JP3254603B2 - 耐震壁及びその取付構造 - Google Patents

耐震壁及びその取付構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄骨構造物などの
柱と上下の梁からなる主架構内に取付けられ、地震時に
おいて構造物に入力されるエネルギーを塑性変形による
履歴エネルギーとして吸収させ、構造物の塑性化を低減
するための耐震壁及びその取付構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄骨構造物などの主架構内に取付
けられ、構造物に入力されたエネルギーを履歴エネルギ
ーとして吸収させ、構造物の塑性化を低減させるための
耐震壁又は耐震部材として、例えば、特開平6−175
57号公報や実開平5−17024号公報に記載された
発明がある。
【0003】特公平6−17557号公報に記載された
発明(以下従来技術1という)は、高降伏点鋼板と低降
伏点鋼板とを同一垂直面上において並べて接合(又は重
ねて接合)して鋼製耐震壁を構成し、その周囲を鉄骨骨
組に固定したものである。
【0004】また、実開平5−17024号公報に記載
された考案(以下従来技術2という)は、鉄骨からなる
複数の柱の間に複数の梁が相互に横架されている主架構
内において、柱の間で上下の梁の間に上下の梁に接合さ
れた間柱を設け、この間柱の端部間に小耐力間柱部材を
高力ボルトで接続して間柱を設けたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1の構造物用
耐震壁は、部材及び重量が大きいので運搬や施工あるい
は補修が困難であり、また、面積が大きくなるため、面
外座屈補剛のためのリブ材を設けることが必要となる。
また、耐震壁の外周を柱と上下の梁からなる主架構に
固定する必要があるため、コスト高の低降伏点鋼材を使
用する面積が大となる。主架構に固定されるため、耐
力上有効とするためには、耐震壁の中間部だけに低降伏
点鋼材を用いることができず、上下方向を通して低降伏
点鋼材が必要になる。さらに、剛性が高くなりすぎて主
架構に負担がかかるなど、多くの問題がある。
【0006】また、従来技術2の耐震構造は、間柱の剛
性が低いため、多か所に設置することが必要になり、建
造物全体からみるとコスト高になる。
【0007】このような耐震壁に必要な性能、要件を要
約すれば、次の通りである。 (1)地震エネルギーなどを負担できるように、比較的
高い剛性を有すること。 (2)構造物の骨組より先に降伏してエネルギー吸収を
負担できるように、低めの降伏耐力材であること。 (3)降伏後に座屈などにより耐力を低下しないよう
な、適切な幅厚比や補剛を有すること。 (4)先に損傷を受けさせ(エネルギーを負担する)、
主架構への被害を最小限にとどめることを目的とした部
材であるため、大きな地震などの後には、容易に補修や
取替えができるような寸法、組立・取付け方法であるこ
と。 (5)製作・施工コストが低いこと。
【0008】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、比較的高い剛性を有し、地震などのエネルギーを効
率よく吸収することができ、かつ、製作・運搬・施工の
容易な耐震壁及びその取付構造を得ることを目的とした
ものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1)本発明に係る耐震
壁は、H形鋼からなり、ウェブに窓状の開口部又は複数
のスリット状の開口部を設けて降伏耐力の低い領域を形
成した複数のパネルを備え、これらパネルを横方向に連
続して接合したものである。
【0010】(2)また、本発明に係る耐震壁は、H形
鋼からなり、ウェブに開口部を設けて該開口部に前記ウ
ェブの降伏耐力より低い降伏耐力の鋼材を接合した複数
のパネルを備え、これらパネルを横方向に連続して接合
したものである。
【0011】(3)また、本発明に係る耐震壁の取付構
造は、鉄骨構造物などの主架構の上梁と下梁の長手方向
にウェブ固定部及びフランジ固定部を有する複数の取付
部材を連続して取付け、H形鋼からなり、ウェブにこの
ウェブの降伏耐力より低い降伏耐力の領域を有する複数
のパネルの上下を、取付部材のウェブ固定部及びフラン
ジ固定部にそれぞれ着脱可能に固定したものである。
【0012】(4)上記(3)の隣接するパネルのフラ
ンジどうしの固定範囲を変化させることにより、耐震壁
