JP3243722B2 - 薄膜の形成方法および半導体装置 - Google Patents

薄膜の形成方法および半導体装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜の形成方法及び半導
体装置に関し、より詳細には半導体装置におけるコンタ
クトホールの内表面にバリヤ層として形成される TiN膜
等の薄膜の形成方法及び該薄膜が形成された半導体装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】LSI等の半導体装置におけるコンタク
ト部は下地に基板表面の拡散層を有し、コンタクトホー
ルを介してAl等の配線と接続されている。
【0003】しかしながらLSIの微細化、高集積化が
進むにつれて基板表面に形成される拡散層も浅くなり、
この浅い拡散層においてAlスパイクが生じ接合を破壊す
る、あるいはコンタクトホール底部にSiが析出してコン
タクト抵抗が増大する等の問題が生じてきている。
【0004】これらの問題を解決するためにAl中にあら
かじめ0.5〜2%程度のSiを混入させたAl合金(Al−
1%Si等)が電極配線材料として使用されているが、最
近はコンタクトホール径が小さくなっているのでこれら
Al合金でもSiの析出を防止するのには不十分となってき
ている。
【0005】そこでAl合金とSi基板との間にバリヤメタ
ルと呼ばれる拡散防止用の薄膜を形成することが考えら
れている。 TiN膜は電気抵抗が小さく化学的に安定なた
めバリヤメタルとして注目されている。(山西、吉原、
北原、細川;「真空」,第30巻第5号p347、19
87年)。
【0006】TiN膜は従来反応性スパッタ法(Reactive
Sputtering 法)により形成されていた。反応性スパッ
タ法は図21に示したような装置を用い、ターゲット3
0にTiを使用し、スパッタリングガスとしてArとN2とを
供給して基板31上に TiN膜を形成するものである(金
森;「真空」,第29巻、第9号、p418、1986
年)。なお図中32はコイルを示している。
【0007】しかしながらこの方法では段差被覆性(St
ep Coverage )が悪く、 TiN膜はコンタクト部に図22
(a)に示したように形成される。半導体装置における
高集積化が64MDRAM、256MDRAMと進むに
つれてコンタクトホール35におけるアスペクト比(=
ホール深さ/ホール径)が次第に大きくなり、このため
この方法ではコンタクトホール35底部にほとんど TiN
膜33がつかなくなり、この方法は使用できなくなる。
すなわち図22(a)に示した状態からW(タングステ
ン)あるいはAl等の電極材料を埋め込んだとしても、図
22(b)に示したようにコンタクトホール35内部に
ボイド36が発生し、コンタクトホール35内部で配線
が断線し易くなり、また TiN膜33がホール底部で薄く
なるため、バリヤメタルとしての機能を果たさず、製造
されるLSIデバイスの信頼性を確保することができな
い。
【0008】そこで次にステップカバレジの良い薄膜の
形成方法としてLPCVD法(LowPressure Chemical V
apor Deposition法)という熱CVD法の1つが注目さ
れ始めた。この方法は図23に示したような装置を用い
TiCl4 及びNH3 あるいはN2ガスを原料として熱反応によ
り基板上に TiN膜を形成する方法である(N.Yokoyamaet
al., Vol. 136 No.3,J.Electrochem.Soc., p8
82)(N.Yokoyama et al., Vol. 138 No.1,J.El
ectrochem.Soc., p190)。
【0009】しかしながらTiCl4 +N2+H2の反応により
TiN膜を形成するためには900〜1000℃程度の高
温が必要であり、デバイス特性に悪影響を及ぼすので、
LSIデバイスの製造に対しては適用できないといった
問題があった(Arthur Sherman, Extended Abstract of
the 1991 International Conference on Solid State
Devices and Materials, 1991 p177〜179)。
【0010】一方、TiCl4 +NH3 の反応は低温で行われ
るため、LSIデバイス用のバリヤメタル形成としては
NH3 ガスを用いた方法が有望視されていた。しかしなが
らTiCl4 とNH3 とは気相中で錯塩(Complex )(TiCl4
・nNH3)を形成し、これが黄色いパウダとなり、装置内
におけるパーティクル発生の原因となり問題となってい
