JP3240099B2 - 半導体発光素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体発光素子およびその製造方法

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JP3240099B2
JP3240099B2 JP3737795A JP3737795A JP3240099B2 JP 3240099 B2 JP3240099 B2 JP 3240099B2 JP 3737795 A JP3737795 A JP 3737795A JP 3737795 A JP3737795 A JP 3737795A JP 3240099 B2 JP3240099 B2 JP 3240099B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は半導体発光素子および
その製造方法に関し、特に製造工程の増大を招くことな
く高輝度化を図るための素子構造及びその製造プロセス
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、LED(発光ダイオード)が屋内
外の表示デバイスとして脚光を浴びている。特にその高
輝度化に伴い、今後数年の間に屋外ディスプレイ市場が
急伸すると思われ、LEDは将来的にネオンサインに変
わる表示媒体に成長するものと期待されている。高輝度
LEDは、AlGaAs系のDH(ダブルヘテロ)構造
をもつ赤色LEDにおいて実現されてきており、最近で
はAlGaInP系DH構造LEDにより橙〜緑色にお
いても高輝度LEDが実現されている。
【0003】AlGaInP系材料は、窒化物を除くII
I−V族化合物半導体材料の中で最大の直接遷移型バン
ドギャップを有し、0.5〜0.6μm帯の発光素子材
料として注目されている。
【0004】特に、GaAsを基板材料として用い、こ
れに格子整合するAlGaInPからなる発光部を持つ
pn接合型発光ダイオード(LED)は、発光部の構成
材料としてGaPやGaAsP等の間接遷移型の材料を
用いたLEDに比べ、赤色から緑色の高輝度の発光が可
能である。高輝度のLEDを実現するためには、つまり
LEDから出射する光量を高めるには、素子の発光部で
の発光効率を高めることはもとより、発光部で発生した
光を、素子内部での光吸収や、発光部と電極の相対位置
関係等を考慮して、素子外部にいかに効率良く取り出せ
るようにするかが重要である。
【0005】図19は、AlGaInP発光部を有する
従来のLED(特開平4−229665号公報参照)の
断面構造を示す図であり、図19(a)には該断面構造
における電流分布が点線で示されており、図19(b)
には、素子内部での発光の仕方が、発光部から出射され
る光(以下、LED光という。)の経路(実線)により
示されている。
【0006】図において、10はpn接合型発光ダイオ
ード(LED)で、そのp−GaAs基板11上には、
その表面上にp−AlGaInP下クラッド層12,A
lGaInP活性層13及びn−AlGaInP上クラ
ッド層14を順次積層してなる、ダブルヘテロ接合部を
有する積層構造10aが設けられている。また、該上ク
ラッド層14上の一部に形成されたn−GaAsコンタ
クト層15上には、n型電極15aが設けられ、またp
−GaAs基板11の裏面全面にはp型電極11aが形
成されている。そして、上記活性層13の、n型電極1
5a直下部分及びその近傍部分がLED10の発光部1
3aとなっている。
【0007】このような構造のLED10では、問題点
が3つあげられ、その第1の問題点は、発光部13aが
n型電極15aの下側の狭い領域に限られることから素
子の表面(上面)からの光の取り出し効率が低くなって
いる点である。
【0008】つまり、n−AlGaInP上クラッド層
14の抵抗率がp−AlGaInP下クラッド層12に
比べてやや小さいものの、該上クラッド層14での電子
の移動度は、不純物濃度が1018cm-3となる程度のド
ーピングでも100cm/V・sと小さく、n−AlG
aInP上クラッド層14中での電流広がりはあまりな
い。
【0009】したがって、活性層の、n型電極15aの
直下部分での発光量が多くなり、また、図19(b)に
表されるように、n型電極直下部分から上方に向かうL
ED光(イ〜ハ)はn型電極15aで反射され、このた
め素子上面からの光取り出し効率は低いものとなってい
る。
【0010】また、第2の問題点は、素子表面でのLE
D光の反射により光取出し効率が低くなっている点であ
る。つまり、図19(b)に表されるように、n電極直
下部分から、素子表面のn型電極配置部の外側に向かう
LED光(ニ)は臨界角以上で素子の上面に入射し、該
素子上面にて素子の内側に反射されることとなり、この
ため素子上面からの光取り出し効率は非常に低いものと
なっている点である。さらに、第3の問題点として、L
ED光が橙色から緑色の範囲である高輝度LEDでは、
その構成材料としてAlGaInP混晶半導体系材料を
用いており、面方位が(100)面である基板表面上で
その結晶成長を行うと、成長層中に自然超格子が形成さ
れる点である。
【0011】この自然超格子は、III族原子であるI
n、Ga、Alが〈111〉方向に長距離秩序構造を形
成するものであるが、GaInPを例にとると、このよ
うな自然超格子が形成されたGa0.5In0.5Pのバンド
ギャップは、理想的な混晶状態で自然超格子が形成され
ていないGa0.5In0.5Pのバンドギャップよりも約9
0meV小さくなる。従って、自然超格子が形成された
場合、所望の発光波長よりも長波長化するため、波長が
本来の設定値になるようAl組成を増加する必要があ
り、Al組成の増加により発光効率の減少および信頼性
の低下などの問題点が発生していた。
【0012】上述した3つの問題点の中うちの第1の問
題点を解決したものとして、特開平4−229665号
公報には、発光部と光取り出し側の電極との間に電流を
拡散させるための電流拡散層を設け、これにより発光部
における電流分布を改善したものが開示されている。
【0013】図20はこのような電流拡散層を有するL
EDの断面構造を示しており、図において、20は該電
流拡散層28を有するLEDで、上記図19に示すLE
D10と同様、そのn−GaAs基板21上には、その
表面上にn−AlGaInP下クラッド層22,AlG
aInP活性層23及びp−AlGaInP上クラッド
層24を順次積層してなる、ダブルヘテロ接合部を有す
る積層構造20aが設けられている。また、該上クラッ
ド層24上にはp−GaInP中間バンドギャップ層2
6が形成され、その表面の所定領域上には、n−AlG
aInP電流阻止層27が設けられている。
【0014】そして、上記電流拡散層28が該中間バン
ドギャップ層26及び電流阻止層27上全面に形成され
ている。該電流拡散層28の表面の、上記電流阻止層2
7に対向する領域には、p−GaAsコンタクト層25
を介してp型電極25aが設けられ、またn−GaAs
基板21の裏面全面にはn型電極21bが形成されてい
る。
【0015】次に製造方法について説明する。
【0016】まず、第1の結晶成長工程では、結晶成長
装置内に配置したn−GaAs基板21上に、n−Al
GaInP下クラッド層22、AlGaInP活性層2
3、p−AlGaInP上クラッド層24を順次形成
し、さらに続けてp−GaInP中間バンドギャップ層
26及びn−AlGaInP層を成長する。
【0017】ここで、一旦上記基板を結晶成長装置から
取り出し、これをエッチング装置内に装着し、第1のエ
ッチング処理を行う。つまり、n−AlGaInP層を
選択的にエッチングして、上記中間バンドギャップ層2
6上に円形形状のn−AlGaInP電流阻止層27を
形成する。
【0018】そして、上記エッチング処理を施した基板
を再度結晶成長装置内に装着して第2の結晶成長を行
う。この第2の結晶成長工程では、中間バンドギャップ
層26及びn−AlGaInP電流阻止層27上全面に
p−AlGaAs電流拡散層28を成長し、さらにp−
GaAs層を成長する。
【0019】次に、上記基板を結晶成長装置から取り出
して、p−GaAs層上にp型電極25aを、またn−
GaAs基板21の裏面側にはn型電極21aを形成す
る。ここで、p型電極25aはレジストなどを用いたリ
フトオフ法またはエッチングにより、上記電流拡散層2
8表面の、電流阻止層27の直上に対応する領域に形成
され、このp型電極25aの直下部分以外のp−GaA
s層は、選択エッチングにより除去され、該p型電極2
5aの直下にはp−GaAsコンタクト層25が形成さ
れる。
【0020】この図20に示す従来のLED20では、
p型電極25aから電流拡散層28へ注入された電流L
20は、電流拡散層28にて該p型電極25aの両側へ大
きく広がって、中間バンドギャップ層26を介してp−
上クラッド層24に注入される。したがって、この構造
のLED20では、発光領域は、p型電極25aの直下
及びその近傍部の外側の領域まで幅広く広がることとな
る。また、p型電極25aからその直下の領域に向かう
電流は、上記電流阻止層27によりブロックされるた
め、活性層23のp型電極直下部分に注入される電流
は、それ以外の部分に回されることとなる。これにより
活性層の、p型電極直下部分以外の領域での発光量の高
めることができ、LED光の導出効率を高めることがで
きる。
【0021】ところが、このようなLED20の素子構
造を作製するには、2回の結晶成長工程を必要とするた
め、コストと歩留まりの点から問題であった。また、n
−電流阻止層27となるn−AlGaInP層を選択エ
ッチングしたのち、p−InGaP中間バンドギャップ
層26及びn−電流阻止層27上にp−電流拡散層28
を再成長するため、再成長界面の結晶性に問題があり、
特性や信頼性に影響を与えていた。
【0022】このように図20に示す従来の発光ダイオ
ード20では、第1の問題点、つまり発光部がp型電極
下側の狭い領域に限られることから素子の上面方向への
光の取り出し効率が低くなってしまうという問題点に対
しては効果があるものの、新たに第4の問題点として製
造プロセス上の問題を招くこととなる。
【0023】また、上記発光ダイオード20の素子構造
では、素子表面でのLED光の反射により光取出し効率
が低くなってしまうという第2の問題点、さらにAlG
aInP混晶半導体系材料を基板の(100)面上に成
長した場合に生ずる自然超格子に起因する第3の問題点
は解決することができず、さらなる高輝度化を図り、良
好な特性や信頼性を確保することは困難であった。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、
図19及び図20に示す従来の半導体発光素子では、そ
れぞれ種々の問題点がある。
【0025】まとめると、図19に示す従来の半導体発
光素子10においては、n−AlGaInP上クラッド
層14中での電流広がりは十分なものではないため、n
型電極直下の領域での発光量が多くなり、図19(b)
に表されるようにn型電極直下の領域から上方に向かう
LED光(イ〜ハ)がn型電極15aで反射されること
となる。このため、素子の上面方向への光取り出し効率
が低いものとなっている。
【0026】また、発光部から素子上面の電極配置部の
外側に向かうLED光(ニ)のように臨界角以上で素子
上面に入射するものは、素子から外部に出射することは
ない。この点からも、素子の上面からの光取り出し効率
は低いものとなっていた。
【0027】加えて、AlGaInP混晶半導体系の半
導体発光素子では、(100)面の面方位を持つ基板表
面上で自然超格子が形成され、これによってLED光が
所望の発光波長よりも長波長化する。ところが、この長
波長化によるLED光の発光色のずれを調整するには、
Al組成を増加する必要があり、Al組成の増加により
発光効率の減少および信頼性の低下などの問題を招くこ
ととなる。
【0028】また、図20に示す半導体発光素子におい
ては、電流拡散層及び電流阻止層を備えることにより、
電極直下以外の広域に発光領域を広げることができ、光
の導出効率を向上することができる。ところが、素子の
内部から臨界角以上で素子上面に入射するLED光は、
該素子上面から外部に出ることができず、素子上面から
の光取り出し効率は非常に低いという問題点が依然とあ
る。また、このLED20における素子構造は、AlG
aInP混晶半導体系LEDでの自然超格子に起因する
問題に対しては有効なものではなかった。
【0029】しかも、図20に示す素子構造を有するL
ED20の製造方法では、2回の結晶成長工程が必要と
なり、これがコストアップや歩留まりの低下の要因とな
っている。
【0030】また、ウェハ(基板)上に下クラッド層か
ら電流阻止層となる半導体層までを成長した後、一旦ウ
ェハを成長装置から出し、該半導体層にエッチング処理
を施し、該半導体層の選択エッチングにより電流阻止層
を形成した後、再びウェハを成長装置内に入れて、p−
中間バンドギャップ層26とn−電流阻止層が露出され
たウェハ上にp−電流拡散層を再成長する。このため、
ウェハは、電流阻止層のエッチング処理を行う際に、成
長装置から取り出され大気にさらされることとなり、こ
のため再成長界面の酸化や不純物の混入などが発生しや
すく、したがって、再成長界面での結晶性の劣化、また
特性や信頼性に及ぶ悪影響等の問題があった。
【0031】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたもので、活性層に注入される電流を、活性
層の、素子表面の電極直下の部分の外側に広く拡散させ
て、光取出し効率を向上することができ、しかも活性層
上方の一部に電流ブロック領域を有する素子構造を、1
回の結晶成長工程により形成することができる半導体発
光素子及びその製造方法を得ることが本発明の目的であ
る。
【0032】また、活性層に注入される電流の拡散だけ
でなく、素子表面でのLED光の反射抑制によっても光
取出し効率を向上することができ、さらにAlGaIn
P混晶半導体系材料を用いた場合の自然超格子の発生を
回避して、発光効率の減少および信頼性の低下を招くこ
となく、所望の発光波長の発光光を得ることができ、し
かも活性層上方の一部に電流ブロック領域を有する素子
構造を、1回の結晶成長工程により形成することができ
る半導体発光素子及びその製造方法を得ることが本発明
の目的である。
【0033】
【課題を解決するための手段】この発明(請求項1)に
係る半導体発光素子は、p型化合物半導体基板と、該基
板の表面側にp型下クラッド層,活性層及びn型上クラ
ッド層を順次積層してなる、ダブルヘテロ接合部を有す
る積層構造と、該積層構造上に形成され、電流をブロッ
クする電流ブロック領域と、電流を通過させる電流通過
領域とからなる、導電型が異なる第1及び第2のドーパ
ントを含む電流経路調整層と、該電流経路調整層の上側
に、その電流ブロック領域に対向するよう形成されたn
型電極と、該p型化合物半導体基板の裏面側に形成され
たp型電極とを備えている。該p型化合物半導体基板
は、その表面に1つあるいは複数の溝が形成された溝形
成部分を有し、該溝の斜面の面方位及び該基板表面の平
坦部分の面方位が、該基板上に成長される所定のドーパ
ントを含む半導体領域の導電性を支配するものである。
該電流経路調整層の電流ブロック領域は、該溝の斜面の
面方位により第1のドーパントによる導電性を持つよう
形成された領域であり、該電流経路調整層の電流通過領
域は、該基板の平坦部分の面方位により第2のドーパン
トによる導電性を持つよう形成された領域であり、該電
流ブロック領域は、該n型電極と平面形状が同一であ
る。そのことにより上記目的が達成される。
【0034】この発明(請求項2)は、請求項1記載の
半導体発光素子において、前記p型化合物半導体基板の
表面の平坦部分の面方位を(100)面とし、その溝形
成部分における溝の斜面の面方位をA面とし、前記電流
経路調整層を、その電流ブロック領域がp型の導電型を
有し、その電流通過領域がn型の導電型を有する構造と
したものである。
【0035】この発明(請求項3)は、請求項1記載の
半導体発光素子において、前記電流経路調整層とn型電
極との間に第2のn型上クラッド層を設けたものであ
る。
【0036】この発明(請求項4)は、請求項1記載の
半導体発光素子において、前記電流経路調整層とn型電
極との間に、該電流経路調整層側での電流経路の断面積
がn型電極側に比べて大きくなるよう電流を拡散するn
型電流拡散層を設けたものである。
【0037】この発明(請求項5)は、請求項4記載の
半導体発光素子において、前記n型電流拡散層を、その
内部に第2の電流経路調整層を有する構造とし、該第2
の電流経路調整層を、前記p型化合物半導体基板の溝形
成領域における溝の斜面の面方位により第1のドーパン
トによる導電性を持つよう形成された電流ブロック領域
と、該基板の平坦部分の面方位により第2のドーパント
による導電性を持つよう形成された電流通過領域とから
構成したものである。
【0038】この発明(請求項6)に係る半導体発光素
子は、n型化合物半導体基板と、該基板の表面側に形成
され、電流をブロックする電流ブロック領域と、電流を
通過させる電流通過領域とからなる、導電型が異なる第
1及び第2のドーパントを含む電流経路調整層と、該電
流経路調整層上にn型クラッド層,活性層及びp型クラ
ッド層を順次積層してなる、ダブルヘテロ接合部を有す
る積層構造と、該積層構造の上側に該電流経路調整層の
電流ブロック領域に対向するよう形成されたp型電極
と、該n型化合物半導体基板の裏面側に形成されたn型
電極とを備えている。該n型化合物半導体基板は、その
表面に1つあるいは複数の溝が形成された溝形成部分を
有し、該溝の斜面の面方位及び該基板表面の平坦部分の
面方位が、該基板上に成長される所定のドーパントを含
む半導体領域の導電性を支配するものである。該電流経
路調整層の電流ブロック領域は、該溝の斜面の面方位に
より第1のドーパントによる導電性を持つよう形成され
た領域であり、該電流経路調整層の電流通過領域は、該
基板の平坦部分の面方位により第2のドーパントによる
導電性を持つよう形成された領域であり、該電流ブロッ
ク領域は、該p型電極と平面形状が同一である。その
ことにより上記目的が達成される。
【0039】この発明(請求項7)は、請求項1又は6
記載の半導体発光素子において、前記電流経路調整層の
電流ブロック領域を高抵抗領域としたものである。
【0040】この発明(請求項8)は、請求項6記載の
半導体発光素子において、前記n型化合物半導体基板と
電流経路調整層との間に第2のn型下クラッド層を設け
