JP3250436B2 - 耐浸炭性に優れた耐熱合金 - Google Patents

耐浸炭性に優れた耐熱合金

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JP3250436B2
JP3250436B2 JP30783195A JP30783195A JP3250436B2 JP 3250436 B2 JP3250436 B2 JP 3250436B2 JP 30783195 A JP30783195 A JP 30783195A JP 30783195 A JP30783195 A JP 30783195A JP 3250436 B2 JP3250436 B2 JP 3250436B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、600〜900℃
の温度域で、炭化水素類に対するH2 の体積比(H2
炭化水素類)が0(ゼロ)を超え4未満の環境で用いら
れる高温装置用材料として用いられる耐熱合金に関す
る。
【0002】
【従来の技術】石油化学工業用改質炉等では、石油、ガ
ス等の炭化水素類を原料ガスとして用い、H2 を混合し
た600〜900℃の雰囲気で分解して改質させている
が、このような温度域(以下、中温度域という)で用い
られる装置材料に浸炭が発生するとの認識は一切されて
おらず、単に耐熱性を考慮した安価なCr−Mo鋼等の
耐熱鋼が従来から使用されている。
【0003】しかし、今までの認識とは異なり、原料ガ
スとなる炭化水素類にH2 を添加した場合、特に、炭化
水素類に対するH2 の体積比(H2 /炭化水素類)が0
(ゼロ)を超え4未満の範囲となる上記の中温度域で原
料ガスを改質させる装置材料に、今まで問題とされてい
なかった浸炭という問題が新たに発見された。
【0004】この環境は、通常の環境よりも強還元性雰
囲気となるため、600〜900℃という中温度域であ
っても、Cr−Mo鋼等の耐熱鋼では、原料からのC生
成により局部的な浸炭が発生したものと考えられる。
【0005】さらに、今まで用いられていたCr−Mo
鋼は、耐熱性を重視した材料のため、C含有量も高く加
工性や溶接性に劣るといった問題もある。そのため、現
状ではその都度装置材料の更新を行ってはいるが、補修
工数や補修費用の増大のみでなく操業効率化の阻害をも
招いている。
【0006】高温装置材料における耐浸炭性の検討は今
までに種々の検討がなされており、例えば、CORRO
SION−NACE,Vol.15 Dec.(195
9)p622には、57.5%H2 −31.8%CO−
1.2%CH4 −6.1%H2 O−2.8%N2 を含
み、900〜1650F(482〜899℃)の環境で
使用される材料として、種々のCr−Mo鋼や25%C
r(AISI−Type446)、18%Cr−8%N
i(AISI−Type304:JIS規格のSUS3
04相当)および25%Cr−20%Ni(AISI−
Type310:JIS規格のSUS310相当)等の
ステンレス鋼を用いた耐浸炭性の検討がなされている。
ここでは、Cr含有量が高いほど耐浸炭性に優れること
が記載されている。また、Met.Eng.Quar
t.,Vol.8(1968)p30には、40%H2
−20%CO−2.5%CH4 −残N2 を含む974℃
の環境での耐浸炭性に及ぼす材質の検討がされており、
15〜18%Crと80%迄のNiを含有するステンレ
ス鋼を用いてC吸収量を調査しており、Crのみでなく
Niの含有も耐浸炭性には有効であることが記載されて
いる。
【0007】しかし、これらの2つの文献が対象とする
環境は炭化水素類に対するH2 の体積比(H2 /炭化水
素類)が非常に高く、本発明が対象とする環境のガス組
成とは異なっており、本発明が対象とする環境での浸炭
問題については十分には検討されているとは言えず、本
