JP3577862B2 - 染毛剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、染色性に優れ、且つ毛髪に良好な感触を付与し、しかも毛髪や皮膚に対して安全性の高い染毛剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、汎用されている酸化染毛剤は、その使用時に、アルカリ性条件下で過酸化水素を毛髪に作用させる必要があるので、扱い方によっては毛髪損傷や一次皮膚刺激を引き起こす危険性を有している。このため、頭皮や頭髪に対して影響の少ない酸性染料を用いた染毛剤を開発することが試みられている。
【0003】
そのような試みとしては、染毛剤に酸性染料の毛髪への浸透を促進させる浸透促進剤として、ジエチレングリコールモノエチルエーテルを使用することが行われているが、ジエチレングリコールモノエチルエーテルの場合には、毛髪をしなやかにする効果は比較的良好であるが、染毛性が不十分であるという問題がある。そこで、最近では浸透促進剤としてベンジルアルコールを使用することが行われるようになっている。
【0004】
また、特開昭60−228407号公報には、ドーバ類似体、浸透促進剤及び酸化剤からなる毛髪用染料組成物を使用することが提案され、また、米国特許第3933422号明細書には、合金属染料及び浸透促進剤を含有する毛髪用染料組成物を使用することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、浸透促進剤としてベンジルアルコールは、染色性がいまだ十分とはいえず、毛髪のしなやかさも不十分であり、しかもアレルギー性の点で問題があった。
【0006】
また、特開昭60−228407号公報に記載の毛髪用染料組成物の場合、ドーバ類似体を酸化剤を用いて発色させるため、色調のバリエーションがなく、また酸化剤を用いているため毛髪を傷めるという問題があった。
【0007】
また、米国特許第3933422号明細書に記載の毛髪用染料組成物の場合、染色むらが甚だしく、また、毛髪ヘの染料の浸透性が不十分であり、しかも金属(クロム、コバルト)が使用されているので、感触や安全性に問題があった。
【0008】
本発明は、以上の従来の技術の問題点を解決しようとするものであり、色調にバリエーションがあり、染色性に優れ、毛髪に良好な感触を付与し、しかも毛髪や皮膚に対して安全性の高い染毛剤組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、種々検討した結果、酸性染料、特定の浸透促進剤、水溶性高分子化合物及び特定の浸透促進助剤を組合わせることにより、前記目的を達成する組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、以下の成分(A)〜(D):
(A)酸性染料 0.0001〜10重量%;
(B)N置換ピロリドン(但し、置換基は、(a)炭素数4〜8の直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル基(但し、N−オクチルピロリドンを除く)、(b)フェニル基、又は(c)フェニル基、水酸基もしくはメトキシ基を有する炭素数2〜3のアルキル基である。) 0.01〜30重量%;
(C)水溶性高分子化合物 0.05〜20重量%; 及び
(D)炭酸エチレン及び炭酸プロピレンの少なくとも一種 0.1〜30重量%
を含有することを特徴とする染毛剤組成物を提供する。
【0011】
(B)式(1)
【化2】
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立的に(a)水素原子、(b)炭素数1〜8の直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル基又はアルケニル基、(c)アリール基又は(d)アリール基、水酸基、エーテル基、アミド基、カルボニル基及びカルボキシル基からなる群より選択される少なくとも一種の置換基を主鎖あるいは側鎖に有する炭素数1〜8の直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル基又はアルケニル基であり、n及びmは2≦n+m≦4を満たす整数である。但し、mとnとの和が2であり且つR1がメチル基又はエチル基である場合には、R2は水素原子ではない。)
