均粒径1
〜20μmの石英粉末を用いることにより、より一層高
強度な陶磁器を得ることができることがわかる。
【0049】なお、実施例4で得られた陶磁器の見掛比
重は、いずれも2.2である。
【0050】実施例5 実施例1において、平均粒径2μmのアルミナ粉末と平
均粒径6μmの石英粉末とを用いたものについて、原料
配合を表5に示す通りとしたこと以外は同様にして陶磁
器を製造し、得られた陶磁器の曲げ強度及び見掛比重を
測定して結果を実施例1における結果(No.1)と共
に表5に示した。
【0051】
【表5】
【0052】表5より、本発明の原料配合により、強度
が高く、しかも比重が小さく、軽量かつ高強度陶磁器が
得られることがわかる。
【0053】これに対して、アルミナを配合していない
No.2では、比重は小さいが強度が低い。また、アル
ミナ配合量の多いNo.3では、比重が大きい上に、焼
結が不十分であることから強度が低い。更に、アルミナ
配合量がNo.3よりも若干少ないものの、本発明範囲
よりは多いNo.4では、強度はある程度高いが、比重
が大きく、薄型軽量化の効果が少ない。
【0054】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の高強度陶磁
器及びその製造方法によれば、少ないアルミナ配合量に
て、比重が小さく、極めて高強度な陶磁器を良好な成形
性及び比較的低い焼成温度により容易かつ効率的に製造
することが可能とされる。
【0055】請求項2,4によれば、より一層高強度な
陶磁器が提供される。
【0056】従って、本発明によれば、製品の薄型軽量
化、大型化、低コスト化が図れ、工業的に極めて有利で
ある。
【0057】
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−232312(JP,A) 特開 平6−305809(JP,A) 特開 昭61−168560(JP,A) 特開 昭53−28446(JP,A) 特開 昭63−156060(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 33/36 C04B 33/13 C04B 35/16

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミナ粉末5〜20重量%、石英粉末
    0〜25重量%、長石25〜35重量%及び粘土35〜
    45重量%を含み、アルミナと石英の合量が30重量%
    以下である窯業原料を焼結してなる陶磁器であって、 該アルミナ粉末の平均粒径が0.8〜11μmであるこ
    とを特徴とする高強度陶磁器。
  2. 【請求項2】 請求項1の陶磁器において、該石英粉末
    の平均粒径が1〜20μmであることを特徴とする高強
    度陶磁器。
  3. 【請求項3】 アルミナ粉末5〜20重量%、石英粉末
    0〜25重量%、長石25〜35重量%及び粘土35〜
    45重量%であって、アルミナと石英の合量が30重量
    %以下となるように窯業原料を混合した後成形し、13
    00℃以下で焼成する高強度陶磁器の製造方法であっ
    て、 該アルミナ粉末の平均粒径が0.8〜11μmであるこ
    とを特徴とする高強度陶磁器の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の方法において、該石英粉末の
    平均粒径が1〜20μmであることを特徴とする高強度
    陶磁器の製造方法。
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