た(M.J.Buiting, et al, J.Electrochem.Soc., Vol.1
38, No2, Feb.1991p500)。
【0011】またLPCVD法により TiN膜はコン
タクト部に図24(a)に示したようにコンフォーマル
に形成される。LPCVD法による場合コンタクトホー
ル35底部に十分 TiN膜33が形成され、このことはバ
リヤメタルとしては好ましいが、コンタクトホール35
の側壁部にも底部と同じ膜厚で TiN膜33が形成されて
しまう。このように側壁部にも厚く TiN膜33が形成さ
れると、コンタクトホール35に残る孔の径が小さくな
ってしまい、実質的にアスペクト比が大きいコンタクト
ホールが形成されたのと同じ状態となる。このため次工
程でW(タングステン)あるいはAl等を埋め込む際、図
24(b)に示したようにコンタクトホール35内部に
ボイド36が発生してしまい、やはりLSIデバイスの
信頼性を確保することができないといった問題を残して
いた。
【0012】なお、LPCVD法には上記したように図
23に示したような装置が用いられる。図中40はチャ
ンバを示しており、チャンバ40内にはガスノズル41
及び試料保持台42が配設され、試料保持台42上には
基板43が載置される。チャンバ40下方にはブースタ
ポンプ44及びロータリーポンプ45が接続され、ガス
ノズル41にはNH3 を供給するための配管47が接続さ
れている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を考慮
し、本発明者らは研究を重ね、以下に述べる発明を完成
するに至った。
【0014】すなわち本発明はAr、H2、N2ガス及びTi
ガスを用い、マイクロ波による電界と周囲に配設された
励磁コイルによる磁界との作用によってプラズマ生成室
でプラズマを生成させ、前記生成させたプラズマを反応
室に導入して試料台に載置された試料にTi窒化物膜の薄
膜を形成することを主な内容としている。
【0015】かかる方法を用いることにより、コンタク
ト部にステップカバレジに優れた薄膜を形成し、しかも
コンタクトホール側壁部に形成される薄膜の厚さを、コ
ンタクトホール底部に形成される薄膜の厚さよりも薄く
することを目的としている。
【0016】また、LSIデバイスに悪影響を与えない
程度の低温で薄膜を形成することができ、しかも黄色い
パウダー等のパーティクルを発生させない方法を提供す
ることを他の目的としている。
【0017】より詳細には本発明にかかる薄膜の形成方
法は、マイクロ波による電界と周囲に配設された励磁コ
イルによる磁界との作用によってプラズマ生成室でプラ
ズマを生成させ、前記生成させたプラズマを反応室に導
入して試料台に載置された試料に薄膜を形成する方法に
おいて、Ar、H2およびN2ガスを前記プラズマ生成室に導
入する一方、Ti系ガスを前記反応室に導入することによ
り前記試料上にTi窒化物膜を形成し、コンタクトホール
底部のTi窒化物膜の厚さを、前記コンタクトホール側壁
部のTi窒化物膜の厚さよりも厚く形成することを特徴と
し(1)、また、マイクロ波による電界と周囲に配設さ
れた励磁コイルによる磁界との作用によってプラズマ生
成室でのプラズマを生成させ、前記生成させたプラズマ
を反応室に導入して試料台に載置された試料に薄膜を形
成する方法において、Ar、H2、N2ガスおよびTi系ガスを
前記プラズマ生成室に導入することにより前記試料上に
Ti窒化物膜を形成し、コンタクトホール底部のTi窒化物
膜の厚さを、前記コンタクトホール側壁部のTi窒化物膜
の厚さよりも厚く形成することを特徴とし(2)、さら
には上記(1)又は(2)記載の薄膜の形成方法におい
て、基板上に絶縁膜が形成され、該絶縁膜にコンタクト
ホールが形成された半導体装置作成用基板に、Ti系ガス
として四塩化チタンガスを用い、反応室の圧力が2.0
mTorr以下、試料である前記基板の温度が450℃以上
の条件下、前記コンタクトホールにTi窒化物膜を形成
することを特徴とし(3)、さらに本発明に係る薄膜の
形成方法は、上記(1)、(2)又は(3)記載の方法
において、マイクロ波導入窓にRFを印加しながら成膜
することを特徴とし(4)、 また、上記(1)、
(2)、(3)又は(4)記載の方法において、Ti窒化
物膜を形成後、H 2 プラズマ処理を施すことを特徴とし
(5)、 また、本発明にかかる半導体装置は、コンタク
トホール底部のTi窒化物膜の厚さが、前記コンタクトホ
ール側壁部のTi窒化物膜の厚さより厚いことを特徴とし
ている(6)。
【0018】すなわち上記した(1)記載の方法によれ
