JP3252063B2 - サーマルプリント方法及びサーマルプリンタ - Google Patents

サーマルプリント方法及びサーマルプリンタ

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JP3252063B2
JP3252063B2 JP25097894A JP25097894A JP3252063B2 JP 3252063 B2 JP3252063 B2 JP 3252063B2 JP 25097894 A JP25097894 A JP 25097894A JP 25097894 A JP25097894 A JP 25097894A JP 3252063 B2 JP3252063 B2 JP 3252063B2
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heat
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はサーマルプリント方法及
サーマルプリンタに関し、特にサーマルヘッドの温度
と環境温度とを検出してサーマルヘッドの温度変動を管
理するサーマルプリント方法及びサーマルプリンタに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】サーマルプリンタでは、サーマルヘッド
の温度を検出して、この検出信号に基づきサーマルヘッ
ドに印加される電圧を制御して、温度変動を抑えるよう
にしている。例えば、特開昭60−240271号公報
に示されるように、サーマルヘッドの温度が高くなると
サーマルヘッドの駆動電圧を低くし、逆に温度が低くな
るとサーマルヘッドの駆動電圧を高くする。これによっ
て、サーマルヘッドの温度が変化してもヘッドの印加電
圧が変わることで熱エネルギ変動が抑えられ、所定の階
調に応じた発熱温度が得られるようになる。
【0003】また、サーマルヘッドに印加される熱エネ
ルギーは、インクリボン,記録紙及びプラテンドラム等
に拡散されるため、サーマルヘッドの温度が同じであっ
ても、環境温度の変化によってインクリボンや記録紙に
加えられる熱エネルギが変動し、印画濃度が変化してし
まうという問題がある。このため、例えば特開平2−1
62060号公報に示されるように、サーマルヘッドの
温度を検出するための第1温度検出手段の他に、環境温
度を検出する第2温度検出手段を設けて、環境温度変化
分も加味した制御を行うようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図9に
示すように、サーマルヘッド2には、抵抗層3及び電極
4,5からなる発熱素子6を駆動して一定の熱量を与え
ても、グレーズ7の温度によって発熱素子6の温度が変
動し、一定の濃度が得られないという性質がある。ま
た、サーマルヘッド2の温度を検出するためのサーミス
タからなるヘッド温度検出器8は、サーマルヘッド2の
製造上の問題から一般的にグレーズ7と接触するように
配置することは困難であり、間にセラミック板9やアル
ミニウム板10などからなる基板11が介在している。
このため、ヘッド温度検出器8によってグレーズ7の温
度を直接的に検出することができないという問題があ
る。なお、基板11には放熱板13が取り付けられてい
る。
【0005】したがって、従来のものは、サーマルヘッ
ド2のヘッド温度検出器8の出力をグレーズ7の温度デ
ータであるかのように扱い、その長周期の温度変動を打
ち消すように、サーマルヘッド2の駆動電圧を制御し
て、サーマルヘッド2に印加される熱量を制御し、所定
の画像データにより所定の濃度を得るようにしていた。
しかしながら、このような制御方法では、グレーズ7の
温度によって熱量を制御したことにはならないため、目
標とする濃度が得られないという問題がある。なお、長
周期とは、同じ画像を複数枚印画したときの1枚目とN
枚目との期間や、1枚内での印画開始から印画終了まで
の期間等を周期とするものをいい、これら長周期の温度
変動によって1枚目とN枚目との間や、1枚内において
も、濃度変動が発生する。
【0006】また、印画する絵柄によってサーマルヘッ
ドへの印加熱エネルギーが大きく変化し、これはグレー
ズの温度変動となって現れる。このため、絵柄に基づく
温度変動によって印画濃度が変化してしまうという問題
もある。
【0007】更に、各ラインを記録する際には、周辺の
発熱素子の影響を受けるため、目的とする所定の温度か
