JP3590859B2 - 制振鋼板ユニット - Google Patents
制振鋼板ユニット Download PDFInfo
- Publication number
- JP3590859B2 JP3590859B2 JP30630596A JP30630596A JP3590859B2 JP 3590859 B2 JP3590859 B2 JP 3590859B2 JP 30630596 A JP30630596 A JP 30630596A JP 30630596 A JP30630596 A JP 30630596A JP 3590859 B2 JP3590859 B2 JP 3590859B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel plate
- energy absorbing
- damping
- plate unit
- steel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Building Environments (AREA)
- Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、制振鋼板ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄骨造の構面に制振ダンパーを組み込む制振方法の一つに、鋼板耐震壁がある。この鋼板耐震壁は、柱及び梁間全面に鋼板を取り付けるものである。この方法によると、通行のための開口や、ダクトや配管の貫通開口を設けることが困難であり、その配置が限定され、有効な制振が実現できない。
又、構面全面に重量のある鋼板を取り付けるため、取り付けが大変であり、さらに鋼板耐震壁の破損の際の交換も手間取るという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の諸問題を解決するためになされ、通行のための開口や、ダクトや配管の貫通開口を有する構面にもフレキシブルに対応でき、開口の配置が限定されず、有効な制振を実現することができ、取付作業が容易でコストダウンが図れ、しかも破損の際の取り替え作業も簡単にできるようにした制振鋼板ユニットを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を技術的に解決するための手段として、本発明は、上下の梁と左右の柱で囲まれた構面の全部又は一部に組み込む制振鋼板ユニットであって、前記上下の梁に取り付ける間柱と、この間柱間に取り付ける複数枚のエネルギー吸収用鋼板とから構成され、前記間柱は前記上下の梁にある程度遊びを持たせて取り付けられ、これらの間柱間に前記エネルギー吸収用鋼板を差し渡して固定し、上下に隣接するエネルギー吸収用鋼板間には僅かな隙間を持たせるようにモジュール化した制振鋼板ユニットを要旨とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳説する。
図1は本発明に係る制振鋼板ユニット1の実施の一形態を示すもので、鉄骨造架構の上下の大梁2A、2Bと左右の柱3A、3B(図3参照)で囲まれた構面4内に所定の間隔をあけて間柱5を立設し、これらの間柱5間に複数枚のエネルギー吸収用鋼板6を配設してある。
【0006】
前記間柱5は、上下の大梁2A、2Bにピン又はボルト等の止め具7でその止め具の軸方向にある程度遊びを持たせて取り付けられ、これらの間柱5間に前記エネルギー吸収用鋼板6を差し渡して固定し、上下のエネルギー吸収用鋼板6間には僅かな隙間を持たせてある。間柱5及びエネルギー吸収用鋼板6の寸法は、鉄骨造架構に応じて予めモジュール化されている。又、必要に応じて、エネルギー吸収用鋼板6の端部にリブプレート(図略)を設けることも可能である。
【0007】
前記エネルギー吸収用鋼板6は、例えば極低降伏点鋼(以下、極軟鋼)より形成され、図2のように地震時等に水平方向に変形した場合に剪断降伏によってエネルギーを吸収する。尚、図1において8はスラブである。
【0008】
このように形成された制振鋼板ユニット1は、例えば図3(イ) 〜(ニ) に示すように鉄骨造架構に組み込むことができる。図3(イ) は、上下の大梁2A、2Bと左右の柱3A、3Bで囲まれた構面4内の全体に組み込んだ例を示すものである。この際、左右の柱3A、3Bと両端部の間柱5との間は適宜の隙間が形成される。
【0009】
図3(ロ) は、上下の大梁2A、2Bと左右の柱3A、3Bで囲まれた構面4内の一部に組み込んだ例を示すもので、2本の間柱5を所定の箇所に立設しその間に4枚のエネルギー吸収用鋼板6を配設したものである。
【0010】
図3(ハ) は、上下の大梁2A、2Bと左右の柱3A、3Bで囲まれた構面4内に出入口4a等の開口部を設ける例であり、4本の間柱5を所定の箇所に立設しそれらの間に複数枚のエネルギー吸収用鋼板6を配設し、出入口4aとなる柱3B寄りの区分は最上部のみエネルギー吸収用鋼板6を取り付け、柱3A寄りの区分は開口部4bとしたものである。この出入口4aや開口部4bは、図示の箇所に限定されず構面4の任意の箇所に設けることが可能である。
【0011】
図3(ニ) は、上下の大梁2A、2Bと左右の柱3A、3Bで囲まれた構面4内にダクト開口部4cを設ける例を示すもので、中央部の2つの区分のみ最上部にエネルギー吸収用鋼板6を取り付けないでダクト開口部4cを形成したものである。左右の区分はそれぞれ4枚のエネルギー吸収用鋼板6を配設する。このダクト開口部4cも図示の箇所に限定されず構面4の任意の箇所に設けることが可能である。
【0012】
制振鋼板ユニット1は厚さ寸法が小さく、大梁2A、2Bの梁幅以下のスペースに納まるので、平面計画上や設計上の自由度が高く、いかなる壁設定にもフレキシブルに対応することができる。
【0013】
このようにして、上下の大梁2A、2Bと左右の柱3A、3Bで囲まれた構面4内に制振鋼板ユニット1を配設することにより制振壁を容易に形成することができ、地震時等に外力が加わると、エネルギー吸収用鋼板6の剪断応力により振動エネルギーを吸収することができ、制振壁としての作用を充分発揮することができる。