たものである。
【0041】この発明(請求項9)は、請求項8記載の
半導体発光素子において、前記積層構造とp型電極との
間に、該積層構造側での電流経路の断面積がp型電極側
に比べて大きくなるよう電流を拡散するp型電流拡散層
を設けたものである。
【0042】この発明(請求項10)は、請求項1ない
し9のいずれかに記載の半導体発光素子において、前記
化合物半導体基板の表面上に、該活性層で発生した光を
反射する反射層を配置したものである。
【0043】この発明(請求項11)は、請求項1ない
し10のいずれかに記載の半導体発光素子において、前
記ダブルヘテロ接合部を有する積層構造を、(Alx
1-x1-yInyP層(0≦x≦1,0≦y≦1)から
構成したものである。
【0044】この発明(請求項12)は、請求項1ない
し10のいずれかに記載の半導体発光素子において、前
記電流経路調整層を、(AlxGa1-x1-yInyP層
(0≦x≦1,0≦y≦1)から構成したものである。
【0045】この発明(請求項13)は、請求項1ない
し10のいずれかに記載の半導体発光素子において、前
記電流拡散層を、AlxGa1-xAs(0≦x≦1)から
構成したものである。
【0046】この発明(請求項14)は、請求項1ない
し10のいずれかに記載の半導体発光素子において、前
記電流拡散層を、Iny(Ga1-xAlx1-yP層(0≦
x≦1,0≦y≦1)から構成したものである。
【0047】この発明(請求項15)に係る半導体発光
素子の製造方法は、p型化合物半導体基板の所定領域上
に溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパン
トを含む半導体領域の導電性が、該溝の斜面の面方位及
び該基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったも
のとなるよう該基板表面を加工する工程と、該基板の表
面側にp型下クラッド層、活性層、及びn型上クラッド
層を順次成長して、ダブルヘテロ接合部を有する積層構
造を形成する工程と、該積層構造上に電流経路調整層
を、導電型の異なる第1及び第2のドーパントを同時に
ドープしつつ成長する工程と、該電流経路調整層の上側
に、その電流ブロック領域に対向するようにn型電極を
形成する工程とを含んでいる。該電流経路調整層内に
は、電流をブロックする電流ブロック領域が、該溝の斜
面の面方位により第1のドーパントによる導電性を持つ
よう該基板の溝形成部分と対向する部分に形成され、電
流を通過させる電流通過領域が、該平坦部分の面方位に
より第2のドーパントによる導電性を持つよう該基板の
溝形成部分以外の平坦部分と対向する部分に形成され、
該電流ブロック領域は、該n型電極と平面形状が同一
である。そのことにより上記目的が達成される。
【0048】この発明(請求項16)に係る半導体発光
素子の製造方法は、n型化合物半導体基板の所定領域上
に溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパン
トを含む半導体領域の導電性が、該溝の斜面の面方位及
び該基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったも
のとなるよう該基板表面を加工する工程と、該基板の表
面側に電流経路調整層を、導電型の異なる第1及び第2
のドーパントを同時にドープしつつ形成する工程と、該
電流経路調整層上にp型下クラッド層、活性層、及びn
型上クラッド層を順次成長して、ダブルヘテロ接合部を
有する積層構造を形成する工程と、該電流経路調整層の
上側に、その電流ブロック領域に対向するようにp型電
極を形成する工程とを含んでいる。該電流経路調整層内
には、電流をブロックする電流ブロック領域が、該溝の
斜面の面方位により第1のドーパントによる導電性を持
つよう該基板の溝形成部分と対向する部分に形成され、
電流を通過させる電流通過領域が、該平坦部分の面方位
により第2のドーパントによる導電性を持つよう該基板
の溝形成部分以外の平坦部分と対向する部分に形成さ
れ、該電流ブロック領域は、該p型電極と平面形状が
同一である。そのことにより上記目的が達成される。
【0049】この発明(請求項17)は、上記半導体発
光素子の製造方法において、前記第1及び第2の両ドー
パントのうちのp型ドーパントをZnとし、該両ドーパ
ントのうちのn型ドーパントをSeとしたものである。
【0050】この発明(請求項18)に係る半導体発光
素子は、n型化合物半導体基板と、該基板の表面側にn
型下クラッド層,活性層及びp型上クラッド層を順次成
長してなる、ダブルヘテロ接合部を有する積層構造と、
該積層構造上に形成され、電流をブロックする電流ブロ
ック領域と、電流を通過させる電流通過領域とからな
る、導電型が異なる第1及び第2のドーパントを含む電
流経路調整層と、該電流経路調整層の上側にその電流ブ
ロック領域に対向するよう形成されたp型電極と、該n
型化合物半導体基板の裏面側に形成されたn型電極とを
備えている。該n型化合物半導体基板は、その表面に溝
が形成された溝形成部分を有し、該溝の斜面の面方位及
び該基板表面の平坦部分の面方位が、該基板上に成長さ
れる所定のドーパントを含む半導体領域の導電性を支配
するものである。該電流経路調整層の電流ブロック領域
は、該基板の平坦部分の面方位により第1のドーパント
による導電性を持つよう形成された領域であり、該電流
経路調整層の電流通過領域は、該溝の斜面の面方位によ
り第2のドーパントによる導電性を持つよう形成された
領域であり、該電流ブロック領域は、該p型電極と平面
形状が同一である。そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0051】この発明(請求項19)は、請求項18記
載の半導体発光素子において、前記電流経路調整層とp
型電極との間に、該電流経路調整層側での電流経路の断
面積がp型電極側に比べて大きくなるよう電流を拡散す
るp型電流拡散層を設けたものである。
【0052】この発明(請求項20)は、請求項19記
載の半導体発光素子において、前記p型電流拡散層を、
その内部に第2の電流経路調整層を有する構造とし、該
第2の電流経路調整層を、前記n型化合物半導体基板の
平坦部分の面方位により第1のドーパントによる導電性
を持つよう形成された電流ブロック領域と、該基板の溝
形成領域における溝の斜面の面方位により第2のドーパ
ントによる導電性を持つよう形成された電流通過領域と
から構成したものである。
【0053】この発明(請求項21)に係る半導体発光
素子は、p型化合物半導体基板と、該基板の表面側に形
成され、電流をブロックする電流ブロック領域と、電流
を通過させる電流通過領域とからなる、導電型が異なる
第1及び第2のドーパントを含む電流経路調整層と、該
電流経路調整層上にp型下クラッド層,活性層及びn型
上クラッド層を順次成長してなるダブルヘテロ接合部を
有する積層構造と、該積層構造の上側に該電流経路調整
層の電流ブロック領域に対向するよう形成されたn型電
極と、該p型化合物半導体基板の裏面側に形成されたp
型電極とを備えている。該p型化合物半導体基板は、そ
の表面に溝が形成された溝形成部分を有し、該溝の斜面
の面方位及び該基板表面の平坦部分の面方位が、該基板
上に成長される所定のドーパントを含む半導体領域の導
電性を支配するものである。該電流経路調整層の電流ブ
ロック領域は、該基板の平坦部分の面方位により第1の
ドーパントによる導電性を持つよう形成された領域であ
り、該電流経路調整層の電流通過領域は、該溝の斜面の
面方位により第2のドーパントによる導電性を持つよう
形成された領域であり、該電流ブロック領域は、該n型
電極と平面形状が同一である。そのことにより上記目
的が達成される。
【0054】この発明(請求項22)は、請求項18又
は21記載の半導体発光素子において、前記電流経路調
整層の電流ブロック領域を高抵抗領域としたものであ
る。
【0055】この発明(請求項23)は、請求項21記
載の半導体発光素子において、前記積層構造とn型電極
との間に、該積層構造側での電流経路の断面積がn型電
極側に比べて大きくなるよう電流を拡散するn型電流拡
散層を設けたものである。
【0056】この発明(請求項24)は、請求項18な
いし23のいずれかに記載の半導体発光素子において、
前記化合物半導体基板の表面上に、前記活性層で発生し
た光を反射する反射層を設けたものである。
【0057】この発明(請求項25)に係る半導体発光
素子の製造方法は、n型化合物半導体基板の所定領域上
に溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパン
トを含む半導体領域の導電性が、該溝の斜面の面方位及
び該基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったも
のとなるよう該基板表面を加工する工程と、該基板の表
面側にn型下クラッド層、活性層、及びp型上クラッド
層を順次成長して、ダブルヘテロ接合部を有する積層構
造を形成する工程と、該積層構造上に電流経路調整層
を、導電型の異なる第1及び第2のドーパントを同時に
ドープしつつ形成する工程と、該電流経路調整層の上側
に、その電流ブロック領域に対向するようにp型電極を
形成する工程とを含んでいる。該電流経路調整層内に
は、電流をブロックする電流ブロック領域が、該平坦部
分の面方位により第1のドーパントによる導電性を持つ
よう該基板の溝形成部分以外の平坦部分と対向する部分
に形成され、電流を通過させる電流通過領域が、該溝の
斜面の面方位により第2のドーパントによる導電性を持
つよう該基板の溝形成部分と対向する部分に形成され、
該電流ブロック領域は、該p型電極と平面形状が同一
である。そのことにより上記目的が達成される。
【0058】この発明(請求項26)に係る半導体発光
素子の製造方法は、p型化合物半導体基板の所定領域上
に溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパン
トを含む半導体領域の導電性が該溝の斜面の面方位及び
該基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったもの
となるよう加工する工程と、該基板の表面側に電流経路
調整層を、導電型の異なる第1及び第2のドーパントを
同時にドープしつつ形成する工程と、該電流経路調整層
上にp型下クラッド層、活性層、及びn型上クラッド層
を順次成長して、ダブルヘテロ接合部を有する積層構造
を形成する工程と、該電流経路調整層の上側に、その電
流ブロック領域に対向するようにn型電極を形成する工
程とを含んでいる。該電流経路調整層内には、電流をブ
ロックする電流ブロック領域が、該平坦部分の面方位に
より第1のドーパントによる導電性を持つよう該基板の
溝形成部分以外の平坦部分と対向する部分に形成され、
電流を通過させる電流通過領域が、該溝の斜面の面方位
により第2のドーパントによる導電性を持つよう該基板
の溝形成部分と対向する部分に形成され、該電流ブロッ
ク領域は、該n型電極と平面形状が同一である。その
ことにより上記目的が達成される。
【0059】この発明(請求項27)は、請求項25あ
るいは26に記載の半導体発光素子の製造方法におい
て、前記第1及び第2の両ドーパントのうちp型ドーパ
ントをZnとし、該両ドーパントのうちn型ドーパント
をSeとしたものである。
【0060】
【作用】この発明(請求項1)においては、p型化合物
半導体基板の表面側に設けた、活性層を含む積層構造上
に、電流をブロックする電流ブロック領域と、電流を通
過させる電流通過領域とからなる電流経路調整層を設
け、該電流経路調整層の上側に、その電流ブロック領域
に対向するようn型電極を配置したから、素子の動作電
流は、該n型電極直下の電流ブロック領域によりブロッ
クされて、その両側に大きく広がることとなる。このた
め、活性層の、n型電極直下部分以外の領域にてLED
光が発生することとなって、発生したLED光がn型電
極に遮られることなく、効果的に外部の取り出される。
これによりLED光の導出効率が向上して、半導体発光
素子の高輝度化を図ることができる。
【0061】また、上記p型化合物半導体基板を、その
表面に1つあるいは複数の溝が形成された溝形成部分を
有し、該溝の斜面の面方位及び該基板表面の平坦部分の
面方位が、該基板上に成長される所定のドーパントを含
む半導体層の導電性を支配する構造としているため、第
1及び第2のドーパントを有する電流経路調整層内に
は、電流ブロック領域と電流通過領域とを同時に形成可
能である。つまり、上記電流ブロック領域が、基板の溝
の斜面の面方位により第1のドーパントによる導電性を
持つ領域として形成され、上記電流通過領域が、該基板
の平坦部分の面方位により第2のドーパントによる導電
性を持つ領域として形成される。これにより、活性層上
方の一部に電流ブロック領域を有する素子構造を、1回
の結晶成長工程により形成可能となる。
【0062】この発明(請求項2)においては、請求項
1の半導体発光素子において、前記p型化合物半導体基
板の表面の平坦部分の面方位を(100)面とし、その
溝形成部分における溝の斜面の面方位をA面とし、前記
電流経路調整層を、その電流ブロック領域がp型の導電
型を有し、その電流通過領域がn型の導電型を有する構
造としたので、上記電流経路調整層のp型ドーパントに
Zn、n型ドーパントにSeを用いることにより、基板
の面方位に基づくp型電流ブロック領域及びn型電流通
過領域の導電性を、該各領域におけるキャリア濃度が高
いものとでき、電流経路調整層の働きをより効果的なも
のとできる。
【0063】この発明(請求項3)においては、請求項
1の半導体発光素子において、前記電流経路調整層上に
第2のn型上クラッド層を備えたので、電流経路調整層
と活性層の間のn型上クラッド層の層厚を薄くできる。
このため、電流経路調整層の電流ブロック領域により一
旦広がった電流が、該電流ブロック領域の下側に回り込
むのを抑制でき、活性層の、n型電極直下の部分へ注入
される電流を減少させることができる。これにより、活
性層の、n型電極直下部分以外の領域での発光が増加す
ることとなり、さらに光の導出効率を向上させることが
できる。
【0064】この発明(請求項4)においては、請求項
1の半導体発光素子において、前記電流経路調整層とn
型電極との間に電流拡散層を設けたので、n型電極から
活性層へ向かう電流が、該電流経路調整層側ではn型電
極側に比べて大きく広がることとなる。これにより活性
層では、発光領域が、そのn型電極直下部分からより離
れた部分まで広がることとなり、光の導出効率の向上を
助長することができる。
【0065】さらに、上記電流拡散層を活性層よりもバ
ンドギャップが広い構造とすることにより、活性層で発
生した光の電流拡散層での吸収を招くことなく、光の導
出効率の向上を助長でき、より高輝度の半導体発光素子
を得ることができる。
【0066】この発明(請求項5)においては、請求項
4の半導体発光素子において、前記n型電流拡散層を、
その内部に形成された、前記電流経路調整層と同一構成
の電流ブロック領域及び電流通過領域からなる第2の電
流経路調整層を有する構造としたので、n型電極から活
性層までの電流経路にて、より広域へ電流を広げること
ができる。これにより、活性層の、n型電極直下部分の
外側での発光量が増加し、さらに光の導出効率を向上さ
せることができる。
【0067】この発明(請求項6)においては、n型化
合物半導体基板上に、電流をブロックする電流ブロック
領域と、電流を通過させる電流通過領域とからなる電流
経路調整層を設け、該電流経路調整層上に活性層を含む
積層構造を設け、該積層構造の上側に、該電流経路調整
層の電流ブロック領域に対向するようp型電極を配置し
たので、素子の動作電流は、該p型電極直下の電流ブロ
ック領域によりブロックされて、その両側に大きく広が
ることとなる。このため、活性層の、p型電極直下部分
以外の領域にてLED光が発生することとなって、発生
したLED光がp型電極に遮られることなく、効果的に
外部の取り出される。これによりLED光の導出効率が
向上して、半導体発光素子の高輝度化を図ることができ
る。
【0068】また、上記n型化合物半導体基板を、その
表面に1つあるいは複数の溝が形成された溝形成部分を
有し、該溝の斜面の面方位及び該基板表面の平坦部分の
面方位が、該基板上に成長される所定のドーパントを含
む半導体層の導電性を支配する構造としているため、第
1及び第2のドーパントを有する電流経路調整層内に
は、電流ブロック領域と電流通過領域とを同時に形成可
能となる。これにより、活性層下方の一部に電流ブロッ
ク領域を有する素子構造を、1回の結晶成長工程により
形成できる。
【0069】しかも、n型化合物半導体基板を用いてい
るため、p型の電流ブロック領域とn型の電流通過領域
とからなる電流経路調整層を、上記積層構造下側の基板
に近い位置に配置できる。これにより、該基板に形成し
た溝の形状が電流経路調整層にて十分反映されることと
なり、下地層の面方位に依存する、p型電流ブロック領
域及びn型電流通過領域のキャリア濃度を、それぞれの
導電性について所望の大きな値に設定でき、このため電
流経路調整層の働きをより効果的なものとできる。
【0070】この発明(請求項7)においては、請求項
1又は6の半導体発光素子において、前記電流経路調整
層の電流ブロック領域を高抵抗領域としたので、上記第
1及び第2のドーパントのうちの一方のドープ量を低減
することができる。
【0071】この発明(請求項8)においては、請求項
6の半導体発光素子において、前記n型化合物半導体基
板と電流経路調整層の間に、第2のn型下クラッド層を
配設しているため、電流経路調整層と活性層との間のn
型下クラッド層の層厚を薄くでき、活性層のp型電極に
対向する部分への電流を減少させることが可能となる。
したがって、より広域へ電流を広げることができ、溝部
以外の活性層での発光が増加し、さらに光の導出効果を
向上させることができる。
【0072】この発明(請求項9)においては、請求項
8の半導体発光素子において、p型電極と、活性層を有
する積層構造との間に電流拡散層を配設しているため、
電流はp型電極から活性層に至る間に電流拡散層にて広
がることとなり、活性層のp型電極に対向する部分以外
での発光量が増加して、電流の導出効率を向上すること
ができる。また、電流拡散層を活性層よりもバンドギャ
ップが広く構成することにより、活性層からの光が電流
拡散層で吸収されるのを回避して、より光の導出効率を
向上させ、半導体発光素子の高輝度化を図ることができ
る。
【0073】この発明(請求項10)においては、上記
半導体発光素子において、前記化合物半導体基板の表面
に光の反射層を設けたので、活性層で発光した光のう
ち、基板側に発光した光は該反射層で反射されることと
なり、屈折率の高い基板に吸収されることはなく、さら
に光の導出効率を向上させることができる。
【0074】この発明(請求項11)においては、上記
半導体発光素子において、ダブルヘテロ接合部を有する
積層構造を、(AlxGa 1-x1-yInyP層(0≦x
≦1,0≦y≦1)から構成したので、Al組成を変化
させることで、赤色から緑色の可視光領域の発光を実現
できる。
【0075】この発明(請求項12)においては、上記
請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体発光素子
において、前記電流経路調整層を(AlxGa1- x1-y
InyP層(0≦x≦1,0≦y≦1)から構成したて
いるため、活性層で発光した光が電流経路調整層で吸収
されるのを回避できる。また、ドーパントがZn及びS
eである電流経路調整層を、基板の面方位によって導電
性を調整できる。
【0076】この発明(請求項13)においては、上記
請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体発光素子
において、前記電流拡散層をAlxGa1-xAsから構成
しているため、活性層で発光した光が電流経路調整層で
吸収されるのを回避でき、また、電流拡散層と基板とが
格子整合することとなり、これらの間の半導体層を歪の
ない、結晶性の良好なものとできる。
【0077】この発明(請求項14)においては、上記
請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体発光素子
において、前記電流拡散層を(AlxGa1- x1-yIn
yP層(0≦x≦1,0≦y≦1)から構成したので、
請求項12で用いたAlxGa1 -xAsよりもさらにバン
ドギャップを広くでき、より活性層で発光した光の電流
拡散層での吸収を減少させることができ、さらに光の導
出効率を向上させることができる。
【0078】この発明(請求項15)においては、p型
化合物半導体基板の所定領域上に溝を形成して、該基板
上に成長される所定のドーパントを含む半導体層の導電
性が、該溝の斜面の面方位及び該基板表面の平坦部分の
面方位に依存して異なったものとなるようにし、該基板
上にダブルヘテロ接合部を有する積層構造を形成した
後、該積層構造上に電流経路調整層を、導電型の異なる
第1及び第2のドーパントを同時にドープしつつ形成す
るので、該電流経路調整層内には、電流ブロック領域
が、該溝の斜面の面方位により第1のドーパントによる
導電性を持つよう該基板の溝形成部分に対向する部分に
形成され、電流通過領域が、該平坦部分の面方位により
第2のドーパントによる導電性を持つよう該基板の溝形
成部分以外の平坦部分に対向する部分に形成される。
【0079】このため、半導体層の積層構造中に電流ブ
ロック領域を有する半導体発光素子を1回のMOCVD
成長で製造でき、これによりコストの大幅な削減及び歩
留まりの大幅な向上を図ることができる。加えて、上記
電流経路調整層における電流ブロック領域は、MOCV
D成長中に電流経路調整層内に選択的に形成されるた
め、電流ブロック領域を形成するためのエッチング処理
が不要である。つまり、基板上に半導体層を成長したの
ち、一旦基板を成長装置から出してエッチング処理を施
すといった工程は不要であり、成長中の半導体層の表面
が大気にさらされるのを回避でき、再成長界面の酸化や
不純物の混入などに起因する、再成長界面での結晶性の
問題を解消できる。この結果、半導体発光素子の特性や
信頼性を高く保持できる。
【0080】この発明(請求項16)においては、n型
化合物半導体基板の表面を、その溝形成部分及び平坦部
分が、その上に成長される所定のドーパントを含む半導
体層の導電性に対する選択性を持つよう処理し、該基板
上に電流経路調整層を、導電型の異なる第1及び第2の
ドーパントを同時にドープしつつ形成し、その後該電流
経路調整層上に活性層を有する積層構造を形成するの
で、該電流経路調整層内には、該溝形成部分に対応する
部分に電流ブロック領域が形成され、該平坦部分に対応
する部分に電流通過領域が形成される。これにより電流
ブロック領域を有する半導体発光素子を1回のMOCV
D成長で製造でき、これによりコストの大幅な削減及び
歩留まりな大幅な向上を図ることができるとともに、再
成長界面での結晶性の問題を解消できる。
【0081】また、n型化合物半導体基板を用いている
ため、p型の電流ブロック領域とn型の電流通過領域と
からなる電流経路調整層を、上記積層構造下側の基板に
近い部分に形成でき、該基板に形成した溝の形状が電流
経路調整層にて十分反映されることとなり、p型電流ブ
ロック領域及びn型電流通過領域のキャリア濃度をこれ
が高い濃度となるよう精度よく制御できる。
【0082】この発明(請求項17)においては、上記
半導体発光素子の製造方法において、前記II族ドーパン
トにZn、VI族ドーパントにSeを用いるため、基板の
面方位に基づくp型電流ブロック領域及びn型電流通過
領域の導電性を、該各領域におけるキャリア濃度が高い
ものとでき、電流経路調整層の働きをより効果的なもの
とできる。
【0083】この発明(請求項18)においては、n型
化合物半導体基板の表面側に形成した、活性層を含む積
層構造上に、電流ブロック領域と電流通過領域とからな
る電流経路調整層を設け、該電流経路調整層の上側に、
その電流ブロック領域に対向するようp型電極を配置し
たので、該p型電極から活性層へ向かう電流は、該電流
ブロック領域によりブロックされて、その両側に大きく
広がることとなる。このため、活性層の、p型電極直下
部分以外の領域でのLED光の発光量が増大して、発生
したLED光がp型電極に遮られることなく、効果的に
外部の取り出される。これによりLED光の導出効率が
向上して、半導体発光素子の高輝度化を図ることができ
る。
【0084】また該n型化合物半導体基板を、表面に溝
が形成された溝形成部分と表面が平坦な平坦部分とを有
し、該溝の斜面の面方位及び該基板表面の平坦部分の面
方位が、該基板上に成長される所定のドーパントを含む
半導体層の導電性を支配する構造としているため、第1
及び第2のドーパントを有する電流経路調整層内には、
電流ブロック領域と電流通過領域とを同時に形成可能と
なる。これにより、活性層下方の一部に電流ブロック領
域を有する素子構造を、1回の結晶成長工程により形成
できる。
【0085】また、この発明では、素子表面のLED光
が出射する領域には、p型電極が配置されていないた
め、LED光が遮られることがなく、しかもこの領域の
表面は、上記基板の溝形成部分の凸凹が反映されて凸凹
状態となっているため、素子の内部からその表面に臨界
角以上で入射するLED光の割合が減少することとな
り、これにより素子上面からの光の取出し効率が向上す
る。
【0086】また、電流経路調整層の電流通過領域は基
板の溝形成部分に対応して位置しているため、活性層の
発光領域も基板の溝形成部分に対応して位置し、しかも
溝形状が反映された凸凹形状となる。このため、活性層
の発光領域が平坦なLEDにくらべ、発光面積が増加す
ることとなり、発光量の増大により光の導出効率が増加
する。
【0087】また、電流経路調整層を活性層よりもバン
ドギャップが広くなるよう構成することにより、活性層
からの光が電流経路調整層で吸収されるのを回避して、
より光の導出効率を向上させ、半導体発光素子の高輝度
化を図ることができる。
【0088】さらに、基板の溝形成領域の溝斜面の面方
位をA面とすることにより、MOCVD法でAlGaI
nP混晶半導体系を成長しても、活性層の発光領域に自
然超格子が形成されず、自然超格子による発光波長の長
波長化を回避できる。このため、設定波長が得られるよ
うえ活性層のAl組成を増加する必要がなくなり、高輝
度で、信頼性の高い半導体発光素子が実現できる。
【0089】しかも、上記基板の、p型電極直下の部分
は平坦になっているため、該p型電極の表面は平坦にな
り、該p型電極とこれにボンディングされるワイヤとの
密着強度を向上できる。
【0090】この発明(請求項19)においては、上記
請求項18の半導体発光素子において、p型電流拡散層
を電流経路調整層の上部に設けているため、p型電流拡
散層で電流を広げることができ、活性層の、p型電極に
対応する部分以外のより広い領域での発光が可能とな
る。また、電流拡散層を活性層よりもバンドギャップが
広くなるよう構成することにより、活性層からの光が電
流拡散層で吸収されるのを回避して、さらに光の導出効
率を向上させ、半導体発光素子の高輝度化を図ることが
できる。
【0091】この発明(請求項20)においては、上記
請求項19の半導体発光素子において、上記p型電流拡
散層を、その内部に形成された、上記電流経路調整層と
同一構成の電流ブロック領域及び電流通過領域を有する
構成としたので、p型電極から活性層に至る経路にて、
より広域へ電流を広げることができる。これにより、活
性層の、p型電極直下部分の外側での発光量が増加し、
さらに光の導出効率を向上させることができる。
【0092】この発明(請求項21)においては、請求
項18の半導体発光素子における化合物半導体基板の導
電型をp型とし、ダブルヘテロ接合部を有する積層構造
を、活性層をp型下クラッド層及びn型上クラッド層に
より挟持してなる構造とし、この積層構造と上記基板と
の間に、n型の電流ブロック領域及びp型の電流通過領
域を有する電流経路調整層を配置したので、上記請求項
18の半導体発光素子における電流経路調整層の働きを
より効果的なものとできる。
【0093】つまり、p型化合物半導体基板を用いてい
るため、n型の電流ブロック領域とp型の電流通過領域
とからなる電流経路調整層を、上記積層構造下側の基板
に近い位置に配置できる。これにより、該基板に形成し
た溝の形状が電流経路調整層にて十分反映されることと
なり、下地層の面方位に依存する、p型電流ブロック領
域及びn型電流通過領域のキャリア濃度を、それぞれの
導電性について所望の大きな値に設定でき、このため電
流経路調整層の働きをより効果的なものとできる。
【0094】この発明(請求項22)においては、請求
項18又は21の半導体発光素子において、前記電流経
路調整層の電流ブロック領域を高抵抗領域としたので、
上記第1及び第2のドーパントのうちの一方のドープ量
を低減することができる。
【0095】この発明(請求項23)においては、上記
請求項21の半導体発光素子において、ダブルヘテロ接
合部を有する積層構造の上に電流拡散層を設けているた
め、該電流拡散層で電流を広げることができ、活性層
の、n型電極に対応する部分以外のより広い領域での発
光が可能となる。
【0096】また、n型電流拡散層では、p型のものに
比べてキャリアの移動度が大きく、抵抗率が低いため、
電流拡散効果が大きく、さらに広域での発光が可能であ
る。また、電流拡散層を活性層よりもバンドギャップが
広くなるよう構成することにより、活性層からの光が電
流拡散層で吸収されるのを回避して、より光の導出効率
を向上させ、半導体発光素子の高輝度化を図ることがで
きる。
【0097】この発明(請求項24)においては、上記
各半導体発光素子において、前記化合物半導体基板の表
面に光反射層を設けたので、活性層で発光した光のうち
基板側に発光した光は、反射層で反射されることとなっ
て、屈折率の高い基板に吸収されることがなくなり、さ
らに光の導出効率を向上させることができる。
【0098】この発明(請求項25)においては、n型
化合物半導体基板の表面を、その溝形成部分及び平坦部
分が、その上に成長される所定のドーパントを含む半導
体層の導電性に対する選択性を持つよう処理し、該基板
上に、活性層を有する積層構造を形成した後、該積層構
造上に電流経路調整層を、導電型の異なる第1及び第2
のドーパントを同時にドープしつつ形成するので、該電
流経路調整層には、該溝形成部分に対応する位置に電流
ブロック領域が形成され、該平坦部分に対応する位置に
電流通過領域が形成される。これにより電流ブロック領
域を有する半導体発光素子を1回のMOCVD成長で製
造できる。つまり結晶成長の途中で、結晶成長面が大気
に晒される成長装置からの基板の出し入れを不要とし
て、コストの大幅な削減及び歩留まりの大幅な向上を図
ることができるとともに、再成長界面での結晶性の問題
を解消できる。
【0099】この発明(請求項26)においては、p型
化合物半導体基板を、上記請求項9の半導体発光素子の
製造方法と同様に処理して、その表面に溝形成部分及び
平坦部分を形成し、該基板上に電流経路調整層を形成
し、その後該電流経路調整層上に、p型下クラッド層,
活性層及びn型上クラッド層を順次成長して積層構造を
形成するので、電流経路調整層の各導電型の電流ブロッ
ク領域及び電流通過領域でのキャリア濃度を高くでき
る。
【0100】つまりp型化合物半導体基板を用いている
ため、n型の電流ブロック領域とp型の電流通過領域と
からなる電流経路調整層を、上記積層構造下側の基板に
近い部分に形成でき、該基板に形成した溝の形状が電流
経路調整層にて十分反映されることとなり、各導電型の
電流ブロック領域及び電流通過領域のキャリア濃度をこ
れが高い濃度となるよう精度よく制御できる。
【0101】この発明(請求項27)においては、請求
項25又は26記載の半導体発光素子の製造方法におい
て、前記II族ドーパントにZn、VI族ドーパントにSe
を用いるため、基板の面方位に基づくp型電流ブロック
領域及びn型電流通過領域の導電性を、該各領域におけ
るキャリア濃度が高いものとでき、電流経路調整層の働
きをより効果的なものとできる。
【0102】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0103】(実施例1)図1は本発明の第1の実施例
による半導体発光素子として発光ダイオードを説明する
ための図であり、図1(a)は該発光ダイオードの構造
を示す断面図、図1(b)及び図1(c)は、発光ダイ
オードを構成する基板の構造を示す平面図及び断面図で
ある。図2は該発光ダイオードの製造方法を説明するた
めの図であり、図2(a)は該発光ダイオードを構成す
る種々の半導体層を結晶成長する工程を示す図、図2
(b)は発光ダイオードにおける電極を形成する工程を
示す図である。
【0104】図において、100aは本実施例の発光ダ
イオードで、そのp型GaAs基板1上には、その表面
上にp型下クラッド層2,活性層3及びn型上クラッド
層4を順次成長してなる、ダブルヘテロ接合部を有する
積層構造110が配設されている。そして本実施例で
は、この積層構造110のn型クラッド層4上には、電
流をブロックするp型半導体領域(電流ブロック領域)
5aと、電流を通過させるn型半導体領域(電流通過領
域)5bとからなる電流経路調整層5が設けられてい
る。該電流経路調整層5上には、n型電流拡散層6を介
してp型GaAsコンタクト層7が、上記電流経路調整
層5の電流ブロック領域5aの真上に位置するよう設け
られ、該コンタクト層7上には、AuGeからなるn型
電極102が配置されている。また上記p型GaAs基
板1の裏面側には全面に、AuZnからなるp型電極1
01が形成されている。
【0105】ここで、上記p型GaAs基板1は、その
中央の直径200μmの円形状領域(溝形成部分)1a
には、深さ4.3μm、幅6μmのV型溝1a1がスト
ライプ状に複数形成されており、該基板1の、溝形成部
分1a以外の領域は、表面が平坦な平坦部分となってい
る。上記基板1の平坦部分はその表面の面方位が(10
0)面となっており、上記V型溝1a1の傾斜面の面方
位は(111)A面とな っている。
【0106】また、上記下クラッド層2,活性層3及び
上クラッド層4はそれぞれ、(AlxGa1-x1-yIny
P(0≦x≦1,0≦y≦1)からなり、この下クラッ
ド層2及び上クラッド層4では、例えばその組成比x,
yがx=0.70,y=0.50、その層厚が1.0μ
mとなっており、下クラッド層2のZnキャリア濃度は
1×1018cm-3、上クラッド層4のSiキャリア濃度
は5×1017cm-3となっている。該活性層3では、例
えば組成比x,yはx=0.30、y=0.50、その
層厚は0.50μmとなっている。
【0107】また、上記電流経路調整層5の構成材料も
(AlxGa1-x1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦
1)であり、その組成比はx,yはx=0.70、y=
0.50、その層厚は0.7μmとなっている。この電
流経路調整層5にはII族ドーパントとしてZnが、V族
ドーパントとしてSeがドープされている。該電流経路
調整層5の電流ブロック領域5aは、上記基板1の溝形
成領域1aの真上に位置し、該基板1の溝1a1の斜面
の面方位である(111)A面に基づいて、ドーパント
Znによるp型の導電型を示すキャリア濃度3×1018
cm-3の領域となっている。また、上記電流経路調整層
5の電流通過領域5bは、上記基板1の平坦部分1bの
上側に位置し、該平坦部分の1bの面方位である(10
0)面に基づいて、ドーパントSeによるn型の導電型
を示すキャリア濃度3×1018cm-3の領域となってい
る。
【0108】さらに上記電流拡散層6は、n型Alx
1-xAs(0≦x≦1)からなり、その組成比xがx
=0.70となっており、5μmの層厚を有している。
またこのn型電流拡散層6及び上記n型GaAsコンタ
クト層7ではそれぞれSiキャリア濃度が5×1018
-3となっている。
【0109】次に製造方法について説明する。
【0110】まず、p型GaAs基板1表面の直径20
0μmの円形領域に、エッチング処理により、斜面の面
方位が例えば(111)A面である深さ4.3μm、幅
6μmの溝を複数ストライプ状に形成する(図1
(b),(c)参照)。
【0111】次に、該エッチング処理を施した基板1上
にMOCVD法を用いて1回の結晶成長工程により上記
各半導体層2〜7を形成する(図2(a))。
【0112】すなわち、上記エッチング処理の後、基板
1上にp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pをp型下ク
ラッド層2として、Znキャリア濃度が1×1018cm
-3となるよう厚さ1.0μm程度に成長する。続いて、
(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pを活性層3として0.