らずれてしまうことがあり、この場合には濃度変動とな
って印画に現れてしまうという問題がある。
【0008】本発明は上記課題を解決するものであり、
周辺の発熱素子の影響を排除するとともに、サーマルヘ
ッドのグレーズの温度を正確に推測してこれに基づき温
度制御を行って印画品質を向上させるようにし、しかも
絵柄による温度変動を抑えるようにしたサーマルプリン
ト方法及びサーマルプリンタを提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
、本発明では、放熱板と、この放熱板に取り付けられ
る基板と、この基板に形成したグレーズと、このグレー
ズにライン状に設けた発熱素子とを有するサーマルヘッ
ドを用いて、前記各発熱素子を画像データに基づき駆動
して画像を記録材料に記録するサーマルプリント方法ま
たはプリンタにおいて、前記基板の温度をヘッド温度検
出器により検出し、前記サーマルヘッドが取り付けられ
る筐体内の温度を筐体内温度検出器により検出し、これ
ら検出温度に基づきグレーズ温度を下記式 Tg ={(rAL+rF +ra )・(TAL−Ta )/(rF +ra )}+Ta により推定し、この推定したグレーズ温度の変動を抑え
るようにサーマルヘッドを駆動制御している。ただし、
Tg :グレーズの温度〔℃〕、TAL:ヘッド温度検出器
による基板検出温度、〔℃〕、Ta :筐体内温度検出器
による筐体内検出温度〔℃〕、rg :グレーズの熱抵抗
〔℃/kcal/min 〕、rAL:グレーズからヘッド温度検
出器までの基板の熱抵抗〔℃/kcal/min 〕、rF :放
熱板の熱抵抗〔℃/kcal/min 〕、ra :大気の熱抵抗
〔℃/kcal/min 〕、Cg :グレーズの熱容量〔kcal/
℃〕、CAL:グレーズからヘッド温度検出器までの基板
の熱容量〔kcal/℃〕、Ta:筐体内の大気による熱源
の温度〔℃〕である。
【0010】なお、前記画像データに基づき時間当たり
の熱量データQ0を求め、この時間当たりの熱量データ
Q0から下記式 ΔQ0 ={(S・rAL・CAL)/(1+S・rAL・CAL)}・Q0 により絵柄による温度変動分ΔQ0を求め、この温度変
動分ΔQ0を抑えるようにサーマルヘッドを駆動制御す
ることが好ましい。そして、前記時間当たりの熱量デー
タQ0は、各ラインの記録に際し、前のラインの画像デ
ータに基づく総熱量、総熱量を記録素子の個数で除した
平均値、一定以上の濃度となる画像データで駆動された
発熱素子の個数のいずれかを用いることが好ましい。ま
た、前記画像データに基づき周辺発熱素子の熱量データ
Q1を求め、この周辺発熱素子の熱量データQ1から下
記式 ΔQ1 ={1/(1+S・rg ・Cg )}・Q1 により周辺発熱素子の影響による温度変動分ΔQ1を求
め、この温度変動分ΔQ1を抑えるようにサーマルヘッ
ドを駆動制御することが好ましい。前記周辺発熱素子の
熱量データQ1 は、各ラインの記録に際し、該当する発
熱素子に隣接する発熱素子の画像データに基づき決定す
ることが好ましい。
【0011】
【作用】各ラインを記録する際に周辺の発熱素子に起因
する短周期的な温度変動を抑えるように各発熱素子の発
熱量が制御される。また、各ラインを記録する際のサー
マルヘッドのライン記録時の温度変動が画像データから
求められる。この中周期的な温度変動を抑えるようにサ
ーマルヘッドの発熱量が制御される。更に、基板から第
1温度検出手段までの熱抵抗と大気の熱抵抗との関係か
ら、第1温度検出手段及び第2温度検出手段の温度信号
に基づき定常的なグレーズ温度が推測される。この推測
したグレーズ温度に基づきその長周期的な温度変動が抑
えられるように、サーマルヘッドの発熱量が制御され
る。
【0012】
【実施例】本発明を実施したモノクロの感熱プリンタの
概略を示す図3において、プラテンドラム20は、パル
スモータ21で駆動される回転軸22に取り付けられて
おり、プリント時に矢線方向に回転する。このプラテン
ドラム20の外周には感熱記録材料23が巻き付けら
れ、その先端部がクランパ24で固定されている。クラ
ンパ24はカム機構25より開閉制御されるようになっ
ている。これらプラテンドラム20,パルスモータ2
1,クランパ24,カム機構25,及び図示しない搬送
ローラ対により記録材料搬送部26が構成される。ま
た、プラテンドラム20の外周にはサーマルヘッド2が
配置されている。更に、筐体29内には、筐体29内の
環境温度を検出するための環境温度検出器36が配置さ
