JP2000213177A - 耐震補強鋼板を用いた耐震補強構造及びその取付方法 - Google Patents

耐震補強鋼板を用いた耐震補強構造及びその取付方法

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JP2000213177A
JP2000213177A JP11017672A JP1767299A JP2000213177A JP 2000213177 A JP2000213177 A JP 2000213177A JP 11017672 A JP11017672 A JP 11017672A JP 1767299 A JP1767299 A JP 1767299A JP 2000213177 A JP2000213177 A JP 2000213177A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 補強鋼板及びその取付構造を十分な剛性を保
てる形状とすること、及びその配置位置が梁の面外であ
っても支持強度が高い取付方法を提供する。 【解決手段】 既設鉄筋コンクリート構造物における上
下のスラブ6間に、横方向に所定間隔をおいて断面T字
形の複数のリブ材12を縦設し、各リブ材12のフラン
ジ12a間に耐震補強鋼板10を多段に固定した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震補強鋼板を用
いた耐震補強構造及びその取付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄筋コンクリート構造物の耐震補強手段
の一つに、例えば特開平9−158490号公報、及び
特公昭57−12833号公報に示すように、既設コン
クリート壁面に耐震補強鋼板を取付ける技術が開示され
ている。図6は、これらの公報に開示された従来の補強
鋼板の取付構造を示すもので、梁1の下部において、既
設壁面2の一面に亘って補強鋼板3を複数のアンカー4
を介して固定している。
【0003】また、この耐震補強鋼板3の耐震効果を上
げるためには、その上下端部を後施工によりアンカー5
することが必要であり、従って、通常では、補強鋼板の
設置位置を梁1の幅内に設定し、梁1の下部から、下階
の梁1上のスラブ6まで補強鋼板3を配置している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の耐震補強鋼板を用いた耐震補強構造にあって
は、次のような技術的課題があった。第一の課題は、補
強鋼板3自体を少なくとも壁面の一辺の長さに相当する
辺長を有する大きさのパネルとしていたため、小運搬、
取付作業にも動力機械を要するなど作業に制約を伴うこ
とである。
【0005】また、第二の課題は、梁に対して壁が偏心
して設けられている場合などにおいて、事情により補強
鋼板を梁側面に設置しなければならない場合も生ずる
が、この場合には、補強鋼板3の下端が無梁である床ス
ラブ位置となり、施工後のアンカー支持力が不十分とな
り、同じく耐震性能低下の原因となるおそれがあること
である。
【0006】本発明は、以上の課題を解決するものであ
って、その目的は、補強鋼板及びその取付構造を十分な
剛性を保てる形状とすること、及びその配置位置が梁の
面外であっても支持強度が高い取付方法を提供するもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明は、既設鉄筋コンクリート構造物における上
下の梁またはスラブ間に、横方向に所定間隔をおいて形
鋼のごときフランジとウェブからなる複数のリブ材を縦
設し、各リブ材の間に少なくとも対向する二辺にフラン
ジを有する耐震補強鋼板を、前記対向する二辺のフラン
ジを水平にして、多段に固定したことを特徴とするもの
である。したがって、本発明の耐震構造では、リブ材の
ウェブと耐震補強鋼板のフランジとが、格子状のスチフ
ナーとして働くので、耐震補強構造の座屈を防止する。
また、各部材は、作業員の持ち運びに適当なサイズおよ
び重量になるため、小運搬が容易である。さらに、組立
にあたっては、縦設したリブ材間に耐震補強鋼板を積み
上げるかたちで行うことができるほか、多段に配置され
る耐震補強鋼板相互間の固定を、相互のフランジ部を接
合するボルトにより行うことができるため、作業は小回
りとなり、耐震補強対象建物内での執務・居住の妨げを
極力抑えた施工が可能である。
【0008】この発明において、前記各耐震補強鋼板は
溝鋼からなり、耐震補強鋼板同士をそのフランジ部を対
向させて上下に突合わせ、フランジ間を貫通するボルト
ナットを用いて互いに連結した構成とすることで、耐震
補強鋼板が溝形鋼であるため、フランジを溶接する加工
手間を省くことができる。
【0009】また、上記発明において、前記リブ材がT
形鋼である構成とすれば、リブ材がT形鋼であるので、
ウェブの一端にはフランジがなく、耐震補強鋼板の取付
けの際に障害がなく、作業が容易である。
【0010】本発明方法では、耐震補強鋼板の上部を梁
の下部の側面にアンカーするとともに、鋼板の下端に位
置する床スラブを穿孔し、この孔に通したボルトによ
り、鋼板の下端と、下階の梁の上部の側面にアンカーさ
れた補強鋼材とをボルト締めすることを特徴とするもの
である。この発明方法によれば、耐震補強鋼板の上端を
梁の下部側面までの高さに留めることにより、耐震補強
鋼板の面積を少なくすることができるので、資材が節約
され、運搬、取付け作業が容易である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1,
2は本発明の第一実施形態を示す。なお、従来と同一箇
所には同一符号を付し、新たに説明を加え、あるいは新
規部分にのみ新たな符号を用いて説明する。
【0012】同図において、既設コンクリート壁面2
は、梁1及び柱7に対してその一面が同一面に形成され
ており、補強鋼板10はその面一側に多段に配置され
る。この補強鋼板10の取付に先立ち、壁面2には断面
T字形をなすCT(カットティー)材からなるリブ材1
2が例えばケミカルアンカー14により横方向に所定間
隔をおいて縦設状態に取付けられ、このリブ材12のフ
ランジ12aに補強鋼板10の両側部が溶接により多段
に固定される。
【0013】各補強鋼板10は溝形鋼から構成され、そ
の上下フランジ10a同士を突合わせた状態で縦配列さ
れ、両フランジ10a間を貫通してボルトナット16に
より連結することで互いに連結される。
【0014】スラブ6上に設置された最下部の補強鋼板
10のフランジ10aには長尺ボルト18が挿通され、
この長尺ボルト18はスラブ6を貫通して、その下階の
壁面に固定された受け部材20に連結される。この受け
部材20は、前記補強鋼板10よりやや幅狭な溝形鋼か
らなるものであって、壁面2の最上位置に複数のケミカ
ルアンカー14を介して固定され、その上部フランジ2
0aを貫通する長尺ボルト18の先端にナットを介して
連結するようにしている。
【0015】従って、各補強鋼板10の取付状態では、
リブ材12のウェブ12b、及び各補強鋼板10のフラ
ンジ10aによって平板状でなく立体的形状に組上が
り、これらウェブ12b及びフランジ10aにより剛性
が付与されるため、挫屈強度が向上し、より大きな耐震
性を得られることになる。また、最下部の補強鋼板はス
ラブ下に固定された受け部材20に連結しているため、
補強鋼板を受ける床スラブの下に梁が位置しなくても、
十分な支持力を得ることが出来る。
【0016】図2は、本発明の第二実施形態を示す。本
実施形態では、各補強鋼板10がその階の壁面2の上部
から下部まで全面に亘り配置され、また当該階の最下部
の補強鋼板10とその下階の最上部の補強鋼板10同士
がスラブ6を貫通する長尺ボルトによって連結されてい
るほかは第一実施形態と同一である。
【0017】本実施形態では、その壁面2全体に補強鋼
板が取付けられているため、さらに耐震性が増す。また
各補強鋼板同士は各階を通じても互いに連結されている
ため、支持強度も高いものとなる。
【0018】図4,5は本発明の第三実施形態を示すも
のである(なお、図4の上面図は補強鋼板を両側に設け
た場合を示し、側面図は補強鋼板を片側のみに設けた場
合を示す)。本実施形態では、既設鉄筋コンクリート壁
のない部分に新たに多数の耐震補強鋼板30を用いて耐
震壁を構築する場合を示している。まず、梁1に沿って
横方向に所定間隔でリブ材12を縦列する。リブ材12
は各階のスラブ6を縦通させて配置する。
【0019】その後、リブ材12のフランジ12a間に
補強鋼板30を配置する。補強鋼板30は前記実施形態
よりも幅広であって、上下だけでなく、左右にもフラン
ジ30を形成したものであり、左右両側に開口されたボ
ルト孔30bを通じてボルトナット16によりリブ材1
2に連結する。また上下フランジ30a間は同じくボル
トナット16を通じて上下の補強鋼板30同士を連結す
る。また、スラブ6を挟む上下階同士は長尺ボルト18
により連結する。
【0020】なお、以上の補強鋼板30は、図4の側面
図で示す場合のようにリブ材12の表側のみに連結して
も良いが、図4の平面図に示すように、リブ材12の裏
側にも補強鋼板30を接合することでさらに耐震性が増
すことになる。また、補強鋼板30の上下スラブ6との
接合位置、及びリブ材12の背面と梁1の接触位置には
グラウト注入により隙間を埋め、各部一体化を図ること
が出来る。
【0021】従って、本実施形態は、既設の鉄筋コンク
リート壁がない場所に新たに耐震補強壁を構築する場合
に好適である。
【0022】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明による耐震補強鋼板を用いた耐震補強構造によれば、
補強鋼板及びその取付構造を十分な剛性を保てる形状と
することが出来、より高い耐震効果を得ることが出来、
しかも、耐震補強対象建物内での執務・居住の妨げを極
力抑えた施工が可能である。また、本発明方法によれ
ば、耐震補強鋼板の配置位置が梁の面外であっても支持
強度を高くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態による上面図、正面図及
び側面図である。
【図2】同一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の第二実施形態による上面図、正面図及
び側面図である。
【図4】本発明の第三実施形態による上面図、正面図及
び側面図である。
【図5】同一部を拡大して示す斜視図である。
【図6】従来の耐震鋼板の取付構造を示す側面図であ
る。
【符号の説明】
1 梁 2 壁面 6 スラブ 10,30 耐震補強鋼板 10a,30a フランジ 12 リブ材 12a フランジ 12b ウエッブ 20 受け部材 16 ボルトナット 18 長尺ボルト

