JP3239352B2 - ジャー炊飯器 - Google Patents

ジャー炊飯器

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JP3239352B2 JP23553595A JP23553595A JP3239352B2 JP 3239352 B2 JP3239352 B2 JP 3239352B2 JP 23553595 A JP23553595 A JP 23553595A JP 23553595 A JP23553595 A JP 23553595A JP 3239352 B2 JP3239352 B2 JP 3239352B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジャー炊飯器に係
わり、特に、蓋体を閉じた状態に保持するクランプ装置
を備えたジャー炊飯器に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、この種のジャー
炊飯器において、クランプボタンは、外枠の一部にこの
外枠の外側から内側へ貫通する貫通孔を設け、この貫通
孔に、クランプボタンに設けた軸部を嵌合させることに
より、外枠に回動自在に取り付けていた。しかし、この
従来の構造では、貫通孔と軸部との間に生じたわずかな
隙間を通って、外枠内に水が侵入するおそれがある。そ
して、万一水が侵入したときには、例えば外枠内でクラ
ンプボタンのすぐ下方に制御回路基板が備えられている
ような場合、この制御回路基板に水がかかるなどの危険
性がある。
【0003】そこで、このような危険性を回避するため
に、外枠の貫通孔の内側に、水の侵入を防止するパッキ
ンや水の遮蔽板を設けたりしていたが、この従来の構造
では、部品点数が多くなり、また、組立が複雑になる問
題があった。
【0004】本発明は、このような問題点を解決しよう
とするもので、クランプボタンの取付け構造を簡素化
し、組立性を改善するとともに、本体内部への水の侵入
を防止できるジャー炊飯器を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のジャー炊飯器
は、前記目的を達成するために、本体外殻を形成する外
枠と、この外枠の一部に軸支したヒンジ装置により取付
けられ前記外枠の上部開口部を開閉する蓋体と、前記ヒ
ンジ装置と反対側で前記外枠の外側に設けられた凹み部
と、この凹み部に設けられた少なくとも2個の穴部と、
この穴部に嵌合して備えられたクランプボタンとを備
え、このクランプボタンに設けられた爪部と前記蓋体に
設けられた爪部とを係合して前記外枠の上部開口部を塞
ぐ構成とし、前記凹み部の全ての穴部は、前記外枠を外
側から内側へ貫通していないものである。
【0006】この構成により、外枠の外側の凹み部にお
いて、クランプボタンの組付けなどのために設けられた
穴部は、外枠の内側までは貫通していないので、穴部を
伝って水が外から本体内部に侵入することはない。した
がって、穴部の内側において、外枠とは別体のパッキン
や遮蔽板などによる防水処理も不要である。
【0007】
【発明の実施形態】以下、本発明のジャー炊飯器の第1
実施例について、図1から図6を参照しながら説明す
る。全体の断面図である図1において、1は器本体、2
はこの器本体1内に着脱自在に収容される有底筒状の容
器たるアルミニウム材料からなる鍋、3はこれら器本体
1および鍋2の上部開口部たる上面開口を開閉自在に覆
う蓋体である。器本体1は、下面を開口した外枠5と、
この外枠5の下面開口に取り付けられた底板6と、内枠
側部部材たる筒状の第1の内枠7と、この第1の内枠7
の下面開口を塞ぐように配置された内枠底部部材たる第
2の内枠8などにより構成されている。本体外殻を形成
する前記外枠5および底板6は、ポリプロピレンなどか
らなっている。また、前記第1の内枠7および第2の内
枠8は、ともにアルミニウム材料からなり、外枠5内に
組み付けられ、器本体1の内周の内枠を形成するもので
ある。ここで、第2の内枠8は、その外周部が第1の内
枠7に下からテーパ嵌合している。そして、鍋2の外側
面と第1の内枠7の内周面との間には0.5mm 以上の隙間