で表される化合物;
(C)水溶性高分子化合物;及び
(D)炭酸エチレン及び炭酸プロピレンの少なくとも一種
を含有することを特徴とする染毛剤組成物を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の染毛剤組成物について詳述する。
【0013】
前述のように、本発明の染毛剤組成物は、(A)酸性染料、(B)式(1)の化合物、(C)水溶性高分子化合物及び(D)炭酸エチレン及び炭酸プロピレンの少なくとも一種を含有する。
【0014】
このような本発明の染毛剤組成物の成分(A)の酸性染料としては、ニトロ染料、アゾ染料、ニトロソ染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、キノリン染料、アントラキノン染料、インジゴ染料等が挙げられ、具体的には赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号、青色2号、赤色201号、赤色227号、赤色220号、赤色230号、赤色231号、赤色232号、橙色205号、橙色207号、黄色202号、黄色203号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、青色202号、青色203号、青色205号、かっ色201号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、橙色402号、黄色402号、黄色403号、黄色406号、黄色407号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、黒色401号等が用いられる。
【0015】
酸性染料の染毛剤組成物中の含有量は、少なすぎると染色性が不十分となり、多すぎると溶解性が低下するおそれがあり、しかも添加量に見合う効果がえられないので、好ましくは0.0001〜10重量%、より好ましくは0.01〜1重量%である。
【0016】
また、本発明の染毛剤組成物においては、成分(B)として、成分(A)の酸性染料並びに後述する成分(C)の水溶性高分子化合物の毛髪への浸透促進作用を有する式(1)のラクタム系化合物の少なくとも一種を使用する。これらの化合物は、浸透促進剤であるベンジルアルコールやジエチレングリコールモノエチルエーテルに比べて良好な浸透促進作用を有する。
【0018】
以下の表1に、N置換ピロリドンの具体例を示す:
【0019】
【表1】
【0020】
表1に挙げたN置換ピロリドンの中でも特に好ましいものとしては、N−ブチルピロリドン、N−ペンチルピロリドン、N−ヘキシルピロリドン、N−ヘプチルピロリドン、N−(2−エチルヘキシル)ピロリドン、N−ベンジルピロリドン又はN−フェネチルピロリドン等を挙げることができ、なかでもN−ヘキシルピロリドン等を挙げることができる。
【0021】
なお、成分(B)である式(1)の化合物の染毛剤組成物中の配合量は、少なすぎると十分な浸透促進効果が得られないために染色性が不十分となり、多すぎても浸透促進効果の増大は望めず、しかも水に対する溶解性が悪化し、均一な液相が得られにくくなるので、好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.1〜20重量%である。
【0022】
また、成分(C)である水溶性高分子化合物としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系水溶性高分子化合物;キサンタンガム、グアーガム、プルラン、ペクチン、タマリンド種子、トラガントガム、アラビアガム等のガム系水溶性高分子化合物;デンプン類、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ジアルデヒドデンプン等のデンプン系水溶性高分子化合物;アルギン酸ナトリウム等の天然系水溶性高分子化合物;ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の合成系水溶性高分子化合物等のアニオン性及び非イオン性水溶性高分子化合物が挙げられ、これらの中でも、セルロース系水溶性高分子化合物、ガム系水溶性高分子化合物が好ましい。
【0023】