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設鉄筋コンクリート構造物における上
    下の梁またはスラブ間に、横方向に所定間隔をおいて形
    鋼のごときフランジとウェブからなる複数のリブ材を縦
    設し、各リブ材の間に少なくとも対向する二辺にフラン
    ジを有する耐震補強鋼板を、前記対向する二辺のフラン
    ジを水平にして、多段に固定したことを特徴とする耐震
    補強鋼板を用いた耐震補強構造。
  2. 【請求項2】 前記各耐震補強鋼板は溝鋼からなり、耐
    震補強鋼板同士をそのフランジ部を対向させて上下に突
    合わせ、フランジ間を貫通するボルトナットを用いて互
    いに連結したことを特徴とする請求項1に記載の耐震補
    強鋼板を用いた耐震補強構造。
  3. 【請求項3】 前記リブ材がT形鋼であることを特徴と
    する請求項1または2に記載の耐震補強鋼板を用いた耐
    震補強構造。
  4. 【請求項4】 耐震補強鋼板の上部を梁の下部の側面に
    アンカーするとともに、鋼板の下端に位置する床スラブ
    を穿孔し、この孔に通したボルトにより、鋼板の下端
    と、下階の梁の上部の側面にアンカーされた補強鋼材と
    をボルト締めすることを特徴とする耐震補強鋼板の取付
    方法。
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