JP3241940B2 - 泡状酸性染毛料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、染毛性に優れ、毛髪に
塗布しやすく、泡の安定性に優れた泡状酸性染毛料に関
する。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従
来、頭髪用染毛料としては酸化型染毛料と酸性染毛料が
ある。酸化型染毛料は、アルカリ性下で過酸化水素を作
用させるために、毛髪の損傷を生ずる危険性があるとと
もに皮膚刺激を生じる場合もある。そこで、皮膚や、頭
髪への安全性の高い染毛料として酸性染毛料が開発され
てきた。しかし、これらの通常の型の酸性染毛料は、染
毛時に手などの皮膚を汚し、操作が煩雑であり、染毛性
が充分ではないなどの欠点を有していた。

【０００３】これらの問題を解決する手段として既に特
開平５−２２１８３５号公報、特開平５−２７１０４１
号公報等が提案されているものの、溶剤や比較的多量の
界面活性剤が配合されているために系が均一であるため
に依然として染毛性が充分ではない。

【０００４】本発明者は上記このような背景に鑑み、充
分な染毛性を持ち、かつ操作が簡便であり、しかも安定
性に優れた酸性染毛料を開発するために鋭意検討した結
果、特定量のベンジルアルコール類又はピロリドン類
と、特定量のスルホン基含有陰イオン界面活性剤と、特
定量の酸性染料と、酸と、特定量の噴射ガス剤とを含有
し、これらの成分を含有した原液のｐＨが特定の幅にあ
る泡状酸性染毛料が上記の問題すべてを満足することを
見出し、本発明を完成するに至った。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項１は、成分（Ａ）一般式（１）

【化５】 ［式中、Ｒ₁はＨ、ＣＨ₃基またはＣＨ₃Ｏ基、Ｒ₂は−Ｃ
Ｈ₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ（ＣＨ₃）ＯＨ
基、−Ｃ（ＣＨ₃）₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＣＨ（ＣＨ₃）ＯＨ
基、−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＯＣＨ₂ＯＨ基、−Ｃ
Ｈ（ＣＨ₃）ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ＝ＣＨＣＨ₂ＯＨ基、
又は−ＯＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基を表す。］の群から選ばれる
化合物又は一般式（２）

【化６】 ［式中、Ｒ₃は炭素数１〜１８の直鎖又は分岐鎖のアル
キル基を示す。］で表される化合物の一種又は二種以上
を０．５〜２０重量％、成分（Ｂ）スルホン基含有陰イ
オン界面活性剤（但し、ラウリル硫酸ナトリウムを除
く）の少なくとも一種０．０１〜３重量％、成分（Ｃ）
酸性染料０．００５〜２．０重量％、成分（Ｄ）酸、成
分（Ｅ）噴射ガス剤とを含有し、（Ａ）〜（Ｄ）を含有
した原液のｐＨが２．０〜４．５であることを特徴とす
る泡状酸性染毛料である。また本発明の請求項２は、成
分（Ａ）一般式（１）

【化７】 ［式中、Ｒ ₁ はＨ、ＣＨ ₃ 基またはＣＨ ₃ Ｏ基、Ｒ ₂ は−Ｃ
Ｈ ₂ ＯＨ基、−ＣＨ ₂ ＣＨ ₂ ＯＨ基、−ＣＨ（ＣＨ ₃ ）ＯＨ
基、−Ｃ（ＣＨ ₃ ） ₂ ＯＨ基、−ＣＨ ₂ ＣＨ（ＣＨ ₃ ）ＯＨ
基、−ＣＨ ₂ ＣＨ ₂ ＯＨ基、−ＣＨ ₂ ＯＣＨ ₂ ＯＨ基、−Ｃ
Ｈ（ＣＨ ₃ ）ＣＨ ₂ ＯＨ基、−ＣＨ＝ＣＨＣＨ ₂ ＯＨ基、
又は−ＯＣＨ ₂ ＣＨ ₂ ＯＨ基を表す。］の群から選ばれる
化合物又は一般式（２）

【化８】 ［式中、Ｒ ₃ は炭素数１〜１８の直鎖又は分岐鎖のアル
キル基を示す。］で表される化合物の一種又は二種以上
を０．５〜２０重量％、成分（Ｂ）アルファオレフィン
スルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、高級脂肪酸
アミドスルホン酸塩、及び高級脂肪酸エステルのスルホ
ン酸塩からなる群より選択されるスルホン基含有陰イオ
ン界面活性剤の少なくとも一種０．０１〜３重量％、成
分（Ｃ）酸性染料０．００５〜２．０重量％、成分
（Ｄ）酸、成分（Ｅ）噴射ガス剤とを含有し、（Ａ）〜
（Ｄ）を含有した原液のｐＨが２．０〜４．５であるこ
とを特徴とする泡状酸性染毛料である。また本発明の請
求項３は、カチオン性化合物を含有しないことを特徴と
する請求項１又は２記載の泡状酸性染毛料である。

【０００６】また、本発明の請求項４は、高分子化合物
を含有することを特徴とする請求項１〜３のいずれか１
項に記載の泡状酸性染毛料である。さらに、本発明の請
求項５は、キサンタンガム及び／又はヒドロキシエチル
セルロースを含有する請求項１〜３のいずれか１項に記
載の泡状酸性染毛料である。

【０００７】本発明において用いられる成分（Ａ）の具
体例としてはベンジルアルコール、フェネチルアルコー
ル、γーフェニルプロピルアルコール、桂皮アルコー
ル、アニスアルコール、ｐ−メチルベンジルアルコー
ル、α−ジメチルフェネチルアルコール、α−フェニル
エタノール、フェノキシエタノール、エチレングリコー
ルモノベンジルエーテル、Ｎ−メチルピロリドン、Ｎ−
オクチルピロリドン、Ｎ−ラウリルピロリドンなどが挙
げられる。

【０００８】本発明の酸性染毛料には、これらの化合物
の一種以上を組成物総量を基準として、０．５〜２０重
量％（以下ｗｔ％と略記する）が、好ましくは１．０〜
１５ｗｔ％が配合される。配合量が０．５ｗｔ％未満で
は、毛髪を着色するのに充分な効果が得られず、２０ｗ
ｔ％を超えると、べたつき及び強烈な異臭が生じるとと
もに、最終的に得られる組成物の性状が泡状にはならな
い。

【０００９】本発明において用いられる（Ｂ）成分のス
ルホン基含有の陰イオン界面活性剤としては、アルファ
オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、
高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、アルカンスルホン酸
塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩が挙げられる。
また、これらの類縁体として公知のものを含む。疎水基
の種類としては、直鎖状のものと分岐状のものが主に適
用され、場合によってはヒドロキシアルキル基も適用さ
れる。これらの疎水基の炭素数としては、８〜２０のも
のが好ましく、さらに好ましくは例えばヤシ油の構成脂
肪酸である。

【００１０】本発明の泡状酸性染毛料には、これらのス
ルホン基含有陰イオン界面活性剤一種以上を組成物総量
を基準として、０．０１〜３ｗｔ％が、好ましくは０．
１〜１．５ｗｔ％が配合される。０．０１ｗｔ％未満で
あると、泡状にならず、３ｗｔ％を超えると毛髪を着色
するのに充分な効果が得られない。

【００１１】本発明において用いられる（Ｃ）成分の酸
性染料は主としてタール系色素であり、化学構造から大
別すると、ニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリ
フェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、
アントラキノン染料、インジゴイド染料などが挙げられ
る。たとえば、赤色２号、赤色３号、赤色１０２号、赤
色１０４号、赤色１０５号、赤色１０６号、黄色４号、
黄色５号、緑色３号、青色１号、赤色２０１号、赤色２
２７号、赤色２２０号、赤色２３０号、赤色２３１号、
赤色２３２号、橙色２０５号、橙色２０７号、黄色２０
２号、黄色２０３号、緑色２０１号、緑色２０４号、緑
色２０５号、青色２０２号、青色２０３号、青色２０５
号、褐色２０１号赤色４０１号、赤色５０２号、赤色５
０３号、赤色５０４号、赤色５０６号、橙色４０２号、
黄色４０２号、、黄色４０３号、黄色４０６号、黄色４
０７号、緑色４０１号、緑色４０２号、紫色４０１号、
黒色４０１号等が用いられる。

【００１２】本発明の酸性染毛料には、これら酸性染料
の一種以上を組成物総量に対し、０．００５〜２ｗｔ％
が、より好ましくは０．０１〜１．０ｗｔ％が配合され
る。０．００５ｗｔ％未満であると充分な染毛力が得ら
れず、２ｗｔ％を超えると手肌の汚れが著しく、実用上
の問題がある。

【００１３】本発明において用いられる（Ｄ）成分の酸
としては、クエン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイ
ン酸、コハク酸、酪酸、フマル酸、レブリン酸、リンゴ
酸、サリチル酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、吉草酸、
酒石酸、リン酸、塩酸、マンデル酸等が挙げられる。そ
の配合量は、本発明の泡状染毛料組成物の原液のｐＨが
２．０〜４．５になる必要量であり、好ましくはｐＨが
２．３〜３．５になる必要量である。ｐＨが４．５を超
えると毛髪を着色するのに充分な効果が得られず、ｐＨ
が２．０未満であると泡状にならなくなる。