50μm程度の厚さに形成し、さらにその上にn型(A
0.7Ga0.30.5In0.5Pをn型上クラッド層4とし
て、Siキャリア濃度が5×1017cm-3となるよう層
厚1μm程度に成長する。この時、上記基板1の表面形
状は概ねその上に成長される半導体層に受け継がれるこ
ととなり、上記n型上クラッド層4の表面の、上記基板
1の溝形成部分1aに対応する領域には、斜面の面方位
が(111)A面である溝が複数形成されており、また
該クラッド層4の表面の、基板1の平坦部分1bに対応
する領域は、その面方位が(100)である平坦な領域
となっている。
【0113】そして、さらにこのようなクラッド層4の
表面上に、(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pを上記電流
経路調整層5として、Zn(II族ドーパント)とSe
(VI族ドーパント)を同時にドープしつつ層厚0.7μ
m程度成長する。
【0114】ここで、AlGaInPを成長する際、II
族ドーパントであるZnとVI族ドーパントであるSeを
同時にドープした場合、その下地半導体結晶の面方位に
よって導電型とキャリア濃度が変化することが知られて
いる。図3は(100)面から(111)A面方向への
オフ角度に対する導電型とキャリア濃度の変化を実験結
果により示しており、図中、○印及び△印はそれぞれ該
オフ角度に対するp型のキャリア濃度、及びn型キャリ
ア濃度を示す。
【0115】この図から分かるように、ドーパントとし
てZnとSeを同時に3×1018cm-3ずつドープして
AlGaInPを成長すると、(311)A面や(11
1)A面上では、キャリア濃度3×1018cm-3のp型
半導体領域が、(100)面上ではキャリア濃度3×1
18cm-3のn型半導体領域が得られる。
【0116】したがって、上記のようにZnとSeを同
時に3×1018cm-3ずつドープしつつ(Al0.7Ga
0.30.5In0.5Pを上記クラッド層4上に成長する
と、該クラッド層4表面の、(111)A面が露出する
領域,つまり基板1の溝形成部分1aに対応する領域で
は、キャリア濃度3×1018cm-3のp型半導体領域が
電流ブロック領域5aとして形成され、該クラッド層4
表面の、(100)面が露出する領域,つまり基板1の
平坦部分1bに対応する領域では、キャリア濃度3×1
18cm-3のn型半導体領域が電流通過領域5bとして
形成される。
【0117】引き続き、該電流経路調整層5上にn型A
0.7Ga0.3Asを電流拡散層6として厚さ5μm程度
に、さらにn型GaAs層7aを厚さ1μm程度にそれ
ぞれSiキャリア濃度が5×1018cm-3となるよう成
長する。
【0118】次に、図2(b)に示すように上記n型コ
ンタクト層7上にAuGe層102aを形成するととも
に、p型基板1の裏面側にp型電極としてのAuZn層
101を形成する。その後、上記n型GaAs層7a及
びAuGe層102を、その上記基板1の溝形成部分1
aの真上に位置する部分が残るよう選択的にエッチング
して、n型GaAsコンタクト層7及びn型電極102
を形成する。これにより発光ダイオード100aが完成
する(図1(a)参照)。
【0119】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長584nmの光度5cdを越えるLED
光が得られた。
【0120】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度3cdを越え
る純緑色発光が得られた。
【0121】本実施例の半導体発光素子100aでは、
p型GaAs基板1上の、活性層3を含む積層構造11
0上に、電流ブロック領域5aとその両側の電流通過領
域5bとからなる電流経路調整層5を形成し、該電流経
路調整層5上に電流拡散層6を介してn型電極102
を、これが上記電流ブロック領域5aの真上に位置する
よう配置したので、活性層3とn型電極102との間で
は上記電流拡散層6により電流がn型電極102の直下
部分からその両側に広がることとなり、しかも電流経路
調整層5では、その電流ブロック領域5aにより、活性
層3の、n型電極102直下の部分には電流が流れにく
くなる。これにより活性層3における発光領域が、その
n型電極直下部分を避けるようその両側部分に広がるこ
ととなり、活性層3で発生したLED光は、発光ダイオ
ード表面のn型電極102が配置されていない領域から
効率よく取り出されることとなる。
【0122】また、電流拡散層6および電流経路調整層
5はそれぞれ(Al0.7Ga0.30. 5In0.5Pから構成
されているため、(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pから
なる活性層3よりバンドギャップが広く、このため、活
性層3からのLED光が電流拡散層6および電流経路調
整層5で吸収されることなく、より光の導出効率を向上
させて、発光ダイオード100aの高輝度化を図ること
ができる。
【0123】また、本実施例では、表面の面方位が(1
00)面であるp型GaAs基板1を、部分的に(11
1)A面が露出するようストライプ状に溝を形成した溝
形成部分1aを有する構造としているため、該基板1上
に形成した、活性層3を含む積層構造110の表面,つ
まり上クラッド層4の表面には、上記基板の溝形成部分
1aに露出する(111)A面及び平坦部分1bの(1
00)面の面方位がそれぞれ現れることとなる。
【0124】しかも本実施例では、該クラッド層4上
に、ドーパントZn及びSeをドープしつつAlGaI
nPを成長しているので、その(100)面上にはSe
によるn型導電型を有する電流ブロック領域5aが形成
され、(111)A面上にはZnによるp型導電型を有
する電流通過領域5bが形成される。このため電流ブロ
ック領域5aを有する電流経路調整層5を形成する工程
で、結晶成長処理が中断されることなく、p型下クラッ
ド層4からn型コンタクト層7までを1回のMOCVD
工程にて成長することができ、製造コストを低減すると
ともに、歩留まりを大幅に向上することができる。
【0125】加えて、発光ダイオードを構成する半導体
積層構造における再成長界面での結晶性により特性や信
頼性が劣化するのを回避することができる。
【0126】つまり従来の発光ダイオードの製造方法で
は、基板上に活性層を含む積層構造及び電流ブロック層
となる半導体層を成長したのち、一旦基板(ウェハ)を
成長装置から出し、該半導体層を選択エッチングして電
流ブロック層を形成し、その後ウェハを再び成長装置内
に入れて、中間バンドギャップ層とその上の電流ブロッ
ク層が露出するウェハ上に電流拡散層を再成長していた
ので、再成長界面の酸化や再成長界面への不純物の混入
などが発生しやすく、再成長界面での結晶性に問題があ
り、特性や信頼性に悪影響を与えていた。
【0127】これに対し、本実施例の発光ダイオードの
製造方法では、発光ダイオードを構成する各半導体層
を、1回のMOCVD成長で製造でき、再成長を必要と
しないため、良好な特性とともに高い信頼性が得られ
る。
【0128】(実施例2)図4は本発明の第2の実施例
による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明するた
めの断面図であり、図において、100bは本実施例の
発光ダイオードで、図1と同一符号は第1の実施例の発
光ダイオード100aと同一のものを示し、この発光ダ
イオード100bは、電流経路調整層5と電流拡散層6
との間に設けられた第2のn型上クラッド層4aを有し
ている点で上記第1の実施例の発光ダイオード100a
と異なっている。
【0129】上記第2のn型上クラッド層4aは、活性
層3と電流経路調整層5との間のn型上クラッド層4と
同様、Siキャリア濃度が5×1017cm-3であるn型
(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pから構成されており、
その層厚は1μm程度となっている。
【0130】本実施例の発光ダイオード100bの製造
方法は、電流経路調整層5を形成した後、その上に第2
のn型上クラッド層4aを形成する点以外は上記第1の
実施例の発光ダイオード100aの製造方法と同じであ
る。
【0131】本実施例による半導体発光素子100bに
順方向に電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流し
たところ、ピーク波長584nmの光度が5.5cdを
越えるLED光が得られた。
【0132】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
3の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50
としたところ、ピーク波長555nmの光度が3.5c
dを越える純緑色発光が得られた。
【0133】このような構成の本実施例では、電流経路
調整層5と電流拡散層6との間に第2のn型上クラッド
層4aを設けているため、電流経路調整層5と活性層3
との間のn型上クラッド層4の層厚を0.5μm程度に
薄くできる。これにより電流経路調整層5の電流ブロッ
ク領域5aにより一旦広がった電流が、該電流ブロック
領域5aの下側に回り込むのを抑制でき、活性層3のn
型電極102直下の部分へ流れ込む電流を減少させるこ
とが可能となる。この結果、活性層3のn型電極直下部
分以外の領域での発光量が増加し、上記第1の実施例の
発光ダイオード100aに比べてさらに光の導出効率を
向上させることができる。
【0134】(実施例3)図5は本発明の第3の実施例
による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明するた
めの断面図であり、図において、100cは本実施例の
発光ダイオードで、この発光ダイオード100cでは、
第1実施例における電流拡散層6を、その内部に形成さ
れた第2の電流経路調整層105を有する電流拡散層1
06としており、該第2の電流拡散層105は、上記第
1の実施例における電流経路調整層5と同様、n型電極
102の直下に位置する電流ブロック領域105aと、
該電流ブロック領域105aの両側に位置する電流通過
領域105bとから構成されている。
【0135】該第2の電流経路調整層105も、Zn及
びSeをドープした層厚0.7μmの(Al0.7
0.30.5In0.5P層からなり、該電流経路調整層1
05の電流ブロック領域105aは、上記基板1の溝形
成領域1aの真上に位置し、該基板1の溝1a1の斜面
の面方位である(111)A面に基づいて、ドーパント
Znによるp型の導電型を示すキャリア濃度3×1018
cm-3の領域となっている。また、上記電流経路調整層
105の電流通過領域105bは、上記基板1の平坦部
分1bの上側に位置し、該平坦部分の1bの面方位であ
る(100)面に基づいて、ドーパントSeによるn型
の導電型を示すキャリア濃度3×1018cm-3の領域と
なっている。
【0136】なお、106a及び106bはそれぞれ上
記電流拡散層106の、第2の電流経路調整層105の
下側の部分、及び上側の部分であり、該電流拡散層10
6の下側部分106aの層厚は2.5μm、その上側部
分106bの層厚は2.5μmとなっている。
【0137】また、本実施例の発光ダイオード100c
の製造方法は、電流拡散層を成長する途中で、第2の電
流経路調整層105を形成する点以外は上記第1の実施
例の発光ダイオード100aの製造方法と同じである。
【0138】本実施例による発光ダイオード100cに
順方向に電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流し
たところ、ピーク波長584nmの光度が5.1cdを
越えるLED光が得られた。
【0139】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が3.2cd
を越える純緑色発光が得られた。
【0140】このような構成の本実施例では、n型上ク
ラッド層4と電流拡散層106との間に設けられた電流
経路調整層5に加えて、n型電流拡散層106の内部に
形成された第2の電流経路調整層105を備えたので、
n型電極102と活性層3との間を流れる電流は、電流
経路調整層5と第2の電流経路調整層105の電流ブロ
ック領域5a及び105の2箇所でブロックされて、活
性層3のn型電極直下の領域の外側に広がることとな
り、活性層3に流れ込む電流をより一層広い範囲に拡散
させることができる。これにより活性層3のn型電極直
下部分及びその近傍での発光量が減少して、その減少し
た分、活性層3のn型電極直下部分から離れた部分での
発光量が増加し、光の導出効率を向上させることができ
る。
【0141】(実施例4)図6は本発明の第4の実施例
による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明するた
めの断面図であり、図において、100dは本実施例の
発光ダイオードで、この発光ダイオード100dでは基
板としてn型GaAs基板51を用いており、このn型
GaAs基板51上に、電流をブロックするp型半導体
領域(電流ブロック領域)55aと、電流を通過させる
n型半導体領域(電流通過領域)55bとからなる電流
経路調整層55が設けられている。
【0142】そしてこの電流経路調整層55上には、そ
の表面上にn型下クラッド層52,活性層53及びp型
上クラッド層54を順次成長してなる、ダブルヘテロ接
合部を有する積層構造150が配設されている。
【0143】またこの積層構造150上には、p型電流
拡散層56を介してn型GaAsコンタクト層57が設
けられ、該コンタクト層57上には、AuZnからなる
p型電極151が配置されている。また上記n型GaA
s基板51の裏面側には全面に、AuGeからなるn型
電極152が形成されている。
【0144】ここで、上記n型GaAs基板51は、上
記第1実施例のp型GaAs基板1と同様、その中央の
直径200μmの円形状領域(溝形成部分)51aに
は、深さ4.3μm、幅6μmのV型溝51a1がスト
ライプ状に複数形成されており、該基板51の、溝形成
部分51a以外の領域は、表面が平坦な平坦部分51b
となっている。上記基板51の平坦部分51bはその表
面の面方位が(100)面となっており、上記V型溝5
1a1の傾斜面の面方位は(111)A面とな ってい
る。
【0145】また、上記電流経路調整層55の構成材料
は(AlxGa1-x1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦
1)であり、その組成比はx,yはx=0.70、y=
0.50、その層厚は0.7μmとなっている。この電
流経路調整層55にはII族ドーパントとしてZnが、V
族ドーパントとしてSeがドープされている。該電流経
路調整層55の電流ブロック領域55aは、上記基板5
1の溝形成領域51aの真上に位置し、該基板51の溝
51a1の斜面の面方位である(111)A面に基づい
て、ドーパントZnによるp型の導電型を示すキャリア
濃度3×1018cm-3の領域となっている。また、上記
電流経路調整層55の電流通過領域55bは、上記基板
51の平坦部分51b上に位置し、該平坦部分51bの
面方位である(100)面に基づいて、ドーパントSe
によるn型の導電型を示すキャリア濃度3×1018cm
-3の領域となっている。
【0146】また、上記下クラッド層52,活性層53
及び上クラッド層54はそれぞれ、(AlxGa1-x
1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦1)からなり、この
下クラッド層52及び上クラッド層54では、例えばそ
の組成比x,yがx=0.70,y=0.50、その層
厚が1.0μmとなっており、下クラッド層52のSi
キャリア濃度は5×1017cm-3、上クラッド層54の
Znキャリア濃度は1×1018cm-3となっている。該
活性層53では、例えば組成比x,yはx=0.30、
y=0.50、その層厚は0.50μmとなっている。
【0147】さらに上記電流拡散層56は、p型Alx
Ga1-xAs(0≦x≦1)からなり、その組成比xが
x=0.70となっており、5μmの層厚を有してい
る。またこのp型電流拡散層56及び上記p型GaAs
コンタクト層57ではそれぞれZnキャリア濃度が3×
1018cm-3となっている。
【0148】次に製造方法について簡単に説明する。
【0149】まず、第1の実施例の発光ダイオードの製
造方法と同様に、n型GaAs基板51表面の直径20
0μmの円形領域に、エッチング処理により、斜面の面
方位が例えば(111)A面である深さ4.3μm、幅
6μmの溝51a1を複数ストライプ状に形成する(図
1(b),(c)参照)。
【0150】次に、該エッチング処理を施した基板1上
にMOCVD法を用いて1回の結晶成長工程により上記
各半導体層55,52〜54,56を形成する。
【0151】すなわち、上記エッチング処理の後、基板
51上に(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pを上記電流経
路調整層55として、Zn(II族ドーパント)とSe
(VI族ドーパント)を同時にドープしつつ層厚0.7μ
m程度成長する。この時、該基板51表面の、(11
1)A面が露出する領域,つまり基板51の溝形成部分
51a上には、Znキャリア濃度3×1018cm-3のp
型半導体領域が電流ブロック領域55aとして形成さ
れ、該基板51表面の、(100)面が露出する領域,
つまり基板1の平坦部分1b上には、Seキャリア濃度
3×1018cm-3のn型半導体領域が電流通過領域55
bとして形成される。
【0152】その後は、該電流経路調整層55上に、
(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pの成長を、その導電型
及び層厚を制御して行い、これによりn型下クラッド層
52から電流拡散層56までを成長し、さらにその上に
p型GaAs層を成長する。
【0153】次に、該p型GaAs層上にAuZn層を
形成するとともに、n型基板51の裏面側にn型電極と
してのAuGe層152を形成する。その後、上記p型
GaAs層及びその上のAuZn層を、上記基板51の
溝形成部分51aの真上に位置する部分が残るよう選択
的にエッチングして、p型GaAsコンタクト層57及
びp型電極151を形成する。これにより発光ダイオー
ド100dが完成する(図6参照)。
【0154】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長584nmの光度が5.4cdを越える
LED光が得られた。
【0155】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が3.3cd
を越える純緑色発光が得られた。
【0156】このような構成の本実施例では、第1の実
施例と同様、電流経路調整層及び電流拡散層によりLE
D光の導出効率を向上することができる。また発光ダイ
オードを構成する半導体層を1回の結晶成長工程により
連続して形成できることから、製造工程が簡略化されて
コストダウンや歩留まりの向上を図ることができるとと
もに、結晶成長がエッチング処理等のために中断される
こともなくなって、再成長界面の結晶性の劣化を回避し
て、発光ダイオードの特性や信頼性を高く保持すること
ができる。
【0157】さらに本実施例では、発光ダイオードの基
板としてn型のものを用いているため、p型の電流ブロ
ック領域55aとn型の電流通過領域55bからなる電
流経路調整層55を、上記積層構造150下側の基板5
1表面上に配置することができる。このため、電流経路
調整層55を成長する際の下地結晶の面方位がだれるこ
とがなく、該下地結晶の面方位によるp型電流ブロック
領域55aとn型電流通過領域55bとの選択成長を、
各領域でのキャリア濃度を十分大きくして良好に行うこ
とができる。この結果、電流経路調整層55の働きがよ
り効果的なものとなり、活性層55のp型電極151直
下部分以外での発光量が増加し、さらに光の導出効率を
向上させることができる。
【0158】(実施例5)図7は本発明の第5の実施例
による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明するた
めの断面図であり、図において、100eは本実施例の
発光ダイオードで、図6と同一符号は第4の実施例の発
光ダイオード100dと同一のものを示し、この発光ダ
イオード100eは、n型GaAs基板51と電流経路
調整層55との間に設けられた第2のn型下クラッド層
52aを有している点で上記第4の実施例の発光ダイオ
ード100dと異なっている。
【0159】上記第2のn型下クラッド層52aは、活
性層53と電流経路調整層55との間のn型下クラッド
層52と同様、Siキャリア濃度が5×1017cm-3
あるn型(Al0.7Ga0.30.5In0.5P層から構成さ
れており、その層厚は0.5μm程度となっている。
【0160】本実施例の発光ダイオード100eの製造
方法は、電流経路調整層5を形成する前に、基板51上
に第2のn型下クラッド層52aを形成する点以外は上
記第1の実施例の発光ダイオード100dの製造方法と
同じである。
【0161】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長584nmの光度が5.8cdを越える
LED光が得られた。
【0162】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が3.5cd
を越える純緑色発光が得られた。
【0163】このような構成の本実施例では、n型Ga
As基板51を電流経路調整層55との間に第2のn型
下クラッド層52aを設けているため、電流経路調整層
55と活性層53との間のn型下クラッド層52の層厚
を0.5μm程度に薄くできる。これにより電流経路調
整層55の電流ブロック領域55aにより一旦広がった
電流が、該電流ブロック領域55aの上側に回り込むの
を抑制でき、活性層53のp型電極151直下の部分へ
流れ込む電流を減少させることが可能となる。この結
果、活性層53のp型電極直下部分以外の領域での発光
量が増加し、上記第4の実施例の発光ダイオード100
dに比べてさらに光の導出効率を向上させることができ
る。
【0164】(実施例6)図8は本発明の第6の実施例
による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明するた
めの断面図であり、図において、100fは本実施例の
発光ダイオードで、図1と同一符号は第1の実施例の発
光ダイオード100aと同一のものを示し、この発光ダ
イオード100fは、p型GaAs基板1と、ダブルヘ
テロ接合部を有する積層構造110との間に配置され、
活性層3からp型基板1へ向かうLED光を活性層3側
へ反射するp型反射層120を備えており、その他の構
成は、上記第1の実施例の発光ダイオード100aと同
一である。
【0165】上記p型反射層120は、層厚0.01μ
mのGaAs層と層厚0.005μmのAlInP層と
を交互に10対積層してなるもので、その層厚は0.1
5μm程度となっている。
【0166】本実施例の発光ダイオード100fの製造
方法は、p型下クラッド層2を形成する前に、p型Ga
As基板1上に上記p型反射層120を形成する点以外
は上記第1の実施例の発光ダイオード100aの製造方
法と同じである。
【0167】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長585nmの光度が6cdを越えるLE
D光が得られた。
【0168】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が4cdを越
える純緑色発光が得られた。
【0169】このような構成の本実施例では、p型基板
1とダブルヘテロ接合部を有する積層構造110との間
に、活性層3からp型基板1へ向かうLED光を活性層
3側へ反射する反射層120を設けているため、活性層
で発光したLED光のうち、基板側に向かう光は、該積
層構造110に比べて屈折率の高いp型GaAs基板1
に吸収されることはなく、第1の実施例の発光ダイオー
ド100aに比べてさらに光の導出効率を向上させるこ
とができる。
【0170】なお、本実施例では反射層120を、Ga
As層とInAlP層を組み合わせて構成したが、該反
射層120を構成する半導体材料の組み合わせはこれに
限るものではなく、活性層3からp型基板1へ向かうL
ED光を活性層3側へ反射するものであれば、他の半導
体材料からなるものでもよいことは言うまでもない。
【0171】(実施例7)図9は本発明の第7の実施例
による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明するた
めの断面図であり、図において、100gは本実施例の
発光ダイオードで、この発光ダイオード100gは、第
1の実施例の発光ダイオード100aにおけるAl0.7
Ga0.3As電流拡散層6に代えて、Siキャリア濃度
5×1018cm-3のn型GaP電流拡散層76を用い、
該電流拡散層76上に直にn型電極102を、上記基板
1の溝形成部分1aと対向するよう配置したものであ
る。その他の構成は図1に示す第1の実施例の発光ダイ
オード100aと同一である。
【0172】本実施例の発光ダイオード100gの製造
方法は、電流経路調整層5上には、電流拡散層76とし
てGaPを成長し、その上に直にAuGe層を成長し、
該AuGe層をその基板1の溝形成部分1aと対向する
部分が残るよう選択的にエッチングしてn型電極102
を形成する点が上記第1の実施例の発光ダイオード10
0aの製造方法と異なっている。
【0173】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長585nmの光度が6cdを越える発光
が得られた。
【0174】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度4cdを超え
る純緑色発光が得られた。
【0175】このような構成の本実施例では、n型電流
拡散層76を、バンドギャップがAl0.7Ga0.3Asよ
り大きいGaPにより構成しているため、n型電流拡散
層6をAl0.7Ga0.3Asにより構成している第1の実
施例1の発光ダイオード100aに比べて、活性層から
の光の電流拡散層での吸収が減少し、より光の導出効率
を向上させ、半導体発光素子の高輝度化を図ることがで
きる。
【0176】また、GaP電流拡散層76上には直接n
型電極(AuGe)を設けることができるため、コンタ
クト層が不要となり工程も少なくできる。
【0177】(実施例8)図10は本発明の第8の実施
例による発光ダイオードを説明するための図であり、図
10(a)は該発光ダイオードの構造を示す断面図、図
10(b)は、発光ダイオードを構成する基板の構造を
示す断面図である。
【0178】図において、100hは本実施例の発光ダ
イオードで、そのn型GaAs基板31上には、その表
面上にn型下クラッド層32,活性層33及びp型上ク
ラッド層34を順次成長してなる、ダブルヘテロ接合部
を有する積層構造130が配設されている。そして本実
施例では、この積層構造130のp型クラッド層34上
には、電流をブロックするp型半導体領域(電流ブロッ
ク領域)35aと、電流を通過させるn型半導体領域
(電流通過領域)35bとからなる電流経路調整層35
が設けられており、さらに該電流経路調整層35上に第
2のp型上クラッド層34aが配置されている。このp
型上クラッド層34a上にはp型GaAsコンタクト層
37が、上記電流経路調整層35の電流ブロック領域3
5aの真上に位置するよう設けられ、該コンタクト層3
7上には、AuZnからなるp型電極131が配置され
ている。また上記n型GaAs基板31の裏面側には全
面に、AuGeからなるn型電極132が形成されてい
る。
【0179】ここで、上記n型GaAs基板31は、そ
の中央の直径200μmの円形状領域31aは表面が平
坦な平坦部分となっており、該基板表面の平坦部分31
a以外の領域は、深さ2.3μm、幅10μmのV型溝
31b1がストライプ状に複数形成された溝形成部分3
1bとなっている。上記基板31の平坦部分31aはそ
の表面の面方位が(100)面となっており、上記V型
溝31b1の傾斜面の面方位は(311)A面となって
いる。
【0180】また、上記下クラッド層32,活性層33
及び上クラッド層34はそれぞれ、(AlxGa1-x
1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦1)からなり、この
下クラッド層32及び上クラッド層34では、例えばそ
の組成比x,yがx=0.70,y=0.50、その層
厚が1.0μmとなっており、下クラッド層32のSi
キャリア濃度は1×1018cm-3、上クラッド層34の
Znキャリア濃度は1×1018cm-3となっている。該
活性層33では、例えば組成比x,yはx=0.30、
y=0.50、その層厚は0.50μmとなっている。
【0181】また、上記電流経路調整層35の構成材料
も(AlxGa1-x1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦
1)であり、その組成比はx,yはx=0.70、y=
0.50、その層厚は0.7μmとなっている。この電
流経路調整層35にはII族ドーパントとしてZnが、V
族ドーパントとしてSeがドープされている。該電流経
路調整層35の電流ブロック領域35aは、上記基板3
1の平坦部分31aの真上に位置し、該平坦部分の31
aの面方位である(100)面に基づいて、ドーパント
Seによるn型の導電型を示すキャリア濃度3×1018
cm-3の領域となっている。また、上記電流経路調整層
35の電流通過領域35bは、上記基板31の溝形成部
分31bの上側に位置し、該基板31の溝31b1の斜
面の面方位である(311)A面に基づいて、ドーパン
トZnによるp型の導電型を示すキャリア濃度3×10
18cm-3の領域となっている。
【0182】さらに上記第2の上クラッド層34aは、
上記電流経路調整層35と活性層33との間の上クラッ
ド層34と同様、Znキャリア濃度が1×1018cm-3
であるp型(Al0.7Ga0.30.5In0.5P層からな
り、その層厚は1μm程度となている。また上記p型G
aAsコンタクト層37では、Znキャリア濃度が1×
1018cm-3、層厚が1μmとなっている。
【0183】次に製造方法について説明する。
【0184】まず、n型GaAs基板31の表面に、そ
の直径200μmの円形領域31aを除いてエッチング
処理を施して、斜面の面方位が例えば(311)A面で
ある深さ2.3μm、幅10μmの溝31b1を複数ス
トライプ状に形成する(図10(b)参照)。
【0185】次に、該エッチング処理を施した基板31
上にMOCVD法を用いて1回の結晶成長工程により上
記各半導体層32〜35,34a,37を形成する。
【0186】すなわち、上記エッチング処理の後、基板
31上にn型(Al0.7Ga0.30. 5In0.5Pをn型下
クラッド層32として、Siキャリア濃度が1×1018
cm-3となるよう厚さ1.0μm程度に成長する。続い
て、(Al0.3Ga0.70.5In0.5Pを活性層33とし
て0.50μm程度の厚さに形成し、さらにその上にp
型(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pをp型上クラッド層
34として、Znキャリア濃度が1×1018cm-3とな
るよう層厚1μm程度に成長する。この時、上記基板3
1の表面形状は概ねその上に成長される半導体層に受け
継がれることとなり、上記p型上クラッド層34の表面
の、上記基板31の溝形成部分31bに対応する領域に
は、斜面の面方位が(311)A面である溝が複数形成
されており、また該クラッド層34の表面の、基板31
の平坦部分31aに対応する領域は、その面方位が(1
00)面である平坦な領域となっている。
【0187】そして、さらにこのようなp型クラッド層
34の表面上に、(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pを上
記電流経路調整層35として、Zn(II族ドーパント)
とSe(VI族ドーパント)を同時にドープしつつ層厚
0.7μm程度成長する。
【0188】このとき、上記第1の実施例で説明したよ
うに、該クラッド層34表面の、(311)A面が露出
する領域,つまり基板31の溝形成部分31bに対応す
る領域では、キャリア濃度3×1018cm-3のp型半導
体領域が電流通過領域35bとして形成され、該クラッ
ド層34表面の、(100)面が露出する領域,つまり
基板31の平坦部分31aに対応する領域では、キャリ
ア濃度3×1018cm-3のn型半導体領域が電流ブロッ
ク領域35aとして形成される。
【0189】引き続き、該電流経路調整層35上にp型
(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pを第2のp型上クラッ
ド層34aとして、Znキャリア濃度が1×1018cm
-3となるよう厚さ1μm程度に成長し、さらにp型Ga
As層を厚さ1μm程度にZnキャリア濃度が3×10
18cm-3となるよう成長する。
【0190】次に、上記p型GaAs層上にAuZn層
を形成するとともに、n型基板31の裏面側にn型電極
としてのAuGe層132を形成する。その後、上記p
型GaAs層及びAuZn層を、上記基板31の平坦部
分31aの真上に位置する円形状部分が残るよう選択的
にエッチングして、p型GaAsコンタクト層37及び
p型電極131を形成する。これにより発光ダイオード
100hが完成される(図10(a)参照)。
【0191】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長585nmの光度が4cdを越えるLE
D光が得られた。
【0192】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が2cdを越
える純緑色発光が得られた。
【0193】本実施例の半導体発光素子100hでは、
n型GaAs基板31上の、活性層33を含む積層構造
130上に、電流ブロック領域35aと電流通過領域3
5bとからなる電流経路調整層35を形成し、該電流経
路調整層35上に第2のp型上クラッド層34a及びp
型コンタクト層37を介してp型電極131を、これが
上記電流ブロック領域35aの真上に位置するよう配置
したので、活性層33とp型電極131との間では電流
経路調整層35の電流ブロック領域35aにより、活性
層33の、p型電極131直下の部分には電流が流れに
くくなる。これにより活性層33における発光領域が、
そのp型電極直下部分を避けるようその周辺部分に広が
ることとなり、活性層33で発生したLED光は、発光
ダイオード表面のp型電極131が配置されていない領
域から効率よく取り出されることとなる。
【0194】また、電流経路調整層35及び第2のp型
上クラッド層34a等は(Al0.7Ga0.30.5In0.5
Pから構成されているため、(Al0.3Ga0.70.5
0.5Pからなる活性層33よりバンドギャップが広
く、このため、活性層33からのLED光が上記電流経
路調整層35や第2の上クラッド層34aで吸収される
ことはない。これにより、光の導出効率をより向上させ
て、発光ダイオード100hの高輝度化を図ることがで
きる。
【0195】また、本実施例では、n型GaAs基板3
1の(100)面に、所定の円形状領域を除いて(31
1)A面が露出するよう選択的にエッチングを施して、
溝31b1をストライプ状に複数形成しているため、該
基板31上に形成した、活性層33を含む積層構造13
0の表面,つまり上クラッド層34の表面には、上記基
板の溝形成部分31bに露出する(311)A面、及び
平坦部分31aの(100)面の面方位がそれぞれ現れ
ることとなる。
【0196】また、素子表面の、電流経路調整層35の
電流通過領域35bに対応する領域は、基板31の溝形
成領域31bの表面形状が反映されて凸凹形状になって
いるため、活性層33の、上記電流通過領域35直下の
領域である発光領域から素子表面に臨界角以上で入射す
るLED光の割合が減少し、素子表面からの光の取り出
し効率が向上する。また上記活性層33の発光領域も凸
凹形状になっているため、発光領域が平坦である場合に
比べて発光面積が増大することとなり、光の導出効率が
増加する。
【0197】さらに、基板31の溝形成部分31bで
は、その溝31b1の斜面に(311)A面が現れるた
め、この部分31b上にAlGaInP混晶半導体系材
料を成長しても自然超格子が形成されることはなく、ま
た本実施例では、該溝形成部分31b上に電流経路調整
層35の電流通過領域35bが位置する。このため活性
層33としてAlGaInP混晶半導体系材をMOCV
D法により成長しても、該活性層の、上記電流通過領域
35bに対応した発光領域では、自然超格子が形成され
ることはなく、自然超格子によるLED光の長波長化を
回避することができる。このため、設定波長のLED光
が得られるようAlの組成比を増加する必要がなくな
り、高輝度で、信頼性の高い発光ダイオードを得ること
ができる。
【0198】しかも本実施例では、該クラッド層34上
に、ドーパントZn及びSeをドープしつつAlGaI
nPを成長しているので、その(100)面上にはSe
によるn型導電性を有する電流ブロック領域35aが形
成され、(311)A面上にはZnによるp型導電性を
有する電流通過領域35bが形成される。このため電流
ブロック領域35aを有する電流経路調整層35を形成
する工程で、結晶成長処理が中断されることなく、n型
下クラッド層34からn型コンタクト層37までを1回
のMOCVD工程にて成長することができ、製造コスト
を低減するとともに、歩留まりを大幅に向上することが
できる。
【0199】加えて、発光ダイオードを構成する半導体
積層構造における再成長界面での結晶性により特性や信
頼性か劣化するのを回避することができる。
【0200】さらには本実施例では、上記第1ないし第
7の実施例とは異なり、素子表面の、電極が配置されて
いる部分は平坦になっているため、該p型電極131の
表面は平坦になり、該p型電極131とこれにボンディ
ングされるワイヤとの接着性を、その密着強度が強く良
好なものとできる。
【0201】(実施例9)図11は本発明の第9の実施
例による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明する
ための断面図であり、図において、100iは本実施例
の発光ダイオードで、この発光ダイオード100iは上
記第8の実施例の発光ダイオード100hにおける第2
のp型上クラッド層34aに代えて、p型電流拡散層1
56を備えたものである。該p型電流拡散層156はA
0.7Ga0.3Asからなり、そのZnキャリア濃度は5
×1018cm-3、層厚は5μmとなっている。またここ
では、該電流拡散層156上に配置されているp型Ga
Asコンタクト層37のZnキャリア濃度は5×1018
cm-3となっている。
【0202】その他の構成は、上記第8の実施例の発光
ダイオード100hと同一である。本実施例の発光ダイ
オード100iの製造方法では、電流経路調整層35を
形成した後、その上に第2のp型(Al0.7Ga0.3
0.5In0.5P上クラッド層34aではなく、p型Al
0.7Ga0.3As電流拡散層156を形成する。その他の
工程は上記第8の実施例の発光ダイオード100hの製
造方法と同じである。
【0203】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長585nmの光度が5cdを越えるLE
D光が得られた。
【0204】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が2.5cd
を越える純緑色発光が得られた。
【0205】このような構成の本実施例では、電流経路
調整層35上にp型電流拡散層156を設けているた
め、該p型電流拡散層156によっても電流を広げるこ
とができ、活性層33の、p型電極131に対応する部
分以外のより広域での発光が可能となる。これにより光
の導出効率を向上させ、半導体発光素子の高輝度化を図
ることができる。
【0206】また、上記Al0.7Ga0.3As電流拡散層
156は(Al0.3Ga0.70.5In0.5活性層33より
もバンドギャップが広くなっているため、活性層からの
光が電流拡散層156で吸収されるのを回避でき、さら
なる光の導出効率の向上、及び半導体発光素子の高輝度
化を図ることができる。
【0207】(実施例10)図12は本発明の第10の
実施例による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明
するための断面図であり、図において、100jは本実
施例の発光ダイオードで、この発光ダイオード100j
では、第9実施例における電流拡散層156を、その内
部に形成された第2の電流経路調整層135を有する電
流拡散層136としており、該第2の電流経路調整層1
35は、上記第9の実施例における電流経路調整層35
と同様、p型電極131の直下に位置する電流ブロック
領域135aと、該電流ブロック領域135aの周囲に
位置する電流通過領域135bとから構成されている。
またここでは、n型GaAs基板31の溝形成部分31
bに形成した溝31b1の斜面の面方位は(111)A
面としている。
【0208】該第2の電流経路調整層135も、Zn及
びSeをドープした(Al0.7Ga0 .30.5In0.5P層
からなり、該電流経路調整層135の電流通過領域13
5bは、上記基板31の溝形成部分31bの上方に位置
し、該基板31の溝31b1の斜面の面方位である(1
11)A面に基づいて、ドーパントZnによるp型の導
電型を示すキャリア濃度3×1018cm-3の領域となっ
ている。また、上記電流経路調整層135の電流ブロッ
ク領域135aは、上記基板31の平坦部分31aの真
上に位置し、該平坦部分の31aの面方位である(10
0)面に基づいて、ドーパントSeによるn型の導電型
を示すキャリア濃度3×1018cm-3の領域となってい
る。
【0209】なお、136a及び136bはそれぞれ上
記電流拡散層136の、第2の電流経路調整層135の
下側の部分、及び上側の部分であり、該電流拡散層13
6の下側部分136aの層厚は2.5μm、その上側部
分136bの層厚は2.5μmとなっている。
【0210】また、本実施例の発光ダイオード100j
の製造方法は、電流拡散層136を成長する途中で、第
2の電流経路調整層135を形成する点以外は上記第9
の実施例の発光ダイオード100iの製造方法と同じで
ある。
【0211】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長585nmの光度が6cdを越えるLE
D光が得られた。
【0212】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が3cdを越
える純緑色発光が得られた。
【0213】このような構成の本実施例では、p型上ク
ラッド層34とp型電流拡散層136との間に設けられ
た電流経路調整層35に加えて、p型電流拡散層136
の内部に形成された第2の電流経路調整層135を備え
たので、p型電極131と活性層33との間を流れる電
流は、電流経路調整層35と第2の電流経路調整層13
5の電流ブロック領域35a及び135aの2箇所でブ
ロックされて、活性層33のp型電極直下の領域の外側
に広がることとなり、活性層33に流れ込む電流をより
一層広い範囲に拡散させることができる。これにより活
性層33のp型電極直下部分及びその近傍での発光量が
減少して、その減少した分、活性層33のp型電極直下
部分から離れた部分での発光量が増加し、光の導出効率
を向上させることができる。
【0214】また、本実施例の発光ダイオードの製造方
法では、該発光ダイオードを構成する複数の半導体層を
1回のMOCVD成長工程により成長するため、該半導
体層の成長中に再成長が行われることはない。このため
3つ以上の電流経路調整層を有する発光ダイオードを容
易に実現でき、この際、電流経路調整層は活性層33の
上側ならばどの部分に設けてもよい。
【0215】(実施例11)図13は本発明の第11の
実施例による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明
するための断面図であり、図14は該発光ダイオードの
製造工程の一部を説明するための図であり、図14
(a)は該発光ダイオードの基板の断面図、図14
(b)は該基板上に電流経路調整層を形成した状態を示
す断面図である。図において、100kは本実施例の発
光ダイオードで、この発光ダイオード100kでは基板
としてp型GaAs基板71を用いており、このp型G
aAs基板71上に、電流をブロックするn型半導体領
域(電流ブロック領域)75a,75b2,75b3と、
電流を通過させるp型半導体領域(電流通過領域)75
b1とからなる電流経路調整層75が設けられている。
【0216】そしてこの電流経路調整層75上には、そ
の表面上にp型下クラッド層74,活性層73及びn型
上クラッド層72を順次成長してなる、ダブルヘテロ接
合部を有する積層構造170が配設されている。
【0217】またこの積層構造170上には、n型Ga
Asコンタクト層77が設けられ、該コンタクト層77
上には、AuGeからなるn型電極132が配置されて
いる。また上記p型GaAs基板71の裏面側には全面
に、AuZnからなるp型電極131が形成されてい
る。
【0218】ここで、上記p型GaAs基板71は、上
記第8実施例のn型GaAs基板31と同様、その中央
の直径200μmの円形状平坦部分71aを除く、溝形
成部分71bには、底面71b1と斜面71b2とを有す
る、深さ5μm、幅15μmの溝71b0が所定間隔で
ストライプ状に複数形成されている。上記基板71の平
坦部分71a、溝71b0の底面、及び隣接する溝71
b0間の表面部分71b3はその表面の面方位が(10
0)面となっており、上記溝71b0の傾斜面71b1の
面方位は(111)A面となっている。
【0219】また、上記電流経路調整層75の構成材料
は(AlxGa1-x1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦
1)で、その組成比はx,yはx=0.70、y=0.