環境でCr、Niの含有が耐浸炭性に有効かどうかは明
確にされていない。
【0008】さらに、本発明が対象とする環境とは異な
るが、エチレン分解炉等のパラフィン系炭化水素にスチ
ームを混合し、1000〜1100℃とより高温の環境
で使用される装置材料についても種々の検討がされてい
るが、この環境では、高温強度と共に耐浸炭性や耐コー
キング性が要求される。例えば、特公平2−50976
号公報には、C:0.3〜0.6%、Si≦2.0%、
Mn≦20%、Cr:20.0〜30.0%、Ni:3
0.0〜40.0%に、Al、Ti、B、Nb、Wを含
有させ、高温強度と耐浸炭性を改善した石油化学工業反
応管用耐熱鋳鋼が記載されている。また、特開平2−1
56049号公報や特開平3−104843号公報に
も、同じエチレン分解炉管用として、希土類元素やZr
添加により高温強度を保持しつつ耐コーキング性を有す
る耐熱鋼が開示されている。
【0009】このようなエチレン分解炉のような100
0〜1100℃という高温環境は、本発明が対象とする
環境とは異なっており、浸炭やコーキングを防止すると
共に高温強度が要求されるためCr−Ni鋼のC量を少
なくとも0.1%程度以上とする必要がある。しかし、
このような高強度でC量が高めの材料を曲げ加工した場
合には割れが発生したり、溶接部が高硬度となり応力腐
食割れ(以下「SCC」という。)が発生する恐れがあ
る。
【0010】さらに、特開平2−156049号公報や
特開平3−104843号公報が対象としている「コー
キング」とは、ガス中の炭化水素から炭素が析出し、材
料表面に堆積する現象であり、本発明が対象とする環境
で用いられる材料に発生する浸炭とは異なる現象であ
る。
【0011】また更に、特開平5−1344号公報に
は、C:0.05〜0.30%、Si≦5%、Mn≦
0.4%、Cr:15〜45%、Fe≦15%に、M
g、B、Zr、希土類元素(Y、La、Ce)およびN
を含有させたエチレン分解炉管用のNi基合金が開示さ
れている。そして、このNi基合金におけるNは、オー
ステナイト組織を安定にし、高温強度を向上させるため
に用いられている。
【0012】上記のように、炭化水素類に対するH2
体積比が非常に高い環境や、パラフィン系炭化水素にス
チームを混合して1000〜1100℃と高温で分解す
る環境に用いられる装置用材料では、浸炭やコーキング
といった現象が確認されており種々の検討がなされてい
る。しかし、本発明が対象とする600〜900℃の中
温度域で炭化水素類の原料ガスに特定量のH2 を混合し
て改質させる環境で浸炭という問題があることは今まで
知られておらず、そのためCr−Mo鋼等の安価な耐熱
鋼が装置材料として用いられていた。
【0013】そこで、従来から用いられているCr−M
o鋼に代わって、耐浸炭性を有すると共に、加工性、溶
接性や耐SCC性にも優れた材料が要望されていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、600〜9
00℃の中温度域で、かつ炭化水素類に対するH2 の体
積比(H2 /炭化水素類)が0(ゼロ)を超え4未満の
環境で用いられる、耐浸炭性を有すると共に、加工性、
溶接性や耐SCC性にも優れた高温装置用材料として有
用な合金を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明が対象とする環境
では、強還元性雰囲気となるため、600〜900℃の
中温度域でもCが生成して浸炭が発生する環境となる。
その環境で使用される装置用材料としては、耐浸炭性の
みでなく曲げ加工性、溶接性や耐SCC性をも考慮する
必要がある。
【0016】本発明者らは、上記課題を達成できる材料
の合金組成につき検討した結果、下記の〜の知見を
得、本発明を完成させるに至った。
【0017】耐浸炭性の向上には強固で緻密な保護皮
膜を形成することが有効であり、少なくともCrとNi