が設けられる。また、第1の内枠7の材料厚さは 0.5〜
1.0mm であり、第1の内枠7の表面には1〜8μm の厚
さでアルマイト被膜が形成されている。一方、第2の内
枠8の材料厚さは 0.5〜1.0mm であり、第2の内枠8の
表面には 0.5〜5μm の厚さでアルマイト被膜が形成さ
れている。なお、アルマイト被膜はなくてもよい。ま
た、図5にも示すように、第2の内枠8は、上方へ膨出
した凸状部9を中心部に有しているとともに、平坦部10
を外周側に有しているが、これら凸状部9と平坦部10と
の間には、上方へ膨出した段部11が形成されている。ま
た、凸状部9の上面部には開口孔12が形成されている。
さらに、第1の内枠7の上面外周部には、鍋2の上部に
形成されたフランジ状の取手部13が載る弾性体からなる
ブレーキブッシュ14が設けられている。すなわち、鍋2
は、第1の内枠7の上面外周部に吊り下げられて、内枠
7,8内に収容される構成になっている。また、前記底
板6の下面には凹部からなる取手部15(図6に図示)が
設けられている。
【0008】16は、鍋2を輻射熱により加熱する加熱手
段である炊飯ヒータで、この炊飯ヒータ16は、シーズ式
のヒータをリング状に加工したものである。そして、こ
の炊飯ヒータ16は、第2の内枠8の外周部の平坦部10上
に設けられた磁器部材からなるヒータ台17により、第2
の内枠8と離れた状態で取付け固定される。炊飯ヒータ
16を第2の内枠8の平坦部10上に設けているのは、炊飯
ヒータ16からの輻射熱を効率よく上方の鍋2の底へ反射
させるためである。なお、炊飯ヒータは、アルミニウム
ブロックにシーズヒータを鋳造した熱板式のヒータであ
ってもよい。
【0009】一方、第2の内枠8の下方には、鋼板製の
遮熱板たる支え板18が空間を形成しつつ設けてある。こ
の支え板18は、第2の内枠8に類似した形状を有し、こ
の第2の内枠8の凸状部9、平坦部10、段部11および開
口孔12にそれぞれ対応する凸状部9a、平坦部10a 、段部
11a および開口孔12a を有している。そして、この支え
板18は、第2の内枠8の下側のほぼ全体を覆うようにし
て設けられており、炊飯ヒータ12からの熱を遮断する遮
熱機能の他に、強度的に比較的弱い第2の内枠8のアル
ミ材の補強効果も同時に得る構成となっている。なお、
前記ヒータ台17は、直接には支え板18に固定してもよ
い。また、この支え板18の中心部には、鍋2の温度を検
出するための温度検出手段たる負特性サーミスタなどか
らなる温度センサ21が備えてあり、この温度センサ21を
強度的に強い感熱板22の内部に設けることにより、安定
して鍋2の温度を検出できるようになっている。温度セ
ンサ21を内蔵した感熱板22は、鍋2の外底面に近くなる
ように、前記第2の内枠8の凸状部9内に位置してい
る。また、感熱板22の下方には、鍋スイッチ23の接点を
切り換えるスイッチレバー24が設けられており、これら
感熱板22およびスイッチレバー24は、コイルばね25を介
して上下動自在にかつ上方へ付勢して設けられる。そし
て、鍋2を器本体1内に収容すると、前記第2の内枠8
の開口孔12より上方へ突出した感熱板22に鍋2の底面が
載ることにより、この感熱板22およびスイッチレバー24
がコイルばね25の付勢に抗して下方に押圧され、鍋スイ
ッチ23の接点が切り換わって、内枠7,8内の鍋2の有
無を検出するようになっている。
【0010】なお、27は底板6の後側下部に設けられる
コードリール、28は外枠5と第1の内枠7との間に立設
する筒状の金属製の横遮熱板である。
【0011】前記蓋体3は、蓋体上面を形成する外蓋31
と、この外蓋31の下方に空間を形成しつつ設けられた外
蓋カバー32と、この外蓋カバー32の下方に設けられた蓋
体下面を形成する放熱板33とにより構成され、さらに、
放熱板33の下方には、鍋2の上面開口を塞ぐ内蓋34が着
脱自在に設けられる。外蓋31および外蓋カバー32は、い
ずれもポリプロピレンなどの合成樹脂にて成形されると
ともに、放熱板33はアルミニウム板の表面をアルマイト
処理して成形される。また、放熱板33の下方にはスタッ
ド35が加締めにより取付けられており、このスタッド35