れている。なお、カラー記録を行う場合には、更にマゼ
ンタ定着用紫外線ランプ,イエロー定着用紫外線ランプ
が、プラテンドラム20の外周に順に配置される。
【0013】図3に示すように、サーマルヘッド2の下
面には発熱素子アレイ27が設けられている。この発熱
素子アレイ27には、多数の発熱素子6(図9参照)が
主走査方向にライン状に形成されている。各発熱素子は
抵抗素子から構成されており、この発熱素子は、1画素
を熱記録する際に、発色の直前まで加熱するバイアス熱
エネルギと、発色濃度に応じた階調表現熱エネルギとを
感熱記録材料23に与える。
【0014】図1は感熱プリンタの電気回路を示すもの
である。ビデオカメラ,ビデオデッキ,テレビゲーム機
等からの画像信号は画像入力部30を介して画像処理部
31に入力される。画像処理部31はA/D変換や階調
補正を行った後に、フレームメモリ32に1フレーム分
の画像データを書き込む。
【0015】システムコントローラ33はマイクロコン
ピュータから構成されており、記録材料搬送部26やプ
リント部28をシーケンス制御して、画像データに基づ
き感熱記録材料23にモノクロの中間調画像を記録して
ハードコピィを作成する。
【0016】図2は、図9のサーマルヘッド2の自動制
御系における等価回路を示している。図2において、 Te :発熱素子6の表面温度〔℃〕 Tg :グレーズ7の温度〔℃〕 TAL:ヘッド温度検出器(第1温度検出手段)8付近の
温度(基板11の温度)〔℃〕 Ta :環境温度検出器(第2温度検出手段)36(図1
参照)付近の温度(環境温度)〔℃〕 rg :グレーズ7の熱抵抗〔℃/kcal/min 〕 rAL:セラミック板9からアルミニウム板10を介しヘ
ッド温度検出器8までの熱抵抗〔℃/kcal/min 〕 rF :放熱板13の熱抵抗〔℃/kcal/min 〕 ra :大気の熱抵抗〔℃/kcal/min 〕 Cg :グレーズ7の熱容量〔kcal/℃〕 CAL:セラミック板9からアルミニウム板10を介しヘ
ッド温度検出器8までの熱容量〔kcal/℃〕 Ea :筐体内の大気による熱源であり、温度Taを持っ
ている〔℃〕
【0017】ここで、アルミニウム板10に比べてグレ
ーズ7は微小であり、rg ・Cg <<rAL・CALとみな
せるから、グレーズ7の温度Tg は次式により求めるこ
とができる。
【数1】Tg ={(rAL+rF +ra )・(TAL−Ta
)/(rF +ra )}+Ta
【0018】グレーズ7の温度Tg は蓄熱すなわちサー
マルヘッド2の駆動状態によって変わり、このグレーズ
温度Tg は数式1によってヘッド温度検出器8,環境温
度検出器36の検出温度から推測することができる。し
たがって、この推測したグレーズ温度Tg を一定にする
ように、グレーズ温度Tg の変動をサーマルヘッド2の
駆動電圧の中心電圧指令値に加えることで、サーマルヘ
ッド2の長周期の温度変動が抑えられる。これにより長
周期の温度変動が濃度変化となって印画に現れないよう
にすることができる。なお、サーマルヘッド2の基板1
1の構成が変わることにより、それに対応してグレース
温度Tg を求める数式も変形される。
【0019】図4は、サーマルヘッド2の駆動電圧を自
動制御する系のブロック図である。システムコントロー
ラ33は各温度検出器8,36からの温度検出信号TA
L,Taに基づき、前記数式1によりグレーズ温度Tg
の長周期的な変動を検出し、この変動を無くすように、
中心電圧指令値に対する補正電圧値を求める。
【0020】また、時間当たりの熱量データQ0 を画像
データから求め、この時間当たりの熱量データから数式
2により絵柄による温度変動分を補正する補正電圧値を
求める。ヘッド温度検出器8の温度変動に現れるような
熱量Qの変動ΔQは、アルミニウム板10に比べてグレ
ーズ7は微小であり、rg ・Cg <<rAL1 ・CAL1と
みなせるから、伝達関数表示すると以下のようになる。
【0021】
【数2】ΔQ0 ={(S・rAL・CAL)/(1+S・r
AL・CAL)}・Q0
【0022】時間当たりの熱量データQ0 は、各ライン
の記録に際し、前のラインの画像データGi (iは1〜
n(nはサーマルヘッドの発熱素子の総数))から数式
3により求める。
【0023】
【数3】Q0 =ΣGi なお、熱量データQ0 は数式3のような1ライン分記録
時の総熱量の他に、数式3をnで除して求めた平均値を
用いてもよい。更には、ある程度以上の濃度となる画像
