JP3245851B2 - 米菓の製造方法 - Google Patents
米菓の製造方法Info
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Description
し、特に風味豊かな米菓の製造方法に関する。
米または澱粉を主原料として、これに適量の水を添加し
て蒸煮し、所望の形状とした後、これを焼成して米菓生
地とし、この米菓生地を各種調味液により味付けするこ
とにより行われている。この味付けは、醤油、みりん、
砂糖、澱粉、調味料等を約80℃で加熱混合して溶解さ
せて調味液を調製し、これを50℃程度に冷却して米菓
生地に生地重量の10ないし40重量%程度付着させた
調味生地を直ちに80ないし90℃に加熱した乾燥機に
入れ、約20ないし60分程度乾燥することにより行わ
れている。
としては、従来は熱風乾燥装置を使用した熱風乾燥がほ
とんどであり、この熱風乾燥装置としては、棚差し式乾
燥機や仕上げ運行乾燥機などが用いられている。ここ
で、棚差し式乾燥機とは、俗に言う差し網乾燥機であ
り、これは素枠(網目状の枠)などに調味生地をのせ、
熱風により乾燥する静置乾燥方式によるもので、比較的
少量多品種の乾燥に適しているが、静置乾燥であるため
棚の上下左右で水分ムラを生じやすい。また、仕上げ運
行乾燥機とは、調味生地をメッシュベルトの上に供給し
投入部から排出部まで移送する間に強制的に熱風を送風
して、連続的に乾燥する方式によるものであり、通気方
向を前半と後半で逆にしたり、乾燥の途中で撹拌操作を
加えることで、調味生地の水分ムラを抑制することがで
きる。
80℃程度の高温で調味液の水分を蒸発させるものであ
り、醤油蜜などの調味液が乾燥時に80〜90℃の熱に
長時間さらされるので、醤油、みりんなどの調味液中に
含まれる風味成分が劣化したり、水分の蒸発とともに調
味液中の風味成分も揮発するため、当初の調味液(蜜)
の風味、香りに比べてはなはだしく劣ったものとなる。
このため、乾燥の際の加熱を低くしてやることが考えら
れるが、そうすると乾燥時間が長くなり作業能率が低下
するばかりか調味液が生地へ浸み込みやすくなるという
問題点が生じる。さらに、一般的な米菓の素焼き生地の
水分は1〜2重量%であり、ここに10〜40重量%程
度の調味液を付着させるため、素焼きした生地の表面に
だけ蜜が付着しているとしても、熱風乾燥では、ある程
度の乾燥時間と乾燥温度が必要であり、乾燥温度を低く
するには限界があるため、前述したような乾燥に伴う風
味の低下は避けられない。また、これとは逆に乾燥温度
をより高温にしたり乾燥時間を長くすると、蜜コゲなど
が発生し、風味が著しく劣ったものになってしまうとい
う問題点があった。そこで、この対策として、劣化成分
に含まれる香味素材を増加混合したりして風味を補強す
ることが行われているが、根本的な解決には至っていな
いのが現状であった。
のであり、調味液の風味を損なうことがなく風味豊かで
良質な米菓を製造する方法を提供することを目的とす
る。
の結果、本発明者らは、コーヒー、スープなどの流動性
食品や各種野菜類、果物類などの保存性を向上させるた
めに乾燥させ、さらにこれに水分を与えることにより迅
速な復元性を付与するための方法である凍結乾燥法に着
目し、醤油蜜を付着させた調味生地をこの凍結乾燥によ
り乾燥させれば、醤油蜜の風味を損なうことがなく、風
味豊かで良質な米菓が得られることを見出し、本発明に
想到した。この凍結乾燥法は、比較的日持ちがよく復元
性が要求されない米菓においては従来適用されていない
技術である。まして、米菓は、加熱により焼成して生地
を製造したら醤油蜜を付着させ、引き続いて加熱して醤
油蜜を乾燥させ風味を出すというのが古くからの製造方
法であり、凍結させて乾燥させることにより米菓の風味
が豊かになるということは、従来の米菓製造方法の概念
からすれば全く予想外の結果であった。
方法は、焼き上げた米菓生地に60℃以下の温度で調整
した醤油蜜を付着させた後凍結させ、その後昇温して該
凍結状態を維持したまま前記米菓生地を真空乾燥するこ