に内蓋34の中心部に設けた弾性を有するシリコーンゴム
からなる内蓋押え36が装着される。37は、内蓋34の適所
に形成された複数の蒸気通路である。また、38は外蓋カ
バー32と放熱板33との間に挾んで保持された円環状の蓋
パッキンであり、蓋体3の閉塞時に、蓋パッキン38の下
端が鍋2の取手部13に密着する。
【0012】蓋体3は、ヒンジ装置41により外枠5の上
側に回動自在に軸支されている。このヒンジ装置41は、
外枠5の上部後側および外蓋カバー32の後部を連結する
左右方向のヒンジシャフト42からなる。このヒンジシャ
フト42には、ねじりコイルばねからなるヒンジばね43が
設けられており、このヒンジばね43は、蓋体3を開く方
向の力を常時作用させるものである。
【0013】一方、ヒンジ装置41と反対側すなわち前側
には、蓋体3を閉じた状態に保持するクランプ装置44が
設けられている。このクランプ装置44の組付けのため
に、図2および図3にも示すように、外枠5の上部外側
には凹み部45が形成されており、この凹み部45の左右両
側の内壁面には穴部46が相対向させてそれぞれ形成され
ているが、これら穴部46は、外枠5をその外側から内側
までは貫通していない。他にも、凹み部45には、外枠5
を外側から内側まで貫通する貫通孔はない。そして、凹
み部45内にはクランプボタン47が嵌合させて組付けられ
ている。このクランプボタン47は、その左右両側の外壁
面に凸状の軸部48がそれぞれ形成されており、これら軸
部48が前記凹み部45の両穴部46にそれぞれ嵌合されてい
ることにより、外枠5に回動自在に軸支されている。な
お、両穴部46への両軸部48部の嵌め込みは、クランプボ
タン47を弾性変形させることによる無理嵌めであり、そ
の弾性変形を可能とするために、クランプボタン47の材
料としては合成樹脂のポリプロピレンが選定されてい
る。また、クランプボタン47の上部には凸状の係止爪部
49が形成されている。一方、蓋体3の外蓋カバー32に
も、クランプボタン47の係止爪部49に対応する位置に凸
状の受け爪部50が形成されている。さらに、クランプボ
タン47の内部には、外枠5の凹み部45において、クラン
プボタン47に対してその上部が後退する方向の力を作用
させるコイルばね51が備えてある。そして、蓋体3を閉
じると、その受け爪部50の上側にクランプボタン47の係
止爪部49が前から係合し、かつ、この係合状態がコイル
ばね51により保持されることにより、ヒンジばね43の作
用に抗して蓋体3が外枠5の上面開口を塞いだ状態に保
持されるようになっている。一方、クランプボタン47の
下部を後方へ押すと、コイルばね51の作用に抗して、ク
ランプボタン47の係止爪部49が蓋体3の受け爪部50から
外れ、ヒンジばね43の作用により蓋体3が開くものであ
る。
【0014】なお、凹み部45の上部には段部52が形成さ
れており、一方、クランプボタン47の内側には、先端が
常に前記段部52の上側に位置する突片53が形成されてい
る。特に、係止爪部49が後退した状態で、突片53の先端
は段部52上に接するようになっている。前記コイルばね
51は、突片53および段部52よりも下方に位置している。
【0015】蓋体3の後部には、この蓋体3の上下を連
通し、鍋2内で発生する蒸気を外部に放出させるための
蒸気口56が設けられている。この蒸気口56は、そのほぼ
水平な上面を形成する合成樹脂製の蒸気口カバー57と、
前記外蓋カバー32に一体に形成された開口筒部58と、放
熱板33に嵌着されたパッキンを兼ねるゴム製の蒸気口下
部体59とにより構成されている。なお、蒸気口カバー57
と開口筒部58との間および開口筒部58と蒸気口下部体59
との間にはそれぞれパッキン60,61が設けられている。
【0016】蒸気口カバー57の外周部寄りには、図4に
も示すように、一ないし複数の蒸気放出部たる蒸気通路
孔62が形成されている。この蒸気通路孔62は、上から見
たときに少ない開口面積になるように、水平面に対して
傾斜した状態で上向きに開口しているが、その傾斜を形
成するために、蒸気口カバー57には、蒸気通路孔62の下
側から蒸気口カバー57の上面に至る傾斜面63が形成され
