JP3242535B2 - 作業機の昇降速度制御装置 - Google Patents

作業機の昇降速度制御装置

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JP3242535B2 JP22147894A JP22147894A JP3242535B2 JP 3242535 B2 JP3242535 B2 JP 3242535B2 JP 22147894 A JP22147894 A JP 22147894A JP 22147894 A JP22147894 A JP 22147894A JP 3242535 B2 JP3242535 B2 JP 3242535B2
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正久 河村
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は作業機を走行機体に対し
油圧シリンダーにより昇降駆動可能に取り付け、該油圧
シリンダーの昇降速度を制御するための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特開平5−344810号に記載
の如く田植機の植付部を走行機体に対し油圧シリンダー
により昇降駆動可能に取り付けるとともに、前記油圧シ
リンダーを伸縮制御する昇降切換弁の一次側に、油圧ポ
ンプから油圧シリンダーへ油を供給する時に昇降切換弁
の前後圧力を受けて作動する圧力補償弁を設けている。
前記昇降切換弁が上昇位置へ至る過渡位置の時にはその
オリフィス開度に対応した速度で作業機が上昇する。こ
の時、上昇用の圧力補償弁の背圧室には油圧シリンダー
の負荷に対応した圧力が作用して、該補償弁の基準作動
圧を形成しており、この結果、油圧ポンプから吐出した
圧油は昇降切換弁の前後の差圧を一定にする上で余剰す
ることとなり、該補償弁を開いてタンクに排出される。
【0003】昇降切換弁が下降位置へ至る過渡位置の時
にはそのオリフィス開度に対応した速度で作業機が自重
で下降する。下降速度はタンク回路に設けた可変絞りに
よって調節できるようになっている。また、この時に上
昇用の圧力補償弁は油圧ポンプの吐出油をアンロードす
るように作動するように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、昇降切換弁が
中立位置の時には、作業機の自重が作用する油圧シリン
ダーでは排油が促され自然降下してしまう。手元ハンド
ルを備えたストップバルブを油圧シリンダーと昇降切換
弁の間に介在させる方法が考えられるが、いちいちそれ
を閉める操作が面倒で忘れることがあり得る。また、作
業機が植付装置の場合、田植作業を進めていくにつれて
苗の量が減少する。よって、作業初期と作業後期とでは
作業機の重量が大きく異なり、前記した下降速度規制用
の可変絞りだけでは、作業初期では下降速度は速く、作
業後期では遅くなり、苗の植付け作業に悪影響がでる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題を解決するために、次のような手段を用いるものであ
る。即ち、作業機を走行機体に対し油圧シリンダーによ
り昇降駆動可能に取り付けると共に、前記油圧シリンダ
ーを伸縮制御する昇降切換弁の一次側に、油圧ポンプか
ら油圧シリンダーへ油を供給する時に昇降切換弁の前後
圧力を受けて作動する上昇用の圧力補償弁を設けたもの
において、前記油圧シリンダーと前記昇降切換弁の一方
の出力ポートをつなぐ油給排回路中に、油圧シリンダー
方向への油流通を許容し、該昇降切換弁の他方の出力ポ
ートを通じパイロット回路へ油圧を付与することにより
油圧シリンダーからの排油を許容するパイロットチェッ
ク弁を設けると共に、前記油給排回路及び前記パイロッ
ト回路を流れる油を択一的に前記上昇用の圧力補償弁の
背圧室へ導いたものである。
【0006】また、前記油圧シリンダーと前記昇降切換
弁の一方の出力ポートをつなぐ前記油給排回路に、下降
用の圧力補償弁と、油圧シリンダー方向へ油流通のみ許
容する方向切換弁(図2,図3では方向切換弁の一例と
してチェック弁を表記している。)を並列に設け、ま
た、前記パイロットチェック弁を開放動作せしめるため
のパイロットピストンに、前記昇降切換弁の二つの出力
ポートに流れる油を択一的に前記上昇用の圧力補償弁の