を含有した合金とする必要がある。また、その環境で強
固で緻密な保護皮膜を形成させるには、高いCr、Ni
含有量が必要である。
【0018】Mnは耐浸炭性を劣化させるスピネル型
酸化皮膜を形成するため、Mnを低減することが必要で
ある。
【0019】本発明の使用環境である600〜900
℃の中温度域では高温強度はさほど問題にはならない。
従って、他の合金元素との兼ね合いで従来鋼よりもC量
を低減することが可能であり、これにより曲げ加工性、
溶接性および耐SCC性を向上させることができる。
【0020】Ti、Alの適量添加と共に、不純物と
して含まれるP、Sの低減により、保護皮膜の強度を上
昇させ得て浸炭を抑制できる。
【0021】Ti添加鋼において適量のNを添加する
とTiNが生成し、このTiNによって鋼内部へのCの
拡散が抑制され、耐浸炭性がより向上する。
【0022】さらに、Y、La、Ceの1種以上を含
有させることで、Cr2 3 からなる表面酸化皮膜の密
着性が向上し、浸炭を抑制することができる。また、こ
れらの元素を添加する場合は、Mnを高めても耐浸炭性
の改善は可能である。
【0023】ここに、本発明の要旨は、次の(1)およ
び(2)の耐浸炭性に優れた耐熱合金にある。
【0024】(1)重量%で、C:0.04%以下、S
i:1.0%以下、Mn:0.5%以下、Cr:19.
0〜23.0%、Ni:30.0〜35.0%、Ti:
0.15〜1.40%、Al:0.15〜0.60%、
N:0.08〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなり、不純物中のPは0.030%以
下、Sは0.015%以下で、かつTiとNとの関係が
下式を満たすことを特徴とする、600〜900℃の温
度域でかつ炭化水素類に対するH の体積比が0(ゼ
ロ)を超え4未満の環境で用いる耐浸炭性に優れた耐熱
合金。 0.1%≦(%)Ti−〔48×(%)N/14〕≦0.4%
【0025】(2)重量%で、C:0.04%以下、S
i:1.0%以下、Mn:1.5%以下、Cr:19.
0〜23.0%、Ni:30.0〜35.0%、Ti:
0.15〜1.40%、Al:0.15〜0.60%、
N:0.08〜0.3%を含有すると共に、さらに、
Y:0.01〜0.10%、La:0.01〜0.10
%およびCe:0.01〜0.10%の1種以上を合計
で0.10%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不
純物からなり、不純物中のPは0.030%以下、Sは
0.015%以下で、かつTiとNとの関係が下式を満
たすことを特徴とする、600〜900℃の温度域でか
つ炭化水素類に対するH の体積比が0(ゼロ)を超
え4未満の環境で用いる耐浸炭性に優れた耐熱合金。 0.1%≦(%)Ti−〔48×(%)N/14〕≦0.4%
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の実施の形態】本発明は、原料となる石油やガス
等のCH4 −C2 6 −C3 8 等の炭化水素類に、炭
化水素類に対するH2 の体積比(H2 の体積%/炭化水
素類の体積%)を0(ゼロ)を超え4未満の範囲となる
2 を混合し、600〜900℃の中温度域で改質等を
行う、石油化学工業の改質炉用加熱炉管等の装置材料に
使用される耐熱合金に関するものである。
【0029】次に、本発明が対象とする使用環境におけ
る合金元素の限定理由について以下に説明する。なお、
以下特に断りのない場合、「%」は「重量%」を意味す
る。
【0030】C:0.04%以下 Cは、強度上昇に有効な元素であるが、本発明の使用環
境は600〜900℃の中温度域のため、C含有量を高
めて強度確保する必要性はなく、それよりも強度上昇や
高C化による曲げ加工性、溶接性や耐SCC性の劣化を
防止する方が有効である。したがって、C含有量は0.