ている。さらに、蒸気口カバー57における傾斜面63の最
下部すなわち蒸気通路孔62に隣接する部分には、傾斜面
63にほぼ垂直に立ち上がった縦壁部64が形成されてい
る。なお、前記蒸気口カバー57は、耐熱性、耐スチーム
性に優れた合成樹脂材料であるポリプロピレンからなる
が、本実施例のように、外蓋31および外蓋カバー32と別
体にする他、外蓋31または外蓋カバー32と一体に形成し
てもよい。
【0017】また、前記蒸気口下部体59には、蒸気通路
孔66を形成する蒸気筒67が、垂直に上へ立てて一体に形
成されているとともに、蒸気筒67よりも外周側に、蒸気
口56に溜まったおねばや水を排出するおねば戻し孔68が
形成されている。
【0018】71は、放熱板33の裏側つまり上面側に備え
た保温用の蓋ヒータで、この蓋ヒータ71は、両面粘着テ
ープ(図示せず)で接着されるアルミ箔72と放熱板33と
の間にコード状の発熱体を介在させて構成される。ま
た、蓋ヒータ71の上方で外蓋31および外蓋カバー32間に
は、前記蒸気口56の近傍に配置したグラスウール製の断
熱材73が設けられている。76は、保温用のコードヒータ
などからなる胴ヒータであり、この胴ヒータ76は、電気
的には前記蓋ヒータ71と並列回路を構成している。胴ヒ
ータ76は、接着されたアルミ箔77により、第1の内枠7
の外側面に取付け固定されている。なお、78は、第1の
内枠7の上部に設けられた一対の温度ヒューズである。
【0019】器本体1内の前側には、外枠5と横遮熱板
28との間に、電源基板支え81に支持された電源基板82
と、表示基板支え83に支持された表示基板84とが各々設
けられている。両基板支え81,82は互いに固定してあっ
て、両基板82,84は、基板組立としてユニット化されて
いるが、この基板組立は、縦形すなわちほぼ鉛直に器本
体1内に収容してある。炊飯および保温のなどの各種動
作を制御する制御回路を構成する両基板82,84のうち、
電源基板82の部品面には、コンデンサ、ブザー、直流定
電圧回路を形成するためのトランス、ヒータ16,71,76
の通断電を制御するリレーや双方向性サイリスタなどの
複数の電気部品85,86が実装されている。また、表示基
板68には、炊飯や保温の開始や行程の切換えやタイマー
の時間設定などを行うためのスイッチ87、時刻表示用の
LCD表示部88、LEDからなる行程表示ランプ89およ
び図示していないマイクロコンピュータなどが実装され
ている。そして、この表示基板84の一側を覆うようにし
て、外枠5の前面に操作パネル91が装着されており、こ
の操作パネル91には、前記スイッチ87を操作するための
押しボタン92が設けられているとともに、表示の説明用
の各種文字などを印刷した表面シート93が貼り付けられ
ている。本体外殻を形成する外枠5は、表面にほとんど
出っ張りのない形状になっており、操作パネル91の出っ
張りも、外観性の向上のために、5mm以内の極力小さい
ものにしてある。なお、操作パネル91は、外枠5と一体
に形成してもよい。
【0020】ところで、図6に示すように、前述のよう
に内枠7,8の内底部に備えられた炊飯ヒータ16は、1
本のシーズヒータをリング状に成形してなるものである
が、この炊飯ヒータ16への給電用の2か所の端子部96
は、互いに近接して位置しているとともに、前記基板8
2,84側に極力近い位置に配置されている。また、第1
の内枠7の外周面に設けられた前記胴ヒータ76の両端子
部97も、互いに近接して位置しているとともに、前記基
板82,84側に極力近い位置に配置されている。炊飯ヒー
タ16および胴ヒータ76の端子部96,97付近は非発熱部で
ある。
【0021】つぎに、前記の構成について、その作用を
説明する。鍋2内に米および水を収容して炊飯を開始す
ると、炊飯ヒータ16が通電されて鍋2を加熱する。ま
た、蓋ヒータ71および胴ヒータ76も通電されて、蓋ヒー
タ71が蓋体3の放熱板33を加熱するとともに、胴ヒータ
76が第1の内枠7を加熱する。ヒータ16,71,76の通断
電は、温度センサ21により検出される鍋2の温度などに
応じて制御される。炊飯加熱行程は、ひたし炊き行程、