とを特徴とする。
用する各種原料について説明する。本発明において米菓
とは、例えば米または澱粉を主原料とし、これに加水、
蒸煮した後、圧延、型抜き、乾燥及び焼成して得られる
米菓生地、あるいは米または澱粉を主原料とし、これに
加水、蒸煮、成型、冷蔵、切断、乾燥、焼成の各工程を
経て得られる米菓生地に適当な調味を施した、いわゆ
る、せんべい、あられ、かきもち等をいう。
蜜を使用する。この醤油蜜は、醤油、澱粉、みりん、砂
糖、アラビアガム等の調味素材及び調味料などからな
る。
粉、砂糖、アラビアガムなどの調味素材及び調味料とし
ては、一般家庭や食品メーカーにおいて使用されるもの
を用いることができる。
発明の米菓の製造方法について、醤油蜜の場合を例に説
明する。まず、あらかじめ、醤油に対して砂糖、みり
ん、グルタミン酸ナトリウム、増粘剤などを適宜配合
し、混合、撹拌して、醤油蜜を調製しておく。この醤油
蜜は熱による香味成分や風味成分の蒸発と劣化を抑制す
るため、澱粉を含有しない場合には増粘剤が溶解する程
度の温度(約45℃)で温めるのが好ましい。このよう
に後述する乾燥工程において凍結乾燥を行うだけでな
く、調味液たる醤油蜜の調製過程においても、60℃よ
り高い熱を加えないことにより一層香味及び風味に富ん
だ米菓とすることができる。なお、前記醤油蜜の配合割
合としては、所望とする味や醤油蜜の粘度に応じて砂
糖、みりん、グルタミン酸ナトリウム及び増粘剤を種々
の配合割合で配合すればよく、さらに中双糖、水飴など
の他の調味素材を必要に応じて適宜配合してもよい。
澱粉を主原料として焼成して得られる米菓生地(以下焼
成生地という)に付着させる。この醤油蜜の付着方法
は、焼成生地1枚1枚に刷毛塗りにより付着させる方
法、醤油蜜を滴下して焼成生地を撹拌しながら付着させ
る方法、焼成生地に醤油蜜をスプレー(噴霧)する方
法、あるいは焼成生地を醤油蜜に漬け込み、その後振り
機(遠心力により余分な醤油蜜を落とす装置)によって
付着量を調整する方法など、通常行われている方法を用
いることができる。この際の醤油蜜の焼成生地への付着
量としては、使用する醤油蜜の味などにより適宜調整す
ればよく、具体的には焼成生地100重量%に対して醤
油蜜を10〜40重量%程度付着させればよい。
せた後、醤油蜜を凍結させ該凍結状態を維持したまま前
記米菓生地を真空乾燥する、いわゆる凍結乾燥法により
乾燥させる。なお、凍結乾燥法とは、被乾燥物を予め凍
結させておくか、真空中で蒸発潜熱によって凍結(自己
凍結)させ、この凍結状態(氷晶点以下)を保つべく真
空状態を維持しながら、加熱し氷を昇華させることによ
り水分を除去して乾燥させる方法である。
焼き上げた米菓生地に醤油蜜を付着させた後凍結させ、
その後昇温して該凍結状態を維持したまま前記米菓生地
を真空乾燥することにより行う。まず、醤油蜜を付着さ
せた焼成生地(以下、醤油蜜調味生地という)を極低
温、好ましくは−20℃以下、例えば−55℃程度に設
定された予備凍結漕に入れて予備凍結させる。ここで予
備凍結を行わないと、一般的にサンプル表面が多孔質に
なりやすく、正規の慨形を維持できないからであり、米
菓調味生地を乾燥する場合においても気泡がわくなどの
問題があり、外観上きれいに仕上げるためには、予備凍
結が必要である。また、予備凍結により醤油蜜を極低温
で急速に凍結させることによって焼成生地及び醤油蜜の
鮮度、香味、品質を損なうことがないという効果も奏す
る。さらに、米菓の焼成生地は、水分が1〜2%程度と
非常に低水分であり、この焼成生地に醤油蜜を10〜4
0%付着させると水分が焼成生地に徐々に浸み込み、あ
る程度深くまで生地内に浸透する。このため、醤油蜜の
付着から乾燥開始までの時間が長くなると、乾燥時間が
長くなるだけでなく、外観上汚くなるなどの問題が生じ
る。しかしながら、予備凍結を行うことにより醤油蜜を
凝固させることで水分子を固定し、焼成生地内部への水
分(醤油蜜)の浸透を抑制することができ、乾燥工程に
要する時間を短縮することができる。また、外観上汚く
なることもない。
生地を凍結乾燥室の試料室に入れ、真空ポンプを作動さ
せる。この操作はできるだけ迅速に行うのが望ましい。
これは、凍結させた醤油蜜調味生地を常温常圧の雰囲気
下に置くと急激に醤油蜜が溶解するためである。その
後、真空ポンプの作動に伴い凍結乾燥室内の圧力は徐々
に下がるが、この際もなるべく短時間で圧力を低下させ
ることにより、脱気に伴う気化潜熱により生地の温度を
素早く低下させ、凍結させた醤油蜜が溶解しないように
するのが望ましい。これは、一旦凍結した醤油蜜が溶解
した生地を凍結乾燥させると、溶けた生地の表面に気泡
が生じ、その後気泡が消滅しても気泡の跡が残り外観的
に劣ったものになるためであり、また、変質を防止させ
るためでもある。
燥室内の試料室内の圧力は0.004Torr以下程度まで
下がる。また、凍結乾燥室内の温度は試料室内が冷却ト
ラップと接続されていること、及び試料である醤油蜜調
味生地が凍結されていることなどの理由から凍結状態の
まま10〜15℃程度になるが、乾燥の進行とともに上
昇していく。そして、一つの目安として凍結乾燥室内温
度が常温に近くなったら乾燥の進行がほぼ終わったと判
断すればよい。そして、凍結乾燥を完了したら、凍結乾
燥室から醤油蜜調味生地を取り出すことにより醤油蜜で
調味した米菓を製造することができる。
燥機などの熱風乾燥した米菓と比べて非常に香ばしく、
醤油蜜の香り、味がほとんど変質しておらず、風味が豊
かなものとなっている。このような効果が得られる理由
は、熱により乾燥しないことにより、醤油蜜の原料であ
る醤油やみりんなどに含まれる旨味成分であるアミノ酸
が劣化したり、揮発性の香味成分が揮散してしまうこと
がないためであり、また、醤油蜜が焼成生地の深くにま
で浸透しないことや、米または澱粉中の他の成分が醤油
蜜側に浸出して、香味あるいは風味に混ざることがない
ことなども関係すると思われる。
は、これに限定されるものではなく、本発明の思想を逸
脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。例えば、
前述した凍結乾燥では予備乾燥を行っているが、この予
備乾燥は必ずしも必要でなく、真空中で蒸発潜熱によっ
て自己凍結させることにより凍結乾燥してもよい。ま
た、前記醤油蜜には、水飴、澱粉、増粘剤、中双糖など
米菓に通常使用される各種調味成分や添加剤を適宜添加
することができる。また、醤油としては、濃口醤油、白
醤油のいずれも用いることができる。
に説明する。実施例1 濃口醤油200重量部に、砂糖30重量部、みりん20
重量部、アラビアガム20重量部及びグルタミン酸ナト
リウム3重量部を配合し、湯煎して液温を45℃にしな
がら、撹拌、混合して調味液たる醤油蜜を調製した。一
方、あらかじめ直径約51mm、重量約1.8gのせんべ
いの焼成生地を100g計量しておき、このせんべいの
焼成生地を撹拌しながら、上から醤油蜜を噴霧し26g
を焼成生地に付着させた(付着率26重量%)。なお、
ここで、付着率とは焼成生地重量に対する醤油蜜の付着
重量の割合(重量%)のことである。
上に該調味生地が重ならないように並べて、この金網ご
と−55℃の予備凍結漕に、3時間30分入れた。この
予備凍結させた生地を素早く凍結乾燥室に入れ、フタを
して密封した。続いて、真空ポンプを起動させ、乾燥室
内を減圧状態にし0.004Torr以下で乾燥を行った。
乾燥室内の温度は最初約15℃であったが、乾燥の進行
とともに、乾燥室内の温度は室温に近付き、26〜28
℃になった段階で真空ポンプを停止させ、常圧に戻して
乾燥室からせんべいを取り出した。この間の乾燥時間は
5時間であった。
香りが非常に良く風味豊かなものであった。
40分間乾燥した以外は同様にしてせんべいを製造し
た。このようにして得られたせんべいは、醤油の香りの
するものではあったが、実施例1よりも風味及び香りに
おいて劣るものであった。
及びグルタミン酸ナトリウム3重量部を配合し、湯煎し
て液温を80℃にしながら、撹拌、混合して調製した醤
油蜜を用いた以外は、実施例1と同様にしてせんべいを
