JP3251521B2 - 二層構造を有するニット衣類およびその編成方法 - Google Patents

二層構造を有するニット衣類およびその編成方法

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    • D04BRAIDING; LACE-MAKING; KNITTING; TRIMMINGS; NON-WOVEN FABRICS
    • D04BKNITTING
    • D04B1/00Weft knitting processes for the production of fabrics or articles not dependent on the use of particular machines; Fabrics or articles defined by such processes
    • D04B1/22Weft knitting processes for the production of fabrics or articles not dependent on the use of particular machines; Fabrics or articles defined by such processes specially adapted for knitting goods of particular configuration
    • D04B1/24Weft knitting processes for the production of fabrics or articles not dependent on the use of particular machines; Fabrics or articles defined by such processes specially adapted for knitting goods of particular configuration wearing apparel
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニット衣類がその
前身頃と後身頃が編み幅の側端で、且つ肩部において接
合されたニット衣類およびその編成方法に関し、殊に前
身頃および後身頃部が断面中空状の二層構造を有するニ
ット衣類とその編成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニット衣類の前身頃と後身頃の各部を連
編してほぼ完成品に近い状態までを横編機により編成す
ることで従来必要とされたリンキング等の縫製工程を省
略ないし省力化する技術が種々提案されている。このよ
うな技術を開示したものとして例えば特公平3−756
56号や特開平5−51849号がある。
【0003】特公平3−75656号は本出願人の提案
によるもので前後に針床を対向配置させた所謂2枚ベッ
ド横編機を用い、例えば前側編地の編成を奇数番目の針
に、後側編地を偶数番目の針に割り当て、前後針床のそ
れぞれ1本置きの針を使用して編地を筒状に編成するも
のである。前側編地を編成する際に後側編地を後針床の
針に付属させ、反対に後側編地を編成する際に前側編地
を前後針床の針に付属させて前後に重ね合わせた状態で
編地を編成することで各編地は対向する針床上に目移し
用の空針を常に確保でき、その結果リンクス、ガータ
ー、リブ等の表目/裏目が混在した組織柄を筒状に編成
できる。また、この空針を使って編地を横に移動させ隣
接する編地と接合することができる。前後に更に一対の
針床を付加した4枚ベッド横編機を使用する場合では、
前側編地を下部前針床と上部後針床の針で編成し、同様
に後側編地を下部後針床と上部前針床の針を使用して編
成できるので2枚ベッド横編機のように前側編地を奇数
番目、後側編地を偶数番目の針に割り当てることは要ら
ない。
【0004】特開平5−51849号は上記とは異なる
編成方法により完成品に近いニット衣類を得るもので、
後身頃を針床の中央に、左右の前身頃を後身頃の両脇に
並置させて裾ゴム部から肩部に向かって編成した後、肩
部において前身頃と後身頃を接合して完成品に近いY首
ベストを得るものである。
【0005】しかし、上記した何れの方法もニット衣類
を構成する前身頃や後身頃などの編地をそれぞれ単層