データで駆動される発熱素子の個数を用いてもよい。
【0024】また、周辺発熱素子の熱量データQ1 を画
像データGi から求め、この周辺発熱素子の熱量データ
Q1 から数式4により周辺発熱素子の影響による温度変
動分を補正する画像補正データを求める。周辺発熱素子
の影響による温度変動分は伝達関数表示すると以下のよ
うになる。
【0025】
【数4】 ΔQ1 ={1/(1+S・rg ・Cg )}・Q1
【0026】周辺発熱素子の熱量データQ1 は、各ライ
ンの記録に際し、m番目の発熱素子の場合に、両隣の発
熱素子m−1,m+1番目の発熱素子の画像データの和
を用いる。なお、この周辺発熱素子の熱量データは、両
隣1個ずつの画像データの和の他に、両隣複数個ずつの
画像データを用いてもよい。この場合には、求める発熱
素子から離れる画像データほど重み付けの係数を低くす
るとよい。更には、熱量データQ1 は隣接する発熱素子
の画像データの和を用いる他に、その平均を用いてもよ
い。
【0027】以上のようにして求めたこれら長周期的な
温度変動を抑えるための電圧補正値と、絵柄によって現
れる中周期的な温度変動を抑えるための電圧補正値と
を、中心電圧指令値に加算することにより、サーマルヘ
ッドの駆動電圧指令値を求める。得られた駆動電圧指令
値はアンプ40で増幅されて駆動電圧制御部37に送ら
れる。なお、駆動電圧指令値の算出や増幅はシステムコ
ントローラ33によって行われる。具体的には、システ
ムコントローラ33は、各温度検出器8,36からの温
度検出信号TAL,TaをA/D変換器41でデジタル化
した後に、CPU42で数式1及び数式2の演算処理を
行い駆動電圧指令値を算出する。この後、駆動電圧指令
値をD/A変換器43でアナログ化して、駆動電圧制御
部37に送る。補正電圧値は数式1又は2に基づきその
都度算出する他に、各温度信号の変化に応じて予め補正
電圧値を算出しておき、これをルックアップテーブルデ
ータとして記憶してもよく、この場合にはその都度演算
を行う必要がなく迅速に補正電圧値を求めることができ
る。
【0028】また、隣接する発熱素子の駆動データによ
る影響を抑えるための画像データ補正値は、画像データ
から引かれて、これが修正画像データとして、プリント
コントローラに送られる。これにより、隣接する発熱素
子の影響を排除することができる。
【0029】駆動電圧指令値信号は駆動電圧制御部37
の電圧可変回路45に送られる。電圧可変回路45は駆
動電圧指令値信号に基づきヘッド電源回路46の発熱素
子駆動電圧を変える。これにより、サーマルヘッド2の
長及び中周期的な温度変動が抑えられ、これに起因する
印画上での濃度変動が少なくなる。すなわち、発熱素子
6の表面温度とグレーズ7の温度とはほぼ同じであり、
このグレーズ温度Tgに基づき発熱素子6の駆動電圧を
制御することにより、各発熱素子6の長及び中周期的な
温度変動が抑えられる。
【0030】図5に示すように、プリントコントローラ
50はラインメモリ50aを備えており、ラインメモリ
50aに書き込まれた1ライン分の修正画像データを順
に読み出して、これら画像データと比較データとをその
都度比較してシリアルな階調駆動データを発生させる。
この駆動データは記録する場合に「H」となり、記録し
ない場合に「L」となる。また、この階調駆動データを
作成する前に、1ライン分のバイアスデータと比較デー
タとを比較してこの比較データに基づきシリアルなバイ
アス駆動データを発生させる。このようなシリアルな駆
動データはサーマルヘッド駆動部38に送られる。な
お、比較データとの比較によりバイアス及び階調駆動デ
ータを発生させる方法及び装置については、特願平5−
147591号,同5−147593号等に詳しく説明
されている。
【0031】サーマルヘッド駆動部38は、シリアルな
駆動データをクロック信号に基づきシフトレジスタ52
でシフトしてパラレル信号に変換する。シフトレジスタ
52でパラレルに変換された駆動データはラッチ信号に
同期してラッチアレイ53にラッチされる。ANDゲー
トアレイ54は、プリントコントローラ50内のストロ
ーブ信号発生回路51からストローブ信号が入力されて
いる期間内に、駆動データが「H」の場合に「H」の信
号を出力する。ANDゲートアレイ54の各出力端子に
は、トランジスタ551 〜55n が接続されている。こ
れらのトランジスタ551 〜55n はANDゲートアレ
イ54の出力が「H」の場合にONとなる。トランジス
タ551 〜55n には、各発熱素子61 〜6n が接続さ