沸騰加熱行程、沸騰継続加熱行程の順でなされる。所定
時間行われるひたし炊き行程は、予備的な加熱で、沸騰
加熱行程は、その後の沸騰検出までの強い連続的な加熱
である。その際の沸騰検出は、例えば、鍋2の温度上昇
の勾配が所定の勾配まで低下したことを検出することに
よる。また、沸騰継続加熱行程は、沸騰を必要な時間継
続させるもので、炊き上がりの検出により終了する。炊
き上がりの検出は、例えば、鍋2の温度が所定温度まで
上昇したことを検出することによる。さらに、炊き上が
りの検出後、所定時間のむらし炊き行程が行われて、炊
飯加熱行程が終了する。その後は、保温加熱工程に移行
し、蓋ヒータ71および胴ヒータ76の加熱により鍋2の温
度が所定温度に保持される。
【0022】特に、むらしを含めた炊飯時、鍋2内に発
生した蒸気は、内蓋34の蒸気通路37から蒸気口下部体59
の蒸気筒67内に侵入し、蒸気口56内の空間部69を通っ
て、蒸気口カバー57の蒸気通路孔62から外部に排出され
る。
【0023】前記実施例の構成によれば、外枠5の凹み
部45内に形成したクランプボタン47の取付け用の穴部46
は、外枠5を外側から内側までは貫通しないものとし、
クランプボタン47の材料を弾性変形可能な合成樹脂にし
て、このクランプボタン47の軸部48を前記凹み部45内の
穴部46に無理嵌めしたので、クランプボタン47の弾性力
により、その軸部48が穴部46から容易に外れることはな
く、また、従来のようにクランプボタンの軸部の取付け
用の貫通孔から本体内部に水が侵入することがない。し
たがって、穴部46の内側において、外枠5とは別体のパ
ッキンや遮蔽板などによる防水処理を施すことが不要に
なり、部品点数を減らすことができ、クランプボタン47
の取付け構造を簡素化でき、組立性を改善できる。ま
た、クランプボタン47の内部面は、外枠5の凹み部45内
に収納されるので、外観性の体裁もよくなる。さらに、
穴部46を貫通しない形状にしたことは、外枠5を合成樹
脂により成形する際に、穴部46の形成を容易にできると
ともに、バリの発生を防止できる点でも利点がある。
【0024】また、クランプボタン47に形成した突片53
が凹み部45の段部52上に常に位置するようにしたので、
かりに突片53ないし段部52の上側にご飯粒などの異物が
入ったとしても、この異物が、コイルばね51のある凹み
部45の下部まで侵入することは防止できる。
【0025】さらに、ヒンジ装置41がクランプ装置44と
ともに外枠5に一体的に構成されているので、ヒンジ装
置41およびクランプ装置44の寸法を精度よく確保でき
る。
【0026】ところで、炊きむらを低減するために、沸
騰初期における鍋2の加熱を連続的に強加熱で行うジャ
ー炊飯器では、沸騰初期および沸騰の後に、蒸気口から
重湯が吹きこぼれる危険性が高くなる。これに対して、
本実施例のジャー炊飯器では、蒸気口56の上面の開口面
積すなわち蒸気通路孔62の開口面積を大きくして、吹き
こぼれを抑制している。吹きこぼれを抑制するには、蒸
気通路孔の開口面積をかなり大きくしなければならない
が、かりに蒸気通路孔が水平のままその開口面積を極端
に大きくしたとすると、蒸気口内に上方から塵埃が入り
やすくなるなどの問題が生じる。これに対して、前記実
施例では、蒸気通路孔62を傾斜状態にし、上から見たと
きの蒸気通路孔62の平面面積が小さくなるようにしたの
で、塵埃の侵入を防止できる。
【0027】ところが、蒸気通路孔62を傾斜状態にする
ために、蒸気口カバー57には、蒸気通路孔62の下側から
蒸気口カバー57の上面に至る傾斜面63が形成されること
になるため、もしかりにこの傾斜面63がそのまま蒸気通
路孔62まで通じていたとすると、炊飯中またはむらし中
に発生した蒸気が蒸気通路孔62から出た後、傾斜面63に
沿って流れることになるので、この傾斜面63に蒸気が多
量に結露しやすく、蒸気口56付近が汚れやすくなる。ま
た、露が付着した状態で蓋体3を開けると、器本体1の
後側へ露が流れ落ちて、この器本体1の後部を汚した
り、最悪の場合、床を汚してしまうようなおそれがあ
る。
【0028】これに対して、前記実施例においては、蒸
気口カバー57における傾斜面63の最下部すなわち蒸気通