【００１４】本発明の泡状染毛料には、さらに天然、半
合成又は合成のいわゆる高分子化合物を添加してもよ
く、それによって原液を長期安定化するとともに、液だ
れせず使用時の取扱いを容易にすることができ、泡の安
定性も向上することができる。望ましい天然高分子化合
物として、たとえば、キサンタンガム、カードラン、プ
ルラン、ヒアルロン酸、アルギン酸ナトリウム、ペクチ
ン（ナトリウム）などを挙げることができる。また、半
合成高分子化合物として、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロースなどのセルロース誘導体を挙げることができ
る。さらに、合成高分子化合物として、たとえばポリビ
ニルアルコールを挙げることができる。これらの中で特
に望ましいのは、キサンタンガム（米国ＫＥＬＣＯ社
製、ケルトロール）と平均重合度４００〜１０００のヒ
ドロキシエチルセルロースである。

【００１５】本発明において用いられる（Ｅ）成分の噴
射ガス剤としては、ブタン、イソブタン、プロパンなど
のＬＰＧガス、ジメチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガス
等が挙げられる。この噴射ガスの含有量は、１〜２０ｗ
ｔ％が好ましい。

【００１６】本発明の酸性染毛料には、前記の必須成分
の他に、その性能を損なわない範囲で紫外線吸収剤、油
性成分、シリコーン誘導体、防腐剤、乳化剤、殺菌剤、
酸化防止剤、メントールなどの清涼剤、香料などを添加
することができる。ここで油性成分としては脂肪酸エス
テル類、直鎖又は分岐鎖のアルキルグリセリンエーテ
ル、分岐の高級アルコール等が挙げられる。また、本発
明の組成物の溶液化のための溶剤としては主に精製水が
用いられるが、必要ならばアルコール、エチレングリコ
ール、グリセリンなどを併用することもできる。

【００１７】

【実施例】次に、本発明を実施例をもって詳細に説明す
るが、本発明はこれにより限定されるものではない。な
お、実施例および比較例中の数値は重量％である。ここ
で、実施例の説明に先立ち、各実施例および比較例にお
いて採用した試験方法について説明する。

【００１８】（１）毛髪着色効果試験 （イ）サンプル試験毛 毛束（白色毛髪の束）５ｇを市販のシャンプーにて洗浄
し、乾燥後、試験試料２ｇを塗布し、３分間放置後、３
０秒間水洗いし、３０秒間シャンプーにて洗浄し、３０
秒間水ですすいだ後、風乾した。 （ロ）評価法 試験試料処理前及び処理後のサンプル試験毛束につい
て、高速色彩計（村上色材（株）製ＣＭＳ−１０００
型）を用いて測色を行い、各サンプル試験毛のＸ，Ｙ，
Ｚ値をＨｕｎｔｅｒのＬ，ａ，ｂ表色系へ変換し、下記
の式により処理前と処理後の色差（△Ｅ）を求め、その
数値から、下記評価基準にしたがって評価した。△Ｅが
大きい程、毛髪が着色したことになる。 △Ｅ＝｛（Ｌ−Ｌ₀ ）² ＋（ａ−ａ₀ ）² ＋（ｂ−
ｂ₀ ）² ｝^1/2 Ｌ₀ ，ａ₀ ，ｂ₀ ：処理前のサンプル毛のＬ，ａ，ｂ値 Ｌ，ａ，ｂ ：処理後のサンプル毛のＬ，ａ，ｂ値 評価基準 ×；△Ｅ値が１５以下 「ほとんど着色効果がない。」 △；△Ｅ値が１６〜２５ 「やや着色効果がある」 ○；△Ｅ値が２６〜３５ 「着色効果がある」 ◎；△Ｅ値が３６以上 「非常に着色効果がある」

【００１９】（２）毛髪着色効果の実用テスト 各例における酸性染毛料を白髪混じりのパネラー２０名
に使用してもらい、着色効果を「白髪隠し効果」により
下記評価基準で評価を行った。 「白髪隠し効果」 ×；白髪が目立たなくなったと答えた人が７人以下の場
合 △；白髪が目立たなくなったと答えた人が８〜１３人の
場合 ○；白髪が目立たなくなったと答えた人が１４〜１７人
の場合 ◎；白髪が目立たなくなったと答えた人が１８人以上

【００２０】（３）泡安定性テスト ａ．原液を調製し、エアゾールにした直後、２５℃での
泡の状態 ｂ．原液を調製し、エアゾールにしたものを４０℃で１
ヵ月保存し、２５℃のウォーターバスに半日置いた泡の
状態としたときのａ、ｂについてそれぞれを観察し、泡
にならなかった場合を×、泡になった場合を○とした。

【００２１】（４）総合評価 毛髪着色効果、実用テストによる白髪隠し効果、泡安定
性の結果から下記の評価基準に従って総合評価を行っ
た。 評価基準 ×；×又は△が１つでもある場合 ○；×又は△が１つもない場合

【００２２】実施例１〜７、比較例１〜１０ 表１、表２及び表３に示す配合組成の泡状酸性染毛料を
調製し、前記諸試験を行い、表４にその結果を示した。

【００２３】

【表１】

【００２４】

【表２】

【００２５】

【表３】

【００２６】

【表４】

【００２７】このように、本発明による実施例は染毛性
に優れ、毛髪に塗布しやすく、泡の安定性に優れるのに
対し、比較例はこれらの点で一段と劣っていた。なお、
本発明の実施例１の処方において、酸性染料として黒色
４０１号、紫色４０１号、橙色２０５号の合計配合量を
２．２ｗｔ％配合する他は同様にして泡状酸性染毛料を
調製し、前記諸試験を行った。その結果、使用の際、肌
につき過ぎ、使用後も落ちにくかった。

【００２８】

【発明の効果】以上記載のごとく、本発明は、染毛性や
泡の安定性に優れた泡状酸性染毛料を提供することは明
らかである。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 成分（Ａ）一般式（１） 【化１】 ［式中、Ｒ₁はＨ、ＣＨ₃基またはＣＨ₃Ｏ基、Ｒ₂は−Ｃ
   Ｈ₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ（ＣＨ₃）ＯＨ
   基、−Ｃ（ＣＨ₃）₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＣＨ（ＣＨ₃）ＯＨ
   基、−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＯＣＨ₂ＯＨ基、−Ｃ
   Ｈ（ＣＨ₃）ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ＝ＣＨＣＨ₂ＯＨ基、
   又は−ＯＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基を表す。］の群から選ばれる
   化合物又は一般式（２） 【化２】 ［式中、Ｒ₃は炭素数１〜１８の直鎖又は分岐鎖のアル
   キル基を示す。］で表される化合物の一種又は二種以上
   を０．５〜２０重量％、成分（Ｂ）スルホン基含有陰イ
   オン界面活性剤（但し、ラウリル硫酸ナトリウムを除
   く）の少なくとも一種０．０１〜３重量％、成分（Ｃ）
   酸性染料０．００５〜２．０重量％、成分（Ｄ）酸、成
   分（Ｅ）噴射ガス剤とを含有し、（Ａ）〜（Ｄ）を含有
   した原液のｐＨが２．０〜４．５であることを特徴とす
   る泡状酸性染毛料。
2. 【請求項２】 成分（Ａ）一般式（１） 【化３】 ［式中、Ｒ₁はＨ、ＣＨ₃基またはＣＨ₃Ｏ基、Ｒ₂は−Ｃ
   Ｈ₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ（ＣＨ₃）ＯＨ
   基、−Ｃ（ＣＨ₃）₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＣＨ（ＣＨ₃）ＯＨ
   基、−ＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ₂ＯＣＨ₂ＯＨ基、−Ｃ
   Ｈ（ＣＨ₃）ＣＨ₂ＯＨ基、−ＣＨ＝ＣＨＣＨ₂ＯＨ基、
   又は−ＯＣＨ₂ＣＨ₂ＯＨ基を表す。］の群から選ばれる
   化合物又は一般式（２） 【化４】 ［式中、Ｒ₃は炭素数１〜１８の直鎖又は分岐鎖のアル
   キル基を示す。］で表される化合物の一種又は二種以上
   を０．５〜２０重量％、成分（Ｂ）アルファオレフィン
   スルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、高級脂肪酸
   アミドスルホン酸塩、及び高級脂肪酸エステルのスルホ
   ン酸塩からなる群より選択されるスルホン基含有陰イオ
   ン界面活性剤の少なくとも一種０．０１〜３重量％、成
   分（Ｃ）酸性染料０．００５〜２．０重量％、成分
   （Ｄ）酸、成分（Ｅ）噴射ガス剤とを含有し、（Ａ）〜
   （Ｄ）を含有した原液のｐＨが２．０〜４．５であるこ
   とを特徴とする泡状酸性染毛料。
3. 【請求項３】 カチオン性化合物を含有しないことを特
   徴とする請求項１又は２記載の泡状酸性染毛料。
4. 【請求項４】 高分子化合物を含有することを特徴とす
   る請求項１〜３のいずれか１項に記載の泡状酸性染毛
   料。
5. 【請求項５】 キサンタンガム及び／又はヒドロキシエ
   チルセルロースを含有することを特徴とする請求項１〜
   ３のいずれか１項に記載の泡状酸性染毛料。