(一層)の編地として形成するものである。そのためこ
のように編成されたベストなどのニット衣類では以下の
問題を有することになる。即ち表目使いで編まれたベス
トを裏返してリバーシブルに着用してもそれは単に単層
の編地の裏側(同色の裏目)が現れる過ぎなく、表と全
く関連性のない色や図柄や編み組織として表現できない
などデザイン面で大きな制約を受ける。また、前身頃や
後身頃が単層の編地で構成されるため編地の嵩高さに欠
ける。
【0006】従来ではこのような問題が生じないように
横編機を使って単層の編地を2枚編成し、その後これら
編地の側端部を縫い合わせることで前身頃と後身頃部の
それぞれが断面中空状のニット衣類を得るようにしてい
た。そのためこの種のニット衣類の製造には多大な時間
と労力が必要とされた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前身
頃や後身頃などニット衣類を構成する各部分が断面中空
状の二層構造を有するニット衣類の編成方法を提供する
ことを目的とする。また、本発明の副次的目的はニット
衣類のデザイン上の制約を少なくすることやボリューム
感のあるニット衣類を得ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の編成方法では、
左右方向に延び、かつ前後方向に互いに対向する少なく
とも前後一対の針床を有し、前記一対の針床はそれぞれ
多数の針を持ち、さらに前記一対の針床は対向部に歯口
を形成し、かつ前記針床の少なくとも一方が左右にラッ
キング可能で、前記針床間で編目の目移しが可能な横編
機を用いてニット衣類を編成する方法であって、編成さ
れるニット衣類は外層編地と内層編地からなる断面中空
状の構造を有するタイプのもので、これら編地は前身頃
の右半分、後身頃部、前身頃の左半分で構成されるもの
であり、外層編地を第1の針床に付属させ、内層編地を
第2の針床に付属させ、且つ外層編地を構成する前左身
頃と前右身頃が脇ラインにおいて後身頃と連編されるよ
うに針床の針に割り当て、内層編地を構成する前左身頃
と前右身頃が脇ラインにおいて後身頃と連編されるよう
に針床の針に割り当てる工程、内層編地と外層編地が編
地側端部において連結されるように編糸を供給して各編
地の編目コースを形成する工程、各編地は前身頃と後身
頃の裾部を編み始めとし、肩部に向かって編目コースを
形成しながら編み進め、その編成の間に編目の目移しと
それによる形成される重ね目により衿ぐりと袖ぐりの開
口を形成する工程、前身頃の編目と後身頃の編目とを肩
先から衿側に向かって順次重ね合わせていくことで前身
頃と後身頃を肩部において接合する工程、後衿部の編目
を伏せ目処理する工程、を含む。
【0009】また、肩部における前身頃と後身頃の接合
工程は、左右の前身頃と後身頃を近接並置させた状態で
編糸を前身頃、後身頃、前身頃を係止する針に続けて供
給して肩部の編目コースを形成するとともに肩ラインに
沿う前身頃と後身頃の前記形成された側端部の編目同士
を目移しして重ね合わせる。
【0010】また、肩部における前身頃と後身頃の接合
は、伏せ目処理により行う。
【0011】また、外層編地と内層編地はそれぞれ異な
る編糸により編成され、編地の側端部において編糸の交
差により連結される。
【0012】また、外層編地と内層編地は独立したデザ
インを有する。
【0013】また、本発明のニット衣類は、 外層編地
と内層編地からなる断面中空の二層構造を有するニッ
ト衣類において、外層編地と内層編地とが、各々、前身
頃の右半分、後身頃、前身頃の左半分で構成され、裾部
から袖ぐり開口部まで、外層編地と内層編地の両端部が
連編され、袖ぐり開口部から肩まで、外層編地と内層編
地の後身頃、前身頃の右半分、及び前身頃の左半分が、
各々筒状に編成され、肩部において外層編地と内層編地
の、前身頃と後身頃とが接続され、かつ、後衿部の編目
が伏せ目処理されている無縫製のニット衣類として横編
機上で製造されたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下
図面と共に説明する。本実施例では、ニット衣類として
ベストの編成を示す。説明の便宜を図るためベストは無
地とし、2枚ベッド横編機を用いて編成する場合を説明
する。編成に使用される横編機としては、左右方向に延
び、かつ前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対
の針床を有し、前記一対の針床はそれぞれ多数の針を持
ち、さらに前記一対の針床は対向部に歯口を形成し、か
つ前記針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能
で、前記針床間で編目の目移しが可能な横編機であれば
何でもよいが、具体的には株式会社島精機製作所製SW
G−V(製品名)が使用される。
【0015】このベストは後述するように外層編地と内
層編地からなり、ベストを裏返して着用できるリバーシ
ブルタイプのベストである。よって着用のされかた如何
で外層編地と内層編地の関係ならびに左身頃と右身頃の
関係は入れ替わることになるが、本明細書では図1の状
態を基準として外層編地と内層編地を定義する。
【0016】図1〜図3は、ニット衣類としてベスト1
を示す。図1は仕上がり状態のベスト示し、図2は図1
の線X−Xにおけるベストの断面図を示す。図3は、横
編機(不図示)によって編まれるベスト各部の配列と編
み順を示し、図3−Aは横編機正面から見た図を示し、
図3−Bは横編機背面から透視して見た図を示す。上記
図からも理解されるようにベスト1は外層編地3と内層
編地5から構成される断面中空の2層構造の編地として
構成される。ここでいう外層編地3とは、ベスト1を着
用したときに外側に現れる編地をいい、内層編地5とは
内側に隠れる編地をいう。内層編地5を前針床に、外層
編地3を後針床に付属させて編成する。内層編地5は前
右身頃9n、後身頃7n、前左身頃11nからなり、こ
れらは主に横編機の前針床の針で編目が形成され、外層
編地5は前右身頃9g、後身頃7g、前左身頃11gか
らなりこれらは主に後針床の針で編目が形成される。そ
の結果、外層編地3と内層編地5の編地表面はともに表
目となる。ベスト1は編み始めを裾部13とし肩部15
に向かって編成される。図中の符号17,19,21,
23はリンクス編みやガーター編み等の編み組織により
補強編みされた前立てや袖ぐり周縁部といった身頃の側
端部を示すものであるがその編成についての説明は省略
する。
【0017】次に本実施例のベスト1の編成について説
明する。図4は、編成が進行される各段階における針床
上の各部の配置状態と編糸の供給の向きを示す。図4−
1に示すようにベスト1は先ずリブ編される裾部13か
ら編成が開始され、例えば編糸を右方向に移動させ前右
身頃9g、後身頃7g、前左身頃11gの順にベストの
外層編地3を係止する針に供給した後、編糸を左方向に
移動させ内層編地5を前左身頃11n、後身頃7n、前
右身頃9nの順に供給して各部の編目コースを形成す
る。この周回供給を繰り返し行うことで内層編地5と外
層編地3がその側端部で連結された筒状構造をとるとと
もに所望丈の裾部13が形成される。次に裾部の編成に
続いて裾部と同様に編糸を周回編成して身頃の外層と内
層の編成を袖ぐり25,27が形成される直前の脇下ま
でを編成する。このとき同時に裾部13に隣接する前立
て17,19が編成される。ボタンホールが必要であれ
ば前立てに形成しながら編成してもよい。
【0018】脇下wにおいて該箇所の内層編地5と外層
編地3の編目を目移しにより重ね合わせた後、公知の伏
せ目処理を行って脇下wの編目を針から解放する。この
伏せ目編成は、例えば側端の重ね目に続く新たな編目を
形成し、その形成された編目をこれに隣接する編目に重
ね、更にこの重ね目に続く編目を形成した後、続く隣の
編目に重ね、…といった編成を脇下wの一方から他方に
向かって繰り返し行うものである。この結果、前身頃と
後身頃は脇下wを境界に分断される。
【0019】脇下w以降の上記分断された後身頃7、前
右身頃9、前左身頃11のそれぞれの内層編地と外層編
地が側端部において連結された二層構造の編地として編
成するために本実施例では今まで使用してきた編糸を後
身頃の編成に用い、前身頃9,11の編成のために新た
に2つの編糸が導入される。図4−2はそのときの各部
への給糸状態を示し、各部を筒状に編成しながら同時に
袖ぐりの開口25,27を広げていくために前身頃9,
11と後身頃7の側端部の編目または編目群を編地内方
に移動させ、身頃の編み幅を減少させながら肩部までの
編成を行う。この工程の間に衿ぐり29の開口も同時に
形成される。このようにして肩部までの編成が完了した