れており、これにより画像データに対応する濃度となる
ように各発熱素子61 〜6n が駆動される。この後、図
3に示すように、記録材料搬送部26により、プラテン
ドラム20を所定量だけ間欠回転して感熱記録材料23
を1ライン分送り、以下同様にしてプリント部28及び
記録材料搬送部26により次々と各ラインが熱記録され
る。
【0032】次に、本実施例の感熱プリンタの作用を説
明する。図3に示すように、給紙時には、プラテンドラ
ム20はクランパ24がほぼ垂直となった状態のホーム
ポジションで停止している。また、クランパ24が開い
た状態にされている。この状態で感熱記録材料23がプ
ラテンドラム20に送られ、その先端がクランパ24を
通過するとクランパ24が閉じられ、この後プラテンド
ラム20が回転を開始する。これにより、プラテンドラ
ム20の外周に感熱記録材料23が巻き付けられる。
【0033】システムコントローラ33は感熱記録材料
23の記録開始位置にサーマルヘッド2の各発熱素子6
が位置すると熱記録を開始する。先ず、プリントコント
ローラ50はラインメモリ50aの画像データに基づき
各発熱素子61 〜6n の駆動データを発生させ、これを
サーマルヘッド駆動部38に送る。サーマルヘッド駆動
部38は、この駆動データに基づき各発熱素子61 〜6
n を駆動する。なお、階調表現加熱の前に、発色直前の
温度になるようにバイアス加熱が行われる。これによ
り、画像データに対応する濃度で1ライン分の画像が感
熱記録される。以下、同様にして、次々と各ラインの画
像が記録される。感熱記録が終了すると、プラテンドラ
ム20が逆転する。このプラテンドラム20の逆転によ
り、感熱記録材料23の後端が図示しない分離爪によっ
て給排紙通路に案内され、感熱記録済みの記録材料は排
紙トレイに排出される。
【0034】各ラインの画像記録によりサーマルヘッド
2のグレーズ温度Tg が変動すると、これが各温度検出
器8,36からの出力信号に基づき検出され、これに基
づきサーマルヘッド2の駆動電圧指令値が求められ、こ
れによって駆動電圧制御部37の電圧可変回路45は発
熱素子6への駆動電圧を変更する。これによって、長周
期的な温度変動を抑えるように発熱素子6の駆動電圧が
制御されるため、複数枚の印画を行う場合の各枚毎の濃
度変動や、1枚内のゆるやかな濃度変動を抑えることが
できる。
【0035】また、前のライン記録時に用いた画像デー
タから時間当たりの熱量Q0 が求められ、これに基づき
数式2により絵柄によるサーマルヘッドの温度変動を抑
える駆動電圧指令値が求められ、これによって駆動電圧
制御部37の電圧可変回路45は発熱素子6への駆動電
圧を変更する。これによって、絵柄による中周期的な温
度変動を抑えるように発熱素子6の駆動電圧が制御され
るため、各ライン毎の濃度変動が抑えられ、尾引き等の
発生を無くすことができる。
【0036】更に、プリントコントローラ50のライン
メモリ50aに書き込まれる画像データは、予め隣接す
る発熱素子による影響を受けることがないように画像デ
ータに基づき数式4により修正されている。したがっ
て、修正画像データによって各発熱素子が駆動されるた
め、周辺の発熱素子に起因する温度変動を抑えることが
できる。
【0037】図6は、時間当たりの熱量データQ0 に基
づき中周期的な温度変動を抑える際に、駆動電圧を変更
する代わりに、画像データに基づく階調表現駆動パルス
の個数を変更するようにした実施例のブロック図を示
す。この場合には、時間当たりの熱量データQ0 に基づ
き数式2により、画像データから求められた階調表現駆
動パルスの個数に対する補正パルス数を算出する。ま
た、周辺発熱素子の熱量データQ1 に基づき数式4によ
り補正パルス数を算出する。そして、これらを加算し、
これを画像データから得られた階調表現駆動パルスの個
数から減じて、実際のパルス総数を算出し、これに基づ
き階調表現記録する。
【0038】図7は、長周期,中周期,短周期の各温度
変動を階調表現駆動パルスの個数を変更することにより
抑えるようにした実施例を示す。この場合には、画像デ
ータや各温度検出器から得られた温度信号に基づき数式
1,数式2,数式4により階調表現駆動パルスの補正パ
ルス数を算出する。そして、これを画像データから得ら
れた階調表現駆動パルスの個数から減じて、実際のパル
ス総数を算出し、これに基づき階調表現記録する。な
お、補正パルス数は数式1,数式2,数式4に基づきそ
の都度算出する他に、各温度信号の変化に応じて予め補