04%以下とした。
【0031】なお、下限を定める必要は特にないが、望
ましい下限は0.01%である。
【0032】Si:1.0%以下 Siは、脱酸元素として必要な元素であり、また耐酸化
性や耐浸炭性改善に有効であり、通常は0.05%以上
含有させる。しかし、Si含有量が1.0%を超えると
靭性や溶接性が低下する。したがって、Si含有量は
1.0%以下とした。望ましい上限は0.5%である。
【0033】なお、下限を定める必要は特にないが、望
ましい下限は0.01%である。
【0034】Mn:0.5%以下、または1.5%以下 Mnは、脱酸元素として有効な元素であるが、スピネル
型酸化皮膜の形成を促進して耐浸炭性を劣化させる。そ
のため、Mn含有量は0.5%以下とした。望ましい上
限は0.4%である。
【0035】ただし、上述したように、Y、Laおよび
Ceの1種以上を複合して含有させる場合には、これら
の元素によるCr2 3 酸化皮膜の密着性を改善して耐
浸炭性を改善させる効果により、強度確保のためにMn
含有量を1.5%まで上昇させてもよい。なお、耐浸炭
性の点からは、Y、LaおよびCeの1種以上を複合し
て含有させた場合でも、Mnを0.5%以下、望ましく
は0.4%以下に抑える方がより好ましいことは言うま
でもない。
【0036】なお、下限を定める必要は特にないが、望
ましい下限は0.20%である。
【0037】Cr:19.0〜23.0% Crは、強度上昇に有効な成分であると共に、耐酸化性
も改善する。さらに、材料表面にCr2 3 からなる酸
化皮膜を形成し、浸炭が進行するのを防止する。しか
し、Cr含有量が19.0%未満では緻密な酸化皮膜が
形成されず、上記の効果が得られない。一方、Cr含有
量が23.0%を超えると強度が高くなり過ぎ、曲げ加
工性が劣化すると共に溶接性も悪くなる。したがって、
Cr含有量は19.0〜23.0%とした。望ましい範
囲は20.5〜22.5%である。
【0038】Ni:30.0〜35.0% Niは、強度上昇や耐酸化性を向上させる元素であり、
さらに、Crによって形成された酸化皮膜を緻密化する
と共に酸化皮膜の密着性を高めて、耐浸炭性を改善す
る。しかし、Ni含有量が30.0%未満では本発明が
対象とする環境では耐浸炭性が不十分となる。一方、N
iを35.0%を超えて含有させても効果が飽和し、単
にコストアップとなるのみである。したがって、Ni含
有量は30.0〜35.0%とした。望ましい範囲は3
1〜33.5%である。
【0039】N:0.08〜0.3% Nは、オーステナイト組織の安定性に寄与するとともに
引張強さとクリープ破断強度を改善するのに有効な元素
であり、特に本発明の高Cr鋼においては高温強度の改
善に大きく寄与する元素である。また、Nは、本発明の
高Cr鋼においては後述のTiと複合して添加含有させ
るとTiNを生成し、このTiNがCの鋼内部への拡散
を妨げ、耐浸炭性を向上させる。これらの効果を得るた
めには、0.08%以上のN含有量が必要である。一
方、0.3%を超えてNを含有させても上記の効果は飽
和し、逆に窒化物が多量に析出して靭性低下や加工性お
よび溶接性の劣化を招く。したがって、N含有量は0.
08〜0.3%とした。望ましい範囲は0.08〜0.