ときの針床の編地の係止状態を図4−3に示す。
【0020】前身頃9,11と後身頃7を肩部31,3
3,35の編目コースを形成しながら接合するために、
袖ぐり25,27を挟んで後身頃7と隣接する前身頃9
を目移しにより移動して後身頃7のすぐ隣まで移動させ
る。この前身頃9,11の移動は、針床のラッキング量
が小さい編機の場合には複数回に分けて行う必要があ
る。この場合、同じコースの編目が前後の針床間で多数
回の受け渡しが行われことになる。そこで上記衿ぐり2
9や袖ぐり25,27を形成する間に所定数の身頃の編
目コースが形成される毎に前身頃9,11の編目を順次
後身頃7に近づくように移動させるようにすれば肩まで
の編成が完了したときに図4−3の状態となり、同じコ
ースの編目が多数回受け渡しされることがなくなり編目
への負荷を軽減できる。図4−4は、前身頃9,11が
後身頃7のすぐ隣まで移動された状態の編目の係止状態
を示す。
【0021】次に前身頃9,11と後身頃7の肩同士の
接合編成について説明する。接合編成には1つの編糸が
使われ、他の編糸は編成から外される。編糸を並置され
る外層編地3の前右身頃9g、後身頃7g、前身頃1
1gと、次に内層編地5の前左身頃11n、後身頃7
n、前身頃9nの編目を係止する各針に周回供給して
編目コースを形成することで各部が接合された一つの筒
状編地とする(図4−5)。
【0022】前右身頃9と前左身頃11は同様の方法に
より後身頃7と接合されるため前左身頃11と後身頃7
の接合ついての編成ステップについて図5を参照しなが
ら説明する。ステップSは接合前の後身頃7と前左身頃
11の内層編地5と外層編地3の各編目の針床での係止
状態を示す。図の下に示したアルファベットは針床の針
を示し、ステップSの状態では前後の針床の各針A〜w
は互いに対向する位置にある。各ステップに示したF,
Bは前針床と後針床を示し、黒丸は外層編地を示し、白
丸は内層編地を示す。
【0023】先ずステップ1で編糸を後針床に係止され
る外層編地3の前右身頃9g(不図示)、後身頃7g、
前左身頃11gに、次に前針床に係止される内層編地5
の前左身頃11n、後身頃7n、前右身頃9n(不図
示)の編目を係止する各針に周回供給して肩部31,3
3,35の編目コースを形成する。これにより各部が接
合された一つの筒状編地とする。
【0024】次に形成された内層の前左身頃11nの編
目を後針床に目移し(ステップ2)、しかる後に後針床
を左にラッキングして後身頃7に隣接する前左身頃11
nの側端の編目4つ(ステップ1において前針床の針
L,M,N,Oに係止されていた編目)を前針床に目移
しし、針L,Mに係止されていた側端の編目2つを後身
頃7nの側端の2目と重ねる(ステップ3)。ステップ
4では後針床を更に左へラッキングした後、残りの前左
身頃11nの編目を前針床に移す。これによりステップ
1おいて針N,Oに係止されていた編目と重ね目を作
る。同時にこのステップにおいて外層の前左身頃11g
の編目を前針床に目移しする。次にステップ5で後針床
を図示の状態にラッキングしてステップ1において針
l,m,n,oに係止されていた前左身頃11gの側端
の編目4つを後針床に目移しし、側端の2目を後身頃7
gの側端の2目と重ねる。ステップ6は後針床を右へラ
ッキングして前針床に係止される前左身頃11gの編目
を後針床に移す。これによりステップ1で針n,oに
った編目と重ね目を作る。ステップ7はステップ6が終
了した状態の針床の編地の係止状態を示す。上記ステッ
プ1〜6の編成により前左身頃11と後身頃7のそれぞ
れにおいて互いに隣接する側の編目2目が重ね目を形成
することになり、筒状編地の編み幅が編地右側前後にお
いて4ウエール減少したことになる。このステップ1〜
6に示した編成を繰り返し行うことで前身頃と後身頃の
肩部31,33,35の形成と接合を行うとともに編目
を針から順次解放していく。この繰り返し編成でステッ
プ1に示す編目コースの編成を行うときに重ね目を係止
する針に複数コースの編目コースが形成されるように該
部分において編糸を反転移動させた後、再度反転移動さ
せて供給するようにして編地の肩ラインにおける突っ張
りを抑えるようにしてもよい。ステップ8〜1はステ
ップ7に対応するもので進行されていく各段階における
編地の係止状態を示したものである。