50であり、その層厚は1μmとなっている。この電流
経路調整層75にはII族ドーパントとしてZnが、V族
ドーパントとしてSeがドープされている。該電流経路
調整層75の電流ブロック領域75aは、上記基板71
の平坦部分75aの真上に位置し、該平坦部分71aの
面方位である(100)面に基づいて、ドーパントSe
によるn型の導電型を示すキャリア濃度3×1018cm
-3の領域となっている。また、該電流経路調整層75の
電流ブロック領域75b2,75b3はそれぞれ溝71b
0の底面、及び隣接する溝71b0間の表面部分71b3
の真上に位置し、これらの面の面方位(100)に基づ
いて、ドーパントSeによるn型の導電型を示すキャリ
ア濃度3×1018cm-3の領域となっている。
【0220】また、上記電流経路調整層75の電流通過
領域75b1は、該基板71の溝71b0の斜面71b1
の面方位である(111)A面に基づいて、ドーパント
Znによるp型の導電型を示すキャリア濃度3×1018
cm-3の領域となっている。
【0221】また、上記下クラッド層74,活性層73
及び上クラッド層72はそれぞれ、(AlxGa1-x
1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦1)からなり、この
下クラッド層74及び上クラッド層72では、例えばそ
の組成比x,yがx=0.70,y=0.50、その層
厚がそれぞれ1.0μm,3.0μmとなっており、下
クラッド層74のZnキャリア濃度は1×1018
-3、上クラッド層72のSiキャリア濃度は1×10
18cm-3となっている。該活性層73では、例えば組成
比x,yはx=0.30、y=0.50、その層厚は
0.50μmとなっている。
【0222】さらに、上記n型GaAsコンタクト層7
7ではSiキャリア濃度が3×1018cm-3、層厚が1
μmとなっている。
【0223】次に製造方法について簡単に説明する。
【0224】まず、p型GaAs基板71の表面に、そ
の直径200μmの円形領域71aを除いてエッチング
処理を施して、斜面71b1の面方位が例えば(11
1)A面、底面の面方位が(100)である深さ5μ
m、幅15μmの溝71b0を複数ストライプ状に形成
する(図14(a)参照)。
【0225】次に、該エッチング処理を施した基板71
上にMOCVD法を用いて1回の結晶成長工程により上
記各半導体層75,72〜74,77を形成する。
【0226】すなわち、上記エッチング処理の後、基板
71上に(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pを上記電流経
路調整層75として、Zn(II族ドーパント)とSe
(VI族ドーパント)を同時にドープしつつ層厚1μm程
度成長する。この時、該基板71表面の、(100)面
が露出する領域,つまり基板71の平坦部分71a,溝
71b0の底面71b2、及び隣接する溝71b0間の表
面部分71b3上には、Seキャリア濃度3×1018
-3のn型半導体領域が電流ブロック領域75a,75
b2,75b3として形成され、該基板71表面の、(1
11)A面が露出する領域,つまり基板1の溝71b0
の斜面71b1上には、Znキャリア濃度3×1018
-3のp型半導体領域が電流通過領域75b1として形
成される。
【0227】その後は、該電流経路調整層75上に、
(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pの成長を、その導電型
及び層厚を制御して行い、これによりp型下クラッド層
74からn型上クラッド層72までを成長し、さらにそ
の上にn型GaAs層を成長する。
【0228】次に、該n型GaAs層上にAuGe層を
形成するとともに、p型基板71の裏面側にp型電極と
してのAuZn層131を形成する。その後、上記n型
GaAs層及びその上のAuGe層を、上記基板71の
平坦部分71aの真上に位置する部分が残るよう選択的
にエッチングして、n型GaAsコンタクト層77及び
n型電極132を形成する。これにより発光ダイオード
100kが完成する(図13参照)。
【0229】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長584nmの光度が7cdを越えるLE
D光が得られた。
【0230】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が3.5cd
を越える純緑色発光が得られた。
【0231】このような構成の本実施例では、上記各実
施例と同様、電流経路調整層及び電流拡散層によりLE
D光の導出効率を向上することができる。また発光ダイ
オードを構成する半導体層を1回の結晶成長工程により
連続して形成できることから、製造工程が簡略化されて
コストダウンや歩留まりの向上を図ることができるとと
もに、結晶成長がエッチング処理等のために中断される
こともなくなって、再成長界面の結晶性の劣化を回避し
て、発光ダイオードの特性や信頼性を高く保持すること
ができる。
【0232】さらに本実施例では、発光ダイオードの基
板としてp型のものを用いているため、n型の電流ブロ
ック領域75a,75b2,75b3とp型の電流通過領
域75b1からなる電流経路調整層75を、上記積層構
造170下側の基板71表面上に配置することができ
る。このため、電流経路調整層75を成長する際の下地
結晶の面方位がだれることがなく、該下地結晶の面方位
による電流ブロック領域75a,75b2,75b3と電
流通過領域75b1との選択成長を、各領域でのキャリ
ア濃度を十分大きくして良好に行うことができる。この
結果、電流経路調整層75の働きがより効果的なものと
なり、活性層73のn型電極132直下部分以外での発
光量が増加し、さらに光の導出効率を向上させることが
できる。
【0233】また、本実施例では、p型基板71の表面
の溝71b0を、面方位が(100)面の底面71b2を
有する構造とし、しかも隣接する溝71b0間の領域7
1b3も(100)面が露出するようにし、電流経路調
整層75を、n型電極132の直下部分のn型電流ブロ
ック領域75aだけでなく、n型電極132の直下部分
の周辺にもn型電流ブロック領域75b2,75b3が分
散して位置する構造としているため、p型電極直下の電
流ブロック領域75aでブロックされて周辺に広がった
電流を、周辺の電流ブロック領域75b2,75b3によ
りさらに広い範囲に広げることができる。
【0234】(実施例12)図15は本発明の第12の
実施例による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明
するための断面図であり、図において、100mは本実
施例の発光ダイオードで、この発光ダイオード100m
では基板としてn型GaAs基板81を用いており、こ
のn型GaAs基板81上に、電流をブロックするn型
半導体領域(電流ブロック領域)85aと、電流を通過
させるp型半導体領域(電流通過領域)85bとからな
る電流経路調整層85が設けられている。
【0235】そしてこの電流経路調整層85上には、そ
の表面上にp型下クラッド層84,活性層83及びn型
上クラッド層82を順次成長してなる、ダブルヘテロ接
合部を有する積層構造180が配設されている。
【0236】またこの積層構造180上には、n型電流
拡散層86を介してn型GaAsコンタクト層77が設
けられ、該コンタクト層77上には、AuGeからなる
n型電極132が配置されている。また上記p型GaA
s基板81の裏面側には全面に、AuZnからなるp型
電極131が形成されている。
【0237】ここで、上記p型GaAs基板81では、
上記第8実施例のn型GaAs基板31と同様、その中
央の直径200μmの円形状領域81aは、表面が平坦
な平坦部分となっており、該基板表面の平坦部分以外の
領域は、深さ2.3μm、幅10μmのV型溝81b1
がストライプ状に複数形成された溝形成部分81bとな
っている。上記基板81の平坦部分81aはその表面の
面方位が(100)となっており、上記V型溝81b1
の傾斜面の面方位は(311)A面となっている。
【0238】また、上記電流経路調整層85の構成材料
は(AlxGa1-x1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦
1)で、その組成比はx,yはx=0.70、y=0.
50であり、その層厚は1μmとなっている。この電流
経路調整層85にはII族ドーパントとしてZnが、V族
ドーパントとしてSeがドープされている。該電流経路
調整層85の電流ブロック領域85aは、上記基板81
の平坦部分81aの真上に位置し、該平坦部分81aの
面方位である(100)面に基づいて、ドーパントSe
によるn型の導電型を示すキャリア濃度3×1018cm
-3の領域となっている。また、上記電流経路調整層85
の電流通過領域85bは、上記基板81の溝形成部分8
1bの上側に位置し、該基板81の溝81b1の斜面の
面方位である(311)A面に基づいて、ドーパントZ
nによるp型の導電型を示すキャリア濃度3×1018
-3の領域となっている。
【0239】また、上記下クラッド層84,活性層83
及び上クラッド層82はそれぞれ、(AlxGa1-x
1-yInyP(0≦x≦1,0≦y≦1)からなり、この
下クラッド層84及び上クラッド層82では、例えばそ
の組成比x,yがx=0.70,y=0.50、その層
厚が1.0μmとなっており、下クラッド層84のZn
キャリア濃度は1×1018cm-3、上クラッド層82の
Siキャリア濃度は1×1018cm-3となっている。該
活性層83では、例えば組成比x,yはx=0.30、
y=0.50、その層厚は0.50μmとなっている。
【0240】さらに上記電流拡散層86は、n型Alx
Ga1-xAs(0≦x≦1)からなり、その組成比xが
x=0.70となっており、5μmの層厚を有してい
る。またこのn型電流拡散層86及び上記n型GaAs
コンタクト層77ではそれぞれSiキャリア濃度が5×
1018cm-3となっている。
【0241】次に製造方法について簡単に説明する。
【0242】まず、上記第8の実施例と同様にして、p
型GaAs基板81の表面に、その直径200μmの円
形領域81aを除いてエッチング処理を施して、斜面の
面方位が例えば(311)A面である深さ2.3μm、
幅10μmの溝81b1を複数ストライプ状に形成する
(図10(b)参照)。
【0243】次に、該エッチング処理を施した基板81
上にMOCVD法を用いて1回の結晶成長工程により上
記各半導体層85,84,83,82,86,77を順
次形成する。
【0244】すなわち、上記エッチング処理の後、基板
81上に(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pを上記電流経
路調整層85として、Zn(II族ドーパント)とSe
(VI族ドーパント)を同時にドープしつつ層厚1μm程
度成長する。
【0245】このとき、該基板81表面の、(100)
面が露出する領域,つまり基板81の平坦部分81aで
は、Seキャリア濃度3×1018cm-3のn型半導体領
域が電流ブロック領域85aとして形成され、該基板8
1表面の、(311)A面が露出する領域,つまり基板
81の溝形成部分81bでは、Znキャリア濃度3×1
18cm-3のp型半導体領域が電流通過領域85bとし
て形成される。
【0246】その後は、該電流経路調整層85上に、
(Al0.7Ga0.30.5In0.5Pの成長を、その導電性
及び層厚を制御して行い、これによりp型下クラッド層
84からn型上クラッド層82までを形成し、さらにそ
の上に厚さ5μmのn型Al0. 7Ga0.3As層及び厚さ
1μmのn型GaAs層をそれぞれSiキャリア濃度が
5×1018cm-3となるよう成長する。
【0247】次に、上記n型GaAs層上にAuGe層
を形成するとともに、p型基板81の裏面側にp型電極
としてのAuZn層131を形成する。その後、上記n
型GaAs層及びAuGe層を、上記基板81の平坦部
分81aの真上に位置する円形状部分が残るよう選択的
にエッチングして、n型GaAsコンタクト層77及び
n型電極132を形成する。これにより発光ダイオード
100mが完成される(図15参照)。
【0248】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長584nmの光度が8cdを越えるLE
D光が得られた。
【0249】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が4cdを越
える純緑色発光が得られた。
【0250】このような構成の本実施例では、第9の実
施例と同様、電流経路調整層85及び電流拡散層86に
よりLED光の導出効率を向上することができる。また
電流ブロック領域85aを有する発光ダイオードにおけ
る半導体積層構造を1回の結晶成長工程により連続して
形成できる。
【0251】さらに本実施例では、発光ダイオードの基
板としてp型のものを用いているため、n型の電流ブロ
ック領域85aとp型の電流通過領域85bからなる電
流経路調整層85を、上記積層構造180下側の基板表
面上に配置することができる。このため、電流経路調整
層85を成長する下地結晶の面方位がだれることがな
く、下地結晶の面方位による電流ブロック領域85aと
電流通過領域85bとの選択成長を、各領域でのキャリ
ア濃度を十分大きくして良好に行うことができる。この
結果、電流経路調整層85の働きがより効果的なものと
なり、活性層83のn型電極直下部分以外での発光量が
増大し、さらに光の導出効率を向上させることができ
る。
【0252】また、本実施例では、電流拡散層86はn
型の導電型であるため、p型の電流拡散層に比べ移動度
を大きく、抵抗の低減効果により、電流を、活性層のn
型電極直下部分からより離れた部分へ広げることがで
き、一層光の導出効率を向上させることができる。
【0253】(実施例13)図16は本発明の第13の
実施例による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明
するための断面図であり、図において、100nは本実
施例の発光ダイオードで、この発光ダイオード100n
では、第9実施例におけるAl0.7Ga0.3As電流拡散
層156に代えて、Znキャリア濃度3×1018
-3,層厚5μmのGaP電流拡散層97を用い、該G
aP電流拡散層97上に直にp型電極131を、上記基
板31の平坦部分31a上に位置するよう配置したもの
である。またここでは、n型GaAs基板31の溝形成
部分31bに形成した溝31b1の斜面の面方位は(1
11)A面としている。
【0254】また、本実施例の発光ダイオード100n
の製造方法は、電流経路調整層35上には、電流拡散層
97としてGaPを成長し、その上に直にAuZn層を
成長し、該AuZn層をその基板31の平坦部分31a
に対向する部分が残るよう選択的にエッチングしてp型
電極131を形成する点が上記第9の実施例の発光ダイ
オードの製造方法と異なっている。
【0255】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長584nmの光度が9cdを越えるLE
D光が得られた。
【0256】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が4.5cd
を越える純緑色発光が得られた。
【0257】このような構成の本実施例では、n型電流
拡散層97を、バンドギャップがAl0.7Ga0.3As大
きいGaPにより構成しているため、n型電流拡散層を
Al0.7Ga0.3Asにより構成している第9の実施例の
発光ダイオード100jに比べて活性層からの光の電流
拡散層での吸収が減少し、より光の導出効率を向上さ
せ、半導体発光素子の高輝度化を図ることができる。
【0258】また、GaP電流拡散層97上には直接p
型電極を設けることができるため、コンタクト層が不要
であり、製造工程を簡略化できる。
【0259】(実施例14)図17は本発明の第14の
実施例による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明
するための断面図であり、図において、100pは本実
施例の発光ダイオードで、この発光ダイオード100p
は、n型GaAs基板31と、ダブルヘテロ接合部を有
する積層構造130との間に配置され、活性層33から
n型基板31へ向かうLED光を活性層33側へ反射す
るn型反射層109を備えている。その他の構成は、上
記第9の実施例の発光ダイオード100iと同一であ
る。
【0260】上記n型反射層109は、層厚0.01μ
mのGaAs層と層厚0.005μmのAlInP層と
を交互に10対積層してなるもので、その層厚は0.1
5μm程度となっている。
【0261】本実施例の発光ダイオード100pの製造
方法は、n型下クラッド層32を形成する前に、n型G
aAs基板31上に上記n型反射層109を形成する点
以外は上記第9の実施例の発光ダイオード100iの製
造方法と同じである。
【0262】本実施例による半導体発光素子に順方向に
電圧(2V)を印加し電流(20mA)を流したとこ
ろ、ピーク波長585nmの光度が10cdを越える発
光が得られた。
【0263】また、(AlxGa1-x1-yInyP活性層
の組成x,yをそれぞれx=0.50、y=0.50と
したところ、ピーク波長555nmの光度が5cdを越
える純緑色発光が得られた。
【0264】このような構成の本実施例では、n型基板
31とダブルヘテロ接合部を有する積層構造130との
間に、活性層33からn型基板31へ向かうLED光を
活性層33側へ反射する反射層109を設けているた
め、活性層で発光したLED光のうち基板側に向かう光
が、該積層構造130に比べて屈折率の高いn型GaA
s基板31に吸収されることがなくなり、さらに第9の
実施例の発光ダイオード100iに比べてさらに光の導
出効率を向上させることができる。
【0265】なお、本実施例では反射層109を、Ga
As層とInAlP層を組み合わせて構成したが、該反
射層109を構成する半導体材料の組み合わせはこれに
限るものではなく、活性層33からp型基板31へ向か
うLED光を活性層33側へ反射するものであれば、他
の半導体材料からなるものでもよいことは言うまでもな
い。
【0266】(実施例15)図18は本発明の第15の
実施例による発光ダイオード(半導体発光素子)を説明
するための断面図であり、図において、100qは本実
施例の発光ダイオードで、図11と同一符号は第9の実
施例の発光ダイオード100iと同一のものを示す。こ
の発光ダイオード100qは、ダブルヘテロ接合部を有
する積層構造160を、上記第9実施例で用いているA
lGaInP系混晶半導体に代えて、AlGaAs系混
晶半導体から構成したものである。
【0267】つまり、上記積層構造160を構成するn
型下クラッド層62,活性層63及びp型上クラッド層
64はそれぞれ、AlxGa1-xAs(0≦x≦1)から
なり、この下クラッド層62及び上クラッド層64で
は、例えばその組成比xがx=0.70、その層厚が
1.0μmとなっており、下クラッド層62のSiキャ
リア濃度は1×1018cm-3、上クラッド層64のZn
キャリア濃度は1×1018cm-3となっている。また活
性層63では、例えば組成比xはx=0.30、その層
厚は0.50μmとなっている。
【0268】その他の構成は、上記第9の実施例の発光
ダイオード100iと同一である。本実施例による半導
体発光素子に順方向に電圧(2V)を印加し電流(20
mA)を流したところ、ピーク波長660nmの光度が
30cdを越える発光が得られた。
【0269】本実施例は、ダブルヘテロ接合部を有する
積層構造を、AlGaAs系混晶半導体を用いて構成し
たものであるが、AlGaInP系半導体からなる電流
経路調整層では、活性層で発光したLED光は吸収され
ず、上記第9実施例と同様な効果がある。
【0270】ここで、ダブルヘテロ接合部を含む積層構
造を、AlGaAs系あるいはAlGaInP系以外の
半導体材料、例えばGaInN系半導体を用いても上記
実施例と同様の効果がある。
【0271】なお、本発明は、上述した各実施例の発光
ダイオードに限定されるものではない。例えば、上記各
実施例では、活性層として、Al組成が0.3あるいは
0.5であるAlGaInP層あるいはAlGaAs層
を用いたが、このAl組成を変化させることによって、
発光ダイオードから出射されるLED光として、赤色か
ら緑色域に渡る可視光領域の発光を得ることができ、A
l組成は変化させても本発明の効果があるのは言うまで
もない。
【0272】また、上記活性層の半導体材料を、AlG
aInN系混晶半導体等の他の材料に変更することによ
って赤色から青色域にわたる可視光領域の発光を得るこ
とができる。また、AlGaInN系混晶半導体等のA
l組成についても変化させることによって、赤色から青
色域にわたる可視光領域の発光を得ることができる。ま
た、上記各実施例の発光ダイオードを構成する他の半導
体層、つまりクラッド層、電流経路調整層、電流拡散層
についても、上記活性層の場合と同様、組成比や材料の
変更が可能である。
【0273】また、上述した各実施例では、溝の斜面の
面方位を(311)A面あるいは(111)A面とした
が、図3に示すように、A面であれば他の面方位でも導
電性がp型になるよう制御可能であり、他のA面の面方
位を採用しても本発明の効果があることは言うまでもな
い。
【0274】さらに、上記各実施例では、その上に電流
ブロック領域を形成するための基板の平坦部分の面方位
としては(100)面を用いたが、図3に示すようにA
面であってもその上に成長される半導体層がp型の導電
性とならない面方位、例えば、n型あるいは高抵抗とな
る面方位であれば、たとえA面であっても効果があるこ
とは言うまでもない。例えば、電流ブロック領域として
高抵抗領域を形成すれば、電流経路調整層にドープする
p型及びn型ドーパントの一方を低減できる。また、上
記基板の中央の、電流ブロック領域に対応する溝形成部
分あるいは平坦部分の形状は円形形状に限るものではな
く、他の形状でも本発明の効果があることは言うまでも
ない。
【0275】また、上記各実施例では、電流拡散層にA
xGa1-xAs(0≦x≦1)や(AlxGa1-x1-y
InyP(0≦x≦1,0≦y≦1)層を採用したが、
活性層で発生される光に対して透明となるようなバンド
ギャップを有するものであれば他の材料でもよい。
【0276】また、上記各実施例では、半導体発光素子
の基板としてGaAs基板を用いたが、基板の材料はG
aAsに限らず、AlGaAs系、GaP等のAlGa
InP系、GaN等のAlGaInN系等、化合物半導
体材料であればよく、全ての化合物半導体材料について
本発明の効果が得られる。
【0277】その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲
で、種々変形が可能である。
【0278】
【発明の効果】以上のように本発明(請求項1)に係る
半導体発光素子によれば、活性層を含む積層構造とn型
電極との間に、電流経路調整層をその電流ブロック領域
がn型電極直下に位置するよう配置したので、電流が活
性層のn型電極直下部分の周辺へ広がり、n型電極によ
り遮られる活性層からのLED光を少なくして、光の導
出効率を向上させ、発光半導体素子の高輝度化を図るこ
とができる。
【0279】また、p型化合物半導体基板を、その表面
に溝が形成された溝形成部分を有し、該溝の斜面の面方
位が、該基板表面の平坦部分の面方位に対して、該基板
上に成長される所定のドーパントを含む電流経路調整層
の導電性に対する選択性を持つ構造としているので、電
流経路調整層をドーパントの選択により、導電性が異な
る電流ブロック領域と電流通過領域とを持つよう1回の
結晶成長工程にて形成可能となる。
【0280】本発明(請求項2)によれば、請求項1に
係る半導体発光素子において、前記化合物半導体基板表
面の平坦部分の面方位を(100)面とし、その溝形成
部分における溝の斜面の面方位をA面とし、前記電流経
路調整層を、その電流ブロック領域がp型の導電型を有
し、その電流通過領域がn型の導電型を有する構造とし
たので、上記電流経路調整層のp型ドーパントにZn、
n型ドーパントにSeを用いることにより、基板の面方
位に基づくp型電流ブロック領域及びn型電流通過領域
の導電性を、該各領域におけるキャリア濃度が高いもの
とでき、電流経路調整層の働きをより効果的なものとで
きる。
【0281】本発明(請求項3)によれば、請求項1に
係る半導体発光素子において、前記積層構造と電流経路
調整層との間にもn型上クラッド層を設けているため、
積層構造におけるダブルヘテロ接合部を形成するn型上
クラッド層の層厚を薄くでき、電流経路調整層の電流ブ
ロック領域を迂回して活性層のn型電極直下部分に流れ
込む電流を減少させることが可能となる。したがって、
活性層のn型電極直下部分の周辺領域での発光量が増加
し、さらに光の導出効率を向上させることができる。
【0282】本発明(請求項4)によれば、請求項1に
係る半導体発行素子において、前記電流経路調整層とn
型電極の間に電流拡散層を設けているため、素子表面の
一部に配置されたn型電極と活性層との間で電流を一層
広い範囲に広げることができ、光の導出効率を一層向上
できる。
【0283】本発明(請求項5)によれば、請求項4に
係る半導体発効素子において、積層構造とn型電流拡散
層との間の電流経路調整層に加えて、該電流経路調整層
の内部にも電流経路調整層を備えたので、活性層のn型
電極直下部分に向かう電流を、2箇所,つまり上記2つ
の電流経路調整層の電流ブロック領域にてブロックする
ことができ、活性層のn型電極直下部分に流れ込む電流
をさらに減少させるとともに、電流を、活性層のn型電
極直下部分の外側のより広い範囲に広げることができ
る。これにより光の導出効率をより一層向上させること
ができる。
【0284】本発明(請求項6)によれば、請求項1に
係る半導体発光素子において、溝形成部分及び平坦部分
を有する化合物半導体基板を、n型導電性を有するもの
とし、ダブルヘテロ接合部を有する積層構造における下
クラッド層及び上クラッド層の導電型をそれぞれn型及
びp型としたので、n型基板と積層構造のn型下クラッ
ド層との間に、p型電流ブロック領域及びn型電流通過
領域を有する電流経路調整層を配置可能となる。このた
め電流経路調整層を成長する際の下地層の結晶面がだれ
ることがなく、導電性が下地結晶の面方位に依存する電
流経路調整層の各領域でのキャリア濃度をそれぞれの導
電性において大きく設定でき、電流経路調整層の働きを
効果的なものとできる。
【0285】本発明(請求項7)によれば、請求項1又
は6に係る半導体発光素子において、前記電流経路調整
層の電流ブロック領域を高抵抗領域としたので、上記第
1及び第2のドーパントのうちの一方のドープ量を低減
することができる。
【0286】本発明(請求項8)によれば、請求項6に
係る半導体発光素子において、n型基板と電流経路調整
層の間にn型クラッド層を設けているため、積層構造に
おけるダブルヘテロ接合部を形成するn型上クラッド層
の層厚を薄くでき、電流経路調整層の電流ブロック領域
を迂回して活性層のn型電極直下部分に流れ込む電流を
減少させることが可能となる。これにより光の導出効率
を向上させることができる。
【0287】本発明(請求項9)によれば、上記請求項
8に係る半導体発光素子において、電流経路調整層とp
型電極の間に電流拡散層を設けているため、素子表面の
一部に形成されたp型電極と活性層との間で電流を一層
広い範囲に広げることができ、光の導出効率を一層向上
させて、半導体発光素子の高輝度化を図ることができ
る。
【0288】本発明(請求項10)によれば、上記各請
求項に係る半導体発光素子において、前記化合物半導体
基板と積層構造との間に、活性層からのLED光を反射
する反射層を設けているため、活性層で発光したLED
光のうち基板側に向かう光が、該積層構造に比べて屈折
率の高い基板に吸収されることがなくなり、さらに光の
導出効率を大きく向上させることができる。
【0289】本発明(請求項11)によれば、上記各請
求項に係る半導体発光素子において、ダブルヘテロ接合
部を有する積層構造を、(AlxGa1-x1-yInyP層
(0≦x≦1,0≦y≦1)から構成しているため、A
l組成の調整により、LED光を赤色から緑色の可視光
領域の光とできる。
【0290】本発明(請求項12)によれば、上記請求
項1ないし10のいずれかに係る半導体発光素子におい
て、前記電流経路調整層を、(AlxGa1-x1-yIny
P層(0≦x≦1,0≦y≦1)から構成しているた
め、活性層で発光したLED光が該電流経路調整層にて
吸収されるのを回避することができる。
【0291】本発明(請求項13)によれば、上記請求
項1ないし10のいずれかに係る半導体発光素子におい
て、前記電流拡散層をAlxGa1-xAsから構成してい
るため、該電流拡散層における活性層で発光したLED
光の吸収は少なく、また、該電流拡散層とGaAs基板
とが格子整合するため、ダブルヘテロ接合部を有する積
層構造に格子不整合による歪がかかることがなく、該積
層構造を構成する半導体層の結晶性も良好となる。
【0292】本発明(請求項14)によれば、上記請求
項1ないし10のいずれかに係る半導体発光素子におい
て、前記電流拡散層を、上記AlxGa1-xAsよりもバ
ンドギャップが広くなるよう(AlxGa1-x1-yIny
P層(0≦x≦1,0≦y≦1)から構成しているた
め、電流拡散層における活性層からのLED光の吸収を
さらに減少させることができ、さらに光の導出効率を向
上させることができる。
【0293】本発明(請求項15)に係る半導体発光素
子の製造方法によれば、p型化合物半導体基板の所定領
域に溝を形成して、該基板上に成長される半導体層の導
電性が、該溝の斜面の面方位及び該基板の平坦部分の面
方位に依存して異なったものとなるようにし、該基板上
にダブルヘテロ接合部を有する積層構造を形成した後、
該積層構造上に電流経路調整層を、その電流ブロック領
域と電流通過領域とが上記溝形成部分及び平坦部分に露
出する結晶面の面方位に依存して形成されるよう成長す
るので、電流ブロック領域を有する半導体発光素子の半
導体積層構造を、1回のMOCVD成長工程にて製造で
きる。
【0294】このため、工程の簡略化によるコストの低
減及び歩留りの向上を図ることができるばかりでなく、
上記半導体積層構造における再成長界面をなくすことが
でき、再成長界面の酸化や不純物の混入などに起因する
再成長界面での結晶性の問題を排除でき、半導体発光素
子の特性や信頼性を良好なものとできる。
【0295】この発明(請求項16)に係る半導体発光
素子の製造方法によれば、n型化合物半導体基板の所定
領域に溝を形成して、該基板上に成長される半導体層の
導電性が、該溝の斜面の面方位及び該基板の平坦部分の
面方位に依存して異なったものとなるようにし、その
後、電流経路調整層を、p型電流ブロック領域とn型電
流通過領域とが基板の各部分の面方位に基づいて形成さ
れるよう成長するので、各導電性の領域のキャリア濃度
が基板表面の面方位に依存する電流経路調整層を、下地
の面方位がだれないよう基板表面上に配置して、所要の
導電型領域のキャリア濃度を高めることができ、電流経
路調整層の働きを効果的なものとできる。
【0296】本発明(請求項17)によれば、上記半導
体発光素子の製造方法において、前記II族ドーパントに
Zn、VI族ドーパントにSeを用いるため、基板表面の
面方位に依存する、電流経路調整層のp型電流ブロック
領域及びn型電流通過領域でのキャリア濃度を大きく設
定することができる。
【0297】本発明(請求項18)に係る半導体発光素
子によれば、溝形成部分及び平坦部分を有するn型基板
上に、電流経路調整層をその電流ブロック領域が基板の
平坦部分上に位置するよう配置し、p型電極を電流ブロ
ック領域の真上に配置したので、活性層のp型電極直下
部分へ流れ込む電流を減らすとともに、電流を広い範囲
に広げることができ、これにより光の導出効率を向上さ
せ、半導体発光素子の高輝度化を図ることができる。
【0298】また、基板表面の、p型電極の配置部分に
対応する領域が平坦部分となり、それ以外の基板表面が
溝形成領域となっているため、素子表面のp型電極が配
置された部分以外の領域は、基板表面の溝形成領域の凸
凹形状が反映せれて凸凹形状となる。このため、素子表
面のLED光の導出が可能な領域では、素子表面に臨界
角以上で入射するLED光の割合が減少し、光の導出効
率が向上する。
【0299】また、活性層の発光領域,つまり電流が電
流ブロック領域を迂回して流れ込む部分は、基板の溝形
成部分上に位置しているため、該発光領域も凸凹形状と
なり、発光領域が平坦である場合にくらべ、発光面積が
増加し、光の導出効率が増加する。
【0300】加えて、活性層の発光領域は、基板表面
の、A面が露出する溝形成部分上に位置するため、この
部分では、MOCVD法でAlGaInP混晶半導体系
を成長しても、GaAs基板の(100)面上における
ような自然超格子の形成が抑制され、自然超格子に起因
する発光波長の長波長化が抑えられる。このため、設定
波長を得るためのAl組成の増加を低減して高輝度で、
信頼性の高い半導体発光素子が実現できる。
【0301】本発明(請求項19)によれば、請求項1
8に係る半導体発光素子において、電流経路調整層とp
型電極との間にp型電流拡散層を設けているため、電流
を、活性層のp型電極直下部分の周辺に広く広げること
ができ、光の導出効率をより向上させ、半導体発光素子
の高輝度化を図ることができる。
【0302】本発明(請求項20)によれば、請求項1
9に係る半導体発光素子において、電流経路調整層をp
型クラッド層上だけでなく、p型電流拡散層の内部にも
設けているため、活性層のp型電極直下部分に流れ込む
電流をブロックする効果が大きくなり、さらに光の導出
効率を向上させることができる。
【0303】本発明(請求項21)によれば、請求項1
8に係る半導体発光素子において、溝形成部分及び平坦
部分を有する化合物半導体基板を、p型導電性を有する
ものとし、ダブルヘテロ接合部を有する積層構造におけ
る下クラッド層及び上クラッド層の導電型をそれぞれp
型及びn型としたので、p型基板と積層構造のp型下ク
ラッド層との間に、n型電流ブロック領域及びp型電流
通過領域を有する電流経路調整層を配置可能となる。こ
のため電流経路調整層を成長する際の下地層の結晶面が
だれることがなく、導電性が下地結晶の面方位に依存す
る電流経路調整層の各領域でのキャリア濃度をそれぞれ
の導電性において大きく設定でき、電流経路調整層の働
きを効果的なものとできる。
【0304】本発明(請求項22)によれば、請求項1
8又は21に係る半導体発光素子において、前記電流経
路調整層の電流ブロック領域を高抵抗領域としたので、
上記第1及び第2のドーパントのうちの一方のドープ量
を低減することができる。
【0305】本発明(請求項23)によれば、請求項2
1に係る半導体発光素子において、ダブルヘテロ接合部
を有する積層構造と、n型電極との間に電流拡散層を設
けているため、素子表面の一部に形成されたn型電極と
活性層との間で電流を一層広い範囲に広げることがで
き、光の導出効率を一層向上させて、半導体発光素子の
高輝度化を図ることができる。
【0306】また、電流拡散層の導電性がn型となるた
め、p型の電流拡散層に比べキャリアの移動度を大きく
でき、電流の広がりが大きくなり、活性層のn型電極直
下部分以外での発光量が増加し、さらに光の導出効率を
向上させることができる。
【0307】本発明(請求項24)によれば、請求項1
8ないし23のいずれかの半導体発光素子において、基
板と、ダブルヘテロ接合部を有する積層構造との間に光
反射層を設けているため、活性層で発光した光のうち基
板側に発光した光が、上記積層構造より屈折率の高い基
板に吸収されるのを回避でき、さらに光の導出効率を向
上させることができる。
【0308】本発明(請求項25)に係る半導体発光素
子の製造方法によれば、n型化合物半導体基板の表面
を、その上に成長される半導体層の導電性に対する選択
性を持つよう加工し、その後該基板上に電流経路調整層
を、上記基板表面に露出する結晶面の面方位の違いによ
り電流ブロック領域と電流通過領域とが形成されるよう
成長するので、電流ブロック領域を有する半導体発光素
子を1回のMOCVD成長で製造でき、再成長界面の結
晶性等の問題を回避して、大幅なコスト低減及び歩留ま
り向上を図ることができる。
【0309】加えて、上記基板の、電流ブロック領域が
形成される表面領域には平坦面が露出し、その電流通過
領域が形成される部分には、基板表面に形成した溝の斜
面が露出しているため、活性層の、該電流通過領域に対
応する発光領域では、GaAs基板上にAlGaInP
を成長した場合の自然超格子の形成が抑えられることと
なり、自然超格子に起因する発光波長の長波長化を回避
することができる。
【0310】本発明(請求項26)に係る半導体発光素
子の製造方法によれば、p型基板の表面に選択的に溝を
形成して、基板表面をその上に成長される半導体層の導
電性に対する選択性を持つようにし、該基板表面上に電
流経路調整層を、該溝形成部分に対応して電流通過領域
が、平坦部分に対応して電流ブロック領域が形成される
よう成長するので、該電流経路調整層の下地の面方位が
だれることがなく、該電流経路調整層の各導電型領域の
キャリア濃度を高めることができ、電流経路調整層の働
きを効果的なものとできる。
【0311】本発明(請求項27)によれば、上記請求
項25又は26に係る半導体発光素子の製造方法におい
て、前記II族ドーパントにZn、VI族ドーパントにSe
を用いるため、基板表面の面方位に依存する、電流経路
調整層のp型電流ブロック領域及びn型電流通過領域で
のキャリア濃度を大きく設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による半導体発光素子
(発光ダイオード)を説明するための図であり、図1
(a)は該発光ダイオードの断面構造を示す図、図1
(b)及び図1(c)は該発光ダイオードを構成する基
板の構造を示す平面図及び断面図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は上記第1の実施例
による発光ダイオードの製造方法における結晶成長工
程、及び電極となる金属層の形成工程を示す図である。
【図3】本発明の基本原理として、ZnとSeを同時に
ドープして成長したInGaAlP層のキャリア濃度
の、その下地表面の面方位依存性を、実験結果のグラフ
により示す図である。
【図4】本発明の第2の実施例による発光ダイオードの
構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例による発光ダイオードの
構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施例による発光ダイオードの
構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施例による発光ダイオードの
構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第6の実施例による発光ダイオードの
構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第7の実施例による発光ダイオードの
構造を示す断面図である。
【図10】本発明の第8の実施例による発光ダイオード
の構造およびその製造方法を説明するための図であり、
図10(a)はこの発光ダイオードの断面構造を、図1
0(b)は該発光ダイオードを構成する基板の断面構造
を示している。
【図11】本発明の第9の実施例による発光ダイオード
の構造を示す断面図である。
【図12】本発明の第10の実施例による発光ダイオー
ドの構造を示す断面図である。
【図13】本発明の第11の実施例による発光ダイオー
ドの構造を示す断面図である。
【図14】上記第11の実施例による発光ダイオードの
製造方法を説明するための図であり、図14(a)はこ
の発光ダイオードに用いる基板の構造を示す断面図、図