背圧室へ導くシャトル弁を構成し、前記昇降切換弁の中
立位置と上昇位置の間に、該弁のポンプポートを前記油
圧シリンダーの出力ポートに対して絞り状態で連通させ
る緩上昇位置を設けると共に、前記絞り状態となる前段
階で前記出力ポートを前記ポンプポートに一時的に連通
させて昇圧させておく昇圧区域を設けた。
【0007】
【作用】次に作用を説明する。昇降切換弁が中立位置の
時には、油圧ポンプからの油は昇降切換弁を通り、タン
クへ排出して圧力損失がなくされるとともに、油圧シリ
ンダーの油はパイロットチェック弁の閉じ動作によって
確実に保持されるから作業機の自然降下は防止される。
昇降切換弁を中立位置から上昇位置へ切り換えると、油
圧ポンプからの圧油は昇降切換弁の一方の出力ポートか
ら油給排回路を経て、チェック弁、そして、パイロット
チェック弁を油圧的に開放して油圧シリンダーへ供給さ
れる。完全な上昇位置へ至る過渡位置では、昇降切換弁
のオリフィス開度に対応した速度で作業機が上昇する。
この時に上昇用の圧力補償弁の背圧室には油圧シリンダ
ーの負荷に対応した圧力が作用して、該補償弁の基準作
動圧を形成しており、この結果、油圧ポンプから吐出し
た圧油は昇降切換弁の前後の差圧を一定にする上で余剰
することとなり、該補償弁を開いてタンクに排出され
る。油圧シリンダーの伸長動作中に負荷が変動する時に
は、上昇用の圧力補償弁の背圧室に作用する負荷圧力も
対応して変化し、昇降切換弁のオリフィスの前後差圧は
一定に維持され、油圧シリンダーの作動速度を一定に保
持する。
【0008】昇降切換弁を中立位置から下降位置へ切り
換えると、油圧ポンプからの圧油は昇降切換弁の他方の
出力ポートからパイロット回路を経てパイロットチェッ
ク弁を機械的に開放動作させると同時に、上昇用の圧力
補償弁の背圧室に導入して、その作動を不能として、油
圧ポンプの吐出する全流量をパイロットチェック弁の開
放動作に使用し、確実にパイロットチェック弁を開放動
作させる。
【0009】昇降切換弁を中立位置から下降位置へ切り
換えた時に、作業機の自重を受けて油圧シリンダー内か
ら押し出される油は、油給排回路から下降用圧力補償弁
を経てタンクへ排出されるが、減圧弁型の下降用圧力補
償弁はその二次側圧力を設定圧に調整するように作動
し、油圧シリンダーにかかる負荷が如何に変化しようと
も、昇降切換弁のオリフィス前後の差圧は一定に保持さ
れ、作業機の下降速度を一定に維持する。
【0010】パイロットチェック弁は、油給排回路の油
圧、或いは、パイロット回路の油圧を受けて開放動作す
ると同時に、迅速にその油圧を上昇用の圧力補償弁の背
圧室に供給する。昇降切換弁を緩上昇位置に操作した際
には、油圧シリンダーを微妙に作動させて作業機を緩や
かに上昇させることができる。しかも、昇降切換弁を中
立位置から緩上昇位置へ切り換える際に必ず通過する昇
圧区域において、油圧シリンダーは、それが作動するの
に必要な圧力にまで昇圧された状態におかれており、緩
上昇操作に入るとそれに迅速に応答して油圧シリンダー
が作動する。
【0011】
【実施例】次に本発明の一実施例を田植機に適応した場
合について図面に従って説明する。図1は田植機の全体
平面図、図2は本発明の油圧回路図、図3は昇降制御装
置のバルブケース断面図、図4は電磁比例減圧弁の断面
図、図5は昇降切換弁のスプール部分の断面図、図6は
昇降切換弁のスプールの斜視図、図7はスプールのスト
ロークと、シリンダーポートの圧力と流量の関係を示す
図である。
【0012】図1、図2において、田植機の全体構成か
ら説明すると、走行機体1下部の前後に前輪2と後輪3
が懸架され、走行機体1前部上のボンネット4内にエン
ジンを載置して、前輪2、後輪3、走行機体1後部に付
設する植付部5、及び、油圧ポンプPを駆動できるよう
にしている。前記ボンネット4後部より上方へハンドル
6が突出され、該ハンドル6の回動が操向バルブ7を切
り換えて、操向シリンダー9を伸縮して、前輪2を回動
して操向できるようにしている。
【0013】前記作業機としての植付部5は走行機体1
より後方へ突出したトップリンク10及びロアリンク1
1・11よりなる3点リンク式の作業機装着装置12を
介して装着され、該トップリンク10基部と走行機体1
の間には油圧シリンダー13が介装されて、走行機体1
中央部上に配置した座席15の側部に設けた植付昇降レ