【0025】このように肩ライン15に沿って前身頃
9,11の編目を後身頃7に重ね合わせ、更にそれに続
く各部の編目コースを形成するとともに前身頃の編目と
重ね目の形成されたウエールの編目を編地内方へと移動
させる編成を繰り返すことで前身頃と後身頃の編み幅を
減少させながら前身頃9,11と後身頃7を接合する。
上記では前身頃と後身頃は肩部31,33,35を形成
しながら順次編み幅を減少していくので肩先が下がって
形成される。また、上記図5による方法では、同じ層の
編地同士が、即ち外層編地同士あるいは内層編地同士の
前身頃と後身頃が肩部において接合されるので前身頃と
後身頃が肩ライン15においても中空構造を断絶される
ことはないという効果がある。
【0026】肩部において後身頃と前身頃の接合が終了
した後は、針床上に係止される後身頃7の後衿40の内
層と外層の編地を目移しにより重ね合わせた後、順次伏
せ目処理することで針から編目を解放して編成を終了す
る。この状態で完成品に近いベストが編機から取り出さ
れる。図6はこのようにして編成されたベスト1を広げ
た状態にして上から見た図を示す。
【0027】肩部における前身頃と後身頃との接合編成
は上記した方法に代えて例えば本願出願人が先に提案し
た特開平3−279447号公報に開示の伏せ目方法を
適用することによって行うことも可能である。即ち、肩
部までの前身頃と後身頃の編成が完了した後、前身頃の
最終コースの外層編地と内層編地の対向する編目同士を
目移しにより重ね合わせて単層の編地とする。同様に後
身頃も単層の編地とする。その後、前身頃の編地を後身
頃の編地が係止される針床と反対側の針床へ目移しし、
前身頃の側端の編目を後身頃の側端の編目に重ねた後、
この重ね目に続く編目を形成し、形成した編目とこれに
隣接する前身頃および後身頃の編目とを重ね、この重ね
合わされた編目に続く編目を形成し、この編目に隣接す
る前身頃と後身頃の編目とを重ねていく工程を繰り返し
ていくことで袖ぐり開口を挟んで左右対称となる前身頃
と後身頃の編目同士を重ね合わせて両編地を接合する。
この方法では肩部において外層編地と内層編地は一旦重
ね合わされるので編地の中空構造は肩部において途切れ
ることになる。この場合、肩先が下がったシルエットと
して形成するには、肩部31,33,35を引き返し編
みにより形成した後、上記編成を行えばよい。
【0028】また、上記した実施例では、前身頃や後身
頃の各部の外層編地や内層編地は同一の編糸を使用して
周回供給されるものを示したが、外層編地と内層編地の
編成に使用する編糸を異なる色や素材のものとして編成
することも可能であり、その場合には外層編地と内層編
地とが編地側端において連結されるように例えば編糸同
士を交絡させるようにすればよい。この編糸同士の交絡
は、従来から袋編みジャカードを編成する際によく使わ
れている技法で編地側端部において編糸同士が互いに交
差するように編糸をアレンジさせ、この交差の下側に位
置する編糸から編成することでもう一方の編糸と交絡さ
せるものである。
【0029】また、編成された二層構造を有するニット
衣類の外層編地と内層編地との中空部分に羽毛などの注
入部材をインジェクションで注入するなどしてニットの
ダウンベストを得ることもできる。その際、注入される
部材が着用状態においても所定の位置を保つようにタッ
ク編みなどにより外層編地と内層編地が格子状に編み合
わされるようにして各部を区画するなど本発明の趣旨を
逸脱しない範囲において実施できるものである。
【0030】
【発明の効果】上記したように本発明の編成方法では、
ニット衣類は外層編地と内層編地とにより前身頃および
後身頃部が断面中空状の2重構造を有する状態で横編機
上で編成されるため単層の編地を縫い合わせるような作
業は不要となる。更に外層編地と内層編地のそれぞれを
全く関連性のない独立した色や素材もしくは図柄や編み
組織として表現でき、例えばリバーシブルのニット衣類
として編成する際のデザインの多様化を図ることができ
る。また、嵩高でボリューム感のあるニット衣類が得れ
るなどの効果がある。そしてこのように横編機上で編み
上げられたニット衣類は無縫製であるため縫い目による
ごわつき感がなだけでなくリバーシブルとしての使用も
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の編成方法により編成されたベストを