のフランジに作用する軸力及び剛性を調整するようにし
た。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施形態1 図1は本発明の実施形態1に係る耐震壁を鉄骨構造物の
主架構に設置した一例を示す正面図である。1は複数の
パネル2からなる耐震壁で、パネル2は図2に示すよう
に、H形鋼3のウェブ4に例えばガス切断により窓状の
開口部6を設け、この開口部6を、開口部6とほぼ同じ
大きさでH形鋼3のウェブ4より耐力の低い、例えば、
ウェブ4より降伏点の低い鋼材(以下降伏耐力の低い鋼
材という)9で塞ぎ、完全溶け込み溶接により一体に接
合して降伏耐力の低い領域を形成したものである。な
お、ウェブ4の両端部は、フランジ5の両端部から突出
して複数のボルト挿通孔7が設けられている。8はフラ
ンジ5の両端部側に設けた複数のボルト挿通孔である。
なお、ウェブ4のボルト挿通孔7に挿通するボルトと、
フランジ5のボルト挿通孔8に挿通するボルトとが干渉
しない場合は、ウェブ4の両端部は突出させなくてもよ
い。
【0014】再び図1において、11は鉄骨柱、12a
は上階の鉄骨梁(上梁)、12bは下階の鉄骨梁(下
梁)で、これらにより主架構13が構成されている。1
5はパネル2を主架構13内に取付けるための取付部材
で、図3に示すように、鋼材からなり、パネル2のウェ
ブ4の固定部となるウェブ17及びフランジ18とから
なるT字状部材16と、このT字状部材16のフランジ
18の両端部に、ウェブ17と同方向でかつこれと直交
して溶接により固定され、パネル2のフランジ5の固定
部となるプレート20とからなっている。19はウェブ
17に設けた複数のボルト挿通孔、21はプレート20
に設けた複数のボルト挿通孔である。なお、T字状部材
16にはT形鋼を用いてもよく、また、プレート20の
一方を省略することもあり、この場合は取付部材を符号
15aで示す。
【0015】次に、上記のような耐震壁1を鉄骨構造物
の主架構13に設置する場合の施工の一例を説明する。
先ず、取付部材15のフランジ18を主架構13内にお
いて上梁12aの下面と下梁12bの上面に対向して配
設し、溶接あるいはボルト接合により上梁12a及び下
梁12bにそれぞれ固定する。ついで、この取付部材1
5に当接して、一方のプレート20を省略した取付部材
15aを順次上梁12a、下梁12bに固定する。この
とき、両側の取付部材15,15aと鉄骨柱11との間
にはすき間Dが形成される。
【0016】そして、パネル2のウェブ4の両端部を対
向する取付部材15のプレート20の間に挿入し、ウェ
ブ4に設けたボルト挿通孔7を取付部材15のウェブ1
7に設けたボルト挿通孔19と整合させ、両ボルト挿通
孔7,19にボルトを挿通してナットで固定する。同様
にして対向する各取付部材15aの間に順次パネル2を
固定する。なお、この場合、上梁12aと下梁12bと
の間が高く、パネル2が取付けられない場合は、取付部
材15のウェブ17及びプレート20を長くして調整す
ればよい。ついで、隣接するパネル2のフランジ5に設
けたボルト挿通孔8と、各取付部材15,15aのプレ
ート20に設けたボルト挿通孔21にボルトを挿通し、
ナットで固定する。これにより、パネル2の主架構13
への取付けを終り、耐震壁1が構成される。なお、パネ
ル2のフランジ5と取付部材15との接合は一面せん断
形式であるが、二面せん断形式としてもよい。
【0017】上記のような耐震壁1は、各パネル2のH
形鋼3に設けた開口部6の両側のウェブ4及びフランジ
5が連続しており、かつこれらパネル2が取付部材1
5,15aにボルトにより接合されているため、比較的
高い剛性を有し、軸力を支持すると共に、面内曲げを拘
束する。このため、大きい地震などが発生すると、各パ
ネル2の降伏耐力の低い鋼材9が鉄骨構造物などの骨組
より先に降伏して履歴エネルギーを吸収し、主架構13
の塑性化や疲労損傷を低減して健全な状態に維持するこ
とができる。
【0018】また、耐震壁1又はパネル2の一部が損傷
したときは、各パネル2間及び各パネル2と取付部材1
5,15aを接合するボルトを外すことにより、パネル
2を架構13から簡単に取外すことができるので、補修
や取替えを容易に行うことができる。このとき、パネル
2はエレベータにより運搬することができる。
【0019】(実施例)上記実施形態1の実施例では、
パネル2に、降伏点が主架構13を構成する鉄骨柱11
及び上梁12a、下梁12bとほぼ同じ(例えば、24