バー16の回動操作で昇降切換弁14を切り換えて、油
圧シリンダー13を伸縮させることで植付部5を昇降で
きるようにしている。
【0014】前記トップリンク10の中途部にはピッチ
ングシリンダー17が介装され、また、作業機装着装置
12後端には植付部5をローリング可能に枢支して、該
作業機装着装置12後端の支持部と植付部5の間にロー
リングシリンダー20を介装し、植付部5にはジャイロ
センサー18を設けている。該ジャイロセンサー18の
検出信号はコントローラに入力され、該コントローラの
出力部はピッチングバルブ19及びローリングバルブ2
1のソレノイドが接続され、機体と植付部5の間でロー
リングまたはピッチングが生ずる状態をジャイロセンサ
ー18にて検知してコントローラがピッチングバルブ1
9又はローリングバルブ21を切り換えて、ピッチング
シリンダー17またはローリングシリンダー20を伸縮
させて、植付部5を水平に維持できるようにしている。
【0015】そして、植付部5には苗載台22を、苗台
レール23上に左右摺動可能に載置し、植付けミッショ
ンケースより後方に突出したチェーンケース24・24
・24後部両側にロータリケース25・25の中央を回
転できるように支持し、該ロータリケース25の両端に
植付爪2・26を配置し、植付けミッションケース下方
にはフロートを配置して、ロータリケース25の回転と
ともに苗載台22上に載置した苗マットより一定量の苗
を切り取り、下方へ搬送して圃場に植えつけるように構
成している。
【0016】次に、本田植機に適用された油圧制御装置
の回路構成を図2、図3より説明する。油圧制御装置
は、前記操向シリンダー9を伸縮作動させるためのパワ
ーステアリング制御装置50と、油圧シリンダー13を
伸縮作動させるための昇降制御装置51と、ローリング
シリンダー20を伸縮作動させるためのローリング制御
装置52と、ピッチングシリンダー17を伸縮作動させ
るためのピッチング制御装置53と、油圧供給部からな
り、油圧供給部である油圧ポンプPの吐出側には流量制
御弁30が接続されて、該流量制御弁30によって余剰
側回路32と調整側回路33に圧油が分割供給されて、
余剰側回路32にパワーステアリング制御装置50と昇
降制御装置51が直列に接続され、調整側回路33にロ
ーリング制御装置52とピッチング制御装置53が直列
に接続されている。
【0017】前記パワーステアリング制御装置50は、
操向シリンダー9への圧油の送油を切り換える操向バル
ブ7と、リリーフバルブ34と、安全チェック弁35か
らなり、操向バルブ7は4ポート3位置切換の手動操作
型のバルブであって、その操作部はハンドル6の回動部
と連結され、回動量に応じて操向バルブ7が切り換えら
れる。そして、このパワーステアリング制御装置50の
戻り側に配管を介して昇降制御装置51のポンプポート
Paが接続される。
【0018】該ポンプポートPaにフィルター36を介
して昇降切換弁14が接続され、この昇降切換弁14の
ポンプポートPとタンク29への戻り油路の間に上昇用
の圧力を補償するための圧力補償弁37が介装されてい
る。該圧力補償弁37は、タンク29に対して昇降切換
弁14のポンプポートPを『開放』『閉鎖』自在な弁体
37aと、該弁体37aを『閉鎖』方向へ付勢する戻し
バネ37bと、戻しバネ37bを収容し該弁体37aを
『閉鎖』方向へ油圧的に付勢するための背圧室37cと
で構成される。該背圧室37cには後述するシャトル弁
39に連通したパイロット油路40が固定絞りを介して
連通される。なお、38は油圧シリンダー13の最高作
動圧力を規定する安全弁である。
【0019】また、前記昇降切換弁14はパイロット油
圧操作型の切換弁に構成され、図3、図5、図6に示す
ように、バルブケース41に挿入孔41aが貫通穿設さ
れて、該挿入孔41aにはスプール42が挿入されてい
る。その両側にはバネ43・43を配置してカバー部材
44で蓋をしてパイロット油室41b・41bが構成さ
れている。スプール42が中央の中立位置に位置するよ
うにバネ43・43で付勢し、カバー部材44に螺装し
た調整ネジ45・45でバネ圧の調整ができるようにし
て、パイロット圧による切換タイミングを調整できるよ
うにしている。そして更に、調整ネジ45・45の軸心
部には非常用ネジ46・46が螺装されて、故障時にこ
の非常用ネジ46を回転させてねじ込むことによってス
プール42を移動させて植付部5を昇降させることがで