示す。
【図2】図1の線X−Xにおけるベストの断面図を示
す。
【図3】横編機によって編まれるベスト各部の配列と編
み順を示し、図3−Aは横編機正面から見た図を示し、
図3−Bは横編機背面から透視して見た図を示す。
【図4】針床上における各部の配置状態と編糸の供給の
向きを示す。
【図5】前左身頃と後身頃の肩部における接合編成のス
テップを示す。
【図6】広げた状態のベストを上方から見た図を示す。
【符号の説明】
1…ベスト、3…外層編地、5…内層編地、7,7g,
7n…後身頃、9,9g,9n…前右身頃、11,11
g,11n…前左身頃、15…肩ライン、31,33,
35…肩部

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 左右方向に延び、かつ前後方向に互いに
    対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前記一対の
    針床はそれぞれ多数の針を持ち、さらに前記一対の針床
    は対向部に歯口を形成し、かつ前記針床の少なくとも一
    方が左右にラッキング可能で、前記針床間で編目の目移
    しが可能な横編機を用いてニット衣類を編成する方法で
    あって、編成されるニット衣類は外層編地と内層編地か
    らなる断面中空状の構造を有するタイプのもので、これ
    ら編地は前身頃の右半分、後身頃部、前身頃の左半分で
    構成されるものであり、以下の編成工程を含む; 外層編地を第1の針床に付属させ、内層編地を第2の針
    床に付属させ、且つ外層編地を構成する前左身頃と前右
    身頃が脇ラインにおいて後身頃と連編されるように針床
    の針に割り当て、内層編地を構成する前左身頃と前右身
    頃が脇ラインにおいて後身頃と連編されるように針床の
    針に割り当てる工程、 内層編地と外層編地が編地側端部において連結されるよ
    うに編糸を供給して各編地の編目コースを形成する工
    程、 各編地は前身頃と後身頃の裾部を編み始めとし、肩部に
    向かって編目コースを形成しながら編み進め、その編成
    の間に編目の目移しとそれによる形成される重ね目によ
    り衿ぐりと袖ぐりの開口を形成する工程、 前身頃の編目と後身頃の編目とを肩先から衿側に向かっ
    て順次重ね合わせていくことで前身頃と後身頃を肩部に
    おいて接合する工程、 後衿部の編目を伏せ目処理する工程。
  2. 【請求項2】 肩部における前身頃と後身頃の接合工程
    は、左右の前身頃と後身頃を近接並置させた状態で編糸
    を前身頃、後身頃、前身頃を係止する針に続けて供給し
    て肩部の編目コースを形成するとともに肩ラインに沿う
    前身頃と後身頃の前記形成された側端部の編目同士を目
    移しして重ね合わせる請求項1の二層構造を有するニッ
    ト衣類の編成方法。
  3. 【請求項3】 肩部における前身頃と後身頃の接合工程
    は、伏せ目処理により行う請求項1の二層構造を有する
    ニット衣類の編成方法。
  4. 【請求項4】 外層編地と内層編地はそれぞれ異なる編
    糸により編成され、編地の側端部において編糸の交差に
    より連結される請求項1〜3の何れかの二層構造を有す
    るニット衣類の編成方法。
  5. 【請求項5】 外層編地と内層編地は独立したデザイン
    を有する請求項1〜4の何れかの二層構造を有するニッ
    ト衣類の編成方法。
  6. 【請求項6】 外層編地と内層編地からなる断面中空
    の二層構造を有するニット衣類において、外層編地と内
    層編地とが、各々、前身頃の右半分、後身頃、前身頃の
    左半分で構成され、裾部から袖ぐり開口部まで、外層編
    地と内層編地の両端部が連編され、袖ぐり開口部から肩
    まで、外層編地と内層編地の後身頃、前身頃の右半分、
    及び前身頃の左半分が、各々筒状に編成され、肩部にお
    いて外層編地と内層編地の、前身頃と後身頃とが接続さ
    れ、かつ、後衿部の編目が伏せ目処理されている二層構
    造を有する横編機によって一体編成されたニット衣類。
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