JP3245809B2 - 簡易車椅子 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、構造を簡単にした
簡易車椅子に係わり、特に歩行の困難な者が在宅にて従
来の車椅子の代わりとして簡便に利用できるようにした
簡易車椅子に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、老齢や病弱あるいは障害のために
歩行が困難な者が在宅する場合、車椅子が用いられてい
るが、従来の車椅子では車輪が大きく椅子の両外側に配
置しているため、周囲に何もない路上ではよいが、家具
等が設置してある室内では車輪がぶつかり自由に動きに
くい欠点があった。歩行能力が無い場合には車輪を回転
させて進む必要があるが、多少でも歩行能力を有するも
のの場合には、足で床を押す等して進むことができるの
で、移動範囲が広いことが望まれる。また、車椅子は本
人以外には使用しないので、通常の椅子として兼用する
ことができない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであって、車輪を小型とし多数のキャ
スタを用いて、室内での移動範囲を広げると共に、椅子
の旋回をロックし肘掛けをハンドル代わりに用いて進行
しやすいようにした椅子と兼用しうる簡易車椅子を提供
することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、着座部と、この着座部の左右両側に設けられ
た肘掛け部と、背もたれと、前記着座部の下面ほぼ中央
部を介して着座部を旋回自在に支持する支脚と、この支
脚の下端に固定され下部にキャスターを備えた脚台とを
具備してなる旋回椅子において、前記着座部の一方の側
から着座部の下面に沿って延びた着座部旋回止めレバー
を前記着座部と一体的に設け、この着座部旋回止めレバ
ーの操作により着座部旋回止めレバーの先端部を、上記
支脚と一体をなす受部と係止ないし圧接させ、これによ
り着座部の上記回動を一時的に固定可能とする、という
技術的手段を講じている。なお、着座部旋回止めレバー
の先端部を、支脚と一体をなす受部と係止させる具体例
として、支脚の上端部に、周面に沿って多数の係止孔を
穿設した環状体を固定し、着座部旋回止めレバーの操作
により、その先端部を上記多数の係止孔の一つと嵌合さ
せ、着座部の回動を一時的に固定するようにしてもよ
い。また、背もたれの上方には、ヘッドレストを取着す
るようにしてもよい。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の簡易車椅子の第
１の実施例を図１ないし図３を参照して説明する。図１
は本発明の一実施例に係わる簡易車椅子を示す正面図、
図２はその側面図、図３はその足掛けリング部分を取出
して示す平面図である。図中、１は着座部であって、図
２に示すように両側部が対称的にＬ字形に折曲げられた
主パイプフレーム２の両下方端部２ａ（ほぼ水平に設け
られる部分）上に支持、固定されている。この主パイプ
フレーム２の中央部は着座部１の背部にて立上がり、そ
の部分に背もたれ３が張設されており、また上端部は後
から介護者が押すためのハンドル４となっている。

【０００６】この着座部１の左右両側には、それぞれ折
曲げられ上端部が水平に直線状に延びて棒状ハンドル部
５ａとなる肘掛け用パイプフレーム５が主パイプフレー
ム２の両下方端部２ａに沿って設けられ、かつ主パイプ
フレーム２に固定されている。この肘掛け用パイプフレ
ーム５の上端部は肘掛け部となると共に左右一対の棒状
ハンドルの機能を兼備している。

【０００７】着座部１の下面ほぼ中央部には、着座部１
を着座部固定ディスク１ａおよびリングベアリング入り
回転部６ａを介して旋回自在に支持する支脚６が設けら
れている。この支脚６は、嵌込み式の多重管からなりハ
ンドル７により上下方向に伸縮自在となっていて、着座
部１の高さを調節し得るようになっている。支脚６の下
端には５等分の等間隔に放射状に延出し延出端にそれぞ
れキャスター８を備えた５個の脚台９が設けられてお
り、これにより任意の方向に車椅子を移動し得るように
なっている。さらに、図３に示すように、脚台９の各末
端上面を連結するようにして足掛けリング１０が脚台９
上に固着されている。この足掛けリング１０はキャスタ
ー８のガードとしても機能する。

【０００８】この支脚６の上端には、支脚６と同軸に受
部の一例として示す旋回固定ディスク１１が固着されて
いる。この旋回固定ディスク１１はほぼ円盤状をなし、
その側面に多数の係止孔１２が等間隔に穿設されてい
る。他方、前記着座部１の一方の側から着座部１の下面
に沿うようにしてＬ字形の着座部旋回止めレバー１３が
着座部１と一体的に設けられている。すなわち、着座部
１を支持する部分の主パイプフレーム２の下面に軸受け
１４が突設され、さらに、着座部固定ディスク１ａにも
ブラケット１５が固着されていて、これに着座部旋回止
めレバー１３の下部の水平部分の中間部と先端部１３ａ
が回転自在に支持されている。したがって、着座部旋回
止めレバー１３はそれを前後方向に移動操作したとき軸
受け１４およびブラケット１５を中心として回動自在と
なっている。

【０００９】なお、ブラケット１５には、その周面にブ
ラケット１５の長手方向に対し斜め方向に切込まれた溝
孔１５ａが穿設されており、他方、着座部旋回止めレバ
ー１３の先端部にもカムピン１３ａが突設されていて、
このカムピン１３ａが溝孔１５ａと嵌合し、着座部旋回
止めレバー１３を前後方向の一方向に操作することによ
りカムピン１３ａが溝孔１５ａに沿って移動し、着座部
旋回止めレバー１３の先端部１３ａの末端部１３ｂを旋
回固定ディスク１１の係止孔１２の一つと係止させ、こ
れにより着座部１の旋回が止まるようになっている。ま
た、着座部旋回止めレバー１３を前後方向の他方向に操
作することによりカムピン１３ａが溝孔１５ａに沿って
逆方向に移動し、着座部旋回止めレバー１３の先端部１
３ａと旋回固定ディスク１１の係止孔１２との係止が解
かれ、これにより着座部１の旋回が再度可能となるよう
になっている。

【００１０】このようにして、着座部旋回止めレバー１
３の先端部１３ａの末端部１３ｂを旋回固定ディスク１
１の係止孔１２の一つと係止させ着座部１の旋回を止め
た状態にすることにより、車椅子が直線的に移動し易く
なり、これにより肘掛けの棒状ハンドル部５ａを握って
移動したい方向に向けることにより、車椅子をその方向
に直線的に容易に移動させることができる。

【００１１】次に、図４および図５を参照して本発明の
第２の実施例について説明する。ここで、図４は本発明
の一実施例に係わる簡易車椅子を示す正面図、図５はそ
の側面図である。この第２の実施例の簡易車椅子の基本
的構造は前記の第１の実施例の簡易車椅子と本質的に同
じであり、特に異なる点は、背もたれ３の上方のハンド
ル４の上にヘッドレスト２１が着脱自在に固定されてい
ること、および前記第１の実施例の肘掛け用パイプフレ
ーム５の代わりに逆３角形の肘掛け用パイプフレーム２
２が主パイプフレーム２の下方両側に設けられ、主パイ
プフレーム２に固定されている点である。その他の点に
ついては前記第１の実施例と実質的に変わるところはな
い。

【００１２】したがって、その他の同一部材については
同一符号を付すことにより説明を省略する。この第２の
実施例によれば、背もたれ３の上方のハンドル４の上に
ヘッドレスト２１を固定することができ、また、逆３角
形の肘掛け用パイプフレーム２２を着座部１の両端に設
けたため、使用時の安定性が良くなるという利点を有す
る。なお、この第２の実施例の場合も、着座部旋回止め
レバー１３を前記同様に操作することにより着座部１の
旋回を止め、車椅子が直線的に移動し易くさせ、また
は、旋回停止を解除させることができる。

【００１３】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものでなく、任意の構成のものとすることができる。例
えば、上記実施例では着座部１の旋回止めを、ピンと係
止孔との係合により行う場合について説明したが、この
ような係合方式の他、着座部旋回止めレバーを支脚の受
部と圧接させて着座部１の旋回止めを行うことも可能で
ある。要するに、この発明の要旨を変更しない範囲で種
々設計変更しうること勿論である。

【００１４】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の簡易車椅
子によれば、従来の車椅子の車輪に対して小型のキャス
タを用いて着座部とキャスタの間に隙間を設けたので、
低い家具や備品等に凹凸があってもキャスタが入り込
み、室内での移動範囲を広げることができる。また、進
行時には椅子の旋回をロックし肘掛け部をハンドルとし
て握って、本人が足で床を押したり、介護者がハンドル
を押すことによって容易に進むことができる。更に、通
常の回転椅子としても使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例に係わる簡易車椅子を示
す正面図。

【図２】図１に示す簡易車椅子の側面図。

【図３】図１の簡易車椅子の足掛けリング部分を取出し
て示す平面図。

【図４】本発明の第２の実施例に係わる簡易車椅子を示
す正面図。

【図５】図４に示す簡易車椅子の側面図。

【符号の説明】

１…着座部、 １ａ…着座部固定ディスク、 ２…主パ
イプフレーム、 ３…背もたれ、 ４…ハンドル、 ５
…肘掛け用パイプフレーム、 ５ａ…棒状ハンドル部、
６…支脚、 ７…ハンドル、 ８…キャスター、 ９
…脚台、 １０…足掛けリング、 １１…旋回固定ディ
スク、 １２…係止孔、 １３…着座部旋回止めレバ
ー、 １３ａ…カムピン、 １４…軸受け、 １５…ブ
ラケット、１５ａ…溝孔、 ２１…ヘッドレスト、 ２
２…肘掛け用パイプフレーム。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 着座部と、この着座部の左右両側に設け
   られた肘掛け部と、背もたれと、前記着座部の下面ほぼ
   中央部を介して着座部を旋回自在に支持する支脚と、こ
   の支脚の下端に固定され下部にキャスターを備えた脚台
   とを具備してなる旋回椅子において、 前記着座部の一方の側から着座部の下面に沿って延びた
   着座部旋回止めレバーを前記着座部と一体的に設け、こ
   の着座部旋回止めレバーの操作により着座部旋回止めレ
   バーの先端部を、上記支脚と一体の受部に係止ないし圧
   接させ、これにより着座部の支脚に対する旋回を一時的
   に固定可能にしたことを特徴とする簡易車椅子。
2. 【請求項２】 該着座部旋回止めレバーの先端部を支脚
   と一体をなす受部に係止させる手段が、支脚の上端部
   に、周面に沿って多数の係止孔を穿設した環状体を固定
   し、着座部旋回止めレバーの操作により、その先端部を
   上記多数の係止孔の一つと嵌合させ、着座部の回動を一
   時的に固定させるものであることを特徴とする請求項１
   記載の簡易車椅子。
3. 【請求項３】 該背もたれの上方にヘッドレストが取着
   されていることを特徴とする請求項１記載の簡易車椅
   子。