路孔62に隣接する部分に、傾斜面63にほぼ垂直に立ち上
がった縦壁部64を形成したので、蒸気通路孔62から放出
された蒸気は、縦壁部64により遮られて傾斜面63から離
れて流れることになる。したがって、この傾斜面63に結
露して付着する露の量が少なくなり、蒸気口56付近が汚
れにくくなる。これとともに、蓋体3を開けたときに、
蒸気口56から器本体1の後側へ露が流れ落ちることも防
止でき、この器本体1の後部や床を汚してしまう不具合
も防止できる。こうして、清掃性が改善される。
【0029】ところで、炊飯や保温の動作を制御する制
御回路の信頼性を高めるには、炊飯時の制御回路の基板
の温度を低く抑えることが有効であり、従来より、基板
に対して遮熱板などを設けて温度上昇を抑制する構造が
採られている。しかし、温度上昇の抑制のために専用の
部品を設けるのでは、部品点数が多くなり、そのために
組立性の悪化もきたす。特に、外観性の向上のために、
本体外面からほとんど出っ張ることなく操作パネルを設
けたジャー炊飯器にあっては、操作パネルに対応する基
板を本体の内部に収納する必要があるため、この基板が
ヒータにより近く位置することになり、さらに温度上昇
が大きくなる不具合がある。
【0030】これに対して、前記実施例の構成によれ
ば、炊飯ヒータ16および胴ヒータ76をその端子部96,97
が基板82,84側に極力近くなるように配置したことによ
り、炊飯時における基板82,84の温度上昇を効率よく低
減でき、制御回路の信頼性を向上できる。すなわち、炊
飯ヒータ16をなすシーズヒータの表面温度は、端子部96
側では非発熱部があることにより低くなる。逆に、端子
部96の反対側は表面温度が高くなり、輻射熱量も多くな
る。この傾向は、コード状のヒータである胴ヒータ76で
も同じである。したがって、ヒータ16,76の端子部96,
97側を基板82,84側に配置することにより、ヒータ16,
76の輻射熱による基板82,84の温度上昇を抑制できる。
そして、このように基板82,84の温度上昇を抑制しなが
ら、操作パネル91の出っ張りを極力少なくできるので、
外観性を向上できる。
【0031】また、端子部96,97とこれらが接続される
電源基板82とが互いに近くなるので、配線用のリード線
も短くでき、配線処理を簡素化できる。これとともに、
遮熱板などを減らせることとあいまって、組立性を向上
できる。
【0032】さらに、前記実施例の構成によれば、内枠
7,8は、その側面部を構成する第1の内枠7と底面部
を構成する第2の内枠8とに分割し、これら両者を組合
わせて一体化することにより有底筒状の内枠7,8全体
を構成するので、第2の内枠8に炊飯ヒータ16などを予
め組込んでおき、その後で、第2の内枠8を第1の内枠
7に組込むことができ、組立性が向上する。また、鍋2
を第1の内枠7の上部に吊り下げて収容することによ
り、第2の内枠8には鍋2の荷重が加わらなくなること
から、第2の内枠8の強度はあまり必要でなくなり、し
たがって、材料厚さを薄くできる利点もある。
【0033】しかし、もしかりに第2の内枠が従来のよ
うに段部11のない平板的なものであったとすると、第1
の内枠7に組込んだ後は問題ないが、組込み前に予め炊
飯ヒータ16を第2の内枠に組込む際や、部品の運搬時に
第2の内枠が変形するおそれがある。そのため、第2の
内枠は、完成後の製品においては、強度があまり要らな
いにもかかわらず、単に組立上の対応として材料厚さを
比較的厚くしなければならないことになる。
【0034】しかしながら、前記実施例の構成によれ
ば、第2の内枠8において、炊飯ヒータ16を取付ける外
周側の平坦部10と、温度センサ21が入る中心部の凸状部
9との間に段部11を形成したことにより、第2の内枠8
の強度が向上する。すなわち、アルミニウム材料からな
る第2の内枠8をプレス加工により成形する際、アルミ
ニウム材料は、加工硬化により強度が上がる。そのた
め、段部11がない場合には、第2の内枠8の材料厚さを
0.7〜1.5mm 前後にしなければならなかったのを、0.5
〜1.0mm 程度に薄くしても、また、表面のアルマイト被
膜を従来の1〜8μm から 0.5〜5μm 程度に薄くして