きるようにしている。47・48はロックナットであ
る。
【0020】前記スプール42は図5に示すように、そ
の中央部にランド部42a・42bを設け、両側にはパ
イロット油室41b・41bを仕切るランド部42c・
42cが設けられている。ランド部42aは両側と中央
にランド部と同径のシール部分を構成し、その間に側面
を切り欠いた油通路42d・42dを設け、両側のシー
ル部分の外周にそれぞれ平面視V字状の絞り42e・4
2eが形成されている。そして、中立時において、一側
のシール部はタンクポートTに位置させ、他側のシール
部はポンプポートPに位置させ、中央のシール部は二次
側の出力ポートAに位置させ、ランド部42bは出力ポ
ートBに位置させている。この時、図5に示すように、
油通路42dの外側端面とポンプポートPの端面の間の
距離aは、出力ポートAの端面と絞り42e先端の間の
距離bと等しく(a=b)、出力ポートAの端面と油通
路42dの内側端面との間の距離cは前記距離aよりも
短く(c<a)設定しており、昇降切換弁14が中立位
置の時には、ポンプポートP、タンクポートT、出力ポ
ートA、出力ポートBが互いに流通している。
【0021】植付部5を上昇させるために、スプール4
2を図5紙面左側へ摺動させてゆく場合、タンクポート
Tと出力ポートAとの間は中央のシール部によってブロ
ックされる。そして、図7に示すように、(a−c)の
間だけポンプポートPと出力ポートAの間が連通状態と
なり、この時間は極く短いため油圧シリンダー13内は
作動に必要な圧力まで昇圧されるも、作動することはな
い(昇圧区域)。次に絞り42eを介してその開度に応
じてポンプポートPからの油が出力ポートAに流れて、
流量増加に応答して油圧シリンダー13が徐々に伸長作
動し(緩上昇位置)、d位置を過ぎると全量が出力ポー
トAへ流れ、油圧シリンダー13が迅速に伸長作動する
(上昇位置)。なお、この一連のスプール42の動きに
対して出力ポートBは紙面右方のタンクポートTに常時
連通されるようになっている。
【0022】また、植付部5を下降させる場合は前記と
逆に、スプール42は右側へ摺動されて、該スプール4
2は、出力ポートAを絞り42eを介してタンクポート
Tに連通する状態におき、前記ランド部42bによって
出力ポートBとタンクポートTとの連通を断つと共に、
該出力ポートBをポンプポートPに連通させる。この結
果、ポンプポートPからの圧油全量が出力ポートBへ流
れ、前記パイロットチェック弁62を機械的に開放させ
て出力ポートAに油圧シリンダー13内の油が導入さ
れ、絞り42eによって除々にタンクポートTへ排出さ
れて油圧シリンダー13が収縮作動するのである。
【0023】前記スプール42の両端はパイロット油室
41b・41bに位置し、油圧が付与されるようになっ
ている。該パイロット油室41b・41bはパイロット
油路55a・55bを介して電磁比例減圧弁56a・5
6bの出力ポートと接続されている。電磁比例減圧弁5
6a・56bの入力ポートPbは油路31を通じて流量
制御弁30の一次側のポンプ油圧が導入されるようにな
っている。該電磁比例減圧弁56は図4に示すように、
バルブケース41にスリーブ57とバネ58が挿入さ
れ、該スリーブ57の軸心部に弁体59を挿入して前記
バネ58で外方向へ付勢するように構成し、該バネ58
と反対側にソレノイド60を固定して、該ソレノイド6
0にはプッシュピン61を収納して、ソレノイド60を
作動させると、その印加電流に比例してプッシュピン6
1が摺動されて、弁体59も摺動し、入力ポートPbの
油を規定圧力に減圧して、その出力ポートからパイロッ
ト油路55へ送油される。その結果、前記スプール42
が中立位置から左右へ摺動されて昇降切換弁14が切り
換えられるのである。
【0024】また、前記昇降切換弁14の出力ポートA
と油圧シリンダー13の間の油給排回路Aaには該シリ
ンダー13方向へのみ油流通が可能なパイロットチェッ
ク弁62を設け、該パイロットチェック弁62の二次側
はシリンダポートCを介して油圧シリンダー13に配管
接続されている。油給排回路Aaには、下降用の圧力補
償弁となる減圧弁63と、油圧シリンダー13方向への
み油流通を可能とする方向切換弁65を並列に配置して
いる。減圧弁63は、入口ポートAa’と出口ポートA
a”の間の油路断面積を適宜に拡大縮小するランド部6