製造した。このようにして得られたせんべいは醤油の香
りが非常に良く風味豊かなものであったが、実施例1と
比べるとわずかに風味及び香りの弱いものであった。
実施例及び比較例間で5人のパネラーによる官能評価を
実施した。また、実施例1と比較例2の米菓間でも同様
に官能評価を実施した。この官能評価はそれぞれ2品を
試食してもらい香り、風味のよいものを選んでもらうこ
とにより行った。結果を表1に示す。
に対応する比較例1の米菓間の対比では、実施例1の方
が香り及び風味の評価が明らかに高かった。また、実施
例1と比較例2の米菓間の対比では、実施例1の方が香
り及び風味の評価が明らかに高かった。この理由につい
ては必ずしも断定できないが、湯煎の温度の差(実施例
1で45℃、比較例2で80℃)が影響していると考え
られる。
焼き上げた米菓生地に60℃以下の温度で調整した醤油
蜜を付着させた後凍結させ、その後昇温して該凍結状態
を維持したまま前記米菓生地を真空乾燥する方法である
ので、醤油蜜の風味を損なうことがなく、風味豊かで良
質な米菓を提供することができる。また、醤油蜜の付着
から乾燥開始までの時間を大幅に短縮することができ、
乾燥をより効率的に行うことができる。さらに、醤油蜜
を極低温で急速に凍結させることにより、焼成生地及び
醤油蜜の鮮度、香味、品質を損なうことがなく、風味豊
かで良質な米菓を提供することができる。特に醤油蜜に
60℃より高い熱を加えないことにより一層香味及び風
味に富んだ米菓とすることができる。
Claims (1)
- 【請求項1】 焼き上げた米菓生地に60℃以下の温度
で調整した醤油蜜を付着させた後凍結させ、その後昇温
して該凍結状態を維持したまま前記米菓生地を真空乾燥
することを特徴とする米菓の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29581797A JP3245851B2 (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | 米菓の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29581797A JP3245851B2 (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | 米菓の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11127788A JPH11127788A (ja) | 1999-05-18 |
JP3245851B2 true JP3245851B2 (ja) | 2002-01-15 |
Family
ID=17825560
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP29581797A Expired - Lifetime JP3245851B2 (ja) | 1997-10-28 | 1997-10-28 | 米菓の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3245851B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4649184B2 (ja) * | 2004-12-01 | 2011-03-09 | テーブルマーク株式会社 | 調味液付き冷凍フライ食品及びその製造方法 |
JP6038065B2 (ja) * | 2014-03-28 | 2016-12-07 | アスザックフーズ株式会社 | スナック食品の製造方法 |
-
1997
- 1997-10-28 JP JP29581797A patent/JP3245851B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11127788A (ja) | 1999-05-18 |
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