正パルス数を算出しておき、これをルックアップテーブ
ルデータとして記憶してもよい。
【0039】なお、階調表現駆動パルスの個数を変更す
ることにより温度変動を抑える代わりに、階調表現駆動
パルスの幅を変えることにより温度変動を抑えるように
してもよい。この場合には、図5に示すストローブ信号
発生回路51によりストローブ信号の幅を変えて行う。
【0040】階調表現駆動パルスの個数や幅を変える他
に、図7に示すように、バイアスパルスの個数を変える
ことで、サーマルヘッドの長周期,中周期,短周期の温
度変動を抑えるようにしてもよい。また、1個のバイア
スパルスを用いる場合にはその幅を変更する。更に、多
数のバイアスパルスを用いる場合にそのストローブ信号
を温度変動に応じて変化させることにより、各バイアス
パルスの幅を変更してもよい。
【0041】図8は、階調表現駆動パルスの個数を制御
する代わりに、バイアスパルスの個数を制御して、長周
期,中周期,短周期の各温度変動を階調表現駆動パルス
の個数を変更することにより抑えるようにした実施例を
示す。この場合にも、画像データや各温度検出器から得
られた温度信号に基づき数式1,数式2,数式4により
バイアスパルスの補正パルス数を算出する。そして、こ
れを基本となるバイアスパルス数から減じて、実際のパ
ルス総数を算出し、これに基づきバイアス加熱する。
【0042】上記実施例では、モノクロタイプの感熱プ
リンタに本発明を実施したものであるが、この他にカラ
ー感熱プリンタや、他の昇華型や溶融型の熱転写プリン
タに実施してもよい。カラー感熱プリンタの場合には、
周知のように、例えばイエロー画像を熱記録した後にこ
れを光定着させ、次にマゼンタ画像を熱記録した後にこ
れを光定着させ、最後にシアン画像を熱記録する。この
場合には、各色の記録時のサーマルヘッドの温度変動が
抑えられるため、色むらの発生を抑えることができる。
また、ラインプリンタに限定されることなくシリアルプ
リンタに実施してもよい。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、各ラインを記録する際
に周辺の発熱素子に起因する短周期の温度変動を抑える
ように各発熱素子の発熱量を制御したから、ヘッド温度
検出器で検出することのできない隣接発熱素子に起因す
る短い周期の温度変動を抑えることができ、より一層濃
度むらのない印画を行うことができる。
【0044】また、各ラインを記録する際のサーマルヘ
ッドのライン記録時の温度変動を前のラインを記録する
画像データから求め、この中周期的な温度変動を抑える
ようにサーマルヘッドの発熱量を制御したから、絵柄に
よるサーマルヘッドの中周期的な温度変動を抑えること
ができる。したがって、各ライン記録時の画像データの
影響が次のラインの記録時に現れることのないようにす
ることができ、尾引き等の発生を抑えることができる。
【0045】また、サーマルヘッドを、基板と、基板に
形成したグレーズと、グレーズに形成した発熱素子と、
基板に取り付けた前記第1の温度検出手段とから構成
し、基板から第1温度検出手段までの熱抵抗と大気の熱
抵抗との関係から、第1温度検出手段及び第2温度検出
手段の温度信号に基づきグレーズ温度を推測したから、
サーマルヘッドの周辺の温度に関わりなく、サーマルヘ
ッドの発熱素子の表面温度と近似値であるグレーズ温度
をほぼ正確に把握することができる。したがって、画像
データに忠実な発熱制御を行うことができ、印画品質を
向上することができる。すなわち、サーマルヘッドの構
造上、サーミスタ等の温度検出手段をグレーズに直接に
取り付けることができないため、従来は、アルミニウム
板等の基板の温度をサーマルヘッドの発熱素子の表面温
度として用いていた。このため、グレーズの温度によっ
て発熱素子の発熱量を制御したことにならず、目標とす
る濃度が得られなかったが、これを解消することができ
る。
【0046】また、推測したグレーズ温度の長周期的な
変動を抑えるようにサーマルヘッドの発熱量を制御した
から、同じ画像を複数枚印画する場合の各プリント間の
濃度変動が抑えられるとともに、1枚のプリント内にお
ける印画開始端と印画終了端との間の濃度変動(シェー
ディング)が抑えられ、印画品質を向上することができ
る。
【0047】また、基板から第1温度検出手段までの熱
抵抗をrAL、放熱板の熱抵抗をrF、大気の熱抵抗をra
、第1温度検出手段付近の温度をTAL、第2温度検出
手段付近の温度(環境温度)をTa としたときに、数式