成分(C)の水溶性高分子化合物の染毛剤組成物中の含有量は、少なすぎると毛髪に十分なしなやかさを付与することが困難となり、多すぎると毛髪の感触が好ましいものでなくなるおそれがあるので、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。
【0024】
また、本発明の染毛剤組成物においては、成分(B)のラクタム系化合物の浸透促進作用を増強するための助剤(浸透促進助剤)として、炭酸エチレン及び炭酸プロピレンの少なくとも一種を使用する。本発明において、染毛剤組成物中の炭酸エチレンと炭酸プロピレンとの合計含有量は、少なすぎると浸透促進作用が不十分となり、多すぎると均一な配合系が得られにくくなるので、好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは0.5〜20重量%である。
【0025】
また、本発明の染毛剤組成物は、そのpHが高過ぎると酸性染料の染色性を損なうので、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4に調整する。
【0026】
本発明の染毛剤組成物のpHの調整は、例えば、乳酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸等の有機酸、あるいはリン酸、塩酸等の無機酸等を用いて行うことができる。
【0027】
本発明の染毛剤組成物には、系の安定性、pH値を損なわない範囲であれば、更に、通常の染毛剤組成物に添加される種々の添加剤、例えば、低級アルコール、防腐剤、キレート剤、香料等を適宣配合することができる。
【0028】
本発明の染毛剤組成物は、成分(A)、(B)及び(C)、pH調整用の酸、更に必要に応じて添加される他の成分以外の残部として水、好ましくは精製水、イオン交換水を含有する。水の染毛剤組成物中の含有量は、他の成分の含有量に応じて変わるが、好ましくは10〜97重量%である。
【0029】
本発明の染毛剤組成物は、通常、クリーム、エマルジョン、ゲル、溶液、ムース状ないしフォーム状等の剤型で提供されるのが好ましい。クリーム、エマルジョン、ゲルまたは溶液の剤型とするには、例えば、本発明の染毛剤組成物に、通常化粧品分野において用いられる湿潤剤(乳化剤)、可溶化剤、安定化剤、感触向上剤、整髪基剤、香料等を添加し、常法に従って製造すればよい。ここで用いられる湿潤剤(乳化剤)としては、例えば、アルキルベンゼンスルホネート、脂肪アルコールサルフェート、アルキルスルホネート、アシル化アミノ酸類、脂肪酸アルカノールアミド、エチレンオキシドと脂肪アルコールとの付加生成物等のアニオン性、両性及び非イオン性界面活性剤が挙げられ、また、感触向上剤及び整髪基剤としては、例えば、シリコーン誘導体、高級アルコール、各種非イオン界面活性剤等の油性成分、カチオン界面活性剤が挙げられる。
【0030】
また、ムース状又はフォーム状の剤系とするのには、例えば、本発明の染毛剤組成物に、通常の界面活性剤(ノニオン系)を1重量%以下及び増粘剤を0.5〜1重量%添加したものを、フロンガスまたはプロパン系ガス等の液化噴射ガス(噴射剤)と共にエアゾール缶に充填し、使用時に泡状(ムース状ないしフォーム状)に噴射されるように調製すればよい。
【0031】
本発明の染毛剤組成物を用いて毛髪等の角質繊維の染色を実施するには、例えば、本発明の染毛剤組成物を角質繊維に15〜50℃で適用し、10〜30分前後の作用時間をおいた後、角質繊維を洗浄し、乾燥すればよい。
【0032】
本発明の染毛剤組成物は、毛髪に適用し、毛髪を洗浄後乾燥させると、毛髪に浸透して毛髪を良好に染色すると共に毛髪をしっとり且つなめらかにする。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
【0034】
実施例1〜2、比較例1〜9
表2又は表3の成分を混合し、その混合物のpHを乳酸緩衝液で4に調整することにより染毛剤組成物(実施例1〜2、比較例1〜9)を調製した。
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
得られた染毛剤組成物のそれぞれについて、白毛混じりの人毛に塗布し、30℃で30分間放置した後、毛髪を通常のシャンプーで洗浄し、乾燥して、染色性及び処理した毛髪のしなやかさを官能評価した。その結果を表4に示す。なお、表中、記号「◎」は非常に良好な場合を示し、記号「○」は良好な場合を示し、記号「△」は普通の場合を示し、記号「×」は悪い場合を示す。