14(b)は該基板上に電流経路調整層を形成した状態
を示す断面図である。
【図15】本発明の第12の実施例による発光ダイオー
ドの構造を示す断面図である。
【図16】本発明の第13の実施例による発光ダイオー
ドの構造を示す断面図である。
【図17】本発明の第14の実施例による発光ダイオー
ドの構造を示す断面図である。
【図18】本発明の第15の実施例による発光ダイオー
ドの構造を示す断面図である。
【図19】従来のpn接合型発光ダイオード(LED素
子)を説明するための断面図であり、図19(a)は該
LED素子における電流分布を、図19(b)は該LE
D素子内部での発光の仕方を示している。
【図20】従来の電流拡散層を有するLED素子の構造
を示す断面図である。
【符号の説明】
1,71,81 p型GaAs基板 1a,31b,51a,71b,81b 溝形成部分 1b,31a,51b,71a,81a 平坦部分 2,74,84 p−AlGaInP下クラッド層 3,33,53,73,83 AlGaInP活性層 4,72,82 n−AlGaInP上クラッド層 4a n−AlGaInP第2上クラッド層 5,35,55,75,85 電流経路調整層 5a,35a,55a,75a,75b2 ,75b3 ,
85a,105a,135a 電流ブロック領域 5b,35b,55b,75b1 ,85b,105b,
135b 電流通過領域 6,106 n−AlGaAs電流拡散層 7,77 n−GaAsコンタクト層 31,51 n型GaAs基板 32,52 n−AlGaInP下クラッド層 34,54 p−AlGaInP上クラッド層 34a p−AlGaInP第2上クラッド層 37,57 p−GaAsコンタクト層 52a n−AlGaInP第2下クラッド層 56,136,156 p−AlGaAs電流拡散層 62 n−AlGaAs下クラッド層 63 AlGaAs活性層 64 p−AlGaAs上クラッド層 76 n−GaP電流拡散層 97 p−GaP電流拡散層 100a〜100k,100m,100n,100p,
100q 半導体発光素子 101,131,151 p型電極 102,132,152 n型電極 105,135 第2の電流経路調整層 106a,136a 電流拡散層下部 106b,136b 電流拡散層上部 110,130,150,160,170,180 積
層構造 109,120 光反射層

Claims (27)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型化合物半導体基板と、 該基板の表面側にp型下クラッド層,活性層及びn型上
    クラッド層を順次積層してなる、ダブルヘテロ接合部を
    有する積層構造と、 該積層構造上に形成され、電流をブロックする電流ブロ
    ック領域と、電流を通過させる電流通過領域とからな
    る、導電型が異なる第1及び第2のドーパントを含む電
    流経路調整層と、 該電流経路調整層の上側に、その電流ブロック領域に対
    向するよう形成されたn型電極と、 該p型化合物半導体基板の裏面側に形成されたp型電極
    とを備え、 該p型化合物半導体基板は、その表面に1つあるいは複
    数の溝が形成された溝形成部分を有し、該溝の斜面の面
    方位及び該基板表面の平坦部分の面方位が、該基板上に
    成長される所定のドーパントを含む半導体領域の導電性
    を支配するものであり、 該電流経路調整層の電流ブロック領域は、該溝の斜面の
    面方位により第1のドーパントによる導電性を持つよう
    形成された領域であり、該電流経路調整層の電流通過領
    域は、該基板の平坦部分の面方位により第2のドーパン
    トによる導電性を持つよう形成された領域であり、 該電流ブロック領域は、該n型電極と平面形状が同一
    である、半導体発光素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の半導体発光素子におい
    て、 前記p型化合物半導体基板は、その表面の平坦部分の面
    方位を(100)面とし、その溝形成部分における溝の
    斜面の面方位をA面としたものであり、 前記電流経路調整層は、その電流ブロック領域がp型の
    導電型を有し、その電流通過領域がn型の導電型を有す
    るものである半導体発光素子。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の半導体発光素子におい
    て、 前記電流経路調整層とn型電極との間に形成された第2
    のn型上クラッド層を有する半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の半導体発光素子におい
    て、 前記電流経路調整層とn型電極との間に形成され、該電
    流経路調整層側での電流経路の断面積がn型電極側に比
    べて大きくなるよう電流を拡散するn型電流拡散層を有
    する半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の半導体発光素子におい
    て、 前記n型電流拡散層は、その内部に形成された第2の電
    流経路調整層を有するものであり、 該第2の電流経路調整層は、前記p型化合物半導体基板
    の溝形成領域における溝の斜面の面方位により第1のド
    ーパントによる導電性を持つよう形成された電流ブロッ
    ク領域と、該基板の平坦部分の面方位により第2のドー
    パントによる導電性を持つよう形成された電流通過領域
    とから構成されている半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 n型化合物半導体基板と、 該基板の表面側に形成され、電流をブロックする電流ブ
    ロック領域と、電流を通過させる電流通過領域とからな
    る、導電型が異なる第1及び第2のドーパントを含む電
    流経路調整層と、 該電流経路調整層上にn型クラッド層,活性層及びp型
    クラッド層を順次積層してなる、ダブルヘテロ接合部を
    有する積層構造と、 該積層構造の上側に該電流経路調整層の電流ブロック領
    域に対向するよう形成されたp型電極と、 該n型化合物半導体基板の裏面側に形成されたn型電極
    とを備え、 該n型化合物半導体基板は、その表面に1つあるいは複
    数の溝が形成された溝形成部分を有し、該溝の斜面の面
    方位及び該基板表面の平坦部分の面方位が、該基板上に
    成長される所定のドーパントを含む半導体領域の導電性
    を支配するものであり、 該電流経路調整層の電流ブロック領域は、該溝の斜面の
    面方位により第1のドーパントによる導電性を持つよう
    形成された領域であり、該電流経路調整層の電流通過領
    域は、該基板の平坦部分の面方位により第2のドーパン
    トによる導電性を持つよう形成された領域であり、 該電流ブロック領域は、該p型電極と平面形状が同一
    である、半導体発光素子。
  7. 【請求項7】 請求項1又は6記載の半導体発光素子に
    おいて、 前記電流経路調整層の電流ブロック領域は高抵抗領域で
    ある半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の半導体発光素子におい
    て、 前記n型化合物半導体基板と電流経路調整層との間に形
    成された第2のn型下クラッド層を有する半導体発光素
    子。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の半導体発光素子におい
    て、 前記積層構造とp型電極との間に設けられ、該積層構造
    側での電流経路の断面積がp型電極側に比べて大きくな
    るよう電流を拡散するp型電流拡散層を有する半導体発
    光素子。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    半導体発光素子において、 前記化合物半導体基板の表面上に形成され、該活性層で
    発生した光を反射する反射層を有する半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の半導体発光素子において、 前記ダブルヘテロ接合部を有する積層構造は、(Alx
    Ga1-x1-yInyP層(0≦x≦1,0≦y≦1)か
    ら構成されている半導体発光素子。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の半導体発光素子において、 前記電流経路調整層は、(AlxGa1-x1-yInyP層
    (0≦x≦1,0≦y≦1)から構成されている半導体
    発光素子。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の半導体発光素子において、 前記電流拡散層は、AlxGa1-xAs(0≦x≦1)か
    ら構成されている半導体発光素子。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし10のいずれかに記載
    の半導体発光素子において、 前記電流拡散層は、Iny(Ga1-xAlx1-yP層(0
    ≦x≦1,0≦y≦1)から構成されている半導体発光
    素子。
  15. 【請求項15】 p型化合物半導体基板の所定領域上に
    溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパント
    を含む半導体領域の導電性が、該溝の斜面の面方位及び
    該基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったもの
    となるよう該基板表面を加工する工程と、 該基板の表面側にp型下クラッド層、活性層、及びn型
    上クラッド層を順次成長して、ダブルヘテロ接合部を有
    する積層構造を形成する工程と、 該積層構造上に電流経路調整層を、導電型の異なる第1
    及び第2のドーパントを同時にドープしつつ成長する工
    程と、 該電流経路調整層の上側に、その電流ブロック領域に対
    向するようにn型電極を形成する工程とを含み、 該電流経路調整層内には、電流をブロックする電流ブロ
    ック領域が、該溝の斜面の面方位により第1のドーパン
    トによる導電性を持つよう該基板の溝形成部分と対向す
    る部分に形成され、電流を通過させる電流通過領域が、
    該平坦部分の面方位により第2のドーパントによる導電
    性を持つよう該基板の溝形成部分以外の平坦部分と対向
    する部分に形成され、該電流ブロック領域は該n型電極
    平面形状が同一である半導体発光素子の製造方法。
  16. 【請求項16】 n型化合物半導体基板の所定領域上に
    溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパント
    を含む半導体領域の導電性が、該溝の斜面の面方位及び
    該基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったもの
    となるよう該基板表面を加工する工程と、 該基板の表面側に電流経路調整層を、導電型の異なる第
    1及び第2のドーパントを同時にドープしつつ形成する
    工程と、 該電流経路調整層上にp型下クラッド層、活性層、及び
    n型上クラッド層を順次成長して、ダブルヘテロ接合部
    を有する積層構造を形成する工程と、 該積層構造の上側に該電流経路調整層の電流ブロック領
    域に対向するようにp型電極を形成する工程とを含み、 該電流経路調整層内には、電流をブロックする電流ブロ
    ック領域が、該溝の斜面の面方位により第1のドーパン
    トによる導電性を持つよう該基板の溝形成部分と対向す
    る部分に形成され、電流を通過させる電流通過領域が、
    該平坦部分の面方位により第2のドーパントによる導電
    性を持つよう該基板の溝形成部分以外の平坦部分と対向
    する部分に形成され、該電流ブロック領域は該p型電極
    平面形状が同一である半導体発光素子の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項15あるいは16に記載の半導
    体発光素子の製造方法において、 前記第1及び第2の両ドーパントのうちのp型ドーパン
    トはZnであり、該両ドーパントのうちのn型ドーパン
    トはSeである半導体発光素子の製造方法。
  18. 【請求項18】 n型化合物半導体基板と、 該基板の表面側にn型下クラッド層,活性層及びp型上
    クラッド層を順次成長してなる、ダブルヘテロ接合部を
    有する積層構造と、 該積層構造上に形成され、電流をブロックする電流ブロ
    ック領域と、電流を通過させる電流通過領域とからな
    る、導電型が異なる第1及び第2のドーパントを含む電
    流経路調整層と、 該電流経路調整層の上側にその電流ブロック領域に対向
    するよう形成されたp型電極と、 該n型化合物半導体基板の裏面側に形成されたn型電極
    とを備え、 該n型化合物半導体基板は、その表面に溝が形成された
    溝形成部分を有し、該溝の斜面の面方位及び該基板表面
    の平坦部分の面方位が、該基板上に成長される所定のド
    ーパントを含む半導体領域の導電性を支配するものであ
    り、 該電流経路調整層の電流ブロック領域は、該基板の平坦
    部分の面方位により第1のドーパントによる導電性を持
    つよう形成された領域であり、該電流経路調整層の電流
    通過領域は、該溝の斜面の面方位により第2のドーパン
    トによる導電性を持つよう形成された領域であり、該電
    流ブロック領域は該p型電極と平面形状が同一である
    半導体発光素子。
  19. 【請求項19】 請求項18記載の半導体発光素子にお
    いて、 前記電流経路調整層とp型電極との間に形成され、該電
    流経路調整層側での電流経路の断面積がp型電極側に比
    べて大きくなるよう電流を拡散するp型電流拡散層を有
    する半導体発光素子。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の半導体発光素子にお
    いて、 前記p型電流拡散層は、その内部に形成された第2の電
    流経路調整層を有するものであり、 該第2の電流経路調整層は、前記n型化合物半導体基板
    の平坦部分の面方位により第1のドーパントによる導電
    性を持つよう形成された電流ブロック領域と、該基板の
    溝形成領域における溝の斜面の面方位により第2のドー
    パントによる導電性を持つよう形成された電流通過領域
    とから構成されている半導体発光素子。
  21. 【請求項21】 p型化合物半導体基板と、 該基板の表面側に形成され、電流をブロックする電流ブ
    ロック領域と、電流を通過させる電流通過領域とからな
    る、導電型が異なる第1及び第2のドーパントを含む電
    流経路調整層と、 該電流経路調整層上にp型下クラッド層,活性層及びn
    型上クラッド層を順次成長してなるダブルヘテロ接合部
    を有する積層構造と、 該積層構造の上側に該電流経路調整層の電流ブロック領
    域に対向するよう形成されたn型電極と、 該p型化合物半導体基板の裏面側に形成されたp型電極
    とを備え、 該p型化合物半導体基板は、その表面に溝が形成された
    溝形成部分を有し、該溝の斜面の面方位及び該基板表面
    の平坦部分の面方位が、該基板上に成長される所定のド
    ーパントを含む半導体領域の導電性を支配するものであ
    り、 該電流経路調整層の電流ブロック領域は、該基板の平坦
    部分の面方位により第1のドーパントによる導電性を持
    つよう形成された領域であり、該電流経路調整層の電流
    通過領域は、該溝の斜面の面方位により第2のドーパン
    トによる導電性を持つよう形成された領域であり、該電
    流ブロック領域は該n型電極と平面形状が同一である
    半導体発光素子。
  22. 【請求項22】 請求項18又は21記載の半導体発光
    素子において、 前記電流経路調整層の電流ブロック領域は高抵抗領域で
    ある半導体発光素子。
  23. 【請求項23】 請求項21記載の半導体発光素子にお
    いて、 前記積層構造とn型電極との間に設けられ、該積層構造
    側での電流経路の断面積がn型電極側に比べて大きくな
    るよう電流を拡散するn型電流拡散層を有する半導体発
    光素子。
  24. 【請求項24】 請求項18ないし23のいずれかに記
    載の半導体発光素子において、 前記化合物半導体基板の表面上に形成され、前記活性層
    で発生した光を反射する反射層を有する半導体発光素
    子。
  25. 【請求項25】 n型化合物半導体基板の所定領域上に
    溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパント
    を含む半導体領域の導電性が、該溝の斜面の面方位及び
    該基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったもの
    となるよう該基板表面を加工する工程と、 該基板の表面側にn型下クラッド層、活性層、及びp型
    上クラッド層を順次成長して、ダブルヘテロ接合部を有
    する積層構造を形成する工程と、 該積層構造上に電流経路調整層を、導電型の異なる第1
    及び第2のドーパントを同時にドープしつつ形成する工
    程と、 該電流経路調整層の上側に、その電流ブロック領域に対
    向するようにp型電極を形成する工程とを含み、 該電流経路調整層内には、電流をブロックする電流ブロ
    ック領域が、該平坦部分の面方位により第1のドーパン
    トによる導電性を持つよう該基板の溝形成部分以外の平
    坦部分と対向する部分に形成され、電流を通過させる電
    流通過領域が、該溝の斜面の面方位により第2のドーパ
    ントによる導電性を持つよう該基板の溝形成部分と対向
    する部分に形成され、該電流ブロック領域は該p型電極
    平面形状が同一である半導体発光素子の製造方法。
  26. 【請求項26】 p型化合物半導体基板の所定領域上に
    溝を形成して、該基板上に成長される所定のドーパント
    を含む半導体領域の導電性が該溝の斜面の面方位及び該
    基板表面の平坦部分の面方位に依存して異なったものと
    なるよう加工する工程と、 該基板の表面側に電流経路調整層を、導電型の異なる第
    1及び第2のドーパントを同時にドープしつつ形成する
    工程と、 該電流経路調整層上にp型下クラッド層、活性層、及び
    n型上クラッド層を順次成長して、ダブルヘテロ接合部
    を有する積層構造を形成する工程と、 該電流経路調整層の上側に、その電流ブロック領域に対
    向するようにn型電極を形成する工程とを含み、 該電流経路調整層内には、電流をブロックする電流ブロ
    ック領域が、該平坦部分の面方位により第1のドーパン
    トによる導電性を持つよう該基板の溝形成部分以外の平
    坦部分と対向する部分に形成され、電流を通過させる電
    流通過領域が、該溝の斜面の面方位により第2のドーパ
    ントによる導電性を持つよう該基板の溝形成部分と対向
    する部分に形成され、該電流ブロック領域は該n型電極
    平面形状が同一である半導体発光素子の製造方法。
  27. 【請求項27】 請求項25あるいは26に記載の半導
    体発光素子の製造方法において、 前記第1及び第2の両ドーパントのうちp型ドーパント
    はZnであり、該両ドーパントのうちn型ドーパントは
    Seである半導体発光素子の製造方法。
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