3aを有し、同断面積を拡大する方向にバネ63bによ
って付勢されると共に、減圧弁63に設けた油路63c
を介して出口ポートAa”の油圧をバネ63bの逆方向
から作用させてあるものに構成されている。減圧弁63
の二次側から油をタンクへドレンさせるための小油孔6
3dと中心の油路63eとを減圧弁63に設けている。
前記減圧弁63の二次側の油給排回路Aaには可変絞り
弁64が介装されている。また、前記の方向切換弁65
として実施例のような、油圧シリンダー13方向へのみ
油流通を許容するチェック弁形式にすると構成が簡素化
され低コスト化できる利点がある。
【0025】前記パイロットチェック弁62には、その
チェック弁体62aを機械的に開放操作させるためのパ
イロットピストン62bが設けられている。該パイロッ
トピストン62bの背圧室62cは昇降切換弁14の出
力ポートBにつながったパイロット回路Baに連通して
いる。前記圧力補償弁37の背圧室37cにつながるパ
イロット油路40の端部が前記パイロットピストン62
bのランド部に対して開閉自在に開口しており、前記油
給排回路Aa、或いは、パイロット回路Baのいずれか
に油が流れるとその油圧を受けてパイロットピストン6
2bが往復動するも、その際にランド部がパイロット油
路40の開口端を開いて、油給排油路Aa、或いは、パ
イロット回路Baの油をパイロット油路40へ導くよう
にしてシャトル弁39が構成されているのである。この
シャトル弁39はべつの部品として構成しても良いが、
本実施例のようにパイロットピストン62bにシャトル
弁39を構成する方が圧力補償弁37の応答性を高める
上で有利である。
【0026】昇降切換バルブ14が中立位置の時には、
油圧ポンプPからの圧油は昇降切換バルブ内を通り、圧
力損失なくタンク側へ流し、油圧シリンダー13の油は
パイロットチェック弁62で保持される。電磁比例減圧
弁56aのソレノイドに印加電流を付与して昇降切換バ
ルブ14を上昇側に切り換えると、出力ポートAからチ
ェック弁65、パイロットチェック弁62を介して油圧
シリンダー13に圧油が送油されて伸長し、植付部5が
上昇される。このときの圧力は、またシャトル弁39か
らパイロット油路40を介して圧力制御弁37の背圧室
37aに流れることによって、油圧シリンダー13の負
荷に対応した圧力が背圧室37aに作用して圧力制御弁
37が上昇圧力の補償をするように作動する。
【0027】そして、電磁比例減圧弁56bのソレノイ
ドに印加電流を付与して昇降切換バルブ14を下降側に
切り換えると、油圧ポンプPからの油は出力ポートBか
らシャトル弁39に送油されてパイロットチェック弁6
2を開放させ、同時に、シャトル弁39からのパイロッ
ト油路40を経て上昇用の圧力補償弁の背圧室に導入し
て、その作動を不能として、油圧ポンプの吐出する全流
量をパイロットチェック弁62の開放動作に使用し、確
実にパイロットチェック弁を開放動作させる。そして油
圧シリンダー13内の圧油はパイロットチェック弁62
より減圧弁63を通過する際に、下降圧力の補償がなさ
れ、そして、可変絞り64、昇降切換バルブ14を介し
てタンク29側へ流され、油圧シリンダー13は縮小
し、植付部5が下降する。
【0028】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したので次の
ような効果を奏するものである。即ち、請求項1の如く
構成したので、昇降切換弁が中立位置の時には、油圧ポ
ンプPからの圧油は昇降切換弁内を通り、タンクへ排出
させ、油圧シリンダーの油はパイロットチェック弁の閉
じ動作によって確実に保持されて作業機の自然降下を防
止できる。昇降切換弁が上昇位置の時には、上昇用の圧
力補償弁の背圧室には油圧シリンダーの負荷に対応した
圧力が作用して、油圧シリンダーの動作中に負荷が変動
しても、昇降切換弁のオリフィスの前後差圧は一定に維
持され、油圧シリンダーの作動速度、即ち、作業機の作
動速度を一定に保持することができる。
【0029】請求項2の如く構成すると、昇降切換弁が
下降位置の状態では、減圧弁型の下降用圧力補償弁によ
って、油圧シリンダーにかかる負荷、即ち、作業機の重
量が変化しても、昇降切換弁のオリフィス前後の差圧は
常に一定に保持され、作業機の下降速度を一定に維持す
ることができる。
【0030】請求項3の如く構成すると、パイロットチ
ェック弁は、油給排回路の油圧、或いは、パイロット回
路の油圧を受けて開放動作すると同時に、迅速にその油
圧を上昇用の圧力補償弁の背圧室に供給することがで
き、応答遅れがなく、該圧力補償弁を正確に制御させる
ことができると共に、シャトル弁そのものが不要となっ
て安価に、かつ、バルブ構成をコンパクトに構成でき
る。
【0031】請求項4の如く構成すると、昇降切換弁を
緩上昇位置に操作した際には、油圧シリンダーを微妙に
作動させて作業機を緩やかに上昇させることができる。
しかも、昇降切換弁を中立位置から緩上昇位置へ切り換
える際には、必ず昇圧区域を通過することになってお
り、油圧シリンダーが作動するのに必要な圧力にまで一
旦昇圧させることができて緩上昇操作時の油圧シリンダ
ーの作動遅れがなくなり、応答性を向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】田植機の全体平面図である。
【図2】本発明の油圧回路図である。
【図3】昇降制御装置のバルブケース断面図である。
【図4】電磁比例減圧弁の断面図である。
【図5】昇降切換弁のスプール部分の断面図である。
【図6】昇降切換弁のスプールの斜視図である。
【図7】スプールのストロークと、シリンダーポートの
圧力と流量の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 操向機体 5 植付部 13 油圧シリンダー 14 昇降切換弁 37 圧力制御弁 39 シャトル弁 40 パイロット油路 42 スプール 51 昇降制御装置 62 パイロットチェック弁 63 減圧弁 64 可変絞り 65 チェック弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A01C 11/02 A01B 63/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業機を走行機体に対し油圧シリンダー
    により昇降駆動可能に取り付けると共に、前記油圧シリ
    ンダーを伸縮制御する昇降切換弁の一次側に、油圧ポン
    プから油圧シリンダーへ油を供給する時に昇降切換弁の
    前後圧力を受けて作動する上昇用の圧力補償弁を設けた
    ものにおいて、前記油圧シリンダーと前記昇降切換弁の
    一方の出力ポートをつなぐ油給排回路中に、油圧シリン
    ダー方向への油流通を許容し、該昇降切換弁の他方の出
    力ポートを通じパイロット回路へ油圧を付与することに
    より油圧シリンダーからの排油を許容するパイロットチ
    ェック弁を設けると共に、前記油給排回路及び前記パイ
    ロット回路を流れる油を択一的に前記上昇用の圧力補償
    弁の背圧室へ導いたことを特徴とする作業機の昇降速度
    制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の作業機の昇降速度制御装
    置において、前記油圧シリンダーと前記昇降切換弁の一
    方の出力ポートをつなぐ前記油給排回路に、下降用の圧
    力補償弁と、油圧シリンダー方向へ油流通のみ許容する
    方向切換弁を並列に設けたことを特徴とする作業機の昇
    降速度制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の作業機の昇降速度制御装
    置において、前記パイロットチェック弁を開放動作せし
    めるためのパイロットピストンに、前記昇降切換弁の二
    つの出力ポートに流れる油を択一的に前記上昇用の圧力
    補償弁の背圧室へ導くシャトル弁を構成したことを特徴
    とする作業機の昇降速度制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の作業機の昇降速度制御装
    置において、前記昇降切換弁の中立位置と上昇位置の間
    に、該弁のポンプポートを前記油圧シリンダーの出力ポ
    ートに対して絞り状態で連通させる緩上昇位置を設ける
    と共に、前記絞り状態となる前段階で前記出力ポートを
    前記ポンプポートに一時的に連通させて昇圧させておく
    昇圧区域を設けたこと特徴とする作業機の昇降速度制御
    装置。
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