【0014】
又、大地震時には、極軟鋼であるエネルギー吸収用鋼板6が剪断降伏してエネルギーを効率良く吸収し、大梁2A、2Bや柱3A、3B等の架構に有害な残留変形を残すことはない。このため、地震後に修復する場合には制振鋼板ユニット1を取り替えれば良く、しかも部分的に破壊した時にはその破壊した箇所のみを交換するだけで済む。従って、取り替え作業は簡単であり、作業に要する時間も費用も最小限に抑えることができる。
【0015】
尚、制振鋼板ユニット1の剛性、降伏耐力等の調整は、エネルギー吸収用鋼板6のサイズ即ち縦横の長さ、厚さを変えることで容易に達成できかつ要求に応じて任意に調整することが可能である。
【0016】
図4(イ) 、(ロ) は本発明に係る制振壁の実施の一態様を示すもので、上下の大梁12A、12Bと左右の柱13A、13Bで囲まれた構面14を複数面(図例では6面)に分割し、各分割面にエネルギー吸収用鋼板17A〜17Fをそれぞれ配設した構成のものである。
【0017】
この場合、最上部のエネルギー吸収用鋼板17A、17Bは上部の大梁12Aに高力ボルト等の止め具で結合し、最下部のエネルギー吸収用鋼板17E、17Fは下部の大梁12Bに高力ボルト等の止め具(図略)で結合し、横方向に隣接するエネルギー吸収用鋼板17Aと17B、17Cと17D、17Eと17Fは端部に形成した縦リブ18(図5参照)同士を止め具20で結合一体化し、縦(上下)方向に隣接するエネルギー吸収用鋼板17Aと17Bと17E、17Bと17Dと17Fは端部に形成した横リブ19(図5参照)同士を止め具20で結合一体化する。
【0018】
エネルギー吸収用鋼板17A〜17Fは極軟鋼で形成する。極軟鋼は剪断降伏を生じる際に、比較的小さな変形から大きな履歴減衰性能を発揮することができる。又、中間部に位置する17Cと17Dのみを極軟鋼とし、上下部に位置する17A、17B、17E、17Fを通常の高張力鋼とすることもできる。一部のみを極軟鋼としその他を普通鋼材(高張力鋼材)とすることで、降伏部位の剪断歪をより大きくすることができ、これによりダンパー効果を発揮する部位を限定することができ、地震後の点検や取り替えが容易になる。
【0019】
更に、図5(イ) 、(ロ) に示すように各エネルギー吸収用鋼板(図例ではエネルギー吸収用鋼板17E)の上下端部の両面に、面外座屈を防止するために必要に応じてリブプレート21を一定の間隔をあけて並設(一部図略)しても良い。
尚、図5(イ) において22はスラブであり、図5(ロ) において23はスラブ22内に位置する補助材である。
【0020】
このように構成された制振壁は、外観上の形態は一般の鋼板耐震壁の場合と同じであり、構造計画、建築計画上の特別な制約がないため従来の耐震設計と同様の設計作業で盛り込むことができる。又、従来のブレースに比較すると、鋼材の断面積が大きいため耐力と剛性の大きな制振構造となり、効率良くエネルギー吸収をさせることができる。
【0021】
地震時等に外力が加わると、前記制振鋼板ユニット1と同様にエネルギー吸収用鋼板17A〜17Fの剪断応力により振動エネルギーを吸収することができ、制振壁としての作用を充分発揮することができ、大地震時等に一部破壊した時にはその破壊したエネルギー吸収用鋼板のみを取り替えるだけで済むので、取り替え作業が簡単であり、作業時間及び費用を最小限に抑えることができる。将来、より効果的な材料が開発された場合には、その材料で形成された板材に取り替えることも可能である。
【0022】
本発明による制振壁は、ユニット化したことにより運搬、取り付け、取り替えが容易になり、特に既存構造物の耐震補強や改修計画において大きなメリットとなる。更に、地震時の応答が小さくなるため、通常の鉄骨構造と比較して断面を小さくすることが可能となり、コストダウンに貢献することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、エネルギー吸収用鋼板の剪断応力によるエネルギー吸収を利用し、そのエネルギー吸収用鋼板と間柱とをモジュール化して制振鋼板ユニットを構成したので、鉄骨造架構における上下の梁と左右の柱で囲まれた構面に開口部を有する場合にもフレキシブルに対応することができ、かつ取り付けが容易にできてコストダウンが図れ、厚さが薄くて平面計画上や設計上の自由度が高く、降伏応力が小さくて建物に有害な残留変形を残さず、地震後の取り替え作業も簡単にしかも安価にできる等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制振鋼板ユニットの実施の一態様を示す概略図である。
【図2】制振鋼板ユニットに外力が加わった時の状態を示す説明図である。
【図3】鉄骨造架構に制振鋼板ユニットを組み込む例を示すもので、(イ) は上下の梁と左右の柱で囲まれた構面全体に設ける場合、(ロ) は構面の一部に設ける場合、(ハ) は出入口等の開口部を設ける場合、(ニ) はダクト開口部を設ける場合、のそれぞれ説明図である。
【図4】本発明に係る制振壁の実施の一態様を示すもので、(イ) は概略正面図、(ロ) はその概略断面図である。
【図5】同、制振壁の一部を示すもので、(イ) は概略正面図、(ロ) はその概略断面図である。
【符号の説明】
1…制振鋼板ユニット
2A、2B…大梁
3A、3B…柱
4…構面
4a…出入口 4b…開口部 4c…ダクト開口部
5…間柱
6…エネルギー吸収用鋼板
7…止め具
8…スラブ
12A、12B…大梁
13A、13B…柱
14…構面
17A〜17F…エネルギー吸収用鋼板
18…縦リブ
19…横リブ
20…止め具
21…リブプレート
22…スラブ
23…補助材
Claims (1)