ば、膜形成を促進するためのAr、H2ガスをプラズマ生成
室に供給し、一方TiCl4 等のTi系ガスを反応室内に供給
し、励磁コイルに直流電流を通流すると共に、マイクロ
波導波管、マイクロ波導入窓を通じてマイクロ波をプラ
ズマ生成室内に導入する。
【0019】該プラズマ生成室に導入されたマイクロ波
は、前記プラズマ生成室内に供給されたAr、H2及びN2
スを分解し、プラズマを生成せしめる。生成されたプラ
ズマが、励磁コイルにより形成された発散磁界によって
反応室内に導入されると、前記Ti系ガスは前記プラズマ
と反応し、前記反応室内に載置された試料表面にはTi
化物が供給されTi窒化物膜が形成される。
【0020】また、上記(2)記載の方法によればAr、
H2、N2ガス及びTiCl4 等のTi系ガスをプラズマ生成室に
供給し、励磁コイルに直流電流を通流すると共に、マイ
クロ波導波管、マイクロ波導入窓を通じてマイクロ波を
前記プラズマ生成室内に導入すると、該プラズマ生成室
に導入されたマイクロ波は、前記プラズマ生成室内に供
給されたAr、H2、及びN2ガスを分解し、プラズマを生成
せしめる。生成されたプラズマが、励磁コイルにより形
成された発散磁界によって反応室内に導入されると、前
Ti系ガスはN2等と反応し前記反応室内に載置された試
料表面にTi窒化物が供給され、Ti窒化物膜が形成され
る。
【0021】Ti窒化物膜形成の反応メカニズムとしては
下記の反応式が考えられる。
【0022】 2TiCl4 + N2 + 4H2 → 2TiN + 8HCl ↑ TiCl4 を完全に分解してTi+Clとするためには400kc
al mol-1以上の非常に高いエネルギを必要とする。
【0023】本発明に係る方法ではプラズマCVD、特
に電子サイクロトロン共鳴励起(ECR)プラズマCV
Dのような共鳴現象を起こさせることにより、高エネル
ギの電子を生成させ、これら電子の衝突により分解・還
元反応を促進している。
【0024】従って試料温度を900〜1000℃とい
った高温にしなくともTi窒化物膜が試料表面に形成され
る。
【0025】Arはプラズマ放電を安定化させるために導
入されており、またマイクロ波導入窓への導電膜付着防
止のために該窓にRFを印加しているが、この際の導電
膜のスパッタリングガスとしてもArは作用する。
【0026】本発明に係る薄膜の形成方法では、生成さ
れたプラズマが指向性良く試料に供給され、このためコ
ンタクト部には図9(a)に示したごとくにTi窒化物膜
が形成される。従って次工程でコンタクトホール35部
にWあるいはAl等の配線材料が埋め込まれる際にもボイ
ドは発生せず、図9(b)に示した如くに埋め込みが行
なわれ、配線の平坦化が実現される。
【0027】
【好ましい実施例及び比較例】(実施例1)本実施例で
はプラズマCVD法を用い、アスペクト比の異なるホー
ルを表面に設けた試料上に TiNの薄膜を形成した場合に
ついて詳述する。
【0028】図1は本実施例に係る薄膜の形成方法に使
用するプラズマCVD装置を模式的に示した断面図であ
る。
【0029】該プラズマCVD装置は、プラズマ生成室
1と反応室2とからなる装置本体3と、プラズマ生成室
1の周囲に配設されて直流電源(図示せず)が接続され
た励磁コイル4と、マイクロ波発振器(図示せず)から
発振されたマイクロ波をプラズマ生成室1に導入する導
波管5等とから構成されている。6は石英ガラス等で形
成されたマイクロ波導入窓、7は該マイクロ波導入窓に
高周波(RF)電源を印加する高周波発生源、8は試料
9が載置される試料台をそれぞれ表している。
【0030】プラズマ生成室1は略円筒形状に形成さ
れ、このプラズマ生成室1の上部壁の略中央部にはマイ
クロ波を導入するための第1の孔10が形成されてお
り、プラズマ生成室1の下方には、このプラズマ生成室
1よりも大口径を有する反応室2が一体的に形成されて
いる。また、この反応室2とプラズマ生成室1とは、仕
切板11によって仕切られており、この仕切板11の略
中央部には第2の孔(プラズマ引出窓)12が形成され
ている。
【0031】さらに、反応室2の側壁には第1の導入配
管13が接続され、反応室2の底部には排気系(図示せ
ず)に連通している排気配管14が接続されている。ま
た、プラズマ生成室1の上壁部には第2の導入配管15
が接続されている。
【0032】高周波発生源7は高周波発振器16とマッ
チングボックス17とから構成され、マイクロ波導入窓
6と導波管5との間に挟着された平板電極18を介して
マイクロ波導入窓6に高周波(RF)が印加されるよう
になっている。
【0033】試料台8には試料9にRF高周波を印加す
るためのRF高周波発振器21が、マッチングボックス
20を介して接続されている。このRF高周波発振器2
1により試料9に所定のRF高周波を印加し、前述の薄
膜の形成方法を実施することにより、試料9にかかるバ
イアス電圧により、アスペクト比が高い場合でもステッ
プカバレジの良好な薄膜を形成することができる。
【0034】また、試料9を所定のヒータ等で加熱し、
試料9の温度を所定値、例えば200〜600℃に保つ
と、形成される薄膜の結晶化が促進され、薄膜の電気伝
導性が良好なものとなる。
【0035】励磁コイル4に直流電力が供給されるとプ
ラズマ生成室1に所定の磁場が発生する。これによりマ
イクロ波発振器からプラズマ生成室1に導入されるマイ
クロ波の角周波数ωと電子サイクロトロンの角周波数ω
c とが、プラズマ生成室1において等しくなるような磁
場を形成し、電子に共鳴運動を行わせるように構成する
こともできる。この共鳴を起こさせるための条件、すな
わち、ECR条件は、古典力学的方程式を解くことによ
り容易に求められ、次式で示される。
【0036】 ω = ωc = eB/m ……… ここで、eは電子の電荷(=1.6×10-19 C)、B
は磁束密度(T)、mは電子の質量(=9.1×10
-31kg )をそれぞれ表している。
【0037】マイクロ波の角周波数ωは、本実施例では
2.45GHz に設定されており、前記式よりECR条
件を満たす磁束密度Bを8.75×10-2Tに設定し
た。
【0038】上記装置を用いて薄膜を形成するには、ま
ず、排気系を操作して装置本体3内を1×10-6Torr以
下の圧力に減圧し、この後TiCl4 を5〜15SCCMの流量
で第1の導入配管13から反応室2内に供給する一方、
Ar43SCCM、N215SCCM、H250SCCMをプラズマ生成室
1内に第2の導入配管15から供給した。この後装置本
体3内を所定の圧力、例えば2×10-3Torrに設定し
た。
【0039】さらに、高周波発生源7に通電してマイク
ロ波導入窓6に電圧を印加し、RFによるスパッタ効果
により、 TiN薄膜がマイクロ波導入窓6に付着するのを
防止した。
【0040】一方、出力800Wのマイクロ波をマイク
ロ波発振器から導波管5を介してプラズマ生成室1に導
入すると共に、励磁コイル4に直流電源を接続して、プ
ラズマ生成室1内に磁場を生じさせた。そしてプラズマ
生成室1内で高エネルギ電子と原料ガスとを衝突させ、
この原料ガスを分解してイオン化し、プラズマを生成さ
せた。
【0041】次いで、このプラズマは第2の孔12を通
過し、発散磁界により図中矢印A方向に加速されて反応
室2内に導かれ、試料台8に載置されたアスペクト比
0.2〜1.0の孔が設けられている試料9の表面に T
iNの薄膜を形成させた。
【0042】本実施例によって得られたTiCl4 ガス流量
と成膜速度及び比抵抗との関係を図3に示した。この図
3より明らかなように、TiCl4 ガスの流量10SCCMで成
膜速度700Å/min、比抵抗180μΩcmが得ら
れた。
【0043】(実施例2)図2は本発明に係る TiN薄膜
の形成方法に使用される別のプラズマCVD装置を示す
断面図である。
【0044】このプラズマ装置と上記実施例1における
プラズマ装置との構成上の相違点は、反応室2の側壁に
接続されていた第1の導入配管13がない点のみであ
り、他の構成は上記実施例1におけるプラズマ装置と同
じであるので、その詳細な説明は省略する。
【0045】該プラズマ装置を用いて薄膜を形成するに
は、まず、プラズマ生成室1に接続された第2の導入配
管15にAr、H2、N2ガス及び金属系のガスであるTiCl4
ガスを導入する。
【0046】マイクロ導波管5を通ってプラズマ生成室
1内に導入されたマイクロ波および励磁コイル4の磁界
の作用により形成されたプラズマガスは、励磁コイル4
により形成された発散磁界によって反応室2内に導入さ
れる。そしてプラズマガスは試料9表面に供給され、 T
iN膜が試料9表面に形成される。
【0047】この実施例においては、Arガスの流量を4
3SCCM、N2ガスの流量を15SCCM、H2ガスの流量を50
SCCM、TiCl4 ガスの流量を10SCCMにそれぞれ設定し、
また試料9の温度を600℃に設定した。
【0048】本実施例においても、図3に示したTiCl4
10SCCMの場合とほぼ同等の成膜速度、比抵抗値が得ら
れた。
【0049】図4に実施例1、実施例2及び従来技術と
して特開平2−3072号公報に開示されている実験結
果を対比して、アスペクト比と孔底部/孔外表面部成膜
速度との関係を示した。この図4より、高アスペクト比
において孔底部/孔外表面部成膜速度が優れていること