0N/mm2 程度)で、長さLが2200mmのH形鋼
3を用い、開口部6の長手方向の長さL1 を560mm
とした。なお、開口部6の幅は、ウェブ4の幅が使用す
るH形鋼3によって異なるため一定ではないが、フラン
ジ5の近傍まで開口した。また、開口部6に接合する降
伏耐力の低い鋼材9は、開口部6とほぼ同じ大きさで、
その板厚t1 がウェブ3の板厚の2分の1、降伏点が7
0〜150N/mm2 程度の鋼板を用いた。さらに、取
付部材15,15aには、H形鋼3の降伏点とほぼ同じ
降伏点の鋼材を使用した。なお、上記の各数値はその一
例を示すもので、設計により種々変化する。
【0020】ところで、上記のような耐震壁1において
は、鉄骨構造物などの強度によってその軸力を調整する
必要がある場合がある。よって、以下に図4〜図7によ
り耐震壁1のフランジに発生する軸力の調整例について
説明する。なお、以下の例では、説明を容易にするた
め、3体のパネル2a,2b,2cにより耐震壁1を構
成した場合について述べる。
【0021】図4は各パネル2a〜2cのウェブ4を取
付部材15,15aのウェブ17にそれぞれボルト接合
すると共に、両側のパネル2aと2cの外側のフランジ
5を取付部材15,15aのプレート20にボルト接合
し、パネル2a,2cの内側のフランジ5と中央のパネ
ル2bの両フランジ5,5を取付部材15aのプレート
20に一体にボルト接合したものである(以下ケースA
という)。
【0022】ケースAにおいては、中央のパネル2bの
フランジに発生する軸力(以下矢印で示す)と、両側の
パネル2a,2cのパネル2b側の軸力は互いに相殺さ
れるため、耐震壁1のフランジの端部に発生する軸力は
パネル1体分の軸力に相当する比較的小さい軸力とな
る。このため、地震等が発生した場合は、この軸力に対
応するせん断力が主架構13の上梁12aと下梁12b
に生ずることになる。このように、ケースAにおける軸
力は比較的小さく、したがって、地震等の場合に生ずる
せん断力も比較的小さいため、主架構13の被害を最小
限に抑えることができる。
【0023】図5はパネル2a〜2cのウェブ4を取付
部材15,15aのウェブ17にそれぞれボルト接合す
ると共に、両側のパネル2aと2cの外側のフランジ5
を取付部材15,15aのプレート20にボルト接合す
る。そして、パネル2a,2cの内側のフランジ5と中
央のパネル2bの両側のフランジ5の間にライナープレ
ート8を挿入し、その上下方向のほぼ全長にわたって一
体にボルト接合したものである(以下ケースBとい
う)。
【0024】ケースBにおいては、パネル2a〜2cは
一体に接合されてほぼ剛体として機能するため、隣接す
るパネル2a〜2cのフランジ軸力が相殺されることな
く、端部に各パネル2a〜2cのフランジ軸力を合計し
た大きい軸力が生じる。この構造形式は、主架構13が
十分な強度を保有している場合に、主架構13全体の剛
性を向上させることができる。
【0025】図6はパネル2aと2bはケースAにより
ボルト接合し、パネル2bと2cはケースBによりボル
ト接合したものである。本例においては、パネル2b,
2cは2体分の軸力、またパネル2aは1体分の軸力と
なるので、耐震壁1のパネル2a側は、パネル2bと2
aの軸力の差の軸力となり、パネル2c側は2体分の軸
力となって、パネル2c側に大きいせん断力を生じる。
【0026】図7は、ケースA(図4)において、隣接
するパネル2aと2b、2bと2cのフランジ5の間に
おいて、取付部材15,15aのプレート20に近接し
て短いライナープレート8を挿入し、この部分を一体に
ボルト接合したものである(以下ケースCという)。ケ
ースCの作用はケースAの場合とほぼ同様であるが、軸
力及びせん断力がケースAの場合よりやや大きくなる。
ケースCにおいては、ライナープレート8の長さ、した
がって隣接するパネルのフランジのボルト接合する範囲
を変えることにより、フランジに生じる軸力を調整する
ことができる。
【0027】以上、ケースA,B,C及びケースAとB
を混合した場合について説明したが、これらを適宜組合
せ、あるいは隣接するパネルのボルト接合範囲を変える
ことにより、フランジに生じる軸力を調整することがで
きる。
【0028】実施形態2 本実施形態は実施形態1において、耐震壁1を構成する
パネル2のH形鋼3を、そのウェブ4の板厚が実施形態
1のH形鋼3のウェブ4の板厚より薄いもの(実施例で
は、実施形態1のウェブ4の板厚の3分の2)を用い、
開口部6に実施形態1の場合と同じ降伏耐力の低い鋼材
9を接合し、開口部6の上下に、開口部6に近接してス
チフナを溶接により設けたものである。
【0029】実施形態3 本実施形態は、実施形態1の耐震壁1を構成するパネル
2において、H形鋼3の開口部6に接合する降伏耐力の
低い鋼材9を、H形鋼3のウェブ4の板厚と同じで、降
伏点がウェブ4の降伏点より大幅に低い(例えば、10
0N/mm2 )の鋼材9を用いたものである。
【0030】実施形態4 本実施形態は、耐震壁1を構成するパネル2において、
図2に示すH形鋼3のウェブ4に設けた開口部6に降伏
耐力の低い鋼材9を接合せず、開口状態にして降伏耐力
の低い領域を成形したものである。なお、開口部6の大
きさは設計上種々変更するものとし、また、開口部6の
上下に実施形態2に示すようなスチフナ9を設けてもよ
い。
【0031】実施形態5 本実施形態は、図8に示すように、耐震壁1を構成する
パネル2において、H形鋼3のウェブ4に複数のスリッ
ト(開口部)6aを設け、これにより降伏耐力の低い領
域を形成したものである。
【0032】実施形態6 本実施形態は、上記各実施形態において、取付部材15
にH形鋼を用い、そのウェブ及びフランジにパネル2の
ウェブ4及びフランジ5をそれぞれ着脱可能に接合する
ようにしたものである。これにより、剛性の調整及び主
架構13の上梁12a、下梁12bへのパネル2のフラ
ンジ5からの軸力を軽減することができる。
【0033】上述の実施形態1〜3においては、パネル
2を構成するH形鋼3のウェブ4の1か所に開口部6を
設け、この開口部6に降伏耐力の低い鋼材9を接合して
降伏耐力の低い領域を形成した場合を示したが、開口部
6を2か所以上設け、各開口部6又は一部の開口部6に
降伏耐力の低い鋼材9を接合してもよい。なお、実施形
態4,5においても、降伏耐力の低い領域を2か所以上
設けてもよい。また、開口部6に完全溶け込み溶接によ
り降伏耐力の低い鋼板9を接合した場合を示したが、す
み肉溶接により接合してもよい。
【0034】また、上記の各実施形態では、鉄骨構造物
に本発明を実施した場合を示したが、本発明は、鉄骨鉄
筋コンクリート構造物、鉄筋コンクリート構造物、柱鉄
筋コンクリート構造物、梁鉄骨構造物などの混合構造物
にも実施しうることは云う迄もない。なお、鉄骨鉄筋コ
ンクリート構造物、鉄筋コンクリート構造物に設置する
場合は、耐震壁をアンカー、スタッド及びグラウトモル
タルにより接合すればよい。
【0035】さらに、上記の説明では、複数のパネルか
らなる耐震壁により主として地震エネルギーを吸収する
場合について述べたが、本発明に係る耐震壁は、風など
による振動エネルギーを吸収する制振壁として使用する
こともできる。
【0036】
【発明の効果】(1)本発明に係る耐震壁は、H形鋼か
らなり、ウェブに窓状の開口部又は複数のスリット状の
開口部を設けて降伏耐力の低い領域を形成した複数のパ
ネルを備え、これらパネルを横方向に連続して接合した
ので、これを鉄骨構造物などの主架構に設置したとき
は、構造物の骨組より先に降伏して地震エネルギーや振
動エネルギーを吸収するので、構造物の塑性化や疲労損
傷を軽減することができる。また、比較的高い剛性を有
し、軸力を支持すると共に、面内曲げを拘束するため、
降伏後においても座屈などにより耐力が低下することが
ない。さらに、複数のパネルを着脱可能に連接して構成
したので、製作、運搬、施工が容易で安価であり、ま
た、パネルはエレベータに収容できるので、補修や取替
が容易である。
【0037】(2)また、本発明に係る耐震壁は、H形
鋼からなり、ウェブに開口部を設けて該開口部に前記ウ
ェブの降伏耐力より低い降伏耐力の鋼材を接合した複数
のパネルを備え、これらパネルを横方向に連続して接合
したので、上記(1)と同様の効果を得ることができ
る。
【0038】(3)本発明に係る耐震壁の取付構造は、
鉄骨構造物などの架構の上梁と下梁の長手方向にウェブ
固定部及びフランジ固定部を有する複数の取付部材を連
続して取付け、H形鋼からなりウェブにこのウェブの降
伏耐力より低い降伏耐力の領域を有する複数のパネルの
上下を、取付部材のウェブ固定部及びフランジ固定部に
それぞれ着脱可能に固定するようにしたので、上記
(1)と同様の効果がえられるばかりでく、耐震壁又は
これを構成するパネルが損傷したときは、耐震壁又はパ
ネルを取付部材から簡単に外すことができ、施工や補
修、取替が容易である。
【0039】(4)上記(3)の隣接するパネルのフラ
ンジどうしの固定範囲を変化させることにより、耐震壁
のフランジに作用する軸力及び剛性を調整するようにし
たので、これを設置する鉄骨構造物などの強度に応じて
その軸力及び剛性を調整して、構造物の座屈や破壊を防
止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る耐震壁を鉄骨構造物
の主架構に設置した例を示す正面図である。
【図2】図1のパネルの一例の斜視図である。
【図3】図1の取付部材の一例の斜視図である。
【図4】本発明に係る耐震壁の軸力の調整例を示す説明
図である。
【図5】本発明に係る耐震壁の軸力の調整例を示す説明
図である。
【図6】本発明に係る耐震壁の軸力の調整例を示す説明
図である。
【図7】本発明に係る耐震壁の軸力の調整例を示す説明
図である。
【図8】実施形態5のパネルの斜視図である。
【符号の説明】
1 耐震壁 2 パネル 3 H形鋼 4 ウェブ 5 フランジ 6,6a 開口部 9 降伏耐力の低い鋼材 11 鉄骨柱 12a 上梁 12b 下梁 13 主架構 15,15a 取付部材 17 ウェブ固定部 20 フランジ固定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加村 久哉 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 岡本 晴仁 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 中村 信行 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 廣田 実 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 太田 道彦 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式 会社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 高橋 賢司 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式 会社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 井ノ上 一博 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式 会社竹中工務店東京本店内 (72)発明者 金子 洋文 千葉県印西市大塚1丁目5番地1 株式 会社竹中工務店技術研究所内 (72)発明者 鹿島 孝 東京都中央区銀座八丁目21番1号 株式 会社竹中工務店東京本店内 (56)参考文献 特開 平5−263467(JP,A) 特開 平9−13738(JP,A) 実開 昭64−24265(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E04H 9/02

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 H形鋼からなり、ウェブに窓状の開口部
    又は複数のスリット状の開口部を設けて降伏耐力の低い
    領域を形成した複数のパネルを備え、これらパネルを横
    方向に連続して接合したことを特徴とする耐震壁。
  2. 【請求項2】 H形鋼からなり、ウェブに開口部を設け
    該開口部に前記ウェブの降伏耐力より低い降伏耐力の
    鋼材を接合した複数のパネルを備え、これらパネルを横
    方向に連続して接合したことを特徴とする耐震壁。
  3. 【請求項3】 鉄骨構造物などの主架構の上梁と下梁の
    長手方向にウェブ固定部及びフランジ固定部を有する複
    数の取付部材を連続して取付け、 H形鋼からなり、ウェブに該ウェブの降伏耐力より低い
    降伏耐力の領域を有する複数のパネルの上下を、前記取
    付部材のウェブ固定部及びフランジ固定部にそれぞれ着
    脱可能に固定したことを特徴とする耐震壁の取付構造。
  4. 【請求項4】 隣接するパネルのフランジどうしの固定
    範囲を変化させることにより、耐震壁のフランジに作用
    する軸力及び剛性を調整することを特徴とする請求項3
    記載の耐震壁の取付構造。
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