【0038】
【表4】
【0039】
表4の結果からわかるように、N−ヘキシルピロリドンを浸透促進剤として使用し且つ浸透促進助剤として炭酸エチレンもしくは炭酸プロピレンを使用した実施例1及び2の染毛剤組成物は、染色性と毛髪のしなやかさの点で良好な結果を示した。
【0040】
一方、浸透促進助剤を使用しない以外は実施例1又は2と同様の組成を有する比較例1の染毛剤組成物の場合、染色性の点で実施例1及び2の場合に比べ劣っていた。
【0041】
また、ベンジルアルコールを使用した場合(比較例2及び5)には、浸透促進助剤がないと染色性は低下し、毛髪のしなやかさも不満足な結果となった。ジエチレングリコールモノエチルエーテルを使用した場合(比較例3及び6)には、浸透促進助剤を使用するか否かにかかわらず、毛髪のしなやかさは良好であったが、染色性が不満足な結果となった。N−メチルピロリドン又はN−エチルピロリドンを使用した場合(比較例8及び9)には、浸透促進助剤を使用しても染色性は低下し、毛髪のしなやかさも不満足な結果となった。
【0042】
また、浸透促進剤を使用しない場合(比較例4及び7)には、浸透促進助剤を使用するか否かにかかわらず染色性も毛髪のしなやかさのいずれの点でも不満足な結果となった。
【0043】
実施例3〜5
表5の成分を混合し、その混合物のpHを乳酸・クエン酸系緩衝液で3に調整することにより染毛剤組成物(実施例3〜5)を調製した。
【0044】
得られた染毛剤組成物について、実施例1と同様に染色性と毛髪のしなやかさについて官能評価した。その結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】
表5の結果から、浸透促進剤としてN−ヘキシルピロリドンを使用した実施例3〜5の染毛剤組成物は、酸性染料が異なる場合でも染色性及び毛髪のしなやかさの両点で好ましい結果が得られた。
【0047】
実施例6
表6の成分を混合し、その混合物のpHをクエン酸・クエン酸ナトリウム系緩衝液で2.8に調整することにより黒色染毛剤組成物を調製した。
【0048】
得られた染毛剤組成物について、実施例1と同様に染色性と毛髪のしなやかさについて官能評価したところ、実施例1と同様に染色性と染め上がりの毛髪のしなやかさの両点で好ましい結果が得られた。
【0049】
【表6】
【0050】
実施例7
表7の成分を混合し、その混合物のpHをクエン酸・クエン酸ナトリウム系緩衝液で3.3に調整することによりブラウン色染毛剤組成物を調製した。
【0051】
得られた染毛剤組成物について、実施例1と同様に染色性と毛髪のしなやかさについて官能評価したところ、実施例1と同様に染色性と染め上がりの毛髪のしなやかさの両点で好ましい結果が得られた。
【0052】
【表7】
【0053】
【発明の効果】
本発明の染毛剤組成物は、色調にバリエーションがあり、染色性に優れ、毛髪に良好な感触を付与することができ、しかも毛髪や皮膚に対して安全性の高いものである。
Claims (3)
- 以下の成分(A)〜(D):
(A)酸性染料 0.0001〜10重量%;
(B)N置換ピロリドン(但し、置換基は、(a)炭素数4〜8の直鎖状、分岐状もしくは環状アルキル基(但し、N−オクチルピロリドンを除く)、(b)フェニル基、又は(c)フェニル基、水酸基もしくはメトキシ基を有する炭素数2〜3のアルキル基である。) 0.01〜30重量%;
(C)水溶性高分子化合物 0.05〜20重量%; 及び
(D)炭酸エチレン及び炭酸プロピレンの少なくとも一種 0.1〜30重量%
を含有することを特徴とする染毛剤組成物。 - 成分(B)のN置換ピロリドンが、N−ブチルピロリドン、N−ペンチルピロリドン、N−ヘキシルピロリドン、N−ヘプチルピロリドン、N−(2−エチルヘキシル)ピロリドン、N−ベンジルピロリドン又はN−フェネチルピロリドンである請求項1記載の染毛剤組成物。
- 成分(B)のN置換ピロリドンが、N−ヘキシルピロリドン、N−ベンジルピロリドン又はN−フェネチルピロリドンである請求項2記載の染毛剤組成物。
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