1により、グレーズ温度Tgを求めたから、精度よくグ
レーズの温度を推測することができる。
【0048】また、基板から第1温度検出手段までの熱
容量をCALとしたときに、数式2により絵柄による熱量
変動分の補正量を求めたから、精度よく絵柄による濃度
変動を抑えることができる。
【0049】また、サーマルヘッドの発熱量の制御をヘ
ッド駆動電圧を制御して行うから、簡単にグレーズ温度
の変動を抑えることができるようになる。また、サーマ
ルヘッドの発熱量の制御を、バイアスデータに基づくバ
イアスパルスや、画像データに基づく階調表現駆動パル
スの幅又は個数を変更して行うから、発熱素子の温度制
御をより一層きめ細かく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した感熱プリンタの電気的構成の
要部を示すブロック図である。
【図2】同感熱プリンタのサーマルヘッドの自動制御系
における等価回路を示す線図である。
【図3】同感熱プリンタの機械的構成を示す概略図であ
る。
【図4】サーマルヘッドの駆動電圧を自動制御する系に
おける特性を示すブロック図である。
【図5】サーマルヘッド駆動部を示すブロック図であ
る。
【図6】画像データを修正して中及び短周期の温度変動
を無くすようにした他の実施例における自動制御系の特
性を示すブロック図である。
【図7】階調表現駆動パルスを修正して長,中,短周期
の各温度変動を無くすようにした他の実施例における自
動制御系の特性を示すブロック図である。
【図8】バイアスパルス数データを修正して長,中,短
周期の各温度変動を無くすようにした他の実施例におけ
る自動制御系の特性を示すブロック図である。
【図9】サーマルヘッドの発熱素子を拡大して示す断面
図である。
【符号の説明】
2 サーマルヘッド 6 発熱素子 7 グレーズ 8 ヘッド温度検出器 11 基板 20 プラテンドラム 23 感熱記録材料 27 発熱素子アレイ 29 筐体 36 環境温度検出器 37 駆動電圧制御部 38 サーマルヘッド駆動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−79903(JP,A) 特開 平5−169709(JP,A) 特開 平2−217261(JP,A) 特開 平2−162060(JP,A) 特開 昭60−76358(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/365

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放熱板と、この放熱板に取り付けられる
    基板と、この基板に形成したグレーズと、このグレーズ
    にライン状に設けた発熱素子とを有するサーマルヘッド
    を用いて、前記各発熱素子を画像データに基づき駆動し
    て画像を記録材料に記録するサーマルプリント方法にお
    いて、 前記基板の温度をヘッド温度検出器により検出し、 前記サーマルヘッドが取り付けられる筐体内の温度を筐
    体内温度検出器により検出し、 これら検出温度に基づきグレーズ温度を下記式 Tg ={(rAL+rF +ra )・(TAL−Ta )/(rF +ra )}+Ta (ただし、Tg :グレーズの温度〔℃〕、TAL:ヘッド
    温度検出器による基板検出温度、〔℃〕、Ta :筐体内
    温度検出器による筐体内検出温度〔℃〕、rg :グレー
    ズの熱抵抗〔℃/kcal/min 〕、rAL:グレーズからヘ
    ッド温度検出器までの基板の熱抵抗〔℃/kcal/min
    〕、rF :放熱板の熱抵抗〔℃/kcal/min〕、ra :
    大気の熱抵抗〔℃/kcal/min 〕、Cg :グレーズの熱
    容量〔kcal/℃〕、CAL:グレーズからヘッド温度検出
    器までの基板の熱容量〔kcal/℃〕、Ta:筐体内の大
    気による熱源の温度〔℃〕である。)により推定し、 この推定したグレーズ温度の変動を抑えるようにサーマ
    ルヘッドを駆動制御することを特徴とするサーマルプリ
    ント方法。
  2. 【請求項2】 前記画像データに基づき時間当たりの熱
    量データQ0を求め、この時間当たりの熱量データQ0
    から下記式 ΔQ0 ={(S・rAL・CAL)/(1+S・rAL・CAL)}・Q0 により絵柄による温度変動分ΔQ0を求め、この温度変
    動分ΔQ0を抑えるようにサーマルヘッドを駆動制御す
