JP3253293B2 - 浸炭および浸炭窒化用鋼 - Google Patents

浸炭および浸炭窒化用鋼

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JP3253293B2 JP2000193780A JP2000193780A JP3253293B2 JP 3253293 B2 JP3253293 B2 JP 3253293B2 JP 2000193780 A JP2000193780 A JP 2000193780A JP 2000193780 A JP2000193780 A JP 2000193780A JP 3253293 B2 JP3253293 B2 JP 3253293B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高いピッチング疲
労強度と共に高い衝撃強度が要求される歯車やシャフト
類に適用される浸炭および浸炭窒化用鋼に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては、曲げ疲労強度を向
上する為に、疲労亀裂の原因となる粒界酸化相を低減す
る目的で、Feより酸化され易い元素であるSi,Mn
およびCr等を低減させ、Feより酸化されにくい元素
であるNi,Mo等で焼入性、機械的性質を調整する技
術やショットピーニングにより表面圧縮残留応力を付与
し、疲労亀裂の進展を遅らせる技術等がある。さらに
は、曲げ疲労強度が改善されたことによりクロースアッ
プされてきたピッチング疲労強度の改善を目的にSiや
Vの添加が検討された例が報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、自動車や産業機
械類の軽量化およびエンジン高出力化への対応として、
歯車やシャフト類のさらなる小型・軽量化と高応力負荷
化が要求されてきており、ピッチング疲労強度と共に衝
撃強度を向上する必要が生じてきており、従来技術では
これらの両立が困難であるといった問題点が出てきた。
【0004】本発明が解決しようとする課題は、上記の
ような問題点を鑑み、鋼の化学成分を調整することだけ
で、ピッチング疲労強度と共に衝撃強度も同時に改善す
ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する手
段として、Si含有量を増量することにより浸炭あるい
は浸炭窒化処理後の鋼の焼戻し硬さを向上すると共に、
NiあるいはMoを単独、若しくは複合添加することに
より浸炭層および心部の破壊靭性値を向上することであ
る。そして、具体的には、質量パーセントで、C=0.
10〜0.30%、Si=0.40〜1.00%、Mn
=0.30〜1.50%、P=0.035%以下、S=
0.005〜0.050%、Ni=0.00〜1.00
%、Cr=0.30〜1.50%、Cu=0.01〜
0.50%、Mo=0.00〜1.00%、Al=0.
010〜0.035%、Nb=0.001〜0.050
%、N=0.0050〜0.0200%、O=0.00
15%以下、を含有し、さらに、Mo+Niで示される
パラメーターが0.30%以上2.00%以下で、残部
Fe並びに不可避的不純物元素からなることを特徴とす
る浸炭および浸炭窒化用鋼である。また、かかる鋼に、
さらに質量パーセントで、V=0.01〜0.50%、
Ti=0.005〜0.050%、B=0.0005〜
0.0050%、のうちから1種または2種以上を含有
する浸炭および浸炭窒化用鋼である。さらには、これら
の鋼中に被削性を向上する元素で、かつ、疲労特性を著
しく阻害しない元素として、質量%で、Pb=0.01
〜0.09%、Bi=0.04〜0.20%、Te=
0.002〜0.050%、Zr=0.01〜0.20
%、Ca=0.0001〜0.0100%のうちから1
種または2種以上を含有している浸炭および浸炭窒化処
理用鋼である。
【0006】本発明者等は、ピッチング疲労強度と衝撃
強度について、鋭意研究を重ねた結果、鋼の化学成分を
調整することによって、浸炭および浸炭窒化用鋼として
想定しうる化学成分の範囲全般においても、それらの強
度を向上する方法を見出した。
【0007】その化学成分の調整の骨子は、Si含有量
の増量による焼戻し硬さの向上とNiあるいはMoの単
独、若しくは複合添加による浸炭層および心部の破壊靭
性値の向上である。
【0008】この知見に至るまでには、数多くの実験に
よる検証を積み重ねたが、以下にその一例を示す。これ
までの研究成果により、浸炭歯車のピッチング疲労と衝
撃強度を支配する最も重要な因子は、それぞれ、焼戻し
硬さと浸炭衝撃強度であることがわかっているが、表1
中には、これらの因子を評価する為に使用した発明鋼と
比較鋼の化学成分を示す。
【0009】
【表1】
【0010】ここで、第1発明鋼とは請求項1に該当す
る発明鋼で、第2発明鋼とは請求項2に該当する発明
鋼、そして第3発明鋼とは請求項3に該当する発明鋼で
ある。これらの鋼を高周波真空溶解炉により溶製し、溶
製した鋼を1250℃に加熱後30mmφに鍛伸し、
さらに、925℃で焼準した。これらの素材から機械加
工により、それぞれ、焼戻し硬さを評価する為に図1に
示す形状の試験片を1本、衝撃強度を評価する為に図2
に示す形状の試験片を3本づつ作製した。これらの試験
片全数を図3に示す条件で浸炭焼入れ−焼戻し処理を実
施した。
【0011】その後、図1に示す焼戻し硬さ用の試験片
は、さらに、歯車転動中の摩擦熱の発生を想定して、2
50℃に加熱した電気炉に8時間保持して空冷した。そ
して、空冷後の試験片を長手方向に垂直に切断し、任意
の90°毎2箇所について、表面から50μmの位置ま
での硬さを10μm毎にマイクロビッカース硬さ計で測
定して、それらの平均値を求めた。これらの結果を焼戻
し後の硬さとして前出の表1に示す。一方、図2に示す
浸炭衝撃用試験片は、各鋼種3本共シャルピー衝撃試験
を実施し、シャルピー衝撃値の平均値を求めた。これら
の結果を浸炭衝撃強度として前出の表1に示す。以下
に、これらのデータについて詳述する。
【0012】図4には、焼戻し硬さとSi含有量の関係
を示す。これより、Si含有量が0.40質量%以上の
範囲では、焼戻し硬さは700HV以上であり、それ未
満のSi含有量の鋼よりも焼戻し硬さが高いことがわか
る。これは、従来から指摘されている様に焼戻し軟化抵
抗を高めるSi含有量を増量することにより、歯車転動
中の摩擦熱を想定した焼戻し後も表面硬さが高いレベル
維持されている為である。図5には、浸炭衝撃強度と
Si含有量の関係を示す。先ず、NiとMo含有量の合
計値が0.30質量%未満では、Si含有量が高くなる
につれて、浸炭衝撃強度が低下することがわかる。これ
は、Si含有量の増量により浸炭層および心部の破壊靭
性値が低下した為と推定される。一方、NiとMo含有
量の合計値が0.30質量%以上では、Si含有量が高
くなるにつれて、わずかに浸炭衝撃強度が低下するが、
その程度はNiとMo含有量の合計値が0.30質量%
未満の鋼よりも非常に小さいことがわかる。これは、S
i含有量が増量しても、NiやMoの添加により浸炭層
および心部の破壊靭性値が高く維持されている為と推定
される。従って、Si含有量が0.40質量%以上で、
かつ、NiとMo含有量の合計値で示されるNi+Mo
のパラメーターが0.30質量%以上の発明鋼の範囲で
は、焼戻し硬さが高く、かつ、浸炭衝撃強度が高いこと
がわかった。
【0013】図6には、これらの関係を判り易く説明す
る為に、焼戻し硬さと浸炭衝撃強度の関係を示すが、焼
戻し硬さの向上と浸炭衝撃強度の向上を両立することに
対して、発明鋼は比較鋼より極めて有利であることがわ
かる。
【0014】以上の研究成果から本発明はなされたが、
次に本発明の化学成分について、その限定理由を説明す
る。尚、歯車用鋼の化学成分は、その使用環境、すなわ
ち、歯車の大きき、負荷強度および浸炭あるいは浸炭窒
化条件等を考慮して、種々の範囲に調整されることが考
えられるが、本発明ではそれらの想定しうる如何なる化
学成分の範囲においても発明の効果が得られることを確
認して、成分請求範囲を請求した。
【0015】C:0.10〜0.30質量% Cは、歯車に要求される心部硬さを確保する為には、少
なくとも0.10質量%以上の添加が必要である。しか
し、その過剰な添加は、心部の硬さが上昇し過ぎ、かつ
心部の靭性を劣化させる。これを回避するためには上限
を0.30質量%に限定する必要がある。従って、Cの
添加量は0.10〜0.30質量%の範囲とした。
【0016】Si:0.40〜1.00質量% Siは本発明鋼において最も重要な元素である。すなわ
ち、Siは歯車等が転動中に到達すると思われる200
〜250℃の温度域における軟化を小さくする元素であ
る。これらの効果を発揮するためには少なくとも0.4
0質量%以上の添加が必要である。しかし、その過剰な
添加は、浸炭層および心部の靭性を低下させるばかりで
なく、浸炭性を阻害したり、浸炭前の鋼材が硬くなり過
ぎることにより、冷鍛性や切削性を劣化させる。これを
回避するためには上限を1.00質量%に限定する必要
がある。従って、Siの添加量は0.40〜1.00質
量%の範囲とした。
【0017】Mn:0.30〜1.50質量% Mnは、焼入性を確保する為に必要な元素であり、少な
くとも0.30質量%以上の添加が必要である。しかし
ながら、その過剰な添加は浸炭前の鋼材が硬くなり過ぎ
ることにより、冷鍛性や切削性を劣化させる。これを回
避するためには上限を1.50質量%に限定する必要が
ある。従って、Mnの添加量は0.30〜1.50質量
%の範囲とした。
【0018】P:0.035質量%以下 Pはオーステナイト粒界に偏析して粒界を脆弱すること
により靭性や疲労強度を低下する元素であり、0.03
5質量%を超えて含むとこのような弊害が顕著となる。
従って、Pの含有量は0.035質量%以下と限定し
た。
【0019】Ni:0.00〜1.00質量% Niは本発明鋼において、Siについで後述するMoと
共に重要な元素である。すなわち、NiはMoと同様に
浸炭層および心部の破壊靭性を向上させる元素である。
従って、Moが添加されていなければ添加する必要のあ
る元素である。しかし、Niは高価な元素であることか
ら、その過剰な添加は経済的な観点から望ましくなく、
また残留オーステナイトの形成を促進することにより表
面硬さが低下し、さらに、浸炭前の鋼材が硬くなり過ぎ
ることにより、冷鍛性や切削性を劣化させる。これを回
避するためには上限を1.00質量%に限定する必要が
ある。従って、Niの添加量は0.00〜1.00質量
%の範囲とした。
【0020】Cr:0.30〜1.50質量% Crは、焼入性を確保する為に必要な元素であり、少な
くとも0.30質量%以上の添加が必要である。しか
し、その過剰な添加は、浸炭前の鋼材が硬くなり過ぎる
ことにより、冷鍛性や切削性を劣化させる。これを回避
するためには上限を1.50質量%に限定する必要があ
る。従って、Crの添加量は0.30〜1.50質量%
の範囲とした。
【0021】Mo:0.00〜1.00質量%以下 Moは本発明鋼において、Siについで前述したNiと
共に重要な元素である。すなわち、MoはNiと同様に
浸炭層および心部の破壊靭性値を向上させる元素であ
る。従って、前述したNiが添加されていない場合は添
加する必要がある元素である。しかしながら、Moは高
価な元素であることからその過剰な添加は経済的な観点
から望ましくなく、かつ、浸炭前の鋼材が硬くなり過ぎ
ることにより、冷鍛性や切削性を劣化させる。これを回
避するためには上限を1.00質量%に限定する必要が
ある。尚、前述したNiが添加されていれば、あえて添
加する必要が無い場合もある。従って、Moの添加量は
0.00〜1.00質量%の範囲とした。
【0022】Al:0.010〜0.035質量% AlはNと結合してAlNを形成することによって、オ
ーステナイト結晶粒を微細化し、浸炭層および心部の靭
性を向上する。その効果を発揮する為には、少なくとも
0.010質量%以上の添加が必要である。しかし、そ
の過剰な添加は疲労強度に対して有害なAl23介在物
の生成を助長する。これを回避するためには上限を0.
035質量%に限定する必要がある。従って、Alの添
加量は0.010〜0.035質量%の範囲とした。
【0023】Nb:0.001〜0.050質量% Nbは鋼中のC,Nと結合して炭窒化物を形成すること
によって、AlNと同様にオーステナイト結晶粒を微細
化し、浸炭層および心部の靭性を向上する。その効果を
発揮するためには、0.01%以上の添加が必要であ
る。しかし、その過剰な添加は粗大な炭窒化物を形成、
析出し、浸炭層の靭性を低下させる。これを回避するた
めには上限を0.050質量%に限定する必要がある。
従って、Nbの添加量は0.001〜0.050質量%
の範囲とした。
【0024】O:0.0015質量%以下 Oは、鋼中においては酸化物系介在物として存在し、疲
労強度を損なう元素である。従って、Oの上限を0.0
015質量%以下と規定した。
【0025】N:0.0050〜0.0200質量% NはAlやNbと結合してAlN,NbNを形成し、オ
ーステナイト結晶粒をの微細化し、浸炭層および心部の
靭性を向上する。その効果を発揮する為には、少なくと
も0.0050質量%以上の添加が必要である。しか
し、その過剰な添加は凝固時の鋼塊表面での気泡の発生
や鋼材の鍛造性を劣化させる。これを回避するためには
上限を0.0200質量%に限定する必要がある。従っ
て、Nの添加量は0.0050〜0.0200質量%の
範囲とした。
【0026】Ni+Moで示されるパラメーター:0.
30質量%以上2.00%以下NiおよびMoは該当す
るそれぞれの項で記したように、Si添加量の増量によ
り低下した浸炭層および心部の破壊靭性値を向上させる
元素であり、少なくともNi+Moで示されるパラメー
ターが0.30質量%以上の添加が必要である。しか
し、Ni、Moは高価な元素であることから、その過剰
な添加は経済的な観点から望ましくなく、かつ浸炭前の
鋼材が硬くなり過ぎることにより、冷鍛性や切削性を劣
化させる。このために、上限を2.00質量%に限定す
る必要がある。
【0027】Cu:0.01〜0.50質量% Cuは400〜600℃といった比較的高い温度域にお
いて析出硬化が期待できる元素である。従って、歯面あ
るいは転動面の温度が著しく上昇する過酷な使用状況が
想定される場合や、航空機材料のようにジェット推進機
やタービン近傍の高温環境で使用される場合には添加す
べきである。その効果を発揮するためには、0.01%
以上の添加が必要である。しかし、その過剰な添加は熱
間脆性を増長し、かつ、浸炭性を阻害する。これを回避
するためには上限を0.50質量%に限定する必要があ
る。従って、Cuの添加量は0.01〜0.50質量%
の範囲とした。
【0028】V:0.01〜0.50質量% Vは浸炭温度近傍の比較的低い温度においても炭化物を
形成し、浸炭層の硬さを向上すると同時に焼入性を向上
する元素である。その効果を発揮するためには、0.0
1%以上の添加が必要である。しかしながら、その過剰
な添加は、浸炭層の靭性を劣化させ、また、Vは高価な
元素であることから経済的な観点から望ましくなく、か
つ、浸炭前の鋼材が硬くなり過ぎることにより、冷鍛性
や切削性を劣化させる。これを回避するためには上限を
0.50質量%に限定する必要がある。従って、Vの添
加量は0.01〜0.50質量%の範囲とした。
【0029】Ti:0.005〜0.050質量%以下 Tiは鋼中のNが後述するBと結合してBNを生成しB
の焼入性向上効果を劣化させることを防止する為に添加
する元素である。その効果を発揮するためには0.00
5%以上の添加が必要である。しかし、多量に添加する
と大型のTiNを生成し疲労破壊の起点となる可能性が
ある為、上限を0.050質量%に限定する必要があ
る。従って、Tiの添加量は0.005〜0.050質
量%の範囲とした。
【0030】B:0.0005〜0.0050質量% Bは、浸炭前の鋼材の冷鍛性や切削性を劣化させること
なく、焼入性を向上する元素である。従って、そのよう
な効果を必要とする場合には添加すべきである。その効
果を発揮するためには0.0005質量%以上の添加が
必要である。しかし、0.0050質量%を超えて添加
してもその効果が飽和するとともに、熱間加工性を劣化
するために、上限を0.0050質量%に限定する必要
がある。従って、Bの添加量は0.0005〜0.00
50質量%の範囲とした。
【0031】S:0.005〜0.050質量% Sは大部分は硫化物系介在物として鋼中に存在し、歯車
のように切削加工により成形される部品では、被削性の
向上に有効な元素である。そのためには少なくとも0.
005質量%以上の添加が必要である。しかし、その過
剰な添加は、疲労強度低下を招く要因となる。これを回
避するためには上限を0.050質量%に限定する必要
がある。従って、Sの添加量は0.005〜0.050
質量%の範囲とした。
【0032】Pb:0.01〜0.09質量% PbはSの単独添加に加えて、より被削性を向上させる
元素である。その効果を発揮するためには少なくとも
0.01質量%以上の添加が必要である。しかし、その
過剰な添加は、疲労強度低下を招く要因となる元素であ
る。また、0.01質量%以上ではPbの取扱い上、集
塵装置、方法等の法的な規制を受ける。これを回避する
ためには上限を0.09質量%に限定する必要がある。
従って、Pbの添加量は0.01〜0.09質量%の範
囲とした。
【0033】Bi:0.04〜0.20質量% BiはSの単独添加に加えて、より被削性を向上させる
元素である。その効果を発揮させるためには少なくとも
0.04質量%以上の添加が必要である。しかし、その
過剰な添加は、靭性を低下させる。これを回避するため
には上限を0.20質量%に限定する必要がある。従っ
て、Biの添加量は0.04〜0.20質量%の範囲と
した。
【0034】Te:0.002〜0.050質量% TeはSの単独添加に加えて、より被削性を向上させる
元素である。その効果を発揮させるためには少なくとも
0.002質量%以上の添加が必要である。しかし、そ
の過剰な添加は、熱間脆性を生ずる。これを回避するた
めには上限を0.050質量%に限定する必要がある。
従って、Teの添加量は0.002〜0.050質量%
の範囲とした。
【0035】Zr:0.01〜0.20質量% ZrはSの単独添加に加えて、より被削性を向上させる
元素である。その効果を発揮するためには少なくとも
0.01質量%以上の添加が必要である。しかし、その
過剰な添加は、靭性を低下させる。これを回避するため
には上限を0.20質量%に限定する必要がある。従っ
て、Zrの添加量は0.01〜0.20質量%の範囲と
した。
【0036】Ca:0.0001〜0.0100質量% Caは、Sの単独添加に加えて、より被削性を向上させ
る元素である。そのためには少なくとも0.0001質
量%以上の添加が必要である.しかし、その過剰な添加
は、靭性を低下させる。これを回避するためには上限を
0.0100質量%に限定する必要がある。従って、C
aの添加量は0.0001〜0.0100質量%の範囲
とした。
【0037】
【発明の実施の形態】次に、具体的な実施例を挙げて、
本発明を更に詳細に説明する。表2には以上の知見を基
にして実炉で溶製した発明鋼とそれらと対比するための
比較鋼の化学成分を示す。
【0038】
【表2】
【0039】ここで発明鋼Aはボロン無添加であり、発
明鋼Bはボロン添加鋼である。また、比較鋼IはJIS
のSNCM420Hであり、比較鋼HはJISのSCM
420HをベースにSi含有量を増量した鋼である。
【0040】これらの鋼について、ローラー・ピッチン
グ疲労試験と浸炭衝撃試験を実施し、それらのピッチン
グ疲労寿命と浸炭衝撃強度を評価した。図7には、ロー
ラー・ピッチング疲労試験機の概要を示す。ここで1は
試験片、2は負荷ローラー、3,4は噛み合い歯車、5
は軸受け、6はカップリング、7は伝達ベルト、8はモ
ーターである。図8はローラー・ピッチング疲労試験片
の形状、図9はローラー・ピッチング疲労試験機の負荷
ロ一ラーの形状を示す。
【0041】先ず、発明鋼と比較鋼を30mmφに熱間
鍛造後、焼準後、図8に示すローラー・ピッチング疲労
試験片と図2に示す浸炭衝撃用試験片を5本づつ作成し
た。次に、これらの試験片を図3に示す条件で、浸炭焼
入れ−焼戻し処理を実施した。
【0042】ロ一ラーピッチング疲労試験片について
は、表3に示す条件でローラーピッチング疲労試験を実
施し、ピッチング疲労寿命を求めた。浸炭衝撃用試験片
については、シャルピー衝撃試験を実施し、浸炭衝撃強
度を求めた。表4に、これらの結果を示す。ローラー・
ピッチング疲労試験については、転動回数20.00×
106まで実施し、ピッチングが発生しなかった場合は
試験終了とした。図10には、表4の結果をまとめた。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】これから、発明鋼Aおよび発明鋼Bともピ
ッチング疲労寿命は20.00×106以上であり、か
つ、浸炭衝撃強度が30J/cm2以上であることがわ
かる。一方、比較鋼Iについては、浸炭衝撃強度は30
J/cm2以上であるが、ピッチング疲労寿命が短く、
また、比較鋼Hは、ピッチング疲労寿命は良好なものの
浸炭衝撃強度が低いことがわかる。従って、発明鋼はピ
ッチング疲労強度が高く、かつ、衝撃強度が高いことが
確認された。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明により、鋼の化学
成分を調整することだけで、ピッチング疲労強度の向上
と共に衝撃強度も向上することができ、発明が解決しよ
うとする課題を解決できる。
【0047】従って、本発明の効果としては、現状の製
造工程においても、浸炭歯車の小型、軽量化が可能とな
り、また、同じ形状、寸法でもより高出力化が可能とな
り、歯車類を使用する産業界において、コストの低減と
信頼性の向上に広く貢献することが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼戻し硬さ評価用の試験片形状の説明図であ
る。
【図2】浸炭衝撃強度評価用の試験片形状の説明図であ
る。
【図3】浸炭焼入れ−焼戻し処理条件の説明図である。
【図4】焼戻し硬さとSi含有量との関係を示すグラフ
である。
【図5】浸炭衝撃強度とSi含有量との関係を示すグラ
フである。
【図6】浸炭衝撃強度と焼戻し硬さとの関係を示すグラ
フである。
【図7】ローラー・ピッチング疲労試験機の概要を示す
図である。
【図8】ローラー・ピッチング疲労試験片の形状の説明
図である。
【図9】ロ−ラー・ピッチング疲労試験機の負荷ローラ
ーの形状の説明図である。
【図10】ピッチング疲労寿命と浸炭衝撃強度との関係
を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−291339(JP,A) 特開 昭63−235452(JP,A) 特開 平9−287644(JP,A) 特開 平9−176784(JP,A) 特開 平9−111403(JP,A) 特開 平10−152754(JP,A) 特開 平9−324241(JP,A) 特開 平8−260039(JP,A) 特開 平9−111407(JP,A) 特開 平3−100142(JP,A) 特開 昭63−235453(JP,A) 特開 平4−236740(JP,A) 特開 平10−176243(JP,A) 特開 平7−278740(JP,A) 特開 平5−287452(JP,A) 特開 平5−279796(JP,A) 特開 平5−171348(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/48 C22C 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量パーセントで、 C=0.10〜0.30%、 Si=0.40〜1.00%、 Mn=0.30〜1.50%、 P=0.035%以下、 S=0.005〜0.050%、 Ni=0.00〜1.00%、 Cr=0.30〜1.50%、 Cu=0.01〜0.50%、 Mo=0.00〜1.00%、 Al=0.010〜0.035%、 Nb=0.001〜0.050%、 N=0.0050〜0.0200%、 O=0.0015%以下、 を含有し、さらに、Mo+Niで示されるパラメーター
    が0.30%以上2.00%以下で、残部Fe並びに不
    可避的不純物元素からなることを特徴とする浸炭および
    浸炭窒化用鋼。
  2. 【請求項2】 さらに、質量パーセントで、 V=0.01〜0.50%、 Ti=0.005〜0.050%、 B=0.0005〜0.0050%、 のうちから1種または2種以上を含有している請求項1
    記載の浸炭および浸炭窒化用鋼。
  3. 【請求項3】 さらに、被削性を向上する元素として質
    量%で、 Pb=0.01〜0.09%、 Bi=0.04〜0.20%、 Te=0.002〜0.050%、 Zr=0.01〜0.20%、 Ca=0.0001〜0.0100% のうちから1種または2種以上を含有している請求項1
    又は請求項2に記載の浸炭および浸炭窒化用鋼。
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