表面強度を弱くしても、さらには、アルマイト被膜がな
くても、第2の内枠8を器本体1に組込む前に、第2の
内枠8に炊飯ヒータ16や温度センサ21を組込むに際し
て、十分な強度を得られ、組立性もよい。なお、前記数
値範囲の幅は、製品の型の違いなどによるもので、他の
条件が同じならば、例えば、従来 0.7mmであったのを
0.5mmに薄くできるとの意味である。もちろん、第2の
内枠8の材料厚さを薄くできることは、軽量化をもたら
し、部品運搬時の取扱いも容易になるとともに、炊飯器
全体の重量を低減できる。
【0035】さらに、段部11の分、温度センサ21用の凸
状部9の成形高さが低くなるので、アルミニウム材料を
プレス加工する際の絞り率が小さくなり、加工性が改善
される。しかも、段部11は、炊飯時の鍋2の加熱に影響
のない部分にあり、第2の内枠8による反射によっても
鍋2を加熱できるので、この鍋2の加熱に支障をきたす
ことがなく、良好な炊飯性能を確保できる。
【0036】なお、支え板18についても、段部11a があ
ることから、同様の作用効果が得られる。
【0037】図7は、本発明のジャー炊飯器の第2実施
例を示すもので、前記第1実施例と対応する部分には、
同一符号を付してその説明を省略する。本第2実施例
は、アルミニウム材料からなる遮熱部材たる内枠遮熱板
101 を第2の内枠8上に嵌合して設けたものである。こ
の内枠遮熱板101 は、ほぼリング状になっているが、炊
飯ヒータ16の外径よりも外径が大きくなっているととも
に、炊飯ヒータ16の内径よりも内径が小さくなってお
り、炊飯ヒータ16と第2の内枠8との間に介在してい
る。なお、本実施例では、碍石からなるヒータ台17の部
分を回避するようにして内枠遮熱板101 を設けている
が、第2の内枠上に内枠遮熱板を介してヒータ台を設
け、内枠遮熱板を全周に渡って設けてもよい。また、内
枠遮熱板は局部的に設けてもよい。
【0038】102 は炊飯ヒータ16と隔離した状態で、炊
飯ヒータ16の上方を覆うようにして設けられたヒータプ
レートであり、これはアルミニウム板によりほぼ円環状
に形成されている。そして、鍋2を器本体1内に収容し
た状態では、ヒータプレート102 の上面に鍋2の底面最
下部が載置され、炊飯ヒータ16により加熱されたヒータ
プレート102 の熱が鍋2の底部に伝導される。そして、
前記内枠遮熱板101 の外径は、ヒータプレート102 の外
径よりも小さくなっている。また、103 は、ヒータプレ
ート102 を常に鍋2側の上方へ付勢するコイルばねであ
る。このコイルばね103 は、鍋2を器本体1内に収容し
たときに、ヒータプレート102 の上方への弾性力によ
り、常時ヒータプレート102 を鍋2に押し当てる構成に
なっている。ヒータプレート102 の組立ては、第2の内
枠8の上側から、ヒータプレート102 の下方に突出する
その支持部材104 を、第2の内枠8および支え板18に共
通して設けられた抜孔105 ,106 に挿通し、第2の内枠
8の下方側から、コイルばね103 および金属製のサポー
ト部材107 を支持部材104 に装着して行なわれる。この
サポート部材107 は、底板6に固定され、支持部材104
を介してヒータプレート102 を可動に支持する。
【0039】炊飯ヒータ16により加熱されて内枠7,8
は高温になり、特に炊飯ヒータ16の直下にある第2の内
枠8は高温になるが、内枠遮熱板101 があるために、炊
飯ヒータ16から第2の内枠8への熱伝導速度が鈍化する
ので、この第2の内枠8の温度上昇を抑制できる。これ
により、第2の内枠8の耐熱温度を越えることを防止で
き、第2の内枠8の劣化を抑制できる。
【0040】また、このように第2の内枠8が高温にな
ることを抑制できることにより、この第2の内枠8と嵌
合している第1の内枠7が高温になることも抑制でき
る。したがって、使用者が万一誤って炊飯中や保温中に
鍋2を取り出し、内枠7,8を清掃しようとすることが
あったとしても、第1の内枠7の温度が高温になってい
ないことにより、火傷の危険性が少なくなる。
【0041】また、第2の内枠8の高温化が抑制される
ことにより、この第2の内枠8からの放熱や、第2の内