がわかる。
【0050】(実施例3)次にP型Si基板上にSiO2の絶
縁膜を形成し、この絶縁膜中にコンタクトホールを形成
し、これを試料として図1に示した装置を用い、コンタ
クトホールの内表面に TiN薄膜を形成した。
【0051】まず、排気系を操作して装置本体3内を1
×10-6Torrの圧力に減圧し、この後TiCl4 10SCCMを
第1の導入配管13から反応室2内に供給する一方、A
r:43SCCM、H2:50SCCM、N2:15SCCMをプラズマ
生成室1内に第2の導入配管15から供給する。この条
件下で装置内のガス圧力を変えて TiN膜形成の状況、と
くにコンタクトホールの内表面に対するTiN膜の堆積の
状況を検討した。その結果2.0mTorr以下では良好な
堆積状況を示したが、これ以上のガス圧力では堆積不良
が生ずる。実際にTiN膜をアスペクト比2のコンタクト
ホールの内表面に堆積させたSEM走査型電子顕微鏡写
真に基づく図を図5に示す。この時の処理条件は、ガス
圧力1.3mTorr、マイクロ波パワー2.8kw、基板温
度550度、TiCl4 :10SCCM、H2:50SCCM、N2:1
5SCCM、Ar:43SCCMであった。
【0052】この図5よりコンタクトホール35の側部
および底部に TiN膜33が堆積していることがわかる。
この底部に堆積した膜厚は約500〜600Å、側壁の
膜厚は200〜300Å、一方絶縁膜上の膜厚は100
0Åであった。すなわちコンタクトホール35の底部の
成膜量が基板表面成膜量に対して50%を超えることが
できた。比較例として装置本体3内の圧力3mTorr、5
mTorr、他の条件は同じにして処理を行ったときのSE
M写真に基づく図を図6、図7に示した。これらの条件
によっては十分な堆積状態を示していない。
【0053】(実施例4)図8のSEM写真に基づく図
は、圧力0.7mTorr、TiCl4 :5SCCM、Ar:H2:50
SCCM、N2:15SCCM、マイクロ波2.8kw、基板温度5
50℃の条件下で形成した際の成膜状態を示す。この図
より明らかなように、コンタクトホール35底部の成膜
量は基板表面の成膜量に対して70%と非常に優れた値
が得られた。
【0054】実施例3および4から明らかなように、装
置本体3内の圧力を2.0mTorr好ましくは1.3mTo
rr以下に設定するのがよい。
【0055】本発明のプラズマCVD法は、ガスをプラ
ズマ化することによって活性化させ、磁力線の発散にし
たがって、試料上に活性化されたガスを導き、試料上で
TiNを形成するものである。したがって、活性化された
ガス分子は発散磁界によって誘導されるので指向性を有
し、試料に対しほぼ垂直に照射され、コンタクトホール
外周部の絶縁体の表面、コンタクトホール底部の TiN薄
膜は、厚くなるが、コンタクトホール側壁部は薄くな
る。したがって、TiN膜はコンタクトホール底部におい
て厚いので、良好なバリア性を有する一方、コンタクト
ホール側壁部は薄いことから、コンタクトホール直径は
あまり小さくならず、 TiN成膜後のアスペクト比はそれ
ほど高くならない。このため、次工程のAl、タングステ
ンによる電極材料の埋め込み工程におけるボイド形成の
確率が低下し、信頼性の高い配線が可能となる。
【0056】図9(a)に本発明のプラズマCVD法に
よるコンタクトホール35近傍へのTiN膜33の付き方
を示し、その後、タングステンによる埋め込みを行った
場合を図9(b)に示した。また表1に各成膜によって
形成される膜厚のデータを示す。
【0057】
【表1】
【0058】このようにECRプラズマCVD法は底部
に厚く成膜し、しかも次工程のタングステンの埋め込み
の際にもボイドの発生が見られない。
【0059】(実施例5)図10の(●)で示した曲線
は上述のCVD装置内でマイクロ波パワー1kw、ガス圧
1.3mTorrのもとで生成する薄膜の比抵抗と基板の温
度との関係を示している。すなわち、基板温度450℃
以上において、生成する TiN膜の比抵抗値は従来技術に
記載されるLPCVD法による523μΩcmと比べ、
200μΩcm以下と非常に小さくなり、半導体装置の
拡散層部分と金属配線の電極部分とを電気的に接続する
機能の面から極めて良好な値が得られた。一方、基板温
度が450℃以下であると、生成する TiN膜の比抵抗値
は急激に増加して、使用に耐えないものとなる。
【0060】また、同図10における○で示した曲線
は、マイクロ波パワー1kw、ガス圧1.3mTorrのもと
で TiN膜の堆積速度と基板温度との関係を示している。
この曲線からは両者に格別の相関関係がないことが理解
できる。したがって、基板の温度は450℃以上、好ま
しくは、550℃とするのがよい。
【0061】(実施例6)図11は、マイクロ波パワー
と堆積速度との関係(○)並びにマイクロ波パワーと比
抵抗との関係(●)を示す。図11よりマイクロ波パワ
ー1kw以上において比抵抗200μΩcm以下、2kw以
上では100μΩcm以下が得られることが確認され
た。
【0062】これらの結果は従来技術の熱反応のみを利
用するLPCVD法による比抵抗525μΩcmより本
発明の熱反応エネルギーとプラズマエネルギーを併用す
る方法が遥かに優れたものであり、実用レベルを実現で
きることを示している。
【0063】(実施例7)次にコンタクトホール部に堆
積した TiN膜のSEM写真に基づく図を図12〜15に
示す。この時の処理条件は、マイクロ波パワー1kwであ
り、TiCl4 の流量を変化させた以外は図5に示した場合
の処理条件と同じである。この図12より堆積した TiN
膜は柱状構造ではなく均質な微細組織であることが確認
できた。従って、バリア性のよいことが予想された。
【0064】図13はTiCl4 :5SCCM、図14はTiCl
4 :15SCCM、図15はTiCl4 :20SCCMの場合をそれ
ぞれ示しており、TiCl4 の流量を変えた場合の TiN膜の
組織の変化を示している。図14と図15は TiN膜が柱
状構造になっており、図13のTiN膜は図12のものと
同様に均質な微細組織であることが分かる。
【0065】マイクロ波パワーが一定の場合には、上述
のようにTiCl4 の流量を増やすと TiN膜の組織が柱状構
造になりやすいが、マイクロ波パワーを大きくすると、
TiCl4 の流量が多い場合でも TiN膜の組織を均質な微細
組織にすることができる。
【0066】つぎに、マイクロ波パワーとTiCl4 の流量
と TiN膜の組織との関係を調査した結果を表2に示し
た。
【0067】
【表2】
【0068】この結果からTiCl4 の流量を増やしても、
これに対応させてマイクロ波パワーを増大させれば、柱
状構造の発生を阻止することができることがわかった。
【0069】(実施例8)また、このバリア性に優れた
ことを示す実験結果を図16に示す。この図16は、A
l、Tiのカーブが横に拡がっていないことを示してい
る。
【0070】図16は、Si基板上に TiNを1000Å成
膜し、その上にさらにAlを蒸着し、それを熱処理無し、
500℃で30分、600℃で30分、650℃で30
分それぞれ熱処理し、これらを4つの試料としてRBS
(ラザフォード バックスキャタリング スペクトロス
コピー)で測定した結果を示すグラフである。RBSと
は一定のエネルギーのHe原子を基板に照射し、反射Heの
エネルギーより、膜中の膜厚方向の元素分布を調べるも
のである。各元素に衝突したHeのエネルギーロスは、元
素(原子量)により決定され、軽い元素ほど左方向に出
る。したがって、膜構造はAl/ TiN/Siであるが、Si、
Ti、Alの順番でピークが出る。またそれぞれのピークの
幅は膜厚に対応していることを意味し、これが広がると
拡散していることを示す。(Siは基板なので幅が広く、
片端しか見えない)。図16から明らかなように熱処理
してもこのピークがほとんど変化しておらず650℃で
30分の熱処理後でも高いバリア性(拡散防止効果)を
示している。
【0071】上方枠内の図は膜構造、Al/ TiN/Siにお
いて、HeをAlの方向から照射し、一部後方に散乱するHe
イオンの収量を測定したことを示す。
【0072】TiN膜形成後の次の工程として、W合金或
はAlまたはAl−Si−Cu等のAl合金の配線が TiN膜上に施
されるが、もし TiN膜中に塩素が残留していると、例え
ばAl等の配線は塩素によって強く腐食される。時として
は、絶縁物のAlCl3 が生じ、Al配線に肉眼で観察できる
程の腐食が生じる。このため、 TiN膜から可能な限り塩
素を除去することは必須の工程である。
【0073】図17、図18は、本発明の実施例の処理
条件でマイクロ波パワーを1kw、2.8kwで作成した T
iN膜のEDX(エネルギー分散型X線アナライザー)ス
ペクトルを示す。1kwでは、塩素Clのピークが確認され
るが、2.8kwでは全く塩素Clのピークがないことが確
認された。
【0074】このように塩素Clは、マイクロ波パワーを
大きくすることによって混入を防止することができる
が、このほかに TiN膜成膜後H2プラズマ処理を施すこと
によっても減らすことができる。
【0075】図19は、 TiN膜成膜後H2プラズマ処理を
施した試料の表面から深さ方向に(TiN膜に直角にSi基
板に向かって)SIMS(セカンダリー イオン マス
スペクトロスコピー)により分析した結果を示すもので
ある。
【0076】このSIMSは、酸素イオンを照射して深
さ方向に膜を掘っていって、その深さ方向に存在する元
素もしくは分子( TiN等)の分布を測定するものであ
る。すなわち、高エネルギーの酸素イオンを照射するこ
とにより、膜中の物質がたたき出され、そのイオン(2
次イオン)の信号強度を深さ方向で測定するものであ
る。
【0077】図19の左側(縦軸上)が TiN膜の表面側
であり、右方に行くにつれて掘り下げられる深さが大と
なっていることを意味する。膜の表面部において、塩素
が減少しているが、これは TiN形成後H2プラズマ処理を
施したことによる。
【0078】このようにH2プラズマ処理を施すことによ
り、 TiN膜表面部における塩素濃度を下げることがで
き、塩素によるAl配線等の腐食を防止することができ
る。
【0079】なお、H2プラズマ処理とは、 TiN膜成膜処
理の終了時に、TiCl4 等のTi化合物ガス及びN2ガスの供
給を停止し、ArガスとH2ガスを流しプラズマを発生させ
た状態を保つことである。
【0080】次に、実施例に係る方法により作成した T
iN膜のX線回析パターン図を図20に示した。このパタ
ーン図は、 TiNの結晶がSi基板(111)上で(10
0)方向にのみ配向していることを示す。処理条件はマ
イクロ波パワー1kw、基板温度550℃、N2、H2、Arガ
スのそれぞれの流量は、15SCCM、50SCCM、43SCCM
であった。
【0081】(100)配向膜はバリヤ特性に優れてお
り、このように実施例に係る方法により形成された TiN
膜が極めて強い(100)配向を示すことは、プラズマ
の指向性に基づくものと推察される。
【0082】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように本発明
に係る薄膜の形成方法によれば、ステップカバレジに優
れた金属窒化物膜を形成することができ、LSIデバイ
スの高集積化が進み、絶縁層に形成されるコンタクトホ
ールのアスペクト比が大きくなっても、十分にバリヤ性
を確保した薄膜をコンタクトホール部に形成することが
できる。
【0083】しかもコンタクトホール側壁部に形成され
る薄膜の膜厚を、コンタクトホール底部に形成される薄
膜の膜厚よりも薄くすることができ、コンタクトホール
底部におけるバリヤ性を確保しながら、薄膜形成後のコ
ンタクトホールのアスペクト比を大きくすることを抑制
することができる。従って後工程の配線材料埋め込み時
にも、コンタクトホール内にボイドを発生させることが
なくなり、配線の断線を阻止してLSIデバイスの信頼
性を向上させることができる。
【0084】また、LSIデバイス作成に悪影響を与え
ない程度の低温で薄膜を形成することができ、しかも黄
色いパウダー等のパーティクルを発生させることもな
く、より一層信頼性の高いLSIデバイスを作製するこ
とを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜の形成方法に使用される薄膜
形成装置の一例を模式的に示した断面図である。
【図2】薄膜形成装置の別の一例を模式的に示した断面
図である。
【図3】TiCl4 ガスの流量と成膜速度及び比抵抗との関
係を示すグラフである。
【図4】コンタクトホールのアスペクト比に対する孔底
部/孔外表面部成膜速度の関係を示すグラフである。
【図5】TiCl4 :10SCCM、ガス圧力:1.3mTorrに
おけるコンタクトホール内表面に形成された TiN膜の状
態を示す断面図である。
【図6】TiCl4 :10SCCM、ガス圧力:3mTorrにおけ
るコンタクトホール内表面に形成された TiN膜の状態を
示す断面図である。
【図7】TiCl4 :10SCCM、ガス圧力:5mTorrにおけ
るコンタクトホール内表面に形成された TiN膜の状態を
示す断面図である。
【図8】TiCl4 :5SCCM、ガス圧力:0.7mTorrにお
けるコンタクトホール内表面に形成された TiN膜の状態
を示す断面図である。
【図9】(a)は実施例に係る方法によりコンタクトホ
ール部に TiN膜が形成された状態を示す断面図、(b)
はその後W(タングステン)をコンタクトホール部に埋
め込んだ状態を示す断面図である。
【図10】プラズマCVD装置を用いて形成された TiN
膜の比抵抗と基板温度との関係、及び TiN膜の堆積速度
と基板温度との関係を示すグラフである。
【図11】プラズマCVD装置を用いて形成された TiN
膜の比抵抗とマイクロ波パワーとの関係、及び TiN膜の
堆積速度とマイクロ波パワーとの関係を示すグラフであ
る。
【図12】TiCl4 :10SCCMのときのSi基板上に堆積し
た TiN膜の成長状態を示す断面図である。
【図13】TiCl4 :5SCCMのときのSi基板上に堆積した
TiN膜の成長状態を示す断面図である。
【図14】TiCl4 :15SCCMのときのSi基板上に堆積し
た TiN膜の成長状態を示す断面図である。
【図15】TiCl4 :20SCCMのときのSi基板上に堆積し
た TiN膜の成長状態を示す断面図である。
【図16】Si基板上に TiN膜を形成し、この上にAlを蒸
着させた試料のRBS測定結果を示す図である。
【図17】マイクロ波パワー1kwでコンタクトホールの
内表面に形成された TiN膜のEDXスペクトルを示す図
である。
【図18】マイクロ波パワー2.8kwでコンタクトホー
ルの内表面に形成された TiN膜のEDXスペクトルを示
す図である。
【図19】TiN膜を形成したSi基板表面のSIMSに基
づく分析結果を示す図である。
【図20】TiN膜のX線回析図である。
【図21】反応性スパッタリング装置を模式的に示した
断面図である。
【図22】(a)は反応性スパッタ法によりコンタクト
ホール部に形成されたTiN膜の状態を示す断面図、
(b)はこの後W(タングステン)を埋め込んだ状態を
示す断面図である。
【図23】LPCVD法に用いられる装置を模式的に示
した断面図である。
【図24】(a)はLPCVD法によりコンタクトホー
ル部に形成された TiN膜の状態を示す断面図、(b)は
この後W(タングステン)を埋め込んだ状態を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 プラズマ生成室 2 反応室 4 励磁コイル 6 マイクロ波導入窓 8 試料台 9 試料 35 コンタクトホール 37 絶縁膜 38 Si基板

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロ波による電界と周囲に配設され
    た励磁コイルによる磁界との作用によってプラズマ生成
    室でプラズマを生成させ、前記生成させたプラズマを反
    応室に導入して試料台に載置された試料に薄膜を形成す
    る方法において、Ar、H2およびN2ガスを前記プラズマ生
    成室に導入する一方、Ti系ガスを前記反応室に導入する
    ことにより前記試料上にTi窒化物膜を形成し、コンタク
    トホール底部のTi窒化物膜の厚さを、前記コンタクトホ
    ール側壁部のTi窒化物膜の厚さよりも厚く形成すること
    を特徴とする薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 マイクロ波による電界と周囲に配設され
    た励磁コイルによる磁界との作用によってプラズマ生成
    室でプラズマを生成させ、前記生成させたプラズマを反
    応室に導入して試料台に載置された試料に薄膜を形成す
    る方法において、Ar、H2、N2ガスおよびTi系ガスを前記
    プラズマ生成室に導入することにより前記試料上にTi
    化物膜を形成し、コンタクトホール底部のTi窒化物膜の
    厚さを、前記コンタクトホール側壁部のTi窒化物膜の厚
    さよりも厚く形成することを特徴とする薄膜の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 基板上に絶縁膜が形成され、該絶縁膜に
    コンタクトホールが形成された半導体装置作成用基板
    に、Ti系ガスとして四塩化チタンガスを用い、反応室の
    圧力が2.0mTorr以下、試料である前記基板の温度が
    450℃以上の条件下、前記コンタクトホールにTi窒
    化物膜を形成する請求項1または請求項2記載の薄膜の
    形成方法。
  4. 【請求項4】 マイクロ波導入窓にRFを印加しながら
    成膜する請求項1〜3のいずれかの項に記載の薄膜の形
    成方法。
  5. 【請求項5】 Ti窒化物膜を形成後、H2プラズマ処理を
    施すことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に
    載の薄膜の形成方法。
  6. 【請求項6】 コンタクトホール底部のTi窒化物膜の厚
    さが、前記コンタクトホール側壁部のTi窒化物膜の厚さ
    より厚いことを特徴とする半導体装置。
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