25%である。
【0040】図1は、N含有量と浸炭深さとの関係を示
す図の一例であるが、N含有量が0.08%未満では浸
炭深さが0.06mm超と大きくなっている。一方、
0.3%を超えて含有させてもその効果に変化はない。
【0041】Ti:0.15〜1.4% Tiは、高温強度および耐食性を改善するのに有効な元
素であると共に、前述のNとの複合添加によって生成し
たTiNによるCの鋼内部への拡散抑制作用により耐浸
炭性を向上させる。さらに、Tiは合金表面に形成され
る保護皮膜の強度を上昇させる効果も有している。これ
らの効果を得るためには、0.15%以上のTi含有量
が必要である。しかし、1.4%を超えてTiを含有さ
せてもその効果は飽和し、逆にTi系炭窒化物が増加し
て加工性が劣化する。したがって、Ti含有量は0.1
5〜1.4%とした。望ましい範囲は0.40〜1.0
%である。
【0042】なお、TiとNとの関係は、下式を満足す
る範囲とする必要がある。これは、TiNによる上記の
効果に加え、強度と耐食性とを確実に確保維持するため
である。
【0043】0.1%≦(%)Ti−〔48×(%)N
/14〕≦0.4% Al:0.15〜0.60% Alは、高温強度確保と共に、Tiと同様、保護皮膜の
安定化に寄与する。この効果を得るには、0.15%以
上のAl含有量が必要である。一方、0.60%を超え
てAlを含有させてもその効果が飽和し、逆にAl系介
在物の増加により加工性が劣化する。したがって、Al
含有量は0.15〜0.60%とした。
【0044】望ましい範囲は0.2〜0.4%である。
【0045】Y、LaおよびCeの1種以上:いずれも
0.01〜0.10%、ただし、合計0.10%以下、
Y、LaおよびCeは、主として熱サイクル条件下での
Cr2 3 皮膜の密着性を向上し、温度変動下での使用
においても優れた耐浸炭性を有するため、必要に応じて
含有させる。その効果を発揮させるためにはY、Laお
よびCeとも、含有量をそれぞれ0.01%以上とする
必要がある。しかし、過剰に添加するとこれらの元素と
Fe、Cr、Niを主体とした金属間化合物が析出して
加工性が劣化し、またCr2 3 皮膜の密着性改善効果
も飽和するので、上限をY、LaおよびCeともそれぞ
れ0.10%とする。
【0046】さらに、これらの元素は1種だけ含有させ
てもよいし、また2種以上を含有させてもよいが、2種
以上を含有させる場合には、特に加工性を維持するため
に、これらの元素の合計が0.10%を超えない範囲に
抑える必要がある。また、0.10%を超えた場合に
は、鋼塊割れや熱間加工性の低下という問題が生じてく
る。
【0047】また、これらの元素による耐浸炭性改善効
果は、Y、LaおよびCeが合金と酸化皮膜の界面に偏
析するSを硫化物として合金中に固定し、Cr2 3
化皮膜の密着性を良好にし、耐剥離性を向上させること
による。したがって、Y、La、Ceの1種以上を含有
させる場合は、Mn含有量を1.5%まで高めてもMn
による耐浸炭性の劣化は顕著とはならず、低MnでY、
LaおよびCeを含有しない場合と同等の耐浸炭性を確
保することができる。
【0048】さらに、合金中に不純物元素として含有さ
れる元素のうち、Pは0.030%以下、Sは0.01
5%以下に限定する。PおよびSは熱間加工性を劣化さ
せると共に、酸化皮膜の密着性を劣化させるため、でき
るだけ低くする。Pを0.015%以下、Sを0.00
5%以下とするのがより好ましい。
【0049】また、本発明合金は、通常の溶解および精
錬工程で溶製したのち、鋳造し、鋳造のまま、あるい
は、さらに鍛造、圧延、押し出し等の熱間加工工程を経
て管などの装置材料用に供される。また、熱処理は、組
織の均一化を促進し本発明合金の性能向上に寄与するた
め、1000〜1200℃程度の固溶化熱処理が施すこ
とが好ましいが、鋳造あるいは加工のままでの使用も可
能である。
【0050】
【実施例】表1に供試材の化学組成を示す。合金No. 1
〜14が本発明合金であり、合金No. A〜Lは比較合金
である。本発明合金および比較合金は、いずれも17k
g真空高周波溶解炉で溶解したインゴットを鍛造加工
後、熱間圧延して厚さ7mmの板材に成形し、これに1
100℃で固溶化熱処理を施し、供試材を準備した。
【0051】これらの供試材から試験片を採取し、耐浸
炭性を調べた。
【0052】試験は、ガス浸炭試験法により、70体積
%CH4 −30体積%H2 (H2 /炭化水素類=0.4
3)雰囲気中にて850℃の短時間(25時間)加速試
験を行い、試料を切断、研磨してから顕微鏡観察して浸
炭深さを測定した。その結果を、表1に併記して示し
た。
【0053】
【表1】
【0054】表1から明らかなように、本発明合金(N
o. 1〜14)では、浸炭深さが0.06mm以下と良
好である。本発明合金の中でもN含有量を高めたものま
たはY、LaおよびCeの1種以上を含む合金の方が耐
浸炭性が向上している。また、Mn含有量が高めの合金
No. 12〜14でもY等を含有することで良好な耐浸炭
性を有している。
【0055】一方、Mn、Ti、Al、N、P、Sおよ
び#1欄の式{(%)Ti−〔48×(%)N/1
4〕}で求められる値のうちのいずれか1つ以上が本発
明範囲を外れる合金No. A〜Gでは浸炭量が多くなって
おり、現状材料のCr−Mo鋼(合金No. I)では浸炭
深さが0.50mmと8倍以上も大きくなっている。ま
た、従来合金のSUS304(合金No. J)、SUS3
10(合金No. K)、NCF800(合金No. L)で
も、本発明が対象とする環境では本発明合金よりも大き
な浸炭量となっている。なお、比較合金のうち、Tiと
Nの含有量が本発明で規定する上限値をともに外れる比
較合金(No. H)は、浸炭深さが0.02mmと少なく
耐浸炭性に優れるものの、上記本発明合金の靭性(80
0℃×3000hr時効処理後のシャルピー衝撃値)が
いずれも50J/cm 以上であったのに対し、10
J/cm で靭性劣化が著しかった。
【0056】
【発明の効果】本発明合金は、600〜900℃の温度
域で耐浸炭性が問題となる環境において、耐浸炭性を有
すると共に、加工性、溶接性や耐SCC性にも優れてお
り、本発明が対象とする環境で使用される高温装置用材
料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】N含有量と浸炭深さとの関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、C:0.04%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:0.5%以下、Cr:19.0〜
    23.0%、Ni:30.0〜35.0%、Ti:0.
    15〜1.40%、Al:0.15〜0.60%、N:
    0.08〜0.3%を含有し、残部がFeおよび不可避
    的不純物からなり、不純物中のPは0.030%以下、
    Sは0.015%以下で、かつTiとNとの関係が下式
    を満たすことを特徴とする、600〜900℃の温度域
    でかつ炭化水素類に対するH の体積比が0(ゼロ)
    を超え4未満の環境で用いる耐浸炭性に優れた耐熱合
    金。 0.1%≦(%)Ti−〔48×(%)N/14〕≦0.4%
  2. 【請求項2】重量%で、C:0.04%以下、Si:
    1.0%以下、Mn:1.5%以下、Cr:19.0〜
    23.0%、Ni:30.0〜35.0%、Ti:0.
    15〜1.40%、Al:0.15〜0.60%、N:
    0.08〜0.3%を含有すると共に、さらに、Y:
    0.01〜0.10%、La:0.01〜0.10%お
    よびCe:0.01〜0.10%の1種以上を合計で
    0.10%以下を含み、残部がFeおよび不可避的不純
    物からなり、不純物中のPは0.030%以下、Sは
    0.015%以下で、かつTiとNとの関係が下式を満
    たすことを特徴とする、600〜900℃の温度域でか
    つ炭化水素類に対するH の体積比が0(ゼロ)を超
    え4未満の環境で用いる耐浸炭性に優れた耐熱合金。 0.1%≦(%)Ti−〔48×(%)N/14〕≦0.4%
JP30783195A 1995-11-27 1995-11-27 耐浸炭性に優れた耐熱合金 Expired - Fee Related JP3250436B2 (ja)

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