枠8から支え板18、サポート部材107 へと伝導される熱
量も減少するので、このサポート部材107 と接する部分
や炊飯ヒータ16の直下部分における外枠5の温度も低下
する。したがって、何らかの事故で異常加熱が生じたよ
うな場合、合成樹脂製の外枠5であっても、熱により溶
ける危険性がなくなり、安全性が向上する。
【0042】また、外枠5が金属製の場合、同様にこの
外枠5の高温化が抑制されることにより、ジャー炊飯器
を移動などさせるときに、外枠5に手などが触れても、
あまり熱さを感じずに済み、安全性が向上する。
【0043】さらに、横遮熱板28と外枠5との間の隙間
から、電源基板82や表示基板84へ移動する熱量を低減で
きるので、半田などで基板82,84に固定してある抵抗や
サイリスタやコンデンサなどの電装部品の温度も低下さ
せられ、これら電装部品の寿命の短縮を抑制でき、炊飯
器全体としての製品寿命も延ばせる。
【0044】なお、以上のような内枠遮熱板101 を設け
たことによる作用効果は、第2実施例のようにヒータプ
レート102 を設けた場合のみならず、前記第1実施例の
ようにヒータプレートのない場合でも同様である。
【0045】さらに、本発明は、前記実施例に限定され
るものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の
変形実施が可能である。例えば、前記実施例のジャー炊
飯器は、鍋の加熱手段が輻射加熱式のシーズヒータであ
ったが、電磁誘導加熱によって鍋を加熱するものであっ
てもよい。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、クランプボタンを組付
ける凹み部の全ての穴部は、外枠を外側から内側へ貫通
していない構成としたので、本体内部への水の侵入を防
止できるとともに、穴部の内側での防水処理が不要にな
ることから、クランプボタンの取付け構造を簡素化で
き、組立性を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のジャー炊飯器の第1実施例を示す断面
図である。
【図2】同上クランプ付近の分解斜視図である。
【図3】同上クランプ付近の断面図である。
【図4】同上図1の蒸気口付近の拡大図である。
【図5】同上図1の炊飯ヒータ付近の拡大図である。
【図6】同上底板部分を除いた概略底面図である。
【図7】本発明のジャー炊飯器の第2実施例を示す断面
図である。
【符号の説明】
3 蓋体 5 外枠 41 ヒンジ装置 45 凹み部 46 穴部 47 クランプボタン 49 係止爪部(爪部) 50 受け爪部(爪部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 昌治 新潟県加茂市大字後須田2570番地1 東 芝ホームテクノ株式会社内 (72)発明者 弦巻 孝司 新潟県加茂市大字後須田2570番地1 東 芝ホームテクノ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−197209(JP,A) 実開 平5−13324(JP,U) 実公 平4−27452(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A47J 27/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 本体外殻を形成する外枠と、この外枠に
    ヒンジ装置により取付けられ前記外枠の上部開口部を開
    閉する蓋体と、前記ヒンジ装置と反対側で前記外枠の外
    側に設けられた凹み部と、この凹み部に設けられた少な
    くとも2個の穴部と、この穴部に嵌合して備えられたク
    ランプボタンとを備え、このクランプボタンに設けられ
    た爪部と前記蓋体に設けられた爪部とを係合して前記外
    枠の上部開口部を塞ぐ構成とし、前記凹み部の全ての穴
    部は、前記外枠を外側から内側へ貫通していないことを
    特徴とするジャー炊飯器。
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