    ることを特徴とする請求項1記載のサーマルプリント方
    法。
  3. 【請求項3】 前記時間当たりの熱量データQ0は、各
    ラインの記録に際し、前のラインの画像データに基づく
    総熱量、総熱量を記録素子の個数で除した平均値、一定
    以上の濃度となる画像データで駆動された発熱素子の個
    数のいずれか を用いることを特徴とする請求項2記載の
    サーマルプリント方法。
  4. 【請求項4】 前記画像データに基づき周辺発熱素子の
    熱量データQ1を求め、 この周辺発熱素子の熱量データQ1から下記式 ΔQ1 ={1/(1+S・rg ・Cg )}・Q1 により周辺発熱素子の影響による温度変動分ΔQ1を求
    め、 この温度変動分ΔQ1を抑えるようにサーマルヘッドを
    駆動制御することを特徴とする請求項1ないし3いずれ
    か1つ記載のサーマルプリント方法。
  5. 【請求項5】 前記周辺発熱素子の熱量データQ1 は、
    各ラインの記録に際し、該当する発熱素子に隣接する発
    熱素子の画像データに基づき決定することを特徴とする
    請求項4記載のサーマルプリント方法。
  6. 【請求項6】 放熱板と、この放熱板に取り付けられる
    基板と、この基板に形成したグレーズと、このグレーズ
    にライン状に設けた発熱素子とを有するサーマルヘッド
    を用いて、前記各発熱素子を画像データに基づき駆動し
    て画像を記録材料に記録するサーマルプリンタにおい
    て、 前記基板の温度を検出するヘッド温度検出器と、 前記サーマルヘッドが取り付けられる筐体内の温度を検
    出する筐体内温度検出器と、 これら検出温度に基づきグレーズ温度を下記式 Tg ={(rAL+rF +ra )・(TAL−Ta )/(rF +ra )}+Ta (ただし、Tg :グレーズの温度〔℃〕、TAL:ヘッド
    温度検出器による基板検出温度、〔℃〕、Ta :筐体内
    温度検出器による筐体内検出温度〔℃〕、rg :グレー
    ズの熱抵抗〔℃/kcal/min 〕、rAL:グレーズからヘ
    ッド温度検出器までの基板の熱抵抗〔℃/kcal/min
    〕、rF :放熱板の熱抵抗〔℃/kcal/min〕、ra :
    大気の熱抵抗〔℃/kcal/min 〕、Cg :グレーズの熱
    容量〔kcal/℃〕、CAL:グレーズからヘッド温度検出
    器までの基板の熱容量〔kcal/℃〕、Ta:筐体内の大
    気による熱源の温度〔℃〕)により推定し、この推定し
    たグレーズ温度の変動を抑えるように前記サーマルヘッ
    ドを駆動制御する制御部と を備えたことを特徴とするサ
    ーマルプリンタ。
  7. 【請求項7】 前記画像データに基づき時間当たりの熱
    量データQ0を求め、この時間当たりの熱量データQ0
    から下記式 ΔQ0 ={(S・rAL・CAL)/(1+S・rAL・CAL)}・Q0 により絵柄による温度変動分ΔQ0を求め、この温度変
    動分ΔQ0を抑えるようにサーマルヘッドを駆動制御す
    る制御部を備えたことを特徴とする請求項6記載のサー
    マルプリンタ。
  8. 【請求項8】 各ラインの記録に際し、前のラインの画
    像データに基づく総熱量、総熱量を記録素子の個数で除
    した平均値、一定以上の濃度となる画像データで駆動さ
    れた発熱素子の個数のいずれかを用いて、前記時間当た
    りの熱量データQ0を求めることを特徴とする請求項7
    記載のサーマルプリンタ。
  9. 【請求項9】 前記画像データに基づき周辺発熱素子の
    熱量データQ1を求め、この周辺発熱素子の熱量データ
    Q1から下記式 ΔQ1 ={1/(1+S・rg ・Cg )}・Q1 により周辺発熱素子の影響による温度変動分ΔQ1を求
    め、この温度変動分ΔQ1を抑えるようにサーマルヘッ
    ドを駆動制御する制御部を備えたことを特徴とする請求
    項6ないし8いずれか1つ記載のサーマルプリンタ。
  10. 【請求項10】 各ラインの記録に際し、該当する発熱
    素子に隣接する発熱素子の画像データに基づき、前記周
    辺発熱素子の熱量データQ1 を決定することを特徴とす
    る請求項9記載のサーマルプリンタ。
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