- 上下の梁と左右の柱で囲まれた構面の全部又は一部に組み込む制振鋼板ユニットであって、前記上下の梁に取り付ける間柱と、この間柱間に取り付ける複数枚のエネルギー吸収用鋼板とから構成され、前記間柱は前記上下の梁にある程度遊びを持たせて取り付けられ、これらの間柱間に前記エネルギー吸収用鋼板を差し渡して固定し、上下に隣接するエネルギー吸収用鋼板間には僅かな隙間を持たせるようにモジュール化したことを特徴とする制振鋼板ユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30630596A JP3590859B2 (ja) | 1996-11-18 | 1996-11-18 | 制振鋼板ユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30630596A JP3590859B2 (ja) | 1996-11-18 | 1996-11-18 | 制振鋼板ユニット |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10147999A JPH10147999A (ja) | 1998-06-02 |
JP3590859B2 true JP3590859B2 (ja) | 2004-11-17 |
Family
ID=17955512
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30630596A Expired - Fee Related JP3590859B2 (ja) | 1996-11-18 | 1996-11-18 | 制振鋼板ユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3590859B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5313559B2 (ja) * | 2008-06-19 | 2013-10-09 | 株式会社竹中工務店 | 耐震壁形成方法 |
-
1996
- 1996-11-18 JP JP30630596A patent/JP3590859B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10147999A (ja) | 1998-06-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101263078B1 (ko) | 접합 철물 및 이것을 구비한 건축물 | |
JP3629638B2 (ja) | 高剛性で損傷制御性に優れた鉄骨構造用の鋼製柱と鋼製梁の接合構造 | |
JP2000204788A (ja) | 鋼製制震ダンパ―および鋼製制震ダンパ―による制震装置 | |
JP2010276080A (ja) | エネルギー吸収部材及び該エネルギー吸収部材を設置した構造物 | |
JP3848656B2 (ja) | 制振装置の取付構造 | |
JP3772415B2 (ja) | 建物の制振構造 | |
JP3590859B2 (ja) | 制振鋼板ユニット | |
JP4181680B2 (ja) | 制震ブレースダンパー及びそれに用いるエネルギー吸収体とこれの設計方法 | |
JP2602888Y2 (ja) | 弾塑性ダンパー | |
KR102130843B1 (ko) | 댐퍼가 구비된 강재 브레이스를 이용하여 내진 보강한 콘크리트 구조물 | |
JP4411444B2 (ja) | 構造物へのせん断パネル型ダンパー取付け構造 | |
JP3463087B2 (ja) | 制震建物の構造 | |
JPH10306499A (ja) | 制振建物 | |
JP3690460B2 (ja) | 制震ダンパーおよび制震構造 | |
JP3397220B2 (ja) | 制振装置 | |
JP2009035949A5 (ja) | ||
JP3671311B2 (ja) | 既存建築物の制振補強構造 | |
JP4402852B2 (ja) | 制振構造 | |
JP2001227194A (ja) | 制振構造及びその構築方法 | |
JPH10317712A (ja) | 制振壁とその施工方法 | |
JP7262518B2 (ja) | 間柱型鋼材ダンパー | |
JP3600995B2 (ja) | 制振躯体構造 | |
JP2002303351A (ja) | エネルギー吸収体 | |
JP2583391Y2 (ja) | 制振装置 | |
JP3600887B2 (ja) | エネルギー吸収機構を備えた柱梁接合部 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040204 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040406 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040415 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040727 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040805 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100903 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100903 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110903 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110903 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120903 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120903 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130903 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |