JP3239439B2 - フェライトの製造方法 - Google Patents
フェライトの製造方法Info
- Publication number
- JP3239439B2 JP3239439B2 JP11454992A JP11454992A JP3239439B2 JP 3239439 B2 JP3239439 B2 JP 3239439B2 JP 11454992 A JP11454992 A JP 11454992A JP 11454992 A JP11454992 A JP 11454992A JP 3239439 B2 JP3239439 B2 JP 3239439B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- calcined
- oxide
- porosity
- mol
- ferrite
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は筒型ロータリートランス
用コア等に用いられるフェライトの製造方法に関する。
用コア等に用いられるフェライトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビデオテープレコーダ等のヘッドシリン
ダーに装着されるロータリートランス用コアは、平板型
と筒型の2種類がある。後者のロータリートランス用コ
アは焼結したフェライトコアをインナーコアとアウター
コアに切削して仕上げている。それらの寸法精度は、外
径,内径及び溝幅は±20μm以内の要求がなされてい
る。一方これら部材に用いられるフェライトは一般的に
酸化鉄,酸化ニッケル,酸化亜鉛に酸化銅を加え、混合
し、仮焼し、適当なバインダを加え、造粒したものを金
型を用いて、所定の形状にプレス成形した後、焼結する
ことによって製造されている。
ダーに装着されるロータリートランス用コアは、平板型
と筒型の2種類がある。後者のロータリートランス用コ
アは焼結したフェライトコアをインナーコアとアウター
コアに切削して仕上げている。それらの寸法精度は、外
径,内径及び溝幅は±20μm以内の要求がなされてい
る。一方これら部材に用いられるフェライトは一般的に
酸化鉄,酸化ニッケル,酸化亜鉛に酸化銅を加え、混合
し、仮焼し、適当なバインダを加え、造粒したものを金
型を用いて、所定の形状にプレス成形した後、焼結する
ことによって製造されている。
【0003】しかしながら上記のような寸法精度に加工
するフェライトは、その加工性及びその他の特性を考慮
しなければならない。フェライト内の焼結密度が99%
以上であればコア強度としては良好であるが、切削加工
を施す時には硬いために、切削砥石の送り速度を低速に
して、フェライトが割れないように注意しなければなら
ないので作業性が悪い。この作業性の向上のためにフェ
ライトの焼結密度を小さくすることが考えられる。
するフェライトは、その加工性及びその他の特性を考慮
しなければならない。フェライト内の焼結密度が99%
以上であればコア強度としては良好であるが、切削加工
を施す時には硬いために、切削砥石の送り速度を低速に
して、フェライトが割れないように注意しなければなら
ないので作業性が悪い。この作業性の向上のためにフェ
ライトの焼結密度を小さくすることが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記従来
の構成では、フェライトを所定の焼結密度に制御するに
は焼結温度を±2℃未満にしなければならなかったので
非常に製造が困難であった。従って焼結密度の同じもの
を作製しようとしてもロット毎に焼結密度のばらつきが
生じるという問題点があった。
の構成では、フェライトを所定の焼結密度に制御するに
は焼結温度を±2℃未満にしなければならなかったので
非常に製造が困難であった。従って焼結密度の同じもの
を作製しようとしてもロット毎に焼結密度のばらつきが
生じるという問題点があった。
【0005】本発明は前記従来の問題点を解決するもの
で、簡単にフェライトのロット毎の焼結密度のばらつき
を小さくすることができるフェライトの製造方法を提供
することを目的としている。
で、簡単にフェライトのロット毎の焼結密度のばらつき
を小さくすることができるフェライトの製造方法を提供
することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、酸化鉄,酸化ニッケル,酸化亜鉛,酸化銅を含む原
料を1100±50℃で仮焼した第1の仮焼物と、その
原料を850±50℃で仮焼した第2の仮焼物を混合
し、焼結させた。
に、酸化鉄,酸化ニッケル,酸化亜鉛,酸化銅を含む原
料を1100±50℃で仮焼した第1の仮焼物と、その
原料を850±50℃で仮焼した第2の仮焼物を混合
し、焼結させた。
【0007】
【作用】この構成により、焼結温度で空孔率(焼結密
度)を制御するのではなく、仮焼物の混合によって制御
できる。
度)を制御するのではなく、仮焼物の混合によって制御
できる。
【0008】
【実施例】以下本発明の一実施例におけるフェライトの
製造方法について説明する。
製造方法について説明する。
【0009】先ず酸化鉄(Fe2O3等)46〜51モル
%と、酸化ニッケル(NiO等)11〜16モル%、酸
化亜鉛(ZnO等)28〜34モル%、酸化銅(CuO
等)3〜12モル%とを配合し、混合する。本実施例で
は前記組成を組み合わせて100モル%としたが、この
組成以外に他の組成(不純物等)が多少含まれても効果
は変わらない。混合した原料を約半分ずつ2つのグルー
プに分け、それぞれのグループを1100±50℃と8
50±50℃の温度で2時間仮焼して第1の仮焼物(1
100±50℃)及び第2の仮焼物(850±50℃)
を作製した。
%と、酸化ニッケル(NiO等)11〜16モル%、酸
化亜鉛(ZnO等)28〜34モル%、酸化銅(CuO
等)3〜12モル%とを配合し、混合する。本実施例で
は前記組成を組み合わせて100モル%としたが、この
組成以外に他の組成(不純物等)が多少含まれても効果
は変わらない。混合した原料を約半分ずつ2つのグルー
プに分け、それぞれのグループを1100±50℃と8
50±50℃の温度で2時間仮焼して第1の仮焼物(1
100±50℃)及び第2の仮焼物(850±50℃)
を作製した。
【0010】以下前記2つの仮焼温度に設定した理由を
以下に述べる。1150℃以上で仮焼を20分以上行う
とZnOの昇華が起こるためか、本焼成時のZnの組成
ずれが−0.5〜−2.0モル%程度発生し、所定の組
成が得られないことと、仮焼後のペレットの硬度がビッ
カース硬度で700kg/mm 2以上になってしまうた
めに、粉砕時間が1100℃で仮焼したペレットに較べ
ミル粉砕(20μm以下)までに達するのに3倍以上時
間が掛かるために好ましくない。また仮焼温度が105
0℃以下の場合、ミル粉砕(20μm以下)を行い、本
焼成1120±15℃で焼結した時に、密度が98%以
上になってしまい空孔を残す目的を達成できなくなる。
以下に述べる。1150℃以上で仮焼を20分以上行う
とZnOの昇華が起こるためか、本焼成時のZnの組成
ずれが−0.5〜−2.0モル%程度発生し、所定の組
成が得られないことと、仮焼後のペレットの硬度がビッ
カース硬度で700kg/mm 2以上になってしまうた
めに、粉砕時間が1100℃で仮焼したペレットに較べ
ミル粉砕(20μm以下)までに達するのに3倍以上時
間が掛かるために好ましくない。また仮焼温度が105
0℃以下の場合、ミル粉砕(20μm以下)を行い、本
焼成1120±15℃で焼結した時に、密度が98%以
上になってしまい空孔を残す目的を達成できなくなる。
【0011】また低温側の仮焼温度を850±50℃に
した理由は、仮焼温度が800℃未満であると仮焼後に
フェライトの結晶構造であるスピネル化が完全に進んで
いないことが確認された。従ってスピネル構造になって
いない仮焼物で成形を行うと本焼成時に20%を越える
収縮が発生し、クラックの発生率が大きくなるからであ
る。また900℃以上で仮焼すると、本焼成時の温度を
高くしなければならず、経済的でないとともに、炉の寿
命も短くなる。
した理由は、仮焼温度が800℃未満であると仮焼後に
フェライトの結晶構造であるスピネル化が完全に進んで
いないことが確認された。従ってスピネル構造になって
いない仮焼物で成形を行うと本焼成時に20%を越える
収縮が発生し、クラックの発生率が大きくなるからであ
る。また900℃以上で仮焼すると、本焼成時の温度を
高くしなければならず、経済的でないとともに、炉の寿
命も短くなる。
【0012】前記のように作製された第1及び第2の仮
焼物を以下の重量比で混合して5つのサンプルを作製し
た。
焼物を以下の重量比で混合して5つのサンプルを作製し
た。
【0013】 サンプルA 第1の仮焼物:第2の仮焼物=1:1 サンプルB 第1の仮焼物:第2の仮焼物=1:2 サンプルC 第1の仮焼物:第2の仮焼物=1:3 サンプルD 第1の仮焼物:第2の仮焼物=1:4 サンプルE 第1の仮焼物:第2の仮焼物=1:5 これらのサンプルをそれぞれボールミルで湿式粉砕を1
6時間施し、有機バインダ(ポリビニルアルコール等)
を加え、スプレードライヤー等の手法を用いて98%以
上乾燥し造粒させる。この時この乾燥物の粒径は80μ
m〜200μmである。そしてこの乾燥物を1120±
10℃で焼成を行った。この結果それぞれのサンプルに
おいて以下のような空孔率を有するフェライトを作製で
きた。
6時間施し、有機バインダ(ポリビニルアルコール等)
を加え、スプレードライヤー等の手法を用いて98%以
上乾燥し造粒させる。この時この乾燥物の粒径は80μ
m〜200μmである。そしてこの乾燥物を1120±
10℃で焼成を行った。この結果それぞれのサンプルに
おいて以下のような空孔率を有するフェライトを作製で
きた。
【0014】 サンプルA 空孔率 10〜13% サンプルB 空孔率 8〜12% サンプルC 空孔率 6〜 7% サンプルD 空孔率 4〜 5% サンプルE 空孔率 1〜 3% ここで注目すべき点は、焼成温度が±10℃ばらついて
も上記と同じような空孔率を得ることができる点であ
る。従来の製造方法であれば焼成温度を±2℃以内に制
御しなければ所定の空孔率を得ることができないが、本
実施例のような製造方法によれば焼成温度が多少ばらつ
いても所定の空孔率を得ることができる。また実験の結
果、焼成温度が±30℃のばらつきを有しても同様の空
孔率を得ることができる。
も上記と同じような空孔率を得ることができる点であ
る。従来の製造方法であれば焼成温度を±2℃以内に制
御しなければ所定の空孔率を得ることができないが、本
実施例のような製造方法によれば焼成温度が多少ばらつ
いても所定の空孔率を得ることができる。また実験の結
果、焼成温度が±30℃のばらつきを有しても同様の空
孔率を得ることができる。
【0015】次に上記サンプルの諸特性を(表1)に示
す。
す。
【0016】
【表1】
【0017】この(表1)から分かるように本実施例の
フェライトの製造方法では、空孔率を簡単に制御するこ
とができ、しかもそれらの他の特性を劣化させることは
ない。
フェライトの製造方法では、空孔率を簡単に制御するこ
とができ、しかもそれらの他の特性を劣化させることは
ない。
【0018】
【発明の効果】本発明は、酸化鉄,酸化ニッケル,酸化
亜鉛,酸化銅を含む原料を1100±50℃で仮焼した
第1の仮焼物と、その原料を850±50℃で仮焼した
第2の仮焼物を混合し、焼結させたことにより、焼結温
度で空孔率(焼結密度)を制御するのではなく、仮焼物
の混合によって制御できるので、簡単にフェライトのロ
ット毎の焼結密度のばらつきを小さくすることができ
る。
亜鉛,酸化銅を含む原料を1100±50℃で仮焼した
第1の仮焼物と、その原料を850±50℃で仮焼した
第2の仮焼物を混合し、焼結させたことにより、焼結温
度で空孔率(焼結密度)を制御するのではなく、仮焼物
の混合によって制御できるので、簡単にフェライトのロ
ット毎の焼結密度のばらつきを小さくすることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 41/02 C04B 35/26 B (72)発明者 尾中 良雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−48705(JP,A) 特開 平2−137767(JP,A) 特開 平4−148510(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/12 - 1/375
Claims (3)
- 【請求項1】酸化鉄,酸化ニッケル,酸化亜鉛,酸化銅
を含む原料を1100±50℃で仮焼した第1の仮焼物
と、前記原料を850±50℃で仮焼した第2の仮焼物
を混合し、焼結させたことを特徴とするフェライトの製
造方法。 - 【請求項2】酸化鉄を46〜51モル%、酸化ニッケル
を11〜16モル%、酸化亜鉛を28〜34モル%、酸
化銅を3〜12モル%で合わせて100モル%としたこ
とを特徴とする請求項1記載のフェライトの製造方法。 - 【請求項3】第1の仮焼物と第2の仮焼物の割合を1:
1〜1:5としたことを特徴とする請求項2記載のフェ
ライトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11454992A JP3239439B2 (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | フェライトの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11454992A JP3239439B2 (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | フェライトの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05315121A JPH05315121A (ja) | 1993-11-26 |
JP3239439B2 true JP3239439B2 (ja) | 2001-12-17 |
Family
ID=14640574
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11454992A Expired - Fee Related JP3239439B2 (ja) | 1992-05-07 | 1992-05-07 | フェライトの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3239439B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11243024A (ja) * | 1998-02-25 | 1999-09-07 | Kyocera Corp | ノーコンタクトチャージャー対応型電気器具 |
JP6086011B2 (ja) * | 2013-03-28 | 2017-03-01 | 株式会社村田製作所 | 積層型コイル部品の製造方法 |
-
1992
- 1992-05-07 JP JP11454992A patent/JP3239439B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05315121A (ja) | 1993-11-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1365424B1 (en) | Permanent magnet and method for preparation thereof | |
EP1365425B1 (en) | Permanent magnet | |
EP1351260B1 (en) | Permanent magnet and method for preparation thereof | |
CN104230321A (zh) | M型钙永磁铁氧体及其制备方法 | |
JPH0238537B2 (ja) | ||
JP3239439B2 (ja) | フェライトの製造方法 | |
JPS60262405A (ja) | Mn−Znフエライトの製造方法 | |
KR20020026346A (ko) | M형 헥사페라이트 분말 또는 케이크의 제조 방법 | |
JP2914554B2 (ja) | 高透磁率MnZnフェライトの製造方法 | |
JPS60262404A (ja) | Mn−Znフエライトの製造方法 | |
JPH0725618A (ja) | ソフトフェライトの製造方法 | |
JP2762531B2 (ja) | フェライト磁性体およびその製造方法 | |
JPH06333724A (ja) | 微細結晶粒を有するフェライト焼結体およびその製造方法 | |
JPH0971455A (ja) | フェライト材料およびその製造方法 | |
SU1012356A1 (ru) | Смесь дл изготовлени марганец-цинковых ферритов | |
JPH09270313A (ja) | フエライト材料及びフェライト及びその製造方法 | |
JP2000173812A (ja) | 異方性フェライト磁石の製造方法 | |
JP2762532B2 (ja) | フェライト磁性体およびその製造方法 | |
JPS6177304A (ja) | Mn−Zn系フエライトの製造方法 | |
JPH08217543A (ja) | 磁気ヘッド用非磁性セラミックスの製造方法 | |
JP2706975B2 (ja) | Mn―Zn系フェライト材料の製造方法 | |
JPH06112033A (ja) | フェライト材の製造方法 | |
JP2938260B2 (ja) | 微結晶フェライト | |
JPH08208323A (ja) | 磁気ヘッド用非磁性セラミックスの製造方法 | |
CN113470913A (zh) | 铁氧体烧结磁铁及旋转电机 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |